【連結財務諸表注記】
1.報告企業
三井海洋開発株式会社(以下「当社」という。)は、日本に所在する株式会社であります。当社の連結財務諸表は、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)、並びに当社グループの関連会社及び共同支配の取決めに対する持分から構成されております。当社グループの主な事業内容は、FPSO、FSO及びTLPといった浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計・建造・据付、販売、リース、チャーター及びオペレーションであります。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、同第312条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
本連結財務諸表は、2025年3月27日に当社代表取締役社長 宮田裕彦及び当社取締役常務執行役員 鈴木亮によって承認されております。
当社グループの連結財務諸表は、「3.重要性がある会計方針」に記載のとおり、公正価値で測定する金融商品及び確定給付負債等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である米ドルを表示通貨としており、千米ドル未満の端数は切り捨てております。
この連結財務諸表を作成する際に、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額、及び報告期間の末日における偶発負債の開示に影響を及ぼす会計上の重要な判断、見積り及び仮定の設定を行っておりますが、実績がこれらの見積りとは異なることがあります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直し、見直しによる影響は、見直しを行った期間又はそれ以降の期間において認識しております。
会計方針の適用に際して行った当社グループの連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える判断、見積り及び仮定に関する情報は、以下のとおりであります。
・連結の範囲(「3.重要性がある会計方針 (1)連結の基礎」)
・収益認識(「3.重要性がある会計方針 (14)顧客との契約から生じる収益」)
当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある判断及び見積りとその仮定等は、以下のとおりであります。
・収益認識(「3.重要性がある会計方針 (14)顧客との契約から生じる収益」)
・引当金の測定(「3.重要性がある会計方針 (12)引当金」)
・繰延税金資産の回収可能性(「3.重要性がある会計方針(17)法人所得税」)
・金融商品の公正価値(「3. 重要性がある会計方針(4)金融商品」)
・非金融資産の減損テストにおける回収可能価額(「3.重要性がある会計方針(9)非金融資産の減損」)
・確定給付負債の数理計算上の仮定(「3.重要性がある会計方針(10)従業員給付」)
・リースの識別及びリース期間の決定(「3. 重要性がある会計方針(8)リース」)
・新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症の流行期間中に建造されたプロジェクトにおいて、スケジュール全体の進捗に影響を及ぼす状況が発生しました。当連結会計年度末において、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響によるプロジェクトの遅延は契約及び法令に照らして不可抗力事由に相当すると考えており、会計上の見積りを行うにあたり、当該遅延にかかるペナルティーは見込んでおりません。しかし、今後の客先との交渉結果もしくは調停の結果によっては、ペナルティーの負担が生じる可能性があります。
IAS第1号「負債の流動または非流動への分類及び特約条項付きの非流動負債」の改訂
当社グループは、当連結会計年度より2020年1月23日及び2022年10月31日に公表された「負債の流動または非流動への分類及び特約条項付きの非流動負債」の改訂を適用しております。
これらの改訂は、負債が流動負債か非流動負債かの判断に関する規定を明確にすることを目的としており、将来の特約条項の対象となる非流動負債について新たな開示を求めるものであります。
なお、注記「15. 社債及び借入金 (3) 特約条項付きの非流動負債」の記載を除き、当社グループの連結財務諸表に重要な影響はありません。
3.重要性がある会計方針
子会社とは、当社グループが支配を有する事業体をいいます。当社グループは、ある事業体への関与により生じる変動リターンに対するリスク又は権利を有し、かつ当該事業体に対するパワーを通じてその変動リターンに影響を及ぼす能力がある場合に、当該事業体を支配していると判断しております。
子会社はすべて、取得日すなわち当社が支配を獲得した日から、当社が支配を喪失する日まで連結しております。
子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しております。従来の子会社に対する持分を保持する場合には、その持分は支配喪失日の公正価値で測定しております。当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない事業体をいいます。
共同支配企業とは、契約上の取決めにより当社グループを含む複数の当事者が共同して支配をしており、その活動に関連する財務上及び営業上の決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要としており、かつ、当社グループが当該取決めの純資産に対する権利を有している企業をいいます。
当社グループは、関連会社及び共同支配企業への投資について、持分法を用いて評価しております。(以下「持分法適用会社」)
連結財務諸表には、重要な影響力又は共同支配を獲得した日から喪失するまでの持分法適用会社の純損益及びその他の包括利益の変動に対する当社グループの持分を含めております。
持分法適用会社に対する投資は、取引コストを含む原価で認識しております。当社の投資には、取得時に認識したのれん相当額を含めております。また、重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの持分法適用会社の純損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、持分法適用会社に対する投資額の変動として認識しております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、投資先に対する当社グループの持分から控除し、未実現利益の消去額が投資先の持分を超過する場合は繰延利益としてその他の非流動負債に計上しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法により投資に加算しております。
持分法適用会社の損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合は、投資の帳簿価額をゼロまで減額しております。それ以上の損失については、持分法適用会社で生じる損失について当社グループが法的に負担する、あるいは負担すると推定される金額を、貸付金など実質的に投資に該当する残高が存在する場合は、当該残高から控除し、当該残高を超過する金額を持分法適用に伴う負債として計上しております。
持分法適用会社に関するのれんは投資の帳簿価額に含めており、償却しておりません。持分法適用会社に対する投資について減損している可能性が示唆されている場合において減損の評価を行っております。当社グループは、RANG DONG MV17 B.V.、OPPORTUNITY MV18 B.V.、GAS OPPORTUNITY MV20 B.V.、SHAPE PTE. LTD. 及びSHAPE BRASIL SOLUCOES DIGITAIS LTDA.の5社に対して50%超の議決権を有しておりますが、他の出資者との間で締結した契約上の取決めにより共同支配が存在し、かつ、当該取決めの純資産に対する権利を有していると評価できることから共同支配企業として分類しております。
企業結合は、取得法に基づき会計処理をしております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社グループが発行する資本持分の取得日公正価値の合計として測定しております。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、その超過額をのれんとして認識しております。下回る場合には、純損益として認識しております。取得に直接起因する取得費用は、発生時に費用として処理し、被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日の公正価値で認識しております。支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引としており、のれんは認識しておりません。
企業結合の前後で同一の当事者により最終的に支配され、かつその支配が一時的でない場合の企業結合を共通支配下における企業結合といいます。当社グループは、そのような企業結合を原則として帳簿価額に基づき会計処理しております。
(3) 外貨換算
資本取引を含む外貨建取引は、取引日における為替レートで機能通貨に換算しております。報告期間の末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、報告期間の末日の為替レートで機能通貨に換算し、換算差額は純損益として認識しております。ただし、発生する損益がその他の包括利益で認識される資産及び負債に関してはそれらから生じる換算差額はその他の包括利益に認識しております。取得原価で測定する外貨建非貨幣性資産及び負債は、取引日の為替レートで機能通貨に換算しております。
在外営業活動体の資産及び負債は報告期間の末日の為替レートにより、収益及び費用は取引日レートにより当社グループの表示通貨である米ドルに換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算により発生する換算差額は、その他の包括利益として認識し、その累計額はその他の資本の構成要素に認識しております。
在外営業活動体の一部又はすべてを処分し、支配、重要な影響力又は共同支配を喪失する場合には、その在外営業活動体に関連する換算差額の累積金額を、処分に係る利得又は損失の一部として純損益に組み替えております。当社グループが、子会社の持分を部分的に処分するが、支配は保持する場合、累積金額の一部は適宜非支配持分に再配分しております。当社グループが、重要な影響力を保持する一方で、関連会社又は共同支配企業を部分的にのみ処分する場合には、累積金額の一部を適宜純損益に組み替えております。
認識:
デリバティブ商品を含む金融資産及び金融負債は、当社グループが契約の当事者となった取引日に当初認識しております。
金融資産の売買については、取引日において、認識又は認識の中止を行っております。
認識の中止:
