第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

回次

第9期

第10期

第11期

第12期

第13期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2024年12月

売上高

(千円)

1,292,224

1,103,122

813,117

1,085,861

512,785

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

24,839

20,011

179,339

35,370

223,018

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

24,519

33,100

287,331

27,104

223,962

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

545,850

545,850

545,850

545,850

630,533

発行済株式総数

(株)

13,440

1,344,000

1,344,000

1,344,000

1,461,000

純資産額

(千円)

696,043

662,943

284,612

312,420

410,176

総資産額

(千円)

1,028,575

1,051,061

606,599

775,596

656,881

1株当たり純資産額

(円)

51,788.98

493.26

228.78

250.57

280.26

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

1,938.42

24.63

225.12

21.78

154.67

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

67.7

63.1

46.9

40.2

62.3

自己資本利益率

(%)

3.9

9.1

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

169,757

134,875

6,047

182,322

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

66,278

80,186

102,197

14,821

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

144,650

126,847

179,275

157,841

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

136,389

64,229

147,356

108,053

従業員数

(人)

44

43

55

50

50

(外、平均臨時雇用者数)

(4)

(3)

(3)

(2)

(7)

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

1,872

最低株価

(円)

740

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.第13期は、決算期変更により2024年4月1日から2024年12月31日までの9か月間となっております。

3.第10期については、事業規模拡大に伴う先行投資や人件費等の増加により、第11期については、同様の理由に加え、新型コロナウイルス感染症拡大や円安による物価上昇等により顧客の事業環境が悪化し当社への発注が控えられたことにより経常損失及び当期純損失を計上しております。第13期については、決算期変更に伴い売上高及び利益が集中する1月~3月の業績が計上されていない等の理由により、経常損失及び当期純損失を計上しております。

4.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。

6.第10期及び第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。第9期及び第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。第13期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

7.第10期、第11期及び第13期の自己資本利益率については、当期純損失であるため、記載しておりません。

8.第9期から第12期の株価収益率については、当社株式は非上場でありましたので記載しておりません。第13期の株価収益率については、当期純損失であるため、記載しておりません。

9.第9期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

10.従業員数は就業人員(社外から当社への出向者を含む。)であり、平均臨時雇用者数(アルバイト及び派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

11.第9期から第13期の株主総利回り及び比較指標については、2024年4月16日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。

12.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所グロース市場におけるものであります。なお、2024年4月16日をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

13.第10期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。

なお、第9期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

14.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第10期の期首から適用しており第10期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

15.当社は、2021年11月15日開催の取締役会決議により、2021年12月2日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っております。第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

2【沿革】

 当社は、2012年12月12日に株式会社ゼンリンの子会社である株式会社ゼンリンデータコムの社内ベンチャーとして設立されました。当社は「自らのアイデアとテクノロジーを活用し、社会課題を解決する」をミッションに掲げ、移動を支えるテクノロジー企業としてモビリティ業界の顧客企業の課題を解決すべく当社ソリューション及びシステム開発の提供を行っております。

 設立以降の当社にかかる経緯は以下のとおりであります。

 

年月

概要

2012年12月

株式会社ゼンリンデータコムの社内ベンチャーとして東京都港区に設立

2017年4月

九州地区での業務・規模拡大に伴い福岡市博多区に九州営業所を開設

2018年6月

事業規模拡大に伴い東京都中央区に本社移転

2018年12月

資本業務提携を目的として九州旅客鉄道株式会社、四国電力株式会社、都築電気株式会社、

YKK AP株式会社、岡谷鋼機株式会社及び飛島建設株式会社に対して第三者割当増資及び株式異動を実施

2019年12月

関西地区での業務・規模拡大に伴い大阪府大阪市に関西営業所を開設

2020年5月

事業規模拡大に伴い東京都江東区に本社移転

2021年3月

資本業務提携を目的としてENEOS株式会社と第三者割当増資を実施

2021年3月

株式会社ゼンリンデータコムからの株式異動により株式会社ゼンリンの子会社となる

2022年7月

ソフトウエア開発事業を営むファニテック株式会社を完全子会社化

2022年8月

ファニテック株式会社を吸収合併

2023年4月

開発拠点として和歌山県和歌山市に和歌山営業所を開設

2024年4月

東京証券取引所グロース市場に株式を上場

 

