第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「不動産の活性化を追求し、新たな価値を創造してまいります」を企業理念として、不動産のコーディネート&マネジメントに特化した企画開発及び販売事業を行っております。

 今後につきましても、「コーディネート&マネジメントの強化・拡大」を経営方針に掲げるとともに、事業ポートフォリオの組み替えによる企業価値の最大化を図ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、不動産事業開始以降、一貫して少人数経営が可能なビジネスモデルを構築し、事業展開しております。

 今後も全員参画型経営体制を一層強化して少数精鋭集団を確立し、「売上高営業利益率10%」を目指してまいります。

 

(3) 経営環境

 当社グループは、継続的かつ安定的に成長できる事業基盤の構築を目指し、不動産の賃貸・管理事業として商業施設の賃貸及び運営管理を中心とした「ストック型ビジネス」を強化してまいりました。

 しかし、世界的なITの発展に伴い、小売業態は店舗販売からインターネットショップ販売に大きく変貌している経済環境の中で、当社収益の要となる商業施設のテナント構成も、小売業中心から徐々にサービス業へと変化しつつあり、実店舗の出店ニーズが年々下がってきております。

 また、当社グループの属する不動産業界は、ここ数年で、特に新型コロナウイルス感染症の影響もあり、生活様式や働き方の変化で不動産へのニーズが多様化しており、さらにDX化の動きも加速するなど、大きな転換期を迎えていると言っても過言ではありません。

 このような経営環境のもと、当社グループは、開発・販売事業として宅地及び建売物件、並びに中古戸建てのリフォームの販売活動を行うとともに、賃貸・管理事業として商業施設の運営活動を行いました。また不動産コンサルティング事業の強化を図るとともに、時間貸し駐車場事業を開始いたしました。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当社グループは、当連結会計年度まで2期連続で営業キャッシュ・フローのマイナスを継続しており、当連結会

 計年度において、営業損失211,689千円、固定資産の減損損失33,412千円を計上したことで、親会社株主に帰属す

 る当期純損失247,449千円を計上しております。その結果、当連結会計年度末の純資産は40,457千円の債務超過に

 なっております。

  これらにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。また、こ

 れらの状況を解消するために、以下のとおり、収益体質及び営業キャッシュ・フローの改善を図るための対応策を

 講じてまいります。

  なお、資金面においては、当連結会計年度末において326,527千円の現金及び預金の残高を有しており、当面の

 事業資金を確保していることから当社グループの資金繰りに重要な懸念はありません。

  以上のことから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 ① 賃貸・管理事業の再構築

 当連結会計年度より開始した時間貸し駐車場事業は、一部駐車場の解約はあったものの、概ね順調に推移し、当事業では18,229千円の営業利益を確保いたしました。今後も、既存事業地の展開エリアを中心に、開発を進めてまいります。

 また商業施設の運営につきましては、リーシングが難航している現況を踏まえ、抜本的な見直し含め、活用方法の再検討を図ってまいります。

 

② デベロップメント事業及びリセール事業の推進

 遅れが生じていた在庫物件ついて、当連結会計年度に計3区画の販売が完了いたしましたが、未だ一部の販売に遅れが生じております。つきましては、引き続き在庫物件の早期販売を目指すとともに、新たな不動産の仕入や販売を積極的に行ってまいります。

 また、2023年11月にトライアルで開始した太陽光発電物件の開発・販売の事業化について、2024年11月に販売が完了いたしました。当該販売においては、資金確保などの点から、一部が仕掛品の状態で販売をしたことなどにより、販売価額を売上高には計上せず、販売価額と取得価額の差額を営業外収益として計上することとはなりましたが、事業としての発展性は十分にあると判断できたため、今後事業の拡大を検討してまいります。

 

③ 新たなビジネスモデルの構築

 当社グループでは、これまでのストック事業、デベロップメント・リセール事業のみならず、引き続き新たなビジネスモデルの構築を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは持続可能な地域社会環境づくりのため、従業員の成長と共に地方における経済・社会・地域環境に応じたインフラ整備に注力し、ステークホルダーの皆様と共に成長し続ける企業を目指します。

 

(1)ガバナンス

 当社では、現状、サステナビリティに係る基本方針は定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続き等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。

 なお、当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載の通りであります。

 

(2)戦略

 当社グループは小規模な組織体制であることから、今後当社グループが大きく発展をするためには、以下4点が不可避だと認識をしておりますので、今後これらの環境整備を積極的に進めてまいります。

