文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは1946年の創業以来、「化粧品で人々に夢と希望を与え、明るい世の中をつくりたい」という使命を掲げ、化粧品ひとすじに、美と誠実に向き合ってきました。「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。」という存在理念(パーパス)とコーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」のもと、人と地球に寄り添い、かけがえのない生涯をともに美しく彩る企業へと進化してまいります。
2024年11月に策定した中長期ビジョンでは、多彩な美の選択肢を提供することで、世界中の一人ひとりが生涯にわたり自分だけの輝きを見つけられるよう、長い時間軸で寄り添い、美の力で明るく彩り続けたいという、創業以来当社が大切にしている強い想いを込めております。
お客さまに限らず、ビジネスパートナー、働く仲間、世界中のあらゆる人々や未来を生きる次世代、そして地球上の美しい自然とより長く、より深く、より強い絆を築き、企業価値の向上を目指してまいります。
日本での盤石な事業基盤の構築と圧倒的な存在感の確立により、確実な成長リソースを生み出し、持続的な成長に向けた投資に繋げます。グローバルでの事業成長は、「脱・自前」による地域への最適化をコアな考えとして、現地起点のマーケティング・モノづくりへの転換やM&A/提携による地域に根付いたブランドの獲得を積極的に進めます。また、これからの成長領域として、ジェンダー・ジェネレーションの垣根を超えた価値提供を強化いたします。これらにより世界中のお客さまにコーセーの多様な美の価値を提供することを目指します。
■2030年をマイルストーンとした定量目標
※1:税引後営業利益 / (有利子負債と純資産の合計の期中平均値) × 100
※2:グローバル人材÷グローバルキーポストで算出
※3:コーセー独自の8つの取り組みテーマ「アダプタビリティ∞」から、各ブランドが毎年注力する項目を決定し、その項目数に対して達成したサービス・商品数をカウントし総合達成率を算出
※4:2020年からの累積
※5:2018年対比での削減率
中長期ビジョンの詳細は以下のURLからご参照ください。
(日)https://corp.kose.co.jp/ja/ir/library/strategy/
(英)https://corp.kose.co.jp/en/ir/library/strategy/
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略
当社グループでは、経営課題の一部としてサステナビリティに関連する課題を捉え、その解決に向けた推進体制を整えております。代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ戦略を経営会議に提案、承認を受け、取締役会に報告を行う体制を構築しております。取締役会では、企業の持続可能な成長を支えるために、サステナビリティ戦略に関連する人権、気候変動、生物多様性をはじめとする重要課題に対し、当社グループを取り巻く社会や環境の課題とリスクや機会を包括的に分析・特定し、短期・中長期の視点で検討した対応策について、審議・決議することで、企業全体のサステナビリティ推進活動の監督機能を担っております。これらの体制により、企業全体のサステナビリティ推進活動に対する管理・監督を強化し、社会的責任を果たしながら、長期的な企業価値を向上させることを目指しております。また、当社グループのサステナビリティ戦略に基づき、サステナビリティ委員会の下部組織である「サステナビリティ推進委員会」 において個別テーマごとの分科会やプロジェクトを設置し、全社部門横断の取り組みとして実効性を高めた活動を推進しております。なお、サステナビリティの推進体制は以下のとおりであります。
サステナビリティ推進体制

当社グループは、コーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」をサステナビリティ指針に、基盤となるポリシーとして、行動規範と同じ「正しきことに従う心」を設定し、人々や地球環境の未来をよりよいものとするため、2020年にコーセーグループのサステナビリティ戦略と目標をまとめた「コーセー サステナビリティ プラン」を策定いたしました。その後、2024年に策定した、コーセーグループの中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner」では、サステナビリティプランをサステナビリティ戦略として刷新し、ビジョンに組み込むことで、社会の在り方や地球環境まで包含した考え方で、人と地球に寄り添い、社会と企業の持続的成長の両立を通じて、真の「Your Lifelong Beauty Partner」となることを目指しております。サステナビリティ戦略では、中長期ビジョンの重点課題(マテリアリティ)を特定するために、コーセーグループを取り巻く社会や環境の変化や課題と、関連する機会とリスクを抽出後、社会からの期待における視点と、社内関連部門による当社グループへのビジネス(財務)インパクトの視点という二軸による評価を実施しております。これらの課題を解決するために、各課題ごとの目標を設定し、取り組みを推進しております。