3【事業の内容】

 当社は、「アイデア」と「テクノロジー」を活用し社会の課題解決を行うことを目的として、モビリティ業界(※1)や国・自治体の課題発見のコンサルティングから解決のためのソフトウエアの開発、ハードウエアの提供及び納品後のサポートまで行うトータルサービスを提供しております。なお、ソフトウエアの開発は顧客の要求に応じて行う受託開発の他、プラットフォーム化したパッケージサービスを提供することにより顧客ニーズを満たしたIoTシステムを短い期間で提供することが可能となっております。

 そのため、当社の収益はシステム開発を行った際の開発売上のみならず、その後の保守売上やパッケージサービスの利用料売上も主要な収益となっております。

 当社では、人口減少に起因した人的作業の削減、従来事業の収益縮小などの顧客課題や、インバウンド対応や地域交通の再編などの社会課題に対し、当社が持つIoT技術及びWebシステム開発技術と業界知見を掛け合わせることで、無人化・省人化を支援するシステム開発や新サービスやビジネスモデルの変化に適したDXの企画提案を行い、その仕組みを自ら開発することで業界の課題に対応しております。

 当社の事業、ソリューションごとの特長は以下のとおりであります。

 なお、報告セグメントはモビリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 ※1 モビリティ業界:交通や物流など人や物の移動によって経済活動を行う事業群の総称。

 

(1)事業の特長

①業界特化の顧客理解力

 当社は、創業当時から世の中の動静や社会課題などに注目し、それらの背景から発生する企業の課題を解決するためのソリューション提供に取り組んでまいりました。また、他のITベンダーの下請けでは顧客企業の声を拾いきれないことから、モビリティ業界の顧客企業と直に対話を行うことにこだわり、顧客との共創型の課題解決手法により、その実現に必要なシステムの開発を行いつつ、モビリティ業界特有の業務フローに内包される課題や特徴に対する理解も深めてまいりました。

 モビリティ業界に特化し、顧客との直接的な関係構築によって、「開発実績」と「案件を通じて得られる業界知見」を増やすことで当社独自のポジションを築きながら、他社との差別化を図ってまいりました。

 今後もモビリティ業界は、地方自治体などで公共交通系のドライバー不足からくるライドシェア問題を始め、様々な課題が発生することが予測されますが、当社は顧客との関係性を通じて構築してきた実績と業界知見を背景に、業界課題へ柔軟に対応してまいります。

 

②技術力

 当社は、ハードウエアを中心としたIoT技術とWebオープン系のソフトウエア技術を有しており、それらの技術に業界の知見を組み合わせることで、単なるシステム提供ではなく、モビリティ業界の課題解決を提案・実行するために欠かすことのできない業務オペレーションも考慮した総合的な企画開発を行えることが特長となります。

 具体的には、IoT技術として、車などの移動体、屋外環境、公共施設などの通信の安定が必要な場所への設置技術やIoT機器にとって不利な気象条件下でも稼働を可能とする技術を有しております。また、Web技術としては、モビリティ業界には特有のシーズナリティによって変動する需要に応じた価格設定や、在庫と連動した予約管理フロー、業界特有の法律や業界ルールなどに対応が可能な開発技術を有しております。

 

③モビリティ業界特化のプラットフォーム

 当社は受託開発技術を基礎としつつ、開発したサービスを機能毎に提供できる様、プラットフォーム化したパッケージサービスの展開も行っております。そのため、パッケージサービスを利用しつつ、顧客企業のニーズに応じたカスタマイズが可能です。これにより、フルパッケージでの一括導入はもとより、必要な機能のみを既存システムと組み合わせた一部導入など、各々のニーズに沿ったカスタマイズにより、顧客企業のDX化を迅速かつ低コストで実現することが可能となっております。

