第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「ヒトの進化を共創する」をミッションとして掲げ、創業時より新規事業創造を通じた豊かな社会の実現に向けて尽力しております。

 当社グループは、日本が直面する世界でも類を見ない超高齢化社会(2060年に国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になる)への対処、及び経済産業省「第4次産業革命への対応の方向性」で示されているとおり「仕事・働き方」が大きく変化を遂げる環境において、RPA、AI等のオートメーション技術の社会実装を推進するオートメーション・カンパニーグループとして、RPA、AI等の高度かつ有用な技術を社会に開放する新規事業創造に取り組み、少子高齢化、労働生産人口の急激な減少という社会的課題の解決を目指しております。

 

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等

 当社グループは、人工知能やロボットがもたらす第4次産業革命によりホワイトカラーの仕事内容が変化する中、顧客企業に対してRPA、AI等のサービスを提供する事業と、RPA、AI等の技術を活用した事業を行うことによって、グループ各事業のさらなる成長と収益力の強化を図り、企業価値の向上に取り組んで参ります。当社グループが企業価値を計る指標として、売上高及び営業利益を重視しており、中長期的に当該指標の最大化に向けた取り組みを進めて参ります。2026年2月期においては、売上高8,500百万円、営業利益960百万円を目標として各事業を推進して参ります。

 人口減少や地域格差など、様々な社会課題に対して、高度技術の社会実装による課題解決を目指し、RPA、AI等の高度かつ有用な技術の普及を加速する製品の開発、事業開発を進め、事業基盤を強化し、持続的な成長を維持するべく取り組んで参ります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するため、2026年2月期においては売上高及び営業利益を客観的な指標とし、各セグメント別には財務情報及び非財務情報の重要な指標を設定し、経営上の目標達成に向けて取り組んでおります。

① インテリジェントオートメーション事業

 ブームから幻滅期を経て普及期に入ったRPA市場は、中堅中小企業におけるRPAツールの低い導入率、労働人口の減少を背景とした省人化・生産性向上への取り組み、DX等を背景に、市場は引き続き成長していく見通しです。中堅中小企業をメインターゲットに「BizRobo!」、「AUTORO」のユーザー数の拡大、適用業務領域の拡大による追加ライセンス導入、アップセルにより、収益基盤であるストック収入の拡大を図って参ります。

 「RoboRobo」においては、既にローンチしているコンプライアンス、リクルーティング、ペイロール関連のプロダクトで無料ユーザーの拡大、有料ユーザーへの転換を進め、事業の拡大を図る方針です。また、引き続き新しい分野のサービス開発も進めて参ります。

 インテリジェントオートメーション事業においては、ユーザー数、BizRobo!ライセンス、「RoboRobo」のストック収入及びセグメント利益率を重要な指標として位置づけております。

 

② アドオートメーション事業

 オートメーション化による競争優位性を武器に、3,000億円超の国内アフィリエイト広告市場において取扱高、取扱シェアの拡大を図っていく方針であります。これまで、人材分野を中心に取扱シェアの拡大を進めるとともに、未参入分野への新規参入により取扱高を拡大して参りました。今後も取扱高、取扱シェアの拡大を図る方針であります。アドオートメーション事業においては、売上高及びセグメント利益率を重要な指標として位置付けております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業基盤の強化

 当社グループの中核技術であるRPA、AIは、市場の拡大に伴い日進月歩の進化を遂げている技術であります。当社グループが持続的な成長を維持していくためには、常に最先端のRPA、AI等のオートメーション技術を発掘、開発し、技術基盤を確固たるものにし続けていく必要があります。RPA、AI等のオートメーション技術を活用したビジネス領域の拡大のために、最先端の技術、事業に対してライセンス調達、資本業務提携等の戦略投資を積極的に行い、常に最先端のオートメーション技術を活用した新規事業開発・サービス開発と提供を行い、事業展開を推進し、事業基盤の構築に努めて参ります。

② オートメーション技術を活用した新規事業創造

持続可能な成長性を維持し企業価値を向上させるためには、新規事業創造といったビジネス変革に対する取組みも重要であると認識しております。これまでの事業で培ったオートメーション技術を活用したサービス、事業の開発及び運用能力を最大限に活用し、新規事業創造を推進して参ります。

 

③ 人材の強化

 当社グループ事業の継続的な発展を実現するためには、人材の獲得及び育成が重要であると考えております。当社グループのミッション、ビジョン、バリュー、スピリットに共鳴する人材を確保し、持続的な成長を支える人材を育成すべく採用活動及び研修活動を強化して参ります。

