当社グループは、企業理念として「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を定めております。
ミッションは、私たちがビジネスを行う上での使命です
すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造します
ビジョンは、私たちのありたい姿を描いております
・すべてのお客さまから選ばれるパートナーであり続けます
・持続可能な成長により、市場で勝ちます
・常に学びながら成長します
・コカ・コーラに誇りを持ち、誰もが働きたいと思う職場をつくります
バリューは、ミッション・ビジョンを実現するために私たちが日々の活動で常に意識し、大切にしていることを表しております
・Learning:学ぶ向上心を忘れません
・Agility:変化を恐れず機敏に行動します
・Result-orientation:結果を見据え最後までやりきります
・Integrity:誠実と信頼に基づいた気高い志で行動します
また、社外のステークホルダーのみなさまに対しては、私たちが大切にしている価値観や未来に向けた想いをわかりやすく伝えるコーポレートメッセージ「ハッピーなひとときを、ボトルから。」を発信しています。
さらに、2028年までの5年間で達成すべき事業目標およびそのために推進すべき施策を中期経営計画「Vision 2028」としてまとめています。
当社は、企業理念に基づいた活動を実践することにより、中期経営計画「Vision 2028」の達成を目指してまいります。
(2)主要な目標
当社は、2023年8月9日に発表した中期経営計画「Vision 2028」において、持続的な利益成長に向け、目標を次の通りに掲げております。
・売上収益成長:年率+2~3%
・事業利益率:5%以上 450~500億円
・変革によるコスト削減:250~350億円
・ROIC:5%以上
また、2024年11月6日には株主価値向上に向けた包括的な株主還元策を発表し、配当政策についても見直しをしました。具体的には、連結配当性向40%以上および2028年の連結株主資本配当率(DOE)2.5%以上を目指し、「Vision 2028」の期間において累進配当を導入することで、1株当たり年間配当額を毎年、前期比で維持または増額する方針です。
2025年は、力強く利益を積み上げた2024年の成果に基づくさらなる利益成長を目指し、トップライン成長戦略や変革の主要施策を着実に実行することにより、将来にわたって安定的に利益を創出できる強固な成長基盤を構築してまいります。
以上から、2025年12月期の連結売上収益は、当期比0.5%の販売数量成長およびケース当たり納価の改善等により、当期比1.5%増の906,100百万円を見込んでおります。また連結事業利益は当期比66.0%増の20,000百万円、連結営業利益は当期比34.4%増の18,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は当期比50.5%増の11,000百万円を見込んでおります。
国内清涼飲料市場の今後の見通しにつきましては、清涼飲料各社の価格改定による飲料価格の上昇により、2025年の金額ベースの市場規模は2024年と比べ増加すると予想されるものの、引き続き、物価高騰による消費マインドの低下や記録的な猛暑の反動、価格改定による需要減少などの影響を受けるものとみており、数量ベースでは微減を見込んでおります。また、原材料・資材価格の高騰や為替相場の変動影響、物流費・人件費の上昇など、外部要因によるコスト上昇圧力が想定されるなど、当社にとって厳しい環境が継続すると予想されます。
このような状況のなか、当社は、2025年を「利益成長と基盤強化を両立させる年」と位置づけ、トップライン成長戦略や変革の主要施策を着実に実行することにより、これまでの増益トレンドを維持しつつ、将来にわたって安定的に利益を創出できる強固な成長基盤を構築してまいります。
営業分野では、コアカテゴリーの強化や飲用機会に応じた最適な製品提案を軸とした製品ポートフォリオの強化、テクノロジー活用とプロセス改善によるベンディングチャネルのさらなる変革、価格改定を含めた利益重視の価格戦略やROI重視のマーケティング活動などの収益性重視の営業活動の徹底、長期的なパートナーシップの構築に向けたカスタマーとの関係性強化など、利益の最大化を軸としたトップライン成長戦略を実行してまいります。チャネル別の主な取り組みとしましては、ベンディングチャネルでは、テクノロジーを活用したトップライン成長戦略の実行や、利益基準の品揃え最適化による売上成長とオペレーション効率化、業務プロセスおよびネットワークの改善による自動販売機訪問ルートの生産性向上、中長期的な利益成長につながるシステム投資など、変革をさらに推し進めてまいります。手売りチャネルでは、コア製品強化による売場の拡大や、消費者の飲用機会にあわせた最適な製品・パッケージの提案、デジタルマーケティングの展開、持続的な成長に向けたカスタマーエンゲージメントの強化などに取り組んでまいります。フードサービスチャネルでは、カスタマーとともに消費者への価値提供に努めるとともに、カスタマーにおける当社製品の取り扱い拡大や、エリアごとの成長業態への新規取引獲得活動などに注力してまいります。また、成長のドライバーとなる強力なパートナーシップとして、引き続き、日本コカ・コーラ株式会社との連携強化を図ってまいります。
製造・物流分野では、テクノロジーの活用や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じたより高度かつデータドリブンなプロセスの構築により、サプライチェーンネットワークをさらに進化させてまいります。消費地に近い工場での製品製造をコンセプトとした「地産地消モデル」を推進することにより、輸送距離の削減を図るなど、輸送の効率化を図ってまいります。また、工場での継続した生産性向上の取り組みにより、製造キャパシティの拡大を図るとともに、柔軟な製造体制を構築し、需要主導型で機敏なサプライチェーンの実現を図ってまいります。さらに、S&OP(Sales and Operations Planning)プロセスの精度向上にも取り組んでまいります。加えて、より高度な製品在庫の集約および最適配置を可能とする機能統合型物流センター(IDC:Integrated Distribution Center)を新たに立ち上げ、物流ネットワークのさらなる強化を図ってまいります。そして、これらの取り組みを通じて、エンドツーエンドでサプライチェーンの全体最適を追求することにより、安定的かつ低コストでの製品供給を目指すとともに、営業・物流拠点の統廃合や既存設備の有効活用、製品在庫の最適化などによるROIC向上にも取り組んでまいります。
