文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経済情勢及び業界動向の急激な変化を見据え、企業統治の推進、成長市場に焦点を合わせた経営資源の有効活用、開発及び生産部門の競争力強化、在外子会社との連携強化等を中期的な施策として進めてまいります。
当社グループは、グローバル企業として継続的かつ収益性の高い企業を目指します。具体的な経営指標として、売上高及び営業利益率を重要指標として意識した経営を行っております。
経営計画の推進を強化するため各事業において以下の項目に注力し進めてまいります。
<フィルム事業>
IoT関連ビジネスへの進化を目指し、主として電子・工業材料分野に継続的に供給されており、引き続き、拡大が期待される東アジア市場に向け事業を展開してまいります。更にグローバルな営業体制が整備されたことから、米国及び欧州市場への展開強化を進めてまいります。
<デジタルツイン事業>
DX(デジタルトランスフォーメーション)の拡がりとともに活用が加速するデジタルツイン技術を磨き続け、付加価値の高いデータ編集・加工・保管サービスを通じて、建設業、製造業及び農業など多種多様なお客様の生産性及び収益性の向上に貢献してまいります。
国際情勢や社会環境の変化が加速し、技術革新や情報量の増大により事業環境は急激に変化しています。こうした状況の中で、KIMOTOグループは持続可能な企業へと進化し、100年継続企業を目指してまいります。そのために、経営基盤の一層の強化を図るとともに、フィルム事業に偏ることなく、デジタルツイン事業をグローバルに推進し、収益性と効率性の高いビジネスの創出を行ってまいります。
①グローバル体制の強化
輸送機器関連、メディカル、半導体市場、そしてデジタルツインのグローバル展開を推進するため、技術開発型企業としてKIMOTOの技術に関する知識はもとより、国籍、学歴、性別、年齢の壁を越え、多様な文化を理解し、コミュニケーションスキルの高い人材をグローバルに育成してまいります。また、関わるすべての市場において、競争環境や需要動向を精査し、各地域の特性に応じた販売戦略の構築や供給体制の最適化を進めるとともに、新規顧客開拓や事業拡大に向けた取り組みを強化してまいります。さらに、業務改革をワールドワイドに推進し、多様な顧客ニーズに迅速、柔軟かつ的確に応える自律分散型のスマートな組織を目指してまいります。
②新製品開発とプロセスの最適化
高付加価値・高品質な新製品を継続的に生み出し社会に貢献するため、全世界の開発テーマを共有し、製品開発のワークフロー改革によって開発スピードの向上を図ります。これにより、より多くの製品開発に努め、フレキシブルな生産を可能にするプロセスの最適化を推進してまいります。KIMOTOグループの技術を最大限に活かし、新たな価値の創造を目指してまいります。
③環境への対応
気候変動、水・森林資源の枯渇、生物多様性の損失などの環境問題の深刻化を重く受け止め、KIMOTOグループは2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、以下の課題に重点を置き、持続可能な事業活動を推進してまいります。
・電力等の再生可能エネルギー活用
・重油からLNG等への燃料転換
・生産における基材使用量や廃液をリサイクル、削減することによる廃棄物の削減
・高機能性液製品やリサイクルPET・植物由来材料を使用した製品開発の取り組み
100年のその先も継続するKIMOTOの実現に向け、皆様に喜んでいただける製品を提供し、世の中に貢献し、社会から必要とされる企業を目指してまいります。
当社のコーポレートガバナンスの一環としてサステナビリティの視点を取り入れており、特に環境課題を重要な経営課題の一つと認識しております。環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営を推進し、「人と未来を守る環境フレンドリーな企業へ」をスローガンとして掲げ、100年継続企業を目指して世の中に貢献してまいります。なお、本記載には将来に関する事項が含まれており、当社グループが当連結会計年度末現在で合理的と考える前提に基づいておりますが、実際の結果はさまざまな要因により異なる可能性があります。
国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増して環境への意識が高まり、KIMOTOグループを取り巻く環境も日々変化しております。このような急速に変化し続ける事業環境に即応し、安定的な成長を実現するため、多様性に対応した取締役会を中心に体制を構築しております。当社では、招集通知にて公表しているスキルマトリックスに基づき、持続的成長に必要不可欠と考える分野に関する知見・経験を有する人材を取締役として選任しております。特にサステナビリティ分野については、環境・社会・ガバナンスに関する経営上の重要課題を適切に評価・監督できるよう、これらのスキルを有する取締役が取締役会に参画しており、サステナビリティ経営の実効性を高めております。