 

④ 社内管理体制の強化

 当社グループが、事業環境の変化に適応しつつ、持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化も重要であると考えております。内部統制の実効性を高めコーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、リスク管理の徹底を図っていく所存であります。

 

⑤ M&AとPMIの強化

 当社グループは、既存サービスの強化、新たな事業領域への展開等を目的としてM&Aを推進しております。M&Aを検討する際には、既存事業とのシナジー、戦略との整合性、財務・税務・法務・ビジネス上のリスクの有無に留意し、業績や財務状況からみたリスク許容度を勘案しながら、企業価値向上に資するM&Aを推進してまいります。また、M&A完了後は適切なPMI(Post Merger Integration)を実施することで、持続的な成長に努めて参ります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社グループは、「ヒトの進化を共創する」をミッションとして掲げ、創業時より新規事業創造を通じた豊かな社会の実現に向けて尽力しております。

 当社グループは、日本が直面する世界でも類を見ない超高齢化社会(2060年に国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になる)への対処、及び経済産業省「第4次産業革命への対応の方向性」で示されているとおり「仕事・働き方」が大きく変化を遂げる環境において、RPA、AI等のオートメーション技術の社会実装を推進するオートメーション・カンパニーグループとして、RPA、AI等の高度かつ有用な技術を社会に開放する新規事業創造に取り組み、少子高齢化、労働生産人口の急激な減少という社会的課題の解決を目指しております。

 当社グループにおけるサステナビリティ活動の推進にあたっては、当社コーポレート本部及び当社子会社から選抜されたメンバーにより構成されるプロジェクトチームを中心とし、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)をはじめとする国際的なガイドラインを参照した取り組みを推進しております。

 

(2)サステナビリティへの取組

① ガバナンス

 当社は、会社法に基づく機関である株主総会、取締役会、及び監査等委員会を設置し事業運営への適切な管理・監督を実施しています。また独立した内部監査室から代表取締役及び監査等委員会に直接報告する仕組みを構築し、モニタリング機能強化に努めております。

 また、取締役、監査等委員、執行役員、その他の代表取締役が指名するものをもって構成する経営会議を毎月1回開催し、事業計画及び業績についての検討、グループ全体の取締役会に付議する事項の事前審議、起案、重要な業務に関する連絡、審議、重要な制度・手続の制定・改廃の検討等について実施することにより、適切な経営管理に努めております。なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 加えて、当社はプロジェクトチームを主管として、グループ全体におけるサステナビリティ推進に向けた活動戦略の策定及び実務状況の管理を行っております。

 

② 戦略

a.当社グループの理念体系MVVSS

 当社は、世の中に開かれた存在として、社会や時代の変化に対応しながら社会課題を解決し、また、新たに掲げるミッションである「ヒトの進化を共創する」の実現を目指し、人口減少や地域格差など、様々な社会課題や制約によって閉ざされてしまっているヒトの可能性を解放し、楽しむ力で進化を共創することで、個性が思う存分活かされ、楽しむ人たちが躍動する未来の実現に向かってチャレンジしてまいります。

 社会への提供価値を企業理念の再構築によって見つめ直し、「変化を、進化に」のスローガンのもと、より高次の社会課題解決に向かう企業であることを目指してまいります。

 

 当社グループの理念体系は下記のMVVSSから構成されています。

Mission

(日々果たすべき使命)

「ヒトの進化を共創する」

Vision

(実現したい未来)

「ヒトが楽しむ力が躍動する社会」

Value

(約束する価値)

「共創・創造のプロとして、進化を担う」

-ヒトの可能性を開放し、ともに成長する

-ビジョンを共有し、実現に向かう

Spirits

(大切にすべき精神)

「一流であれ」

-誇りと責任を持って、為し遂げる

「自ら仕掛ける」

-自ら仕掛け、価値を生み出す

「ヒトをつくる」

-機会をつくり、ヒトをつくる

「本気を楽しむ」

-一所懸命を、楽しむ

「直観と科学」

-直観と科学で、進化する

Slogan

(スローガン)

「変化を進化に」

 

 

b.人的資本経営に向けた取り組み

 当社グループにとって「人財」こそが最大の経営資源であり、社員一人ひとりが持って生まれた得意分野を磨き、「個性が輝く楽しい時代に進化する」ことを通じて、その付加価値を高めていくことが当社グループの成長において重要な課題と捉えております。次世代の経営人材輩出のための採用、育成・活躍における研修の拡充や若手抜擢の機会の創出に努めております。

