第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針について

 当社グループは、創業以来、「包装」を通じて人から人へ、企業から企業へと顧客の想いを大切に包んでお届けすることを基本的な概念としており、段ボール、印刷紙器、軟包装材および紙製緩衝材などの環境対応商品などを併せ持つ総合包装企業として、国内だけでなく海外にも事業を展開しております。

 また、当社グループは「パッケージを通じて社会のあらゆるニーズに応え、社会の役に立つ企業を目指す」ことを経営理念としており、加速する市場の変化、技術革新またはニーズの多様化など様々な環境変化に対し、当社グループの技術力、デザイン力、マーケティング力および提案力などに磨きをかけ、スピード感をもって取り組み、弊社を取り巻く多くのステークホルダーから満足と信頼を得られる企業として成長してまいります。

 なお、2025年1月に、新たに企業パーパス「包み、届け、ひらく。」を設定し、社内外に公表いたしました。

 社員一人一人の価値観を尊重しながら企業の力を社会の未来づくりに活かす取り組みを開始いたしました。

 

(2)目標とする経営指標について

 当社グループは、2024年から2026年の3年間で積極的な投資を行い、収益力の強化を図ることで2026年度の連結売上高を700億円、連結営業利益を30億円、連結営業利益率を4.3%とすることを目標としております。

 また、収益力の強化に加え、収益に応じた株主還元施策などにより企業価値向上を図ることで、ROEおよびPBRの一層の向上を目指してまいります。

 なお、当期におきましては、売上高は625億円、営業利益は17億円、営業利益率は2.8%であります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略および優先的に対処すべき課題について

 当社グループでは、2024年から2026年度までの3年間を対象期間とした中期経営計画を2024年2月8日に公表しております。

 中期経営計画の命題を「現在の深化と未来の創造」とし、2つの成長戦略を掲げ取り組みを進めてまいります。

 

ⅰ)「既存事業強化」・・・現在の深化

➢ 主力事業である段ボール事業の収益力強化

・適正生産量で利益最大化を実現する商品・顧客ポートフォリオへの組み換え

・原価分析から弱点を明確にし、原価低減に直結する改善活動

・物流クライシス2024への対応

・サステナビリティ経営の推進

 

ⅱ)「成長分野の取込みと創出」・・・未来の創造

➢ 自社が保有しない経営資源を取込み成長を加速

・M&Aの積極的な実施

・国内・海外の生産拠点を拡充

・新規事業展開

 

この2つの成長戦略を支える項目として次の3項目を掲げております。

 

a) 開発設計力の強化

・サステナブル包装

・顧客価値の創造

・デジタル印刷の追求

 

b) 人的資本の充実

・働き方の選択肢を増やし、ワーク・イン・ライフを充実

・やりがいのある仕事でエンゲージメントを高め、充実した生活と幸せを実現

・安全で快適な職場環境を整備、ダイバーシティ&インクルージョンを推進

c) 業務革新&生産革新

・基幹システムの刷新

・生産のDX推進とデジタル印刷機を活用した生産革新

 

 なお、この中期経営計画期間における企業価値向上に向けた「成長戦略施策」および「株主還元施策」にかかる財務戦略3カ年計画は次のとおりとなります。

 

<キャッシュ・イン>

a) 営業キャッシュ・フロー:12,000百万円

b) 政策保有株式の縮減および有利子負債による調達:10,500百万円

合計(a+b)=22,500百万円

 

<キャッシュ・アウト>

a) 成長投資資金

イ)現在の深化(既存事業の強化)

・環境投資:1,000百万円

・事業筋肉質化:5,500百万円

 

ロ)未来の創造(成長戦略投資)

・国内事業の競争力強化およびM&A:13,500百万円

 

b) 株主還元資金

・配当還元;自己株式取得:2,500百万円

合計(a+b)=22,500百万円

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する基本方針および取組みは次のとおりです。

 なお、文中の将来性に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ基本方針

 当社グループは2022年2月にサステナビリティ基本方針を以下のとおり定めております。

・当社グループは、グループ行動指針に基づき、包装のイノベーションを通じてあらゆるニーズに応えることで社会的課題の解決に取り組み、ステークホルダーとともに地球環境の保全および持続可能な社会の形成に努め、「人に、モノに、地球にやさしい企業」を目指します。

 

(2)ガバナンス

 当社におけるサステナビリティ活動の最高責任者を社長とし、また、企画本部長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。