当社グループは、以下の場合に金融資産の認識を中止しております。
(a) キャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する。
(b) キャッシュ・フローに対する契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値が実質的に移転する。
当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産と関連する負債を認識しております。
金融負債は、契約上の義務が免責、取り消し又は失効した時点で認識を中止しております。
金融資産:
当社グループは、金融資産を以下の要件に基づき、償却原価で測定する、純損益を通じて公正価値で測定する(FVTPL)又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する(FVTOCI)金融資産に分類し、当初認識時にその分類を決定しております。
(a) 金融資産を保有する事業モデル
(b) 金融資産の契約上のキャッシュ・フロー特性
以下の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
(a) 契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産を保有している。
(b) 金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産に分類されない金融資産は、FVTPLに分類しております。当社グループがFVTPLに分類する金融資産は、主にデリバティブ資産であります。なお、当社グループは、FVTOCIに分類する金融資産及び売買目的で保有しFVTPLに分類する金融資産は保有しておりません。
金融負債:
FVTPLに分類する金融負債を除き、当社グループは、すべての金融負債を償却原価で測定する金融負債に分類しております。当社グループがFVTPLに分類する金融負債は、デリバティブ負債であります。
当初測定:
FVTPLに分類する金融資産及び金融負債を除き、当社グループは、すべての金融資産及び金融負債を、公正価値に取引コストを加減算した金額で当初測定しております。FVTPLに分類する金融資産及び金融負債は、公正価値で当初認識しております。
なお、重大な金融要素を含んでいない営業債権は、取引価格で当初測定しております。
当初認識後の測定:
償却原価で測定する金融資産及び金融負債は、当初認識後、実効金利法を用いて償却原価で測定しております。利息収益費用、為替差損益及び減損は、純損益に認識しております。認識を中止した時点の金融資産に係る利得又は損失及び金融負債の簿価と支払った対価の差額は、純損益に認識しております。
FVTPLで測定する金融資産及び金融負債は、当初認識後、公正価値で測定しております。
金融保証契約は、以下のいずれか高い方で測定しております。
(a) 下記金融資産の減損に従った損失評価引当金
(b) 当初認識額からIFRS第15号の原則に基づく収益累計額を控除した金額
金融資産の減損:
当社グループは、償却原価で測定する金融資産、契約資産及び金融保証契約に係る予想信用損失に対する損失評価引当金を認識しております。
当社グループは、各報告期間の末日に、金融資産の信用リスクを報告期間の末日時点と当初認識日時点で比較し、金融資産に係る信用リスクの著しい増加の有無を評価しております。金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増加している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定し、著しく増加していない場合には、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
なお、上記にかかわらず、重大な金融要素を含んでいない営業債権及び契約資産については、損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
金融資産に係る損失評価引当金の繰入額及び損失評価引当金を減額する事象が発生した場合の戻入額は、純損益に認識しております。
当社グループは、為替及び金利の変動リスクに対するヘッジを目的として、為替予約及び金利スワップ契約等のデリバティブ取引を利用しております。
当社グループでは、ヘッジ会計の適用に当たってはヘッジ開始時に、ヘッジ関係、リスク管理目的及び戦略について、公式な指定及び文書化を行っております。当該文書にはヘッジ手段の特定、ヘッジの対象となる項目又は取引、ヘッジされるリスクの性質及びヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動に対するエクスポージャーを相殺するに際してのヘッジ手段の有効性の評価方法が含まれております。当社グループは、これらのヘッジについて、ヘッジされたリスクに起因する公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し極めて有効であると見込んでおります。
デリバティブの定義に該当する金融商品は、その契約の当事者となった時点で連結財政状態計算書に公正価値で計上しております。ヘッジ手段となるものを除き、その後の公正価値の変動を純損益で認識しております。ヘッジ手段となるものは、以下のように事後測定しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ:
当社グループは、主にキャッシュ・フロー・ヘッジをヘッジ関係として採用しております。キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段としてデリバティブを指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、その他の包括利益を通じてヘッジ剰余金として認識しております。デリバティブの公正価値の変動のうち非有効部分は、即時に純損益で認識しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー・ヘッジ関係のヘッジ手段として、為替予約の直物要素の公正価値の変動のみを指定しております。為替予約の先渡要素(フォワード・ポイント)の公正価値の変動は、ヘッジのコストとして区分して会計処理し、資本項目のヘッジコスト剰余金として認識しております。
通貨スワップ契約にキャッシュ・フロー・ヘッジを適用する場合には、通貨ベーシス・スプレッドを除く部分をヘッジ手段として指定し、通貨ベーシス・スプレッド部分に関しては、公正価値の変動額をヘッジコストとして、その他の包括利益を通じて、資本項目のヘッジコスト剰余金として認識しております。
ヘッジされた予定取引が、棚卸資産などの非金融項目の取得に係る場合、ヘッジ剰余金及びヘッジコスト剰余金に累積した金額は、非金融項目の当初認識時に当初の帳簿価額の修正として処理しております。
その他のヘッジについては、ヘッジされた将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に、純損益に振り替えております。
ヘッジがヘッジ比率を調整してもなお、ヘッジ会計の適格要件をもはや満たさない、又はヘッジ手段が売却された、失効となった、終了した、又は行使された場合、ヘッジ会計は将来に向かって中止しております。キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ会計が中止された場合、非金融項目の取得に係る取引のヘッジであれば、キャッシ ュ・フロー・ヘッジに累積された金額は、非金融項目の当初の帳簿価額の修正として処理されるまでは資本に計上され続けます。その他のキャッシュ・フロー・ヘッジについては、ヘッジされた将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に純損益に振り替えられるまで資本に計上され続けます。
ヘッジされた将来キャッシュ・フローが発生する可能性がなくなった場合、ヘッジ剰余金及びヘッジコスト剰余金に累積されていた金額は、即時に純損益に振り替えております。なお、ヘッジ剰余金及びヘッジコスト剰余金をあわせてキャッシュ・フロー・ヘッジの有効部分として表示しております。
現金及び現金同等物は、手許資金、随時引き出し可能な預金及び流動性が非常に高く容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
有形固定資産は、原価モデルを適用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、将来の解体、除去及び原状回復費用を含めております。有形固定資産の取得後に発生した支出については、当該支出に関連する将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、当該支出が信頼性をもって測定できる場合に限り、資産として認識しております。修繕及び維持コストは、発生時に費用処理しております。処分により発生する利得及び損失は、処分金額と当該資産の帳簿価額との差額により算出し、純損益に含めております。
有形固定資産は、各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法により減価償却しております。減価償却費は償却可能価額をもとに算定しております。償却可能価額は、資産の取得価額から残存価額を差し引いて算出しております。
見積耐用年数は、以下のとおりであります。
建物附属設備 2年~16年
器具及び備品 2年~20年
機械装置及び運搬具 3年~7年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、各報告期間の末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
無形資産は、原価モデルを適用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で表示しております。無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法により償却しております。
主な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりであります。
ソフトウエア 3年~10年
その他 5年~18年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、各報告期間の末日に見直しを行い、必要に応じて改定しております。
当社グループは、リース契約開始時に対象となる資産は特定されているか、その資産の使用を支配しているかを検討し、リースに該当するか否かを判断しております。
借手としてのリース
当社グループは、リースの開始日に使用権資産及びリース負債を認識しております。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、当初直接コストと原資産の解体及び除去の際に生じるコストを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定しております。