下記4つの観点から、この重要課題へ取り組んでまいります。

 

イ.採用戦略

 採用に関しては、グループ各社のインターン生を人事部門で集約管理を行い、インターン生同士のコミュニケーションを活性化することにより、インターン生の満足度向上と課題抽出を行いインターン生から新卒採用に繋げる制度や仕組み作りを進めております。また、新卒・中途の採用活動にあたっては、グループ各社で行っていた採用活動を当社に窓口を集約し、採用プロセスの統合管理を行うことにより、現場負担を軽減すると共に、人事部門が応募者とのコミュニケーションを集約することで、候補者とのミスマッチを低減することで採用の質を向上させる取り組みを進めております。

 この他、次世代リーダー候補者採用やエンジニア等の技術者採用といった通常の採用では難しい人材獲得を、人事部門が主導するダイレクトリクルーティングを活用することで人材の選定から採用までを支援する体制を整備してまいります。

 

ロ.教育戦略

 職務等級に応じたスキル(ビジネス、技術、マネージメントなど)を習得することを支援するEラーニングや外部研修の受講機会を広げ、個々の社員が必要なスキルを積極的に学び・習得できる機会を設けております。また自己啓発の支援の一環として、資格補助制度や書籍購入補助制度など、日々の業務遂行や将来的なキャリア形成に必要な資格や知識の取得に対する補助制度を設け、研修やOJTでは足りない部分を個々の社員が自己啓発できる環境を整備しております。

 この他、入社後の早期戦力となるように入社後のOJTを現場と人事部門が連携してプログラム化して運用する制度の整備を進めております。

 

ハ.人事戦略

 人事部門が人事データベースを活用して多角的な視点でデータ分析を行い、新たな施策の企画立案に活用しております。

 属人的になりがちな人事評価に関しては、人事評価をシステム化することにより、従業員の人事評価データを人事部門が集約管理を行い、恣意的な人事評価の運用を未然に防止し、人事評価の客観性を担保できるように努めております。また、360度評価を導入し、マネージャー以上の従業員の人事評価を部下及び同僚が行うことにより、人事評価を適正化すると共に、経営幹部候補の選抜に活用しております。

 この他、社内公募制度や若手チャレンジ制度等を活用し、社内での他事業部間の異動機会の創出や若手リーダーの早期育成、ジョブローテーションを経験させ、新しい成長機会の環境を提供する取組みをしております。これらの制度を通じて、次世代の経営幹部候補生の育成も進めてまいります。

 

ニ.組織戦略

 上記の各戦略を活かしていくために、従業員満足度調査の定期的な実施や、定量的な生産性分析を行うことで、事業毎の労働生産性・労働分配率・人的資本(ROI)の分析や、人財に係る経営指標をヒストリカルにモニタリングできる体制を整えてまいります。

 

③ リスク管理

 当社は、企業活動の根幹をなす考え方として企業ミッション、価値基準及び行動規範を、個々の役職員が共有すべき価値観・行動軸として定め、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。株主をはじめとするステークホルダーの皆様からの信認が得られるよう、適切な経営判断を迅速に行い、高い経営の透明性・経営監視機能を発揮するコーポレート・ガバナンス体制を確立してまいります。

 なお、環境分野におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程については、当社グループの主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響度が低いことから、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の管理体制のもと対応しております。今後は、内部環境及び外部環境の変化に応じて、サステナビリティに係るリスク管理の強化を検討してまいります。

 

④ 指標及び目標

 人材の育成及び社内環境整備の方針に関する指標の実績及び目標

 当社グループの人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の実績は、以下のとおりとなっております。

 当社グループでは、「ヒトの進化を共創する」の実現を目指し、個性が思う存分活かされ、楽しむ人たちが躍動する未来の実現に向かってチャレンジしてまいります。この目標達成に向けて、採用プロセスの統合管理を進めて採用の質向上を図ることや、Eラーニングや外部研修の受講機会を通して個々の社員が自己啓発できる環境の整備、人事データベースを活用した多角的な視点からの新たな施策の企画立案、プロフェッショナルとして働く社員全員が新たな価値の創造や生産性向上にコミットして活躍することを支援する「オーナーシップ制度」などを導入し、事業成長に寄与する人材の定着に努めてまいります。また、人財・女性・若者といった切り口から社会と企業の持続的な成長に貢献するため、女性活躍推進法における一般事業主行動計画に沿った対応を目指しております。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 記載したリスクはいずれも事業及び業績に影響を与えうる「重要なリスク」ですが、中でも全社的に中長期的な成長や事業継続に関連性の高いリスクを「特に重要なリスク」として定義しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

