当社は、2025年4月10日開催の取締役会において、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)のスタンダード市場(以下「東京証券取引所スタンダード市場」といいます。)に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)393,449株を1株に併合すること(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2025年5月16日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
当社が2025年2月5日付で公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、株式会社Mint(以下「公開買付者」といいます。)は、東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注1)のための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施することを決定いたしました。
(注1)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
そして、当社が2025年3月25日付で公表した「株式会社Mintによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社、主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、公開買付者は、2025年2月6日から2025年3月24日まで本公開買付けを行い、その結果、2025年3月31日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式2,754,145株(議決権所有割合(注2)86.44%)を所有するに至りました。
(注2)「議決権所有割合」とは、当社が2025年2月14日に公表した「2025年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第3四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年12月31日現在の発行済株式総数(3,462,400株)から、当社第3四半期決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(276,033株)を控除した株式数(3,186,367株)に対する割合をいい、小数点以下第3位を四捨五入しております。以下、議決権所有割合の記載について同じです。
本公開買付け及び本株式併合を含む本取引の目的及び背景の詳細は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせしたとおりですが、以下に改めてその概要を申しあげます。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
2025年4月10日現在、当社のグループは、当社及び連結子会社2社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)により構成され、工作機械の製造を主たる事業とし、創業来の歯車加工機械づくりで築いてきた精密加工技術を活かし、主力製品のラップ盤の他、ホブ盤、フライス盤(注3)等の高精度の加工機械を、半導体など電子部品材料関連業界を中心とした顧客へ販売しております。
当社グループは、「製品の品質重視」「収益基盤の強化」を当面の企業方針として掲げ、品質が当社製品の価値を高め収益力を強化する要であることから高品質にこだわる企業文化を維持しつつ顧客のニーズに即応した製品やサービスをタイムリーに提供し、より収益性の高い強固な事業体質を構築すべく、日々取り組んでおります。
(注3)「ラップ盤」とは、主に研磨加工の役割を果たし、半導体ウエーハなど電子部品材料の表面品質を向上させ、加工物をより平行・平坦にするための工作機械であり、「ホブ盤」とは、自動車、航空機、産業機械など、様々な分野で使用される高精度の金属製歯車を製造・加工するための工作機械です。また、「フライス盤」とは、円筒状で複数の刃を備えた切削工具を備え、鋼材等の加工に使用される工作機械です。
一方、当社の代表取締役社長であり、また公開買付者の代表取締役である武藤公明氏は、当社グループを取り巻くマクロ環境について、原材料やエネルギー価格の高騰による物価上昇、急激な為替変動などにより、設備投資や個人消費が下振れする懸念要素があると考えられることに加え、米中対立構造の激化や中国経済の減速化等の地政学リスクも相まって、依然として不透明な状況が続いているものと認識しているとのことです。
また、これらの不安定なマクロ環境下において、当社グループの属する工作機械業界の今後の事業環境については、以下の点を課題として認識しているとのことです。
(1)半導体市場における好不況への対応
当社グループの主力製品である各種半導体ウエーハ向工作機械(半導体製造装置)の設備投資は、半導体市場と連動し中長期的には成長が見込めるものの、短期的には内需・外需ともに景気変動の影響を受けやすく、国内外における半導体ウエーハ市場では増産と在庫調整が繰り返し生じるものと予想され、短期的な需給バランスの変動による好不況の波は避けられないものと考えているとのことです。また、当社グループの製品は受注後納期までの期間が長く、当該期間が1年を超える中大型機も多数あり、これらは顧客による製品の受け入れ準備状況によっては、製品の出荷の時期や売上が計上される時期のずれ込みが生じることも往々にしてあり得るものと認識しており、単年度の業績に一定程度の変動要素が生じる可能性は否定できないものと認識しているとのことです。
(2)中国における工作機械需要の低迷化リスク
当社グループの売上高は、世界最大の工作機械消費国である中国の景気動向に強く影響を受けるものと認識しているとのことです。中でも、同国における半導体ウエーハの生産量に連動する半導体製造装置の需要は、同国経済の減速化や中国国内外の政治情勢の不安定化によって、負の影響を大きく受けるものであり、これは当社グループにとって、減益要因になり得るものと考えているとのことです。
(3)製造コストの増大
世界的な原材料・部材価格の高騰、人件費・外注加工費の上昇に加えて、環境規制対応費用の負担も増加傾向にあるものと考えており、製品の品質を維持した上での生産効率化による製造コストの抑制が課題と認識しているとのことです。
このような事業環境の下、武藤公明氏は、当社グループが今後もさらなる成長を実現していくためには、目まぐるしい事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるよう、中長期的な視点での当社の組織及び業務の改革を推進していくことが不可欠であると考えるに至ったとのことです。具体的には、武藤公明氏としては、以下のような施策を実施する必要があると考えているとのことです。
①製品及び加工技術の拡充と研究開発の推進
当社グループの顧客となる半導体ウエーハなど電子部品材料の加工業界においては、その技術が進歩するスピードが早く、既存の材料はもちろん、従来には無かった新しい材料でもいかに効率よく高い精度で加工できるかが重要であることから、当社グループがグローバル競争を勝ち抜くためには、今後成長が見込まれる分野で先行利益を獲得できるような顧客からの個別性の強い要望にも対応可能な独自性の高い技術を確立し、顧客にとって最適な製品と加工技術を提案することで、既存顧客の需要掘り起こしや新規顧客の開拓を進めることが必要であると考えているとのことです。
主力製品のラップ盤については、半導体シリコンウエーハ加工用に加え、パワー半導体や各種電子部品材料向新型機の開発・販売に取り組むとともに、製品の提供だけに留まらず、顧客ごとに異なるニーズにきめ細かく対応できる加工技術を提案するための研究開発にも経営資源を投入する必要があると考えているとのことです。また、当社の祖業である小型ホブ盤の製造・販売については、先に開発した新型ホブ盤の生産体制を早期に確立させ市場投入を推し進めることで、多関節ロボットやEV関連など今後の成長が見込める分野において、新たな需要を開拓できると確信しているとのことです。
さらに、このような技術開発を実現するためには、技術者の早期育成・定着率向上のための教育システムの整備等を進め、製品開発や加工技術に関わる人的資源を早期に拡充する必要があると考えているとのことです。
②未開拓の販路開拓と将来的な需要が見込める海外市場への進出
当社グループでは、半導体向工作機械の分野においては、人件費・地政学的要因により中国、韓国、台湾等の東アジア地域の売上高が既に国内向を上回っているものと認識しておりますが、特に、中国市場への依存度が高いものと認識しているとのことです。この点に関し、今後は世界的なAIの進展や、EVをはじめとする自動車など様々な工業製品のIoT化に伴う半導体及び半導体製造装置の需要拡大とともに、より一層顧客が多様化することが予測されることから、将来的な販売競争熾烈化に先行して当社グループがグローバル市場での早期のシェア確保を図ることで、中国市場への依存度を下げることが可能と考えているとのことです。
具体的には、既に当社の現地法人・有力代理店が存在する東アジアに続き、インド・ベトナム、インドネシア等の東南アジア及び欧州・北米市場においても有力代理店網の組成を強化する必要があると考えているとのことです。また、新たな市場で早期にシェアを獲得するために十分な海外営業人員を質・量ともに確保し、営業力の強化を図ることも重要と考えているとのことです。
③業務フローの変革による収益性の向上
当社グループにおいては、適正な製品売価の見直しを適宜実施しており、原価低減諸政策についても鋭意取り組んでいるものと認識しているとのことです。しかしながら、上記のような厳しい事業環境の中で、当社グループの業務フローは必ずしも当社グループ全体にとって最適なものとはなっておらず、受注量の変動や部材等の各種コストの増大に耐え得る強固な事業運営体制を構築するためには、製造・品質管理等を含む各生産工程の抜本的な効率化を推進する必要があり、生産性の向上に資する投資を行うべきと考えているとのことです。
具体的には、ジャストインタイム方式を採用した効率的な部材調達及び在庫管理業務に加え、社内外における部品加工・組立を含む新たな工程管理システムを構築するべく積極的な設備投資を実施することが必要と考えているとのことです。これにより、工場のIoT化・生産ライン全体の効率化を追求し、設計~調達~部品加工・組立~出荷に至るまでを一元化したデータとして管理することが可能になると考えているとのことです。
しかしながら、武藤公明氏は、上記の各施策の実施により事業構造の改革を推進していくにあたっては、製品の開発設計、加工技術や営業人材の拡充に加え、生産性向上のためのシステム投資に経営資源を短期集中的に投下する必要があり、当社において多額の先行投資が発生することも考えられると認識しているとのことです。これらの投資は、短期的な業績の好不調に関わらず、必要に応じて迅速な意思決定に基づき実行するべきものと考えているとのことですが、場合によっては一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性も否定できないものと認識しているとのことです。そのため、短期的には当社の業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクもあり、当社株式の上場を維持したまま各施策を実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の価格が下落し、当社の少数株主(一般株主)の皆様に対して不利益を与えてしまう可能性があると考えているとのことです。
また、武藤公明氏としては、当社は、1963年7月の東京証券取引所市場第二部への上場以来、優れた人材の確保、知名度及び社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきたものの、近時の低金利環境においては間接金融が調達手段として優れており、必要かつ十分な資金を調達可能であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないことや、当社の知名度や社会的な信用は長年の事業活動により既に確立されていることを踏まえると、当社が上場を維持することの意義は薄れてきていると考えているとのことです。
