当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫してファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献することを基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは紳士服・婦人服及び装飾品の製造販売を収益源とし、営業利益の拡大を目指して売上総利益率、販売費及び一般管理費率及び営業利益率を重視しております。さらに、株主持分に対する投資収益の向上を目指して、ROE(自己資本利益率)を重視しております。また、株主還元の向上を目指して、DOE(株主資本配当率)を重視しております。
(3)経営環境
足元の経営環境については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。また、今後の見通しにつきましては、4月14日の第82期決算公表に併せて、2028年2月期を最終年度とする三か年計画「中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)」を開示しております。本計画においては、長期目標として売上高1,000億円、営業利益率10%、ROE10%の達成と「アッパーミドル市場で圧倒的な存在感と競争優位性を持ったトップランナーを目指す」こと、並びに「新たな成長戦略を遂行し、事業規模の拡大とポートフォリオの最適化を図る」ことを掲げており、この長期目標達成を前提とする中期三か年の計画を策定しております。この計画では、最終年度である2028年2月期に売上高700億円、営業利益率7.1%、ROE10.7%を定量目標としております。また、本計画を達成するための基本施策として、オーガニックグロースによる既存事業の伸長に加え、新規商圏確保に向けた投資も積極的に実行する方針を打ち出しております。
2026年2月期通期連結業績予想につきましては、売上高625億円、営業利益33億円、経常利益33億円、親会社株主に帰属する当期純利益41億円といたします。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2028年2月期を最終年度とする三か年計画「中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)」を公表いたしました。中期経営計画の概要は以下のとおりであります。
<中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)>
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Mission(=経営理念) ファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献する Vision 高い価値創造力と強靭な収益力を併せ持った、またサステナブルな社会の実現に 貢献することができる、エクセレント・カンパニーを目指す Values 高品質・高品位・高付加価値商品を生み出すスキル 優良なブランドポートフォリオとブランドビジネス遂行能力 クリエイティブで且つ高い倫理観を持った社員 優れた統治能力を持った経営者及び経営体制 |
① 長期目標と中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)の位置付け
当社グループは売上高1,000億円、営業利益率10%、ROE10%の達成と「アッパーミドル市場で圧倒的な存在感と競争優位性を持ったトップランナーを目指す」こと、並びに「新たな成長戦略を遂行し、事業規模の拡大とポートフォリオの最適化を図る」ことを長期目標として掲げており、長期目標からバックキャストし、達成に向けた三か年計画を立案しております。中期経営計画期間を通じてブランド価値向上をレバレッジとした事業領域拡張/市場拡大、及び新たな成長戦略/M&Aを推進し、最終年度である2028年2月期に売上高700億円、営業利益率7.1%、ROE10.7%を定量目標として掲げております。
② 長期目標達成に向けたアプローチ
イ.オーガニックグロースの継続
新規出店の強化、EC専用ブランドの立ち上げによる売上高の確保、調達原価率の抑制、インベントリーコントロール、プロパー販売比率の改善による粗利率の改善に継続的に取り組み、2028年2月期の売上高700億円、売上総利益率64.0%を達成してまいります。また、商品の「イノベーション」と「グレードアップ」を通じた商品の価値と価格のバランスポイントの引き上げや顧客接点強化によるカスタマーエクイティの向上、販売人材育成を通じた接客サービスの抜本改善にも取り組み、ブランド価値向上を実現します。
ロ.新たな成長戦略/M&A
ブランド価値向上をレバレッジとして事業領域拡張と市場拡大を図ります。既存ブランドの事業領域拡張においては雑貨の拡充を始め、子供服等の新カテゴリーへの拡張を検討してまいります。EC専用ブランドや商業施設を主販路とする新規自社ブランドの開発や海外卸売、越境ECを通じた海外展開、新たな商標権取得等のM&Aも積極的に具体的案件を検討し、実行いたします。
ハ.ブランド戦略
7つの基幹ブランドはブランド価値の向上と、各ブランドの売上高100億円体制を早期に構築することで、確固たる事業・収益基盤の確立を目指します。チャレンジ領域ブランドは中期経営計画期間中に収益基盤を確立し、将来の成長エンジンとします。
ニ.チャネル戦略
主力販路の百貨店は、新たな顧客層の取り込みと売場環境改善、及び運営効率化の両面から改めて出店を強化してまいります。直営店は、基幹ブランドの旗艦店出店を通じてブランド価値の更なる向上を図ります。ECはプロパーサイト化と実店舗との相互補完体制の確立を目指し、ブランド全体の底上げを実現します。また、EC専用ブランドのローンチにより、EC販路独自の商品戦略に基づく販売強化にも取り組んでまいります。
③ 資本戦略
