文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ドラッグストア業界は、人口減少・高齢化による地域市場の変化、人手不足に伴う人件費上昇、物流コストの増加に加え、大手を中心としたM&Aによる競争激化や業界再編の動きが加速しています。当社グループはこれらの環境変化を成長の好機と捉え、積極的な新規出店、店舗運営の効率化、物流改革、人材育成、DX推進の5つの戦略を軸に、持続可能な企業価値の向上を目指してまいります。
東北エリアにおける安定的な出店と更なるドミナント強化を推進するとともに、新たな成長の柱として関東エリアへの出店を積極的に展開してまいります。具体的には、今後5年間で450店舗の新規出店を計画し、過去最高出店数を毎年度更新することで、持続的な成長を目指します。地域ごとの市場シェアを分析し、最適な出店戦略を実行してまいります。
店舗運営においては、レイアウト標準化、店舗負担の軽減、売場固定の3つを重点戦略として推進しております。レイアウトの標準化を進めることで、売上貢献度の高いカテゴリーの展開を強化し売上増加を図ります。また、店舗作業の効率化および売場の固定化を通じて、生産性の向上と顧客の購買体験価値の最大化を図り、店舗全体の収益性向上を目指します。
サプライチェーンの最適化を図るため、お取引先様との協働による物流改革を推進しております。具体的には、食品と非食品センターの統合による効率化と、新低温物流センターの再構築による品質向上とコスト削減を目指します。新低温物流センターは2026年4月の稼働を予定しており、より効率的で持続可能な物流体制を構築してまいります。
持続的な成長を支える人材育成を重要な経営戦略と位置づけ、「採用と学び」に特化した組織づくりを推進しております。戦略的な採用活動を通じて多様な人材を確保するとともに、MANAVI推進室の新設により、組織全体での教育・研修体制を強化し、動画や各ツールの活用も積極的に行ってまいります。組織力の強化と活性化を図り、企業価値の向上に繋げてまいります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を通じて、事業全体の効率化および顧客体験の向上を目指しております。これまでに取り組んできたデータ整備やデータサイエンスの導入に加え、今後はデータサイエンスの実践的な活用を本格化させ、AIの開発および業務への実装を進めてまいります。学びと挑戦を通じて社内文化とマインドを進化させ、DXを活用した経営を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を重要項目と認識しております。取締役会において、グループ会社と連携のうえ担当役員・各担当部署からの提案やリスク管理委員会から報告されたサステナビリティを巡る重要な方針や課題への対応について必要に応じ審議のうえ、決定を行うとともに、施策実施の監督を行っております。また、担当役員・担当部署による詳細な検討と、監査等委員会による評価・提言も参考にしております。
当社グループのサステナビリティを巡る課題への対応の重要課題として特に人的資本に関する方針等を認識しており戦略へ反映しております。
当社は経営理念である「お客様に喜んで戴ける店をつくる」ことを具現化させるために、その実現に必要な知識や経験を持った人材を育成することを基本方針としております。
「個人の能力向上が組織の能力をより一層向上させる」との信念のもと、登録販売者資格取得のためのサポートや職階ごとの社内研修を行っております。また、選抜した人材を外部研修(リーダー候補研修、マネジャー候補研修)へ派遣し、マネジメントスキルや専門スキルの向上を図っております。
また、様々な人材が成長し活躍できるように、性別や年齢にとらわれず、その能力に応じて管理職への登用を行うことや、正社員の65歳への定年延長、育休後の女性の職場復帰支援等を実施し、従業員が働きやすい環境の整備を行っております。
サステナビリティを含む事業を取り巻く様々なリスクに対応するために「リスク管理規程」を定め、リスク管理体制を整備するとともに、リスク管理委員会を設置してリスクの分析、評価及び対応状況を定期的に確認し、必要な対策を講じております。また、リスク管理体制として取締役会での監督のほか、担当役員・担当部署においては定期的にリスクと機会の分析を行い、事業戦略への影響の把握と対策検討およびモニタリングを実施いたします。監査等委員会においては担当部署からのヒアリングなどを通して評価・提言を行います。
当社グループはCO2排出量を指標としております。2025年2月期のCO2排出量は、Scope1は1,459t-CO2、Scope2は42,404t-CO2でした。今後、削減目標やScope3における排出量も検討してまいります。
また、当社グループでは、「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針の指標及び目標については、管理職に占める女性労働者の割合を2030年度までに40%とすることを目標として取り組みます。
(注) 1.当該指標における管理職の定義
管理職ならびに店長を含み、担当部内・店舗等の従業員を指導管理する役割を担っている立場にある者であります。
2.当該指標における管理職の範囲
本部では部長、マネジャーなど担当部内・店舗等の従業員を指導管理するもの、店舗では店長、店長を指導する立場であるスーパーバイザー、ゾーンマネジャー、部長を含んでおります。
3.提出会社については直接雇用する労働者はいないことから記載を省略しております。したがって、有価証券報告書記載の指標は連結子会社の数値であり、提出会社の数値と一致しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅するものではありません。
当社グループは、「医薬品医療機器等法」上の医薬品等を販売するにあたり、各都道府県の許可、登録、指定、免許及び届出を必要としております。また、食品、酒類等の販売については、食品衛生法等それぞれ関係法令に基づき、所轄官公庁の許可、免許、登録等を必要としております。