以上のような検討を踏まえ、武藤公明氏は、2024年8月下旬、本取引を通じてマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化することが、短期的な業績やキャッシュ・フローの悪化等による当社株式の株価の下落により当社の少数株主(一般株主)の皆様が当社株式の売却機会を失うリスクを回避しつつ、中長期的な視点で当社グループの事業構造の改革を推進するための経営体制を構築することができるという点で、当社の企業価値向上のために最も有効な手段であると考えたとのことです。
当社は、2024年12月4日に武藤公明氏から当社に対して本取引を行うことを提案する旨の提案書(以下「本提案書」といいます。)が提出されたことを踏まえ、本取引に関する具体的な検討を開始いたしました。当社は、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBО)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付けにおける当社株式1株あたりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置として、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所(現在の森・濱田松本法律事務所外国法共同事業をいい、以下単に「森・濱田松本法律事務所」といいます。)を、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社アイ・アール ジャパン(以下「アイ・アール ジャパン」といいます。)を、それぞれ本特別委員会の承認を得られることを条件として選任するとともに、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役兼独立役員である政木道夫氏(弁護士)、2008年1月28日開催の当社取締役会及び同年6月27日開催の当社株主総会の承認のもと導入し、2011年6月29日、2014年6月27日、2017年6月29日、2020年6月26日及び2023年6月29日開催の当社株主総会において継続することを決定している「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)における独立委員会(注4)の委員である大水孝幸氏(税理士)、及び上場会社における社外取締役として豊富な経験を有し、また、国内大手証券会社に長年勤務し、本取引と同種の取引を含めた多数のM&A案件に関与した豊富な経験を有することから、本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると考えられる外部の有識者である髙田明氏(山九株式会社 社外取締役)の3名)によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置することを決議し、本取引に係る検討体制を構築しました。当社は、森・濱田松本法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補者の独立性及び適格性等についても確認を行い、本特別委員会の委員の候補者が、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立性を有すること、並びに本取引の成否に関して少数株主(一般株主)(注5)とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、本特別委員会の委員を選任いたしました。
(注4)本プランにおける独立委員会とは、当社の本プランを適正に運用し、取締役会による恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の客観性・合理性を担保するために当社の取締役会の決議によって設置された委員会です。
(注5)当社は、本臨時報告書において、少数株主(一般株主)を東京証券取引所が定める有価証券上場規程第441条の2に定める少数株主を包含する概念として使用しております。
なお、当社は、当社の独立社外取締役(監査等委員)である鈴木大介氏については、2024年6月頃まで当社の株主である明治安田生命保険相互会社(所有株式数:246,000株、所有割合(注6):7.72%、以下「明治安田生命」といいます。)の100%子会社である明治安田収納ビジネスサービス株式会社のリスク管理・コンプライアンス部長であったことから、また、当社の独立社外取締役(監査等委員)である青木眞德氏については、2016年5月頃まで当社の株主である株式会社FUJI(所有株式数:320,900株、所有割合:10.07%、以下「FUJI」といいます。)の100%子会社である株式会社アドテック富士の取締役会長であったことから、それぞれ少数株主(一般株主)とは異なる利害関係を有している可能性が懸念されるため、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避を徹底するべく、本特別委員会の委員として選任しておりません。また、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2024年12月5日、本特別委員会において、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所並びに当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンについて、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。また、当社は、2024年12月4日付で武藤公明氏から本提案書を受領して以降、武藤公明氏及び公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、2024年12月5日、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題ないことについて本特別委員会の承認を受けております。加えて、2024年12月25日、本特別委員会は、本特別委員会の独自の第三者算定機関として株式会社AGS FAS(以下「AGS FAS」といいます。)を選任しております。
(注6)「所有割合」とは、当社が2024年11月13日に公表した「2025年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第2四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年9月30日現在の発行済株式総数(3,462,400株)から、当社第2四半期決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(276,016株)を控除した株式数(3,186,384株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
上記の体制の下、当社は、当社の経営環境及び事業の状況、本取引の目的、本取引が当社に与える影響並びに本取引後の経営方針の内容等を踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の諸条件について、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づいて、森・濱田松本法律事務所及びアイ・アール ジャパンの助言を受けながら、公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねました。具体的には、当社は、2024年12月18日、本特別委員会を通じて、武藤公明氏に対して本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、本取引の諸条件等を含む質問事項を送付し、2024年12月24日に書面による回答を受領し、2024年12月25日に武藤公明氏と直接面談を実施し、当該質問事項に対する回答を踏まえ、質疑応答を行いました。さらに、当社は、2025年1月14日、本特別委員会を通じて、公開買付者に対して本取引を実施するメリットや公開買付者が本取引後に実施することを想定している施策等について、追加の質問事項を送付し、2025年1月21日に書面による回答を受領し、当該回答について確認しました。また、本公開買付価格については、当社は、2025年1月16日に、公開買付者から本公開買付価格を1,200円とする旨の提案を受け、これに対して、本特別委員会は、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASから受けた当社株式の株式価値に係る助言及び森・濱田松本法律事務所からの助言を踏まえ、2025年1月17日に当該提案価格は、当社の少数株主(一般株主)の利益に配慮された水準には到底達していないとして、提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2025年1月21日に、公開買付者から、本特別委員会の意見を最大限尊重し慎重に議論を重ねた結果、過去6ヶ月間の当社株式の市場株価推移や売買状況に係る分析結果を踏まえた上で、本公開買付価格を1,250円とする旨の提案を受け、これに対して、本特別委員会は、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASから受けた当社株式の株式価値に係る助言及び森・濱田松本法律事務所からの助言を踏まえ、2025年1月23日に当該提案価格は、当社の少数株主(一般株主)の利益に配慮された水準には達していないとして、改めて提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2025年1月27日に、公開買付者から、本特別委員会の意見を最大限尊重し慎重に議論を重ねた結果、過去6ヶ月間の当社株式の市場株価推移や売買状況に係る分析結果及び2025年3月期の通期業績において予想利益を大幅に割り込む見通しであることを踏まえた上で、本公開買付価格を1,300円とする旨の提案を受け、これに対して本特別委員会は、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASから受けた当社株式の株式価値に係る助言及び森・濱田松本法律事務所からの助言を踏まえ、2025年1月28日に当該提案価格は、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による当社の株式価値の算定結果のレンジの下限に近接した金額であること、本取引と類似する非公開化を前提としたMBO案件と比較し、プレミアム率が低いこと、当社のビジネスモデル上、足許の事業環境を過度に考慮するべきではなく、中長期的な視点で当社の本源的価値を評価すべきであること等を踏まえると、当社の少数株主(一般株主)の利益に配慮された水準には達していないとして、改めて提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2025年1月29日に、公開買付者から、過去6ヶ月間の当社株式の市場株価推移や売買状況に係る分析結果、1株当たりの純資産額との比較及び2025年3月期の通期業績において予想利益を大幅に割り込む見通しであることを踏まえた上で、1,300円を上回る価格を提示することは、当社の非公開化後における経営施策にも影響を及ぼし得るため、困難である旨回答を受け、これに対して本特別委員会は、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASから受けた当社株式の株式価値に係る助言及び森・濱田松本法律事務所からの助言を踏まえ、2025年1月31日に、公開買付者の提案価格(1,300円)は、本取引と類似する非公開化を前提としたMBO案件と比較し、プレミアム率が低いこと、当社のビジネスモデル上、足許の事業環境を過度に考慮するべきではなく、中長期的な視点で当社の本源的価値を評価すべきであること等を考慮し、公開買付価格を、1,350円程度まで引き上げるよう要請を行いました。その後、当社は、2025年2月3日に、公開買付者から、改めて慎重に再検討を重ねた結果、2025年2月3日に、少数株主(一般株主)の利益に最大限の配慮をしたうえで、公開買付者が検討できる最大限の価格として、本公開買付価格を1,320円とする旨の提案を受け、これに対して本特別委員会は、下記で述べる市場価格から見れば相応のプレミアムが付されていると評価でき、また、下記で述べるアイ・アール ジャパン並びにAGS FASによるDCF法による算定結果のレンジの範囲内であることから、妥当な価格であると判断いたしました。