当社における「コンプライアンス」とは、法令遵守のみならず、「正しきことに従う心」をもって社会的倫理に則った行動をとることを示しております。コンプライアンス推進体制及び活動は、「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を通じて、定期的に取締役会に報告され、「コンプライアンス推進委員会」は取締役・従業員に対する研修などで啓発を行います。社内外に相談窓口を設け、報告・相談に対応する体制も整えております。また、当社の持続的発展を脅かすリスク、特にコンプライアンス・品質・情報セキュリティ・市場の問題や、災害発生など様々なリスクに対処すべく、リスクマネジメント・コンプライアンス規程を定め、「リスクマネジメント推進委員会」を設置してリスク管理体制の充実に努めております。危機管理規程のもと、重大なリスクが顕在化した場合に被害を最小限に抑制する体制を構築しております。
サステナビリティに関する人権、気候変動、生物多様性をはじめとするリスク・機会の識別、評価、管理の体制については(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略 ①ガバナンスをご参照ください。
「サステナビリティ戦略」では、中長期ビジョンの重点課題(マテリアリティ)で特定した、当社グループを取り巻く社会や環境の変化や課題と、関連するリスク・機会を解決するために、2030年を中期マイルストーンとした「人に寄り添う」「地球に寄り添う」の側面からコミットメントと目標を定めております。具体的には、「多様な美の価値観の尊重」という課題の対応が企業として遅れた場合のリスクは、顧客数の成長鈍化・既存顧客の離反という状況に陥る可能性がある一方で、グループ全体で積極的に取り組みを推進することで、機会として新たな顧客層の開拓が見込める可能性があります。このような課題分析を経て「多様な美の尊重」という重要課題と、それを達成していくための目標として「アダプタビリティ∞に基づく商品サービス提供率」を設定しております。また、「気候変動への具体的な対策」については、対応が遅れることで、台風や干ばつなどの極端な気象現象による、原材料調達への影響がリスクとして考えられます。一方で、気候変動対策として、気温上昇による発汗にも耐えられる機能性化粧品や日やけ止め、環境配慮型化粧品などを上市することで、エシカル志向な消費者の支持獲得にもつなげていくことができると考えております。このような課題分析を経て、「環境負荷低減の推進」という重要課題と、それを達成していくための目標として「CO2排出量の削減」を設定しております。この様に、当社グループは特定したリスクや機会に対する目標を設定し達成に向け、年度ごとに取り組み状況をまとめ、進捗状況を公表しております。
「サステナビリティ戦略」 重要課題と中期目標(人に寄り添う)
*1 コーセー独自の8つの取り組みテーマ「アダプタビリティ∞」から、各ブランドが毎年注力する項目を決定し、その項目数に対して達成したサービス商品数をカウントし総合達成率を算出
*2 グローバル、ジェンダー、ジェネレーションを表す造語
「サステナビリティ戦略」 重要課題と中期目標(地球に寄り添う)
*1 対象年に発売した新製品の実績
*2 当社グループ生産部門
(2) 気候変動への対応 ~TCFD提言に基づいた対応~
当社グループでは、2019年度に自社を取り巻く社会・環境課題のマテリアル分析を行いました。その結果、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みと2030年までの目標をまとめた「サステナビリティ戦略」の中で、環境・気候変動問題への対応を「事業成長」と「持続可能な社会の実現」の両立を図るために、欠かすことのできない重要な経営課題の一つとして認識しております。
また、2020年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同するとともに、国内賛同企業などによる組織「TCFDコンソーシアム」に加入し、2021年にはTCFD提言に基づいた対応を実施いたしました。
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1)コーセーグループ サステナビリティ戦略をご参照ください。
②戦略
当社グループは、気候変動における移行リスク及び物理的リスクを検討するため、シナリオ分析を実施し、1.5℃/2℃及び4℃の気温上昇がもたらす世界の気候変動が与える財務的な影響を評価、企業としての取り組み情報の開示を行うと同時に、将来の社会と地球の姿を実現するための経営戦略などを検討する材料としても活用しております。更に、シナリオ分析の結果から、事業活動によるCO2排出に対して気温上昇の削減目標を設定する重要性を強く認識し、2022年に「低炭素移行計画」を策定、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しております。
③リスク管理
