第2 【事業の状況】

 

当社は、ホームクリーニング業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社の品目別、営業形態別及び地域別に記載しております。また、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析についても、セグメント毎の記載はしておりません。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営理念として

「融和」:お客様・営業所・社員間の融和を図り、相互の強い信頼と協調を築き上げる。

「変革」:自己を変えることによって組織を変え、組織の力を持って業界の変革を目指す。

「貢献」:知識と技術でお客様のクリーニングライフをお手伝いし、社会に貢献する。

を掲げ、お客様第一主義を基本的な経営方針としております。

その経営方針を具体的に実現するための基本方針として

① 品質の追求

② サービスの追求

③ 清潔さの追求

④ 存在価値の追求

の実践を心がけ、企業活動を行っております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、収益性重視の経営理念に基づき、生産性の向上、販売管理費の統制や付加価値の高いサービスを提供することによって、売上高伸長率5%及び売上高経常利益率8%を目指し、常に収益の改善に努め、株主の皆様に応えられる企業経営に取り組んでまいります。

 

(3)会社の経営環境及び対処すべき課題

景気の先行きについては、雇用・所得環境が改善している中で、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響やアメリカの政策動向による影響などが経済活動に及ぶことも想定されます。

当社は、お客様の多様なニーズに対応するサービスを創出するとともに、引き続き安定した収益基盤の構築と持続的な成長を目指して次の課題に取り組んでまいります。

① 「女性活躍」の一層の推進

当社は、多様性を重要な経営方針の一つとして、これまで全世代の従業員に活躍の場を与えられるような制度の創設や人事に積極的に取り組んでまいりました。女性が営業や生産現場の最前線で主たる役割を担ってきた当社において、今後、更なる組織の活性化を目指し、女性の活躍を重要な経営課題として捉え、推進してまいります。女性管理職候補者に対する人材育成、教育に努めることにより、幹部への登用を行い、所得の向上、自立を促進し、安心して働ける職場を目指してまいります。

② お客様へ「最高の満足」の提供

当社は、サービスの原点であるお客様が安心して大切な衣類等を出して頂ける店舗づくり、心から満足して頂ける品質、徹底した利便性の追求など、お客様へ「最高の満足」を提供できるよう取り組みを一層進めてまいります。

③ 「会員数の増大」への取り組み

少子高齢化が進む中で、当社は、会員数の確保を重要な課題と捉え、お客様とのコミュニケーションを大切にしてまいりました。今後もキャンペーン等での新規入会の促進、SNS等を活用したマーケティング施策を実施し、会員数と来店頻度の増大、収益力の向上に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンスとリスク管理

当社では、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任は、代表取締役会長兼社長が有しております。取締役会では、常務取締役が議長を務めるリスク管理委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社のサステナビリティに関する審議・監督を行っております。

また、リスク管理委員会は、サステナビリティ関連を含む様々なリスクを管理しています。

 

(2) 戦略

当社では、持続可能な環境・社会の実現に向けて人的資本に関する方針、社内環境整備に関する以下の取り組みを行っております。

人材の多様性を尊重し、全ての社員に合った柔軟な働き方や働きやすい環境を整えた上で、教育機会の継続的提供により知識・スキル並びに仕事への意欲を高めることで、生産性の向上を実現してまいります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

① 女性活躍担当部長(兼務)を中心とした各種施策の拡充

女性活躍担当部長を中心とし、教育の充実やキャリアアップにおける課題の解決や個人別のキャリアパスの提示による中長期的な人材育成の強化

② 仕事と家事の両立支援の拡充

時間単位の有給取得や育児・介護に伴う退職者のジョブリターン制度・家族の転勤先への配置転換の弾力的運用など仕事と家事の両立支援策の充実

③ 業務スキルの向上とIT化の推進による働き方改革の一層の推進

入社時研修や階層別研修の充実による業務スキルの向上、ERPの導入による生産性の向上に基づくESの向上、働き方改革の一層の推進

 

(3) 指標及び目標

当社は、上記「(2) 戦略」において記載した、女性活躍担当部長(兼務)を中心とした各種施策の拡充及び仕事と家事の両立支援の拡充について、次の指標を用いております。なお、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