また、当社は、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、2025年2月3日の公開買付者からの最終提案を受け、本特別委員会から2025年2月5日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
その上で、当社は、2025年2月5日開催の取締役会において、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンから2025年2月4日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本取引における本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。また、当社は、2024年12月4日付で本提案書を受領して以降、本取引の必要性や、本取引によって見込まれるデメリット・メリットその他の影響及び程度について検討を重ねるとともに、これらの事項及び本取引後の経営方針等に関する武藤公明氏の説明内容も踏まえ、本取引により当社株式を非公開化することが、当社グループの企業価値の向上に資するものであるか否かについて検討を重ねてきました。
かかる検討において、当社は、当社グループを取り巻くマクロ環境は、原材料やエネルギー価格の高騰による物価上昇、急激な為替変動などにより、設備投資や個人消費が下振れする懸念要素があることに加え、米中対立構造の激化や中国経済の減速化等の地政学リスクも相まって、依然として不透明な状況が続いているものと認識し、また、これらの不安定なマクロ環境下において、当社グループの属する工作機械業界の今後の事業環境について、(ⅰ)半導体市場における好不況への対応、(ⅱ)中国における工作機械需要の低迷化のリスク、(ⅲ)製造コストの増大、が課題であることも認識するに至りました。具体的には、(ⅰ)半導体市場における好不況への対応については、当社は半導体ウエーハの製造メーカーへ設備機を提供しており、工場の増設や新規の設備投資と併せて受注する事業特性を有していることから、顧客において一定規模の工場の新規製造ラインの増設や工場の増設等の投資がなされると、当該顧客については次の投資まで1年~2年の間が空き、その間の売上が低迷するリスクがあると考えられます。また、当社の主力製品は、中大型のラップ盤であり、一般的に、受注から納品まで1年~1年半の期間があるため、顧客からの発注を受けてから納品までの間に、半導体市場における最終製品の短期的な需給が供給過多となった場合は、顧客から、納期の後ろ倒しを要求される可能性があり、結果として短期の業績が悪化するリスクがあると考えられます。また、(ⅱ)中国における工作機械需要の低迷化のリスクについては、当社の中国における、主に半導体製造メーカーを顧客とするラップ盤の売上げは、当社のラップ盤全体の売上げの24.3%を占めているため、中国国内の景気状況に当社の業績が大きく左右される可能性があると考えられます。(ⅲ)製造コストの増大については、2025年3月期に入って以降、原材料・部材が30%~35%上昇し、部品費・外注加工費も15%以上値上がりしていることに加え、賃上げや賞与の増額による人件費の上昇などにより、製造原価の増加傾向が続いております。また、当社は、受注生産会社であり、出荷し、又は売上げに計上される製品はその1年~1年半前に受注したものであり売価の変更ができないため、原価率の悪化が利益率の悪化に直結することになると考えられます。
このような事業環境下において、当社は、当社の経営課題について、短期的課題としては、(ⅰ)原材料・部品代、外注加工費などの急激な上昇による原価率及び利益率の悪化を改善するための適正な売価の見直し、(ⅱ)海外営業部門及び技術部門の人材の拡充が、中長期的課題としては、(ⅲ)中国市場の不況等により大きな事業拡大が見込めない状況下での、主に東南アジアのベトナム・インドネシア・インド等での有力な販売代理店の拡充による販売体制・テクニカルサービス体制の拡充、(ⅳ)人材の流出や業務体制の最適化がなされていないために開発力が低下し近年、新製品を開発できていないことを踏まえた制御技術者(ソフト技術者)の採用強化等を含む新製品の開発に特化できる体制の構築が、それぞれ挙げられると考えております。
当社は、このような事業環境下で、当社グループが上記の経営課題を解決し、今後もさらなる成長を実現していくためには、中長期的な視点での当社の組織及び業務の改革を推進していくことが不可欠であると考えるに至りました。具体的には、武藤公明氏は、(ⅰ)製品及び加工技術の拡充と研究開発の推進、(ⅱ)未開拓の販路開拓と将来的な需要が見込める海外市場への進出、(ⅲ)業務フローの変革による収益性の向上、といった施策を想定しているとのことであり、当社は、いずれの施策も当社の中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくべきものであると考えるに至りました。当社が考える、上記(ⅰ)乃至(ⅲ)の施策のメリットは下記のとおりです。
(ⅰ)製品及び加工技術の拡充と研究開発が推進できること
当社は、工作機械のみを販売するだけではなく、当該工作機械を使用した最適な加工技術を併せて開発・提案する点に、他社にはない当社独自の強みがあるものと認識しております。しかし、顧客に提案する加工技術の開発には、テスト用機械及び模擬ワーク並びにスラリー等の副資材の準備などが必要となり、また、新たに技術者を採用・育成する必要があり、かかる準備には多額のコストを必要とします。本取引の実行によって、短期の業績に追われることなく、新製品の開発に加え、当社が強みとする加工技術の開発に必要な技術者の育成や新規採用を含めた投資を実行することが可能になると考えております。
(ⅱ)未開拓の販路開拓と将来的な需要が見込める海外市場への進出がより積極的に進められること
当社は、主に東南アジアのベトナム・インドネシア・インド等での有力な販売代理店の拡充による販売体制・テクニカルサービス体制の拡充を経営課題として認識しております。しかし、かかる体制を拡充するためには営業活動のための多くの人材を派遣する必要があり、また、中長期的なビジネス戦略が必要となるところ、本取引の実行によって、短期的な業績を意識した海外戦略にとらわれることなく、中長期的なマーケット拡大も見据えた海外市場への人材派遣・有力代理店網の組成強化を図ることが可能になると考えております。
(ⅲ)業務フロー変革による収益性の向上に向けた投資がより容易となること
当社では、現在ジャストインタイム方式の倉庫の部材管理と生産現場への部品等の提供方式が確立しておりますが、機械の設計から部材の調達、倉庫での管理、生産現場への生産工程毎の部材の提供等を一貫して管理を進めることにより、生産性を向上させるとともに、人員配置の合理化を行い、さらなる収益性の向上が見込めるものと考えております。しかし、かかる業務フローの変革のためには、より一層のシステム投資が必要となります。かかる投資は大規模な金額となり、業績への影響も大きいと見込まれるところ、本取引の実行により、短期の業績の結果にとらわれることなく、かかる投資の実行が可能となると考えております。
上記のとおり、上記の施策はいずれも事業構造上の大きな転換や新たな取り組みを伴うものであり、当該施策が当社グループの業績に貢献するまでに、相応の時間と戦略的な投資を含む各種先行投資が必要になることを考慮すると、短期的には当社グループの財務状況や業績の悪化をもたらすリスクがあると考えられます。そのため、当社が上場を維持したままこれらの施策を実行した場合には、株価の下落や配当の減少等、当社の株主の皆様に対して多大な悪影響を与えてしまう可能性があるものと考えるに至りました。
このような状況下において、当社としても、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記の悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から当社の企業価値を向上させるためには、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化し、所有と経営を一体化させ、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、各施策に迅速に取り組むことができる経営体制を構築することが必要であると考えるに至りました。また、当社の代表取締役である武藤公明氏は当社の事業内容を熟知していることを踏まえれば、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により、武藤公明氏が引き続き中心となって当社の経営と支配の双方を担うことは十分な合理性があると判断するに至りました。
なお、当社株式の非公開化を行った場合には、①資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなること、②上場会社としてのブランドを喪失することで従業員の採用及びリテンションに悪影響が生じること、及び③取引先をはじめとするステークホルダーに対する信用力の低下といったデメリットが一般的には予想されると認識しております。しかしながら、当社の現在の状況に鑑みると、①については、昨今の良好な資金調達環境に鑑みても、間接金融を通じて必要に応じた資金調達を行うことが十分可能であり、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれないことから、大きなデメリットにはならないと考えております。②については本取引を通じてこれまで以上に当社の成長・発展が実現できることを説明することで、当社従業員はこれまで以上に高い意識をもって働くことが可能となり、本取引による今後の採用活動への影響はないものと考えられること、③については当社グループの知名度や社会的な信用はこれまでの事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きいことから、非公開化によるデメリットは限定的と考えられます。
以上を踏まえ、当社取締役会は、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、当社は、下記「3. 会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」に記載のとおり、本公開買付価格(1,320円)は当社の少数株主(一般株主)の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主(一般株主)の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、2025年2月5日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できず、かつ、公開買付者の所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満であることから、当社は、公開買付者からの要請により、2025年4月10日付の当社取締役会決議により、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするために、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、下記「2.本株式併合の割合」に記載のとおり、当社株式393,449株を1株に併合する旨の本株式併合を実施することとし、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決定いたしました。なお、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定です。
なお、当該取締役会決議は、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない出席取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」に記載の方法により決議されています。
なお、2025年3月14日付の「臨時株主総会のための基準日設定に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社は、本臨時株主総会において議決権を行使することができる株主を確定するため、2025年10月17日を基準日と定め、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主をもって、その議決権を行使することができる株主とするべく、2024年10月2日に電子公告を行っております。