 ①年齢、国籍、性別等にとらわれない多様な人材の採用

 ②従業員のポテンシャルを最大限引き出すための成長機会の提供

 ③能力や役割、成果と連動し、従業員が期待感、納得感を持てる評価制度の再構築

 ④未来を見据えたダイナミックな登用

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、取締役会と経営管理本部が緊密な連携を図ることにより、また内部監査室及び監査役による監査により、リスクの早期発見、未然防止及び会社損失の最小化を図っております。また必要に応じ、弁護士、公認会計士、税理士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築しております。

 詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記(2)戦略で記載した人材の育成や社内環境の整備について、現時点では具体的な目標は定めておりませんが、今後検討を重ねながら具体的な目標を定め、着実に実現をしてまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、次のようなものがあります。

 なお、当社グループではこれらリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限努める方針ですが、本項目の記載は、当社グループの事業または本株式の投資に関するリスクの全てを網羅するものではありませんので、予めご留意願います。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 法的規制について

 当社グループの属する不動産業界における不動産取引については、「国土利用計画法」「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」等の法的規制があります。当社は、宅地建物取引業者として宅地建物取引業者免許(免許証番号:国土交通大臣(3)第7782号)の交付を受け、不動産の企画開発・販売事業を行っております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合、または何らかの理由により免許の取消等があった場合は、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。

①改正建築基準法について

2005年11月に国土交通省より公表された構造計算書偽装事件の教訓を踏まえ、建築物の安全・安心の確保を目的に2007年6月20日に建築確認・検査の厳格化を柱とする改正建築基準法が施行されました。これにより構造計算適合性判定制度の導入、確認審査等に関する指針及びそれに基づく審査の実施等により、建築確認手続方法が変わりました。その後、2007年11月14日に建築基準法施行規則の一部改正が行われましたが、今後も同法及び施行規則等の改正が行われ、当社グループの開発計画の変更を余儀なくされた場合は、業績に重大な影響を与える可能性があります。

②金融商品取引法の施行について

 2006年6月7日に「証券取引法の一部を改正する法律」が成立しており、開示書類の虚偽記載・不公正取引の罰則強化、公開買付制度・大量保有報告制度等、緊急性の高い項目から順次施行され、2007年9月30日に「金融商品取引法」が施行されました。

信託受益権や匿名組合持分については、みなし有価証券として同法の適用対象となるため、当社は第二種金融商品取引業者として登録いたしております(東海財務局長(金商)第105号)。今後予定される政令等につきましても内容に従って適時適切な対応をしてまいります。

(2) 不動産市況、金利動向等の影響について

 不動産業は、景気動向、金利動向及び住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、税制の変化等が発生した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、経済情勢の変化により、事業用地の購入代金、建築費等の上昇、ならびに供給過剰により販売価格が大幅下落した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 小規模組織であることについて

 当社は、当連結会計年度末現在、取締役5名、監査役3名、従業員5名の小規模組織であり、また、当社子会社は当社役員及び従業員の兼任により運営しているため、内部管理体制も当該組織の規模に応じたものになっております。今後の業容拡大に合わせて内部管理組織の一層の充実を図っていく方針でありますが、管理体制の構築が順調に進まなかった場合は、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、現状は小規模組織であるために、役員及び従業員に何らかの業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは役員及び従業員が社外へ流出した場合には、当社グループの業務に一時的な支障をきたす可能性があります。

(4) 販売用不動産(土地等)の仕入について

 当社グループの不動産販売事業は、土地(買取再販物件については建物含む)の仕入の成否が業績に重要な影響を及ぼします。土地等の仕入情報は、不動産業者、建設業者、設計事務所、金融機関等より入手し、価格・立地条件・周辺環境・権利関係・購入条件等を確認・調査するとともに、事業プランを作成して事業採算を検証したうえで購入の是非を判断しております。しかしながら、良質・安価な不動産の不足や同業他社との競合等により土地等の仕入が計画通りに実施できなかった場合や突発的な市況の変化、購入者の購入意欲の低下などにより販売が計画通りに実施できなかった場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