女性管理職の割合

30

44.4

女性取締役・執行役員の割合

25

15.8

正社員男女別平均勤続年数

男性 13.0年

男性 15.0年

女性 12.0年

女性 13.9年

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

①季節変動に伴うリスク

家庭用衣料の洗濯を主体とするホームクリーニング業界では、冬物から夏物への衣更えの時期が重衣料を中心として数量、金額共に最需要期を迎えます。当社では、最需要期が上半期に当たることから売上高及び利益が上半期に偏る傾向があり、この最需要期の結果が、通期の業績に大きく影響する可能性があります。

②クリーニング需要の減少によるリスク

一般家庭のクリーニング需要は、1993年をピークに減少傾向が続いております。今後においても、消費者の節約志向に伴う個人消費の低迷や少子高齢化によりクリーニング需要の減少等が当分継続すると思われます。

当社としては、家庭内に収まった洗濯物を如何に引き出すか、その為には、お客様第一主義に徹し、品質とカウンターサービスの向上に努めてまいります。

③法的規制等によるリスク

当社のクリーニング工場及びプラントは、建築基準法により商業地域や住居地域での引火性石油溶剤の使用が禁止されております。

当社としては、関係省庁の基本方針に基づき、早急に改善を推進してまいります。

この取り組みにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

また、当事業年度より収益認識に関する会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前事業年度との比較・分析を行っております。

① 経営成績

当事業年度におけるわが国経済は、経済活動は正常化が進みインバウンド需要の増加等もあり景気は緩やかに回復しているものの、ウクライナや中東等を巡る地政学的な要因により、資源・穀物価格の高止まりと継続的な物価上昇により消費マインドの低下が懸念されるなど、国内経済の先行きは不透明な状況が続いております。

このような経営環境の中、当社は、お客様の利便性を追求した新たなサービスの開始や新規出店と店舗リニューアルを含めた設備投資、シーズンに合わせた販促活動、業務効率化と品質向上の取り組みなど積極的に実施しました。

既に33店舗に設置している「オーバータイムクリーニングボックス(無人受け渡しシステム)」に加え、今回、新たなサービスとして「24時間受け渡し機(ロボット)」の運用を2024年4月1日よりスタートしました。このサービスの特徴として、アプリ会員にご登録いただいたお客様は、店舗の営業時間外(店休日や夜間・早朝の時間帯)でもクリーニングの受付と引き取りが出来るほか、アプリ上で支払決済が可能な利便性の高いサービスとなります。今後、稼働率やアプリ会員の登録率向上に取り組んでまいります。

設備投資は、新規出店を5店舗(移転リニューアル3店舗含む)、既存店舗のリニューアルを13店舗実施しました。当事業年度末の店舗数は488店舗となりました。

営業面においては、シーズンに合わせたサービスの提供と新規入会キャンペーンを実施するなど販売強化と特別会員数の増大に努めました。

生産面においては、クイックシステム(当日仕上り)の一部変更を2024年8月から順次実施するなど、業務の効率化と品質向上に取り組んでおります。

以上の結果、当事業年度の業績は、年間の最需要期である春の衣替えシーズンにクリーニングのお預かり点数が増加したことに加え、前事業年度に実施した事業の一部譲受けが寄与し、売上高は5,380,624千円と前事業年度と比べ463,281千円9.4%)の増収となりました。

利益につきましては、原材料価格の高騰や人件費などのコスト上昇の影響を受けましたが、営業利益は96,050千円と前事業年度と比べ12,755千円15.3%)の増益経常利益は182,112千円と前事業年度と比べ18,498千円11.3%)の増益、特別利益として固定資産売却益46,998千円を計上したものの、特別損失として減損損失98,756千円と課徴金15,000千円を計上したことなどにより、当期純利益は83,050千円と前事業年度と比べ35,961千円30.2%)の減益となりました。

 

 

② 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a 生産実績

当社においては、基本的に受注、即生産、販売となりますので記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社においては、基本的に受注、即生産、販売となりますので記載を省略しております。

 

c 販売実績

 (品目別売上実績)

 

品目

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

(千円)

前事業年度比(%)

ドライクリーニング

3,933,143

105.8

ランドリー

1,308,402

122.6

小計

5,241,546

109.5

商品その他の売上

139,078

105.1

合計

5,380,624

109.4

 

