第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループをはじめとするグローバルな食の世界に携わる企業を取巻く環境は、地政学リスクの高まりや気候変動等の要因によって変化するサプライチェーンの状況、為替変動や金利動向等の世界経済状況から受ける影響のほか、世界的に広がる食や供食形態(内・中・外食)の多様化等によって、近年ますます大きな変化に晒されております。

他方、日本食を中心としたアジア食のグローバル化・ローカライズ化は着実に進んでおり、商品の多様化と販路の拡がりによって、世界各地の食生活に幅広く浸透しつつあります。また、環境への配慮や健康に対する意識の高まり、味や値段・利便性とのバランス等、人々の食に対するニーズがさらに多様化する中、既存の食品業界の領域を超えて、様々な技術・サービスが新たに生まれております。

このような環境下において、当社グループは、既存事業の量的・質的成長の加速、青果事業のグローバル展開推進、新規事業創出による成長等を目的とした中長期戦略のもと、更なる飛躍と進化に向けて各種施策に取り組んでおります。

 

中長期戦略

1. 既存事業の量的・質的成長加速

・営業力・商品開発力強化による新規市場・販路開拓

・PB(プライベートブランド)拡充と物流費低減による粗利率向上

・SCM(サプライチェーンマネジメント)強化と販売・輸出入業務のデジタル化・AI化による経費率低減

・潤沢な自己資本・現預金を活用したM&A等による事業規模拡大

2. 青果事業のグローバル展開推進

・知的財産権を活用した日本の青果物の海外生産、及び海外販売事業を新たな収益の柱として育成

3. 新規事業創出による成長

・デジタルやフードテック等の新技術を活用したソリューション事業の創出

4. メディカルフード事業領域の基盤生成

・誰もが等しく美味しく食べられる食の開発・提供

 

これらの戦略や取組を通じて、当社グループは、自社の成長だけでなく、世界の食産業や国際社会の発展に貢献してまいりたいと考えております。アジア食や日本の青果物等の世界的な普及等を通じて、世界の人々に「食べること」による新鮮な経験と楽しい日常生活を届けること、そして、食の世界における様々な課題やニーズに対して変革をもたらすソリューションを提供し、そこに携わる人々が幸せと豊かさを享受できる世界の実現を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

《サステナビリティ全般》

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、創業以来培ってきた世界に拡がるネットワークと、国境を越えて商品をスムーズに行き来させる高度な機能があり、グローバルに商品の企画・開発から販売・物流に至るまで一貫して対応できる強みがあります。この事業基盤を最大限に活用し、既存事業の規模拡大と収益性向上に向けた改革、食の商流・物流におけるDX取組とプラットフォーム提供、食の領域と他の領域が融合する新たな事業分野での新規事業の創出、食品安全性及び食品コンプライアンス対応の徹底による持続可能な食のグローバル流通、海外地域マネジメント及びガバナンスの強化等を推進し、Wismettacらしい形で国際社会の課題解決と持続的発展に貢献する、唯一無二のグローバル食品企業を目指すことをサステナビリティ基本方針として取り組んでまいります。さらに当社グループは、この基本方針に基づいたサステナブル経営の重要課題(マテリアリティ)と取組課題を、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)毎に設定し、当社ホームページにて開示しております。

https://www.wismettac.com/ja/sustainability/Basic_Sustainability_Policy.html


《気候変動への対応》

当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」を定め、この基本方針に基づいたサステナブル経営の重要課題(マテリアリティ)と取組課題を設定しており、この重要課題の1つに「気候変動の緩和と適応」を挙げております。

課題を解決するにあたり、当社の事業に影響を及ぼす気候変動に関するリスク及び機会について、TCFD提言に基づいた分析及び情報開示を行っております。

 

(ガバナンス)

気候変動に関する重要な検討事項については、代表取締役会長CEOを議長とする取締役会にて最終決定しております。

気候変動によるリスク及び機会の検討等、気候変動に関する具体的な諸課題については、代表取締役会長CEOの直轄部署であるグループガバナンス・ビジネスエシックス部にて協議・モニタリングを行っております。その内容は、月1回の頻度で監査等委員会に報告、四半期に1回の頻度で取締役会に報告され、それぞれ議論されております。