 サステナビリティ委員会は原則四半期に一度開催しており、その中でサステナビリティ全般に関する方針の策定、課題の検討、活動の推進を行い、取締役会にその内容を報告しております。

 

(3)戦略

① 環境保全

 当社グループでは、地球環境保全に貢献することが経営の最重要課題の一つであることを認識し、すべての企業活動において環境との調和を実現するため、環境方針を以下のとおり定めております。

・事業活動が環境に与える影響を認識し、段ボール・印刷紙器・紙製緩衝材・軟包装材の設計・開発、製造販売を通し、資源保護、温暖化防止、生物多様性保全、廃棄物の削減に努め、社会全体との共生を図ります。

・有害化学物質の使用などに配慮し、環境汚染の予防に努めます。

・環境に関し適用する法律・規制および同意するその他の要求事項を遵守し、環境負荷の低減に努めます。

・この環境方針を実現するために、環境マネジメントシステムを構築し、環境目標を設定するとともに、定期的な見直しを行い、システムの継続的改善に努めます。

 

 また、当社グループでは環境活動への取り組みの一つとして、国内グループのScope1・2の温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを実施しています。

 主な取り組みの内容としては以下のとおりであります。

a) ボイラー関係の省エネ実施

b) 消費電力の省エネ実施

c) 重油ボイラーのガス化

d) フォークリフトの電化

e) 太陽光パネルの導入

 

 なお、環境への取り組みについては弊社ウェブサイト「環境への取り組み」をご参照ください。

 

② 人的資本への取り組み

 当社グループにおける、人的資本の基本的な考え方は以下のとおりであります。

・ダイナパックグループの最大の資産は人材であり、社会環境の変化へ柔軟に対応し、業務改善を推進するとともに、努力と挑戦を続け、持続的な成長を実現する。

・ダイバーシティおよびインクルージョンを尊重し、従業員一人ひとりが個性を発揮し、活躍できる仕組み・制度を整え「人づくり」を通じて、社会課題の解決に貢献し続ける。

 

 その基本的な考え方のもと、すべての従業員が活躍することができる「働きがいのある企業」「働き続けたい企業」を目指しており、具体的な施策として、自己啓発のための資格取得支援制度や通信教育制度、各種研修、新たな仕事へのチャレンジができる社内公募制度や期限付き海外派遣制度を設けるとともに、やる気のあるシニア層が長く活躍できるよう、定年延長といった制度見直しも行っております。

 

 その他、働きやすい職場環境を実現するため、業務の効率化を進めるとともに、より柔軟な多様な働き方を推進していきます。男性の育児休暇の取得や年次有給休暇取得の推進を行い、ワークライフバランスの充実を図っているほか、女性視点による工場の環境改善や、女性が活躍する場の支援体制の強化を図っております。

 なお、女性活躍に関しては主に以下のような取り組みを推進しております。

a) 女性総合職、女性生産系職種採用の強化

b) 全女性社員を対象とした底上げ教育

c) 女性社員を対象にキャリアアップを促すキャリア形成支援の実施

d) 女性視点での工場衛生環境の改善

e) 社内制度ガイダンスの強化(育児休業・介護休業)

 

 さらに、当社グループでは2022年7月に以下の「ダイナパックグループ健康経営宣言」を公表し、健康経営に積極的に取り組んでおります。

・ダイナパックグループは、「人に、モノに、地球にやさしい企業」として、人々の幸せな暮らしに貢献していくため、当社を支えるすべての人たちが心身ともに健康であり続けることが重要だと考えます。

・私たちは大切な仲間の未来を守り、その個性溢れる能力を最大限に発揮できるように、会社と従業員および関係者が真剣に向き合って健康推進活動や職場環境の整備に取り組んでまいります。

 なお、以上の人的資本に関する取り組みについては弊社ウェブサイト「従業員と共に」をご参照ください。

(人権の尊重)

 ダイナパックグループは、「人に、モノに、地球にやさしい企業」として、誰もが幸せに生きるための権利、また、企業として果たすべき重要な社会的責任である人権尊重への取り組みを推進するため「ダイナパックグループ人権方針」を以下のとおり定めております。

<国際規範の尊重と法令の遵守>

・ダイナパックグループは、人権に関する国際規範を支持し尊重します。

・ダイナパックグループは、事業活動を行う各国、地域で適用されるすべての法令を遵守します。万が一、事業活動を行う当該国、地域の法令と国際規範との間に差異や矛盾が生じる場合は、国際的な規範を尊重するための方法を追求します。