株主資本コストを上回るROE目標の達成、及びIR活動の更なる強化、中期経営計画の実行によりPBRの改善を図ります。7つの基幹ブランドを擁する強固なポートフォリオをベースとした成長戦略の実行と新たな成長戦略やM&Aを通じて利益を積み増し、配当水準の段階的な向上と自社株式取得等、株主還元の更なる強化策を講じることにより平時のROE10%の達成を目指します。また、利益の最大化により蓄積されたキャッシュは成長投資と社員還元、株主還元の強化に積極的に活用し、適正化を図ります。
(1)サステナビリティ全般
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する記載事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する課題に対応するため、経営会議直下にサステナビリティ委員会を設置し、当社グループが直面する環境面(気候変動・資源循環等)、社会面(人権等)の課題に対する実行計画策定、進捗のモニタリングを実施しております。
サステナビリティ委員会は専務執行役員経営統轄本部長が委員長、主要部門の部門長が委員を務め、常勤監査役が常時陪席し、サステナビリティ推進室が事務局を担当しております。委員会における協議事項は経営会議にて決定・承認するとともに、定期的に取締役会へ報告することで取締役会の監督が適切に行われる体制を整備しております。
2025年2月期は委員会を9回開催し、経営会議に7回、取締役会/取締役説明会に5回報告いたしました。
当社グループは2025年2月に、サステナビリティ基本方針、環境方針、人権方針、人的資本方針等のサステナビリティ関連方針の年次見直しを実施し、人的資本方針を3月に更新いたしました。これらの方針に則り、取組を推進してまいります。
② 戦略
地球温暖化による気候変動に加え、人権問題など責任ある調達や循環型社会の実現、人的資本経営への転換など、特にファッション産業が抱える環境・社会課題は多岐に亘っております。当社グループもこうした課題解決の一翼を担うべく、「持続可能な地球環境への貢献」、「サーキュラーエコノミーへの取り組み」、「CSR調達の更なる推進」、「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」の4つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、年次見直しを実施することでその適正化を図っております。そしてこれら4つのマテリアリティそれぞれに定量目標を設定し、その達成に向けた個別アクションプランを推進しております。
アクションプランの推進にあたっては、従業員一人ひとりが自らの課題として取り組むとともに、サプライチェーン全体における大きな課題については、パートナーシップを深化させて協働してまいります。
イ.気候変動
当社グループはマテリアリティに「持続可能な地球環境への貢献」を掲げ、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減を通して気候変動対策に取り組み、TCFD 提言に沿った情報開示を行っております。
2025年3月にSBT(Science Based Targets)認定を取得し、パリ協定が定める水準に整合する中期削減目標として「2030年度までに2019年度比でScope1・2排出量を52%削減、Scope3(カテゴリ1・3・4・12)排出量を30%削減」することを再設定いたしました。
当社グループは長期削減目標として、「2050年度までにScope1・2排出量をネットゼロ」とすることを定めており、削減に向けた主な取組として「2030年までに自社ビルをCO2排出ゼロの電力に変更」することを公表しております。この取組の一環として、2024年12月に東京本社ビルを再生可能エネルギー100%の電力に切り替えました。Scope3排出量の削減については、在庫削減/仕入管理による廃棄削減、環境配慮型素材への段階的な置き換え、サプライチェーン全体での取組を推進しております。
2023年度のScope1・2・3(カテゴリ1~7・11・12・15、連結・非連結子会社を含む)については、排出量データの信頼性向上を目的として、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)にてISO14064-3に準拠した第三者検証を依頼し、検証報告書を取得しております。
サステナビリティ委員会においては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である1.5℃シナリオと4℃シナリオを想定し当社グループの事業及び財務に及ぼす影響を分析し、対応策を検討しております。特定されたリスク、機会は経営戦略に反映するとともに、環境変化に応じて定期的に分析・見直しを行っております。リスクについては、移行リスクにおける事業及び財務に及ぼす影響度は「中」以下と分析しておりますが、物理リスクにおいては急性的、慢性的リスクの4℃シナリオにおける影響度を「大」と分析し、リスク低減に向けて中長期の時間軸で気候変動対策に取り組んでおります。機会については、資源効率の区分において企業価値向上や投資拡大への影響度を1.5℃シナリオにおいて「大」と分析し、生産・流通プロセスの効率化を図っております。
なお、特定された気候関連リスク/機会と当社グループの事業及び財務に及ぼす影響に関する詳細情報については、
ロ.資源循環
当社グループはマテリアリティに「サーキュラーエコノミーへの取り組み」を掲げ、長くご愛用いただける良質な製品づくりを基盤に、循環型社会の実現を目指しております。
このマテリアリティへの取組の一環として、当社グループの3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動の総称を「SANYO RE: PROJECT(サンヨー・リ・プロジェクト)」とし、リユースを前提とした新たな衣料回収活動と、認定リユース品「RE: SANYO(リ・サンヨー)」の販売を2024年度より開始いたしました。今後はリユース事業の拡大に加え、新たに事業活動における廃棄物削減を推進し、引き続き循環型社会への貢献と持続可能なビジネスモデルの両立にチャレンジしてまいります。
