第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態および経営成績の状況

①財政状態

(資産)

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ383百万円減少して、47,746百万円となりました。これは、現金及び預金等の流動資産において218百万円の減少、建物及び構築物等の固定資産において164百万円の減少があったことによるものであります。

(負債)

当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ619百万円減少して、7,064百万円となりました。これは、賞与引当金等の流動負債の減少815百万円に対し、長期借入金等の固定負債において196百万円の増加があったことによるものであります。

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ235百万円増加して、40,681百万円となりました。これは、利益剰余金等の増加によるものであります。

②経営成績

 当社グループは、当期を初年度とする新たな中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)を発表しました。成長のための4つの基本戦略を基盤に、グローバルな技術提案や工法普及を強化するとともに、新工法・新製品の開発と市場投入のスピードアップを推進し、企業価値の向上を目指します。

 当中間連結会計期間における国内の事業環境は、建設投資が公共、民間とも堅調に推移しました。しかしながら、当社事業においては、物価高騰による公共事業の施工規模縮小や労務費のコスト上昇等がユーザーの経営を圧迫する状況が続きました。厳しい経営環境の中、ユーザーの設備投資マインドが大きく冷え込んだことから、当社は2月に業績予想を下方修正いたしました。

 国内における工法技術提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、国土強靭化事業、インフラ老朽化に伴う更新・機能強化事業等を中心にインプラント工法※1の普及に取り組みました。その結果、公共工事では、能登半島地震・豪雨災害で被災した道路の復旧工事、河川・港湾護岸の更新工事、高速道路の6車線化工事で採用される等、採用案件数は順調に推移しました。

 昨年12月には、中部地方の圧入市場拡大の拠点となる中部営業所を愛知県名古屋市に開設し、工法技術提案活動等をスタートしました。中部地方は既存ユーザーが多い地域であり、ものづくりを支える物流・交通インフラの整備や東南海・南海巨大地震等に対する災害対策が計画されていることから、圧入技術の需要拡大が見込まれています。営業所の新設により、地域のニーズに合った技術提案を的確に行い、中部地方のさらなる経済発展と安全・安心な暮らしに貢献してまいります。

 国内の製品販売においては、空頭制限下かつ硬質地盤の現場で鋼矢板の効率的な圧入を実現する新製品「ハンドリングシステム」の販売を、GMメンバー※2向けにスタートし、好調に推移しました。本製品は、サイレントパイラーに取り付けるパイルオーガの吊り込み装置であり、大型のクレーンで吊り込む必要がなくなることから、従来技術では工事が難しかった橋梁下等の現場に適用範囲を広げることができます。当社は今後も現場ニーズを適切に捉え、建設課題の解決およびユーザーの稼働率向上を実現してまいります。

 海外展開では、これまでの機械販売を中心としたビジネスモデルを見直し、現地パートナーとの協働体制を強化すべくユーザー向け総合支援サービス「GTOSS」を開始し、まずはサポート体制の構築を進めています。GTOSS会員となったパートナー企業とともに、工法普及活動を実施することで、市場拡大を加速させていきます。

 アジア地域では、シンガポールにて2月、GTOSS会員のユーザーが東南アジアで初となるジャイロプレス工法の工事を完了し、工法普及において極めて重要な施工実績をつくることに成功しました。現地では3件目の工法採用も決まっており、継続受注に向けて好スタートを切ることができました。当社グループは本実績をもとに、同工法の市場拡大を加速化させてまいります。

 パートナー企業との連携では、シンガポールのユーザーが新たにGTOSS ASIAに加入し、アジア地域のGTOSS会員は9社に増えました。当社グループはこのユーザーに対する技術指導や巡回点検等の充実したサポートを通じて現場を成功に導き、将来的には工法普及における強力なパートナーとして協働することで、現地の圧入市場の開拓をさらに推進してまいります。

 ヨーロッパ地域では、グループ会社のGiken Europe B.V.(本社:オランダ)とともに合弁会社「G-Kracht B.V.」に出資し、オランダ世界遺産運河の護岸改修プロジェクトに参加する現地のユーザーがGTOSS EUROPEに加入し、会員は3社に増えました。ドイツにおいては、インフラの老朽化や洪水災害等の対策における圧入技術に対するニーズの高まりを背景に、同国トップユーザーである建設会社が「サイレントパイラーF401」を購入しました。

 北米地域では、1月にグループ会社のGiken America Corporation(本社:アメリカ)が、アメリカ東海岸北部地域の圧入市場を開拓・拡大する拠点として、ニュージャージー州に営業所を開設しました。同国での当社グループの拠点は、東海岸南部のオーランド本社(フロリダ州)と合わせて2カ所となります。新たな営業所は有力な設計コンサルタントが集中するニューヨーク州にもアクセスしやすく、陸空路とも利便性が高いため工法普及活動に適しています。本営業所を拠点に大規模なインフラ投資が継続する東海岸北部地域での市場開拓・拡大を加速化してまいります。

 このような状況のもと、当中間連結会計期間における売上高は11,829百万円(前年同期比23.9%減)、営業利益は1,323百万円(同45.3%減)、経常利益は1,345百万円(同48.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は928百万円(同49.8%減)となりました。

 

 セグメントの業績は次の通りです。

 

a.建設機械事業

 国内では、物価高による施工規模の縮小や労務費等のコスト上昇がユーザーの設備投資マインドを冷やし、製品販売に大きく影響しました。海外では、上期に見込んでいた製品販売が下期にずれた影響により、前年同期の売上を下回りました。この結果、当セグメントの売上高は8,119百万円(前年同期比26.8%減)、営業利益は1,935百万円(同35.2%減)となりました。

 

b.圧入工事事業

 国内では、工法採用が堅実に推移する中、ダムの仮設擁壁構築(長崎県)、発電所の防水壁構築(岐阜県)、発電所の防潮堤基礎構築(北海道)、令和6年9月能登半島豪雨による地滑り後の道路復旧(石川県)等において工事が順調に進捗しました。しかしながら、前年の高水準な工事売上の反動減および着工遅れにより前年同期よりも工事案件数は減少しました。一方海外では、ドイツにてオペレーター付きレンタルが順調に進捗しました。この結果、当セグメントの売上高は3,709百万円(前年同期比16.6%減)、営業利益は506百万円(同20.7%減)となりました。

 

 ※1 一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水等の外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。

 ※2 当社は製品に加えて技術サービスなどのノウハウ提供を通じて現場の生産性向上を図る総合支援サービス「GTOSS」を提供しています。支援を受けるためにはGTOSS会員になる必要があります。会員ユーザーの中で認証基準をクリアした「GMメンバー」は、一般化していない普及段階工法や開発段階工法についても、施工を行うための支援が受けられます。

 

③キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から220百万円減少し、5,849百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、1,291百万円(前年同期は1,736百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額1,214百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、前中間連結会計期間に比べ222百万円増加して、1,578百万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入3,180百万円、定期預金の預入による支出932百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前中間連結会計期間に比べ1,713百万円減少して、464百万円となりました。これは主に、配当金の支払額589百万円等によるものであります。

(2) 会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

(4) 研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は417百万円であり、セグメントは全額「建設機械事業」であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。