第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

わたしたちブリッジインターナショナルグループは、B2B企業の売上成長に向けた改革を支援するEnd to Endのサービスを提供します。

 

(2) 経営戦略等

現在の市場環境において、営業やマーケティングの領域では、生産年齢人口の減少や雇用の流動化により、営業リソースの確保が難しくなっています。さらに、日本市場の成熟化により、消費者の購買行動が多様化・高度化し、企業が持続的な売上成長を実現することが難しくなっています。また、生成AIなどの新しいテクノロジーの進化に伴い、企業が自社のビジネスモデルや営業活動に適した技術を十分に活用できず、専門人材の不足が深刻な課題となっています。
 このような状況下で、当社のサービスに対する需要が高まっています。当社は、業界黎明期からインサイドセールスアウトソーシングを提供しており、強固な顧客基盤を強みに、高品質で継続性の高いアウトソーシング事業、最先端のテックを活用したプロセス・テクノロジー事業、それらを活用する人材を育成するための研修事業の3つの事業をワンストップで提供しています。
 どんなにテクノロジーが進歩しても、最終的には人と人とのコミュニケーションが重要であり、当社は「最後は人が大事」という考えに基づいてサービスを提供している点が、他社との差別化ポイントとなっています。

なお、今後の事業展開を踏まえた当社グループの成長戦略を明確にすべく、2024年12月期より当社グループの報告セグメントの区分を「インサイドセールスアウトソーシング事業」、「プロセス・テクノロジー事業」、「研修事業」の3つに変更しております。

 

① インサイドセールスアウトソーシング事業

インサイドセールスアウトソーシング事業は、売上の9割を既存顧客が占める継続率の高い安定のストックビジネスです。今後もより高付加価値なサービス提供の維持に努め既存顧客の拡大を図るとともに、新規開拓においては、これまで主な顧客であった外資系IT・国内IT企業に加え、金融業等、収益余地の大きい顧客層へと集中した、顧客ポートフォリオ戦略を展開してまいります。

 

② プロセス・テクノロジー事業

当社グループはプロセス・テクノロジー事業を今後の経営戦略の中での成長領域としており、既存の営業体制での顧客開拓とM&Aによる販路拡大を拡大戦略と位置付けております。顧客の営業・マーケティング課題を上流のコンサルティングサービスで整理、把握し、解決の実現策としてシステム及びテクノロジーソリューションを実装していくビジネスモデルを構築することを目指します。また、生成AIをはじめとする最新テクノロジーを積極的に取り入れ、顧客へ最適なサービスを提供します。

 

③ 研修事業

研修事業を提供する連結子会社の株式会社アイ・ラーニングは、売上高の約4割を占める新卒研修を入口に、キャリアに応じた様々な人材育成研修を幅広く提供します。人事部主導の新卒研修や階層別研修から、事業部門主導の細かいニーズに応じたカリキュラム設計まで、デジタルとビジネスの両面の人材育成メニューを豊富に提供できる点が当事業の強みです。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置づけ、2026年までに売上110億円、営業利益13億円達成を目標としています。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① 収益基盤の拡大

 当社グループは、既存顧客との取引拡大と、新規顧客の獲得に注力し、収益基盤を強化してまいります。一方で、社内業務のデジタル化や、グループ全体でのリソース共有を進め、固定費及び運営コストの効率化を図ります。これにより持続可能な収益性向上を実現してまいります。

 

(インサイドセールスアウトソーシング事業)

 当事業は、既存顧客が売上の9割以上を占め、高い継続率を誇ります。そのため、より高品質で安定したサービスの提供を行い既存顧客の維持・拡大に努めます。また、将来の顧客基盤を支えるための新規顧客の獲得にも注力してまいります。

 

(プロセス・テクノロジー事業)

 当社連結子会社「ブリッジプロセステクノロジー株式会社」は、企業の営業・マーケティング部門向けに営業生産性の最大化をするため、営業活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するコンサルティングサービスを提供し、法人営業改革の提言を行うことに注力してまいります。

