当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。尚、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社は国内唯一のワックス専業メーカーとして独自の技術により多種多様かつ高品質のワックス製品及びワックスを原料とする各種変性品を製造しています。また、永年にわたり蓄積された技術を基に需要家に対するきめ細かなサービスの提供はもとよりあらゆるご要望にもお応えできるよう基礎研究から製品の改良、新用途の開拓、新製品の開発まで幅広い販売開発活動に取り組んでいます。近年、加速する技術革新、環境問題、省エネルギーの観点から、情報化社会に求められている素材、環境問題に対応する素材、快適生活に役立つ素材の提供等、時代の要求にも応じられる新製品を数多く創出・提供することを目指し、社会・文化の発展に貢献することを基本方針としています。
2025年は、未来へ繋がる足場固め「基盤強化期」と位置付け、以下の施策を実施してまいります。
① 重要な施策
a) 原料選択、工程改善によってワックス収率を上げ、重油生産量を更に削減することに取り組みます。
b) ワックス専業メーカーとして、また国内唯一のワックスメーカーとして、当社ならではの新規高付加価値ワックスへの開発・販売に注力します。
c) サプライチェーン(原料調達~製品販売)のオペレーションの最適化を追求すると共に、徳山工場、つくば事業所において、これからの成長戦略、新たな柱となる開発製品に必要な設備投資を行います。
d) 棚卸資産の削減により、財務体質の改善を行います。
② 配当の考え方
引き続き「中期経営計画(23-27)」に掲げた事業モデルの転換を柱とする構造改革を推し進め、できる限り早期に財務基盤の再構築を果たす所存ではございますが、2024年12月期の配当につきましては、会社法第461条に定める分配可能額が無いことから、誠に遺憾ながら無配とさせていただきますことに、株主の皆様のご理解を賜りたく存じます。
2025年12月期の配当につきましても、分配可能額の確保が見通せないことから、無配継続の予想とさせて頂きますが、当社といたしましては、早期復配を目指して参りますので、株主の皆様のご支援を賜りたく存じます。
③ 業績予想(連結)
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2025年度 |
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売上高(百万円) |
21,300 |
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営業利益(百万円) |
1,400 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
790 |
なお、本業績予想は、作成時点で入手可能な情報と過去の実績、傾向等を参考に置いた一定の前提条件の下に算出していますことを、予めご了承お願いいたします。
当社は、わが国唯一のワックス専業メーカーとして以下のミッションを掲げています。
・お客様と社会のニーズに応えるワックス製品を開発しご提供する
・全従業員に対し働く喜びと心身に健康的な日々の職場を提供する
・操業する地域社会の一員として安全と自然環境を守り共に成長していく
当社は、事業活動を通じてこのミッションを遂行すると同時に、持続可能な社会の実現を目指す世の中の一員として社会課題の解決に取り組んでいます。当社の『サステナビリティ基本方針』は、当社がミッションを遂行していくことが、同時に社会課題の解決にも寄与し両立することを確認すると共に、両立させるために向かう方向(戦略)を定めたものです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)戦略
①ワックス事業ポートフォリオの構築
再生可能なバイオマス由来ワックス製品の開発に注力し、将来的には石油、天然ガス、バイオマスの“原料3本柱”によるワックス事業ポートフォリオ構築を目指しています。
②安全・安心な職場風土醸成と次世代人財の育成(人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)
心理的安全性の高い職場と、自由闊達な議論を尊ぶ価値観を広く社内に根付かせ、次の世代を担う自立した人財を育てていきます。
③環境負荷低減と工場の高度化・強靭化
旗艦工場徳山を、自然災害に強く時代の要求に応える事業拠点として次の世代に残すために、環境負荷低減と設備の高度化・強靭化に最大限取り組みます。
(2)ガバナンス
経営企画監査部が、当社グループ事業を取り巻くリスクの全容と影響度を把握するために「当社に影響を及ぼすリスク」を作成しています。省エネ活動、ISO14001(環境)、職場環境改善の取り組み等、その内容については関係部署が毎年レビューし適宜追加・更新しています。特に影響の大きいものについては、経営企画監査部が関係部署に対応状況を聴取し、四半期毎に進捗、状況を経営執行会議及び取締役会に報告しています。
(3)リスク管理
当社では、各部門およびグループ会社からリスク発生の可能性について、リスク要因、その発生可能性の程度、対応策、対応状況を収集し、「当社に影響を及ぼすリスク」を策定しています。この情報を基に、会議等を通じて適切な指針・方針を伝達し、リスク発生の回避に努めています。また、重要な問題については取締役会で迅速かつ適切に対応しています。さらに、当社はISO9001(品質管理)およびISO14001(環境管理)の認証を取得しており、これらを有機的かつ効率的に結びつけ、当社の実情に合った総合的なマネジメントシステムを構築しています。認証機関による審査や内部監査では、各認証の目的や規格の要求範囲にとどまらず、経営全般を対象に幅広く対応しています。当社において、ISOは有効な運用・監視ツールとして位置付けており、その運用はISO推進課が担当しています。
(4)指標及び目標
①環境について
2030年までに
・温室効果ガス排出を2013年度比▲46%削減
・産業廃棄物排出を2021年度比▲50%削減
・燃焼用重油販売を2021年度比▲90%削減
②人的資本について
