第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間における世界経済は、依然としてロシアによるウクライナ侵攻等の諸問題の先行き不透明感があるものの、世界的に新型コロナ禍から経済活動正常化へ向かいつつあり景況感の緩やかな持ち直しが見られます。その一方で記録的なインフレを抑制するため、各国の中央銀行が利上げを行っており、年後半以降の景気後退懸念が強まっております。

このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初28,203.35円で始まりました。賃金と物価の好循環期待、東証による低PBR改善に向けた経営改革の要請、米著名投資家のバフェット氏が大手商社株を買い増し日本株に対して強気な見方を示したこと、世界的な金融引き締め局面のなかで日銀が金融緩和路線の継続方針を示していること、景気後退リスクが諸外国に比べて低いと思われることなどを背景に日経平均株価は期を通して断続的に上昇しました。海外投資家による買いが継続し、6月19日には高値33,772.89円まで上昇する場面がありました。6月末の日経平均株価は33,189.04円で取引を終了しました。

米国株式市場において、主要株式指数であるダウ工業株30種平均は期初33,245.78米ドルで始まりました。米国一部地方銀行の経営破綻に端を発する金融不安や債務上限問題を巡る与野党協議の難航等を受けてリスク回避地合いが続き、5月25日にダウ工業株30種平均は安値32,586.56米ドルを付けました。その後、6月1日に債務上限適用停止法案が成立するとダウ工業株30種平均は戻りを試す動きとなりました。6月13~14日のFOMC(米国連邦公開市場委員会)にて政策金利据え置きが決まると一段高となり、6月16日にダウ工業株30種平均は高値34,588.68米ドルを付け、6月末は34,407.60米ドルで取引を終了しました。

当社が注力している中国・香港株式市場において、主要株価指数であるハンセン指数は期初20,379.50ポイントで始まりました。4月18日に発表された1~3月期GDP成長率は前年同期比4.5%増と、2022年10~12月の同2.9%増、市場予想の同4.0%増を大幅に上回り、中国経済がゼロコロナから力強く回復しつつあることを示しました。しかし、同日発表された3月単月の経済指標は予想を下回り、特に、不動産部門は政府が緩和策を採用しているにもかかわらず不振が続きました。更には、5月19~21日に開催されたG7広島サミットでは、先進7か国が中国を念頭に連携を強化する動きを示したことから、投資家は中国と先進国との関係悪化を懸念し、ハンセン指数は5月31日に18,044.86ポイントと、2022年11月以来の低い水準へ低下しました。ただし、6月に入ると中国の景気刺激策に対する期待が高まり、また、中央銀行により利下げが実施されたこともあり、ハンセン指数は6月末に18,916.43ポイントまで回復し取引を終了しました。

このような状況のもと、当第1四半期連結累計期間の当社グループの業績は、相場環境が好転したことにより、日本株、米国株、投資信託の手数料が増加しました。その結果、営業収益は27億63百万円(前年同四半期比40.4%増)、経常利益は2億53百万円(前年同四半期は5億22百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億77百万円(前年同四半期は5億26百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)と前年同期と比較して改善しました。

なお、主な内訳は以下のとおりであります。

①受入手数料

受入手数料の合計は22億9百万円(前年同四半期比35.0%増)になりました。科目別の概況は以下のとおりであります。

(委託手数料)

当第1四半期連結累計期間の東証の1日平均売買代金は4兆1,735億円(前年同四半期比17.7%増)になりました。当社の国内株式委託売買代金は2,186億円(前年同四半期比27.8%増)、外国株式委託売買代金は127億円(前年同四半期比11.7%増)になりました。その結果、当社グループの委託手数料は9億57百万円(前年同四半期比44.8%増)になりました。

(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は株式の引受高の減少により4百万円(前年同四半期比32.2%減)になりました。

 

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)

主に証券投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は株式投資信託の募集金額が270億円(前年同四半期比64.8%増)に増加したため7億22百万円(前年同四半期比60.5%増)になりました。

(その他の受入手数料)

その他の受入手数料は代行手数料が4億58百万円(前年同四半期比0.6%減)に減少したものの、生命保険代理店手数料が34百万円(前年同四半期比39.9%増)と増加したため5億25百万円(前年同四半期比1.1%増)になりました。