バックオフィスおよびITの分野では、業務の抜本的な見直しや業務プロセスの標準化および自動化を、テクノロジーを活用しさらに推進することにより、変革効果の創出を図ってまいります。また、中長期的な施策として、全社横断で各種ITシステムやデータの統合などに取り組むことにより、持続的な成長につながる新たなテクノロジー基盤の構築を進め、データドリブン経営のさらなる推進を図ってまいります。
加えて、設備投資の適切な管理やバランスシートの改善などにも取り組み、資本効率の向上を図ることにより、「Vision 2028」で掲げるROICの改善を図ってまいります。持続的な成長に資するサステナビリティ戦略や人的資本経営の推進にも注力してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス
当社グループでは、2023年1月より、サステナビリティ委員会を新設し、非財務目標「CSV Goals」をベースに、気候変動や生物多様性を含むさまざまなサステナビリティ課題について方針・戦略などを定める体制を強化しております。当委員会では、経営陣がサステナビリティ課題について議論を行い、決定した方向性や戦略を速やかに各部門へフィードバックすることにより、各部門におけるサステナビリティ活動の徹底と円滑化を図っております。2024年の当委員会では、気候変動への緩和と適応、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)などが議論されました。また、取締役会でもサステナビリティ関連のリスク対策を重視しており、経営方針を策定する際には、リスク選定および成長性を考慮しております。
(当社グループにおけるサステナビリティ委員会推進体制図)

(2)サステナビリティ全般に関する戦略
当社グループでは「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造します」というミッションを掲げております。当社グループはこの価値の創造において事業の成長による経済価値、そして社会課題の解決で生み出される社会価値、この2つの価値をともに向上させる共創価値(CSV:Creating Shared Value)を経営の根幹とし、当社グループのサステナビリティ戦略の基礎としています。
また、サステナビリティ戦略を推し進める上で、社会環境変化への対応が必要と判断し、2023年に当社グループ独自の13のマテリアリティを特定し、その定義を策定しました。13のマテリアリティの重要度に関連したマテリアリティマップの作成に向けて、ESG関連投資家、NGO、自治体などにヒアリングを行うとともに、代表取締役社長を含む当社経営陣へのヒアリングと社員サーベイを実施し、スコアリングを行いました。マテリアリティマップ作成にあたり、社会軸として、外部有識者ヒアリングおよび各種レポート分析などから「ステークホルダーにとっての重要度」をスコアリングし、ビジネス軸としては、経営陣ヒアリング、社員サーベイから「当社グループにとっての重要度」をスコアリングしました。スコアリング結果をステークホルダーと当社グループにとっての重要度を軸にプロットして、マテリアリティマップを作成しました。特に容器&リサイクル(循環型社会)、気候変動の緩和・適応、人材の育成とウェルビーイングの3点については、ステークホルダーと当社グループの両者にとって重要度が高い項目であると認識しています。
(当社グループの13のマテリアリティと定義)
(3)サステナビリティ全般に関するリスク管理
サステナビリティ全般に関するリスク管理については、
(4)サステナビリティ全般に関する指標と目標
当社グループは、マテリアリティをベースに、より具体的な非財務目標「CSV Goals」を定め、持続可能な事業と社会、そしてミッションの実現に向けて取り組みを進めております。各項目の達成に向けては、バリューチェーン全体で取り組みを実施、進捗を確認し、着実に目標達成に歩みを進めております。
※1「ボトルtoボトル」によるリサイクルPET素材と、植物由来PET素材の合計
※2PETボトル回収率 (出典 :PETボトルリサイクル推進協議会PETボトルリサイクル年次報告書2024」)
※3記載のない限り、基準年は2015年、目標年は2025年
※4気候変動の緩和・適応は2023年実績
(5)TCFD提言に基づく取り組み
当社グループは、気候変動の緩和・適応をマテリアリティの1つと捉え、2030年までにスコープ1, 2において50%、スコープ3において30%の温室効果ガス(GHG)排出量削減を目指しております(ともに2015年比)。また、2050年までにGHG排出量実質ゼロの達成を目指しております。また、2022年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、続けてTCFDコンソーシアム、気候変動イニシアティブにも参加、2023年にはGXリーグに参画し、GHG削減に向けた取り組みを進めております。
① ガバナンス
気候変動に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス」に記載しております。
② 戦略
当社グループのリスク分析において、気候変動は重要な課題の1つとして特定されております。気候変動に対してはより詳細な分析が必要と判断し、2022年よりシナリオ分析を実施しております。分析は当社グループの主事業である飲料事業を対象に、1.5/2℃シナリオ、4℃シナリオの2つのシナリオごとに検討し、それに際して前提としたそれぞれの温度帯の世界観、および参照シナリオは下表のとおりです。
2023年はシナリオ分析の対象年次を2030年および2050年に拡大、2022年に重要度が低いと判断し、分析の対象外とした項目も対象に含め、定量分析を実施し直し、重要リスク・機会を再特定しました。主なリスク・機会は下記のとおりです。インパクトの開示に際しては、相対的に確度の高い推計ができると捉えたものに対してのみ2030/2050の年次を記載しております。複数シナリオ下におけるリスクを最小化し、機会を最大化していくためにも、検討した対応策は、経営戦略、中期経営計画「Vision 2028」に反映するとともに、年次計画に落とし込むことで気候変動のリスクの低減・機会の最大化を図っています。
③リスク管理
気候変動に関連するリスク管理については、
さらに、リスクマネジメント体制では、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを将来の発生可能性と影響度の観点から抽出し、気候変動を主要なリスクの一つとして捉えております。気候変動に関しては、より詳細な分析が必要と考え、2022年、2023年に気候変動リスク・機会に関してシナリオ分析を行い、その影響度を評価しております。移行リスク(政策、評判、技術、市場)、物理リスク(急性、慢性)、機会(製品およびサービス、市場、エネルギー源、資源効率、レジリエンス)に識別し、発生の可能性、発生時のインパクトを元に優先順位付けを行っております。