当社グループは、全従業員に働き甲斐と心身に健康な職場を提供するために各種制度の整備に努め、またその普及・改善に向けて継続的な環境整備と制度見直しを実施しており、今後、測定可能な目標値を設定して進捗管理していく予定です。
・多様な働き方
在宅勤務、フレックス、時間単位有給休暇、育児休暇、介護休暇、フリーアドレスオフィスの導入
・人事評価制度
役割とミッションに応じ報酬を決定する役割等級制度への改定
・教育・研修制度
ハラスメント研修、評価者研修、心理的安全性と内発的動機を題材としたコミュニケーションに関する研修、工場入構者を含む安全教育の徹底
・健康管理
全従業員を対象とした定期健康診断、35歳以上の生活習慣病予防健診、メンタルヘルス対策講演会開催、ストレスチェック、産業医による随時面談
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 原材料の調達
当社グループは、2023年12月期に減圧蒸留装置の稼働を停止し、原料転換を実施しています。今後ワックス製造の主原料と位置付けるスラックワックスの供給元多様化を引き続き進めていますが、主要な供給元の装置トラブル等による供給障害が長引いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原油価格変動
当社グループの製品コストの大半を占める原料油価格は、原油価格、石油製品価格市況に連動するため、その大幅かつ急激な市況変動があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 需要及び市況変動等
当社グループのワックス製品は、国内・海外の様々な産業分野、生活消費財分野等で使われていますので、その需要は各国経済および各産業界の動向の影響を受けます。また副産物である重油の需要は、原料転換とワックス収率を意識した工程管理により減産・減販していますが、気候や電力需給に影響されます。当社グループは、ワックス製品の高付加価値化と更なる脱重油を進めることにより、これら動向が当社グループの業績に及ぼす影響を最小化してまいります。
(4) 金利及び為替の変動
当社グループは有利子負債が多いため、金利の上昇は借入コストの増加につながり、また、為替の変動は輸入原料のコストや輸出製品の販売に影響を与えます。金利変動リスクや為替変動リスクを回避するためにデリバティブ取引等を利用する場合がありますが、リスクの完全な回避・低減を保証するものではないため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害や事故
地震や台風などの自然災害等が発生した場合は操業を停止する等の緊急措置をとるため、生産及び販売活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人為的操業事故や災害を未然に防止するため、定期的な設備点検等安全対策の徹底を図っていますが、生産や販売活動の低下は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて計算されています。年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合などは、将来の退職給付費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資産価値の変動
当社グループが保有する棚卸資産、固定資産や投資有価証券は、資産価値の下落による評価損や減損リスクにさらされています。当社グループは会計基準に従い適切な処理を行っていますが、今後更に資産価値が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報の管理
当社グループは社内情報システムのセキュリティ強化のために、ウイルス対策はもとより全PCの常時集中監視、使用できる外部記録媒体の制限を設けるなどの対策を講じています。また、システムインフラをクラウド化することによるBCP対策も進めています。しかしながら情報システムに障害が発生する可能性はゼロではないことから、生産及び販売活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外での事業活動について
当社グループはタイ王国において事業展開を行っています。事業展開にあたっては、現地の法令、行政上の手続、商慣習等に即した事業活動を行っていますが、予期しない政治状況の激変や法制度の変更、さらに地政学的なリスクが内在しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における当社グループの事業環境を概観しますと、日本経済は緩やかな回復基調を維持した一方、春闘賃上げ率が数十年ぶりの高いレベルとなるなど、労務費の上昇傾向が明確になりました。海外では、米国経済は底堅く推移しましたが、中国では経済成長の鈍化が続き、ヨーロッパ・中東での紛争が継続しました。こうした中、日本円の対主要通貨の為替レートは歴史的な円安となり、原油価格は高止まりしました。
このような環境下、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ、275百万円減少し、29,725百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、2,165百万円減少し、24,051百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、1,889百万円増加し、5,673百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高22,045百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益2,245百万円(前年同期は営業損失△552百万円)、経常利益1,682百万円(前年同期は経常損失△785百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,776百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失△1,221百万円)となりました。
なお、当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して461百万円増加し2,297百万円となりました。
