文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは「人を創る、ともに創る」をビジョンに掲げ、学びの場、生活支援の場を通じて豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現をめざし、教育サービス事業と介護福祉サービス事業を主要なビジネスセグメントとしております。教育サービス事業においては、受験のみに特化した従来型の「学習塾」から領域を拡大し、幼児部門など対象年齢層の拡大、映像授業販売の全国展開など対象地域の拡大、日本語学校の運営、海外事業(香港・北京)の展開、教育関係者や受験生を主な対象とした旅行業への参入などによりサービス内容の拡充を図っております。介護福祉サービス事業においては、小規模デイサービスやグループホームの運営、小規模多機能型居宅介護事業、介護職初任者研修等の研修事業も実施するなど、それぞれの事業会社が地域に根差した質の高い介護サービスを提供すべく取り組んでおります。また、教育サービス事業、介護福祉サービス事業ともにM&Aによる事業拡大も積極的に進めております。
幅広い世代かつ広範囲の地域のお客様に対しそれぞれのニーズへの丁寧かつ柔軟な対応、新商品開発によるサービスの拡充などにより企業価値の向上を図ってまいります。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
教育サービス業界を取り巻く環境は、少子化による学齢人口の減少や教育費の抑制傾向等により依然として厳しい状況が続き、オンライン教育、Webやデジタルを活用した教育サービスや学習支援ツールを利用した新たなサービスの需要が高まり、異業種の新規参入も顕著となってきております。また、介護福祉サービス業界を取り巻く環境としましては、高齢者の人口増加に伴い、介護サービスの需要がますます高まることが予想される一方で、人材確保や介護報酬改定の動きへの適切な対応が重要な課題となっております。いずれの業界でも社会的ニーズや経営環境の変化に対し迅速かつ柔軟な対応力が求められていると考えております。
このような環境のもと、当社グループは「マーケティング」、「イノベーション」、「人材育成」の3つをグループ全体の重点テーマとして設定し、全事業会社の目標達成度合いの指標としては、より具体的な業績評価につながる重要な指標(KPI)を用い、これを職員間で共有しつつ日々の活動を推進しております。さらには、グループ全体の企業価値向上を図るためにも、引き続き、グループ会社間の連携を深めることにも注力してまいります。
<教育サービス事業>
教育サービス事業におきましては、以下を主要なテーマとして取り組んでまいります。
① 生徒、保護者の皆さまへの丁寧な「1対1対応」
② 小学校低学年専門教室
③ 難関大学・国公立大学現役合格を目指す高校生のための予備校
④ BX(ビジネストランスフォーメーション)によるサービス向上及び業務効率化
⑤ 人材の採用と育成
現在の堅調な在籍生徒数を維持、拡大するため、授業前後のコミュニケーション、ノートチェック、個人別カルテなどによる、生徒、保護者の皆さまへの丁寧な「1対1対応」を基本的な考え方としてまいります。
小学校低学年専門教室においては、小学1年生から3年生向けの、AIと共存する世代の脳育「ウイングキッズコース」と、世界に出ても負けない子に育てる「パンセフロンティエル」を運営しております。自分で考え、臨機応変に判断し、解決する力を育み、小学4年生以降の抽象的思考や深く考察する必要のある入試問題への対応についても取り組んでまいります。
難関大学・国公立大学現役合格を目指す高校生のための予備校につきましては、学習塾事業のグループ各社が連携し、高校生向けの指導方法や受験情報を共有することで、高校1年生から定期テスト対策と入試対策を進め、基礎・基本を大事にしながら学習を積み上げ、高校生の在籍生徒数増加と大学入試改革に対応した大学合格率及び大学合格者数の向上を重要課題として引き続き注力してまいります。
BX(ビジネストランスフォーメーション)につきましては、2025年3月に千葉県市川市に「Ichishinデジタルベース」を開設いたしました。収録用及び配信用の機材と設備の充実を図り、映像教材による受講生徒数のさらなる増加につなげてまいります。ご家庭との連携や学習サポートを実施する「市進プラットフォーム」と、講師が入試情報や教務情報を共有するための「講師ポータル」の利便性改善にも継続的に取り組み、持続的な成長を達成するためのビジネス戦略、事業モデルの見直しに着手してまいります。
人材の採用と育成におきまして、採用面では、採用手法・ツールの見直し、内部リクルートの強化などを引き続き実施してまいります。また育成面では、引き続きHRD本部による社員研修の充実の他、評価と課題提示など、従業員に対する「1対1対応」も重要テーマとして取り組んでまいります。
市進グループは2025年に創立60年を迎え、次なる成長に向けた新たなスタートを切る年になります。特に学習塾事業においては、原点に立ち返り、合格実績の向上、合格率の向上、集客力の強化を最重要テーマとし、グループ内各社が協力して市進グループならではのブランド価値を創出することで、存在意義をより一層高めるよう努めてまいります。「教え込む」「鍛える」「結果を出す」という三つの要素の循環を強化し、その定着を図るという、塾の本来価値への原点回帰に、役職員一同、取り組んでまいります。
<介護福祉サービス事業>
介護福祉サービス事業におきましては、以下を主要なテーマとして取り組んでまいります。