当初認識後、使用権資産は、リースの開始日から使用権資産の耐用年数又はリース期間のいずれか短い期間にわたり、定額法により減価償却しております。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しております。
リース負債は、リースの開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率又はリースの計算利子率が容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しております。当社グループは、一般的に追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債の測定に含めるリース料総額は、以下で構成されております。
・固定リース料
・当社グループが延長オプションを行使することが合理的に確実である場合のオプション期間のリース料及びリースの早期解約に対するペナルティーの支払額(当社グループが早期解約しないことが合理的に確実な場合を除く)
リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しております。毎期の利率は、リース負債の算定にあたりリース料総額を現在価値に割り引いた際の割引率を用いております。リース負債については、リース料の支払いに応じて、リース負債の元本の返済と利息の支払いを計上しております。
延長あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債を再測定しております。このようにリース負債を再測定する場合、対応する使用権資産の帳簿価額を修正し、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には損益として認識しております。
短期リース及び少額資産のリース
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内のリース及び原資産が少額であるリースについて、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
当社グループは、非金融資産に関して、報告期間の末日に減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、個別の資産又は資金生成単位により回収可能価額を見積っております。
個別の資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い金額としております。資金生成単位は、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の識別可能な資産グループであり、個別の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合は、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、固有リスクを反映した上、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いております。
減損損失は、個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に認識しております。
当社グループは、報告期間の末日において過去に認識した減損損失がもはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候が存在するかについて評価を行っております。
確定拠出制度の退職後給付に係る費用は、従業員がサービスを提供した期間に、純損益として認識しております。
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度別に算定しております。割引率は、将来の給付支払までの見込期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した報告期間の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付負債は、確定給付制度債務の現在価値を算定して計上しております。勤務費用及び確定給付負債の利息は、純損益にて認識しております。
確定給付制度債務の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、利益剰余金へ振り替えております。過去勤務費用は、発生時に全額純損益に認識しております。
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。賞与及び年次有給休暇については、当社グループが、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額が信頼性をもって見積ることができる場合にそれらの制度に基づいて支払われると見積られる金額を負債として認識しております。
本制度は、当社が設定した信託において取得した当社普通株式を、当社株式交付規程に従い付与するポイント数に応じ、取締役及び執行役員に交付する株式報酬制度であります。
株式に基づく報酬においては、取締役及び執行役員が当社に対して提供する役務の対価として付与する資本性金融商品の公正価値を純損益として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与する資本性金融商品の公正価値は、当社と対象となる取締役及び執行役員が、株式報酬について合意した日の当社普通株式の市場における取引価格を基礎として決定しております。当社は、制度対象となった取締役及び執行役員による役務の提供に応じて費用を認識し、同時に取締役及び執行役員の株式に基づく報酬を受け取る権利を確定しております。
なお、当連結会計年度より「株価連動報酬規程」に基づいて付与するポイント数に応じて、退任時に付与する金銭支給額を決定する株価連動報酬(パフォーマンスキャッシュ)制度に移行しております。
本制度は、年度毎に役位及び業績に応じた株式ポイントを付与し、退任時に累積株式ポイントに退任時株価を乗じて報酬額を支給する制度であり、支給額の公正価値をその他金融負債として認識し、負債が決済されるまで、当該負債の公正価値の変動を純損益として認識しております。
当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を計上しております。引当金は、貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
保証工事引当金は、製品の引渡後、品質上の瑕疵に該当するような場合に発生する補修費用等の支出に備えるため、当該費用の発生額を見積って計上しております。当該費用は、報告期間の末日から7年以内に発生するものと見込んでおります。
工事損失引当金は、受注契約に係る損失に対するものであります。 個別受注工事において、当該工事の見積総原価が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を信頼性をもって合理的に見積ることができる場合に、将来の損失見込額を工事損失引当金として計上しております。当該引当金は、報告期間の末日から2年以内に取り崩されるものと見込んでおります。
当社グループは、契約による義務を履行するための不可避的な費用が、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を上回る場合、不利な契約に係る引当金を計上しております。不利な契約に係る引当金は、契約を終了させるための費用と契約を続行するための純費用のいずれか小さい方の現在価値で測定しております。不利な契約に係る引当金の認識に際しては、当該契約に関連する資産の減損損失を引当金計上前に認識しております。当該引当金は、報告期間の末日から5年以内に取り崩されるものと見込んでおります。
修繕損失引当金はFPSOの修繕に係る費用に対するものであります。石油生産の終了に伴い当社グループが撤去作業を進めていたFPSOに亀裂が生じ、撤去作業が中断したことから、亀裂箇所の修繕に見込まれる金額を修繕損失引当金として計上しております。
普通株式は資本として分類しております。普通株式の発行に直接関連する追加費用は、税効果考慮後の金額を資本の控除項目として認識しております。
自己株式を取得した場合は、取得原価を資本の控除項目として認識しております。自己株式を処分した場合、受取対価と自己株式の帳簿価額の差額は、資本として認識しております。
当社グループは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の範囲に含まれる取引について、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:契約の識別
ステップ2:履行義務の識別
ステップ3:取引価格の算定
ステップ4:履行義務への取引価格の配分
ステップ5:履行義務の充足による収益の認識
長期の建造工事契約に関して当社グループは、契約で約束した財又はサービスに対する支配を顧客に移転することにより、履行義務を充足するにつれて収益を認識しております。一定の期間にわたり充足する履行義務に関して当社グループは、発生した原価の見積総原価に占める割合により進捗を測定しております。
当社グループは、顧客からの発注により他への転用ができないカスタマイズされた特殊な資産を建造しており、契約期間は数年に及んでおります。当社グループは、これまでに充足した履行義務に対して顧客に支払いを強制できる権利を有する契約に関し、顧客は仕掛中の工事に対する支配を獲得しているとしております。これは、このような契約において資産は顧客の仕様に基づいたものであり、顧客が顧客事由により契約を解除した場合、当社グループは適正な利益を含む履行コストの支払いを受ける権利を有しているという理由によります。
長期の建造工事契約に対する契約の追加及び変更は、通常は元の契約と明確に区別できる財やサービスを付け加えるものではないことから、元の契約の継続として取り扱い、追加及び変更時点における累計の収益を認識しております。
なお、履行義務の結果(すなわち進捗)を合理的に測定できない契約において、履行義務を充足するために発生したコストを回収できると見込む場合は、履行義務の結果を合理的に測定できるようになるまで、発生したコストの範囲でのみ収益を認識しております。
収益は顧客との契約において約束された対価から、顧客との契約に基づくペナルティー等を控除した金額で測定しております。変動性があるペナルティー等を含む変動対価については、合理的に利用可能なすべての情報を用いて対価の金額を見積り、重大な戻入が生じない可能性が非常に高い範囲でのみ売上収益を認識しております。
また、支払いは、契約で取り決められたマイルストーン達成に従い、定められた支払スケジュールに基づいた進捗請求によっております。
請求書の支払期限は、通常30日から60日であり、重大な金融要素は含まれておりません。
建造工事契約に関する保証は、不具合や瑕疵を是正する義務であることから、別個の履行義務ではなく工事契約を構成する一部としております。保証期間は、顧客の受け入れから通常1年から3年であります。
保証額は当社グループのこれまでの履歴及び個別の工事契約の状況に基づいて見積っております。