当連結会計年度末における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,943百万円(前年同期比1,532百万円の収入増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1,658百万円、減価償却費946百万円、売上債権の減少額519百万円、棚卸資産の増加額565百万円、未収消費税等の減少額345百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、149百万円(前年同期比345百万円の支出減)となりました。これは主として有形及び無形固定資産の取得による支出151百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,367百万円(前年同期比は1,252百万円の支出増)となりました。これは主として短期借入金の純減額2,306百万円、長期借入金の返済による支出53百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しています。
|
区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
42,549トン |
△0.8 |
19,497 |
18.9 |
|
重油 |
20,824kl |
△38.9 |
1,979 |
△36.3 |
|
合計 |
|
|
21,477 |
10.1 |
(注)金額は、販売価格をもって算出しています。
b. 受注実績
当社グループの生産においては、そのほとんどを見込生産で行っていますので、受注実績は記載していません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しています。
|
区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
44,043トン |
△6.8 |
20,194 |
12.0 |
|
重油 |
17,920kl |
△53.3 |
1,703 |
△51.3 |
|
その他仕入商品 |
|
|
147 |
△16.8 |
|
合計 |
|
|
22,045 |
1.6 |
(注)1 ワックスには輸入ワックスの仕入販売を含んでいます。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
安藤パラケミー株式会社 |
2,389 |
11.0 |
2,611 |
11.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比較して275百万円減少し29,725百万円となりました。これは主として現金及び預金の増加額461百万円、受取手形及び売掛金の減少額502百万円、商品及び製品の増加額560百万円、流動資産その他の減少額227百万円、有形固定資産合計の減少額728百万円、繰延税金資産の増加額146百万円等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比較して2,165百万円減少し24,051百万円となりました。これは主として短期借入金の減少額2,184百万円、流動負債その他の減少額305百万円、長期借入金の増加額349百万円等によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比較して1,889百万円増加し5,673百万円となりました。これは主として利益剰余金の増加額1,772百万円、為替換算調整勘定の増加額113百万円等によるものです。
2) 経営成績
当連結会計年度の業績は、以下のとおりです。
2022年の損益悪化に際し経営の構造改革を図るべく策定した『中期経営計画(23-27)』で掲げた重要施策である「原料転換」を前倒し(2023年12月期)、「高付加価値品販売の追求」と「脱重油」に取り組むとともに、「製品価格の見直し」を進めました。
(販売)
ワックスについては、高付加価値品販売の追求と製品価格の見直しを行いました。その結果、数量△7%・単価+20%となり、増益に貢献しました。
重油については、原料転換とワックス収率を意識した原料投入・工程稼働により生産数量減となり、逆ザヤ取引となっている重油が減販(△53%)、増益に貢献しました。
|
|
前 期 |
当 期 |
||||
|
数 量 |
単 価 |
金 額 |
数 量 |
単 価 |
金 額 |
|
|
ワックス 国内 |
26,365 |
439 |
11,583 |
25,732 |
531 |
13,652 |
|
輸出 |
20,891 |
309 |
6,445 |
18,310 |
357 |
6,541 |
|
合計 |
47,257 |
382 |
18,029 |
44,043 |
458 |
20,194 |
|
重 油 |
38,352 |
91,212 |
3,498 |
17,920 |
95,076 |
1,703 |
|
その他仕入商品 |
|
177 |
|
147 |
||
(注)1. 当社グループの販売高です。
2. ワックス数量単位はトン、重油数量単位は㎘、金額は百万円単位で記載しています。
3. ワックス単価は円/㎏、重油単価は円/㎘で記載しています。
(売上高)
国内ワックスは前年比2,069百万円増の13,652百万円、輸出ワックスは同比95百万円増の6,541百万円、重油は同比1,794百万円減の1,703百万円、その他商品を含めた総売上高は同比341百万円増の22,045百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ、2,273百万円減の17,470百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、183百万円減の2,329百万円となりました。
(営業利益)
原料転換による脱重油とプロダクトミックスの改善及びワックス製品価格の見直し等を実施した結果、営業損益は前連結会計年度に比べ2,798百万円増の営業利益2,245百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益は、前連結会計年度に比べ329百万円減少し、563百万円の損失となりました。これは、支払利息の増加278百万円、為替差損35百万円(前連結会計年度は為替差益47百万円)等によるものです。