 また、当社は、事業活動における様々なリスクを包括的に把握するとともに、一元的な管理のもと、これを適切に予防ないしは発生による損失を最低限に留め、当社グループの企業価値を保全することを目的として、リスク管理委員会を任意の委員会として設置しております。同委員会は最高責任者である代表取締役が委員長を務め、リスク管理責任者として当社コーポレート本部担当取締役及び子会社の代表取締役を配置し、リスク管理者及び事務局で構成されます。同委員会は、当社事業全体の事業リスクを認識し、当社事業全体の事業リスクを総括管理し、当社グループの各種リスクに対する対応方針及びそのリスク対策について指示・監督等を行い、その状況を取締役会に報告しております。

 

(特に重要なリスク)

(1)経営環境の変化について

 当社グループは、各事業子会社において、インテリジェントオートメーション事業、アドオートメーション事業を行っております。それぞれ顧客企業のIT投資、広告投資、マーケティング投資、新規事業投資への投資マインドの上昇を背景として事業を拡大していく方針でございますが、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の投資マインドが減退するような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)Tungsten Automation Japan株式会社との契約について

 インテリジェントオートメーション事業の現時点での主力商品である「BizRobo!」を構成する技術の一部は、米国のTungsten Automation Corporationの日本法人であるTungsten Automation Japan株式会社とリセラー契約を締結し、ライセンス供与を受けております。リセラー契約の有効期間は2027年12月31日までと定められておりますが、今後、同社の取引方針の変更等により、同社からのソフトウエアライセンスの供給が停止又は終了した場合、インテリジェントオートメーション事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業基盤の強化について

 当社グループのインテリジェントオートメーション、アドオートメーション事業の事業基盤を強化するため、RPA、AI等のオートメーション技術のライセンス調達など戦略投資、オートメーション技術を活用した新規事業開発・サービス開発など新規事業投資を積極的に推進して参ります。新規事業投資にあたっては、参入事業・サービスの需要や競争環境等の徹底した事前調査から投資計画の精査を行ったうえで投資実行を進め、経営会議等で事業進捗のモニタリングや改善活動等を行っております。

 しかしながら、これらの投資が当初の計画どおりの成果が得られない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(4)競合について

 当社グループが提供している各事業には競合が複数社存在しております。

 その中でもインテリジェントオートメーション事業が属するRPA、ハイパーオートメーション業界は、今後の国内マーケットの拡大により、参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)M&A及び資本業務提携について

 当社グループは、既存サービスの強化、新たな事業領域への展開等を目的として、M&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。今後もM&Aや資本業務提携等を通じて事業拡大又は人員確保を継続していく方針であります。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減に努める方針でありますが、投融資先の事業の状況が当社に与える影響を確実に予想することは困難な場合もあり、投融資額を回収できなかった場合や減損処理が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)技術革新への対応について

 インテリジェントオートメーション事業の属するRPA、ハイパーオートメーション業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており変化の激しい業界となっております。そのため常に新しい技術要素をエンジニアに習得させて参りますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合、当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、予定していない技術要素への投資が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7)固定資産の減損について

 当社グループは、有形固定資産、ソフトウエア及びのれんなどの固定資産を保有しております。

 これらの資産について、経営環境の変化等で、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合などには、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)投資有価証券の減損について

 当社は、経営戦略及び営業戦略上の必要性のため投資有価証券を保有しておりますが、発行企業の業績及び財政状態の悪化等によって、時価あるいは実質価額が著しく下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)エンジニアの確保

 当社グループの「BizRobo!」導入にあたって、導入支援等のコンサルティング、エンジニアリングを実施しておりますが、当該支援業務を担うエンジニアが十分に確保できない場合、適時の対応ができないばかりか、取引のキャンセル等の機会損失が生じる可能性があります。

 

(10)システム上のトラブル・サーバクラッキングについて

 当社グループではシステム上のトラブルに対応するため、最大限の保守・保全等の対策を講じるとともに、アクセス権限の設定・パスワード管理等の徹底を図り、情報漏洩の防止に努めております。しかしながら、万が一、システムのダウン、予測不能のウイルスの侵入や不正アクセス等が発生した場合には、情報システムの停止、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生する場合には、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報セキュリティリスクについて