(注) 商品その他の売上とは取次店・準直営店への販促品等の売上及び特別会員の年会費(会員カード売上)などであります。

 

 (営業形態別売上実績)

営業形態

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

店舗数

売上高(千円)

前事業年度比(%)

一般店

124

(

△8

)

779,826

155.5

ペリカンズ

231

(

1

)

2,821,733

104.5

コインズ

133

(

)

1,634,249

103.4

その他

(

)

5,736

129.1

合計

488

(

△7

)

5,241,546

109.5

 

(注) 1 店舗数には期末付での閉鎖店を含んでおりません。

2 ( )は前期末に対する増減であります。

3 営業形態のその他は、コインランドリー等であります。

 

 (地域別売上実績)

地域

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

工場数

店舗数

売上高(千円)

前事業年度比(%)

福岡県

福岡市内

9

(

)

107

(

4

)

1,121,659

111.5

福岡市以外

9

(

)

127

(

△8

)

1,221,843

123.0

小計

18

(

)

234

(

△4

)

2,343,502

117.2

佐賀県

4

(

)

33

(

)

368,700

104.9

山口県

3

(

)

30

(

△3

)

332,377

101.8

広島県

3

(

)

32

(

)

268,422

98.7

島根県

2

(

)

21

(

)

148,794

100.8

兵庫県

2

(

)

30

(

△1

)

305,943

99.8

大阪府

3

(

)

38

(

1

)

452,338

105.3

神奈川県

1

(

)

12

(

)

248,613

108.7

東京都

4

(

)

44

(

)

591,685

106.7

埼玉県

1

(

)

14

(

)

181,167

107.4

合計

41

(

)

488

(

△7

)

5,241,546

109.5

 

(注) 1 店舗数には期末付での閉鎖店を含んでおりません。

2 ( )は前期末に対する増減であります。

3 地域別売上は、工場所在地で分類しております。

 

 

③ 財政状態

(資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて35,793千円増加し、708,342千円となりました。これは、売掛金が13,852千円減少したものの、現金及び預金が54,455千円増加したことなどによります。

固定資産は、前事業年度末に比べて33,153千円増加し、3,688,569千円となりました。これは、土地が194,977千円、建設仮勘定が64,931千円減少したものの、投資不動産が246,967千円、リース資産(無形固定資産)が98,608千円増加したことなどによります。

この結果、総資産は、前事業年度末に比べて68,947千円増加し、4,396,912千円となりました。

(負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて16,521千円減少し、1,042,760千円となりました。これは、未払法人税等が32,087千円、未払消費税等が30,773千円、リース債務が25,361千円増加したものの、短期借入金が60,000千円、1年内返済予定の長期借入金が50,343千円減少したことなどによります。

固定負債は、前事業年度末に比べて59,442千円増加し、1,213,108千円となりました。これは、長期借入金が64,323千円減少したものの、リース債務が85,968千円、退職給付引当金が20,456千円、資産除去債務が12,820千円増加したことなどによります。

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて42,921千円増加し、2,255,869千円となりました。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて26,026千円増加し、2,141,043千円となりました。これは、利益剰余金が25,178千円増加したことなどによります。

 

④ キャッシュ・フロー

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ54,455千円15.1%)増加し、当事業年度には414,534千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、393,418千円(前事業年度は287,221千円の支出)となりました。

支出の主な内訳は、固定資産売却益46,998千円、法人税等の支払額19,268千円などであり、収入の主な内訳は、税引前当期純利益114,619千円、減価償却費103,327千円、減損損失98,756千円、未払消費税等の増加額41,719千円、退職給付引当金の増加額20,456千円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、85,675千円(前事業年度は438,567千円の支出)となりました。

支出の主な内訳は、投資不動産の取得による支出126,314千円、定期性預金の預入による支出60,000千円、有形固定資産の取得による支出42,307千円などであり、収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入87,000千円、定期性預金の払戻による収入60,000千円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、253,287千円(前事業年度は643,131千円の収入)となりました。

支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出314,666千円、短期借入金の純減少額60,000千円、配当金の支払額57,773千円などであり、収入の内訳は、長期借入れによる収入200,000千円であります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。