取締役会での決定事項は、各業務執行部門やグループ会社の取組に反映されております。このように気候変動に関する対応については、全社的な経営戦略への統合を行っております。


(戦略)

気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、カーボンニュートラルの目標年である2050年時点を想定したシナリオ分析を行いました。

分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表するシナリオを用いて、2100年までの気温上昇が、産業革命期頃の世界平均気温と比べて4℃程度上昇する4℃シナリオと、1.5~2℃程度に抑えられる1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで定性的な分析を行いました。

4℃シナリオでは、風水害をはじめとする物理的な影響が拡大・激甚化することが想定されております。また、成り行き的な化石燃料の需要拡大による原油価格の上昇も想定されております。当社グループは、船会社との契約により食材をグローバルで輸送し、陸上輸送については、トラックをはじめとする自社物流機能を展開し、事業を行っております。そのため、物流や化石燃料に関する影響は大きいと分析しております。

4℃シナリオで特定及び評価したリスクに関する現在の対応として、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)の強化や省エネルギーへの取組を行っております。BCPの強化については、社員の迅速な安否確認といった初動対応から、経営資源の下での迅速な営業再開に向け、代替仕入先の選定や代替倉庫の選定・在庫移送、システム復旧までの資産の保護・利用等を行う体制を整えております。また、当社グループの主な取扱商品の1つである水産物については、サステナブル認証商品の導入、陸上養殖を行った商品の導入等、商品の調達方法の検討をはじめとする持続的な供給体制を目指しております。省エネルギーの取組については、オフィスや倉庫のLED化を進めております。

一方、1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルへ向かう流れの中で、気温上昇を抑制する規制強化や技術革新が進むことが想定されております。例えば、温室効果ガス排出量の抑制に向けたカーボンプライシング制度が強化された場合、当社グループの事業運営全体に対して財務的な影響を与えることが考えられます。特に商品の輸送には、自社で保有する配送用トラックを使用しているため、影響は大きいと分析しております。また、消費者の環境配慮への関心が高まることにより、当社グループの商品の需要にも変化が生じると分析しております。

1.5℃シナリオで特定、評価したリスク及び機会に関する現在の対応として、当社グループにおけるスコープ1、2、3の把握やエネルギー使用の効率化、環境配慮型の製品の提供等に取り組んでおります。スコープ1、2、3の把握を進める中で、エネルギー使用の見直しや再生可能エネルギーの導入をはじめとする、より効果的な排出量削減方法の立案につなげてまいります。なお、当社グループが行っているフードバンク等への食品の寄付は、食品ロスの削減と同時にスコープ3の削減にも寄与していることから、排出量削減方法の1つとなります。また、環境配慮型製品の提供の例として、サステナブル認証水産物商品の導入提案、環境影響に配慮した需要への対応を目的としたプラントベースフードの提供、プラスチック使用量削減を目的とした包装資材の導入等を行っております。

今後は、定性的に影響が大きいと分析したリスクを中心に定量的な分析を行ってまいります。分析の際に想定をした2つのシナリオのどちらの世界になったとしても、当社グループの事業が継続できるように対応策を実施し、食を通じた持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

主なリスクと機会

要因と事象

 

移行リスク

炭素税導入による操業コストの増加

 

物理的リスク

異常気象の激甚化による自社拠点・サプライチェーンの被災による商品提供の停止又は商品の品質低下

 

機会

環境配慮型製品及び水産物のサステナブル認証商品等への需要向上

 

 

 

(リスク管理)

グループ全体のリスク管理については、リスク管理統括部がリスク管理事務局として関連部署と協働でリスク管理全般に関する事項の検討・立案を行い、重要事案等については、月1回の頻度で開催される取締役会に付議又は報告しております。

その中で、気候変動によるリスク及び機会については、代表取締役会長CEOの直轄部署であるグループガバナンス・ビジネスエシックス部にてマネジメント活動を行っております。

 