 当社グループは事業を推進していく中で、クライアントの機密情報や個人情報を扱う機会があります。情報管理については必要な措置を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が流出した場合には、当社グループの社会的信用力、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12)代表者への依存について

 当社代表取締役である髙橋知道は、当社グループの事業展開において事業戦略の策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。

 また、当社取締役である大角暢之は、当社グループの中核事業であるインテリジェントオートメーション事業に関する知識と経験を有するとともに、これまでの当社グループの事業基盤を起点に新たなビジネスモデル創出を目指す共創開拓を担い、当社グループの事業展開において重要な役割を果たしております。

 当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、両氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ両氏に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により両氏の当社グループにおける業務遂行の継続が困難になるような場合には、当社グループの事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)広告及びパートナーサイトの品質維持について

 当社グループのアドオートメーション事業における「PRESCO」は、広告及びパートナーサイトの品質維持が重要となります。当社グループでは、広告主又はパートナーサイト運営者が「PRESCO」に登録をする際、広告主が運営するサイト及びバナー、又はパートナーサイトが公序良俗に反しないか、法律に抵触するおそれがないか等の審査を行い、当社グループの基準に反するコンテンツ等が存在する場合には、登録を許可しない方針となっております。

 当社グループは、登録を許可した後においても定期的なモニタリングを行っておりますが、広告やパートナーサイトが、公序良俗や法令に反する商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を行った場合に、当社グループの信用が低下し、事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループでは、取締役、従業員に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、資金調達を目的とした新株予約権を発行しております。

 今後においてもストック・オプション制度や資金調達手段として新株予約権を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は2,397,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く)の3.97%に相当しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、経済活動の正常化と緩やかな回復の兆しが見られはじめましたが、原油をはじめとした原材料価格の高騰やロシア・ウクライナ情勢の長期化により、国内景気や企業収益に与える影響については依然として先行き不透明な状況です。

 こうした環境の中で、当社グループは「BizRobo!」、「AUTORO」、「RoboRobo」、「PRESCO(プレスコ)」ともに、既存顧客の継続・拡大、及び新規顧客の獲得に注力しました。また、引き続き「RoboRobo」のプロダクト開発を中心とした先行投資を行いました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は7,224百万円(前連結会計年度比17.2%増)、営業利益は653百万円(前連結会計年度比25.7%増)、経常利益は234百万円(前連結会計年度比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は435百万円(前連結会計年度比162.3%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、従来「ロボットアウトソーシング事業」としていた報告セグメントの名称を「インテリジェントオートメーション事業」に変更しております。また、「ロボットトランスフォーメーション事業」としていた報告セグメントの名称を「アドオートメーション事業」に変更しております。この変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

インテリジェントオートメーション事業

 インテリジェントオートメーション事業においては、「BizRobo!」、「AUTORO」、「RoboRobo」ともに導入企業が拡大し、ストック型のライセンス収入が伸長しました。引き続き「RoboRobo」のプロダクト開発を中心とした先行投資は継続するも、ライセンス収入の伸長により利益率は改善しました。

 その結果、インテリジェントオートメーション事業では、売上高は4,771百万円(前連結会計年度比13.2%増)、セグメント利益(営業利益)は509百万円(前連結会計年度比87.5%増)となりました。

 

アドオートメーション事業

 アドオートメーション事業においては、人材カテゴリ、及び新規参入分野の取扱高が伸長しました。また、取扱シェアを高めたプログラムでは手数料率が一部改善したことと、コストコントロールの強化により利益率も改善しました。

 その結果、アドオートメーション事業では、売上高は1,491百万円(前連結会計年度比7.4%減)、セグメント利益(営業利益)は557百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ779百万円増加し、12,296百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は341百万円(前連結会計年度比66.7%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上244百万円、減価償却費の計上341百万円、本社移転費用の計上133百万円及び法人税等の支払額377百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により得られた資金は371百万円(前連結会計年度は865百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出537百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出573百万円、無形固定資産の取得による支出260百万円及び投資有価証券の売却による収入1,661百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は66百万円(前連結会計年度比53.2%減)となりました。これは、長期借入れによる収入600百万円、社債の償還による支出394百万円、社債の発行による収入489百万円及び長期借入金の返済による支出481百万円によるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