 なお、人権方針の詳細については弊社ウェブサイト「人権の尊重」をご参照ください。

 

(4)リスク管理

 当社グループでは、事業活動におけるリスク管理を経営の重要課題と認識し、「リスク管理基本規程」に定めた体制作りおよび本社における包括的・効率的リスクマネジメントの充実を図っており、リスクの特定、評価、制御による管理を実施し、これらの状況を定期的に検証し、リスク管理の実効性を確保しております。

 また、サステナビリティに関するリスクについては、リスク管理部門として企画本部が主幹となり、企画本部長が委員長を務めているリスクマネジメント委員会およびサステナビリティ委員会の両委員会が関係部門と連携しこれにあたり、損失の危険のある重大な業務執行行為を発見した時は、取締役会、監査等委員会に通報する体制を構築しております。

 

 

(5)指標及び目標

 当社グループでは、上記の環境および人的資本に関する方針について以下の指標を用いており、当該指標に関する目標および実績は次のとおりであります。

① 環境保全

指標

目標

実績(当連結会計年度)

温室効果ガス排出量削減率(2013年度比)(注)

2030年度までに35%削減

22%削減

(注) 提出会社および国内子会社

 

② 人的資本への取り組み

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合(注)

2030年度まで6.0

2.8

男性労働者の育児休業取得率(注)

2025年度まで50.0

100.0

(注) 提出会社のみ

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、本文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在(2025年3月26日)において判断したものであります。

(1)主要製品の販売数量および販売価格の変動について

 当社グループの主要製品である包装資材関連製品は受注生産であり、取引先の動向、景気の影響、消費者の嗜好、天候の状況等による顧客の生産高の増減が影響を及ぼす可能性があります。また、包装資材関連製品の価格は市況により変化するため、業界の再編等による業界動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)主要原材料の価格変動について

 当社グループの主要原材料である段ボール原紙の価格は市況により変化するため、主要原材料の変化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)生産体制の再編成について

 当社グループは、2026年に向けた新・中期経営計画を掲げており、その中で積極的な成長投資を進めていくこととしております。その投資の過程において発生する生産体制、生産設備の見直しおよびM&Aによるのれんの発生などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)海外事業について

 当社グループは、ユーザーの海外生産移管等にともない、中国をはじめ東南アジアに事業展開しております。海外事業に関しましては、リスクを十分に検討したうえで意思決定を行っておりますが、為替変動および進出先の経済的、政治的な変化が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)新規事業等の取り組みについて

 当社グループでは地球環境保全の観点から脱プラスチック社会に向けた新規事業等に取り組んでおります。これらの取り組みが軌道に乗るまでに想定以上の期間を要した場合、または、将来の事業環境等の変化によって、当初の想定どおりの事業規模に至らなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)資金運用について

 当社グループは、有価証券を保有しており、金利動向および株式市場動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)コンプライアンスについて

 当社グループは、各種法令、規制等に違反しないよう、コンプライアンス体制の強化に努めておりますが、業務遂行にあたり不適切な行為、もしくは企業倫理に反する行為等が発生した場合、当社グループの信頼を失うことにより、また、規制当局による措置その他の法的手続きにより業績に影響をおよぼす可能性があります。

(8)情報システムについて

 当社グループは、コンピューターウイルスによる感染または外部からの不正アクセスならびに社内からの情報流出などを可能な限り防止するための仕組みを導入し、コンピューターウイルス対策や情報管理の徹底に努めておりますが、予測不能なシステム運用上のトラブル、不正アクセスまたはコンピューターウイルスへの感染により、システム障害、情報消失および社外への情報流出が発生した場合は生産活動および営業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)地震等の天災および自然災害

 当社グループは、国内外の各地に拠点を設けて事業活動を行っておりますが、その中でも本社が所在する中部地区においては東海・東南海・南海地震の発生のリスクが予測されております。また、他の地域においても地震などの天災だけに限らず、大雨または洪水などの自然災害により、社員、工場、事務所および製造設備などに被害が発生し、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。なお、当社グループではリスク管理のためBCPを策定し、情報システムのハードウェアの複数地域への設置、社員の安否確認システムの整備、被災拠点での操業不能を想定した代替生産拠点の準備など、災害時に被害を受けても早急な復旧および事業活動の継続ができるような取り組みを行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、賃金の増加による所得環境の改善が進み回復基調を維持しつつも不確実性の高い状況が続いた一年となりました。また、個人消費や観光需要は増加したものの、食料品を中心とした物価上昇が消費動向に影響を及ぼしました。さらに、企業業績には原材料の高止まりや人手不足といった構造的な課題も影響しました。海外におきましては米国経済が底堅く推移しましたが、世界的なインフレや不安定な中国経済などにより依然先行き不透明な状況であります。