<グループガバナンス・ビジネスエシックス部の役割(TCFD関連)>

グループガバナンス・ビジネスエシックス部はグループ全体における気候変動によるリスクや機会の識別及び評価を行い、月1回の頻度で監査等委員会に、四半期に1回の頻度で取締役会に報告/議論しております。当社グループのサステナビリティ基本方針とマテリアリティは、取締役会で決定したものであります。また、各業務執行部門やグループ会社の取組についてはグループガバナンス・ビジネスエシックス部がモニタリングし、取締役会及び監査等委員会に報告しております。

また、当社グループは食に関する事業を展開しており、食品安全性に関するリスク管理は特に重要と捉えていることから、フードセーフティ&トレーサビリティ統括部を設置しております。

フードセーフティ&トレーサビリティ統括部は、当社グループ全体の食品安全性に関するインシデント等のモニタリング、解決、改善を行っており、取締役会(原則毎月開催)で報告しております。食品安全性に関するインシデントについては、気候変動を起因とするものも含まれるため、フードセーフティ&トレーサビリティ統括部とグループガバナンス・ビジネスエシックス部の情報共有態勢を構築することで、全社的な気候変動リスク管理につなげております。

 

(指標及び目標)

当社グループでは、2050年のカーボンニュートラルの実現や国際的な脱炭素化に向かう目標の達成に向けて、グループ全体での脱炭素化に取り組んでまいります。現在は、国内及び海外拠点から排出されるCO2排出量(スコープ1、2、3)の把握と算定体制の整備、継続的なモニタリングを実施しております。今後は、削減目標の設定をはじめとする排出量削減に向けた取組を実施してまいります。

排出量内訳 2023年度 (t-CO2e)(*)

スコープ1

12,677

スコープ2(マーケット基準)

6,218

スコープ2(ロケーション基準)

6,287

スコープ3

1,769

 

(*)本データについて、当社グループは一般社団法人日本能率協会に温室効果ガス排出量の限定的保証を目的とした検証を依頼し、その結果は、「温室効果ガス排出量 検証報告書」として、以下に掲載されております。

https://www.wismettac.com/ja/sustainability/TCFD/main/018/teaserItems1/02/link/jmacc-tcfd2023.pdf

 

《人的資本》

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)

当社グループは食×世界×ソリューションのフィールドにおいて、全てのステークホルダーから信頼される組織として進化し続けていくために、各事業の強化・拡張、新規事業の創出・確立、組織間連携による価値創造をリードしていく人的ケイパビリティを高め続けることを人材戦略の基本方針としております。

また、人材戦略を支える3つの柱として、「個」の成長の支援×多様な「個」の特性や能力を生かす組織風土の醸成、リーダー人材の早期選抜・育成(グローバルレベル+地域レベル)、「個」及び「組織」の専門性強化、をテーマとして様々な取組を推進しております。*

*年齢や勤続年数によらず優秀な人材を重要なポジションに任命しており、また、日本、北米、アジア、欧州等各地域のグループ会社を跨ぐ赴任を含む人材交流を積極的に行う等、グローバルに活躍できる人材育成に注力しております。さらに個人及び組織の能力向上を目的として、各種研修プログラムを実施しております。

 

a.人材育成方針

当社グループでは「70:20:10 MODEL(*)」の考え方を基本に、人の成長には、学習・薫陶・経験の3つの「学び」が相互に寄与するという考えのもと、研修だけではなく、薫陶・経験の仕組み化(前述のグローバルレベルでの人材交流プログラムを含む)を含めて育成プログラムを設計し、人事と現場が一体となって人材育成に注力しております。

(*)ロミンガー社(米国にある人事コンサルタント会社。創業者は、マイケル・M・ロンバルドとロバート・W・アイチンガー)による調査結果をもとにした知見で、様々な経営者を対象に、「何がリーダーとしての成長に役に立ったのか」を調査した結果、「70%が経験、20%が薫陶、10%が学習」であったというもの。

(出典:Career Architect Development Planner, 5th Edition Paperback – 2010 by Michael M . Lombardo、Robert W. Eichinger)

 

b.社内環境整備方針

当社グループでは、持続的に成長できる強い企業になるための戦略として、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、「ワークライフバランスを工夫していきいきと働ける職場環境の提供」、「サステナブルな事業展開を支えるグローバル人材の採用、育成と登用」をキーワードとして推進しております。