(5) 業務委託について

 当社グループは、デベロップメント及びリセール事業において設計、建設工事、販売業務等をそれぞれ設計会社、建設会社、販売会社等に業務委託しております。この方法により、当社は事業遂行に伴う固定的なコストを抑制できるほか、委託先が持つノウハウや情報を有効に活用できるものと考えておりますが、委託先との取引条件、取引関係等に変化が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、建築工事委託先の選定にあたっては施工能力、施工実績、財務内容、市場の評価等を総合的に勘案したうえで行っており、工事着工後においても、品質・工程管理のため当社社員が随時委託業者との会議に参加して進捗確認を行うとともに、当社の要求する品質や工期に合致するよう、工程毎の監理を行っておりますが、委託先が経営不振に陥った場合や物件の品質に問題が発生した場合は、計画に支障をきたす可能性があり、その場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 不動産引渡し時期等による業績の変動について

 当社グループの売上計上基準は、物件の売買契約を締結した時点ではなく、購入者へ物件を引渡した時点で売上を計上する引渡基準としております。そのため、四半期毎の業績については、物件の引渡し時期や規模により売上高や利益が変動するため、月毎あるいは四半期毎の業績が大きく変動する可能性があります。また、天災その他予想し得ない事態による建築工期の遅延、不測の事態により引渡し時期が遅延した場合は、当社グループの業績が変動する可能性があります。

(7) 瑕疵担保リスクについて

 当社グループは、デベロップメント事業における建設工事を外部の建設工事業者に委託するとともに、国の定める第三者評価機関による「設計住宅性能評価書」及び「建設住宅性能評価書」を全物件に対して取得し、品質及び安全の確保に努めております。

 また、当社は住宅保証機構株式会社による住宅性能保証制度の登録業者となっており、2006年度以降に着工した自社開発の分譲マンションは、全て住宅性能保証制度に登録しております。住宅性能保証制度に登録したマンションは、住宅保証機構株式会社が定める「性能保証住宅設計施工基準」に基づく現場検査に合格し、保証住宅として登録されると、新築住宅に10年間義務付けられている瑕疵(構造耐力上主要な部分、または雨水の浸入を防止する部分)について登録業者(当社)による保証がなされます。また、当社の保証の履行をより確実なものとするため、住宅保証機構株式会社の保険を付保し、これにより補修費用の95%が補償されます。

 さらに、当社は既存住宅売買瑕疵保証責任任意保険の登録事業者となっており、リセール事業において中古物件を購入する場合、住宅瑕疵担保責任保険法人が定める現場検査に合格する物件であることを前提に仕入れております。また、当該責任保険は既存住宅の販売に際して2年間義務付けられている瑕疵(構造耐力上主要な部分、または雨水の浸入を防止する部分)について売主(当社)が負う責任保証を補償するものであります。なお、当社の保証の履行をより確実なものとするため、住宅瑕疵担保責任保険法人の保険を付保し、これにより補修費用の80%(最大10,000千円)が補償されます。

(8) 土壌汚染等の対策について

 当社グループは事業用地を仕入れる場合には、土壌汚染や地中埋設物等による建築スケジュールへの影響を回避するために必要に応じて土壌調査を行い、売買契約書においては土壌汚染があった場合の対策費用を売主負担としております。しかしながら、使用履歴上は問題のない土地であっても購入後または分譲後に近隣地域から土壌汚染物質が流入するなど土壌汚染問題が発生し、当社が予期しない土壌汚染対策が求められた場合は、事業化スケジュールの遅延が生じ、もって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 保有する資産について

 当社グループが保有している販売用不動産及び固定資産について、時価の下落や賃貸収益の悪化等により減損処理の対象になった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 気候変動・自然災害について

 地球温暖化等の気候変動により、過去経験したことのないような自然災害(地震・洪水・豪雨等)の発生頻度が著しく高まるなか、当社所有商業施設の資産毀損が発生し、資産価値や担保価値が低下するリスクがあります。

 当該自然災害により、商業施設の事業存続が不可能となった場合、大規模修繕工事を要した場合、ならびに一時的な休業によるテナントへの営業補償等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 感染症・テロ等について

 国内外で発生する可能性のある感染症やテロ等は人々の消費行動を控えたり、消費者心理を低下させる最も懸念すべきリスクであります。

 感染症の感染拡大により商業施設の営業活動が制限され、テナントの家賃滞納や大幅な減額措置等を講じた場合、ならびにテナントが退店し稼働率が低下した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12) テナントのリーシングについて

 当社グループが保有している商業施設において、キーテナント等の退店の後、次期テナント誘致までに相当の期間を要する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 商業施設について