また、環境負荷の低い物流を目指して、CO2排出量・資源使用量・廃棄物量の削減を図るべく、物流過程におけるプラスチックの3R活動を推進し、プラスチックの使用削減、マテリアルリサイクルに取り組んでおります。
ハ.人権
当社グループはマテリアリティに「CSR調達の更なる推進」を掲げ、パートナーシップを通じて、サプライチェーン全体における人権への配慮、格差・差別の解消に取り組んでおります。
生産過程における人権の尊重については、2019年に三陽商会取引行動規範(SANYO Code of Conduct)基本ガイドラインを定め、これに則り生産数の約9割をカバーする取引工場を対象に第三者機関における工場監査を実施し、監査実績に応じたランク付けと改善指導によるCSR調達を行っております。
当社グループの人権デュー・ディリジェンスへの取組の一つとして、2024年3月に三陽アラーム制度(コンプライアンスに関する通報制度)を拡充し外部通報窓口を新設いたしました。4月には国連グローバル・コンパクトに正式加入し、4分野(人権・労働・環境・腐敗防止)10原則への賛同を表明しております。
ニ.人的資本
人的資本課題の「戦略」については、「(2)人的資本 ② 戦略」に詳細を記載しております。
③ リスク管理
当社グループの総合的なリスク管理体制のもとで、以下のとおり定期的に管理しております。
リスク管理の中核となる役割を担う責任者としてコンプライアンス委員会委員長を任命し、当委員長の下に、コンプライアンス委員会を設置しております。当委員会は四半期毎に開催し、当社グループの各種リスクに関する懸念事項を共有するとともに、必要に応じて外部有識者を招いての講習会を開催するなど、適宜問題の解決に取り組んでおります。
サステナビリティに関わるリスク及び機会については、サステナビリティ委員会を通じて定期的に分析、実行計画を策定し、経営会議、取締役会に報告しております。
自然災害に起因する物理リスク(急性リスク)への対応については、代表取締役社長直轄の危機管理委員会においてBCP策定をはじめとする事業継続マネジメントを実行する体制を整備しております。
常勤監査役は、取締役会及び各委員会に出席することで、リスク管理が適正に行われていることをモニタリングしております。
④ 指標と目標
当社グループは、上記「② 戦略」において記載したマテリアリティ「持続可能な地球環境への貢献」、「サーキュラーエコノミーへの取り組み」、「CSR調達の更なる推進」、「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」について、以下のとおり定量目標を設定し、進捗管理を行っております。
イ. 気候変動「持続可能な地球環境への貢献」
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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温室効果ガス排出量 の削減 |
Scope1・2排出量削減(2019年度比) (注)1、2、3、4 |
52%削減 |
2030 |
Scope1・2 29%削減 |
Scope1・2 38%削減 |
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ネットゼロ |
2050 |
||||
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Scope3排出量削減 カテゴリ1・3・4・12 (2019年度比) (注)1、2、3、4 |
30%削減 |
2030 |
Scope3 32%削減 |
Scope3 29%削減 |
|
|
プラスチック使用削減 |
紙製ショッパー環境配慮型資材使用 |
100%切替 |
2030 |
96.8% |
95.0% |
|
雨用ビニルカバーゼロ化 |
ゼロ化 |
2030 |
639kg |
733kg |
|
|
環境配慮型素材を 使用した製品づくり |
全生産数量における環境配慮型素材使用率 |
30% |
2030 |
19.4% |
23.3% |
(注)1 Scope1・2排出量及びScope3排出量削減率の2024年度実績については、有価証券報告書提出日現在の見込値であります。
2 2023年度実績は確定値であり、前期記載の見込値との差異は以下のとおりです。
・Scope1・2排出量削減(2019年度比)見込値:26%削減、確定値:29%削減、差異:プラス3%削減
・Scope3排出量削減(2019年度比) 見込値:38%削減、確定値:32%削減、差異:マイナス6%削減
3 差異の発生理由は、SBT認定取得に伴い、SBT目標設定基準に則して以下のとおり算定範囲の変更及び非連結子会社実績の計上項目の変更を行ったことによるものです。
・算定範囲:Scope3全カテゴリ削減から、カテゴリ1・3・4・12の削減に変更
・非連結子会社の計上項目:Scope1・2に株式会社サンヨーソーイングを追加(Scope3カテゴリ15から移動)
4 SBT認定取得に伴い、Scope1・2排出量及びScope3排出量削減率の2030年度目標を再設定しております。(2025年4月)
なお、気候変動の「指標と目標」に関する詳細情報については、
ロ.資源循環「サーキュラーエコノミーへの取り組み」
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
グリーン物流 |
ハンガーカバー、ニットカットソー用包装プラスチックのマテリアルリサイクル率 |
50% |
2030 |
11.5% |
11.9% |
なお、資源循環の「指標と目標」に関する詳細情報については、
ハ.人権「CSR調達の更なる推進」
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
CSR調達 |
CSR工場監査 Aランク工場比率 |
90%以上 |
2030 |
84.9% |
86.7% |
なお、人権の「指標と目標」に関する詳細情報については、