① ご利用者、ご入居者、ご家族への丁寧な「1対1対応」による顧客満足度の向上
② 地域のニーズに応じたサービス内容の検討と対応
③ 介護保険制度改正への迅速かつ適正な対応
④ M&Aの推進によるサービス対象地域の拡大と有資格者集団の獲得
⑤ 人材の採用と育成
介護福祉サービス事業においては、中でも人材の採用と育成が最重要課題となっております。この点につきまして、将来の当社グループ介護事業の中核となる人材を採用、育成するため、前連結会計年度に市進ホールディングス内に「グループ介護事業推進本部」を設置しております。また、グループ内の介護事業会社による合同研修も定期的に実施しており、専門知識や介護ノウハウの共有及びグループ間の人材交流を推進しております。さらには、グループ内の研修部門の積極活用や資格取得支援制度の充実にも注力しており、人材、職員の適正化を図ることで、地域のニーズに応じたきめ細かなサービスの提供、高い顧客満足度を実現し、さらなる業績向上に努めてまいります。当面の目標としましては、介護福祉サービス事業の合計売上高がグループ全体の20%となることを目指しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、変化の激しい経営環境のもと、企業競争力を強化しつつ企業価値の継続的な向上を図り、株主・顧客・従業員の利益の最大化を実現するため、経営の健全性、透明性、迅速性を高めていくとともに、法令遵守を徹底していくことをコーポレート・ガバナンスの基本方針としております。
そのため、法令順守に基づく企業倫理の確立、リスクマネジメントの強化、監査体制の充実、正確かつ迅速なディスクロージャーを図り、コーポレート・ガバナンスの構築・維持に努めております。
また、当社では社員行動規範において、組織目標5項目を掲げております。
<組織目標5項目>
1.教育水準の向上という社会からの信託に応え、社会貢献のための自負を持って行動する。
2.常に生徒・保護者・顧客の立場に立ち、顧客満足の向上を実現する。
3.会社発展の原資を確保・増大する為の施策を実行する。
4.社員一人ひとりの自己実現を達成する。
5.継続企業としてのさらなる発展を追求する。
コーポレートガバナンスの維持・強化を図る体制としましては、取締役会と監査役会制度を設け、この2つの機関が中心となる体制を構築しております。取締役会は経営方針、その他経営に関する重要事項を決定するとともに、業務執行状況を監督する機関として定期的に開催しております。また、経営会議を月数回開催し、社内各部門の業務執行状況等を共有し、課題や問題点を把握するとともに、経営上の必要事項の意思決定を行っております。監査役は3名を選任しております。監査役の機能強化に向けた取組状況といたしましては、常勤監査役は社内の重要会議出席、各会議体の議事録閲覧等により、社内業務執行状況の課題や問題点を随時把握し、監査役間で随時に意見交換を行うとともに、監査役相互の情報共有、効率的な監査に資する体制としております。また監査役は取締役会に出席し、取締役の職務執行状況につき監視を行っております。
監査役監査を支える人材・体制の確保状況につきましては、内部監査部門であるグループ監査部が、業務全般に渡り年間業務計画に基づき、訪問監査・書類監査を実施し、問題点や今後の課題を経営会議および代表取締役に報告しております。なお、会計処理に関する重要な課題その他については、監査役会及びグループ監査部は、会計監査人と認識を共通にするべく、適宜、三者合同での会議や打合せを実施し、相互に意見交換を行い、連携を図っております。
会計監査につきましては、監査法人の監査を受け、会計における適正性を確保しております。また内部統制の整備・運用・評価についても随時助言を受けております。
当社は、取締役により的確な意思決定と迅速な業務執行を行い、監査役により適正な監査及び監視を可能とする経営体制を構築するため、現状のコーポレートガバナンス体制を選択しております。
当社グループでは、長期的な企業活動の継続、企業価値の向上のため、リスク管理体制の基礎として管理規定を定め、危機管理委員会を編成しております。危機管理委員会は定期的に開催され、リスクの対処法、防止策など、リスクに関する最新の情報を共有し、リスクへの備えに努めております。なお、万一不測の事態が生じた場合には、代表取締役を本部長とする対策本部を設置し、顧問弁護士等を含めた対策チームが組織され、損害の拡大防止と、被害を最小限に止める体制を整えております。また、情報セキュリティにつきましては、当社において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「ISO27001」を取得しております。当社では、情報セキュリティ会議を毎月開催し、情報セキュリティに関する最新情報の共有を図り、情報の機密性・完全性・可用性をバランスよくマネジメントできるよう、対策を強化しております。
(3)人的資本に関する戦略
①戦略
当社グループは「人を創る、ともに創る」をビジョンに掲げ、学びの場、生活支援の場を通じて豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現をめざし、教育サービス事業と介護福祉サービス事業を主要なビジネスセグメントとしております。
また、「マーケティング」、「イノベーション」、「人材育成」の3つをグループ全体の重点テーマとして設定し、全事業会社の目標達成度合いの指標としては、より具体的な業績評価につながる重要な指標(KPI)を用い、これを職員間で共有しつつ日々の活動を推進しております。