 このような状況下、当社グループの当連結会計年度における売上高は625億30百万円(前年同期比107.8%)、営業利益17億34百万円(前年同期比89.8%)、経常利益24億89百万円(前年同期比105.5%)および親会社株主に帰属する当期純利益29億87百万円(前年同期比185.9%)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント業績の金額には、セグメント間取引が含まれております。

 

包装材関連事業

 段ボール業界の国内生産動向は、1-12月累計数量(速報値)で前年比98.9%となりました。生産数量が減少した背景は、加工食品分野は前年数量を維持したものの物価上昇にともなう節約志向が全体の需要の伸びに影響を与えたこと、天候不順により青果物向けの出荷が低迷したことなどです。

 このような環境の下、当社グループの国内事業は、販売の数量におきまして、段ボール業界同様に天候不順にともなう青果物の作柄不良の影響などを受け、前年比99.5%となりました。収益におきまして、国内事業は昨年の主原材料価格の値上りに対応して進めた製品価格の改定と経費上昇の抑制に努めた効果があるものの、2024年3月に株式を取得しましたベトナムの軟包装企業であるVietnam TKT Plastic Packaging Joint Stock Companyの買収費用を当期に計上した影響がありました。

 海外事業はベトナムを中心とした販売の回復に加え、Vietnam TKT Plastic Packaging Joint Stock Companyの買収効果があり増収増益となりました。

 以上により、包装材関連事業の売上高は658億55百万円(前年同期比107.3%)、セグメント利益(営業利益)は19億17百万円(前年同期比93.7%)となりました。

 

不動産賃貸事業

 当セグメントにおきましては、商業施設等への土地の賃貸事業またはマンション等建物の賃貸事業を主としております。収入については、契約等に変動がなかったため、前年とほぼ同じ水準となりましたが、収益に関しては、前年において一部の賃貸等不動産の経年に伴う大規模修繕を実施していたことから、売上高は3億60百万円(前年同期比100.3%)、セグメント利益(営業利益)は2億99百万円(前年同期比122.5%)と前年同期比では増収、増益となりました。

 

② 財政状態

 当連結会計年度末における総資産は765億37百万円(前年同期比4.8%増)となりました。流動資産は275億4百万円(前年同期比0.6%減)、固定資産は490億32百万円(前年同期比8.1%増)となりました。

 負債合計は304億90百万円(前年同期比1.2%増)、流動負債は237億27百万円(前年同期比2.6%増)、固定負債は67億63百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

 純資産合計は460億46百万円(前年同期比7.3%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ23億21百万円減少し、39億21百万円となりました。

 これは、営業活動により得られた資金10億74百万円、投資活動により使用した資金40億42百万円および財務活動により得られた資金6億87百万円によるものであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は10億74百万円(前年同期比81.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益44億68百万円および減価償却費19億75百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は40億42百万円(前年同期比18.9%増)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出31億86百万円および有形固定資産の取得による支出21億78百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は6億87百万円(前年同期は6億66百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の増加18億93百万円、長期借入金の返済5億71百万円および配当金の支払5億95百万円などによるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

61,956,083

108.1

不動産賃貸事業

合計

61,956,083

108.1

(注)1 セグメント間取引は消去しております。

2 金額は販売価額により算出しております。

 

b) 受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

61,996,376

107.0

1,728,746

89.2

不動産賃貸事業

合計

61,996,376

107.0

1,728,746

89.2

(注)1 セグメント間取引は消去しております。

2 金額は販売価額により算出しております。

 

c) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

包装材関連事業

62,206,642

107.8

不動産賃貸事業

323,897

100.3

合計

62,530,539

107.8

(注) セグメント間取引は消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

① 財政状態の分析

a) 資産の部

 当連結会計年度末における総資産は765億37百万円(前年同期比4.8%増)となりました。流動資産は275億4百万円(前年同期比0.6%減)、固定資産は490億32百万円(前年同期比8.1%増)となりました。