ニ.人的資本「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
従業員の健康管理 |
定期健康診断受診率 (注)1、2 |
100% |
2026 |
94.0% |
98.2% |
|
ストレスチェック受検率(注)2 |
100% |
2026 |
92.7% |
98.5% |
(注)1 定期健康診断受診率の2024年度実績については、有価証券報告書提出日現在の見込値であります。また、2023年度実績は確定値であり、前期記載の見込値:93.0%との差異は、プラス1.0%であります。これは有価証券報告書提出日以降に取得した2023年度の受診データを加算したことによるものです。
2 定期健康診断受診率及びストレスチェック受検率の目標を再設定しております。(2025年3月)
3 人的資本の人材育成及び社内環境整備に関する「指標と目標」については、「(2)人的資本 ④ 指標と目標」に詳細を記載しております。
(2)人的資本
当社グループは人的資本の強化が企業価値向上のための重要な課題であると認識し、マテリアリティに「多様性の尊重と働きがいのある職場づくり」を掲げ、多様なバックグラウンドを有する従業員の能力の最大化を支援し、それぞれが活躍できる環境を整備しております。
① ガバナンス
当社グループは、経営会議直轄の「人的資本プロジェクト(以下PJ)」において、人的資本投資に関わる実行計画策定、進捗のモニタリングを実施しております。PJは2023年9月に発足、常務執行役員人事総務統轄本部長が責任者を務め、人事部、経営統轄本部のメンバーで構成されております。PJにおける協議事項は経営会議にて決定・承認するとともに、定期的に取締役会へ報告することで、取締役会による監督が適切に行われる体制を整備しております。
② 戦略
当社グループは、経営戦略と連動し、以下のとおり人的資本に関する基本方針を策定しております。
イ.人的資本方針
三陽商会は、プロフェッショナル人材の育成を通じた個の能力の最大化、及び人事インフラ整備を通じた個の能力の最大発揮と多彩な知識・経験の糾合によるシナジー創出による、総合力向上に取り組みます。
ロ.人材育成方針
当社グループは、持続的成長に必要な人材を「ブランドビジネスのプロフェッショナル」「バックオフィスのプロフェッショナル」「IT/DX人材」と定義します。社会の変化に敏感に対応して事業の開発と成長を担う人材を育成すること及び、そのノウハウを継承することを通じて、個の能力の最大化を図ります。
a.ブランドビジネスのプロフェッショナル
新卒総合職においては20-30代で幅広い業務/ブランドを経験し、ブランド価値を高めるビジネス運営を担う人材に育成します。また、語学その他必要な専門知識の習得支援を行い、新たな事業領域の開発、国内外市場の開拓に携わる人材の育成に取り組みます。専門職、販売職においては技術力、商品力、販売サービス力を磨き、これらを共有する環境を整備することにより、将来にわたりノウハウを継承します。
b.バックオフィスのプロフェッショナル
経営・ガバナンス・M&A等、バックオフィス領域に精通した従業員によるプロフェッショナル集団を組成すべく、人材育成、経験者採用を強化します。人材育成では、業務上必要となる資格取得支援や、若手総合職社員のバックオフィス部門への配置、事業部門とのジョブローテーションを行います。
c.IT/DX人材
部門/世代の隔てなく必要なIT/DXスキルを習得するために、全社員向けの研修プログラムを開発し、全対象社員の受講を促します。また、IT/DX関連業務について安定的な組織運営を行うべく、シニア世代社員の学び直しやIT/DX関連部署への配置転換に取り組みます。
ハ.社内環境整備方針
当社グループは、適材適所の人員配置、働きがいのある制度の整備、企業風土の醸成、自発的な学びの機会の提供等を通じて、従業員エンゲージメントを向上させ、個の能力の最大発揮と多彩な知識・経験の糾合によるシナジー創出に取り組みます。
a.人員構成、人材配置の適正化
人材育成と組織運営の両面の観点から、プロアクティブなジョブローテーションと多様な背景を有する人材の補充を行い、事業活動に必要な組織定数を踏まえ、全社最適の人材ポートフォリオを整備します。
b.ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様な経験と価値観を有する従業員が互いに尊重し、時間や場所にとらわれず、働くことのできる職場環境を整備し、企業風土を醸成します。
c.従業員の学び直し
従業員へ自発的な学び直しの機会を提供し、過去の経歴と新たに習得した知識、スキルを活かして活躍できるフィールドへのジョブローテーションや配置転換に取り組みます。
d.従業員エンゲージメントの向上
従業員が当社で働くことに誇りを持ち、自ら意欲的に成長し貢献したいと考える、強い組織へ進化するために、従業員のエンゲージメント向上を促進していきます。
③ リスク管理
PJにおいて人的資本に関する当社の課題を特定し、そのリスクと機会について分析しております。また、分析結果を踏まえ実行計画を策定し、経営会議に報告しております。
特に、少子高齢化に伴う労働人口の減少が及ぼす人員構成の歪みについては、当社グループの現状と将来予測に基づき、採用、育成、学び直し、配置転換等の実行計画策定に反映しております。
④ 指標と目標
人的資本の人材育成及び社内環境整備に関する非財務指標・目標・実績は当社グループにおいて主要な事業を営む当社単体の係数としております。ライセンス管理等を主要業務とするエコアルフ・ジャパン㈱、海外生産支援を主要業務とする上海三陽時装商貿有限公司の2つの子会社については、指標と目標の記載は困難でありますため係数の対象外としております。
イ. 人材育成に関する指標と目標
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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未来を創る人材の育成 |
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66.7% |