2.本株式併合の割合
当社株式について393,449株を1株に併合いたします。
3. 会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、本株式併合が当社の株主を公開買付者のみとすることを目的とする本取引の一環として行われるものであること、及び当社株式が2025年6月9日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2025年6月10日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,320円を乗じた金額に相当する金銭を各株主の皆様に交付できるような価格に設定する予定です。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合がございます。
② 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者の氏名又は名称
公開買付者である株式会社Mint
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
公開買付者は、本株式併合により生じる端数の合計数に相当する当社株式の取得に要する資金を含む本取引の実行に係る資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)を受けることによって確保することを予定しているとのことです。
当社は、本銀行融資に係る融資証明書等を確認しており、また、公開買付者によれば、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また今後発生する可能性も認識していないとのことです。
したがって、当社は、公開買付者による端数相当株式の売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、本株式併合の効力発生後、2025年7月上旬を目途に会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を売却することについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年8月上旬を目途に当社株式を売却し、その後、当該売却によって得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年8月下旬から9月中旬を目途に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主の皆様への交付が行われるものと判断しております。なお、当該売却代金は、本株式併合の効力発生日の前日である2025年6月10日時点の当社の最終の株主名簿における各株主の皆様に対し、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付する予定です。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「①会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、本株式併合の効力発生日の前日である2025年6月10日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,320円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
本公開買付価格(1,320円)につきましては、(ⅰ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているアイ・アール ジャパンによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(ⅱ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているAGS FASによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(ⅲ)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年2月4日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値987円に対して33.74%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値975円に対して35.38%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値927円に対して42.39%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値924円に対して42.86%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、これらの各プレミアムは、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降に公表され、2024年12月31日までに公開買付けが成立しているマネジメント・バイアウト(MBO)の類似事例47件における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの中央値(対公表日前営業日終値:39.86%、対過去1ヶ月間:40.93%、対3ヶ月間:42.21%、対6ヶ月間:42.42%)に比して合理的なものであるといえること、(ⅳ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主(一般株主)の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅴ)上記措置が採られた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、(ⅵ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、2024年10月18日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、2025年3月期の連結業績予想の下方修正を行っておりますが、当該下方修正は、2025年3月期第2四半期末時点における業績状況を踏まえた判断であり、2024年12月4日に武藤公明氏から本提案書を受領する前に公表したものであることからも、本取引とは無関係の要因によるものであり、当社が意図的に当社株式の株価を下げる目的で当該下方修正を策定及び公表したものではないため、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASによる下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の市場株価法の算定にあたり、当該下方修正の公表日である2024年10月18日以降の当社株式の株価も考慮の対象とすること自体に問題はないと考えております。
また、2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、2025年3月期の連結業績予想の下方修正を行っておりますが、当該下方修正は、2025年3月期第3四半期末時点における業績状況を踏まえた判断であり、本取引とは関係なく実施しており、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASによる下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のDCF法の算定にあたり、当該下方修正の内容を算定の基礎として織り込むこと自体に問題はないと考えております。
以上の点等から、当社は 2025年2月5日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明する表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。その後、本臨時株主総会の招集を決議した2025年4月10日の取締役会の開催に至るまでに、本取引に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上より、当社は、端数処理の方法及び端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
本株式併合は、本公開買付けのいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBО)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反状態が生じ得ること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付価格の公正性及び妥当性を担保するため、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立した第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年2月4日付で本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得いたしました。なお、アイ・アール ジャパンは、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、アイ・アール ジャパンから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。なお、アイ・アール ジャパンの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
アイ・アール ジャパンは、本公開買付けにおいて、複数の算定方法の中から当社の株式価値算定に当たり採用すべき算定方法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから株式の市場株価の動向を勘案した市場株価法を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が複数存在し、類似会社との比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定方法として用いて、当社の株式価値の算定を行いました。
本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)において、上記各算定方法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :924円~987円
類似会社比較法:197円~1,009円
DCF法 :1,237円~1,540円
市場株価法では、2025年2月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の算定基準日の終値987円、直近1ヶ月間の終値単純平均値975円、直近3ヶ月間の終値単純平均値927円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値924円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を924円~987円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社として、株式会社不二越、OBARA GROUP株式会社、株式会社ソディック、株式会社岡本工作機械製作所、株式会社ミロク、タケダ機械株式会社を類似会社として選定した上で、企業価値に対する償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率、及び時価総額に対する純利益倍率を用いて、当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を197円~1,009円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した事業計画(以下「本事業計画」といいます。)を基に、2025年3月期から2028年3月期までの4期分の事業計画における収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、当社企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,237円~1,540円と算定しております。
