塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「当社」といいます。)は、2025年5月7日開催の取締役会において、日本たばこ産業株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:寺畠 正道、以下「日本たばこ産業」といいます。)の医薬事業(以下「JT医薬事業」又は「分割対象事業」といいます。)を会社分割(簡易吸収分割)により当社へ承継すること(以下「本吸収分割」といいます。)及び米国の当社グループ会社Shionogi Inc.によるAkros Parma Inc.(日本たばこ産業の100%孫会社、本社:米国ニュージャージー州)の発行済株式全部の譲受に関する合意書(以下「本合意」といいます。)を締結することを決議しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第7号の規定に基づき、臨時報告書を提出いたします。
(1) 本吸収分割の相手会社についての事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
(連結)
(単体)
③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
(2) 本合意の目的
当社は、「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」を基本方針(SHIONOGI Group Heritage)として、医療用医薬品を中心に一般用医薬品や診断薬の研究開発、製造販売活動を行っております。2020年に、2030年に成し遂げたいVision(SHIONOGI Group Vision)として「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことを掲げ、そのVisionを実現するための戦略として中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)」を策定し、世界中の患者さまや社会の抱える困りごとをより包括的に解決するために、医療用医薬品の提供にとどまらずに、顧客の皆さまのニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」への変革を進めています。
2020年度から2022年度までの3年間は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるパンデミックの早期終息を目指して、治療薬の提供にとどまらずCOVID-19のトータルケアの実現に向けて、検知(流行予測)、予防、診断、重症化抑制といった各ソリューションの提供に取り組んできました。その結果として、COVID-19治療薬「ゾコーバ」については、これまでとは全く異なるスピードで国内での承認を取得するなど、創薬力を進化させてきました。また、SHIONOGI初となるワクチンや下水疫学調査サービスなど医療用医薬品以外の製品やサービスを拡大させることができました。これらの取り組みから得た成果や学びをもとに、SHIONOGI Group Visionの実現に向けた道筋がより明確になったことから、2023年にSTS2030を改訂し、STS2030 Revisionとして新たなスタートを切りました。
STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3ヶ年をSTS Phase2と位置付け、「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針として、変革による成長を加速させています。研究開発においては、注力する疾患領域として「社会を脅かす影響度の高い感染症」及び「社会的影響度の高いQOL疾患」を掲げています。感染症領域では、従来からの強みである低分子創薬(分子量が数十から数百程度の医薬品の創製)を技術基盤として、ドルテグラビル、カボテグラビルといった抗HIV薬の創出、多剤耐性グラム陰性菌感染症(複数の薬剤に対する耐性を併せ持つグラム陰性菌による感染症)治療薬セフィデロコル、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」といった多くの革新的な新薬を創出してきました。今後も、強みである低分子創薬の技術基盤をさらに強化・拡大することにより、感染症領域のみならず、世界中の多くの患者さまや社会の抱える困りごとを解決することを目指しております。
一方、JT医薬事業は、1987年の事業参入以来、安定的な研究開発投資を重ね、ファースト・イン・クラスの低分子創薬に向け、医療用医薬品の研究開発に取り組んできました。現在は「科学、技術、人財を大切にし、患者様の健康に貢献します。」という事業Purposeのもと国際的に通用するオリジナル新薬の創製を目指し、主に日本たばこ産業が研究開発を行う一方で、鳥居薬品が製造、販売及びプロモーション活動を担うことで、両社で一体的なバリューチェーンを構築し、グループ内でのシナジーを最大限に発揮しながら事業運営を行っております。JT医薬事業は「循環器・腎臓・筋」「免疫・炎症」「中枢」の3領域を重点研究開発領域としており、低分子創薬に特化した研究開発や国内外研究開発拠点の連携による効率的かつスピーディーな臨床開発を強みとしております。また、早期に患者さまに自社で創製した新薬を届けるために、自社での開発推進に加え、グローバルメガファーマへの導出や提携を積極的に行っております。
当社は、上記のSTS2030 Revisionの取り組みにおける「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というビジョンの実現のために、JT医薬事業及び鳥居薬品との協業に関して検討を2024年初頭より進めてまいりました。検討の結果、低分子創薬に強みを持ち、高い研究開発技術を持つJT医薬事業を当社が承継することにより、両社が保有する有力なパイプライン開発の加速及び当社の医薬品製造機能と連携体制構築による効率的かつスピーディーな事業運営が可能になるとの結論に至り、2024年8月上旬に日本たばこ産業に対して、当社によるJT医薬事業の譲受及び鳥居薬品の完全子会社化を含む提案を実施し、その後の協議を経て本合意にいたりました。当社といたしましては、本件は「日本発の革新的な医薬品を世界に届けるリーディング・カンパニー」を誕生させ、世界中の患者さま、人々の健康に貢献する企業として、持続可能で健全な社会の実現に寄与するものであり、JT医薬事業(グループ会社を含む)の従業員の皆様にも安心して、引き続きご活躍いただく機会を提供できるものと考えております。
(3) 本吸収分割の方法、吸収分割会社となる会社に割り当てられる吸収分割承継会社となる会社の株式の数(以下「吸収分割に係る割当ての内容」といいます。)その他の吸収分割契約の内容
① 本吸収分割の方法
当社を吸収分割承継会社、日本たばこ産業を吸収分割会社とする吸収分割です。
② 本吸収分割に係る割当ての内容
本吸収分割においては、当社が日本たばこ産業に5,397百万円の金銭を交付する予定です。
③ 本吸収分割契約の内容
(i)本吸収分割の日程
(注1) 本吸収分割は、当社においては会社法第796条第2項、日本たばこ産業においては、会社法第784条第2項に規定する簡易吸収分割に該当するため、株主総会の承認決議を経ずに行います。
(注2) 日程については、必要となる関係当局の許認可、登録、届出等の対応の要否、状況その他諸般の事情に照らし、必要に応じて変更することがあります。
(ii)本吸収分割に 伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
該当事項はありません。
(iii)本吸収分割により増減する資本金
該当事項はありません。
(iv)本吸収分割により吸収分割承継会社が承継する権利義務
本吸収分割に関する資産、負債及び契約その等の権利義務のうち、吸収分割契約で別途定めるものを除いて承継いたします。
(v)債務履行の見込み
当社は、本吸収分割の効力発生日以降に弁済期が到来する債務につき、履行の見込みに問題はないものと判断しております。
(4) 本吸収分割に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当ての内容の根拠及び理由
分割対象事業における業績の状況及び将来の見通し等を総合的に勘案し、両社間で協議を行った結果合意に至りました。
② 算定に関する事項
当社は、本吸収分割に際して、算定機関から算定書は取得しておりません。
③ 上場廃止となる見込み及びその理由
本件、対価が金銭の授受であり、上場廃止になる見込みはありません。
④ 公正性を担保するための措置
該当事項はありません。
なお、当社は、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を本吸収分割に関するリーガル・アドバイザーとして選任し、本吸収分割に関する諸手続並びに意思決定方法及び意思決定過程等に関する法的助言を受けております。なお、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業は、当社及び日本たばこ産業の関連当事者には該当せず、本吸収分割に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
⑤ 利益相反を回避するための措置
該当事項はありません。
(5) 本吸収分割の後の吸収分割承継会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
以 上