移行リスク
物理リスク
*1 WUR(Water Use Ratio):製品1Lを製造する際に使用する水
*2 S&OP(Sales and Operations Integration)
機会
④指標と目標
気候変動に関連する指標と目標については、「(4)サステナビリティ全般に関する指標と目標」に記載しております。
(6)TNFD提言に基づく取り組み
当社グループは、「環境に関するポリシー」において、私たちの事業活動に欠かせない水をはじめとする自然資源を有効活用し、地球環境を持続可能な形で次世代へ引き継ぐことを重要な使命であると定めています。「水」を使用するビジネスを行う当社にとって、森林、草原、その他の水源域および生態系を保全していくことは必要不可欠です。非財務目標「CSV Goals」の一環として、水源涵養率の維持や水使用量の削減・効率化を目標に掲げ、優先地域における水資源の保全・還元を進めることで、生物多様性の保全に取り組んでいます。
2022年12月、当社はTNFDの取り組みに賛同するとともに、TNFD フォーラムへ参画しました。また、TNFD提言に基づく初期的な開示として、2023年9月に公開された「TNFDv1.0」を参考に、自然に関する事業リスク・機会の分析を行い、水資源・生物多様性に関する優先地域の特定に取り組んでいます。
①ガバナンス
生物多様性を含む自然関連に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス」に記載しております。
また、TNFD提言では地域社会など、その他の利害関係者の権利への配慮が求められており、当社は「人権に関するポリシー」において、影響を受けるステークホルダーとして地域社会を重要なステークホルダーと位置づけています。事業活動においては、ステークホルダーの意見を聴取し、それを事業活動に反映するための協働と対話を行うことを定めています。また、サプライヤーには、人権、環境、労働などに関する当社の価値観を反映したサプライヤー基本原則(SGP: Supplier Guiding Principles)を理解し、人権尊重の意識を徹底することを求めています。
② 戦略
1)リスクと影響の管理
当社グループは、マテリアリティの1つとして持続可能な生物資源の保全を特定しており、TNFDへの対応を重要視しています。2023年9月に発表されたTNFD提言に基づき、可能な生物資源の保全を特定しており、TNFDへの対応を重要視しています。2023年9月に発表されたTNFD提言に基づき、自然に関するリスク・機会を評価するため、TNFDが推奨する検討枠組み「LEAPアプローチ」を採用し、当社グループの事業に関係する自然関連リスクを把握しています。なかでも、当社グループの事業と密接に関わる自然関連テーマについてリスク事例を調査し、当社グループのバリューチェーン全体にわたる潜在的な自然関連リスクを特定しています。それにより、これらのリスクが事業に与えうる影響の大きさを考察・評価し、その結果に基づいて事業における重要課題を特定しています。その上で、優先地域の特定分析においては、水資源にテーマを絞り実施しています。

上記分析の水リスク評価においては、世界資源研究所(WRI)の AQUEDUCT 、IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)等の公開ツールを使用しました。
また、当社グループはリスクと機会の管理を可能にするエンタープライズリスクマネジメント(ERM)を含む、有害事象への対応と回復を行うと同時に事業の成長をサポートする予防的および対応的活動を含むビジネスレジリエンスプログラムを導入しています。当社グループのリスク管理体制に関しては、
2)重要課題の特定
当社グループは、自然関連の重要課題を特定するため、ENCOREを用いてセクターにおける自然への依存と影響を評価しました。さらに、事業に重大な影響を及ぼす自然関連リスクが顕在化した事例を調査し、SBTN High Impact Commodity Listを参照して主要製品の原材料および容器梱包材を選定しました。これにより、自然関連リスクの重要度を評価し、マテリアリティマップを作成しました。その結果、水、気候変動、周辺生態系、森林等の土地利用、廃棄物の5つを自然関連の重要課題として特定しました。

③ 特定した重要リスクと機会
水を含む特定した5つの重要課題に関連するコスト上昇や供給の不安定性が、財務計画に与える潜在的なリスクについて以下の通り整理しました。一方で、トレーサビリティの強化や高度な技術開発および製品提供が、生物多様性の保全に資する機会につながる可能性があることも確認しました。さらに、自然関連リスクとその影響度の高い項目を精査した結果、現時点において当社グループの事業、戦略、財務計画に直ちに重大な影響を及ぼすリスクは認められませんでした。
移行リスク
物理リスク
機会
1)「水」に関するロケーション分析
特定した5つの重要課題のうち、当社グループの事業にとって最も重要である「水」を対象にバリューチェーンのロケーション分析を実施し、課題を深掘りしました。ロケーション分析では、水資源の利用と環境中への排水について、公開ツールを活用して調達国や事業拠点における水や生物多様性に関するリスクを評価し、優先地域を特定しました。バリューチェーンの下流においては、リスクが確認されなかったため分析対象から除外し、直接操業および上流において分析を実施しました。

2)水資源の利用・環境中への排水
当社グループの国内17工場周辺流域における水資源利用状況について、AQUEDUCTや湿地データベースGlobal Wetland、IBATを用いて、水資源リスクの評価を実施しました。その結果、いずれの工場においても水関連課題との高い関連性は認められませんでした。また、上流25km圏内の水資源利用および下流70km圏内の排水に関する生物多様性評価を実施し、重要生態系に近接する10か所の製造拠点を特定しました。これらの工場周辺流域においては、水源涵養活動や水使用量の削減、水管理の強化など、適切な対応策の検討を進めています。
3)バリューチェーン上流:トウモロコシ・サトウキビ
当社製品の主要原材料であるトウモロコシとサトウキビについて、ロケーション分析を実施しました。これらの作物の栽培・加工には多くの水を要するため、水資源の乏しい地域では資源枯渇の要因となる可能性があります。また、気候変動による影響も考慮し、AQUEDUCTを活用して水ストレスの高い地域を評価しました。
