第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

子育て支援事業を取り巻く状況につきましては、共働き世帯数の増加や女性の就業率上昇により保育所利用者数及び保育施設数の増加が続いていましたが、2024年4月時点で全国の待機児童数が2,567人と前年比113人減少したほか、2023年の出生数が72万7,277人と前年比4万3,482人減少するなど、外部環境が変化しております。一方、当社グループが集中的に展開している東京都では2024年4月の待機児童数が361人と前年比75人増加し、また定員充足率は直近5ヶ年は90%超の高水準が続くなど、保育需要の地域的な偏在が浮き彫りになっております。

政府は子どもに関する政策を一元化し社会の中心に据える「こどもまんなか社会」を掲げ、家庭を取り巻く諸問題に本格的に取り組む「こども家庭庁」を2023年4月に設置するなど、関連施策を推進しています。また、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」には、76年ぶりとなる保育士の配置基準の見直しや保育士の処遇改善を進めることなどが盛り込まれています。さらに2023年12月には「こども大綱」が閣議決定され、2024年5月には同大綱に基づく「こどもまんなか実行計画2024」が決定されました。これは幅広いこども政策の具体的な取り組みを一元的に示した初のアクションプランであり、児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」の創設、保育士等の処遇改善やICT化の推進などその政策は多岐にわたっております。

このように子育て支援事業を取り巻く外部環境が大きく変化する中、当社グループは2024年11月14日に『「2030トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』を公表しており、当社のビジョン「2030トリプルトラスト」(2030年に職員と親子と地域に最も信頼される存在になり、子ども達の育ちと学びの社会インフラになる)を実現するため以下の経営戦略を推進してまいります。

・保育事業

保育事業については、「安心安全の担保」を最優先課題として位置づけ安心安全確保の仕組みの整備を図ります。また、保育の質向上を目指しイエナプランの導入を進めます。収支改善の取り組みとしては、①マーケティング強化による入所率向上に伴う売上増加、②職員配置適正化による利益率改善、③生産性向上によるコスト削減を引き続き推進します。さらに東京都及び横浜市を中心にM&Aによる規模拡大を目指します。

・新規事業

複数ある新規事業施策の位置づけを明確化したうえで、収益ソースの多様化を目的に保育周辺事業の開拓・拡大を進めます。具体的には、習いごと教室、当社グループ独自の体操プログラム等の展開を推進します。

・ICT戦略

従業員エンゲージメントの高い企業、保護者と園児に選ばれる施設、保育業界におけるリーダーシップを目指しデジタル基盤の活用を強化します。業界トップレベルのデジタル活用で業務効率化、品質向上を追求します。

・人事戦略

「経営戦略と連動した人事戦略」を打ち出し「2030トリプルトラスト」に向けた経営戦略の施策実行に必要なスキル・経験を持った人財の確保を目指します。人的資源充足のために、メンター制度の導入等による育成、ミスマッチを回避した採用を進めるほか、生産性向上による働きやすい環境を整備するなど選ばれる組織にしてまいります。

・資本戦略

安定的な事業運営、成長投資に耐えうる財務健全性に一定の目処がつき、今後は財務健全性を維持したうえで資本コストを意識した収益性の向上を進め、資本効率改善及び株主還元の充実を図ります。なお、『「2030トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』において「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示を開始しております。

 

当中間連結会計期間末時点における運営施設数は、認可保育所148施設(東京都114施設、神奈川県29施設、その他認可保育所5施設)、認証保育所・その他保育所7施設、学童クラブ・児童館10施設の計165施設となります。

当中間連結会計期間の経営成績は、売上高13,969百万円(前年同期比1.2%増)、EBITDA713百万円(同4.9%減)、営業利益298百万円(同12.2%減)、経常利益285百万円(同13.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益150百万円(同21.2%減)となりました。

売上高は、人事院勧告改定に伴う公定価格の上昇等により前年同期に比べ増加しました。利益面では、利用定員見直しや施設譲渡が寄与したものの、ICT費用等の積み増しによる販売管理費増加や写真販売サービスの採算低下が影響いたしました。

 

(2) 財政状態及びキャッシュ・フローに関する説明

①資産、負債及び純資産の状況

(資産)

当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ4,210百万円増加し19,672百万円となりました。これは主に現金及び預金が増加したことによるものです。

(負債)

当中間連結会計期間末の総負債は、前連結会計年度末と比べ4,368百万円増加し11,715百万円となりました。これは主に短期借入金が増加したことによるものです。

(純資産)

当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比べ158百万円減少し7,956百万円となりました。これは主に繰越利益剰余金が減少したことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ、12.0ポイント下降し、40.4%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、5,348百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、499百万円(前中間連結会計期間は695百万円の増加)となりました。これは、非資金損益項目である減価償却費415百万円の計上が主因です。

また、前中間連結会計期間と比較して196百万円減少しております。これは、未収入金及び契約資産の増加により474百万円減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、9百万円(前中間連結会計期間は128百万円の減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が16百万円発生したことが主因です。

また、前中間連結会計期間と比較して119百万円増加しております。これは、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の増加は、3,617百万円(前中間連結会計期間は3,119百万円の増加)となりました。これは、短期借入金が純額で4,397百万円増加したことが主因です。

また、前中間連結会計期間と比較して497百万円増加しております。これは、長期借入金の返済による支出の減少等によるものです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。