②トレーディング損益

トレーディング損益は米国株店頭取引売買代金の増加等により株券等が3億71百万円(前年同四半期比88.2%増)、外国債券の評価損益の増加等により債券等が28百万円(前年同四半期比698.9%増)、中国株取引に係る為替手数料の減少等によりその他が55百万円(前年同四半期比25.6%減)で合計4億54百万円(前年同四半期比65.2%増)になりました。

③金融収支

金融収益は受取利息の増加等により83百万円(前年同四半期比92.1%増)、金融費用は信用取引費用の増加等により34百万円(前年同四半期比29.1%増)で差引金融収支は48百万円(前年同四半期比193.7%増)になりました。

④販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、減価償却費が13百万円(前年同四半期比88.4%減)となったこと等により合計で26億円(前年同四半期比0.6%減)になりました。

⑤営業外損益

営業外収益は投資有価証券配当金の減少等により1億57百万円(前年同四半期比11.9%減)、営業外費用は投資事業組合運用損等により8百万円(前年同四半期比9.2%増)で差引損益は1億48百万円(前年同四半期比 12.9%減)になりました。

⑥特別損益

特別利益は投資有価証券の売却益等により1億3百万円(前年同四半期比239.2%増)、特別損失は投資有価証券の売却損により38百万円(前年同四半期比345.6%増)で差引損益は65百万円(前年同四半期比197.8%増)になりました。

⑦資産の状況

資産合計は769億44百万円と前連結会計年度末に比べ107億53百万円の増加になりました。主な要因は、現金・預金が60億74百万円、顧客分別金信託27億97百万円、約定見返勘定が10億円増加したことによるものであります。

⑧負債の状況

負債合計は417億65百万円と前連結会計年度末に比べ97億75百万円の増加になりました。主な要因は、預り金が53億96百万円、有価証券貸借取引受入金が28億22百万円、短期借入金が9億50百万円増加したことによるものであります。

⑨純資産の状況

純資産合計は351億78百万円と前連結会計年度末に比べ9億77百万円の増加になりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が7億77百万円、利益剰余金が1億11百万円増加したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は287億66百万円と前年同四半期末に比べ3億71百万円の減少になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは立替金及び預り金の増減額50億45百万円(前年同四半期比37億17百万円の増加)、有価証券担保借入金の増減額28億22百万円(前年同四半期比22億14百万円の増加)、顧客分別金信託の増減額△24億36百万円(前年同四半期比30億2百万円の減少)、約定見返勘定の増減額△10億円(前年同四半期比13億39百万円の減少)等により45億15百万円(前年同四半期比42億62百万円の増加)になりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは定期預金の払戻による収入15億49百万円(前年同四半期比15億45百万円の増加)、投資有価証券の売却による収入6億92百万円(前年同四半期比5億90百万円の増加)、有形及び無形固定資産の取得による支出△2億58百万円(前年同四半期比2億14百万円の減少)等により18億34百万円(前年同四半期比17億79百万円の増加)になりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の純増減額9億50百万円(前年同四半期の計上はありません)等により7億87百万円(前年同四半期比12億57百万円の増加)になりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「株式会社の支配に関する基本方針」について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(8)従業員数

 著しい増減はありません。

 

(9)生産、受注及び販売の実績

 当社グループの主たる事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一の事業セグメントに属しており、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該業務の収益の状況等については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

(10)主要な設備

 著しい変更はありません。

 

(11)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの営業収益は、中核事業が金融商品取引業であることから国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けるため、不安定な状況にあります。そのため、現在、預り資産の残高拡大を中心に顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。

 

(12)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、立替金及び預り金の増加等により45億15百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが、定期預金による払戻等により18億34百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが、短期借入金の増加等により7億87百万円の収入となりました。

 この結果、当社グループの現金及び現金同等物の四半期末残高は前連結会計年度末に比べ74億20百万円増加の287億66百万円となり、十分に資金の流動性が確保されております。

 また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行11行それぞれと当座貸越契約、連結子会社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。このほか、緊急時対応についてもコンティンジェンシープランを策定し、全社的な緊急時対応体制を構築しております。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。