新卒入社者だけでなく、様々なバックグラウンドを持つキャリア入社者も多く、多様な人材が活躍しており、国籍・民族・人種・信条・思想・宗教・性別・性的指向・障害・年齢・社会的身分によって差別することなく、従業員同士が多様な価値観を認め合い、多様な「個」の特性や能力を生かす組織風土の醸成を推進しております。

また、コアタイムなしのフレックスタイム制度、オフィスカジュアル制度の導入等、家庭と仕事の両立を支援し、誰もが働きやすい職場環境を目指しております。加えて、従業員の健康及び社員満足度の向上のため、健康経営も積極的に推進しております。

 

多様性を尊重し、働きやすい職場環境を推進する制度の例

・コアタイムなしのフレックスタイム制度

・オフィスカジュアル制度

・ワンフロア・フリーアドレス

・社内カフェテリアゾーン

・育児・介護・治療等のための時短/短日勤務制度

・結婚特別休暇、自治体によるパートナーシップ認定(結婚同様の扱い)

・就業場所における受動喫煙防止の取組

・GLTD制度(団体長期障害所得補償保険)

・理学療法士によるフィットケア、ボディケア、健康相談サービス

・兼業(副業)申請制度

 

 

(健康経営)

当社グループでは、食×世界×ソリューションを通じて、世界の人々のWell-Beingに貢献していく企業グループとして、さらなる成長を目指しております。人々のWell-Beingに貢献していく組織であり続けるためには、当社の社員ひとりひとりが健康的な生活に関する意識を高く持つことが必要であり、また社員が能力を十分に発揮し事業が持続的に成長するためには、ここで働く社員自身が心身ともに健康であることが不可欠であると考えており、社員の健康を重要な経営資源の一つと捉え、社員の健康維持・増進活動に対する積極的な支援と組織的な健康づくりを推進しております。

このような取組の結果、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」における「健康経営優良法人」(大規模法人部門)に4年連続で認定されております。

 

健康経営に関する数値データ

2021年

2022年

2023年

定期健康診断

健康診断受診率

99.7%

100.0%

100.0%

健診後の治療継続・再検査受診率

17.6%

30.0%

28.3%

特定保健指導実施率

22.9%

9.7%

8.9%

BMI適正数値の人数比率 (*1)

66.0%

67.9%

67.0%

喫煙率

15.3%

14.2%

14.5%

ストレスチェック

受検率

88.1%

94.1%

92.9%

受検者に対する高ストレス者率

16.7%

16.5%

15.2%

その他

傷病による休職者比率

0.0%

0.2%

1.2%

ウォーキングイベント参加率

20.4%

8.9%

10.0%

プレゼンティーイズム損失割合

-

20.1%

19.5%

ワークエンゲージメント (*2)

62点

63点

66

 

(*1)BMI18.5以上25.0未満

(*2)「wevox」による定量分析を採用(100点満点中の点数)

 

(指標及び目標)

人的資本の各方針に関する具体的な指標及び目標については、当社グループの人的資本への取組状況を踏まえたうえで、策定する方針であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 食品の安全性について

当社グループは、取扱商品に関するFS(フードセーフティ)に対応するため、グループ各社にFSを管理する部署を設置している他、グループ外の専門家等も活用し、情報収集とその分析を迅速に対応できる組織的な体制の構築に取り組んでおります。

しかしながら、偶発的な事由によるものを含め、商品事故が発生した場合や当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、回収費用や訴訟・損害賠償等による費用増加、風評リスクによる売上の減少等、当社グループの事業展開並びに業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 需給動向について

当社グループの主要取扱商品である農水産物や加工食品等の需給関係は、国際的な需要の変化や異常気象・自然災害等による供給量の減少、あるいは企業・個人の消費活動の変化や消費の不振等を要因として大きく変動する可能性があります。その場合には、国内及び海外の相場変動に伴う取扱量の減少や販売価格の下落が想定され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 為替変動について