組織の気候変動に関連するリスクは、ERM(統合型リスク管理)におけるコーポレートレベルでの評価を「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を中心に特定・評価しております。気候変動に関する課題の監視は、これらの枠組みをもとに、「サステナビリティ委員会」及び「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」によってモニタリングしております。
コーセーグループの捉えるリスクと機会
※ -:影響は軽微 +:一定の影響がある ++:大きな影響がある
④指標と目標
気候変動のシナリオ分析の結果から、事業活動によるCO2排出に対して、精力的な削減目標を設定する重要性を強く認識いたしました。そして、「サステナビリティ戦略」の中で、当社グループが排出しうる温室効果ガスとしてCO2の排出削減を取り組みテーマの一つとして掲げ、2030年までのGHG排出量削減目標をScope1・2で55%削減(SBT1.5℃目標※に準じた設定)バリューチェーン全体(Scope3)で30%削減と設定(いずれも2018年度を基準)いたしました。
※SBT:Science Based Targetsイニシアチブが提唱する、パリ協定が求める水準と整合した目標。
世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるための科学的な根拠に基づき設定。
2024年度CO2排出量目標に対する実績
* 2024年度実績については会社算定値であり、第三者検証後、下記
具体的な取り組み
当社の主力生産工場である群馬工場(群馬県伊勢崎市)において、2021年より、購入している全ての電力を再生可能エネルギーへ切り替えを実施し、2023年からは狭山工場(埼玉県狭山市)等、国内拠点でも段階的に再生可能エネルギーへの切り替えを推進しております。
商品・サービスにおけるCO2排出量可視化
当社グループでは、「サステナビリティ戦略」中で、2040年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル、2030年までにSBT1.5℃目標に準じたCO2排出量削減目標を掲げ、脱炭素戦略を推進しております。また2022年には、環境省が実施した「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参加し、カーボンフットプリント算定・表示における実務上のノウハウの蓄積や、サステナブル対応の効果測定、ライフサイクルにおける環境負荷ホットスポットの特定を行いました。2023年以降には、『雪肌精』をはじめとする商品で算定を拡大し、情報発信を実施しております。今後も本取り組みを通じ、バリューチェーン全体のCO2排出量削減を加速させ、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

2024年3月発売の「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」でもカーボンフットプリント算定による商品のCO2排出量可視化を実施
(3) 人的資本への取り組み
① ガバナンス
人的資本への取り組みに関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセーグループサステナビリティ戦略 ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略及び指標と目標
◆人材戦略の基本方針
当社グループは、更なる成長ステージを目指した中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030」を推進しております。当社の存在理念「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。」の追求に向け、新たにありたい姿“Your Lifelong Beauty Partner”を策定いたしました。美を通じて世界に寄り添い、一人ひとりの生涯を彩る活動により、持続的な成長と企業価値向上を目指します。ビジョンの達成に向けた人材戦略として「成長を支える人的基盤の拡充」を推進するとともに、各種施策に取り組んでまいります。
(ⅰ) 人材育成理念と育成方針
当社では、「コーセーグループ行動指針」の中で、各人の人権と多様な能力・個性・価値観を尊重することを明記しております。それを前提として、下記の「人材育成理念」・「人材育成方針」を定めております。
◆人材育成とイノベーションの創出
当社では、人材育成方針に掲げられた「自ら磨く」を実践するために、理念や目標を共有しながら、一人ひとりの多様性を活かして自ら学び成長する姿勢を重視しております。その支援のための制度として、自らキャリアを考察し実現させる「人材公募制度」「自己申告制度」などを活用し自身の夢の実現を叶えた社員が多くおります。また成長のための各種研修制度や通信教育補助等も充実しております。人材育成のプログラムとしては、階層別研修として新卒~中堅~管理職とキャリア段階に応じた研修を行っている他、次世代リーダー育成のためのイノベーション創出プログラム「LINK※」、シニアのためのキャリア支援などを実施しております。タレントマネジメントシステムの導入や360度評価の実施も行っており、各自の適性に合わせた人材育成に努めております。また、各部門の特性に応じた実務研修の機会を設け成長を促しております。その他、化粧品の新しい価値提供の検討と立案を行う組織横断プロジェクト形式の研修なども実施し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンによるイノベーションの創出を目指しております。