 当社グループが保有している商業施設は、竣工から一定の期間が経過しているため、機器の故障、建物の劣化により大規模な修繕を必要とする場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 電気料金上昇に伴うリスクについて

 今後予想を上回る原油価格の高騰等や天災などを起因とした電気料金値上げ等の事態に至った場合には、当社グループの業績に影響を及す可能性があります。

 

(15) 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況について

 当社グループは、前連結会計年度において、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上し、当連結会計年度においてもマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しております。また、当連結会計年度において、親会社株主に帰属する当期純損失247,449千円を計上したことにより、当連結会計年度末の純資産は40,457千円の債務超過になっております。これらの状況により、継続企業の前提に疑義を生じさせる事象又は状況が存在しているものと認識しております。

 このような事象又は状況を解消するため、開発・販売事業においては、在庫宅地や建売を対象として一層の販売強化を図るとともに、エリアごとに価格トレンドや顧客ニーズの再分析を行い、必要に応じ、販売価格や販売手法を見直すことにより、早期の販売を図ってまいります。また賃貸・管理事業においては、デッドスペースの積極的な活用を図り、また原価の見直しを図るとともに、商業施設については募集賃料の、時間貸し駐車場については単位料金や最大料金の更なる適正化を図ることで、収益改善に努めてまいります。

 資金面においては、当連結会計年度末において326,527千円の現金及び預金の残高を有しており、当面の事業資金を確保していることから当社グループの資金繰りに重要な懸念はありません。

 以上のことから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等により、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復をしています。他方、原材料価格の高騰や円安の進行により物価が上昇しており、またウクライナ情勢も長期化の様相を呈するなど、先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する不動産業界においては、ここ数年で、特に新型コロナウイルス感染症の影響により、生活様式や働き方に変化が生じたことで、ニーズがさらに多様化しており、またDX化の動きも加速するなど、大きな転換期を迎えていると言っても過言ではありません。

 このような状況のもと、当社グループは、前連結会計年度において、保有商業施設を売却したことから、主力事業である賃貸・管理事業の収益力が低下したため、早期に収益力を向上させることが最重要課題となっております。これを踏まえ、従来の宅地及び建売物件ならびに中古戸建のリフォームの販売(デベロップメント事業)、商業施設の賃貸(ストック事業)、不動産コンサルティング事業の強化を図りながら、ストック事業の拡大を図るべく、時間貸し駐車場事業を開始いたしました。

 売上高は、前連結会計年度において、保有商業施設5施設のうち4施設を売却したことや、販売事業における宅地及び建売販売が計画に対し未達であったことから、前連結会計年度に対して減収となりました。また、営業利益及び経常利益は、上記及び販管費の増加に伴い、前連結会計年度に対して減益となりました。さらに賃貸・管理事業の一部物件における収益の悪化または低迷に伴い、減損損失33,412千円を計上いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高306,488千円(前連結会計年度比56.7%減)、営業損失211,689千円(前連結会計年度は営業利益139,383千円)、経常損失200,053千円(前連結会計年度は経常利益123,066千円)、親会社株主に帰属する当期純損失247,449千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,421,256千円)となりました。

 また、当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に対し349,041千円減少の792,017千円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に対し248,292千円減少の832,474千円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に対し100,749千円減少の△40,457千円となりました。

 

セグメント別経営成績は、次のとおりとなります。

a.開発・販売事業

 開発・販売事業は、当社において潜在価値を引き出すことが可能な用地を取得し、物件毎に地域特性や立地環境に最適な企画を付加し、分譲マンションや商業施設の開発または宅地開発を行う「デベロップメント事業」と他のデベロッパーが開発した物件を1棟または区分所有で購入し、これを効率的・効果的な販売手法をもって再販する「リセール事業」があります。

 「デベロップメント事業」については、引き続き神奈川県横須賀市(1物件)の宅地及び建売販売を行い、2区画を引き渡しました。

 なお、新たな事業モデルの構築を図るため、トライアルとして着手をした土地付き太陽光発電物件の開発・販売について、2024年11月に販売は完了したものの、資金確保などの点から、一部が仕掛品の状態で販売をしたことなどにより、販売価額を売上高には計上せず、販売価額と取得価額の差額を営業外収益として計上しております。