 また、AIをはじめとする最新テクノロジーを活かした営業支援を構築から運用までワンストップで提供し、顧客の売上成長を支援してまいります。

 

(研修事業)

 当社連結子会社「株式会社アイ・ラーニング」は、従来領域であるIT事業者のエンジニア人材育成の研修コンテンツを維持・拡大すると同時に、経済産業省が推奨する、リスキリングに対応した非エンジニア人材向けに研修コンテンツを強化し、社内のDX人材育成、アジャイル体制の構築など、IT事業者・エンジニア以外の新たな顧客獲得・拡大を行ってまいります。

 

② 安定的な人材確保

 インサイドセールスアウトソーシング事業においては、人材獲得競争激化により、タイムリー且つ安定的な人材確保が困難な状況が続いております。このような環境のもと、前連結会計年度から引き続き、新卒及び中途採用の強化を継続しております。

 また、既存社員の定着、能力向上に向けた評価制度、給与制度の見直しにも着手をしております。社員がより働きやすい働き方・ライフスタイルを考慮した労働環境を提供することで、人材確保策を強化してまいります。

 

③ ITネットワークの安全性確保

 当社グループは、通信・インターネットを活用して顧客にサービスを提供しており、ITネットワークシステムの安定稼働の確保は必要不可欠です。また、リモートワークをはじめとする柔軟な働き方を取り入れております。そのため、サービスを安定的に提供できるよう、顧客社数の増加や社員の就業スタイルにあわせたサーバー増設等の設備投資を継続的に行い、より効率的且つ強固なITシステム稼働環境を構築していくことに取組んでおります。

 

④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理

 当社グループが継続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンス・コードに基づき、経営の効率性、健全性を確保すべく、監査役監査、内部監査、会計監査及び内部統制システムの整備によりその強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

社会問題や価値観の多様化に伴い、ESGを重視したサステナビリティ経営がより一層求められています。当社グループも、持続的な社会環境の創造について、責任を持って取り組んでいくべきであると考えております。

当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に資することであり、当社グループの持続的な成長が社会の持続的な発展に寄与することを目指してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、株主、お客様、従業員、地域社会及びその他のステークホルダーからの信頼に応え、企業価値を持続的に向上させ、社会の持続的な発展に寄与するためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。

 

(2) 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりであります。

全般的な戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略等」を参照ください。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループが持続的な成長を目指すにあたっては人的資本が価値創造の源泉であり、人材力の強化を継続的に実行し、組織の人的資本を最適化することが重要であると考えております。そのために、以下のような取り組みを行っております。

1.採用:優秀な人材を採用するためには、求職者との良好な関係を築くことが重要と考えております。優秀な人材を採用するために、適切な求人広告を出し、求職者の能力や経験に基づいて選考を行います。

2.育成・教育:従業員が組織内で成長し続けられるように、トレーニング、コーチング、メンタリング、キャリア開発プログラムを提供することが重要であると考えております。従業員が最新の知識やスキルを習得できるよう、社内研修や外部研修などの機会を提供しております。

3.評価:従業員のパフォーマンスを評価し、目標を明確にすることが重要と考えております。業績評価制度やミーティングを通じて、従業員が仕事に関するフィードバックを受け取り、成長する仕組みを構築しております。

4.報酬:従業員の貢献に対して公正な報酬を提供することが大切と考えております。競合他社と比較して市場価値に基づいた報酬を得られる制度を設けております。

5.離職防止:従業員の離職を減らすために、従業員満足度を向上させ、ワークライフバランスやキャリア開発の機会を提供することに取り組んでおります。

6.組織文化:組織の文化を形成することが重要と考えております。従業員が目標やミッションを共有し、共通のビジョンに向かって働くことができるように、良好な企業文化を形成するように努めております。

 