この結果、経常損益は、前連結会計年度に比べ2,468百万円増の経常利益1,682百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損益は、特別損失として減損損失17百万円を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ535百万円減の23百万円の損失となりました。この結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ3,003百万円増の税金等調整前当期純利益1,658百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度並みの△117百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,998百万円増の親会社株主に帰属する当期純利益1,776百万円となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度決算は、ワックス主原材料含む略全ての資材価格の上昇に加え、国内外での物流の逼迫並びに運賃の高騰等のコストアップに見舞われましたが、『中期経営計画(23-27)』に掲げた重要施策である原料転換の前倒し、限界利益を意識した高付加価値製品販売の追求、脱重油等の取り組みに加え、お客様には当社製品の価格改定に対してご理解を賜ったことで、前期比増益となりました。
c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、運転資金及び設備資金を内部留保及び借入により調達することを基本としています。運転資金及び設備資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金償還時期等を考慮の上、適宜判断して調達していくこととしています。
また、当社グループは金融機関との長期にわたる良好な取引関係の維持により、当社グループの事業活動に必要な運転資金及び設備資金の調達に関しては今後とも問題なく実施可能と考えています。
③重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表を作成するのに当たっては、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載した基準に従っています。これらを含め、当社グループは、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて連結財務諸表を作成しています。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1) 当社は、SHELL MDS(MALAYSIA) SENDIRIAN BERHAD社と同社が天然ガスより製造する合成ワックスを、当社が輸入し日本国内で販売する契約を締結しています。契約期間は2021年8月1日より2年間とし、期間満了の6ヶ月前までに書面による通告で解除されない限り、2025年7月31日まで1年間ずつ契約期間を延長いたします。
(2) 当社は、機動的な資金調達手段を確保することにより、手元流動性を圧縮し、資金効率を高めることを目的として、金融機関6社(株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社広島銀行、株式会社山口銀行、株式会社西京銀行、株式会社商工組合中央金庫)と総額6,500百万円の特定融資枠契約(貸出コミットメントライン契約)を締結しています。
(3) 当社は、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第三号投資事業有限責任組合(以下「割当予定先」といいます。)との間で、劣後特約付金銭消費貸借契約及び新株予約権引受契約を締結し、割当予定先より、総額3,000百万円を資本性劣後ローンにより借り入れるとともに、本資本性劣後ローンの弁済期限の到来時に本資本性劣後ローンの借入金の弁済が完了していない場合に、割当予定先において本資本性劣後ローンの保全を図る目的で、割当予定先に対して、第三者割当の方法により、新株予約権を発行することとしています。
昨今の環境問題に対する意識の高まりやワックス製品に求められる更なる高機能化に対応して、様々な観点から研究開発を行っています。SDGSの推進やカーボンニュートラルの実現に効果がある、植物由来ワックス等のサステナブル素材の開発、石油系溶剤の削減に寄与する水系分散物の開発、非石油系原料からなる合成ワックスの活用推進など特色あるワックス製品の拡充に取り組んでいます。
(1)サステナブル素材の研究開発
各社製品に占めるバイオマス度向上への要求は年々高まっており、米糠由来のライスワックスを核としたサステナブル素材の開発を行っています。コスト競争力のある汎用性の高い素材の開発や当社独自技術による高機能製品の開発まで幅広いお客様のニーズに沿った製品の開発を進めています。特に、付加価値の高い化粧品用途やタイヤ向けワックスの開発について、お客様と連携した開発に取り組んでいます。
(2)水分散ワックスエマルジョン製品の開発
現在、紙コート用途等を始めとする脱フッ素や脱プラスチックの動きが活発になっており、水系ワックスエマルジョンの製品開発を積極的に進めています。高融点ワックスを活用した加圧乳化型エマルジョンやサステナブル素材の乳化技術開発などお客様の用途にマッチした素材の開発に注力しています。また、当社の乳化分散技術を活かした特殊ワックスのエマルジョン製品開発に成功し、高級インキ分野への採用実績も増えています。
(3)合成ワックスの活用推進
高品質のワックスを将来に向けて安定的に供給し続けるため、石油系ワックスと合成ワックスのベストミックスによる製品群の開発を進めています。
また、当社の分子蒸留装置による高度精製技術を生かした、高融点合成ワックスの高機能化開発を継続して行っています。国内外の多くのお客様に有用な技術情報を提案することで、分子蒸留事業の更なる拡大を目指しています。
当連結会計年度における研究開発費は