4)環境中への排水
特に島嶼部で栽培されるサトウキビについて、肥料や農薬の流出が沿岸部のサンゴ礁生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。そこで、Water Risk FilterおよびOcean+ Habitatを活用し、水質汚染リスクと海洋生態系保護区の評価を実施し、優先的に保全すべき地域を特定しました。
④指標と目標
当社グループは、TNFDのコア開示指標のうち、GHG排出量を開示しています。また、水ストレス地域における取水量と消費量について水リスク評価を実施した結果、高リスクと判断される製造拠点はありませんでした。
また、当社グループは非財務目標「CSV Goals」を掲げ、持続可能な原材料調達の推進とサプライヤー基本原則の100%遵守を目指しています。さらに、2030年までに水使用量を2015年比で30%削減し、2025年まで水源涵養率を200%維持することを目標としています。水資源保全の取り組みの一環として、全17工場の水源域において、自治体や森林組合などと協定を締結し、地域社会との連携を強化しています。2024年には、水源涵養率が目標を大幅に上回りました。今後も詳細な分析やデータ収集を進め、さらなる情報開示を行ってまいります。
(7)人的資本・多様性に関する考え方および取り組み
当社の中期経営計画「Vision 2028」では、「人的資本の強化」を重要な基盤として位置づけております。人的資本を強化するためには、「人材と組織の強化」と「社員のウェルビーイングを促進するカルチャーの醸成」を両輪で進めることが重要だと考えております。
これらを推進するために、人事戦略を刷新し、2024年より実行を開始しました。新たな人事戦略では、当社の人材・組織、カルチャーの目指す姿を通じて、持続的な利益成長に貢献することで、「Vision 2028」の目標達成を実現してまいります。

①ガバナンス
「Vision 2028」の達成に向けて人的資本を強化するために、定例の役員会議の約4分の1の時間を人的資本の議論に充当しております。また、執行役員の目標に、人的資本の強化に関わる4つのKPI(女性管理職比率、男性育児休業等取得率、経営層サクセッサーの育成計画達成度、エンゲージメントスコアの改善率)を設定しました。経営層が人事戦略にコミットし、全社一丸となって施策を推進しております。
②人事戦略の重点エリア
「Vision 2028」の目標達成に向けて、ビジネスが直面する課題をインタビューや分析から特定し、特に重要度の高い5つの重点エリアについて取り組んでおります。
a. 現場労働力不足の解消
b. パフォーマンスドリブンの浸透
c. 人材育成
d. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進(以下、「DE&I推進」)
e. ウェルビーイング推進
<2024年の取り組み>
a. 現場労働力不足の解消
日本全体で人材不足が深刻化している中、当社グループでは現場の労働力不足が課題でした。2024年はこの課題解決に力を入れ、業績向上を人材の側面から支えました。
製造現場では、例年、夏季繁忙期の生産数量増を賄うための人員不足が課題でしたが、この欠員状況の解消のために、製造責任者と協働して採用活動を見直しました。応募者を増やすために人材エージェントとの関係強化および採用コンテンツの刷新を行うとともに、選考終了までのリードタイム短縮等のプロセスを改善しました。その結果、2024年の応募数は、繁忙期(1~10月)までに前年比233%(1,251人→2,919人)に増加し、2024年11月1日時点の欠員充足率は前年比3ポイントの98%に改善しました。2025年はこれらの採用強化策に加えて、ウェルビーイングの推進や働く環境の整備を通じて「選ばれる職場」になることを目指し、社員の定着率の向上を図ります。
b. パフォーマンスドリブンカルチャーの浸透
「Vision 2028」の達成および会社の持続的な成長には、新たな挑戦と成長を楽しむマインドセットおよびカルチャーならびに評価者が社員の成長のために公正な評価ができることが必要です。社員が能力開発とキャリアについて強い自律性を持って行動することを支援し、個人と組織のパフォーマンスを重視する評価・報酬制度の徹底により、個人の成長と会社の目標の両方の達成を実現します。
社員育成・評価の責任者である管理職に対しては、公正な育成指導・評価のスキルを身につける研修を前年から引き続き実施し、2024年はさらにアンコンシャスバイアス研修を取り入れました。また、自身の業績に対応した報酬の理解と成長意欲の向上を促進する取り組みとして、給与・賞与・福利厚生等のベネフィットを合わせた総報酬を社員にわかりやすく示す、総報酬ステートメントを導入しました。
一人ひとりの活躍を組織目標の達成につなげるとともに、公正で納得性の高い評価と、成果に基づく昇格、報酬を実現するために、効果的なパフォーマンスマネジメントプロセスを引き続き運用してまいります。
c. 人材育成
経営戦略を推進し変革をリードする人材育成の加速と、社員一人ひとりによる自律的な学びの促進によって、人的資本を強化する施策を推進しております。
・経営層サクセッションプランの強化: 2024年より、サクセッサーの育成計画達成度を役員目標に追加しました。役員が責任を持ってサクセッサーとなる人材の特定と育成を行い、2024年の達成度は92%でした。今後も、経営層サクセッションプランの強化に加えて、社内にないケイパビリティを持つ人材の採用もあわせて行い、持続的な組織成長を支える人的資本を強化してまいります。
・変革リーダー育成プログラムの実施: 変革リーダー育成プログラム「コカ・コーラ ユニバーシティ ジャパン(CCUJ)」を、職位別に5階層(次期経営幹部候補者層、部長層、課長層、中堅社員層、若手社員層)に分けて開催しております。2020年開講以来の参加者計485名は、それぞれの持ち場における様々な変革プロジェクトで活躍しております。
・社員の自律的な学びを促進: 社員の自己成長意欲に応え、さまざまな教育機会を提供し、個人のキャリア形成や能力開発を支援するプログラム「ナレッジモール」を提供しております。DX、オンライン英会話、ビジネススクール系コンテンツ等500以上の講座から成るプログラムを用意しており、会社が一部受講料を補助しております。社員一人ひとりがそれぞれのニーズやタイミングに合わせて成長機会を得ることができるよう注力しており、2024年には延べ3,300名の社員がこのプログラムを活用しました。