当社グループは、関係会社を通じて、グローバルに食品・食材の調達、供給を行い、全世界で事業を展開しているため、売上高の海外比重が高くなっております。当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたって、在外子会社の財務諸表を円貨に換算する必要があるため、当該子会社の財務諸表の各項目は、換算時の為替レートの変動の影響を受けます。過去の為替レートと比較し、円高となる場合には、円換算額が表面上減少することになります。

また、為替レートの変動は、外貨建てで取引されている商品・サービスの提供価格及び仕入商品の調達コスト等にも影響を与える可能性があります。当社グループは、主要取引が米ドルを中心とした外貨取引であるため、米ドルの他通貨に対する外国為替変動リスクを軽減及び回避するため、三国間取引を行う等様々な手段を講じておりますが、為替相場の変動によっては、米ドルベースでの当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 海外事業展開について

当社グループは、北米・欧州地域を中心に海外事業展開を積極的に行っておりますが、海外においては、政治・経済情勢の変化、税務法制(関税、貿易協定)等の国際取引情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、労働賃金のコストアップ、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。かかるリスクに関して、当社グループでは現状、仕入先の拡充・販路の拡大等、リスク分散に努めておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 企業買収等について

当社グループは、欧州地域を中心に企業買収によって事業エリア及び事業規模を拡大してまいりましたが、当社が目指す事業展開の方向性を実現する上で必要な施策については、今後も積極的に取り組んでいく予定です。企業買収の際には、対象企業及び事業について財務、法務等のデュー・ディリジェンスを実施し、十分な精査、検討を行うことによってリスク低減を図っております。しかしながら、対象企業及び事業が当初計画していた業績を上げられない等の理由で、対象企業及び事業の価値が低下した場合には、のれんの減損等によって当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 事故、災害について

当社グループは、世界各地に営業・物流拠点を設置しておりますが、地震等の自然災害、疫病の大流行、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生した地域においては、営業・物流拠点等の破損、商品の調達困難、必要要員の確保困難等が生じる可能性があり、その場合には、販売能力の低下に伴い営業活動や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

さらに、営業拠点の移転や設備修復のための費用、商品調達等のコスト増加等も含めて、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 法的規制について

当社グループは、事業を展開する各国において、商品開発・企画から通関、保管・分荷、販売までのサプライチェーンの中で、局所的に若しくはサプライチェーン全体に亘り、当該国の法的規制を受けております。例えば、米国においては食品安全強化法(FSMA)に関連する規則等、国内においては主に食品衛生法等、多岐に亘る法的規制に対応することが求められます。このような環境下で当社グループは、現状、上述のようにFS体制を整備し、グループ横断的に現地法規制等の法的リスクを極小化するための体制を構築しているものと考えております。しかしながら、今後、これらの規制が強化又は変更された場合、又は新たな法規制が施行された場合には、当該法規制を遵守することによる事業活動の制限や見直しによる売上の減少、新規制対応に係る販管費の増加等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 情報・システムの管理について

当社グループは、事業活動を行う上で多くの機密情報や個人情報を保有しており、情報セキュリティ体制の強化に努めておりますが、ランサムウェア等のコンピューターウイルスの侵入やサイバー攻撃、不正アクセス等により、情報の流出や情報改ざん、システム停止等が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業務や提供するサービスの停止、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) PB(プライベートブランド)商品について

当社グループのPB商品は、国内外の協力メーカーによる委託生産を行っております。新商品開発及び販売を行う場合、現状、上述のようにFS体制を整備し、グループ横断的に現地法規制等の法的リスクを極小化するための体制を構築しております。しかしながら、予期せぬ不具合商品の発生によりPB商品の安心、安全、信頼が害され信用を失う可能性があります。また、商品に関する何らかの事故が発生した場合、その後速やかに適切な対応を取らなかった場合にも大きな信用失墜につながり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 業績の季節変動について

現在、当社グループにおいてはアジア食グローバル事業が売上高及び営業利益において多くの部分を占めており、業績への季節変動の影響は限定的と考えております。ただし、アグリ事業の主力商品群である輸入生鮮青果物は、第2四半期にあたる4月から6月までが繁忙期となり売上高が増加し、9月から11月までは国産果実の繁忙期となるため輸入果実の売上高は減少するといった季節変動性を有しております。そのため、当社グループ全体に占めるアグリ事業の売上高及び営業利益の割合が増加する、若しくは、当該事業の季節変動がより大きくなることによって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(11) 公益財団法人洲崎福祉財団との関係について