インテリジェントオートメーション事業

4,771

13.2

アドオートメーション事業

1,491

△7.4

報告セグメント計

6,263

7.5

その他

961

182.9

合計

7,224

17.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、従来「ロボットアウトソーシング事業」としていた報告セグメントの名称を「インテリジェントオートメーション事業」に変更しております。また、「ロボットトランスフォーメーション事業」としていた報告セグメントの名称を「アドオートメーション事業」に変更しております。この変更は報告セグメントの名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、その割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の売上高は7,224百万円(前連結会計年度比17.2%増)、営業利益は653百万円(前連結会計年度比25.7%増)、経常利益は234百万円(前連結会計年度比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は435百万円(前連結会計年度比162.2%増)となりました。

 また、当連結会計年度における当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する指標である売上高、営業利益は以下のとおりとなりました。

(売上高)

 インテリジェントオートメーション事業において、「BizRobo!」、「AUTORO」、「RoboRobo」ともに導入企業が増加し、ストック型のライセンス収入が伸長しました。その結果、売上高は7,224百万円(計画比100.3%)となりました。

(営業利益)

 各事業において、将来の成長に向けた人材採用、プロモーション、プロダクト開発等の投資を進めるも、事業の拡大による売上高の成長、利益率の改善により、営業利益は653百万円(計画比100.6%)となりました。

 

(単位:百万円)

指標

当連結会計年度

(計画)

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

当連結会計年度

(実績)

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

計画比(%)

売上高

7,200

7,224

100.3

営業利益

650

653

100.6

 

 当連結会計年度における主な勘定科目等の状況は次のとおりです。

(売上高)

 インテリジェントオートメーション事業においては、「BizRobo!」、「AUTORO」ともに導入企業が拡大し、ストック型のライセンス収入が伸長しました。解約率は引き続き低位で推移しております。

 「RoboRobo」においては、「RoboRoboコンプライアンスチェック」の無料トライアル・有料スポット利用ユーザー含むユーザーは順調に拡大、引き続きユーザー獲得を進めるとともに、オンボード、定着化支援により、トライアルから有料化・サブスクリプション化への引き上げを図り、リカーリングレベニューが増加しました。

 アドオートメーション事業においては、取扱いシェア拡大に向けた取り組みが奏功し、人材カテゴリ及び新規参入分野の取扱高が順調に成長し、取扱いシェアを高めたプログラムでは手数料率も一部改善したものの、一部プログラムのキャンペーン案件が停止したことにより、売上高は前年比で減少しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,224百万円となりました。

 

(営業利益)

 事業拡大に伴う人材採用等の先行投資及び業務委託費の増加により販売費及び一般管理費が3,964百万円と増加するも、売上高が前年比で伸長、利益率が改善し、営業利益は653百万円となりました。

 

 

(経常利益)

 営業外収益が39百万円となった一方で、支払利息、投資事業組合運用損及び持分法による投資損失を計上したことにより営業外費用が458百万円となりました。その結果、経常利益は234百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 投資有価証券・関係会社株式の売却益157百万円を特別利益に計上しました。一方で、一部出資先の業績動向を踏まえ、当社が保有する投資有価証券のうち、簿価に比べて実質価額が著しく下落したものについて投資有価証券評価損13百万円、本社移転に伴い本社移転費用133百万円を特別損失として計上しました。法人税、住民税及び事業税80百万円を計上するとともに、当社連結子会社において、現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額(益)272百万円を計上することとなりました。

 その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は435百万円となりました。

 

 

③ 財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して723百万円増加し、19,967百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比較して1,205百万円増加し、15,577百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,006百万円減少、預け金が1,779百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末と比較して481百万円減少し、4,389百万円となりました。これは主にのれんが675百万円増加、投資有価証券が1,481百万円減少したこと及び繰延税金資産が270百万円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して408百万円増加し、7,984百万円となりました。

 流動負債は5,978百万円となり、前連結会計年度末に比べ152百万円増加いたしました。これは主に契約負債が245百万円増加したこと及び未払法人税等が197百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は2,005百万円となり、前連結会計年度末に比べ256百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が167百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して314百万円増加し、11,982百万円となりました。

 これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を435百万円計上したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は60.0%(前連結会計年度末は60.6%)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、RPA、AI等のオートメーション技術の調達など戦略投資のほか、協力会社への業務委託費、事業拡大に伴う人員関連費用及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は4,278百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,296百万円となっております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

リセラー契約

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約品目

契約締結日

契約期間

契約内容

オープン株式会社

Tungsten Automation Japan株式会社

日本

ソフトウエアリセラー

2024年12月31日

2024年12月31日から2027年12月31日まで

製品及びサービスを販売又は提供する条件

 

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。