・英語力強化の取り組み:海外からもさらなる知見を吸収し、当社グループの日々の活動やビジネスの成長につなげていくために、英語力強化プログラム「GET(Global English Transformation)」を提供しております。2024年には218名の社員がこのプログラムに参加し、半年間の集中プログラムを通じてお互いの進捗を競い合い、励まし合いながら、着実に英語力を強化しました。
d. DE&I推進
当社のミッションは「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造する」ことです。その実現のために、社員一人ひとりが公正なカルチャーのもと、ハッピーに働いていることを何よりも大切にしております。
・ジェンダー: 2024年は女性活躍に関する重要な指標である女性管理職比率が9.2%に達しました(昨年比+1.8%)。製造・物流・営業等、従来男性が大多数を占める職場でも、年度ごとの女性管理職比率目標を役員目標として定め、具体的な育成・採用計画を推進することで、2030年20%の目標達成に向け継続して取り組んでおります。また、スキル・マインドセットの向上施策として、女性管理職および女性管理職候補に対する研修と合わせて、社員に対してDE&I推進の重要性に対する理解を促すとともに、上司に対して公正な評価・育成のスキルの習得を促すための研修を実施するなど、より働きやすい環境づくりを行っております。
・男性育児休業等取得率: 2025年の目標100%の達成に向け、2024年は制度面・環境面それぞれにおいて施策を実行しました。制度面では、配偶者出産休暇(有給)の3日間取得を社員に義務付け、その取得率を執行役員の目標として定めました。環境面では、過去2年間に取得対象者であった男性社員の声を参考に、社員がより育児休業等を取得しやすくなるようなカルチャーの醸成に取り組みました。例えば、「周囲の理解を得られると、より取得しやすい」という声をもとに、上司向けの研修を導入し、チームでサポートしあう意識作りを促進しました。その結果、2024年の男性育児休業等取得率は103.8%(計算根拠については
・障がい者雇用: 当社グループでは、308名の障がいをもつメンバーが、多くの拠点で多様な業務に従事し、活躍しております(2024年12月末時点)。ランドリー業務や郵便事務、データ入力等多彩な業務を用意し、社員がそれぞれの特性や能力を発揮し活躍しているほか、パラアスリート・デフアスリートの活動も応援しております。また、新たな取り組みとして、2024年より本社六本木オフィスに「ゆにらぼ」を設立しました。PCスキルを活かした業務を中心に、各部署からチームに依頼された業務を、メンバーの得意分野や経験・適性にあわせて分担・協業し、チームとして業務を進めております。
障がい者雇用率は、2024年12月31日時点で2.74%となりました(障がい者法定雇用率算定基準日2024年6月1日時点2.59%・昨年比+0.17%)。2025年1月には、EQオペレーション準備株式会社の合弁会社化(2025年1月に株式会社onEQuestに社名変更)に伴い、障がいを持つメンバーが多く働く組織が当社グループから離れております。また、2025年4月の法定雇用率除外率変更もあり、障がい者のさらなる雇用拡大が必要です。今後も障がい者の雇用機会をさらに拡充し、多様な個性が力をあわせて働く環境づくりを進めてまいります。
e. ウェルビーイング推進
「Vision 2028」の目標達成のためには、「人材と組織の強化」と「社員のウェルビーイングを促進するカルチャーの醸成」を両輪で進めることが重要であると考えております。当社はウェルビーイングをフィジカル、キャリア、ソーシャル、ファイナンシャル、コミュニティの5つの要素で定義しており、2024年度はその中でもフィジカルウェルビーイングを最優先に取り組みました。
・健康促進:健康や安全は個人の問題ではなく組織の問題として位置づけ、経営層を巻き込んで取り組んでおります。2024年度は健康で働きやすい職場環境を目指して、禁煙の推進に注力しました。まずは、指導的立場にある管理職が禁煙に取り組むことが重要であると考え、2025年度中に管理職喫煙率を0%にすることを目指して活動しております。そのために当社敷地内の全面禁煙化等、禁煙を促す施策を進めております。また、2019年から継続して取り組んでいるウォーキングイベントを2024年度も実施いたしました。このイベントには年間約8,000名が参加しており、運動習慣化のきっかけや、その維持に貢献しております。
・ワークライフバランス:現場労働力の確保や女性活躍の課題にも直結するため、社員・求職者に選ばれる会社であるよう、社員が柔軟に働き方を変えられるさまざまな選択肢を設けております。在宅勤務、サテライトオフィス勤務、ワーケーションなどのテレワーク推進のほか、営業ではリモート商談や直行直帰を活用し柔軟な働き方を推進しております。また、有給休暇に対して組織ごとに取得目標を設定することで、休暇の取得がしやすい職場環境を整備しております。
・エンゲージメントスコア:社員のウェルビーイングの状態を把握するためのサーベイを実施し、その分析結果から判明した各組織が抱える課題に対して、具体的なアクションにより解決するよう取り組みました。例えば、社員が自律的なキャリアを描けていないという課題に対しては、社員の役割、強み、開発領域など客観的な事実と課題を、社員一人ひとりが上司との1on1を通じて把握し、主体的に自身のキャリアを考えることができるように促しています。また、2024年度からは役員目標にエンゲージメントスコアの改善率を追加することで、役員がスコアの向上にコミットしています。結果的に、エンゲージメントスコアは全社で71%(2023年度)→74%(2024年度)に改善しました。
③指標および目標
・女性管理職比率:2030年度女性管理職比率20%の目標達成に向けて、前述のとおり、女性管理職の育成・採用計画を推進し、2025年度には10%の達成を目指します。
・男性育児休業等取得率:2024年度は当初目標の1日取得100%を達成しました。2025年度は引き続き100%の達成を目指します。また、前述のとおり、配偶者出産休暇(有給)取得を3日間から5日間に拡充することで、より多くの取得を推奨してまいります。
・障がい者雇用率:当社グループでは、前述のとおり、2025年度の組織改編および2025年4月の法定雇用率除外率の変更により、障がい者のさらなる雇用拡大が必要となっております。引き続き、雇用機会の拡充を進めてまいります。
(注釈)
※1 表示数値は、
※2 2024年度に公共職業安定所長宛に提出した「障害者雇用状況報告書」(2024年6月1日時点)の数値を記載しております。
④リスク管理
人的資本に関連するリスク管理については、
本項では、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があると特定した主要なリスクを記載しております。