多様性の確保に関しましては、採用活動及び中核人材への登用において、年齢・性別・国籍などの属性情報を問うことなく、新卒・中途採用などの採用方法を問わず、潜在能力の高い人材を求め、採用・登用を検討・実施しております。また、特例子会社である株式会社市進アシストにおいては障害者雇用を推進し、障害者が安心して就労できる環境を整えております。高年齢者の活用も積極的に推進しております。
社内環境整備に関しましては、2022年度から、市進ホールディングス内にHRD(Human Resource Development)本部を新たに設置いたしました。同部署では、「市進グループで働く一人ひとりが主体的に培った自らの力に誇りと自信を持ち、生き生きと活躍し続ける」という理念のもと、①グループ各社の教育体系構築支援②社員個別の自律的・主体的なキャリア形成支援③グループ横断の育成施策実施、を主要なテーマとして取り組んでおります。
②指標及び目標
当社は、男女ともに社員が職業意欲を持ち、ライフ・ワーク・バランスのとれた働きやすい雇用環境を整備するため、育児休業取得率において、女性の育児休業取得率100%を維持し、男性の育児休業取得率を50%以上とすることを目標としております。実績といたしまして、2025年2月期においては、女性の育児休業取得率は100%、男性は対象者がおりませんでした。今後も継続して環境整備を進めてまいります。
なお、中途採用者登用の数値目標設定については、新卒採用者よりも中途採用者の割合の方が高いことから、予定しておりません。外国人採用の数値目標設定については、主に日本人を対象とした教育サービス事業と介護福祉事業サービスを行うという当社グループの事業特性から、積極的に外国人人材を活用することが当社グループの企業価値向上に資するとは必ずしも言えないことから、予定しておりません。
本指標を用いた取り組みは、当社における内容を記述しております。子会社及び関連会社においては、株式会社市進は正社員に占める女性割合4割を目指す、株式会社茨進は全社員に占める女性割合45%以上を目指す、ペアレントバックアップ制度(時短勤務やフレックスタイム制度)の年間利用者10名以上を目指すなど、各社の事業内容や規模等を踏まえた取り組みを実施しております。
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合の当社グループの業績に与える影響については、合理的に予見することが困難なため記載しておりません。
なお、以下は当社グループの事業活動等に係る全てのリスクを網羅したものではなく、記載した以外のリスクも存在しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、教育サービス事業や介護福祉サービス事業において各種法令・諸規則等の適用を受けております。
教育サービス事業におきましては、制度変更に対応する入試対策、学習指導を実施し地域に根ざした質の高い教育サービスの提供を目指しておりますが、行政による教育制度の変更や入試制度の変更、学習指導要領の改訂等が度々行われており、万一、これらの制度変更に早期に対応できなかった場合や、予期せぬ大きな制度変更が生じ対応に時間を要した場合は、生徒数の減少を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
介護福祉サービス事業におきましては、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるようグループホームやデイサービス等の運営を行っておりますが、社会保障制度、特にその中でも介護保険制度の公的制度の利用に基づく収入であるため、今後の制度や法令の改正によって、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等の発生により、当社グループや主要取引先の事業活動の停止または事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、質の高いサービスを提供し、継続的に成長していくために、人材の採用・育成を重要な課題としてとらえております。
教育サービス事業におきましては、新卒・中途・非常勤職員の人材募集から採用・研修・現場での育成まで、多くの人的・物的経営資源を投入しております。しかし、今後、経済情勢や雇用情勢などの急激な変化により、必要な要員が十分に確保できない場合、あるいは、人材育成が計画通りに進捗しなかった場合には質の高いサービスが提供できないこと等により生徒数の減少を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
介護福祉サービス事業におきましては、介護業界の成長に伴う需要の増大による労働力不足が懸念されており、必要な要員が十分に確保できない場合、拠点の展開や当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数の顧客、従業員、取引先、株主等に関わる個人情報を有しております。個人情報の適切な取り扱いは事業活動における基本であり、社会的責務であるとの認識のもと、その管理については重要課題であることをグループ内で共有し、社内規程の整備、eラーニングなどの活用も含めた従業員への教育指導の徹底などに努めております。しかしながら、万一、個人情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客情報の管理、請求管理、オンラインサービスによる授業映像の配信等、情報システム・通信ネットワークに依存している業務が存在します。しかしながら、予期せぬ大規模なシステム障害が発生し、復旧にとりわけ長い時間を要した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、教育サービス事業や介護福祉サービス事業の拠点において、安心・安全な環境でのサービスの提供に努めております。