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100% |
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2名 |
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研修未実施 |
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ロ.人材育成に関する主な施策
a.「自律型人材」育成の基礎教育
入社から5年間を基礎人材の教育期間とし、若手人材の育成に力を入れております。入社時のOJT制度に加え、定期的に開催するOff-JTの集合研修や人事部によるキャリア面談の実施等により、若手人材のキャリアを多面的に開発し、自主性・創造性豊かな人材への育成を目指してまいります。
b.階層別研修
組織における役割期待に応じて、スキル面・思考面・行動面での更なる能力を発揮・向上させるために、資格・等級や職位ごとに研修を実施しております。また、世代ごとに将来の経営幹部候補人材の育成、確保を行ってまいります。
c.能力開発
各部門における業務に必要な専門的知識や、スキルを高めるための能力開発に力を入れております。また、キャリア開発として次世代リーダーとして求められる役割認識や、統率力・コミュニケーション能力向上を目的とした研修を実施しております。
d.マネジメント能力育成
未来を担う管理職の教育を継続的に実施しております。個を尊重し、様々な価値観を取り入れ、部下の向上心や自己啓発意識を高め、チーム全体の生産性を向上させるマネジメント能力を身につけることを目標としております。
e.資格取得支援制度
業務上必要と認定した資格の取得を促進するために、通信教育や外部教育機関への派遣等、従業員の更なるキャリア形成を支援しております。
f.自己申告制度
全従業員を対象に、異動の希望や自身のキャリア等に関する意見を自由に申告する制度を設けております。本人の希望や適性を考慮した異動や配置を実現することを通じて、従業員個人の能力開発やモチベーションの向上を図ってまいります。
g.学び直し
全従業員に対して自発的な学び直しの機会を提供することを通じて、当社戦略や組織ニーズに連動して活躍できるフィールドを自ら開拓する風土を醸成します。その上で、過去の経歴と新たに習得した知識、スキルを活かして活躍できるフィールドへのジョブローテーションや配置転換を進め組織力の強化につなげてまいります。
ハ.社内環境整備に関する指標と目標
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活動計画 |
指標 |
目標 |
目標年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
働きがいにつながる 人事インフラの整備 |
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9.4% |
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68.9% |
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男性の育児休業取得率 (注)1 |
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男性:25.0% (女性:100%) |
男性: (女性:100%) |
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0.96% |
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50.8 |
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17名 |
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|
80.0% |
|
(注)1 「
2 全職種:総合職、専門職、一般職、正社員販売職の合計
ニ.社内環境整備に関する主な施策
a.女性活躍推進
当社は、多様なバックグラウンドを有する従業員の能力の最大化を支援し、それぞれが活躍できる環境を整備しております。その取組の一つとして女性活躍を推進し、「キャリア開発」「管理職育成」「就業継続支援」という三つの観点で様々な施策を実行いたします。既成概念にとらわれずに自分のキャリアビジョンを描き、それを実現するための能力開発を中心とした研修等を実施し、管理職候補者の育成を行うことにより2026年度までに女性管理職比率20%を目指します。
b.男女間賃金格差の改善
男女間で、時短制度の活用比率や管理職比率の違い等から賃金の差がみられますが、働き方に関する諸課題の改善に向けた取組を進めていくことや女性管理職の育成・登用により、男女間賃金格差を改善していきます。従業員の男女間賃金格差は、総合職を除いた職種においてはほぼ差はありませんが、総合職の女性が管理職に占める割合が低いことや、女性の時短制度の活用比率が女性全体の約2割を占めていることが原因としてあげられます。なお、平均賃金には、基準賃金のほか時間外勤務手当等の基準外賃金及び賞与を含んでおります。
c.育児休業取得の促進
仕事と育児の両立支援プログラムに沿って育児休業取得を支援し、従業員に子育て支援への理解を促進しております。改正育児介護休業法の施行にあわせて、2022年4月に社内相談窓口を設置し、同年10月に育児支援制度規程を改定するとともに法改正のポイントについて全従業員へ周知徹底を図っております。今後も従業員の育児と仕事の両立の実現に向けた人事インフラを整備することを継続し、より一層、従業員の育児支援に取り組むとともに、男性の育児休業取得率100%の継続を目指します。
d.ワーク・ライフ・バランスの推進