経営基盤を強化し、事業機会の拡大と課題の解決を推進するとともに、長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、取締役会の中で適宜、各管轄の取締役より活動内容の報告を行い、活動の推進を行っております。加えて、重要な課題については中期経営計画においても重要課題として位置づけ、対応策の検討と推進に取り組んでおります。
新たな技術とワークフロー改革
当社は、環境負荷の一層の低減、高付加価値製品の開発、生産性の向上を実現することを目指し、新たな技術への挑戦とワークフロー改革を推進しております。
製品面では、基材を必要としない高機能性液製品の開発や、リサイクルPET・植物由来のPETへの転換、さらに特長ある高付加価値基材を用いた新製品開発に注力しております。これらの製品は、用途の拡大が見込まれるとともに、環境意識の高まりを背景に市場ニーズの拡大が期待されており、当社にとって新たな事業機会の創出や新規市場への展開につながるものと考えております。
製造方法においては、溶剤を必要としないサンドブラスト技術の積極的な活用や、多くの溶剤を要する接触塗工から非接触塗工への転換、無溶剤処方をはじめとする環境配慮型技術への取り組みにより、より環境負荷の少ない製造プロセスの実現を目指してまいります。
これにより、有機溶剤の使用量削減や廃棄物の削減を図るとともに、化学物質規制や環境基準への対応力を高め、グローバル市場における取引の継続・拡大を目指してまいります。
サプライチェーンにおいても、当社は社会的責任を果たす企業として、持続可能な調達活動の重要性を認識しており、サステナブル調達の考え方に基づき、お取引先様にご理解とご協力をいただけるよう働きかけを行っております。また、より柔軟で環境負荷低減につながる業務体制の構築を目指し、DXを積極的に推進しております。たとえば、紙帳票の電子化による紙資源削減、製造設備の稼働状況の可視化・予防保全など、DXは業務効率化だけでなく環境負荷の削減にも大きく寄与すると考えております。さらに、企業全体の温室効果ガス排出量を算出・可視化するサービスを活用することにより、加速する世界的な環境規制に対応してまいります。
また、当社では日本と連結子会社のKIMOTO TECH, INC.(米国)との連携を強化しており、両拠点間で製品の開発体制や新製品の立ち上げを相互にフォローできる体制の構築を進めております。こうした取り組みにより、開発・生産活動の柔軟性と対応力が高まり、結果として、開発・生産体制のさらなる強化と、地理的分散によるリスクの低減につながっております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
ワークフロー改革の進展により、世界中どこにいても業務を遂行できる環境が整っております。一方で、人事制度については旧来の仕組みのままとっているため、当社が目指す自律分散型組織の実現に向け、従業員一人ひとりが気持ちよく前向きに働ける柔軟かつ公正な制度を、グローバルな視点で検討しております。また、当社独自の研修制度を通じて、急激に変化する経営環境に対応し、活躍できるスキルと視野を持つ人材の育成に注力しております。加えて、社員が様々な業務に携わり能力を発揮できるよう、定期的なジョブローテーションを実施するとともに、環境変化により生じる新たな業務やそれらに伴う人員配置にも柔軟に対応できるよう、組織を横断できるフラットな体制を整えております。さらに、働きやすい環境づくりにも継続的に取り組んでおり、3ヶ月間で勤務時間を調整可能とする「3ヶ月フレックス制度」、コアタイムなしの「スーパーフレックス制度」、在宅勤務制度など、多様な働き方に対応する制度を整備しております。さらに、女性役員・女性管理職・外国籍管理職の登用など、多様性の確保にも積極的に取り組んでおり、今後も国籍、学歴、性別、年齢の壁を乗り越え、すべての従業員が活躍できる環境の実現を目指してまいります。
※上記の人材戦略および職場環境に関する取り組みは、現時点では当社において実施しているものであり、連結子会社には必ずしも同様の取り組みを展開しておりませんが、今後、グループ全体での人的資本戦略の共有と展開を検討してまいります。