なお、アイ・アール ジャパンがDCF法の算定の前提とした当社作成の本事業計画に基づく財務予測には、当社が2024年10月18日及び2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」における2025年3月期通期の業績予想が織り込まれております。
また、本事業計画には対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期については、当社が2024年10月18日に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」、及び2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、原材料代・部品代・外注加工費・人件費などの想定以上の値上がりに伴い、営業利益が260百万円(対前年比が69.73%減少)となることを見込んでおります。また、2026年3月期については、製品売価の引き上げ効果に加え、工場の生産効率性の改善や工程管理のデジタル化によるコスト削減などにより営業利益は459百万円(対前年比が76.54%増加)となることを見込んでおります。加えて、本事業計画には、対前年度比較においてフリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期から2027年3月期における棚卸資産の回転期間の短縮の影響がなくなることにより、2028年3月期については運転資本が増加し、フリー・キャッシュ・フローが大幅に減少することを見込んでおります。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味しておりません。
アイ・アール ジャパンが、DCF法による分析において前提とした財務予測は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注)アイ・アール ジャパンは、本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)の基礎となる当社株式の株式価値の算定を行うにあたり、公開情報及び当社から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。アイ・アール ジャパンは、当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の試算及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。アイ・アール ジャパンは、本事業計画については、当社の経営陣により算定時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。アイ・アール ジャパン及びその関係会社は、当社、武藤公明氏及び公開買付者が発行している株式又はこれらを取得できる権利について、自己勘定取引を行っておらず、かつ、当社、武藤公明氏及び公開買付者の株式等を現在保有しておりません。アイ・アール ジャパンの算定は2025年2月4日までにアイ・アール ジャパンが入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、アイ・アール ジャパンの算定は、当社取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
②当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、その公正性を担保することを目的として、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、その後、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続、並びに本取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法及び過程その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、森・濱田松本法律事務所は、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、森・濱田松本法律事務所の報酬は、時間単位報酬のみとしており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬の支払制度は採用しておりません。本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のリーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、本特別委員会において確認しております。
③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)特別委員会の設置等の経緯
当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反が存することを踏まえ、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、本取引の公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年12月5日の取締役会において、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置することを決議いたしました。当社は、森・濱田松本法律事務所及びアイ・アール ジャパンの助言も得つつ、特別委員会の委員の候補について、当社、武藤公明氏、及び公開買付者からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して少数株主(一般株主)とは異なる重要な利害関係を有していないことに加え、委員としての適格性を有することを確認した上で、特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって特別委員会を構成するべく、本特別委員会の委員としては、政木道夫氏(当社独立社外取締役・弁護士)、大水孝幸氏(当社本プラン独立委員会委員・税理士)及び髙田明氏(山九株式会社 社外取締役)の3名を選任しております。なお、当社は、当社の独立社外取締役(監査等委員)である鈴木大介氏については、2024年6月頃まで当社の株主である明治安田生命(所有株式数:246,000株、所有割合:7.72%)の100%子会社である明治安田収納ビジネスサービス株式会社のリスク管理・コンプライアンス部長であったことから、また、当社の独立社外取締役(監査等委員)である青木眞德氏については、2016年5月頃まで当社の株主であるFUJI(所有株式数:320,900株、所有割合:10.07%)の100%子会社である株式会社アドテック富士の取締役会長であったことから、それぞれ少数株主(一般株主)とは異なる利害関係を有している可能性が懸念されるため、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避を徹底するべく、本特別委員会の委員として選任しておりません。
本特別委員会は、互選により、本特別委員会の委員長として、政木道夫氏を選任しております。なお、当社は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず支払われる報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。そして、当社は、本特別委員会に対し、①本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、②本取引に係る手続の公正性・妥当性、③本取引の条件の公正性・妥当性、④本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、⑤上記①~④を踏まえて、当社取締役会が本取引の実施に関する決定を行うことが当社の少数株主(一般株主)にとって不利益でないか(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)、について諮問いたしました。なお、本特別委員会は、本諮問事項の検討に際しては、当社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、本取引の是非について検討及び判断するとともに、当社の少数株主(一般株主)の利益を図る観点から、本取引の取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討及び判断するものといたしました。また、取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うこと、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、取締役会は本取引に賛同しないこと、及び、(a)当社が買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与すること(必要に応じて、買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら買付者と交渉を行うことを含む。)、(b)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ、自らの財務若しくは法務等に関するアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含む。)すること、(c)必要に応じ、当社の役職員その他特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に必要な情報を受領すること、(d)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と特別委員会が認める事項等に関する権限を本特別委員会に付与すること、を決議いたしました。
なお、当社取締役会においては、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役全8名のうち、武藤公明氏を除く取締役7名)の全員一致で当該決議を行っております。
(ⅱ)特別委員会における検討等の経緯
本特別委員会は、2024年12月5日から2025年2月5日まで合計11回、合計約11時間にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メール等の方法により、報告、協議及び検討がなされた上で、本諮問事項についての検討及び協議が慎重に行われました。
具体的には、本特別委員会は、まず、2024年12月5日、当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、当社のリーガル・アドバイザーとしての森・濱田松本法律事務所の選任並びに当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのアイ・アール ジャパンの選任をそれぞれ承認しております。また、本特別委員会は、必要に応じ当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとし、実際にこれらの専門的助言を随時受領しております。
その上で、本特別委員会は、森・濱田松本法律事務所及びアイ・アール ジャパンから受けた説明を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行い、2024年12月25日、その専門性、過去の実績及び独立性に問題が無いことを確認の上、本特別委員会独自の第三者算定機関としてAGS FASを選任いたしました。