(3) リスク管理

当社グループを取り巻く市場環境や事業の状況には様々なリスクがあることを認識しており、リスクの全社的統括管理を経営企画本部が行っております。主要なリスクについては定期的に開催される経営会議においてモニタリング・評価・分析を行い、定期的に取締役会に報告することとしています。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」について、当社グループが持続的な成長を目指すにあたっては人的資本の最適化が重要であり、それらを定量的に測定するために以下の指標を用いております。

 

指標

2023年度実績

2024年度目標

2024年実績

2025年目標

1.人材数

591

625

695

722

2.離職率

10.3

10.0

7.0

9.0

3.女性人材率

70.7

70.0

64.1

70.0

4.従業員の平均在籍期間

5.9

6.0

6.1

6.0

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業経営環境に関するリスクの変化について

当社グループは、企業の法人営業課題に特化し各種サービスを提供しております。現在は、就業人口の減少、雇用の流動化といった労働環境の変化による顧客企業の営業やマーケティングおよび人材育成関連への投資マインドの上昇を背景として事業を拡大しておりますが、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の営業やマーケティング関連への投資マインドが減退するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

当社グループのアウトソーシングサービスは、BtoBアウトバウンド市場に属しています。当社グループは、先行者メリットを活かし顧客数を伸長するとともに顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながら、大小様々な競合が存在することから、参入障壁は著しく高いものとはいえず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社により類似したサービスが開発され価格競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新規サービスについて

当社グループは、法人営業支援を中心としたサービスの業容拡大を目的として、今後もサービスの多様化や新規サービスへの取り組みを進めていく方針です。そのため、人材の採用、教育、システム開発費等の追加的な支出が発生する場合や、サービス内容の多様化や新規サービスが計画のとおりに推移しない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 技術革新への対応について

生成AIなどの台頭により、全産業にて業務の効率化や自動化が進んでおります。当社グループにおいても、インサイドセールスアウトソーシング事業では、インサイドセールスの顧客コンタクト方法が従来の電話中心から生成AIなど最新テクノロジーの活用による自動化、効率化の追求を目指しておりますが、技術革新において当社グループが予期しない急激な変化がありその対応が遅れた場合や、新技術に対応するために当初予定していなかったシステムへの投資が必要になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。プロセス・テクノロジー事業においても同様に提供するCRM、SFA、MA、SEA等の競争環境の急激な変化によっては事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) システムトラブルによるリスクについて

当社グループの各種サービスは、通信設備を通じて提供しており、サービスの保守、運用、管理は通信ネットワークに依存しております。各種サービスの安定的な提供のためのサーバー設備の増強や情報セキュリティ責任者が適切なセキュリティ手段を講じることにより外部からの不正アクセスの回避等を行っておりますが、以下のシステム障害が発生した場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

① サービス提供コンピュータシステムへの急激なアクセス増加や電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によって当該コンピュータシステム及び周辺システムがダウンした場合。

② コンピュータウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合。

③ 従業員の過誤等によって、当社グループの提供サービスのプログラムが書き換えられることや、重要なデータが削除された際、事態に適切に対応できずに信頼失墜や損害賠償による損失が生じた場合。

 

(6) 特定人物への依存について

代表取締役社長である吉田融正は、当社の創業者であり、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社グループの事業推進において重要な役割を果たしています。当社グループは、吉田融正に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会における役員間の相互の情報共有や事業部制の導入による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により吉田融正が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 人材の採用、育成について

今後の業容拡大を図る中で、各サービスにおいて人材の採用、及びその維持は不可欠であると認識しております。また日本におけるインサイドセールス経験者の数は未だ限定的であり、入社後の社内における研修実施、育成を積極的かつ継続的に進めております。しかしながら、人材獲得競争が激化し、優秀な人材の採用が困難となる場合や在職している人材の大量の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 情報管理体制について

当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するために情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しておりますが、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信頼の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 内部管理体制について

当社グループは、企業価値の拡大を図るうえでコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するために充分な体制を構築していると考えておりますが、未だ成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するために、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権の侵害におけるリスクについて