 「リセール事業」については、引き続き長野県伊那市(1物件)及び長野県駒ヶ根市(1物件)の建売及び栃木県宇都宮市(11区画)の宅地の販売を行い、うち長野県駒ヶ根市(1物件)を引き渡しました。また、2023年8月に仕入れた神奈川県横浜市保土ヶ谷区(9区画)の開発物件については、引き続き販売に向け準備を進めております。

 この結果、売上高は81,466千円(前連結会計年度の売上高はありません)、セグメント損失は14,147千円(前連結会計年度はセグメント損失19,741千円)となりました。

 

b.賃貸・管理事業

 賃貸・管理事業は、当社が所有する土地や建物等を第三者に貸し付ける賃貸事業であります。

 当社は、これまで所有していた5物件の商業施設につきまして、北海道苫小牧市(1物件)を除き、北海道北斗市(1物件)、北海道札幌市厚別区(1物件)、神奈川県横浜市中区(1物件)、石川県河北郡(1物件)、計4物件の商業施設を、2023年6月に売却いたしました。

 他方、昨年購入した神奈川県川崎市高津区の土地を、駐車場用地として賃貸するとともに、2024年4月より、新たな事業として、時間貸し駐車場事業を開始いたしました。

 この結果、売上高は208,937千円(前連結会計年度比58.0%減)となり、セグメント損失は25,871千円(前連結会計年度はセグメント利益98,987千円)となりました。

c.不動産コンサルティング事業

 前連結会計年度より開始した不動産コンサルティング事業は、デベロップメント事業やリセール事業を長年にわたり展開してきたノウハウを活かし、旧来の相場を基準とした売り手と買い手を繋ぐだけの仲介ではなく、それぞれの不動産が持つエリアや立地特性などを多様な視点で分析し、また専門的な知見・技術や独自のネットワークを有すパートナーとの提携により、それぞれの不動産が有す潜在的な価値を最大限まで引き出し、最良な価格で取引を実現することをコンセプトとしております。

 当連結会計年度においては、相談事案はございましたが、通常の仲介にて成約をしたため、売上高並びにセグメント利益を計上しておりません。(前連結会計年度は売上高193,152千円並びにセグメント利益193,152千円)

 なお、不動産コンサルティング事業における原価及び販管費について、現時点では人件費のみを想定しておりましたが、当連結会計年度においては、開発・販売事業及び賃貸・管理事業と兼務であり、不動産コンサルティング事業単独で人件費を計上しなかったため、売上高とセグメント利益は同額となっております。

d.その他

 「その他」区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、主として店舗運営事業及び不動産仲介事業であります。

 店舗運営事業につきましては、神奈川県横浜市中区(1物件)、北海道苫小牧市(1物件)の2物件において、連結子会社の株式会社リユニオンが店舗運営事業を行っております。

 この結果、売上高は24,093千円(前連結会計年度比2.8%増)となり、セグメント損失は159千円(前連結会計年度はセグメント利益10,423千円)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は326,527千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は336,076千円(前年同期は357,522千円の使用)となりました。これは税金等調整前当期純損失246,429千円に加えて、未払又は未収消費税の減少267,580千円、また棚卸資産の減少による資金の獲得106,663千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は99,649千円(前年同期は6,699,556千円の獲得)となりました。これは有形固定資産の取得による支出92,619千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は132,300千円(前年同期は6,107,528千円の使用)となりました。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入146,700千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、不動産のコーディネート&マネジメントに特化した企画開発・販売事業を行っており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年3月1日

 至  2025年2月28日)

前年同期比(%)

開発・販売事業(千円)

81,466

賃貸・管理事業(千円)

208,937

△58.0

不動産コンサルティング事業(千円)

△100.0

 そ の 他 (千円)

24,093

2.8

 調 整 額 (千円)

△8,008

39.8

  合 計   (千円)

306,488

△56.7

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年3月1日

 至 2024年2月29日)

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

 至 2025年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アークホールディングス株式会社

193,152

27.28

株式会社トライアルカンパニー

77,940

11.01

個人

41,681

13.60

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

②財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に対し349,041千円減少の792,017千円となりました。これは主に現金及び預金の減少303,426千円、販売用不動産及び仕掛販売用不動産の減少106,663千円、有形固定資産の増加48,207千円によるものであります。

 負債合計は、前連結会計年度末に対248,292千円減少の832,474千円となりました。これは主に未払消費税等の減少254,991千円によるものであります。

 純資産合計は、前連結会計年度末に対し100,749千円減少の△40,457千円となりました。これは主に利益剰余金の減少247,449千円によるものであります。

 