 流動資産の減少の主な要因は、受取手形および売掛金が10億46百万円増加した一方で、現金及び預金が23億21百万円減少したことなどによるものであります。

 固定資産の増加の主な要因は、2024年3月にVietnam TKT Plastic Packaging Joint Stock Companyの株式を取得したことでのれんを計上したことなどにより無形固定資産が23億52百万円増加したこと、および中国の子会社の収用にともなう工場移転により、固定資産を取得したことなどで有形固定資産が8億30百万円増加したことなどによるものであります。

 

b) 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は304億90百万円(前年同期比1.2%増)、流動負債は237億27百万円(前年同期比2.6%増)、固定負債は67億63百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

 流動負債の増加の主な要因は、下請事業者に対する支払サイトの短縮などにより電子記録債務が14億29百万円減少したものの、Vietnam TKT Plastic Packaging Joint Stock Companyの株式取得代金の調達などにより短期借入金が26億90百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債の減少の主な要因は、長期借入金3億88百万円を返済したことなどによるものであります。

c) 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は460億46百万円(前年同期比7.3%増)となりました。

 純資産合計の増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を29億87百万円計上したことなどによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の58.6%から59.9%となり、1株当たり純資産額は4,305.43円から4,606.87円となりました。

 

② 経営成績の分析

a) 売上高

 売上高は、2024年3月8日に株式を取得したVietnam TKT Plastic Packaging Joint Stock Companyの2024年4月1日からの売上高を含めたことなどにより、前連結会計年度に比べ45億4百万円増加し625億30百万円となりました。

b) 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、材料価格等の値上がりだけでなく、動燃料費等が高騰していることのほか労務費が増加したことなどにともない、前連結会計年度に比べ32億2百万円増加し506億50百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、運搬費の上昇に加え、人件費が増加したことなどにともない、前連結会計年度に比べ14億98百万円増加し101億44百万円となりました。

c) 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度に比べ1億96百万円減少し17億34百万円の営業利益の計上となり、売上高に対する営業利益の比率は前連結会計年度の3.3%から2.8%となりました。

d) 営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度の4億28百万円の利益(純額)から7億54百万円の利益(純額)となりました。

e) 経常利益

 経常利益は、前連結会計年度に比べ1億28百万円増加し24億89百万円の経常利益の計上となり、売上高に対する経常利益の比率は前連結会計年度の4.1%から4.0%となりました。

f) 特別損益

 特別損益は、前連結会計年度の0百万円の利益(純額)から19億79百万円の利益(純額)となりました。

g) 親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ13億80百万円増加し29億87百万円の計上となりました。売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は前連結会計年度の2.8%から4.8%となりました。

 なお、1株当たり当期純利益金額については前連結会計年度の161.65円から300.19円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ23億21百万円減少し39億21百万円となりました。

 営業活動においては、前連結会計年度に比べ47億8百万円収入が減少し、10億74百万円の収入となりました。これは、下請事業者に対する支払サイトの短縮などにより前連結会計年度と比較して仕入債務が減少したことなどによるものであります。

 投資活動においては、前連結会計年度に比べ6億42百万円支出が増加し、40億42百万円の支出となりました。これは、前連結会計年度よりも有形固定資産の取得による支出が減少しましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 財務活動においては、前連結会計年度に比べ13億53百万円支出が減少し、6億87百万円の収入となりました。これは、前連結会計年度よりも配当金の支払いによる支出が増加しましたが、短期借入による収入が増加したことなどによるものであります。

 財政状態およびキャッシュ・フローの状況に関する主な経営指標は次のとおりであります。

 

2023年12月期

2024年12月期

流動比率(%)

119.7

115.9

固定比率(%)

105.7

106.5

自己資本比率(%)

58.6

59.9

時価ベースの自己資本比率(%)

20.3

23.5

債務償還年数(年)

0.2

3.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

83.5

6.5

(注)上記各指標の算出方法は次のとおりであります。

流動比率=流動資産合計÷流動負債合計

固定比率=固定資産合計÷純資産合計

自己資本比率=自己資本÷総資産

 なお、自己資本は「純資産額合計-新株予約権-非支配株主持分」により算出しております。

時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

債務償還年数=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い

 なお、株式時価総額は、期末株価×(期末発行済株式総数-期末自己株式数)により算出しており、営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。また、各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、段ボールを製造するために必要な原紙などの材料または商品の購入費用のほか、製造原価、販売費及び一般管理費などの営業費用であり、投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものであります。