当社は、多様な働き方や家庭と仕事の両立を支援する制度を整備し、従業員がより柔軟な働き方を選択できる環境を整えております。これらの制度を活用することを通じて、全ての従業員が業務効率・労働生産性の向上を図ることを支援し、仕事と生活の調和を実現した働きがいのある職場環境づくりを推進してまいります。
e.障がい者雇用の取り組み
当社は障がいの有無に関係なく、誰もが働きやすい活気ある職場を目指し、職場環境を整えることによって、障がい者の雇用、能力発揮する機会の提供、職場定着化を図っております。
f.外国人雇用の取り組み
当社は、多様性確保と生産性向上の観点から、外国人人材の積極的な採用を行い、多様な価値観を商品開発、販売サービスに取り入れ、企業価値の向上につなげてまいります。
g.従業員エンゲージメント向上への取り組み
当社は、エンゲージメントサーベイ調査を通じて「企業と従業員の結びつき、信頼関係」の強さを数値化することにより、現状の組織の状態を可視化し、部門ごとに課題の抽出とその改善に取り組みます。また、経営層との対話の機会や業務改善にも取り組み、従業員全体のモチベーションの更なる向上と、一人ひとりが当社で働くことに誇りを持ち、自ら意欲的に成長し貢献したいと考える強い組織へと進化を果たすための人事インフラの整備を目指しております。
※エンゲージメントサーベイ調査:「企業と従業員の結びつき、信頼関係」の強さを数値化したものを従業員エンゲージメントスコアとして指標と目標に使用。AAA~DDの11段階で評価、当社目標55.0は上から4番目のBBB評価、当期実績51.9は組織の信頼関係が健全な状態であることを示すB評価にあたるものです。(他社平均=50.0/B評価)
当社グループは、全社を挙げてサステナブルな社会の実現に貢献することを目標に掲げ、事業を推進してまいります。
なお、サステナビリティ活動に関する詳細情報については、
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、記載内容のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年5月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループは、事業活動に関するあらゆるリスクを的確に把握するとともに、リスクの発生頻度や経営への影響度を低減するため、各種リスクに対応可能なコーポレートガバナンス及び内部統制に対する体制を整備しており、経営リスクの可能性を認識した上で、その内容に応じてコンプライアンス委員会、危機管理委員会、内部統制委員会、サステナビリティ委員会において発生回避策を討議、策定し、リスクが発生した場合においても適宜問題の解決を図っております。
(1)特に重要なリスク
① 原材料価格の変動リスクについて
世界的な経済情勢の変化や需給バランスの変動により、当社グループが使用する繊維原料や副資材の価格が大きく変動する可能性があります。当社グループでは、適切な価格転嫁や原価低減努力を行っておりますが、原材料価格の急激な上昇や長期的な高止まりが生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
② グローバルサプライチェーンに関するリスク
当社グループは、生産拠点の多くを中国やその他アジア諸国に置いております。これらの地域における政治的・経済的不安定性、労働環境の変化、法規制の強化、自然災害、感染症の流行等により、製造活動や物流に支障が生じた場合、商品の供給が滞り、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)重要なリスク
① 感染症拡大によるリスク
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を教訓に、当社グループでは従業員の安全確保と事業継続のための対策を講じております。しかしながら、新たな感染症の発生や再流行により、店舗の営業制限、消費マインドの低下、サプライチェーンの混乱等が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
② ファッショントレンドの変化によるリスク
当社グループの主力商品であるファッション衣料は、消費者の嗜好や流行の変化に大きく影響されます。当社グループでは、市場動向の分析や消費者ニーズの把握に努め、トレンドに即した商品開発を行っておりますが、予測を超える急激なトレンドの変化や消費者嗜好の変化が生じた場合、在庫リスクの増大や販売機会の損失につながり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ ブランドライセンス契約に関するリスク
当社グループは、複数の海外ブランドとライセンス契約を締結し、製品の製造・販売を行っております。これらのライセンスブランドは当社グループの売上高の相当部分を占めており、戦略的に重要な位置づけにあります。当社グループは、ライセンサーとの良好な関係維持に努めておりますが、契約条件の変更や契約解除、ブランドの市場競争力低下等が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動及び異常気象のリスク
ファッション衣料の需要は、季節や天候の影響を受けやすい特性があります。当社グループでは、気象情報を活用した生産・販売計画の立案や、機動的な在庫調整を行っておりますが、冷夏や暖冬などの異常気象が発生した場合、季節商品の需要減少や在庫増加につながり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う環境規制の強化や消費者の環境意識の高まりに対応するため、当社グループではサステナビリティ戦略を推進しておりますが、これらの取り組みが不十分と評価された場合、レピュテーションリスクや競争力低下につながる可能性があります。
⑤ 為替変動リスク
当社グループは、海外からの商品調達や海外子会社の運営を行っており、為替相場の変動は、仕入コストや海外事業の業績に影響を与えます。当社グループでは、為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 製品の品質と安全性に関するリスク