今後、当該法令等の改正により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医薬品販売業許可及び薬局開設許可等の許可を受けて営業しております。2009年6月の旧薬事法の改正に伴い、リスクの低い医薬品については新設の登録販売者による販売が可能となったことや、2014年6月の旧薬事法の改正に伴い、インターネット販売が解禁されたことにより、他業種が医薬品販売に参入する障壁が低くなっております。今後医薬品の販売規制がさらに緩和され、一般小売店における販売の自由化が進展した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2000年6月1日施行の「大規模小売店舗立地法」(以下、「大店立地法」という。)では、店舗面積が1,000㎡超の店舗を対象に、政令指定都市の市長又は都道府県知事への届出を義務付けており、地域住民等への十分な説明、交通渋滞、駐車場、騒音、廃棄物施設、荷捌き施設のスペース等、出店地域における生活環境に関する項目を審査対象としております。このため、新規出店及び既存店舗の増床等において、「大店立地法」又は各自治体の規制を受ける可能性があり、この場合、当社グループの出店政策に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2025年2月28日現在、東北6県(岩手県・宮城県・青森県・秋田県・山形県・福島県)においてドラッグストア 403店舗(うち調剤併設型3店舗、調剤専門薬局1店舗)を運営しております。
最近の当社グループの業容及び収益拡大には店舗数の増加が大きく寄与しております。今後も店舗数の増加を図っていく方針でありますが、既述の法的規制や競合店の出店、経済情勢の変動等さまざまな偶発的要因により計画どおりの出店ができない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
2009年6月の改正薬事法施行により、薬剤師及び登録販売者の確保が重要となり、登録販売者については積極的に社内育成を行っております。しかしながら、これら資格者の確保が計画どおりにできない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、個人情報取扱事業者として店舗及び調剤業務で取り扱う顧客情報を保有しております。当社グループといたしましては、業務上これらの情報を閲覧又は保持する必要性があるため、顧客情報の取り扱いに関する規程を整備し、従業員の情報管理教育を徹底することにより、情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、このような対策にもかかわらず、万一情報漏洩が発生した場合、当社グループに対する信頼の失墜や損害賠償請求により、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、将来的に顧客情報保護体制の整備のためのコストが増加する可能性があります。
当社グループの出店エリアにおきまして、大地震や台風等の災害等が発生した場合には、店舗設備等に損害が発生する可能性があります。また、災害等により販売活動や流通経路等に支障が生じる場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、原則として、各店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位と捉え、減損会計を適用し、減損の兆候を適時判断しておりますが、外的環境の急激な変化等により収益性が著しく低下した場合、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国の経済は、賃上げによる雇用・所得環境の改善や、各種経済政策の効果により、景気は緩やかな回復が続いているものの、海外景気の下振れリスクや、継続的な物価上昇、金利上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属するドラッグストア業界においては、食品を中心とした品揃えや価格の強化により需要増加がみられるものの、物価上昇に伴う消費者の節約志向は継続しており、経営環境としては厳しい状況で推移いたしました。
このような状況の中、当社グループは、販売価格や品揃えの強化により来店客数及び買上点数の増加を図りつつ、店舗作業の軽減や物流効率化によるローコストオペレーションに取り組み、小商圏ドミナント出店を推進することにより、ドラッグストアを岩手県1店舗、青森県4店舗、秋田県3店舗、宮城県3店舗、山形県2店舗、福島県4店舗の合計17店舗を新規出店いたしました。また、移転のため調剤専門薬局1店舗を退店し、当連結会計年度末の店舗数は403店舗(うち調剤併設型3店舗、調剤専門薬局1店舗)となりました。さらに、青森県と岩手県、宮城県を中心に54店舗の改装を実施し、エリアドミナントと既存店の強化をいたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は1,519億5千7百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は54億8千1百万円(前年同期比5.2%増)、経常利益は57億7千8百万円(前年同期比2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億7千5百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
主要なドラッグストア事業における部門別の業績は次のとおりです。
医薬品はドリンク剤や感冒薬等が伸張し、衛生用品では介護用紙おむつや生理用品等が伸張いたしました。その結果、売上高は前年同期比1.3%増加し、262億4百万円となりました。
化粧品は基礎化粧品や男性化粧品等が伸張し、トイレタリーではヘアケアやオーラルケア等が伸張いたしました。その結果、売上高は前年同期比6.8%増加し、205億4千万円となりました。
日用品は洗剤や家庭紙等が伸張し、バラエティ部門はペット関連商品等が伸張いたしました。その結果、売上高は前年同期比8.5%増加し、327億9千8百万円となりました。