教育サービス事業におきましては、定期的な施設点検や防災グッズの配備はもちろんのこと、学習塾では通塾メールの導入等を実施しております。しかし、万一、何らかの事情により管理責任を問われる事態が発生した場合は、当社グループの社会的信用の低下につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
介護福祉サービス事業におきましては、食事や入浴等のサービスを提供するうえで、安全性等に十分留意しておりますが、事故、食中毒、集団感染等が発生する可能性があり、訴訟や風評被害など当社グループの社会的信用の低下につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要事業である教育サービス事業における学習塾事業では、通常の授業に加え春期、夏期、冬期の講習会を実施しております。そのため通常の授業のみ実施する月と比較して、講習会を実施する月の売上高は増大します。また講習会を実施する時期に重点的に生徒募集を継続していくため、新年度がスタートしてから受験期を迎えるまで生徒数は増大し、1月にピークを迎えます。一方で、人件費、家賃等の教室運営費用は通期で継続して発生するため、第1四半期、第3四半期の収益性が低くなる傾向にあります。
教育サービス事業におきましては、少子化、受験制度や教育ニーズの多様化などにより、同業他社間の競争も一段と激しくなり、経営環境はますます厳しいものになっております。少子化の影響は、首都圏を中心とした当社グループの事業展開エリアでも他のエリアと比較して、緩やかではありますが進行しております。また、入学試験の平易化が起こることによる入塾動機の希薄化、通塾率の低下が進展した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、同業他社間の競争が激化する中、近年、業界再編の動きは活発化しております。当社を取り巻く経営環境の変化や業界再編の動きを迅速に察知できずにその対応が遅れた場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
教育サービス事業におきましては、参入障壁が低いこともあり多数の競合先があります。当社グループでは千葉県、茨城県、東京都東部地域を重点地域と定め、教育サービスの質を向上させるとともに合格実績を追求すること等により競合他社との差別化を図り、生徒数の確保に努めております。しかし、競合先の教育サービスの内容が相対的に向上した場合及び競合先の合格実績が相対的に上昇した場合は、生徒数の減少を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
教育サービス事業におきましては、「市進学院」「個太郎塾」のフランチャイズ展開をしております。フランチャイズ展開は、加盟者と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であるため、加盟者もしくは当社グループのいずれかがその役割を果たせないことにより、多くの加盟者との契約が維持できなくなった場合や重大な事故もしくは不祥事等が発生した場合、ブランド全体の信頼性の低下等に繋がり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
教育サービス事業におきましては、海外での学習塾事業、語学関連事業の拠点運営、海外からの留学生を対象とした日本語学校の運営、国外を含む旅行サービス事業の運営をしております。当社グループでは拠点のある各国、地域の動向など情報収集を行い、適切な事業運営が継続できるよう努めております。しかし、海外に関連する事業では、各国の法律や規制、税制などの変化、自然災害の発生、政治情勢及び経済情勢の変化、商習慣や文化の相違、戦争や紛争、テロの発生等により事業継続に支障をきたした場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 敷金及び保証金の保全、回収について
当社グループが展開する校舎及び介護施設の多くは、賃借物件を利用しております。新規で賃貸借契約を締結する際には、可能な限り賃貸人の経営状況等の確認を行うとともに、契約条件に関しても近隣相場や採算性を十分考慮して決定しております。また、契約締結後も、主管部署が中心となり賃貸人の状況変化の把握に努めております。しかしながら、賃貸人の調査確認は必ずしも常に完璧に行えるとは言い切れない面もあり、賃貸人の状況によっては、敷金及び保証金の保全、回収ができない可能性があります。
⑬ 固定資産の減損損失及び除却損について
当社グループは、土地・建物、設備等の有形固定資産、映像コンテンツ等の無形固定資産や事業譲受に伴うのれんを計上しております。これらにつきましては、事業の収益性が大きく低下した場合や不動産の市場価格が著しく下落した場合、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、老朽化等の理由により一部の既存拠点について移転や改修工事が発生する可能性があり、それらが一定期間に集中した場合、それに伴う固定資産除却損などの特別損失の発生により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 投資有価証券について