当社グループは、会社名及び提供しているサービスの名称について商標登録申請をしております。また、第三者の知的財産権の侵害の可能性については、社内規程に基づき顧問弁護士等を通じて事前調査を行い対応しております。しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産を侵害した場合、当社グループへの損害賠償請求やロイヤルティの支払い要求、使用差し止め請求等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11) 自然災害について

当社グループが提供するサービスにおいて顧客の情報資産が格納されるサーバーは、日本国内において2拠点以上で管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺のネットワーク設備等に被害を及ぼす災害、事故等が発生し情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 配当政策に関するリスク

当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、業績・財務状況及び事業環境等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としております。しかしながら中長期的な視点から、財務体質の強化と持続的な事業拡大の投資を目的とした内部留保の充実のために、配当を減少させるもしくは実施しない可能性があります。

 

(13) 契約不適合責任及び品質保証引当金に関するリスク

① システムの不具合について

当社グループは、システムソリューションのサービスを実施するためのシステムの開発・提供をしておりますが、顧客の検収後にシステムの不具合(いわゆるバグ)等が発見される場合があります。当社グループにおきましては、品質管理の国際標準であるISO27001の認証を取得して、品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めておりますが、それでもなお、製品に不具合等が発見された場合には、補修作業に伴う費用の増加、信用の低下、損害賠償などの要因により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 製品の不具合の可能性について

一般にソフトウエア製品の高度化及び複雑化により、完全に不具合を解消することは不可能といわれております。そこで、顧客によるシステム運用段階で発生する不具合への対応を見込んでおりますが、想定以上の規模の不具合や当社グループの過失によるシステムの不具合が顧客に損害を与えた場合には、当社グループの信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復傾向にあります。一方で、ウクライナや中東地域の情勢を背景とした資源価格の高騰や、為替変動による物価上昇、円安の継続や世界的な金融の引き締めなど国内の景気を下押しするリスクもあり、依然として先行きが不透明な状況が継続しています。

 当社グループを取り巻く事業環境もいくつかの重要な変化が見られます。まず、生産年齢人口の減少にともない、企業は営業組織の生産性向上を迫られています。この課題から、売上成長を支援するサービスのニーズが高まっています。また、日本市場の成熟化により、消費者の購買行動は多様化・高度化し、企業が持続的な売上成長を実現することが一段と難しくなっています。さらに、生成AIなど新しいテクノロジーの進化が進む中で、企業は自社のビジネスモデルや営業活動に適した技術を十分に活用できておらず、専門人材の不足も深刻な課題です。こうした環境変化の中、当社グループが提供するビジネス支援の重要性はますます高まっています。

 

このような環境のもと、当社グループはそれぞれの事業拡大に注力した結果、当連結会計年度の売上高は、8,615百万円(前年同期比22.7%増)、営業利益は950百万円(同4.0%増)、経常利益は998百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は661百万円(同2.7%増)となりました。

 

 

当社グループの各事業のセグメント別業績の概要は、以下のとおりであります。当社グループは、今後の事業展開を踏まえた成長戦略を明確にすべく、第1四半期連結会計期間からセグメント区分を変更しています。なお、前期比(数値)は前期の数値を変更後のセグメントに組み替えたものを用いています。

 

(インサイドセールスアウトソーシング事業)

インサイドセールスアウトソーシング事業は、既存顧客からの売上が年間売上全体の9割以上を占める、安定したストック型ビジネスです。高い成果を持続的に提供することで、業界内でも高単価でのサービス提供を維持しています。当連結会計年度では、サービス品質のさらなる向上を目的として、インサイドセールスレップの能力開発、評価制度及び報酬制度の見直し、最新テクノロジーの導入などに積極的な投資を行いました。その結果、離職率の低下や業務委託費の削減が実現し、高い利益率を維持したまま業績目標を達成しました。

当連結会計年度におけるインサイドセールスアウトソーシング事業の売上高は、4,526百万円(前期比5.4%増)、セグメント利益については674百万円(同4.5%増)となりました。

 

(プロセス・テクノロジー事業)