※LINK(Leadership and Innovation program for New KOSÉ):2017年に発足した社内ベンチャー制度
人材育成プログラム

◆従業員の働きがいを向上するために
当社では、従業員は企業価値向上を支える大切な財産であり基盤と捉えております。従業員のエンゲージメントや貢献意欲が高まることが、組織の活性化につながり、競争力強化につながると考えております。そのため、働きやすく、働きがいのある職場づくりを目指して、定期的に社員意識調査や360度評価を実施しております。調査の結果は、経営層や政策検討会議などで報告し、調査結果の分析、課題の整理、施策の検討・実施を進めております。2022年度の調査では、会社へのロイヤルティや仕事への充実感が、社会全体の平均値と比べて高い傾向にあることがわかった他、前回の調査と比較して、女性社員の会社に対する満足度が有意に向上していることがわかりました。
また、2017年度からは「働きがい創出実行委員会」を設置し、委員長・副委員長は主に経営幹部や人事部門責任者が務め、活動メンバーは部門横断型の多様な社員を選出し、従業員の更なるエンゲージメント向上に向けた様々な取り組みを推進しております。
◆ビューティコンサルタントの活躍のために
店頭などで活躍するビューティコンサルタントに対しては、販売職としての職務のスキルアップはもちろん、将来的に教育職や店舗責任者などへキャリアパスが選択できるように支援してまいりました。
<取り組みの一例>

◆採用の多様化と早期登用・抜擢の推進
グローバル化とボーダーレス化が進み、市場環境や顧客ニーズが急速に変化する中においては、多様な個性やバックボーンを持つ人材の育成が必要不可欠であります。そこで当社ではキャリア採用を強化し、多様な人材の獲得に取り組んでおります。グローバルな事業成長を実現するため、新中長期ビジョンにおいては定量目標として「グローバルキーポスト人材充足率」を設定し、グローバルな人的基盤を強化してまいります。
また2022年度には総合職の評価制度を見直し、年功的な昇格モデルから脱却し、早期登用・抜擢が可能な制度に改定を行い、社歴や年齢にとらわれず能力ある社員が活躍する組織づくりを推進しております。
<人材育成関連指標>
(ⅱ) ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
世界中で「独自の美しい価値と文化を創造する」ためには、世界の変化を先取りして独自の価値を創出し続ける、世界に通用する人材の力が必要であります。
一人ひとりのダイバーシティ(多様性)をお互いにインクルージョン(包摂)することで、企業の推進力へつなげるために、コーセーグループでは、中長期ビジョンの達成に向けてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン経営の実践に取り組んでおります。さらに、さまざまな情報や機会へのアクセスを公平に保障していくべきというエクイティ(公正性)の概念を加え、頭文字をとったDE&Iの取り組みを加速させております。
コーセーは美の創造企業として、「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。」を存在理念として掲げております。その実現には、すべての働く仲間一人ひとりの違いを尊重し、違いを受け入れる風土づくりと、それぞれに合わせた環境を整えることが重要であります。社員がお互いの多様な個性を理解し、高め合っていくことは、ひいてはグローバル社会や市場の変化に対応し、多様なお客さまに向けた独自の価値を創造し続けるための源泉となると考えております。そのため、経営戦略の一環として、全社でDE&Iの取り組みを推進しております。
◆ジェンダーにとらわれずに誰もが活躍するために
1946年の創業以来、全ての社員が、性差に関わらず自分らしく自信をもって生きる社会へ貢献したいと思いを一つにして、お客さま一人ひとりのための“きれい”を提供できる化粧品をお届けしてまいりました。社内では、1999年の「男女共同参画社会基本法」の施行に先駆け、1985年には当社グループで初めて女性の取締役が就任するなど、多様な価値観を企業のチカラへ反映する企業文化が、現在に至るまで根付いております。現在、当社グループでは、美容職を含めた女性の割合が従業員全体の約8割を占めております。そのため、性差に関わらず、それぞれのライフイベントに合わせた柔軟な働き方ができる環境を整備し、安心して自身の能力を発揮できるための様々な取り組みを実施しております。
また、「コーセーグループサステナビリティ戦略」の取り組みテーマの一つ、「ジェンダーにとらわれずに活躍できる社会への貢献」を実現するために、社内に対して、女性活躍を含めた性差に関わらず自分らしさを最大限発揮できる環境整備の推進はもちろん、社会に対しても、女性のエンパワメントなどの支援の輪を広げていきたいと考えております。
また、当該方針について以下のKPIを設定し、目標達成に向けて取り組んでおります。