当社は、気候変動への対応や多様性の尊重をはじめとする社会的課題に関して、それらが企業活動にもたらすさまざまなリスクおよび機会を認識しております。これらに対して、各部門がそれぞれの業務特性に応じて対応を行っており、事業継続と持続的な成長を両立させるための取り組みを進めております。気候変動がもたらすリスクについては、災害リスクと制度対応リスクの両方に対し把握と対応に努めております。災害リスクとしては、豪雨や洪水、猛暑等の自然災害が当社およびサプライチェーンに及ぼす影響を想定し、災害対策や事業継続対応の強化を進めております。また、制度対応リスクとしては、環境規制の強化や炭素税の導入などによるコスト増加が事業に与える影響を注視し、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガス排出量の削減など、段階的な対応を進めております。さらに、環境配慮型製品の開発や、生産活動における廃棄物の削減といった対応策を検討・実施し、環境変化に応じて事業計画の見直しを適宜行い、柔軟に対応できる体制の構築に努めてまいります。
環境フレンドリーなモノづくりを目指し、当社は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組みを進めております。2030年までにGHG排出量を50%削減する目標を掲げ、再生可能エネルギー発電設備の導入、重油・灯油からLNG等への燃料転換、生産工程における基材使用量の削減や廃液のリサイクルおよび削減、高機能性液製品やリサイクルPET・植物由来材料を用いた製品開発など、複数の側面から取り組みを進めております。これらの施策によりGHG排出量削減を進めると共に、サプライチェーン全体での排出量の把握に向けて継続的に確認・管理できる体制の整備を進めてまいります。
人的資本に関する取り組みは、現時点では当社単体において実施しており、連結グループ全体で統一された取り組みは行っておりません。そのため、本項では当社単体における指標および目標を記載いたします。今後は、グループ全体での展開および開示についても検討を進めてまいります。
当社では、女性の活躍推進および多様性の確保に向けた取り組みを進めております。2025年3月末時点における実績は、女性管理職比率は21.4%、役員に占める女性の比率は27.3%となっております。また、男性の育児休業取得率は50%に達しております。育児と仕事の両立支援として、男性の育児休業取得率を50%以上に向上させ、女性の育児休業取得率については100%の維持を目指してまいります。人材育成面では、従業員のキャリア形成を支援するため、キャリアアップに関する研修への参加率を男女ともに70%以上とすることを目標に掲げております。さらに、コアタイムを設けないスーパーフレックス制度や看護・介護休暇制度、多様な人材の登用(女性役員・女性管理職・外国籍管理職の積極登用)といった制度を通じ、国籍、学歴、性別、年齢を問わずすべての従業員が活躍できる環境づくりに取り組んでおります。これらの取り組みを通じて、環境・人的資本両面からの持続可能な企業経営を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
フィルム事業の新製品開発力
当社グループの収益の大部分は、多種多様な機能を有する各種工業材料を製造販売しているフィルム事業によっております。当社グループは継続して市場のニーズにこたえる新製品の開発ができると考えておりますが、当社グループが業界と市場の変化、技術の変化を十分に予測できずに新製品の投入が遅延した場合もしくは競合他社、異業種からの競合製品がより低価格で導入され価格競争が激化した場合、あるいは業界の技術の革新により従来の需要が激減した場合には、収益性を保つことが出来ない可能性があります。これらのリスクを軽減するため、競合情報及び市場情報の収集を強化し、付加価値の高い製品の開発を行い競合他社との差別化を行っております。
当社グループは、機能性フィルムの製造工程において有機溶剤を使用しております。この有機溶剤は取り扱いにおいて、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、消防法、PRTR法等の法規制を受けております。当社グループは、法規制を遵守するとともに、工場、研究所におきましては、環境目標を設定し、環境汚染の防止、安全衛生の推進に努めております。特に有機溶剤及び有機溶剤ガスに関しましては、現在最高水準の技術を導入し、有機溶剤回収や熱回収を行っております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、新たな設備投資が必要となり、経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。これらのリスクを軽減するため、環境に配慮した溶剤等の使用量の少ない製造プロセスを重点的に進めております。
当社グループは、他社製品と差別化するべく、製品又は技術に関しては、特許等の知的財産権により積極的に権利の保護を図っております。しかしながら、特定の地域においては、そのような法的保護が不完全であることにより、当社グループ製品・技術が模倣又は解析調査等されることを防止できない可能性があります。