当社グループが保有する投資有価証券について、投資先の財政状況が変動することにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 有利子負債について
当社グループは、運転資金及び新規拠点開設の設備投資資金、M&Aのための資金などを主に金融機関からの借入金で調達しております。そのため、現行の金利水準が変動した場合や計画通りの資金調達ができなかった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ M&Aにおける偶発債務等について
当社グループは、業容拡大、企業価値の最大化を目指し、M&A及び事業譲受を進めております。M&Aや事業譲受においては、対象企業、対象事業の財務、税務、法務及びビジネス等について、極力リスクを回避するために、詳細なデューデリジェンスを実施し、経営会議、取締役会での審議を経て意思決定をしております。しかしながらM&Aや事業譲受の契約締結後において、当社グループが認識していない事項が明らかになった場合や、市場規模の著しい変化、偶発債務や未認識債務の発生など、何らかの要因により事業展開が計画どおりに進まない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、万一、被買収企業に対し当社グループの内部統制を適切かつ有効に適用できないことによる不正行為やコンプライアンス上の問題等が発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 労務関連の影響について
当社グループでは、労務関連について、法令に基づく適正な労務管理などによりリスクの低減に取り組んでいますが、各種コンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 法令遵守について
当社グループの事業に関連する主な法令は、特定商取引に関する法律、著作権法、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、労働基準法等があります。当社グループでは、経営者及び従業員に法令等の遵守の重要性及び必要性について周知徹底に努め、法令遵守のための体制強化に努めております。しかし、万一、関連する法令等に基づいて損害賠償請求等に係る訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度(2024年3月1日から2025年2月28日まで)におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などにより、緩やかな景気回復傾向が見られたものの、不安定な国際情勢や金融市場の動向、燃料価格や原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループにおきましては、教育サービス事業及び介護福祉サービス事業の2つを主要なビジネスセグメントとして事業展開を行っております。教育サービス業界におきましては、少子化による市場の縮小や教育費の抑制が続く状況下において、大学入試制度改革や小学校での英語必修化、文科省のGIGAスクール構想によるICT化推進など、様々な教育制度改革が進められております。また、映像授業やオンライン教育をはじめとする教育のデジタル化も急速に進行し、多様化するニーズに適したサービス、より質の高い教育サービスに対する顧客の期待も高まっております。さらには行政による高校授業料の無償化が進むなど、経営環境は大きな変革の時期にあります。また、介護福祉サービス業界におきましては、今後も高齢者人口が増加していく中、介護サービスの需要は益々高まることが見込まれる一方で、人材の確保と介護保険制度改正への適切かつ迅速な対応が重要な課題となっております。
このような経営環境のもと、当社グループでは、「一生涯を通じた幅広い『学び』の機会を提供することで、ともに人間力を高め、笑顔あふれる社会を実現する」をグループの基本理念としております。学びの場、生活支援の場を通じて、より良いサービスの提供に努めることで、豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現を目指し、ステークホルダーの皆さまへ貢献できるよう、継続企業(Going Concern)として永続的な発展を目指しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の売上高は前連結会計年度に比べ増収となりました。経費面におきましては、人材の適正配置、業務効率化などを引き続き実践する一方、人件費や物価の高騰の影響も大きく、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては前連結会計年度を下回る結果となりました。
当連結会計年度の連結業績は、売上高18,459百万円(前年同期比102.8%)、営業利益918百万円(前年同期比97.5%)、経常利益719百万円(前年同期比94.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益317百万円(前年同期比87.3%)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