継続して役務の提供を行うサービス契約であり、原則として、当社グループが契約で約束したサービスに対する義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受することとなるため、一定の期間にわたり充足される履行義務であります。
継続して役務の提供を行うサービス契約に関して当社グループは、顧客の要求に応じたサービスを契約期間にわたって提供していくことから、サービスが提供される期間に対する提供済期間の割合により進捗を測定しております。
定額サービス料契約は、契約で取り決めた1日当たりの定額サービス料を月次単位で収益として計上しております。
コスト・プラス・マークアップ・サービス料契約は、サービスを提供した期間にわたり、発生したコストに契約で取り決めたマークアップを上乗せした金額を収益として認識しております。
建造期間中にサービスの提供がされるオペレーションの準備のための事前業務(プレオペレーションサービス)については、建造工事契約の一部に含まれる場合がありますが、当該プレオペレーションサービスが建造工事とは別個のサービスとして区分される場合、建造工事とは別個の履行義務として収益を認識しております。また収益認識にあたっては、発生した原価の見積総原価に占める割合により進捗を測定し、その割合で収益を認識しております。
収益は顧客との契約において約束された対価から、顧客との契約に基づくペナルティー等を控除した金額で測定しております。変動性があるペナルティー等を含む変動対価については、合理的に利用可能なすべての情報を用いて対価の金額を見積り、重大な戻入が生じない可能性が非常に高い範囲でのみ売上収益を認識しております。
業績ボーナスは受け取りがほぼ確実で、収益の重大な戻入れが見込まれない可能性が非常に高い場合に認識しております。
また、サービス料の支払期日は、通常は顧客が請求書を受け取った日から30日であり、重大な金融要素は含まれておりません。
顧客に返金すると見込んでいる対価は、返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績などに基づく最頻値法を用いております。
当社グループの履行義務が、顧客に他の当事者によるサービスの提供を手配することである場合、当社グループは契約上の売先又は買先の代理人であることから、手配完了時に一時点で充足される履行義務として、収益をサービスの対価と他の当事者に支払う対価の純額で認識しております。
契約を獲得するためのコスト及び契約の履行に係るコストは、資産化の要件を満たす場合を除き、発生時に費用処理しております。
資産化の要件を満たす場合は、資産として計上し、当該資産に関連する財又はサービスの顧客への移転に即した方法で償却しております。
契約資産は、当社グループが履行した建造工事及びサービスに係る権利に関し、未請求でかつ、時の経過以外の条件が満たされていないものであります。
契約負債は、主に顧客から受け取った前受金であります。
契約資産及び契約負債は、各契約単位で連結財政状態計算書に表示しております。
金融収益は、受取利息、受取配当金、デリバティブ利益、為替差益、損失評価引当金戻入等から構成されております。金融費用は、支払利息、デリバティブ損失、為替差損、損失評価引当金繰入額等から構成されております。受取利息、支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金を受け取ることが確定した時点で公正価値で認識しております。
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、その他の包括利益で認識される項目、資本に直接認識される項目及び企業結合によって認識される項目を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、当期の課税所得に、報告期間の末日時点において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定しております。
繰延税金は、資産及び負債の財務諸表上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異について認識しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の場合には、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・企業結合以外の取引で、かつ会計上の利益又は税務上の課税所得のいずれにも影響を及ぼさない取引における資産又は負債の当初認識
・予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合の子会社、関連会社及び共同支配に対する投資に係る差異
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
繰延税金は、一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産・負債は、当期税金資産・負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ法人所得税が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しております。
法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税務上の解釈に基づき還付又は納付が発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しております。
当社グループは、改訂IAS第12号を適用しており、グローバル・ミニマム課税に係る繰延税金の認識及び関連する情報の開示を行っておりません。
基本的1株当たり利益は、親会社の所有者に帰属する利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり利益は、上記加重平均株式数にすべての希薄化効果を有する潜在的普通株式の影響を調整し算定しております。
(19) 未適用の会計基準
連結財務諸表の承認日までに新設又は改定が行われた主な公表済基準及び解釈指針のうち、当連結会計年度末において当社が適用していない主なものは以下のとおりであります。
なお、この適用による連結財務諸表への影響は検討中であります。
4.セグメント情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は、「23.売上収益」に記載しております。
地域別の外部顧客への売上収益は、以下のとおりであります。
(注)1 売上収益は製品及びサービスの最終提供地を基礎として分類しております。
2 該当年度においては重要性が低いため、記載を省略しております。
地域別の非流動資産の帳簿価額は、以下のとおりであります。
(注)1 金融資産(持分法適用会社に対する投資を除く)、繰延税金資産及び保険契約から生じる権利を除いた非流動資産の帳簿価額であります。
2 該当年度においては重要性が低いため、記載を省略しております。
売上収益の10%以上を占める顧客は、以下のとおりであります。
(注) 該当年度においては記載対象ではないため、記載を省略しております。
5.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、以下のとおりであります。
(注)1 現金及び現金同等物は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
2 連結財政状態計算書における「現金及び現金同等物」の残高は、連結キャッシュ・フロー計算書における「現金及び現金同等物」の残高と一致しております。
6.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権は、以下のとおりであります。
(注)1 営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
2 当連結会計年度末における残高のうち、報告期間後12か月より後に回収が見込まれる金額は21,864千米ドルであります。
7.有形固定資産
有形固定資産及び使用権資産の帳簿価額は、以下のとおりであります。
使用権資産を除く有形固定資産の取得原価及び減価償却累計額の増減、並びに帳簿価額は、以下のとおりであります。
(注) 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
8.無形資産
無形資産の取得原価及び減価償却累計額の増減、並びに帳簿価額は、以下のとおりであります。
(注) 1 耐用年数を確定できない重要な無形資産はありません。
2 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
9.リース
当社グループは、オフィスとして建物を賃借しております。典型的なオフィスの賃貸借契約の期間は3~12年であり、契約期間終了後に一定期間の賃貸借契約を延長するオプション及び契約期間内に解約するオプションが含まれており、また契約期間内の賃料改定条項が含まれている契約があります。
オフィスビルの賃貸借契約には、解約期間終了の1年前まで当社グループが行使可能な延長オプションが付されているものがあります。当社グループは、リース開始日に、契約更新の権利を行使することが合理的に確実であるか否かを評価しております。当社グループは、当社グループがコントロールできる範囲内にある重大な事象の発生又は重大な状況の変化があった時に、当該権利を行使することが合理的に確実であるか否かを見直します。
当社グループは、オフィス以外にIT機器等をリースしており、リース期間は1~7年であります。
IT機器等のリースには短期リース及び少額資産のリースが含まれており、そのようなリースについては使用権資産とリース負債を認識しておりません。
使用権資産の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:千米ドル)
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度における使用権資産の増加額は、11,106千米ドル及び41,702千米ドルであります。
リースに関連する費用及びキャッシュ・アウトフローは、以下のとおりであります。
(単位:千米ドル)
リース負債の期日別残高は、「29.金融商品 (4) 流動性リスク」に記載のとおりであります。
10.持分法で会計処理されている投資
持分法適用会社に対する投資は、以下のとおりであります。
持分法による投資損益は、以下のとおりであります。
持分法によるその他の包括利益は、以下のとおりであります。
① 重要な関連会社
BUZIOS5 MV32 B.V.及びMarlim1 MV33 B.V.については、当社の連結財務諸表に対する重要性が高いため、要約財務諸表及び同社に対する当社グループの持分の帳簿価格との調整額を開示しております。なお、両社とも非上場会社であるため、同社に対する投資には市場価格はありません。要約財務諸表は、当社グループへの連結報告目的で作成されたものであり、所在地において法定監査を経たものではありません。
BUZIOS5 MV32 B.V.