③経営成績の分析

(売上高、売上総利益)

 当連結会計年度は、開発・販売事業として、神奈川県横須賀市(1物件)の宅地及び建売の販売活動ならびに長野県伊那市(1物件)、長野県駒ヶ根市(1物件)の建売及び栃木県宇都宮市(11区画)の宅地の販売活動を行い、建売2区画及び宅地1区画を引き渡しました。

 また賃貸・管理事業は、これまで所有していた5物件の商業施設につきまして、2023年6月に北海道北斗市(1物件)、北海道札幌市厚別区(1物件)、神奈川県横浜市中区(1物件)、石川県河北郡(1物件)の計4物件の商業施設を売却したことで、当該4物件を売却した2023年7月以降は、北海道苫小牧市(1物件)の商業施設の賃貸及び運営管理を行っております。他方、2023年10月に購入した神奈川県川崎市高津区の土地を駐車場用地として賃貸するとともに、2024年4月より、新たな事業として、時間貸し駐車場事業を開始しております。

 なお、前連結会計年度より開始した不動産コンサルティング事業は、大型事案の成約はなかったものの、相談事案から1件が通常の仲介にて成約いたしました。

 この結果、売上高は前連結会計年度に対して401,577千円減少の306,488千円となりました。これは主に保有商業施設5施設のうち4施設を売却したことや、販売事業における宅地及び建売の販売が計画よりも遅れていることによる減少であります。

 売上総利益は、前連結会計年度に対して337,469千円減少し、27,746千円の売上総損失となりました。これは主に保有商業施設5施設のうち4施設を売却したことによる減少と北海道苫小牧市の商業施設の賃貸借契約解約による減少、駐車場事業を開始したことによる増加、北海道苫小牧市の商業施設で大規模修繕を行ったことによる減少、北海道苫小牧市の商業施設および一部駐車場設備の減損による減少との差額によるものであります。

 

 (販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に対して13,603千円増加の183,943千円となりました。これは主に従業員数の増加に伴う給与手当の増加、あるいは臨時株主総会関連費用をはじめとした支払手数料の増加と、保有商業施設の売却に伴う租税公課の減少との差額によるものであります。

 

 (営業利益)

営業利益は、前連結会計年度に対して351,072千円減少し、211,689千円の営業損失となりました。これは主に保有商業施設5施設のうち4施設を売却したことによる売上総利益の減少を、既存事業ないし新規事業で補完することができず、さらに、販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。

 

 

(営業外収益・費用及び経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度に対し14,663千円増加の26,540千円となりました。これは主に太陽光発電設備売却差益の増加と、違約金収入の増加によるものであります。

営業外費用は、前連結会計年度に対して13,289千円減少の14,903千円となりました。これは主に借入金の返済による支払利息等の減少によるものであります。

この結果、経常利益は前連結会計年度に対して323,119千円減少し、200,053千円の経常損失となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

 主に賃貸・管理事業の一部物件における収益の悪化または低迷に伴い、減損損失33,412千円を計上したことから、前連結会計年度の税金等調整前当期純利益1,449,763千円に対して、税金等調整前当期純損失246,429千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純損失から法人税等の税負担を加減算した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、

247,449千円となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

  (キャッシュ・フローの状況の分析)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(資金需要)

 当社グループの資金需要の主なものは、保有物件の維持費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

(財務政策)

 当社グループの事業活動に必要な資金については、自己資金によることを基本としておりますが、物件の購入や大規模な修繕など、多額の資金需要が見込まれる場合は、必要に応じ、金融機関等からの借入により調達しております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(和解合意書の締結)

 当社は、2024年6月18日、当社株主であるJPIW合同会社(以下「J社」)より、会社法第297条第1項の規定に基づき、臨時株主総会招集請求に関する書面を受領いたしました。

 その後、J社と協議を重ね、2025年2月26日に、以下内容の和解合意書をJ社と締結いたしました。

 

契約の概要

1.締結年月日

2025年2月26日

2.締結の相手方

JPIW合同会社

3.合意の目的

当社の企業価値の向上を図るため

4.合意の内容(抜粋)