公益財団法人洲崎福祉財団は、2008年12月に当社の代表取締役会長CEOである洲崎良朗が、障害者支援のための助成活動を行うことを目的に設立した公益財団法人であり、当連結会計年度末現在、当社株式3,900,000株を保有しております。当社グループでは、同財団の活動に賛同し、2017年度までは寄附を行っていたこともありましたが、今後は寄附を含め、同財団との取引(当社からの配当は除く。)を行う予定はありません。

前述のとおり同財団は、当社の株主となっておりますが、当社株式の議決権行使に関しては同財団が独自で判断するものと理解しております。なお、当社代表取締役会長CEO洲崎良朗は同財団の代表理事を兼務しておりますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条10号(注)において公益財団法人の理事及び監事の構成に関する制限がなされており、同財団における洲崎良朗及びその親族が理事会に占める割合は限定的となっております。当社代表取締役会長CEOを含む当社グループ関係者の理事は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使については関与をしない方針であります。

 

(注)各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様といたします。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、2023年10月31日(みなし取得日:2023年12月31日)に行われたUniontrade S.p.A.及びUni Logistic S.r.l.との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前年同期との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績) 

当連結会計年度における経済環境は、欧米の中央銀行が利下げに転じる等、金融政策に変化が見られました。米国では良好な雇用情勢もあり個人消費が堅調に推移、欧州ではインフレ鈍化を受けた実質所得の増加により個人消費は緩やかに回復するも、産業構造の違い等を背景に、国別に異なる回復状況となりました。また、ウクライナや中東で紛争が長期化し地政学上のリスクが高まる等、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

このような状況の下、当社グループは食を扱うグローバルカンパニーとして、様々な事業環境の変化に対応しながら、安全かつ安定的な商品の供給に努めてまいりました。当社グループの主たる事業は、日本食をはじめとするアジア食品・食材を、北米中心に欧州、中国、東南アジア、豪州等で販売する「アジア食グローバル事業」並びに青果物等の国内販売、及び輸出・三国間貿易を行う「アグリ事業」であります。アジア食グローバル事業は、主力である北米地域の持続的かつ安定的な収益実現のための構造改革と、成長戦略の一つである北米以外の地域における営業基盤の拡充を積極的に推進してまいりました。アグリ事業では、国内における卸売市場向け、量販店、中・外食産業等向け販売に加えて、国産青果物の輸出や三国間貿易による海外販路の開拓、中国国内卸売事業等に取り組んでまいりました。

そのほか、海外のブランド食品や自社で企画・開発したシーズン商品、キャラクター商品を日本の輸入食品店・生活雑貨店等に販売する事業や、ナチュラルサプリメントの製造・販売事業も行っております。さらに、中期経営計画で掲げた「食産業ソリューション事業、内外フードテックへの投資」を踏まえ、食の世界に携わる事業者に対するデジタル技術を活用したソリューションの提供等を進めるとともに、 2024年5月には、食の領域に特化したベンチャーキャピタルファンド等への投資等を行うべく、投資子会社「Wismettac Ventures合同会社」を新たに設立いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高3,289億36百万円(前期比9.3%増)、営業利益62億70百万円(前期比43.1%減)、経常利益65億91百万円(前期比47.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失11億20百万円(前期は当期純利益62億68百万円)となりました。なお、アグリ事業における構造改革の実施や当社海外子会社にかかる顧客関連資産、及びのれんを含む減損損失等により、特別損失58億51百万円を計上しております。

また、当連結会計年度の期首より、従来「農水産商社事業」としていた報告セグメントの名称を「アグリ事業」に変更しております。この変更は、報告セグメント名称の変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

 

a.アジア食グローバル事業

アジア食グローバル事業の当連結会計年度における業績は、売上高2,726億67百万円(前期比15.2%増)、営業利益87億4百万円(前期比38.1%減)となりました。