<ジェンダーダイバーシティ関連指標>
◆障がい者と健常者がともに働く環境づくり
障がい者と健常者がそれぞれの役割を果たしながら、いきいきと働ける環境づくりを進めております。本人の意欲と適性をもとにさまざまな部門に配置され、健常者とともに活躍をしております。専門的なサポートが必要な場合は、障害者職業生活相談員や産業医へ気軽に相談を行うことができる体制はもちろん、社外にも健康相談窓口を設け、安心して働くことができる環境を整備しております。
また、化粧品会社として初めて設立された特例子会社「アドバンス」においても、障がいをもつ人と健常者が、同じミッションを果たすために働いております。
◆年齢を問わず活躍できる職場
長年、各分野で培った経験を活かして、本人の意欲と能力に合わせて働き続けられるように、定年後の再雇用制度を導入しております。50代の従業員に向けたライフプランセミナーや、定年退職時の各種制度等を理解できる機会を設け、自分らしい人生選択ができるよう、サポートを行っております。また、定年退職後も就業継続を希望する社員には再雇用制度を提供し、熟年層ならではの技能やノウハウを次世代社員へと引き継ぎつつ、当事者の働く意欲を活かす体制にしております。
また、チャレンジ精神を醸成するために、若手のうちから責任のある仕事を任せ、アクセラレータープログラムと融合したイノベーション創出プログラム「LINK」を実施するなど、年齢を問わずに活躍できる企業風土を形成しております。
③健康経営
従業員が心身ともに健康であることは、会社の成長を支える重要な経営基盤となります。
当社グループでは、代表取締役社長が健康経営推進責任者となり、従業員の健康増進を重要な経営課題の一つと位置付け、従業員の健康リスク=経営リスクである「健康経営」という考え方を持ち、このリスク低減を目的に健康管理を重要な経営課題の一つとして取り組んでおります。
健康経営を通じた企業の持続的な成長を目指すため、人事担当役員を責任者としてコーセーグループ会社と健康保険組合、労働組合、産業保健スタッフが一体となって「健康管理強化プロジェクト」会議を推進し、健康促進に取り組んでおります。
具体的には健康診断100%受診やメンタルヘルス支援などの取り組みを推進するとともに「健康経営優良法人認定2024」を取得し、働きがいのある職場を整備しております。今後も従業員の活力を高め、持続的な成長につなげてまいります。
また近年では以下のKPIを設定し、女性の健康課題への取り組みを強化しております。
<健康経営関連指標>
④リスク管理
人的資本への取り組みに関するリスク管理は、当社グループのサステナビリティ戦略に組み込まれているため、(1) コーセーグループ サステナビリティ戦略「コーセーグループサステナビリティ戦略 ③リスク管理」をご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性のあるリスク並びに投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が主要なリスクと判断したものでありますが、ここに掲げられているものに限定されるものではありません。
当社では、将来にわたる事業の継続性と安定的発展の確保のため、全社横断的な組織として、「リスクマネジメント推進委員会」を設置し、リスクを網羅的に洗い出し、定性的な分析・評価を行うとともに、甚大な影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、必要な対策を講じております。具体的には、毎年、関係会社及び各部門の責任者へのアンケートを通じて、リスク項目を抽出するとともに、「リスクが顕在化した場合の経営成績等の状況に与える影響」「リスクが顕在化する可能性の程度」の2つの評価軸で優先付けを行っております。
リスクアセスメントで抽出したリスクは、リスクカテゴリーごとに集約し、「戦略リスク」「事業・財務リスク」「政治・経済リスク」「事故・災害リスク」「人事・労務リスク」「法令違反・賠償リスク」に分類し、定期的にそれぞれのリスク対応の現状と進捗状況をモニタリングする仕組みを構築・運用しております。
2025年の世界経済においては、各国の中央銀行による金融政策に加え、米国の新政権の経済政策による影響に注目が集まっております。
日本については、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果や訪日客数の増加による後押しを背景に、緩やかな景気回復が続くことが期待されます。しかし、2024年から続く物価高による個人消費回復の足踏みや海外景気の下振れ等により、経済成長は鈍化する可能性があります。
アジアにおいて、中国本土では一連の経済政策によって2024年のGDP目標は達成したものの、引き続き個人消費の回復に時間を要すると予想されます。
米国では、経済政策の動向に注視が必要なものの、足元の労働市場及び物価指数は安定した推移を見せており、米国経済は底堅く推移すると予想されます。
当期(2024年1月1日から2024年12月31日まで)における日本経済は、一時的に停滞感が見られたものの、緩やかな景気回復基調を維持いたしました。物価上昇により、個人消費に一部足踏みが残るものの、雇用・所得環境が改善している中、持ち直していくことが期待されます。