当社は積極的な特許出願を行うとともに、第三者からの特許侵害訴訟を未然に防止するため、当社及び特許事務所を通じた特許調査を随時行っております。しかしながら、第三者の特許権を侵害していないことを完全に調査し確認することは極めて困難であり、現時点において当社グループが認識していない第三者の特許等の知的財産権が存在する可能性は完全には否定できず、また今後、当社グループが第三者より特許権その他知的財産権の侵害を理由として訴訟提起を受けないという保証はありません。当社グループが第三者から訴訟提起等を受けた場合には、当社は、弁理士・弁護士と相談のうえ、個別具体的な対応を行っていく方針でありますが、その対応において多大な費用と時間を要する可能性があります。その結果によっては、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、顧客満足度に重点を置いて製品の製造販売を行っておりますが欠陥等の不具合が発生した場合、損害賠償による利益の喪失、当社グループのブランドに対する信頼の喪失、補償費用あるいは保険料等の発生が予測されます。その結果、経営成績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
(4)固定資産減損のリスク
当社グループは、複数の生産拠点を所有し、また設備投資を積極的に実施しております。収益性の低下による大幅な業績の悪化や固定資産の市場価格の下落があった場合、固定資産等についての減損損失が発生し、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
これらのリスクを軽減するため、以下の施策を進めてまいります。
a.新しい技術及び設備を活用した製造の歩留向上並びに廃棄物の削減による製造原価の低減。
b.マーケットの変化へ柔軟に対応するため、開発スピードの向上及びニーズに合わせた製造対応。
c.製造在庫リスクを低減させるため受注生産方式の採用。
当社グループは国内外に所在するメーカーより原材料を調達し、三重県、茨城県、ジョージア州(米国)に分散所在する工場にてそれぞれ製品製造を行っております。原材料の調達先工場の所在する地域において地震等の天災あるいは、火災や爆発事故等が発生した場合は原材料調達に支障が発生し生産に影響を及ぼす可能性があります。また、同じく当社グループの工場所在地において地震等の天災が発生した場合あるいは、万一火災等が発生した場合、生産活動が停止することから経営成績に重大な影響が生じることになります。また電力不足による電力供給の調整が行われた場合、生産活動に影響を受ける可能性があります。これらのリスクを軽減させるため、主要製品の生産場所の複数化や、材料サプライヤーと連携強化を進めてまいります。
当社グループは、デジタルツイン事業及びコンサルティング事業において個人情報を含む顧客情報を取り扱っておりますが、これらの情報が漏洩することがあれば、当社グループの信用が失墜し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを回避するためのマニュアルを作成し対応しております。
③ 在庫評価の影響
当社グループは、国内、北米、東アジア及び欧州にフィルム事業製品を安定かつ迅速に供給するため、原材料について一定量在庫にしております。そのため急激な市場動向の変化により原材料の評価損が発生するリスクがあります。これらを回避するため、営業、サプライヤーとの情報共有の強化、また材料品種、サイズの標準化を進め長期在庫リスクの低減を進めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
2025年3月期は、インフレや高金利の影響が残る中、地域ごとに経済動向に差が見られました。米国では景気が安定し、企業活動に回復の兆しが見られました。一方、欧州では一部地域において国際情勢の緊張が続き、先行きの不透明感が払拭されない状況となりました。また、米中間の貿易摩擦の影響に加え、為替や原材料価格の変動などにより、当社グループの事業環境は依然として不透明な状況が続きました。このような状況の中、輸送機器向け電子部品関連に加え、通信機器の部材や工程材料として使用される製品が堅調に推移し、売上・収益の両面で貢献しました。
このような事業環境の中、当連結会計年度における売上高は11,294百万円(前連結会計年度比14.0%増)、営業利益は1,340百万円(同524.0%増)、経常利益は1,378百万円(同237.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は989百万円(同195.5%増)となりました。
↑:増加要因