<教育サービス事業>
学習塾事業におきましては、引き続き、塾の本来価値への原点回帰として「教え込む」「鍛える」「結果を出す」という三つの要素の循環を強化し、その定着を図ることを徹底して実践しております。具体的施策としましては、大学入試改革をはじめとした変遷する教育制度に対応すべく①小学校低学年からの学習指導、②英語の学習指導、③高校生への大学受験指導を重要な注力ポイントとして取り組んでおります。英語の学習指導におきましては、日本英語検定協会と英検プラチナパートナー塾としてパートナーシップを締結いたしました。英語の教材につきましては、高校入試、大学入試で出題された英単語と小、中、高の教科書から厳選した、英検各級のコアな英単語が網羅されている専用テキスト(「英単語Vテキスト」)を自社で新たに作成しております。各テキストに対応した全39段階の細やかな段階テスト(「英単語Vテスト」)を実施することで学習成果・到達度を確認し、在籍生徒の英語力向上に努めております。また、システム面におきましては、学習の日程やカリキュラムの確認、教室との連絡など、ご家庭との連携や学習サポートを行う「市進プラットフォーム」について、生徒、保護者の皆さまのニーズに合わせ、都度柔軟な改変を実施し、利便性の向上を図っております。
地域展開としましては、千葉県・東京都東部地域・茨城県を中心としたドミナント強化、また神奈川県・埼玉県においても各地域のニーズに応じた教育サービスの提供、地域ごとの合格実績の確立に取り組んでおります。学齢人口の増加が続くつくばエクスプレス沿線においては、「市進学院」の流山セントラルパーク教室、柏たなか教室を開校したほか、「茨進」においては、万博記念公園校を開校いたしました。個別指導塾「個太郎塾」においては、東京都で三田教室や梅ヶ丘教室など直営教室を開校する一方で、フランチャイズ教室の展開にも引き続き注力し、堅調に推移しております。結果、当連結会計年度の学習塾在籍生徒数につきましては、グループ各社とも予算に対して順調に推移いたしました。
コンテンツ事業をはじめとする教育関連事業では、映像授業を提供する「ウイングネット」に関して、新しい学びに対応した多様性に寄り添うサービス提供、自立型学習を促すコンテンツシステムの拡張等を重点課題として取り組んでおります。教科書改訂に伴うコンテンツリニューアルによって、タイムリーでフレキシブルな映像配信を実現しております。システム面では管理者サイトを増強し、生徒とのコミュニケーション機能やスケジュール管理機能、進捗確認機能、志望校登録機能等をさらに充実させました。学校や大学のリメディアル教育にもサービス提供を拡大し、その結果、加盟校数、拠点数は引き続き伸長し、堅調な業績を維持しております。
経費面におきましては、学習塾部門において、教材の刷新などに必要な投資を行う一方、全体としては物価高が長期化している中、引き続き経費節減に努めております。
以上の結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は売上高15,510百万円(前年同期比100.7%)、セグメント利益(営業利益)683百万円(前年同期比102.3%)となりました。
<介護福祉サービス事業>
介護福祉サービス事業におきましては、当連結会計年度において、2024年3月から茨城県ひたちなか市において有料老人ホーム、デイサービスなど計4拠点を運営する株式会社ライブコアサポートと、2024年7月から千葉県千葉市でグループホームを運営する有限会社錦秋会(2025年3月に株式会社いちしんウエルフェアちばに社名変更)の2社が新たに当社グループに加わりました。また、これまで人事交流を続けてきました東京、埼玉に拠点のある4社(株式会社市進ケアサービス、株式会社時の生産物、株式会社プレジャー・コム、紙ふうせん株式会社)が2024年9月に統合し、「株式会社いちしんウエルフェア」として新たなスタートを切っております。この統合により、専門的な知識、技術の共有がこれまで以上に深化し、一時的な人員不足などの際にもよりスムーズな対応が可能となるなど、さらなる運営の効率化を実現してまいります。当社グループの介護福祉サービス事業は合計6社となり、デイサービス、グループホーム、小規模多機能事業、有料老人ホーム、訪問介護事業など多様なサービスを首都圏1都4県、計45ヶ所の拠点で展開しております。当社グループの同事業におきましては、当連結会計年度も感染症への対応や、経費面では人件費の高騰、人材採用費の大幅な増加、物価高による売上原価の増加など厳しい環境が続く中、引き続き良質なサービスの提供継続に努め、いずれの施設、事業においても多くのご利用者様にご活用いただき、順調に稼働できております。今後も、信頼獲得を第一義とした質の高い介護サービスを心掛け、高い稼働率、入居率を継続できるよう取り組んでまいります。
当連結会計年度のセグメントの経営成績は売上高2,948百万円(前年同期比116.0%)、セグメント利益(営業利益)235百万円(前年同期比85.8%)となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較し638百万円増加し、13,647百万円となりました。前連結会計年度末と比較して、流動資産は235百万円増加し6,423百万円となり、固定資産は402百万円増加し7,224百万円となっております。
流動資産の増加要因は、現金及び預金の増加などによるものであります。
固定資産の増加要因は、投資有価証券の増加などによるものであります。