なお、本項に記載した将来の事象や想定に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。
(1)当社グループのリスクマネジメント体制
当社グループでは、収益性の高い成長を実現するため、リスクと機会の管理、社員と資産の保護、危機対応能力の強化および特定のリスクに対するリスク移転メカニズムとしての保険を含む、包括的なビジネスレジリエンスプログラムを導入しています。リスクマネジメント責任者(HRM)は、エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)、危機対応、事業継続、セキュリティおよび保険を担当するリスクマネジメントシニアグループ(RMSG)を率いています。HRMは、新たなリスクや機会に対して、すべての事業部門に関わる広い視点を持ち、経営陣および取締役会に対して、定期的な報告を通じてリスクを可視化させています。RMSGは、各事業部門のリスクオーナーと緊密に連携し、事業等のリスクの評価と管理に取り組んでいます。
取締役会は、リスクマネジメントと内部統制に関わる説明責任を有し、当社グループのリスク選好を定め、監査等委員会を通じてその有効性を見直しています。当期においても、取締役会に対して、当社グループの戦略目標達成に関わる能力に影響を及ぼし得るリスクについての情報を提供し、重要なリスクについて積極的に検討しました。
当社グループのリスクマネジメントプログラムには、毎月実施している経営陣とのリスクに関わる議論のほか、各事業部門のシニアリーダーと四半期ごとにリスクマネジメントフォーラムを開催して行う事業環境とリスクの状況の検討が含まれます。また、毎年行うディープダイブセッションにおいて、各事業部門のシニアリーダーに対してリスクについてのインタビューを行っています。さらに、コカ・コーラシステム全体に影響を及ぼすリスクを考慮し、リスクマネジメントプロセスを強化する体制を構築するために、コカ・コーラシステムの関係者とも協力しています。また、経営陣との議論と評価を通じて特定した事業に対する主要なリスクと機会について、これらへの対策が確実に行われるよう、各事業部門のリスクオーナーを割り当てています。堅牢なプロセスを通じて、自然災害への対応ならびに商品コスト、人材確保および消費者嗜好の変化など、事業環境の変化を細かく監視しています。
当社グループが行うERMプログラムには、事業戦略、目標、原則との整合、戦略的方向性、倫理および価値に関するグループ方針への統合、事業計画サイクルへの統合、リスクプロファイルの変化や機会の創出につながる要因を特定するための社内外の環境の継続的なモニタリング、リスクマネジメントに関する知識を高め、適切なリスクテイクを実践するリーダーを育成するための研修の実施、ならびに適切な財務的保証を確保するための保険の種類と金額の年次評価など、さまざまなプロセスを組み込んでいます 。
これらの活動、つまり定期的なリスクに関する協議とPDCAサイクルを通じて、当社グループに関わる最新のリスク動向を把握し、主要なリスクを検討する機会を設けています。当社グループの成長戦略を実現するため、主要なリスクへの対策は各部門の年度事業計画に組み込まれています。また、ERMのプロセスは、グローバルなベストプラクティスに照らした内部監査の対象であり、監査部門長は必要に応じて改善提案を行います。
(2)主要なリスク
当社グループの財政状態、業績およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、優先順位に従って下表に記載のとおりです。下表に記載されているリスクは、事業に関するすべてのリスクを網羅しているわけではなく、今後、現在想定されていない新たなリスクや、現在重要度が低いまたは優先順位が低いと考えられるリスクの影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度(2024年1月1日から12月31日まで、以下「当期」)における国内の清涼飲料市場は、継続する人出の増加や猛暑などの恩恵があったものの、清涼飲料各社の価格改定による需要へのマイナス影響などにより、数量ベースで前期並みとなったものとみられます。また、原材料・資材・エネルギー価格の高騰や円安などが消費行動やビジネスに影響を及ぼすなど、事業環境は引き続き不透明な状況で推移いたしました。
このようななか、当社は、2024年を「力強く利益を積み上げる年」と位置づけ、利益の最大化を軸としたトップライン成長戦略の実行や、全社横断的な変革の推進によるコスト削減、事業基盤のさらなる強化などに取り組んでまいりました。営業分野では、収益性重視の方針のもと、7年ぶりにフルリニューアルした「綾鷹」を中心とした新製品展開や、売場の拡大、投資対効果をふまえたマーケティング活動の強化などに取り組んでまいりました。また、収益性改善に向けた重要施策として、5月および10月の2回にわたって製品の価格改定を実施するとともに、改定後の出荷価格の維持に努めてまいりました。さらに、8月には、販売機器の設置、整備、修理およびクオリティコントロール等に関する事業について、事業譲渡および合弁会社設立を通じた新しいパートナーシップに基づく連携体制への変更を発表するなど、営業変革の重要施策を推し進めてまいりました。製造・物流分野では、消費地に近い工場での製品製造をコンセプトとした「地産地消モデル」を推進するとともに、S&OP(Sales and Operations Planning)プロセスの精度向上および安定運用に取り組むなど、エンドツーエンドのサプライチェーンの全体最適を図ってまいりました。製造キャパシティの拡大に向けては、東海工場における新たなアセプティック(無菌充填)製造ラインの導入や、各工場での製造プロセスの改善活動などに取り組んでまいりました。物流分野においては、物流ネットワークの改善などに取り組み、ケース当たりの輸送距離の削減を図るとともに、効率化および社会的課題への対応に向け、同業他社やカスタマー等との物流面での協業に積極的に取り組んでまいりました。バックオフィスおよびITの分野では、アクセンチュア株式会社との合弁会社「ネオアーク株式会社」とともに業務プロセスの標準化や自動化をさらに推進し、コスト削減効果の創出を図ってまいりました。