本特別委員会は、公開買付者から、書面による方法及び直接面談を行うこと等を通じて、本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、本取引の諸条件等について説明を受け、質疑応答を行いました。具体的には、2024年12月18日に武藤公明氏に対して本取引を提案するに至った経緯及び理由、本取引の目的、本取引の諸条件等を含む質問事項を送付し、2024年12月24日に書面による回答を受領し、2024年12月25日に武藤公明氏と直接面談を実施し、当該質問事項に対する書面回答を踏まえ、質疑応答を行いました。さらに、本特別委員会は、2025年1月14日に公開買付者に対して本取引を実施するメリットや公開買付者が本取引後に実施することを想定している施策等について、追加の質問事項を送付し、2025年1月21日に書面による回答を受領し、当該回答について確認しました。
また、本特別委員会は、アイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、当社が作成した本事業計画について、当社からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認いたしました。
さらに、本特別委員会は、当社に対して、2025年1月14日に当社の経営状況・経営課題、本取引を検討するに至った背景、本取引の意義等及び本取引後の経営体制等を含む質問事項を送付し、2025年1月16日に書面による回答を受領し、2025年1月16日に当該質問事項に対する書面回答を踏まえ、質疑応答を行いました。
加えて、上記「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び下記「④特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASは、本事業計画を前提として当社株式の価値算定を実施いたしましたが、本特別委員会は、アイ・アール ジャパン並びにAGS FASから、実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認いたしました。
本特別委員会は、当社の公開買付者との交渉について、随時、当社及びアイ・アール ジャパンから報告を受け、AGS FAS及びアイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言、森・濱田松本法律事務所から受けた法的見地からの助言も踏まえて審議・検討を行い、当社の交渉方針につき、適宜、必要な意見を述べました。具体的には、本特別委員会は、当社が、2025年1月16日に公開買付者から本公開買付価格を1,200円とする提案を受領した旨の報告を受けて以降、第三者算定機関であるAGS FAS及びアイ・アール ジャパンによる当社株式の株式価値の算定結果や公開買付者との交渉方針等を含めた財務的な助言並びに森・濱田松本法律事務所からの本取引における手続の公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言等を踏まえ、武藤公明氏及び公開買付者の影響を排除した公正な手続によって、本公開買付価格の検討を重ね、複数回にわたり公開買付者との交渉を行い、当社としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の条件に関する協議・交渉過程の全般において関与いたしました。その結果、当社は、同年2月3日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり1,320円とすることを含む提案を受け、結果として、計3回、最初の価格提案から10.00%(小数点以下第三位を四捨五入しております。)の価格の引き上げを受けるに至りました。さらに、本特別委員会は、森・濱田松本法律事務所及びアイ・アール ジャパンから、複数回、当社が公表又は提出予定の本公開買付けに係る本意見表明プレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、適切な情報開示がなされる予定であることを確認いたしました。
(ⅲ)特別委員会における判断内容
本特別委員会は、上記の協議及び検討の内容を踏まえ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2025年2月5日に、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
ⅰ 答申内容
(a)本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。
(b)本取引においては公正・妥当な手続を通じて当社の少数株主(一般株主)の利益への十分な配慮がなされている。
(c)本公開買付けにおける買付け等の価格を含む本取引の条件は、公正性・妥当性が確保されている。
(d)当社取締役会が、本公開買付けについて賛同する旨の意見を表明するとともに、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を表明することは適切である。
(e)上記(a)乃至(d)その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施を決定することは、当社の少数株主(一般株主)にとって不利益ではない。
ⅱ 答申理由
(a)本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)
ア 当社を取り巻く事業環境及び当社の経営課題
・ 上記「1.本株式併合の目的」に記載の当社を取り巻く事業環境及び当社の経営課題等に関する当社の認識に不合理な点は見受けられない。なお、武藤公明氏及び公開買付者(以下「公開買付者ら」という。)においても、当社を取り巻く事業環境及び当社の経営課題に関する認識に大きな相違はないものと認められる。
イ 本取引の意義
・ 上記「1.本株式併合の目的」に記載のような当社グループを取り巻く事業環境及び当社の経営課題を踏まえれば、加工技術の開発に必要な技術者の育成や新規採用を含めた投資実行、東南アジアのベトナム・インドネシア・インド等での有力な販売代理店の拡充並びに業務フローの変革はいずれも、当社の中長期的な企業価値向上のためには必要かつ重要な施策であるといえる。
・ これらの重要施策の実現には中長期的な企業価値向上の観点からリスクをとった先行投資を行い、各種施策をより一層促進できるようにするため、迅速かつ大胆な対応が必要である。各種施策は非上場化によってのみ行い得る全く新たな取り組みではないものの、一般的に短期的な業績にも留意を要する上場会社のままでは十分な先行投資を適時に行うことが難しい面が否定できないため、非上場化により実施しやすくなるとの評価も可能である。さらに、非上場化をすることで、短期的なリターンを求める株式市場の期待とは必ずしも一致しない中長期的視点での先行投資を伴う業務フロー変革も実施しやすくなるとの評価も可能である。
・ このように、当社は、本取引によって、中長期的な企業価値向上に向け、経営の改革・改善に関する各施策を適時に、迅速かつ着実に実行できるようになることが期待される。なお、公開買付者らにおいても、本取引の意義に関する認識に大きな相違はないものと認められる。
ウ 本取引の意義
・ 上記「1.本株式併合の目的」に記載の本取引を行うことのデメリットについても、当社の認識に不合理な点は見受けられない。
・ 上場廃止による一般的なデメリットとして想定されるエクイティによる資金調達手段の制約や上場会社としての信用・ブランドの毀損等については、当社を取り巻く事業環境等に照らせば、上記(a)イで述べた本取引の意義を上回るほどのデメリットとなることは想定されないといえる。加えて、本取引に関して公開買付者が行う資金調達に伴い、当社の経営・事業運営等に制約が生じる可能性や当社の資金繰りへの影響については限定的であると認められる。
エ 小括
・ 以上を踏まえて、本特別委員会において慎重に審議・検討をしたところ、本取引の目的に関する当社の認識は、本特別委員会としても合理的と考えるものであり、本取引は当社の企業価値向上に資するものと認められる。したがって、本取引の目的は正当・合理的と認められる。
(b)本取引に係る手続の公正性・妥当性
・ 当社においては、公開買付者らとの間で重要な利害関係を有しておらず、本取引の成否に関して少数株主(一般株主)とは異なる重要な利害関係を有さない独立した立場から少数株主(一般株主)の利益を保護すべく適正な構成とされている特別委員会が設置されている。
・ 本取引においては、本特別委員会が当社と公開買付者らとの間の買収対価等の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与していたと評価できる。
・ 当社は、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパンから、財務的見地からの助言・意見等を得るとともに、本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)を取得している。
・ 本特別委員会は、当社及び公開買付者らから独立した本特別委員会独自の第三者算定機関であるAGS FASから、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(AGS FAS)」といいます。)を取得している。
・ 当社は、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所から本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けており、本特別委員会は、必要に応じ森・濱田松本法律事務所から専門的助言を得ることとし、実際に専門的助言を随時受領している。
・ 当社は、公開買付者らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築している。当該体制は、公開買付者らからの独立性が認められる役職員(武藤公明氏を除いた取締役全員を含む。)のみで構成されるものとし、その構成員は公開買付者らにおける検討、交渉及び判断に参加し又はこれを補助してはならないものとして、かかる取扱いを継続している。
・ 当社の取締役のうち、代表取締役である武藤公明氏については、公開買付者となる株式会社Mintの代表取締役を務めていることから、本取引に関して当社及び当社少数株主(一般株主)との間で利益相反関係が存在するため、特別利害関係取締役として、本取引に係る当社の取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者らとの協議及び交渉にも一切参加していない。
・ 公開買付者らは、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定する予定であり、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保するものと認められるとともに、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておらず、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている。公開買付者によれば、本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、2025年2月5日付で、当社の株主である武藤公明氏との間で、その所有する当社株式(所有株式数:110,296株、所有割合:3.46%)のうち100,860株(所有割合:3.17%)(以下「本応募合意株式(武藤公明氏)」という。武藤公明氏が所有する当社株式のうち、当社の取締役として割り当てられた譲渡制限付株式報酬として所有する当社株式(所有株式数:9,436株、所有割合:0.30%)については、譲渡制限が付されているために本公開買付けに応募することができないことから、応募合意の対象から除いている。)の全てについて本公開買付けに応募する旨を口頭で合意(以下「本応募合意(武藤公明氏)」という。)している。また、公開買付者によれば、公開買付者は、2025年2月5日付で、武藤公明氏及びその親族が発行済株式の全てを所有する資産管理会社であり当社の株主である株式会社KMエンタプライズ(以下「KMエンタプライズ」という。)との間で、その所有する当社株式(所有株式数:50,000株、所有割合:1.57%。以下「本応募合意株式(KMエンタプライズ)」という。)の全てについて本公開買付けに応募する旨を口頭で合意(以下「本応募合意(KMエンタプライズ)」という。)している。さらに、公開買付者は、本公開買付けの実施にあたり、2025年2月5日付で、(ⅰ)当社の株主であるFUJIとの間で、その所有する当社株式320,900株(所有割合:10.07%)の全てについて本公開買付けに応募する旨の契約(以下「本応募契約(FUJI)」という。)