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は9,725百万円(前連結会計年度比11.7%増)、営業利益は1,446百万円(同229.5%増)となりました。
当連結会計年度における売上高は831百万円(前連結会計年度比37.9%増)、営業損失は139百万円(前連結会計年度の営業損失は273百万円)となりました。
当連結会計年度における売上高は6百万円(前連結会計年度比20.1%増)、営業損失は27百万円(前連結会計年度の営業利益は6百万円)となりました。
当連結会計年度における売上高は732百万円(前連結会計年度比22.2%増)、営業利益は52百万円(同48.1%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 日本における受注残高はフィルム事業、デジタルツイン事業及びコンサルティング事業の金額を記載しております。日本以外の受注残高につきましては、見込み生産を行っているため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度末における資産、負債、純資産の状況は以下のとおりであります。なお、比較増減額はすべて前連結会計年度末を基準としております。
総資産は前連結会計年度末に比べ447百万円増加し、23,046百万円となりました。主な変動要因は、長期預金の増加1,154百万円、受取手形及び売掛金の減少391百万円、現金及び預金の減少284百万円であります。
負債は前連結会計年度末に比べ232百万円減少し、4,210百万円となりました。主な変動要因は、未払法人税等の増加255百万円、退職給付に係る負債の減少309百万円、買掛金の減少273百万円であります。
純資産は前連結会計年度末に比べ679百万円増加し、18,836百万円となりました。主な変動要因は、利益剰余金の増加713百万円、退職給付に係る調整累計額の増加178百万円、自己株式の取得による減少297百万円であります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント上昇し、81.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に対して0.9%減少し、12,490百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,838百万円の資金の増加(前連結会計年度は514百万円の資金の増加)となりました。主な増加要因として、税金等調整前当期純利益1,404百万円、減価償却費547百万円、売上債権の減少485百万円があり、主な減少要因として、仕入債務の減少313百万円がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,378百万円の資金の減少(前連結会計年度は642百万円の資金の減少)となりました。主な増加要因として、定期預金の払戻による収入255百万円があり、主な減少要因として、定期預金の預入による支出1,242百万円、有形固定資産の取得による支出403百万円がありました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、573百万円の資金の減少(前連結会計年度は278百万円の資金の減少)となりました。減少要因として、自己株式の取得による支出297百万円、配当金の支払額276百万円がありました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入れのほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましても自己資金を基本としております。
(4) 重要な会計上の見積り、判断及び仮定
連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っております。見積り及び判断は、継続的に評価され、過去の経験及び他の要因(状況により合理的であると認められる将来事象の発生見込みを含む)に基づいております。
会計上の見積りの結果は、その定義上、通常は関連する実際の結果と一致することはありません。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りです。
①繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②従業員給付
当社グループが採用する退職給付制度は、数理計算上の仮定に基づいて算定されております。数理計算上の仮定には退職給付制度に係る確定給付債務の現在価値及び割引率等様々な変数についての見積り及び判断が求められます。
③金融商品の公正価値