社会との共創価値に基づくESG目標の実現に向けた活動にも継続して注力してまいりました。水資源保全やPETボトルリサイクルの推進に関し、カスタマーや行政との協業の取り組みを拡大し、循環型社会形成による環境負荷の低減や協業を通じたビジネス機会の拡大を図ってまいりました。また、アルミ缶の水平リサイクル「CAN to CAN」において、リサイクル素材使用率を従来よりも高めた缶製品の販売を開始するとともに、従来製品より1缶当たりの資材使用量が13%少ない「185g軽量アルミ飲料缶」を採用した「ジョージア」の製造を一部の工場で開始するなど、容器の軽量化による省資源化を進めてまいりました。人的資本の強化としては、「Vision 2028」に基づき人事戦略を刷新し、当社における人的資本の目指す姿を再定義するとともに、取り組むべき重点エリアや主要目標を設定いたしました。役員会議の約25%の時間を人事戦略の議論に充てるなど、人的資本強化の取り組みを加速させております。また、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)の推進に関しては、さまざまなバックグラウンドや価値観をもつ社員が働きやすい環境の整備を行うとともに、カスタマーと共同でのDE&I推進活動にも取り組んでまいりました。これらを含む、当社のESGの取り組みは高く評価されており、当社は世界のESG投資の代表的指標「DJSI Asia Pacific」の構成銘柄に、7年連続で選定されました。
さらに、11月に、「Vision 2028」における株主価値向上に向けた包括的な株主還元策を発表いたしました。2028年までの意欲的な増配計画を織り込んだ配当政策への見直しや、300億円または20百万株を上限とした自己株式取得、23百万株の自己株式消却といった株主還元を実施し、中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。配当金につきましては、2024年12月期の期末配当金を前年同期および当初予想と比べ1株当たり3円増額することとし、年間配当金を1株当たり53円といたしました。加えて、2025年2月13日付「株主優待制度の導入に関するお知らせ」のとおり、このたび、Coke ON®ドリンクチケットを用いた株主優待制度の導入を発表いたしました。これらの一連の株主還元の取り組みを通じて、引き続き、企業価値の向上を図ってまいります。
※「Coke ON」は、The Coca-Cola Company Limitedの登録商標です。
当期の業績の詳細は次のとおりです。
(単位:百万円、販売数量を除く)
(参考)第4四半期(10月1日-12月31日)
※ 事業利益は、事業の経常的な業績をはかるための指標であり、売上収益から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除するとともに、その他の収益およびその他の費用のうち経常的に発生する損益を加減算したものです。
連結売上収益は、892,681百万円(前期と比べ24,100百万円、2.8%の増加)となりました。価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、「綾鷹」を中心とした新製品の展開や売場の拡大、効果的なマーケティング活動などが奏功し、販売数量は前期比2%の増加となりました。また、一連の価格改定の効果として、すべてのチャネルにおいてケース当たり納価が改善し、売上収益の成長に貢献いたしました。
連結事業利益は、12,046百万円(前期と比べ10,021百万円、494.8%の増加)となりました。トップライン成長による利益貢献に加え、変革を通じたコスト削減や製造効率向上の効果、原材料・資材・エネルギー価格の高騰および円安などにより増加するコストを適切に管理できたことなどが、収益性の大幅改善に貢献いたしました。事業利益は、当初計画を20%上回り、2024年11月に上方修正した計画をさらに上回る形で、前期比6倍の水準を達成いたしました。
連結営業利益は、13,390百万円(前期と比べ9,949百万円、289.1%の増加)となりました。これは、主に、事業利益が前期と比べ増加したことに加え、有形固定資産売却益によりその他の収益(非経常)がその他の費用(非経常)を上回ったことによるものです。なお、その他の収益(非経常)には、バランスシートの最適化を進める過程で計上した有形固定資産売却益5,429百万円などが含まれております。また、その他の費用(非経常)には、抜本的な変革の実行に係る事業構造改善費用3,333百万円などが含まれております。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益が前期と比べ増加したことなどから、7,309百万円(前期と比べ5,439百万円、290.7%の増加)となりました。
<販売数量動向(増減率は前期比)>
通期の販売数量は、前年10月、当年5月および当年10月に実施した価格改定による需要へのマイナス影響があったものの、新製品や効果的な営業施策の貢献などにより、2%増となりました。また、ケース当たり納価は、すべてのチャネルにおいて改善いたしました。これは、当年10月に実施した価格改定により、各チャネルにおいてケース当たり納価が前年同期比2桁円以上改善するなど、当第4四半期(2024年10月1日から12月31日まで)に改善トレンドが加速したことなどが貢献しています。
チャネル別では、スーパーマーケットでは、新製品を最大活用した売場獲得活動などに取り組んだものの、価格改定の影響により大型PETボトル製品の販売数量が減少し、2%減となりました。ドラッグストア・量販店においては、消費者の節約志向等による当チャネルの市場拡大が数量成長に貢献したことに加え、8月の南海トラフ地震臨時情報発表を背景とした特需の影響もあり、販売数量は4%増となりました。コンビニエンスストアでは、厳しい競争環境は継続したものの、新製品やカスタマー限定製品の展開強化に加え、カスタマーに応じた効果的なマーケティング活動が奏功し、販売数量は3%増となりました。ベンディングでは、これまで構築してきたシェア基盤や、スマホアプリ「Coke ON」での効果的なキャンペーン実施など、デジタル活用による需要の取り込み策がシェア拡大に貢献したものの、夏場の天候不順や価格改定による缶・ボトル缶製品の数量減少が響き、販売数量は1%減となりました。一方、ベンディングのケース当たり納価は、価格改定により前期と比べ50円以上改善いたしました。リテール・フードサービスでは、飲食店や観光地等における人出の増加に加え、カスタマーごとの取り扱い製品拡大施策や新規取引獲得活動の効果などにより、販売数量は4%増となりました。オンラインでは、品揃えの強化やカスタマーと連携した定期便ユーザーの獲得に向けた施策等が奏功し、販売数量は16%増となりました。