 当社グループでは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金などの長期運転資金の調達につきましては自己資金および金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は35億66百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は39億21百万円であります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループにおける研究開発活動は、主として提出会社の開発部門が行っており、サステナビリティ方針の「人に、モノに、地球にやさしいパッケージ」を提供し続けることを目指しております。「地球環境負荷の少ない容器包装資材の開発=3R活動、プラから紙化」と「社会構造の変化に適合し、多くの人に識別しやすく使いやすいパッケージの開発=ユニバーサルデザイン」更に「内容品の価値を高める包装・デザイン」をテーマに、新製品・応用技術の組み合わせによる開発と海外子会社を含むグループの営業支援活動に取り組んでまいりました。

 当連結会計年度の主な研究開発概要とその成果は、次のとおりであります。

(包装材関連事業)

(1)段ボール部門

① 省資源包装

 段ボールの省資源包装のため軽量化設計に取り組んでおり、段ボールの薄物化の推進をしております。また、当社保有のノウハウを活用した構造設計技術により、包装資材の小型化及び強度アップによる薄物化も実現させており、適正包装化の取り組みを推進しております。加えて、内容品の配置を見直しパッケージの完成寸法を小さくし積載効率を向上させ、物流改善と環境負荷低減の提案を継続して行っております。

 

② 機能性段ボールの開発

 少子高齢化にともなう就労人口減少や、人材の多様化に対応するための包装・梱包が求められております。作業負荷低減に向けたシェルフレディパッケージ(即棚陳列)の企画および形状考案に取り組み、外装箱兼陳列トレイを開発、販売しております。

 その他に、手に優しい持ちやすい箱、引っ張っても破れにくい手掛けの開発や防災およびイベント用品向けに防炎性能のある段ボールの開発にも取り組んでおります。

 また、紙素材への置換による脱プラやCO2削減に貢献できる、段ボール製品の開発にも取り組んでおります。

 このように多くの地球環境負荷が少なくユーザービリティ―に配慮した包装・梱包の開発改善に取り組みました。

 当部門に係る研究開発費は1億48百万円であります。

 

(2)印刷紙器部門および軟包装材部門

 印刷紙器部門におきましては、ギフト箱の内容品の配列を見直すことにより強度を保ちながら内材を省略し、プラスチック材料を紙製品に置き換えることで、環境保全につながる提案をしております。

 また、顧客の販売促進につながるデザイン提案を中心に、中食需要に対応した持ち帰り用のパッケージをプラスチックから紙製素材へ切り替えることで環境対応にも継続して取り組みました。

 また、軟包装材部門におきましては、調理機能を付加した袋の開発、プラスチック使用量減を目的としたバイオマス素材、リサイクル素材や紙製素材を活用したパッケージの開発および食品ロス低減のため中身の取出しやすさ等、使いやすさ向上を目的とした包材の開発に取り組みました。高付加価値商品として、温度で色が変わる機能性インクを使ったレトルト袋も製造しております。

 当部門に係る研究開発費は40百万円であります。

 

(3)その他部門

① 災害時対応

 近年、災害時の避難所で使用される段ボールベットなどの防災対策商品のニーズが高まっており、当社が開発した備蓄用段ボールベットを大学・医療機関の研究・教育活動に提供し、また各自治体との防災協定締結を進めると同時に展示会へ出展して啓蒙活動に取り組んでおります。その他に簡易トイレ、椅子等の開発も進めております。

 

② 紙製容器(パルプモールド他)

 海洋プラスチックごみ問題を受けて、「プラから紙への転換」が加速し、パルプモールドは象徴的な紙製容器として注目されております。長年の設計および生産のノウハウと3Dプリンターを活用した型作り、複数回の衝撃に耐えうる緩衝性を持った角当てや、プラスチック容器に変わる美粧性・耐水機能を合わせ持った紙製容器の開発に取り組んでおります。また間伐材の処分時の環境負荷低減を目的としてアップサイクルの仕組みを構築しトイカプセルを開発しました。

 

③ セールスプロモーション

 展示会のブースをオール段ボール化し、紙製の商品展示台や製品見本を開発。量販店の案内板を紙製にすることで、設置期間の短縮と使用後の処分も容易になり高評価を頂いております。

 また、段ボールを素材としたクラフトキットを開発し、弊社のお年賀としての活用や地域のワークショップにて子供たちの創造教育として提供しております。

 

 当部門に係る研究開発費は8百万円であります。

 その結果、当社グループの研究開発費の総額は196百万円であります。

 また、以上の研究開発活動における2024年度の工業所有権の申請は5件であります。