を、(ⅱ)当社の株主である明治安田生命との間で、その所有する当社株式246,000株(所有割合:7.72%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(明治安田生命)」という。)を、(ⅲ)当社の株主であるみずほ銀行との間で、その所有する当社株式132,300株(所有割合:4.15%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(みずほ銀行)」という。)を、(ⅳ)当社の株主であるファナック株式会社(以下「ファナック」という。)との間で、その所有する当社株式75,000株(所有割合:2.35%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(ファナック)」という。)を、(v)当社の株主である株式会社トミタ(以下「トミタ」という。)との間で、その所有する当社株式31,900株(所有割合:1.00%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(トミタ)」という。)を、(ⅵ)当社の株主であるマサモト株式会社(以下「マサモト」といい、FUJI、明治安田生命、みずほ銀行、ファナック、トミタ、マサモト、武藤公明氏及びKMエンタプライズ、と併せて「本応募株主」という。)との間で、その所有する当社株式17,845株(所有割合:0.56%)の全てについて本公開買付けへ応募する旨の契約(以下「本応募契約(マサモト)」という。)を締結し、本公開買付けが開始された場合、本応募株主が所有する当社株式823,945株(所有割合:25.86%。「本応募合意株式」という。)の全てについて本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことであり(本応募株主との間で締結した公開買付応募契約を総称して、以下「本応募契約」という。)、また、本応募株主が公開買付者との間で締結している本応募契約等のうち、本応募契約(FUJI)、本応募契約(明治安田生命)、本応募契約(みずほ銀行)及び本応募契約(ファナック)においては、一定の場合に本応募株主が対抗的な買付け等に応募できる旨が規定されている。一方で、本応募契約(トミタ)及び本応募契約(マサモト)には、本応募株主が対抗的な買付け等に応募できる旨が少なくとも明示的には規定されていないように見受けられ、また、本応募合意(武藤公明氏)及び本応募合意(KMエンタプライズ)において本応募株主が対抗的な買付け等に応募できる旨は明示的には合意されていないように見受けられる。仮に、かかる本応募株主が他の買収者による買収提案に応募することが認められないとすれば、対抗提案の成立の可能性が減少していると考えられるものの、トミタ、マサモト、武藤公明氏及びKMエンタプライズの所有割合は6.3%にとどまることを考慮すると、本応募契約(トミタ)、本応募契約(マサモト)、本応募合意(武藤公明氏)及び本応募合意(KMエンタプライズ)の上記内容のみをもって、対抗提案の成立の可能性が減少し、対抗的な買付け等の機会が阻害されていると評価しないことも合理的である。
・ 本公開買付けの買付予定数の下限は2,124,200株(所有割合:66.66%)である。これは、本公開買付けにおける買付予定数の下限が、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する数を上回っており、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件よりも厳格な条件が設定されていることを意味している。
・ 当社及び公開買付者は、それぞれのリーガル・アドバイザーからの助言を得て、本取引に関する情報の非対称性を緩和し、少数株主(一般株主)に十分な情報に基づく適切な判断機会を確保するに足る適切かつ充実した情報開示を行う予定であると認められる。またその開示内容は、金融商品取引法令及び東京証券取引所の適時開示基準に準拠し、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」を適切に考慮したものになっていると考えられる。
・ 本取引については強圧性の問題が生じないように配慮の上、スクイーズアウト手続の適法性も確保されているといえる。
・ 以上の点に加え、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者らより不当な影響を受けたことを推認させる事実は認められない。
以上の点を検討の上、本特別委員会は、本取引に係る取引条件の公正さを担保するための手続として、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」も踏まえた十分な公正性担保措置が実施されており、本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると考える。
(c)本取引の条件の公正性・妥当性
・ 当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパン並びに当社及び公開買付者らから独立した本特別委員会独自の第三者算定機関であるAGS FASが、当社の株式価値の評価方法として採用した市場株価法及びDCF法、並びにアイ・アール ジャパンが上記のほかに当社の株式価値の評価方法として採用した類似会社比較法は、現在の実務に照らして一般的、合理的な手法であると考えられる。また、アイ・アール ジャパン及びAGS FASによるDCF法における事業用資産と非事業用資産の分類の方法、割引率の根拠に関する説明もいずれも合理的であって、その算定内容も現在の実務に照らしていずれも妥当なものであると考えられる。
・ また、当社は、2024年10月18日付「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、2025年3月期の連結業績予想の下方修正(以下「本下方修正①」という。)を行っているところ、本下方修正①は、2025年3月期第2四半期末時点における業績状況を踏まえた判断であり、2024年12月4日に武藤公明氏から本提案書を受領する前に公表したものであることからも、本取引とは無関係の要因によるものであり、当社が意図的に当社株式の株価を下げる目的で本下方修正①を策定及び公表したものではないと認められる。したがって、アイ・アール ジャパン及びAGS FASによる市場株価法の算定にあたっても、本下方修正①の公表日である2024年10月18日以降の当社株式の株価も考慮の対象とすること自体に問題はないものと考えられる。また、2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、2025年3月期の連結業績予想の下方修正(以下「本下方修正②」という。)を行っているところ、本下方修正②は、2025年3月期第3四半期末時点における業績状況を踏まえた判断であり、本取引とは関係なく実施しており、アイ・アール ジャパン及びAGS FASによるDCF法の算定にあたっても、本下方修正②の内容を算定の基礎として織り込むこと自体に問題はないものと考えられる。
・ また、本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)及び本株式価値算定書(AGS FAS)におけるDCF法による算定の前提とされている当社の事業計画は、本取引の取引条件等の妥当性を客観的かつ合理的に検証することを目的として作成されたものであり、利益相反のおそれのある役職員を除いた構成メンバーにおいて審議の上、確定するなど、構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれが合理的に排除されていることが認められる。また本特別委員会は、本事業計画の各対象年度の売上高・営業利益及びその算定方法、本事業計画に影響を及ぼし得る事情とその反映状況、販売費及び一般管理費・設備投資額等並びにその算定方法及び当該金額に影響を及ぼし得る事情等について説明を受け、かつ、アイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、これらの合理性を承認しており、当社の事業計画の策定手続及び内容には合理性が認められる。
・ 本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)における当社株式の株式価値評価に照らすと、本公開買付価格は、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であることから、当社の少数株主(一般株主)が享受すべき利益として合理的な水準であると認められる。また、本株式価値算定書(AGS FAS)における当社株式の株式価値評価に照らすと、本公開買付価格は、市場株価法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であることから、当社の少数株主(一般株主)が享受すべき利益として合理的な水準であると認められる。
・ 本公開買付価格のプレミアムは、経済産業省の「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降に公表され、2024年12月31日までに公開買付けが成立している国内の上場会社のMBO案件(47件)における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアム水準の中央値(対公表日前営業日終値:39.86%、対過去1ヶ月間:40.93%、対3ヶ月間:42.21%、対6ヶ月間:42.42%)に比して合理的な水準といえる。
・ 公開買付者らとの交渉は、本特別委員会が当社やアイ・アール ジャパン及びAGS FASから受けた当社株式の株式価値に係る助言並びにアイ・アール ジャパン及び森・濱田松本法律事務所からの意見・助言も踏まえながら、主体的に行ってきたものであり、その他本公開買付価格の決定プロセスの公正性を疑わせるような具体的事情は認められない。
・ 本取引の買収の方法について、一段階目として本公開買付けを行い、二段階目として株式売渡請求又は株式併合を行うという方法は、本取引のような非公開化取引においては一般的に採用されている方法の一つであり、かつ、株式売渡請求手続及び株式併合手続において裁判所に対する売買価格の決定の申立て又は価格決定の申立てが可能であり、本取引の方法に特段不合理な点は認められない。
以上の点を検討の上、本特別委員会では、(ア)市場株価に対する本公開買付価格のプレミアム水準は、近時のMBO事例におけるプレミアム水準に照らしても平均的な水準と認められること、(イ)公開買付者らとの交渉は本特別委員会が当社やアイ・アール ジャパンの意見・助言も踏まえながら、主体的に行い、かかる交渉の結果として当初提案価格から当社株式の価格にして120円(当初提案価格1,200円の10%)の引き上げを実現したこと、(ウ)特別委員会独自の第三者算定機関であるAGS FAS作成の株式価値算定書の算定結果並びに当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるアイ・アール ジャパン作成の株式価値算定書の算定結果に照らして、本公開買付価格は合理的な価格と考えられること、(エ)その他本公開買付価格の決定プロセスの公正性を疑わせるような具体的事情は存在しないと認められること、並びに(オ)非公開化に向けた本取引の方法に不合理な点は認められないことに照らし、当社の少数株主(一般株主)の利益を図る観点から、本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると考える。
(d)本公開買付けについて当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非
上記(a)のとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には正当性・合理性が認められる。また、上記(b)のとおり、公正な手続も履践されていることから、当社の株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められ、本取引は、当社の少数株主(一般株主)にとって不利益なものではないと考えられ、上記(c)のとおり、買付け等の価格を含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されている。したがって、本特別委員会は、当社取締役会が、本公開買付けについて賛同する旨の意見を表明するとともに、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を表明することは適切であると考える。