北米地域においては、個人消費の増勢は鈍化するも、良好な所得環境を背景に引き続き底堅く推移したこと等により、売上高はレストラン向け、グローサリー向けともに前期比で増加したことで堅調に推移いたしました。大手グローサリーチェーンへの販売拡大、ナショナルブランドからプライベートブランドへの切り替え促進、シェアの確保に重点を置く営業施策等が奏功いたしました。また、円安の進行も前期比で円換算ベースの売上高を押し上げる要因となりました(米ドル円換算レートは、前期が140.56円であったのに対し、当期は151.58円)。

利益面では、適切な価格転嫁等による利益率維持に努めましたが、人材確保を目的とした給与水準の調整や広範にわたる物価上昇等による費用の増加に加え、中期経営計画に基づく成長投資等に係る費用の増加により、前期比で減益となりました。

欧州地域では、一部の国では景気低迷が続くも、欧州全体としては持ち直す傾向がみられることやインフレ圧力が緩和し利下げ局面へ入りつつある中で、個人消費が緩やかな改善傾向にあることに加え、前年10月に取得したイタリアUniontradeグループの業績が当連結会計年度の期首より取り込まれたことにより、売上高は前期比で増加いたしました。

アジア・オセアニア地域では、インフレの継続等による経済成長の鈍化も見られましたが、適切な価格転嫁及びチェーンレストラン向け売上が堅調に推移したことに加え、国内事業部による輸出事業が堅調に推移したことにより、前期比で増収となりました。

 

b.アグリ事業

アグリ事業の当連結会計年度における業績は、売上高519億74百万円(前期比13.0%減)、営業損失9億66百万円(前期は10億17百万円の営業損失)となりました。

売上高については、冷凍加工食材及び海外輸出で比較的順調な出荷を実現できた一方で、主力商品である輸入青果において取扱商材の絞込みや仕入調整を行ったこと、海外子会社において、景気低迷が継続する中、収益性を重視した販売施策の実施、上期における産地側での不作や不安定な海上輸送等の影響から販売時期を逸したこと等により、前期比で減収となりました。

利益面については、上期は急激な為替変動による原価高騰、適正な在庫調整を優先した販売及び価格設定等に起因して収益性が低下する一方、下期は輸入青果における取扱商材の絞込みや仕入調整が奏功したことに加え、海外子会社における販売施策による改善効果が出始め、さらに産地の切り替わりに伴い供給・海上輸送等が安定したことで収益性が改善しました。その他、ERPシステム導入等に伴う費用増加、中期経営計画に基づく新規事業の展開に係る先行投資等が発生するも、構造改革に伴う販管費抑制の効果等もあり、前期比で営業損失が減少いたしました。

 

c.その他事業

その他事業の当連結会計年度における業績は、売上高42億93百万円(前期比3.5%減)、営業損失3億43百万円(前期は1億67百万円の営業損失)となりました。

主力の輸入食品販売事業では、第1四半期は最大商戦であるバレンタイン・イベントの成功により売上高が順調に伸長いたしましたが、当連結会計年度を通じて日常的な輸入ブランド商品が円安やインフレの影響を受けたことにより、前期比で減収となりました。サプリメント事業は堅調に推移したものの、その他事業全体の売上高は前期比で減収となりました。

利益面では、円安継続による原価高騰により収益性が低下したことに加え、インフレに伴う人件費の高騰等イベント関連費用の増加に伴い、前期比で減益となりました。

 

 

(財政状態)
(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ312億46百万円増加し、2,440億2百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。

当連結会計年度末における流動資産合計は、2,100億16百万円(前連結会計年度末比323億59百万円増加)となりました。流動資産の増加は、現金及び預金の増加184億33百万円、棚卸資産の増加105億21百万円があったことによるものであります。

当連結会計年度末における固定資産合計は、339億85百万円(前連結会計年度末比11億13百万円減少)となりました。固定資産の減少は、リース資産(純額)の増加24億31百万円があったものの、顧客関連資産の減少25億99百万円、のれんの減少21億9百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ270億35百万円増加し、1,599億26百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。

当連結会計年度末における流動負債合計は、574億21百万円(前連結会計年度末比96億72百万円増加)となりました。流動負債の増加は、短期借入金の減少31億48百万円があったものの、1年内返済予定の長期借入金の増加101億85百万円があったことによるものであります。