清涼飲料の製品カテゴリー別では、炭酸は、飲食店やオンライン等における「コカ・コーラ」の成長に加え、「スプライト」の貢献もあり、販売数量は3%増となりました。茶系は、フルリニューアルした「綾鷹」の数量が15%以上増加するなど好調さが継続し、カテゴリー全体の成長をけん引しました。その結果、茶系の販売数量は、当第4四半期に11%増となり、累計で9%増となりました。コーヒーの販売数量は、「ジョージア」の新製品の導入効果があったものの、価格改定の影響を受け缶・ボトル缶製品の数量が減少したことなどにより、2%減となりました。水は、特需による販売数量の押し上げ効果があったものの、価格改定による大型PETボトル製品の数量減少が響き、販売数量は3%減となりました。スポーツは、コンビニエンスストアやオンラインで成長したものの、価格改定の影響により大型PETボトル製品の数量が減少し、4%減となりました。果汁は、飲食店における「ミニッツメイド オレンジ」の成長に加え、新製品「ミニッツメイド オレンジブレンド マルチビタミン」の貢献などにより、販売数量は7%増となりました。
アルコールカテゴリーは、新製品「甘くない檸檬堂 無糖レモンとすだち」の導入やキャンペーン実施など、販売強化に取り組んだものの、厳しい競争環境等の影響により、販売数量は16%減となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期における各キャッシュ・フローの状況等につきましては、次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、48,883百万円の収入(前期は59,102百万円の収入)となりました。これは、税引前利益12,896百万円を計上したことや「減価償却費及び償却費」等があったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、16,128百万円の支出(前期は14,287百万円の支出)となりました。これは主に、バランスシート最適化に向けた取り組みのなかで、「有形固定資産、無形資産の売却による収入」や「その他の金融資産の売却による収入」があった一方で、「有形固定資産、無形資産の取得による支出」があったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは、57,942百万円の支出(前期は15,229百万円の支出)となりました。これは主に、「社債の償還による支出」および「配当金の支払額」によるものです。
以上の結果、当期末における現金及び現金同等物は前期末と比べ25,187百万円減少し、88,473百万円となりました。
生産、受注および販売の状況
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注)金額は、主として製造原価によっております。
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
(注)金額は仕入価格によっております。
(3)受注状況
当社グループは見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)主要な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。
財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、引当金の計上など一部に将来見積りに基づいているものがありますが、これらの見積りは、当社グループにおける過去の実績や将来計画を考慮し合理的と考えられる事項に基づき判断しております。なお、会計基準につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載のとおりであります。
当社グループの当期末の親会社所有者帰属持分比率は58.0%であり、財務体質については引き続き健全性を確保しているものと考えております。
連結財政状態計算書の主要項目ごとの前連結会計年度末(以下「前期末」)との主な増減要因等は、次のとおりであります。
(資産)
当期末の総資産は804,153百万円となり、前期末と比べ40,680百万円減少しました。これは主に、社債の償還等による「現金及び現金同等物」の減少やバランスシートの改善を図った結果「有形固定資産」が減少したことによるものです。
(負債)
当期末の負債は337,710百万円となり、前期末と比べ37,101百万円減少しました。これは主に、社債の償還により流動負債の「社債及び借入金」が減少したことによるものです。
(資本)
当期末の資本合計は466,443百万円となり、前期末と比べ3,578百万円減少しました。これは主に、当期利益が計上されたものの、配当金の支払いによる「利益剰余金」の減少や自己株式の取得があったことによるものです。
また、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ25,187百万円減少し、88,473百万円(同比22.2%減)となりました。キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
当期における経営成績の概況につきましては、「業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであり、連結損益計算書の主要項目ごとの前期との主な増減は、次のとおりであります。
(売上収益)
当期における売上収益は、前期に比べ24,100百万円増加し、892,681百万円(前期比2.8%増)となりました。
(営業利益)
当期における営業損益は、前期に比べ9,949百万円増加し、13,390百万円の利益(前期比289.1%増)となりました。
(当期利益)
当期における当期損益は、前期に比べ5,486百万円増加し、7,389百万円の利益(前期比288.3%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当期における親会社の所有者に帰属する当期損益は、前期に比べ5,439百万円増加し、7,309百万円の利益(前期比290.7%増)となりました。
当社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ボトラー契約
当社は、ザ コカ・コーラカンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社との間で、南東北、関東、甲信越、中部、近畿、中国、四国および九州地方の1都2府35県を販売地域として、コカ・コーラ、ファンタ、スプライト、リアルゴールド、ジョージア、アクエリアス、クー、爽健美茶、煌および紅茶花伝等の製造・販売ならびに商標使用等に関するボトラー契約を締結しております。また、この契約に基づき、当社は、ザ コカ・コーラカンパニーおよび日本コカ・コーラ株式会社との間で、委任許可契約を締結し、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社にボトラー事業を委任しております。
該当事項はありません。