当社グループは、厳格な品質管理基準を設け、安全で高品質な製品の提供に努めております。しかしながら、予期せぬ品質問題や製造物責任に関わる事故が発生した場合、製品の回収・交換コストの発生、ブランドイメージの毀損、信用低下等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、顧客の個人情報を多数保有しております。これらの情報管理については、社内規程の整備、従業員教育、システムセキュリティの強化等の対策を講じておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃等により情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任の発生や社会的信用の低下により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法的規制及びコンプライアンスに関するリスク
当社グループは、国内外で事業を展開する上で、各国の法令や規制を遵守する必要があります。当社グループでは、コンプライアンス体制の強化とその従業員教育に努めておりますが、法令違反や社会規範に反する行為等が発生した場合、罰金等の法的制裁、社会的信用の低下、事業活動の制限等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
以上、10項目の他、重大事故、政治経済情勢の変化、金融市場の変動等、様々なリスクが当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらのリスクを認識した上で、その発生可能性の低減と影響の軽減に努めてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安や資源価格の上昇、さらには内外の政治情勢の変動の影響を受けつつも、好調な企業業績や緩和的な金融政策を背景に緩やかな回復基調が続いております。個人消費も物価上昇の影響がみられるものの、賃上げの定着による所得環境改善が徐々に進みつつあり、底堅い基調で推移しております。
当アパレル・ファッション業界の市況は、前期のコロナ禍沈静化に伴う反動需要が一巡したことや、秋口の記録的な高気温の影響により秋冬商戦の初動が遅れたこと等の影響を受けながらも、引き続き旺盛なインバウンド需要にも支えられ、ラグジュアリーブランド中心に堅調な推移となりました。
こうした状況の下、当社グループは、商品力と販売力の抜本強化を重点課題に掲げ、中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)の最終年度となる当期計画達成に取り組んでまいりましたが、第1四半期において前期のコロナ禍終息後のリベンジ消費の反動が出たことや、第3四半期において晩夏から秋にかけての記録的な高気温の影響により秋冬商戦の始動が大幅に遅れ苦戦を強いられたことの影響が大きく、第4四半期でやや持ち直したものの、通期の売上高は前年を下回る結果となりました。一方で、繰越在庫の適正化やセール販売の値引き幅抑制等により、売上総利益率は前年を上回ることができました。また、販売費及び一般管理費も、人材への投資や新規出店加速等の成長投資を除く固定費の抑制に努めた結果、計画を下回っております。しかしながら、売上高減少による売上総利益の減少をカバーするには至らず、営業利益は前年を下回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は605億2千6百万円(前年比1.3%減)、営業利益は27億1千5百万円(同10.9%減)、経常利益は28億2千5百万円(同11.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億7百万円(同43.7%増)となりました。
なお、当社グループは、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントでありますので、セグメント情報の記載はしておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加による減少額が17億9千4百万円ありましたが、税金等調整前当期純利益が45億3千4百万円、仕入債務の増加による増加額が10億1千2百万円あったこと等により、26億8千1百万円の収入(前連結会計年度は、44億1千9百万円の収入)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が21億2千7百万円あったこと等により、16億2千9百万円の収入(前連結会計年度は、23億3千7百万円の支出)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が10億2千1百万円、自己株式の取得による支出が28億2千4百万円あったこと等により、38億7千4百万円の支出(前連結会計年度は、13億9千5百万円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ4億3千1百万円増加し、195億3千4百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントとしておりますが、生産実績、販売実績については、服種別に以下の3区分で示しております。
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
|
区分 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
紳士服・洋品 |
9,665 |
111.0 |
|
婦人服・洋品 |
12,108 |
110.3 |
|
服飾品他 |
2,434 |
97.5 |
|
合計 |
24,208 |
109.1 |
ロ.受注実績
該当事項はありません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
|