当連結会計年度末における固定負債合計は、1,025億5百万円(前連結会計年度末比173億63百万円増加)となりました。固定負債の増加は、長期借入金の増加167億38百万円があったことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ42億10百万円増加し、840億75百万円となりました。純資産の増加の主な要因は、利益剰余金の減少31億23百万円(親会社株主に帰属する当期純損失11億20百万円計上による減少、配当金の支払い20億3百万円による減少)があったものの、為替換算調整勘定の増加78億87百万円があったことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,123億76百万円となり、前連結会計年度末から184億33百万円増加いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、13億17百万円の資金の支出となりました。主な要因は、非資金性費用である減損損失46億17百万円、減価償却費及びその他の償却費37億47百万円があったものの、棚卸資産の増加62億50百万円、法人税等の支払額29億66百万円、利息の支払額17億70百万円があったことによるものです。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が155億30百万円増加(前期は142億13百万円の資金の獲得)しておりますが、主に、税金等調整前当期純利益が93億47百万円減少、棚卸資産の増減額が72億60百万円減少となったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、26億2百万円の資金の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出12億80百万円、無形固定資産の取得による支出7億96百万円があったことによるものです。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が53億55百万円減少(前期比67.3%減)しておりますが、主に前期に発生した連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出46億25百万円が当期はないこと、有形固定資産の取得による支出が10億31百万円減少したことによるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、173億87百万円の資金の獲得となりました。主な要因は、短期借入金の純増減額による支出40億4百万円、長期借入金の返済による支出34億72百万円、配当金の支払額20億3百万円があったものの、長期借入れによる収入286億76百万円があったことによるものです。

また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が77億80百万円増加(前期比81.0%増)しておりますが、主に、短期借入金の純増減額による支出の増加71億55百万円、長期借入金の返済による支出の増加29億89百万円があったものの、長期借入れによる収入の増加177億57百万円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高

(百万円)

前期比(%)

アジア食グローバル事業

219,698

119.6

アグリ事業

47,266

85.5

その他事業

3,585

98.0

合計

270,550

111.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

 

c.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前期比(%)

アジア食グローバル事業

272,667

115.2

アグリ事業

51,974

87.0

その他事業

4,293

96.5

合計

328,936

109.3

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討

a.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ280億89百万円増加し、3,289億36百万円(前期比9.3%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業において、2023年10月に連結子会社化したイタリアUniontradeグループの業績が当連結会計年度の期首より取り込まれたこと等によるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ213億65百万円増加し、2,600億29百万円(前期比9.0%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業における増収によるものです。

以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ67億23百万円増加し、689億6百万円(前期比10.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ114億73百万円増加し、626億36百万円 (前期比22.4%増)となりました。この増加の主な要因は、アジア食グローバル事業において、北米地域を中心に人材確保を目的とした給与水準の調整や広範にわたる物価上昇等によって費用が増加したことに加え、中長期的な成長を見据えた投資を拡充したこと等によるものです。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ47億49百万円減少し、62億70百万円(前期比43.1%減)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ1億円増加し、25億87百万円(前期比4.0%増)となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ12億14百万円増加し、22億65百万円(前期比115.6%増)となりました。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ58億64百万円減少し、65億91百万円(前期比47.1%減)となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ2百万円減少し、6百万円(前期比31.2%減)となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比べ34億80百万円増加し、58億51百万円(前期比146.7%増)となりました。この増加の主な要因は、当連結会計年度において、アグリ事業における構造改革の実施や海外子会社にかかる減損損失が発生したこと等によるものです。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ93億47百万円減少し、7億46百万円(前期比92.6%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は11億20百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益62億68百万円)となりました。

 

 

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおりであります。

また、当社グループが持続的な成長を実現していくためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の戦略及び施策の実施が必要であると認識しております。そのために、経営者として常に外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握し、それに対する課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。

 

b.財政状態

当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

c.経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社グループにおける資金需要の主なものは、商材等の仕入・調達費用、販売費及び一般管理費等の運転資金及び物流・システム等を整備・強化するための人材や設備への投資資金であります。

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉とした自己資金調達を中心に、多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。

 

 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。