BUZIOS5 MV32 B.V.の要約財務諸表と、投資の帳簿価額との調整表は以下のとおりであります。
Marlim1 MV33 B.V.
Marlim1 MV33 B.V.の要約財務諸表と、投資の帳簿価額との調整表は以下のとおりであります。
② 個々に重要性のない関連会社
個々に重要性のない関連会社に対する関与の帳簿価額及び当社グループの持分は、以下のとおりであります。
(3) 共同支配企業
個々に重要性のない共同支配企業に対する関与の帳簿価額及び当社グループの持分は、以下のとおりであります。
11.貸付金
貸付金は、以下のとおりであります。
12.その他の金融資産
その他の金融資産は、以下のとおりであります。
13.その他の資産
その他の資産は、以下のとおりであります。
14.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務は、以下のとおりであります。
(注) 営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
15.社債及び借入金
当連結会計年度における「1年内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」の加重平均利率は、それぞれ6.8%であります。「長期借入金」の返済期限は2026年であります。
当社グループを借入人とする借入契約及び社債については財務制限条項が付されております。そのうち非流動負債に係る借入契約及び社債並びにこれらの当連結会計年度末時点における借入残高及び当該契約に係る財務制限条項は、以下のとおりであります。
なお、当社グループは、当連結会計年度末時点において、当該契約に係る財務制限条項に抵触しておらず、また来期も抵触する見込みはないことから、借入残高を非流動負債として分類しております。
1. タームローン契約
借入残高:24,000千米ドル
① 各四半期末における連結財政状態計算書の資本の額について、前年12月末時点の75%を下回らないこと及び2014年12月末時点の75%を下回らないこと。
② 各会計年度末における連結損益計算書の税前利益及び当期利益を2期連続で赤字としないこと。
③ 各四半期末において、調整後連結EBITDAを連結支払利息の3倍以上とすること。
④ 各半期末において、有利子負債が利息及び配当の受取額の4.5倍を超えないこと。
⑤ 各会計年度末において、現金及び現金同等物の金額及び未使用のコミットメントライン残高の合計を160,000千米ドル以上とすること。
2. シンジケートローン契約
借入残高:16,076千米ドル
① 各四半期末における連結財政状態計算書の資本及び貸借対照表の純資産の額について、2021年12月末時点または前年12月末時点のうち、いずれか高い方の金額の75%以上を維持すること。
② 各会計年度末における連結損益計算書の税前利益及び当期利益を2期連続で赤字としないこと。
3. 米国社債
借入残高:418,808千米ドル
① 各四半期末における連結財政状態計算書の資本の額について、688,514千米ドルを下回らないこと。
② 各会計年度末における連結損益計算書の税前利益及び当期利益を2期連続で赤字としないこと。
③ 各四半期末において、調整後連結EBITDAを連結支払利息の3倍以上とすること。
④ 各半期末において、連結負債合計が利息及び配当等の受取額の4倍を超えないこと。
⑤ 各会計年度末において、現金及び現金同等物の金額及び未使用のコミットメントライン残高の合計を160,000千米ドル以上とすること。
16.従業員給付
当社グループは、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の退職給付制度を採用しております。
当社グループでは、確定給付型の退職給付制度として主に退職一時金制度を採用しております。退職一時金制度は、原資について外部積立てを行わず、従業員が定年や自己都合で退職する際に、一時金として支払う制度であります。加えて、当社グループは、確定拠出年金制度を設けております。
(注) 確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前連結会計年度末は10.9年、当連結会計年度末は11.0年であります。
主な数理計算上の仮定は、以下のとおりであります。
(注) 数理計算上の仮定には上記以外に、予定昇給率、死亡率及び予定退職率が含まれております。
割引率の変化が各年度における確定給付制度債務に与える感応度は、以下のとおりであります。
この分析は、他のすべての変数が一定であると仮定しております。プラスは確定給付制度債務の増加を、マイナスは減少を表しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における確定拠出型年金制度の拠出額は、14,175千米ドル及び11,333千米ドルであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書に含まれる従業員給付費用は、864,921千米ドル及び896,982千米ドルであります。従業員給付費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
17.株式に基づく報酬
本制度は、当社が金銭を信託して設定した子会社である信託において取得した当社普通株式を、当社株式交付規程に従い付与するポイント数に応じ取締役及び執行役員に交付する株式報酬制度であります。なお、2024年3月27日より下記②の制度に移行しております。
従来採用していた持分決裁型の株式報酬制度に代えて、2024年3月27日より株価連動報酬制度を採用しております。本制度は、当社役員向け株価連動報酬規程に従い付与するポイント数に退任時の当社の株価に乗じ、取締役及び執行役員に支給する現金決済型の株式報酬制度であります。
期中に付与した株式交付ポイントの公正価値は観察可能な市場価格を基礎として測定しております。公正価値測定において予想配当は、市場価格から控除しております。前連結会計年度及び当連結会計年度に付与したポイントの加重平均公正価値は、10.43米ドル及び10.45米ドルであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度において株式に基づく報酬取引に係る費用は、以下のとおりであります。当該費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
(注)当連結会計年度における現金決済型株式報酬取引から生じた負債の帳簿価額は、680千米ドルであります。
18.引当金
引当金の増減は、以下のとおりであります。
(注)1 その他は、訴訟損失引当金及び資産除去債務に係るものであります。
2 時の経過に伴う調整額は、重要性が乏しいため期中増加額に含めております。
19.その他の金融負債
その他の金融負債は、以下のとおりであります。
20.その他の負債
その他の負債は、以下のとおりであります。
(注) 顧客から受け取った対価のうち、顧客に支払われると見込まれるペナルティーを返金負債として認識しております。返金負債の見積りは、過去の実績及び報告期間の末日において入手可能な情報に基づき行っております。
21.資本及びその他の資本項目
前連結会計年度及び当連結会計年度における授権株式数は、普通株式102,868,000株であります。
(注)1 当社の発行する株式はすべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であり、発行済株式は全額払込済みであります。
2 前連結会計年度における発行済株式数の増減は、第三者割当増資による増加11,937,300株であります。
3 前連結会計年度における資本金の増減は、株式の発行及び減資によるものであります。
4 前連結会計年度における資本剰余金の増減は、株式の発行、減資及び株式報酬取引による増加並びに資本剰余金から利益剰余金への振替によるものであります。
5 当連結会計年度における資本剰余金の増減は、株式報酬取引による増加及び支配の変動を伴わない非支配持分の取得によるものであります。
自己株式数及び金額の増減は、以下のとおりであります。
(注) 当連結会計年度の自己株式の増加は、単元未満株式の買取りによるものであります。
日本における会社法では、資本性金融商品の発行に対しての払込み又は給付金額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金に組み入れることが規定されております。
資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
利益剰余金は、当期及び過年度に純損益として認識されたもの及びその他の包括利益から振り替えられたものからなります。
会社法では、利益剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。利益準備金は株主総会の決議により、取り崩すことができます。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成した当社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定しております。