 

 

(2)ソリューションごとの特長

 当社の事業特性は、以下のサービスにおいて強みを持ち、事業展開しております。

①総合情報配信サービス

総合情報配信サービスは創業時からのサービスであり、屋外・店頭・公共空間・交通機関などの場所において、ディスプレイなどの電子的な表示機器(デジタルサイネージ)を使って施設の館内情報や交通機関の運行情報などの情報を発信するサービスを行っております。本サービスの特長は、複数のシステムから抽出されるフォーマットの異なる情報を統合し、統一した情報として配信することが可能な点や、音声案内・制御システム等の他の機能と連携し、画像以外の情報の配信が可能となる点です。本システムの事例としては、羽田空港リムジンバスの行先・発車時刻・空席情報などのダイヤ情報の表示において、バス会社2社が持つ仕様の異なるデータを統合し、単一の画面で表示しユーザーへ情報を提供しているものがあります。また、本サービスは屋内外の様々な環境下で設置・情報配信が可能となっており、近年ではサービスの特長を活用し、複数情報を統合して配信する必要があるバスターミナルなどにおいて、本システムが採用されております。

その他、本システムを活用したデジタルサイネージ導入支援サービス「Will-Signコンテンツパッケージ」は、多言語配信や緊急情報配信、スマートフォンとの連携をパッケージ化し、全国に販売網を持つ販売パートナーと連携することで、地方自治体や公共施設、交通機関、駅などといった各種事業者に向けた展開に取り組んでおります。

 

②クラウド化支援サービス

クラウド化支援サービスでは、顧客企業が利用するフロントエンドシステム(販売や予約システムなど)を中心にオンプレミス(サーバーやネットワーク機器、ソフトウエアなどを自社で保有し運用する利用形態)のシステムをクラウド化することによるリニューアルや、新規事業の販売系基幹システムの開発を行っております。
 

③モビリティシステムサービス

モビリティシステムサービスは、ガソリン車・EV車両の双方に対応する車載デバイスと、車載デバイスから取得した車両データ(位置情報、燃料残情報、車両情報など)に基づく鍵の制御や車両管理を行うための機能等を有するIoTゲートウェイパッケージの提供と、カーシェアやレンタカー、EV充電器の予約システム(予約決済、会員管理、管理画面)等から構成されております。これらは各機能別に独立したシステムとなっており、API連携により既存システムとの同期も可能なことから、フルパッケージでの提供はもちろん、顧客が必要とする一部機能の提供も可能となっております。

なお、自動車等のデータ取得等にかかるシステム基盤及び車載器については、韓国最大のモビリティプラットフォーム事業者であるAltimobility Corporation(本社:韓国ソウル市、代表者:JEONG KYU SEO)から技術協力を仰ぎ、機能の一部についてライセンス提供を受けつつ、当社が日本向けに追加開発した箇所については、当社と共同ライセンスの形で保持しております。

 

④AI・データサイエンスサービス

AI・データサイエンスサービスは、地方行政や自治体、地方公共交通などの顧客を中心に、事業領域に特化した実証実験や、地方公共交通再編のために複数の交通事業者や自治体などの交通利用データを分析、可視化することができるシステムの提供を行っております。可視化することで課題となる論点を整理し、顧客によるEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/エビデンスに基づく政策立案)による政策推進が可能となっております。

 

[事業系統図]

0101010_001.png

 

4【関係会社の状況】

 関係会社は次のとおりであります。

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の

被所有割合

(%)

関係内容

(その他の関係会社)

株式会社ゼンリン

(注1)

福岡県北九州市小倉北区

(注2)

6,557

情報・通信業

44.14

当社サービスの販売先

役員の兼任等…無

 (注)1.有価証券報告書を提出しております。

2.住所は登記上の本店所在地を記載しており、本社機能所在地とは異なっております。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

50

(7)

37.7

3.6

7,044,337

 (注)1.従業員数は就業人員(社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト及び派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(2)労働組合の状況

 当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。