金融資産及び金融負債の公正価値は、金融商品の公正価値の見積りにおいて、市場価格が入手できる場合は、市場価格を用いております。市場価格が入手できない金融商品の公正価値に関しては、将来キャッシュ・フローを割り引く方法、またはその他の適切な評価方法により見積っております。
④引当金
引当金は、前回の引当金計上時に行った見積り実績の参照又は適切な場合には、専門家のアドバイス等を考慮して評価を行っております。賞与引当金は、当社グループの当連結会計年度末の業績値又は当連結会計年度末時点の業績予想値に基づき算定しております。
引当金の算定にあたっては慎重に検討しておりますが、予測不能な事象の発生や状況の変化等により、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、引当金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
⑤固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の金額に影響を及ぼす可能性があります。
記載すべき重要な事項はありません。
当社グループは、技術開発型の企業として、高付加価値製品の開発や技術力向上に取り組んでいます。市場ニーズに応える製品開発、既存製品の性能・品質向上に加え、コスト削減にも注力し、顧客満足度の向上を目指しています。環境負荷削減の観点から、塗料設計段階で有機溶剤や廃液削減を検討するなど、環境に配慮した開発も推進しています。また、ポリエステルフィルム以外の素材も活用し、高付加価値製品の開発に挑戦しています。当社が強みとする機能性塗料の技術を活かし、社会に貢献していきます。
当連結会計年度では当社の技術開発センター(埼玉県さいたま市所在)で、研究員として総員39名が研究開発に携わっており、研究開発費として
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
主に光学機器用遮光フィルム、工程用粘着フィルム、車載ディスプレイ用成型フィルム、タッチパネル用ハードコートフィルム、液晶バックライト用光拡散フィルム、ウィンドウフィルム等の開発に加え、新たに液販売ビジネス拡大に向けた新規製品開発に注力してまいりました。また環境配慮型機能性フィルムの開発も推進しております。既存製品については、更なる性能向上とコスト低減に取り組み、AI技術やロボティクス技術の導入検討を進め、開発効率向上の検討を進めております。
タッチパネル用ハードコートフィルムにおいて、お客様のご要望を反映した製品開発を進めています。具体的には、高い品質とコスト競争力を両立させた車載向けディスプレイ表面保護フィルムの開発、そしてEVの普及を見据えた、過酷な屋外環境下でも高い耐久性を発揮する充電ステーション向けタッチパネルフィルムの開発に注力しています。
工程用粘着フィルムは、ラインナップ拡充と用途拡大を図っています。お客様との緊密な連携の下、次世代電子デバイス・ディスプレイ、半導体製造工程などへの用途展開を進め、数多くの新製品開発に取り組んでいます。
液晶バックライト用光拡散フィルムは、性能・品質向上、新たな機能性付与、コスト削減、そして環境配慮を重視した開発を進めています。新たな素材組み合わせによる高付加価値性能の発現にも取り組んでいます。
車載関連分野では、成型用拡散フィルムと成型用ハードコートフィルムを既に市場投入しており、今後も更なる成長が見込まれるこの分野に注力します。お客様ニーズと当社技術を融合し、性能向上のための改良・バージョンアップを継続的に行います。
従来培ってきたハードコート技術と粘着技術を組み合わせた車載用飛散防止フィルムを市場に投入し、高い評価を得ています。今後も当社独自の技術をさらに発展させ、多様な機能を有するフィルムの開発を進めます。さらに、これらの技術を応用した液製品の開発も進め、新たな市場への展開を図ります。
茨城工場では、サンドブラスト技術の更なる研究開発にも注力しております。また、第63期に埼玉から茨城へ移設したコンパクトコーターにて新たな粘着製品を今期上市しました。今後は、サンドブラストでの表面処理とコーティングでの機能性の組み合わせによる新たな製品開発も視野に入れ検討を進めてまいります。
粘着フィルム、ハードコートフィルム、導電性フィルムの開発が完了し、用途展開を進めています。今期はスクリーン印刷関連の機能性フィルムを上市し、お客様ニーズに合わせたラインナップ拡充を検討しています。また、コンパクトクリーンコーターを用いた高付加価値製品の開発や、日米一体となった研究開発体制の構築を目指します。さらに、自然災害や経済情勢の観点からも、北米工場と日本国内工場の連携強化に努めております。
以上のように、生産性・品質向上、製造基盤技術向上を目指し、グループ各生産部門との連携強化を図りながら研究開発活動を行っています。