(e)本諮問事項(a)乃至(d)を踏まえて、当社取締役会が本取引の実施に関する決定を行うことが当社の少数株主(一般株主)にとって不利益でないか
上記(a)のとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には正当性・合理性が認められる。また、上記(b)のとおり、公正な手続も履践されていることから、当社の株主の利益への十分な配慮がなされており、上記(c)のとおり、買付け等の価格を含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されているものと認められる。したがって、当社取締役会が本取引についての決定(すなわち、本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨の決定、並びに、本取引の一環として本公開買付け後に行われるスクイーズアウト手続による非公開化手続に係る決定)をすることは、当社の少数株主(一般株主)にとって不利益なものではないと考える。
④特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
上記「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、当社、武藤公明氏、及び公開買付者から独立したAGS FASを本特別委員会独自の第三者算定機関として選任し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年2月4日付で本株式価値算定書(AGS FAS)を取得いたしました。なお、AGS FASは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るAGS FASに対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
AGS FASは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在していることから市場株価法を、また、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行いました。
AGS FASによれば、上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:924円~987円
DCF法 :1,164円~1,524円
市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年2月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値987円、直近1ヶ月間の終値単純平均値975円、直近3ヶ月間の終値単純平均値927円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値924円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を924円から987円までと算定しております。
DCF法では、2025年3月期から2028年3月期までの4期分の本事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第3四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,164円から1,524円までと算定しております。なお、AGS FASがDCF法の算定の前提とした当社作成の本事業計画に基づく財務予測には、当社が2024年10月18日及び2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」における2025年3月期通期の業績予想が織り込まれております。
また、本事業計画には対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期については、当社が2024年10月18日に公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」、及び2025年2月5日付で公表した「業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、原材料代・部品代・外注加工費・人件費などが想定以上に値上がりしており、また、中国市場におけるラップ盤の受注が減少していることから、営業利益が260百万円(対前年比が69.73%減少)となることを見込んでおります。また、2026年3月期については、中国市場におけるラップ盤の需要回復及び国内市場での価格交渉によるラップ盤の値上げにより営業利益は459百万円(対前年比が76.54%増加)となることを見込んでおります。
AGS FASがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、本事業計画には加味されておりません。
(単位:百万円)
AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた資料及び情報、一般に公開された情報を原則としてそのまま使用し、分析及び検討の対象とした全ての資料及び情報が正確かつ完全であることを前提としており、これらの資料及び情報の正確性又は完全性に関し独自の検証を行っておらず、またその義務を負うものではありません。AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でAGS FASに対して未開示の事実はないこと等を前提としております。当社及び当社の関係会社の全ての資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含み、これらに限られない。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。AGS FASは、提供された本事業計画その他将来に関する情報が、当社の経営陣による現時点において可能な最善の予測と判断に基づき、合理的に確認、検討又は作成されていることを前提としており、独自に検証することなくこれらの情報に依拠しております。AGS FASの算定は、2025年2月4日現在における金融、経済、市場その他の状況を前提としております。なお、AGS FASが提出した当社株式の株式価値の算定結果は、本公開買付価格の公平性について意見を表明するものではありません。
⑤当社における利害関係を有しない出席取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認
当社は、アイ・アール ジャパンから受けた財務的見地からの助言及び2025年2月4日付で提出を受けた本株式価値算定書(アイ・アール ジャパン)の内容、並びに森・濱田松本法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、2025年2月4日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役全8名のうち、武藤公明氏を除く当社の取締役7名)の全員一致で、公開買付けを含む本取引は当社の企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格(1,320円)を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。また、当社は、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、公開買付者からの本株式併合に係る要請を受け、2025年4月10日付の当社取締役会決議により、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするために、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、本株式併合を実施することとし、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決定いたしました。そして、当該取締役会決議についても、審議及び決議に参加した当社の取締役6名(取締役全8名のうち、武藤公明氏及び以下の欠席者を除く当社の取締役6名)の全員一致で決議いたしました。なお、当社の社外取締役・監査等委員である青木眞徳氏は、健康上の理由により上記取締役会を欠席したため、上記取締役会決議には参加しておりません。
⑥当社における独立した検討体制の構築
当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、武藤公明氏及び公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を社内に構築いたしました。具体的には、武藤公明氏は、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において武藤公明氏及び公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。当該検討体制は、全て武藤公明氏及び公開買付者から独立性の認められる役職員(武藤公明氏を除いた取締役全員を含みます。)のみで構成することとし、現在に至るまでかかる取扱いを継続しております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制、具体的には本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する役職員の範囲及びその職務(当社に株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成等高い独立性が求められる職務を含みます。)は、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題が無いことについては、本特別委員会の承認を得ております。
⑦本公開買付けの公正性を担保するための客観的状況の確保
公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおいては、当該期間よりも長期の30営業日に設定しているとのことです。このように、公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
⑧マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を充たす下限の設定
公開買付者によれば、本公開買付けにおける買付予定数の下限 (2,124,200株、所有割合:66.66%)は、当社第2四半期決算短信に記載された2024年9月30日現在の発行済株式総数(3,462,400株)から、当社第2四半期決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(276,016株)並びに武藤公明氏が所有する対象者株式(所有株式数:110,296株、所有割合:3.46%)、本応募合意株式(KMエンタプライズ)(所有株式数:50,000株、所有割合:1.57%)及び本応募合意株式(所有株式数:823,945株、所有割合:25.86%)を控除した株式数(2,202,143株)の半数に相当する株式数(1,101,071.5株、所有割合:34.56%)に、本応募合意株式(武藤公明氏)(100,860株、所有割合:3.17%)、本応募合意株式(KMエンタプライズ)(所有株式数:50,000株、所有割合:1.57%)及び本応募合意株式(所有株式数:823,945株、所有割合:25.86%)の合計株式数(974,805株、所有割合:30.59%)を加算した株式数(2,075,876.5株、所有割合:65.15%)を上回っているとのことです。すなわち、公開買付者と利害関係を有しない当社の株主が所有する当社株式の数の過半数の賛同が得られない場合には本公開買付けは成立せず、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」条件を充たしたものとなっており、当社の少数株主(一般株主)の皆様の意思を重視したものであると考えているとのことです。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2025年6月11日(予定)
以 上