(1)新経営体制構築のため、当社が「取締役4名選任の件」を株主提案による付議議案として、2025年4月17日に臨時株主総会を招集する。

(2)当該議案が上程されていずれも可決された場合、J社は、速やかに、東京地方裁判所に対して申し立てた2024年7月16日付株主名簿閲覧謄写仮処分命令申立事件(令和6年(ヨ)第30100号)、同月19日付株主名簿閲覧謄写請求事件(令和6年(ワ)第70314号)、同月31日付取締役会議事録閲覧謄写許可申立事件(令和6年(ヒ)第325号)並びに当社の取締役に対する2024年7月26日付提訴請求書及び当社の監査役に対する同年8月9日付提訴請求書その他当社及び役員に対する全ての異議申立てを取り下げるものとし、当社は、この取下げに、異議を述べないものとする。

(3)当社は、アークホールディングス株式会社(以下「アークホールディングス」という。)をして、当社が第三者割当増資、融資問わず外部より資金調達をした場合には、他の債務に優先して、3億円を下限として、期限前弁済を実施し、その残債務についても早期に弁済することにつき最大限努力することを条件に、アークホールディングスからの借入全額について、2026年2月28日の返済期限を1年間延長させるものとする。

(4)J社は、前項の返済期限を延長する条件として、当社が、アークホールディングスからの当該借入に関し、支払いのために約束手形を発行することについて、異議を述べないものとする。

(5)当社は、矢作和幸氏、篠塚勝氏、額田正道氏、濱田光貴氏及び行木明宏氏をして、本件臨時株主総会において、本議案がいずれも承認可決されることを停止条件として、当社の取締役を辞任させるものとする。

(6)J社及びその他関係者ら(以下「J社ら」という。)は、本議案が可決された後、自ら又は当社をして、方法の如何を問わず、当社の現任の取締役及び監査役に対し、同人らが本合意締結以前に当社の役員として行った一切の行為(但し、J社らが知り、又は知ることができた行為に限る。)について、損害賠償請求その他一切の責任追及を行わないものとする。

(7)J社は、当社をして、本臨時株主総会の後2年間、本臨時株主総会時点における当社の従業員について、可能な限り、本臨時株主総会時点における雇用の条件を不利益に変更させることなく、引き続き雇用を継続させることに協力するものとする。

 

J社との対話・協議を継続し、当社社内でも検討を重ねてきた結果、当社といたしまては、J 社が有する当社の経営ビジョン及び計画が当社の今後の成長に資すると判断し、J社との間で、本合意書を締結することといたしました。また、新たな経営体制については、J社との協議には時間的な制約があったことなどから、当社として新任候補者を選任する旨の取締役選任議案を提案するに足るほどの情報を入手することができなかったため、J社からの株主提案という形でご提案いただき、当社においてこれを臨時株主総会の議案として付議することといたしました。

 なお、本臨時株主総会は予定どおり2025年4月17日に開催され、付議議案は決議されました。

 

(固定資産の取得)

 当社は、2024年3月7日開催の取締役会において、固定資産の取得(駐車場設備の購入)を決議し、2024年3月8日付にて一般事業法人と構築物・工具及び器具備品の駐車場運営機材一式及び駐車場運営権等の物品等譲渡契約を締結いたしました。

 

(1)固定資産取得の理由

 当社は、「不動産の活性化を追求し、新たな価値を創造すること」を企業理念として、不動産のコーディネート&マネジメントに特化した企画開発及び販売事業を行い、少人数経営が可能なビジネスモデルの一環として、「ストック型ビジネス」の推進に取り組んでおります。これまで当社は、「ストック型ビジネス」について、商業施設の運営を軸に行ってきましたが、前期において保有していました商業施設5物件の内4物件を売却したことにより、今後は地域特性や時代の流れにあわせたフレキシブルな活用が実現できる『更地活用』 に重点を置いた展開に注力しております。この『更地活用』を中心とした「ストック型ビジネス」の一環として、時間貸し駐車場事業を新たな事業として開始するために固定資産の取得を決定しました。対象となります駐車場は、東京都世田谷区新町、東京都大田区西蒲田等の首都圏を中心とした37カ所です。既に駐車場として運営されている場所にて、固定資産取得後既に稼働している状態にあります。当該運営実績を基に、今後業容の拡大を検討していく所存です。

 

(2)固定資産の概要

名称       プラスパークス(全37ヵ所)

所在地      東京都世田谷区新町、東京都大田区西蒲田 外

取得資産の種類  構築物・工具及び器具備品

契約金額     94百万円(税込)

契約締結時期   2024年3月

物件引渡時期   2024年4月

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。