会社法は分配可能額の算定にあたり一定の制限を設けております。当社はその範囲内で利益剰余金の分配を行っております。
22.配当金
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 配当金の総額には、両決議とも「役員向け株式報酬制度」に係る信託が保有する当社株式に対する配当金が、2024年3月27日の定時株主総会決議では744千円、2024年8月8日の取締役会決議では1,116千円が含まれております。
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 2024年3月27日の定時株主総会決議の配当金の総額は、「役員向け株式報酬制度」に係る信託が保有する当社株式に対する配当金744千円を含んでおります。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 2025年3月27日の定時株主総会決議の配当金の総額は、「役員向け株式報酬制度」に係る信託が保有する当社株式に対する配当金1,861千円を含んでおります。
23.売上収益
当社グループは、主に浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一事業分野において事業活動を行っており、売上収益の分解は以下のとおりであります。当社グループの売上収益はすべて顧客との契約から生じたものであり、契約で約束した対価の金額に重大な金融要素は含まれておりません。前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、返金負債残高から振り替えられた金額に重要性はありません。
(注) 主な地域別収益の分解は「4.セグメント情報」に注記しております。
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債に関する情報は、以下のとおりであります。
契約資産は、主に一定の期間にわたり履行義務が充足される契約において、収益を認識した対価のうち、未請求部分に関するものであります。当社グループにおいては、主に建造工事及びオペレーションサービスに関して報告期間の末日で完了している作業対価であります。契約資産は権利が無条件になった時点で債権に振り替えております。これは通常、顧客に対して請求書を発行した時点であります。契約負債は、主に信用リスク管理の観点から、製品の引渡前に顧客から受け取った対価に関するものであります。
契約資産の増減は、主に収益認識(契約資産の増加)と営業債権への振替(同、減少)により生じたものであります。
契約負債の増減は、主に前受金の受取り(契約負債の増加)と収益認識(同、減少)により生じたものであります。
前連結会計年度に認識した収益のうち、期首時点の契約負債残高に含まれていた金額は、423,113千米ドルであり ます。また、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の金額は、430,820千米ドルであります。当連結会計年度に認識した収益のうち、期首時点の契約負債残高に含まれていた金額は、519,009千米ドルであります。また、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の金額は、129,581千米ドルであります。
残存履行義務に配分した充足期間別の取引価格は、以下のとおりであります。取引価格には、変動対価の金額の見積りは含めておりません。また、実務上の便法を使用していることから、以下の金額には予想契約期間が1年以内の取引は含めておりません。
(注) 1年超に配分した残存履行義務の充足期間は、各連結会計年度末から起算して、概ね以下の期間内に完了し、収益として認識される見込みであります。
・建造工事: 4年以内
・オペレーション:25年以内
(4) 顧客との契約の履行のためのコストから認識した資産
当社グループは、顧客との契約の履行に直接関連するコストのうち、将来回収可能と見込まれる部分について資産として認識しており、連結財政状態計算書上「その他の流動資産」及び「その他の非流動資産」に計上しております。
当社グループが資産計上している契約履行コストは、主にオペレーション契約における将来の履行義務を充足するためのセットアップコスト等であり、サービス料として回収が見込まれているものであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、契約履行のために生じたコストから認識した資産に係る償却費は、21,916千米ドル及び16,577千米ドルであります。
24.費用の性質別内訳
売上原価は、以下のとおりであります。
販売費及び一般管理費は、以下のとおりであります。
25.金融収益及び金融費用
26.法人所得税
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注)1 純損益で認識した額の繰延税金資産(負債)の純額と、「(2) 法人所得税 ① 純損益で認識される法人所得税」に記載の繰延税金費用合計との差額は、為替の変動等によるものであります。
2 前連結会計年度において繰延税金負債の「その他」として表示しておりました「関連会社株式簿価差額」は、金額的重要性が増したことから当連結会計年度より独立掲記しております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の注記の組替を行っております。
以下の項目については、当社グループがその便益を利用するために必要となる将来の課税所得が生じる可能性が高くないことから、繰延税金資産を認識しておりません。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は、以下のとおりであります。
繰延税金負債として認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ3,501千米ドル、2,699千米ドルであります。これは、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いためであります。
従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益のうち、当期税金費用の減額の為に使用した額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ18,326千米ドル、45,055千米ドルであり、これらは当期税金費用に含めております。
従前は未認識であった税務上の欠損金、税額控除又は過去の期間の一時差異から生じた便益のうち、繰延税金費用の減額の為に使用した額は、当連結会計年度において42,794千米ドルであり、繰延税金費用に含めております。
実際負担税率は、税引前利益に対する法人所得税費用の負担割合であります。
(注) 当社は日本における法人税、住民税及び事業税に基づき、法定実効税率を算出しております。
子会社については、その所在地における法人税等が課されております。
当社グループは、グローバル・ミニマム課税制度を制定した法域において事業を展開しております。
当社が所在する日本において、グローバル・ミニマム課税制度を導入する「所得税法等の一部を改正する法律」(2023年法律第3号)が2023年3月28日に成立しました。
当社グループにおいてグローバル・ミニマム課税制度は、2025年1月1日に開始する連結会計年度から適用されるため、当連結会計年度の法人所得税への影響はありません。
また、当社グループは、2024年12月31日までの連結財務諸表作成の一環で決定された利益及び税金費用を基礎として、法令の適用にあたり要求される一定の調整を考慮して、グローバル・ミニマム課税制度が適用された場合の影響を評価しております。
この評価の結果、当社グループが事業を展開する法域のうち、一部の法域において、追加の法人所得税が発生する可能性があるものの、ほとんどの法域において、追加の法人所得税の発生が見込まれないため、当社グループの業績に与える影響は軽微であると合理的に見積もっております。
当社の連結子会社であるMODEC MANAGEMENT SERVICES PTE.LTD.社、持分法適用会社であるT.E.N.GHANA MV25 B.V.の2社は、ガーナ税務当局による2019年から2021年を対象とした税務調査の結果、追加課税を通知する文書を2024年7月に受領しております。しかしながら、当社グループでは、指摘を受けた2社は現地税法に従って適正に申告を行っていると考えており、追加課税への反論書を当局へ提出しております。従いまして、この指摘による影響は当連結会計年度の連結財務諸表には反映しておらず、今後も当社の業績に大きな影響を及ぼすものではないと認識しております。
27.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
(注) 株式給付信託に係る信託口が保有する当社株式は、基本的1株当たり当期利益の算定上、加重平均株式数の計算において控除する自己株式に含めております。当連結会計年度における当該株式の加重平均株式数は、37千株(前連結会計年度は37千株)であります。
28.その他の包括利益