当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済において、中国では景気下支えのための金融緩和や一連の経済対策が発動されるも、不動産不況や個人消費の低迷により、景気は減速しております。米国では物価上昇率は穏やかな推移を示し、かつ失業率も引き続き大きな悪化は見られない一方で、新政権の経済政策を巡る動向には注視が必要であります。
日本の化粧品市場においては、リオープニング効果の一服感により、売上成長率は下期に入って緩やかになったものの、訪日客の増加を受けたインバウンド売上の後押しもあり、堅調に推移いたしました。
アジアの化粧品市場においては、中国では市場全体で停滞が見られる中で、客単価の低下や消費のダウングレードといった厳しい環境が続いております。11月の大型ECセールでは、多くのプラットフォームが過去最長の販売期間を設定したにもかかわらず、化粧品市場全体で減収となりました。
米国の化粧品市場においては、売上成長率が年初より徐々に減速する中、ホリデー商戦は前年を上回る売上高となりました。しかし、多くの消費者が価格に対してより敏感になっていること等、今後の消費者動向については留意する必要があります。
このような市場環境の中、当社グループは2024年11月に公表した中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030」を推進しております。現在は、フェーズ1「構造改革の完遂と基盤再構築」に位置付けており、日本事業の収益性向上に向けた事業構造の見直しとアジア事業の売上拡大に向けた投資を実施いたします。詳細は、第2[事業の状況][1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]をご覧ください。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,463百万円増加し、383,121百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,870百万円増加し、92,490百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,592百万円増加し、290,630百万円となりました。
当期における当社グループの業績については、中国市場において減収となった一方、日本の主要ブランド及び欧米を中心に展開する「タルト」が売上高を大きく伸ばしたことにより、連結売上高は前期比7.4%増の322,758百万円(為替の影響を除くと前期比5.0%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の割合は34.5%となりました。
利益については、プロダクトミックスの変化やグローバルな原料規制への対応に伴う廃棄増等により原価率が上昇しましたが、増収及び販売費のコントロールを実施した結果、営業利益は17,364百万円(前期比8.6%増)、経常利益は為替差益の増加により21,646百万円(同6.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、第3四半期以降に実施した中国の構造改革に伴う特別損失の計上により、7,510百万円(同35.6%減)となりました。
化粧品事業における売上高は、ハイプレステージ・プレステージともに増収となりました。
ハイプレステージでは、「コスメデコルテ」が減収となるも、「タルト」や「アルビオン」が好調に推移したことで、ハイプレステージ全体では増収となりました。「コスメデコルテ」は、日本国内で過去最高の売上高を記録するも、アジアにおける減収を打ち返すことができませんでした。プレステージでは、主要ブランドである「雪肌精」や「ONE BY KOSÉ」、「エスプリーク」の好調により、増収となりました。
同セグメントにおける営業利益は、プロダクトミックスの変化やグローバルな原料規制に伴う廃棄増等を要因に原価率が上昇したことで、減益となりました。
これらの結果、売上高は255,349百万円(前期比6.2%増)、営業利益は15,052百万円(同15.8%減)となりました。
コスメタリー事業における売上高は、特にコーセーコスメポート㈱の「ソフティモ」「クリアターン」やコーセーセルフブランドの「メイクキープミスト」が寄与し、増収となりました。
同セグメントにおける営業利益は、増収効果に加えて、販売費のコントロールを主因に、大幅な増益となり、営業利益率は10%台となりました。
これらの結果、売上高は64,719百万円(前期比12.3%増)、営業利益は6,980百万円(同137.3%増)となりました。
その他の事業は、主にアメニティ事業での増収に加えて、原価率の低下が寄与したことで、増益となりました。