企業が売上を伸ばすためには、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった活動を支える「仕組み」の整備が不可欠です。業務プロセスの設計、活用するテクノロジーの選定、データ活用の方法がその重要なポイントとなります。プロセス・テクノロジー事業では、AIなど最新テクノロジーを活用しながら、これらの仕組みを構築から運用までサポートするサービスを提供しています。

事業強化のため、第1四半期にはトータルサポート株式会社の株式を取得し、連結対象に含めました。また、2BC株式会社の全株式を取得し、子会社化後に吸収合併を実施しました。

このような環境下で、当連結会計年度におけるプロセス・テクノロジー事業の売上高は、1,798百万円(前期比219.9%増)、セグメント損失については19百万円(前期はセグメント損失23百万円)となりました。セグメント損失については、主にトータルサポート株式会社の買収後の会計処理統一にともなう在庫消費税の計上、期末に実施した在庫評価損の計上、内部統制や営業部門強化にかかる費用増など、PMI(Post Merger Integration)関連費用が要因です。

 

(研修事業)

研修事業では、新卒研修が売上の約4割を占め、当連結会計年度も好調に推移した結果、初めて9億円の売上を達成しました。顧客は主にIT企業であり、新卒研修を起点に、階層別研修やIT、ビジネス、営業スキル研修など、多様なカリキュラムを包括的に提供しています。

 また、DX推進リーダー人材向け研修や、既存社員の能力向上を目的としたリスキリング強化研修など、個別のニーズに応じたカスタマイズ研修も積極的に展開しています。

このような環境下で、当連結会計年度における研修事業の売上高は、2,290百万円(前期比5.9%増)、セグメント利益は、294百万円(同1.2%増)となりました。

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は4,614百万円となり、前連結会計年度末に比べ489百万円の増加となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が255万円増加したこと、商品が144百万円増加したこと、仕掛品が125百万円増加したことを要因としたものであります。

当連結会計年度末における固定資産は1,372百万円となり、前連結会計年度末に比べ320百万円の増加となりました。これは主に、ソフトウェアが131百万円減少したものの投資有価証券が268百万円増加したこと及びのれんが62百万円増加したことを要因としたものであります。

これらの結果、総資産は5,987百万円となり、前連結会計年度末の5,176百万円から810百万円の増加となりました。

 

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,285百万円となり、前連結会計年度末に比べ343百万円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が107百万円増加したこと、買掛金が54百万円増加したこと及び短期借入金が50百万円増加したことを要因としたものであります。

当連結会計年度末における固定負債は304百万円となり、前連結会計年度末に比べ232百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金が216百万円増加したことを要因としたものであります。

これらの結果、負債合計は1,590百万円となり、前連結会計年度末の1,014百万円から575百万円の増加となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は4,396百万円となり、前連結会計年度末の4,161百万円から234百万円の増加となりました。これは主に、自己株式の取得により262百万円減少したものの、当連結会計年度末に親会社株主に帰属する当期純利益661百万円を計上したこと等により利益剰余金が467百万円増加したことを要因としたものであります。

この結果、自己資本比率は73.0%(前連結会計年度末は80.4%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5百万円減少(前期比0.2%減)し、2,669百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、957百万円の収入(同41.4%増)となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益955百万円、減価償却費211百万円、その他の資産の減少額159百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、344百万円の支出(同142.8%増)となりました。この主な内訳は、投資有価証券の取得による支出309百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出61百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、617百万円の支出(同1,989.3%増)となりました。この主な内訳は自己株式の取得による支出262百万円、配当期の支払額193百万円、長期借入金の返済による支出101百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(b) 受注実績

当社グループのサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

 

(c) 販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

インサイドセールスアウトソーシング事業        計

4,526,443

5.4

 コンサルティングサービス

286,913

123.8

 システムソリューションサービス

1,511,256

248.2

プロセス・テクノロジー事業          計

1,798,170

219.9

研 修 事 業                 計

2,290,804

5.9

合計

8,615,418

22.7

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、期末日における資産・負債の数値、及び決算期における収益・費用に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。