その他の包括利益の項目別の当期発生額、純損益への組替調整額及び税効果の影響は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
29.金融商品
当社グループの資本管理方針は、当社グループの持続的な成長や企業価値増大を実現するため、本業発展に十分な資金を確保できるよう資本効率を向上することであります。当社グループは、健全な財務体質の維持に関連する指標として、親会社の所有者に帰属する当期利益及び親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を管理対象としております。
(注) ROE:親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分の連結会計年度期首と期末の平均
なお、当社グループを借入人とする借入契約及び社債については、資本に関する規制を含む財務制限条項が付されております。当社グループは、当該条項にて必要とされる水準を維持するようにモニタリングしております。
当該財務制限条項に抵触した場合は、貸付人の請求によって契約上の期限の利益を失い、ただちに債務の弁済をすることとなっております。
財務制限条項については、注記「15. 社債及び借入金」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業活動を行う過程において財務上のリスクに晒されており、当該リスクを回避又は逓減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。
また、デリバティブ取引は市場リスクを回避するために利用し、投機的な取引は行わない方針であります。
当社グループの事業活動は、事業環境・金融市場環境による影響を受けております。事業活動の過程で保有する金融商品は固有のリスクに晒されております。リスクには、主に、信用リスク、流動性リスク、為替リスク、金利リスクが含まれております。
当社グループが保有する営業債権及びその他の債権、並びに契約資産は顧客の信用リスクに晒されております。当該リスクに関しては、与信調査のもと、取引先を信用力のある取引先に限定するとともに、定期的に債権残高管理を行うことで軽減を図っております。貸付金及び金融保証契約については、相手先の信用リスクに晒されております。当該リスクについては、貸付先の株主総会における議決権行使や役員派遣による経営管理及び指導、並びに財政状態についての情報収集及び評価により、回収懸念の早期把握や信用リスクの低減を図っております。デリバティブ取引は、カウンターパーティーの信用リスクに晒されております。カウンターパーティーの信用リスクを軽減するため、格付の高い金融機関とのみ取引を行っております。
なお、当社グループでは特定の相手先に対する過度に集中した信用リスクはありません。
金融資産の信用リスクに対する最大エクスポージャーは、連結財政状態計算書に表示している金融資産の帳簿価額であります。
金融保証契約に関する信用リスクに係る最大エクスポージャーは、以下のとおりであります。
なお、金融保証契約の信用リスクは僅少であります。
当社グループは、償却原価で測定する金融資産に分類した金融資産に対して損失評価引当金を計上しております。損失評価引当金の認識及び測定にあたっては、金融資産に関する信用リスクの著しい増加の有無及び信用減損の有無によって金融資産を3つのステージに分類しております。
ステージ1:信用リスクの著しい増加が見受けられない
ステージ2:信用リスクの著しい増加が見受けられるが、信用減損は見受けられない
ステージ3:信用リスクの著しい増加、信用減損がともに顕在化している
信用リスクの著しい増加とは、当初認識時と比較して、報告期間の末日に債務不履行発生のリスクが著しく増大していることをいいます。当社グループは、利息もしくは元本の支払いに関して、原則として30日超の延滞の事実に、債務者の属する業界の景気動向等を加味し、債務者の弁済能力が将来変化する可能性を踏まえて、信用リスクの著しい増加の有無を判断しております。
当社グループは、発行者又は債務者の重大な財政的困難や利息もしくは元本の支払いに延滞が生じた場合に債務不履行が生じていると判断しております。
金融資産が債務不履行に該当した場合には信用減損の客観的な証拠が存在すると判断し、信用減損金融資産に分類しております。
上記のステージに関わらず、法的に債権が消滅する場合等、金融資産の全部又は一部について回収できないと合理的に判断できる場合には、当該金融資産の帳簿価額を直接償却しております。
損失評価引当金の見積りにあたっては、営業債権及びその他の債権、並びに契約資産の予想信用損失を集合的なベースで測定しており、債権者ごとに独自グループ又はサブグループを設定しております。
12か月及び全期間の予想信用損失の測定にあたっては、報告期間の末日において過大なコストや労力をかけずに利用可能であり合理的で裏付け可能な過去の事象及び現在の状況、並びに将来の経済状況の予測に関する情報を用いております。
なお、予想信用損失を集合的なベースで測定する際に、過去における債務不履行の実績率を用いることがあります。
(注)1 担保として保有する物件及びその他の信用補完をするものはありません。
2 前連結会計年度末において、持分法適用会社であるGAS OPPORTUNITY MV20 B.V.の将来キャッシュ・フロー見込が改善したことから、その一部22,500千米ドルを戻入れております。当連結会計年度においては、同社に対して損失評価引当金を42,612千米ドル繰入れております。
損失評価引当金に関する金融資産の帳簿価額(損失評価引当金控除前)は、以下のとおりであります。
報告期間の末日において期日が経過している営業債権及びその他の債権の年齢分析は、以下のとおりであります。
(注) 上記のうち各報告期間の末日において信用減損している金額はそれぞれ2,264千米ドル、6,016千米ドルであります。
(注) 上記のうち各報告期間の末日において信用減損している金額はそれぞれ84,475千米ドル、109,935千米ドルであります。
(4) 流動性リスク
当社グループは、主に金融機関からの借入又は社債発行により資金の調達を行っております。営業債務や借入金は、流動性リスクに晒されておりますが、当社グループでは、子会社からの報告に基づき、当社財務部が適時に資金繰計画を作成・更新するなどの方法により管理しております。
加えて、資金調達の機動性や流動性確保の補完のため、金融機関とコミットメント契約を締結しております。コミットメント契約総額と借入実行残高は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年12月31日)
当連結会計年度(2024年12月31日)
(注)1 金額は割引前の総額で表示しており、契約上の利息支払額を含んでおります。
2 金融保証契約は、債務者である当社グループの関連会社が保証債務の対象となっている債務を返済できない場合に、当社が債権者からの履行請求に基づき当該損失を補填する契約であります。期日別残高では、保証の最大金額を保証が要求される可能性のある最も早い期間に含めております。
3 デリバティブ負債は、純額決済のデリバティブに係るキャッシュ・フロー並びに総額決済のデリバティブに係るキャッシュ・インフロー及びキャッシュ・アウトフローであります。
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、当社の機能通貨である米ドル以外の通貨で行う取引は、為替変動リスクに晒されております。為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、当社グループは、リスク管理方針として、外貨建ての収入と相殺関係にない一定金額以上の外貨建ての発注金額や外貨建ての貸付金及び借入金の純債権債務残高に係る為替リスクをヘッジすることとしており、主に為替予約や通貨スワップを利用しております。当社グループは、通常これらをキャッシュ・フロー・ヘッジに指定しており、為替予約や通貨スワップの重要な契約条件をヘッジ対象の条件と整合させる方針としております。当社グループは、ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的関係性を、それらのキャッシュ・フローに基づいて判断し、ヘッジの有効性を評価しております。
当社グループの為替変動リスクに対するエクスポージャーは、以下のとおりであります。なお、デリバティブ取引により為替変動リスクがヘッジされている金額は、除いております。
(注) 該当年度においては重要性が低いため、記載を省略しております。
当社グループが各報告期間の末日に保有する金融商品に関して、他のすべての変数が一定であると仮定した際、米ドルが以下の通貨に対して1.0%ドル高になった場合の税引前利益及び資本に与える影響は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 該当年度においてはシンガポールドルは重要性が低いため、記載を省略しております。
変動金利による借入金は、金利の変動リスクに晒されておりますが、一部の長期借入金については、金利の変動リスクを回避し支払利息の固定化を図る目的で、契約ごとに金利スワップ取引をヘッジ手段として利用しております。