区分 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
紳士服・洋品 |
24,683 |
101.5 |
|
婦人服・洋品 |
31,163 |
99.3 |
|
服飾品他 |
4,679 |
82.8 |
|
合計 |
60,526 |
98.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当連結会計年度の財政状態の分析
イ.資産
資産に関しましては、現金及び預金が4億3千1百万円、商品及び製品が17億7千1百万円それぞれ増加しましたが、投資有価証券が32億8千2百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比し17億4千万円減少し、570億1千7百万円となりました。
ロ.負債
負債に関しましては、支払手形及び買掛金が9億4千7百万円、リース債務が3億3千8百万円それぞれ増加しましたが、繰延税金負債が11億2千5百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比し2億1千6百万円増加し、177億1千5百万円となりました。
ハ.純資産
純資産に関しましては、利益剰余金が29億8千万円増加しましたが、自己株式の取得により27億8千1百万円、その他有価証券評価差額金が21億4千7百万円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比し19億5千6百万円減少し、393億1百万円となりました。
この結果、自己資本比率が68.90%、ROE(自己資本利益率)は9.95%となりました。今後は、DOE(株主資本配当率)4%を目標に努めてまいります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち恒常的なものは、増加運転資本と店舗売場設備の新設や更新に伴う設備資金の他、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用並びに株式配当金があります。これに加えて非恒常的な投資として、事業成長のためのアライアンス投資、M&A投資があります。
今期の営業活動につきましては、コロナ禍明けリベンジ消費の反動や記録的な高気温による秋冬物の初動の遅れなどから前年比で減収となりましたが、粗利率の改善や販管費の抑制などにより、前年比減益ながら営業利益27億1千5百万円を計上し、営業キャッシュ・フローの基礎となる利益部分を確保することができました。運転資本につきましては、売上債権は1億7百万円の増加に留まりましたが、棚卸資産につきましては、繰越在庫の抑制に努めつつも、前年度不足したシーズン立ち上がり商材を確保したため、17億9千4百万円増加し、これに伴い仕入債務は10億1千2百万円の増加となりました。このため、ネット運転資本は8億9千万円増加し、キャッシュ・フロー上は低下要因となりましたが、営業キャッシュ・フローとしては26億8千1百万円の収入となりました。引き続き運転資本の管理とともに、トップラインの成長並びに営業費用等のコントロールにより、営業キャッシュ・フローの継続的な創出に努めてまいります。
投資活動につきましては、出店に伴う設備投資などの他、縮減方針としている投資有価証券の売却収入が21億2千7百万円あったことにより、投資キャッシュ・フローは16億2千9百万円の収入となりました。
財務活動につきましては、配当金支払10億2千1百万円と自己株式取得28億2千4百万円による、積極的な株主還元を実施し、財務キャッシュ・フローは38億7千4百万円の支出となりました。
以上の結果、合計キャッシュ・フローは4億3千1百万円の収入、同額の現預金の増加となりました。
当社グループは2025年4月公表の次期中期経営計画及びPBR改善計画に基づき、成長投資と社員還元/株主還元の強化を通じ、資本効率を向上させるとともに、ネットキャッシュ水準の適正化に努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は76億2千6百万円、現金及び現金同等物の残高は195億3千4百万円となっております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5)経営者の問題意識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営全般にわたる一層の効率化を追求し、業績の向上を図るべく全社一丸となって専心努力いたします。
ライセンス契約
当社グループは海外提携先等と契約し、提携先所有の知的所有権を使用したブランド(ライセンスブランド)の衣料及び服飾品を販売しており、その契約の主なものは下記のとおりです。
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契約会社名 |
契約締結先 |
ブランド名 |
契約内容 |
契約期間 |
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㈱三陽商会 |
八木通商㈱ ㈱マッキントッシュジャパン |
マッキントッシュ フィロソフィー |
1 商標使用権の許諾 2 技術情報の提供 3 製造権及び販売権の許諾 |
2024年7月1日から 2030年6月30日まで |
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マッキントッシュ ロンドン |
2025年1月1日から 2030年6月30日まで |
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㈱三陽商会 |
バーバリー・ジャパン㈱ |
ブルーレーベル・クレストブリッジ ブラックレーベル・クレストブリッジ |
1 商標使用権の許諾 2 技術情報の提供 3 製造権及び販売権の許諾 |
2022年7月1日から 2027年6月30日まで |
(注) ザ・スコッチハウスのライセンス契約は2024年12月31日をもって終了いたしました。
該当事項はありません。