これらの結果、売上高は2,689百万円(前期比16.9%増)、営業利益は1,427百万円(同45.9%増)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より2,088百万円増加し107,757百万円(前期比2.0%増)となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、18,379百万円の収入(同39.6%減)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益18,656百万円、非資金費用である減価償却費9,778百万円、退職給付に係る資産の増加3,122百万円、売上債権の増加3,776百万円、仕入債務の減少7,150百万円、その他の資産の減少2,829百万円、その他の負債の増加2,897百万円及び法人税等の支払い6,546百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8,932百万円の支出(同20.4%減)となりました。主な要因は、定期預金の減少による純収入21,621百万円、有形固定資産の取得による支出18,761百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出11,588百万円及び無形固定資産の取得による支出2,286百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、8,684百万円の支出(同10.3%減)となりました。主な要因は、配当金の支払い7,988百万円等であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。
当連結会計年度末の流動比率は337.7%、前連結会計年度末に比べ27.9ポイント減少、当座比率は230.4%、前連結会計年度末に比べ22.0ポイントの減少となりました。主な理由は下記のとおりであります。
資産は、前期末に比べ11,463百万円の増加となりました。
受取手形及び売掛金の増加5,615百万円、土地の増加1,467百万円、建設仮勘定の増加11,645百万円、のれんの増加9,888百万円、投資有価証券の増加911百万円、繰延税金資産の増加1,115百万円、現金及び預金の減少18,875百万円、原材料及び貯蔵品の減少1,084百万円、機械装置及び運搬具の減少925百万円等によるものであります。
負債は、前期末に比べ3,870百万円の増加となりました。
未払法人税等の増加1,853百万円、未払費用の増加1,816百万円、支払手形及び買掛金の減少1,271百万円、電子記録債務の減少3,631百万円等によるものであります。なお、有利子負債残高は11,224百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました。
当連結会計年度の売上高は、322,758百万円(前期比7.4%増、22,351百万円増)となりました。
これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ255,349百万円(同6.2%増、14,898百万円増)、64,719百万円(同12.3%増、7,063百万円増)となりました。その他の事業の売上高は2,689百万円(同16.9%増、389百万円増)となりました。
当連結会計年度の売上原価は、100,185百万円(前期比12.3%増、10,975百万円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、205,208百万円(同5.1%増、9,997百万円増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高比率は1.4ポイント減少いたしました。
当連結会計年度の営業外損益は、4,281百万円の利益(前期比0.4%増、前期比15百万円増)となりました。当連結会計年度は為替差益2,708百万円(同36.9%増、730百万円増)を計上しております。
当連結会計年度の特別損益は、2,989百万円の損失(前期比2,243百万円増)となりました。事業整理損4,572百万円(前期比4,236百万円増)を特別損失に計上しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より2,088百万円増加し107,757百万円(前年比2.0%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
当社グループは「Vision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030」の実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。
自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。
当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。
利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。
化粧品市場においては、リオープニング効果の一服感により、売上成長率は緩やかになったことに加え、一部地域の市場停滞が売上に影響を与えました。
2025年の世界経済においては、各国の中央銀行による金融政策に加え、米国の新政権の経済政策による影響に注目が集まっており、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。
当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。