当社グループが各報告期間の末日に保有する変動金利の借入金に関して、他のすべての変数が一定であると仮定した際、金利が1%上昇した場合の税引前利益及び資本に与える影響は、以下のとおりであります。
③ 金利変動リスクのエクスポージャー
当社グループの金利変動に対するエクスポージャーは、以下のとおりであります。
(7) 金融商品の公正価値
償却原価で測定する金融商品の公正価値及び帳簿価額は、以下のとおりであります。
なお、貸付金、社債及び借入金以外の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は、帳簿価額が公正価値と近似していると考えられるため、含めておりません。
(注) 1年内回収予定の貸付金及び1年内返済予定の借入金は、それぞれ貸付金、社債及び借入金に含めて表示しております。
公正価値の算定方法
(貸付金)
貸付金の公正価値は、満期日ごとに分類し、その将来キャッシュ・フローを国債利回り等適切な指標に信用
スプレッドを上乗せした利率で割り引いた現在価値により算定しております。
(社債及び借入金)
固定金利によるものについては、元利金の合計額を同様の新規借入を公正価値評価時点で行った場合に想定される利率で割り引いて算定する方法によっております。変動金利によるものについては、短期間で市場金利を反映することから、帳簿価額が公正価値に近似していると考えられるため、当該帳簿価額によっております。
貸付金、社債及び借入金は、公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類しております。
当初認識後に経常的に公正価値で測定する金融商品は、測定に使用したインプットの観察可能性及び重要性に応じて3つの公正価値ヒエラルキー・レベルに分類しており、その定義は、以下のとおりであります。
レベル1: 活発な市場における公表価格
レベル2: レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプット
レベル3: 観察可能でないインプット
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振り替えは、各四半期の期首時点で発生したものとして認識しております。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル間の振り替えはありません。
経常的に公正価値で測定している資産及び負債は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年12月31日)
当連結会計年度(2024年12月31日)
当社グループのデリバティブ資産及びデリバティブ負債は、活発な市場で取引されていないため、それらの公正価値測定に際し、当社グループは、独自の見積りには可能な限り依存せず、入手可能な範囲で観察可能な市場データを最大限に利用しております。デリバティブ資産及びデリバティブ負債については、すべての重要なインプットが観察可能であることから、レベル2に分類しております。
デリバティブ資産及びデリバティブ負債の公正価値は、当社グループの公正価値評価方針及び測定手続に従い、当社グループの財務担当部門が測定しております。測定結果は、財務担当部門の責任者が承認しております。
当社グループは、通常の営業活動において、金利変動及び為替変動などの市場リスクに晒されております。
これらのリスクを管理するため、当社グループは、原則として、これらのリスクの純額を把握し、リスクの影響を相殺する効果を有する取引を活用して市場リスクの軽減を図っております。更に、リスク管理戦略に基づき適宜デリバティブ取引をヘッジ目的で使用し、市場リスクの軽減を図っております。
当社グループは、ヘッジ会計の適用にあたって、ヘッジされているリスクに起因するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動が、ヘッジ手段の公正価値又はキャッシュ・フローの変動により相殺される経済的関係にあることを、原則として、ヘッジ対象とヘッジ手段の重要な条件が一致しているか又は密接に合致しているかどうかの定性的な評価及びヘッジ対象とヘッジ手段の価値が同一のリスクにより価値変動が相殺し合う関係にあることの定量的評価を通じて、確認しております。
当社グループは、通常有効性の高いヘッジを行っておりますが、ヘッジ手段とヘッジ対象のキャッシュ・フローのタイミングの違いや、キャッシュ・フローの予測金額の変動により、ヘッジの非有効部分が発生することが想定されます。ヘッジの非有効部分は、即時に純損益に認識しております。
当社グループは、デリバティブ取引をヘッジ目的で使用する際、ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的関係性及び当社グループのリスク管理戦略に照らし適切なヘッジ比率に基づき行っております。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
当社グループは、主に外貨建ての営業債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジを目的とした為替予約取引、借入金に係る支払金利の変動リスクに対するヘッジを目的とした金利スワップ取引をキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定しております。
当社グループがヘッジ手段に指定した項目に関する金額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年12月31日)
当連結会計年度(2024年12月31日)
(注) デリバティブ資産及びデリバティブ負債は、それぞれ連結財政状態計算書の「その他の金融資産」及び「その他の金融負債」に含めております。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末におけるヘッジ手段に関する平均レートは、以下のとおりであります。
当社グループにおいて、継続しているヘッジに係るキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金のリスク区分ごとの残高は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年12月31日)
当連結会計年度(2024年12月31日)
③ キャッシュ・フロー・ヘッジの損益及び包括利益に係る金額
当社グループが、キャッシュ・フロー・ヘッジに関して、連結損益計算書及び連結包括利益計算書に計上したリスク区分ごとの金額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注)1 前連結会計年度及び当連結会計年度とも資産及び負債の帳簿価額に直接含めた金額はありません。
2 純損益に認識したヘッジ非有効部分を含む連結損益計算書の表示科目は、前連結会計年度及び当連結会計年度とも「金融費用」であります。
3 為替変動リスクのその他の資本の構成要素から純損益への組替調整額を含む連結損益計算書の表示科目は、前連結会計年度は「金融収益」、当連結会計年度は「金融費用」であります。
金利リスクのその他の資本の構成要素から純損益への組替調整額を含む連結損益計算書の表示科目は、前連結会計年度及び当連結会計年度とも「金融費用」であります。
連結財政状態計算書上、その他の資本の構成要素に計上したキャッシュ・フロー・ヘッジに関する金額の増減は、以下のとおりであります。
30.関連当事者
関連会社及び共同支配企業は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。
② 関連会社及び共同支配企業に対する当社グループの債権残高及び債務残高
(注) 未決済残高には付加価値税等が含まれております。
(注) 取引条件及び取引条件の決定方針等
(1) 取引金額には消費税等が含まれておりません。
(2) 取引条件及び取引条件の決定方針等独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。
(3) 増資の引受は会社新設または追加出資によるものであります。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
(注) 主要な経営幹部は、当社の取締役であります。
31.キャッシュ・フロー情報
財務活動に係る負債の変動は、以下のとおりであります。
32.子会社、関連会社
主要な子会社及び関連会社は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。
33.偶発事象
関連会社及び共同支配企業の銀行借入等に関する当社グループの債務保証は、以下のとおりであります。
34.担保提供資産
当社グループは、関連会社を借入人とするプロジェクトファイナンス契約に関して、借入契約の担保として当該関連会社の株式を差し入れております。差し入れている資産の帳簿価額は以下のとおりであります。
35.後発事象
該当事項はありません。
当連結会計年度における半期情報等
(注)第3四半期連結累計期間に係る財務情報に対するレビュー:有