食品は日配品や冷凍食品等が伸張し、酒類ではビール類や酎ハイ等が伸張いたしました。その結果、売上高は前年同期比8.3%増加し、721億8千4百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、799億7千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ91億9千2百万円の増加となりました。
流動資産は390億6千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億2千3百万円増加しました。主な増加要因は、現金及び預金が22億1千3百万円増加、新規出店等に伴う商品が32億1千9百万円増加したことがあげられます。
固定資産は409億1千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億6千9百万円増加しました。主な増加要因は、新規出店に伴う建物等の有形固定資産が28億2千8百万円増加したことがあげられます。
当連結会計年度末の負債合計は、429億1千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ54億4千1百万円の増加となりました。
流動負債は264億7千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億3千2百万円増加しました。主な増加要因は、買掛金が10億3千6百万円増加したことがあげられます。
固定負債は164億3千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億9百万円増加しました。主な増加要因は、長期借入金が23億7千7百万円増加したことがあげられます。
当連結会計年度末の純資産合計は、370億6千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億5千1百万円の増加となりました。主な増加要因は、利益剰余金が37億6千5百万円増加したことがあげられます。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22億1千3百万円増加し、71億6千6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローとそれらの主な要因は、次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は44億8千9百万円(前年同期は56億2千8百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が56億8千万円、減価償却費が29億4千6百万円ありましたが、棚卸資産の増加額が32億1千9百万円あったこと等によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は45億7千2百万円(前年同期は22億6千8百万円の支出)となりました。これは、主に新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出が39億2千万円あったこと等によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は22億9千7百万円(前年同期は36億8千8百万円の支出)となりました。これは、長期借入による収入が60億円ありましたが、長期借入金の返済による支出が28億7百万円あったことや、配当金の支払額が5億9百万円あったこと等によるものであります。
当社グループは、ドラッグストア事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいことから、ドラッグストア事業における部門別及び地域別の仕入及び販売の状況を記載しております。
当連結会計年度における部門別仕入実績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における部門別販売実績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における地域別販売実績を示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、新規出店及び既存店の伸張により売上高1,519億5千7百万円、営業利益54億8千1百万円、経常利益57億7千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益42億7千5百万円となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因として、小売業界におきましては、業種業態を超えた競争が熾烈化し、価格競争力や利便性等、顧客サービスがより重要視されてきております。
このような中、当社グループは、基盤となる東北エリアに加え関東への出店を進めるとともに、店舗作業の軽減や物流の効率化によるローコストオペレーションの推進に取り組んでまいります。
また、研修・教育体系の充実化や、データサイエンスやAI活用などの新たな取り組みにも積極的に挑戦することで、組織全体の競争力を高め、持続的な成長を実現してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は71億6千6百万円となりました。
当社グループの主な資金需要は、新規出店等に係る設備投資資金があり、資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローによる収入のほか、金融機関からの借入れによる調達等となります。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループは、税効果会計、固定資産の減損会計、引当金の計上などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、重要な店舗資産を有しており営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動により、利益計画の見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。