今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。
当社グループは、売上高成長率、売上高営業利益率、EBITDAマージン、ROICを重要な経営指標としております。それぞれの前連結会計年度、当連結会計年度推移及び「Vision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。
当連結会計年度は売上高成長率及び売上高営業利益率は前連結会計年度を上回ったものの、EBITDAマージン及びROICは前連結会計年度を下回りました。その要因として、経営成績が前連結会計年度を上回ったものの、新規連結子会社の買収及び南アルプス工場の建設等により投下資本が増加したためであります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。
(注) ROIC=税引後営業利益/ (有利子負債と純資産の合計の期中平均値)×100
セグメント資産は、現金及び預金の増加2,100百万円、売掛金及び受取手形の増加3,296百万円、棚卸資産の減少1,747百万円、有形固定資産の増加4,668百万円、無形固定資産の増加8,963百万円等により、前連結会計年度末に比べ18,110百万円増加の266,180百万円となりました。
セグメント資産は、現金及び預金の増加133百万円、売掛金及び受取手形の増加2,149百万円、棚卸資産の増加337百万円、有形固定資産の増加4,910百万円等により、前連結会計年度末に比べ9,561百万円増加の53,015百万円となりました。
セグメント資産は、現金及び預金の減少269百万円、売掛金及び受取手形の増加181百万円、有形固定資産の増加527百万円等により、前連結会計年度末に比べ345百万円増加の4,454百万円となりました。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。
2024年12月10日付でPURI CO.,LTD.の株式譲渡について株式譲渡契約書を締結し、2024年12月26日に株式を取得いたしました。
当社グループは、お客様のニーズに合った化粧品を市場に提供するために、主に、以下の国内二拠点を中心として研究開発活動に取り組んでおります。
コーセー製品開発研究所‥‥‥‥‥‥‥製品開発研究・管理、海外市場研究、薬事戦略、
サステナビリティ研究、研究戦略・管理
コーセー先端技術研究所‥‥‥‥‥‥‥先端技術研究、皮膚科学研究、基盤技術研究、品質保証研究、
IT関連技術開発・管理
当連結会計年度におきましては、更なる顧客価値創出のための技術開発力と品質保証体制の強化、グローバル化への対応を進め、研究開発活動のより一層の向上に努めました。
当連結会計年度における研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。
製品研究分野の研究成果として、当連結会計年度において開発いたしました主な製品は以下のとおりであります。
スキンケア製品・ヘアケア製品
メイクアップ製品
基礎研究分野では、皮膚老化に関わる細胞の老化連鎖因子を発見し、また、iPS細胞から新たな皮膚モデルを作成することにも成功し、それぞれ国内の学会で受賞するなど高い評価を得ております。本成果は、皮膚の若返りに関する成分や化粧品のパーソナライズ化に向けた評価系の開発につなげてまいります。フランスリヨンでは、心理的ストレスと肌のバリアの関係性を示すウェルビーイング研究を進め、化粧品分野における代表的な国際学会であるIFSCCにて高い注目を集めました。また、臨床試験により日やけは運動時の疲労を高めること、そして日やけ止めの使用が運動時の疲労軽減の面でも有用であることを示す化粧品の新たな価値づけの研究や、質量分析機による化粧塗膜中の成分の可視化技術を経皮吸収試験に応用し、3Dで成分の浸透性を見るといった新たな評価技術の開発などを進めております。
一方でデジタル技術を駆使した先端的な研究にも取り組んでおります。関西大学との共同研究では、化粧品のオンラインカウンセリングサービスにおいて、お客さまの気分を音声からリアルタイムで推定する数理モデル(気分推定モデル)の開発に成功いたしました。また、2020年にサービス化したシワ予測モデルのさらなる進化を目指し、個々の老化特性をより深く理解するための新たなエイジング予測モデルの開発にも着手しています。これらの研究成果は、今後、新製品の開発や製剤のパーソナライズサービスに随時応用し、より個々のニーズに合ったソリューションの提供を目指してまいります。
また、顧客層のさらなる拡大を目指し、子どもや男性のニーズに焦点を当てた調査研究も進行中であります。特に、化粧品のグローバル市場において新たに注目されるZalpha世代を対象とした独自調査を実施した結果、化粧品使用の低年齢化が顕著であることが確認されております。この世代は、外見や容姿に対する意識が高く、容姿や外見とポジティブに向き合うための教育や支援の必要性が明らかになっております。さらに、ウェルビーイング領域や感性研究にも注力しており、多様性を重視した製品開発やサービスの方向性を探る活動を強化していく方針であります。
以上の結果、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は