また、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し1,176百万円増加し、11,450百万円となりました。前連結会計年度末と比較して、流動負債は655百万円増加し4,175百万円となり、固定負債は521百万円増加し7,274百万円となっております。
流動負債の増加要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加などによるものであります。
固定負債の増加要因は、長期借入金の増加などによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較し538百万円減少し、2,197百万円となりました。
主な要因としましては自己株式の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度における自己資本比率は15.7%(前連結会計年度20.7%)となり、当連結会計年度における1株当たり純資産額は263円83銭(前連結会計年度271円17銭)となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,406百万円(前年同期比102.1%)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,189百万円の収入(前年同期比180.8%)となりました。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益の計上528百万円の他、減価償却費545百万円を計上している点等が挙げられます。
投資活動によるキャッシュ・フローは763百万円の支出(前年同期比290.6%)となりました。主な要因としましては、有形固定資産の取得による支出297百万円(新規教室開校等)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出248百万円、投資有価証券の取得による支出84百万円を計上している点等が挙げられます。
財務活動によるキャッシュ・フローは356百万円の支出(前年同期比158.5%)となりました。主な要因としましては、長期借入金の返済による支出1,179百万円、自己株式の取得による支出891百万円、リース債務の返済による支出180百万円を計上している点等が挙げられます。
(4)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、主に生徒に対して授業を行うことを業務としておりますので、生産能力として表示すべき適当な指標はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主要な資金需要は、運転資金と戦略的投資資金であります。運転資金需要の主なものは、季節講習など売上の季節変動に伴うものであり、戦略的投資資金としては、拠点展開等の設備投資、映像コンテンツ関連の投資、企業買収などであります。運転資金及び戦略的投資資金は、主に内部留保資金及び金融機関からの借入により、資金調達することとしております。
(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、教育サービス事業、介護福祉サービス事業を運営しており、その活動を通じて地域の皆様に貢献し、サービスの継続的な提供と品質向上に努めております。当社グループは、連結売上高、連結営業利益の達成度を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。
また、収益性の判断指標としては、売上高営業利益率を重視しております。
これらを前提として、継続的な教育サービス、介護福祉サービスの提供とサービス向上を図るため、中期的には新規の投資と既存事業の成長を両立させながら、売上高営業利益率5%を維持することを目標としております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)業務・資本提携契約
当社は、2014年5月14日付、株式会社学研ホールディングスと業務・資本提携契約を締結しております。
(2)株式譲渡契約
当社は、2024年2月27日開催の取締役会において、株式会社ライブコアサポートの全株式を取得することを決議し、2024年3月1日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社は、2024年6月25日開催の取締役会において、有限会社錦秋会の全株式を取得することを決議し、2024年7月1日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社は、2024年8月27日開催の取締役会において、有限会社龍馬進学研究会の全株式を取得することを決議し、2024年9月1日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(3)連結子会社の吸収合併
株式会社市進ケアサービスは、2024年5月30日開催の取締役会において、当社の子会社である株式会社時の生産物、株式会社プレジャー・コム、紙ふうせん株式会社を吸収合併することを決議し、2024年9月1日付で吸収合併しております。なお、同日付けで商号を「株式会社いちしんウエルフェア」に変更しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。