これら見積りや判断には不確実性が存在するため、見積った数値と実際の結果の間には乖離が生じる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しております。

 

② 経営成績等
(a) 財政状態の分析

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は8,615百万円となり、前年同期に比べ1,594百万円増加いたしました。これは主に、2024年2月に買収したトータルサポート株式会社及び3月に吸収合併した2BC株式会社の影響によるものであります。また、インサイドセールスアウトソーシング事業の既存顧客の売上が好調に推移したことによります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は5,768百万円となり、前年同期に比べ1,011百万円増加いたしました。これは主に、売上高の増加に伴い商品売上原価が809百万円の増加等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は2,846百万円となり、前年同期に比べ583百万円増加いたしました。

 

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,896百万円となり、前年同期に比べ546百万円増加いたしました。これは主に、事業規模拡大に伴う給料及び手当の増加、業務委託費や地代家賃、広告宣伝費の増加等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は950百万円となり、前年同期に比べ36百万円増加いたしました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は11.0%となり、前年同期と比べ2.0%下がっております。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は57百万円となり、前年同期に比べ52百万円増加いたしました。これは主に、トータルサポート株式会社の買収に伴う保険解約返戻金等によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は9百万円となり、前年同期に比べ7百万円増加いたしました。これは主に、支払利息の増加等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の経常利益は998百万円となり、前年同期に比べ81百万円増加いたしました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別損失は42百万円となり、前年同期に比べ42百万円増加いたしました。これは主に、関係会社株式評価損、リース解約損及び固定資産売却損等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は661百万円となり、前年同期に比べ17百万円増加いたしました。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及びシステム開発等にかかる設備投資によるものであります。当社グループの運転資金につきましては、自己資金(利益等の内部留保資金)で賄っており、資金の流動性は確保できております。また、自己資金で手当てできない場合は、金融機関からの借り入れによる資金調達となりますが、借入先・借入金額等の条件は所定の手続きにより資金調達を行うことになります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社グループでは売上高及び営業利益を重要な指標としております。

当連結会計年度における売上高は前年同期に比べて1,594百万円増加し、8,615百万円となりました。また、営業利益は、前年同期に比べて36百万円増加し、950百万円となりました。引き続きこれらの指標について増加するよう取り組んでまいります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化や組織体制の整備等、さまざまなリスク要因が当社グループの成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保育成し、顧客ニーズを満たす製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。

 

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは今後も拡大されることが予想されるIT市場において、競争優位性を確保するために、顧客企業に対して高付加価値を提供するサービスの創造に鋭意努めてまいります。また、より強固なポジションを獲得するために、開発体制及び営業体制の強化を重要な経営戦略と認識し、事業の拡大に取り組んでまいります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループが今後事業を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(株式取得による会社の買収)

  当社は、2023年12月22日開催の取締役会において、トータルサポート株式会社の発行済み株式の51.7%を取得し子会社化することについて決議し、2024年1月12日付で株式譲渡契約を締結し、2024年2月1日に株式を取得いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(株式取得による会社の買収および当社への吸収合併)

当社は、2023年11月13日開催の取締役会において、2BC株式会社の全株式を取得し子会社化すること、及び同社を吸収合併(簡易・略式合併)することについて決議し、2023年12月1日付で株式譲渡契約を締結し、2024年1月1日に株式を取得いたしました。また、2024年1月29日開催の取締役会において、同社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結し、2024年3月15日付で吸収合併いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(持株会社体制への移行にかかる吸収分割)

当社は、2025年2月14日開催の取締役会において、持株会社体制への移行に向けて、当社のプロセス・テクノロジー事業を当社の完全子会社であるブリッジプロセステクノロジー株式会社に承継させる吸収分割を行うことについて決議し、同日付で吸収分割契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(持株会社体制への移行にかかる新設分割)

当社は、2025年2月14日開催の取締役会において、持株会社体制への移行に向けて、当社のアウトソーシング事業を新たに設立する会社に承継させる新設分割を行うこと、並びに定款の一部変更を決議いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。