文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社の社名に含まれる「RISE(ライズ)」には、「顧客企業の成果を上昇させる」、その結果として「日本を再び上昇させる」という決意をこめております。その決意の下、創業当初より「次の未来を創造すること」=「PRODUCE NEXT」をMISSIONとして掲げ、コンサルティング活動等の事業活動を通じて「顧客企業にとって上昇し続ける成果のスパイラルを生み出す」ことにより、顧客企業の次の未来を創造し、日本の再生に貢献することを目指してきました。創業当初の経営理念の実現とそれに伴う当社の成長を実現していく中で、2022年12月には、これまでの取り組みを継承しつつ、新たなMISSION、VISION、VALUEとして以下を掲げ、当社の更なる発展に向けた取り組みを開始しています。
・MISSION 「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」
・VISION 「TOP of MIND ~いつの時代も、いちばん必要とされる存在に。~」
・VALUE 「RISE above RISE ~絶えず進化を、絶えず成長を。~」
当社の経営の基本方針は、クライアントバリューの最大化に拘り、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」のバランスを重視しながら、「企業価値の向上」と「PRODUCE NEXTの実現」を達成することです。人材育成、営業の深化と探索、品質管理・ナレッジ向上、そしてこれらのエコシステムを形成し、ピュアコンサルティングタイムを最大化することで、「企業価値向上」を実現していくことができます。また、「オープネス(開放性)」と「フェアネス(公正性)」な環境を整備すること、待遇・働く場所・時間等を柔軟に選ぶことができ、個人の志向に沿ったキャリア形成を実現できること、そして、そのような様々な働き方の実現と機会を提供するために新規事業を開発することで、社員の成長や働きやすさ(ケイパビリティ)を最大化して「PRODUCE NEXT」の実現が達成できると考えます。また、当社においては、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」が健全な仕組みとして機能するためのバランサーとして、「ウェルビーイング」や「コンプライアンス」に関連する活動についても積極的に取り組んでおります。
今後は、既存のコンサルティング事業を軸としながらも、収益モデルの多角化やシナジーを生む新規事業を創出するといったチャレンジを続けてまいりますが、この経営方針に従い持続的な企業価値向上を目指していきたいと考えております。
我が国の経済は、企業の設備投資や個人消費の持ち直しにより、経済活動は緩やかに回復の動きが見られました。しかしながら、海外情勢に伴う世界的な各種物価の上昇や為替相場の大幅な変動、米国新政権の通商政策による日本経済への影響等、我が国の経済を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
このように激しく変化する市場環境に対応すべく、日本の各企業は、ビジネス機会の創出や更なる企業価値向上を目指すための積極的な取り組みを行っており、企業活動へのコンサルティング支援に対する需要は今後さらに高まっていくものと考えられます。
このような事業環境のもと、当社グループでは、下記の成長戦略のロードマップに基づき、中長期的に業績向上を図ることを目指していきます。
(成長戦略のロードマップ)

(注) 1.TAM= Total Addressable Market
2.短期・中期は3~5年、長期は5年超のイメージです
当社が属する国内ビジネスコンサルティング市場は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や業務改革の加速、生成AIの活用拡大などを背景に、今後も堅調な成長が見込まれております。
国内ビジネスコンサルティング市場は、2022年から2027年までの年間平均成長率は9.7%で推移し、2027年には約1兆230億円に達する見通しです。(IDC Japan株式会社 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」より)。

(注) 1.IDC Japan, 2023年8月「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2023年~2027年」(JPJ49210623)
2.当社が事業を展開する領域のイメージであり、当社が2025年5月現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示すものではありません。また、本スライドに記載の数字は、外部の調査資料に依拠したものであり、その正確性にはかかる調査資料に固有の限界があるため、実際の規模とは異なる可能性があります。
当社グループは、継続的な成長と企業価値の向上を図るべく、2026年2月期から2030年2月期までの5年間を対象とした中期経営計画を策定いたしました。今後もコンサルティング事業を主軸とし、採用強化と営業強化を両立させながら、事業規模の拡大を図ってまいります。
本中期経営計画期間においては、売上収益の年平均成長率(CAGR)は20~25%、最終年度における営業利益率は25~30%を目指しております。当社は、この目標を達成するため、以下の2点を主な成長戦略として掲げています。
●スケール化に向けた基盤強化
・案件獲得:プラクティス拡充によるケイパビリティ拡大及びインサイドセールスによるCRM強化
・人材獲得:採用体制の更なる強化と従業員エンゲージメントの向上による離職率低減
・品質・生産性向上:コンサルティング業務等への生成AI活用強化
●コンサルティング事業の高付加価値化・循環
・トップイシューの上流案件から一気通貫でのご支援
●需要が高いシステム領域の事業拡大
・IT/DX関連企業等とのアライアンス
(数値目標)

(成長戦略)

また、更なる成長に向け、生成AI等の先端技術の積極的な活用や新規事業の探索を通じて、売上のアップサイドの確保及び利益率の改善を図ってまいります。
(更なる成長に向けて)

当社は創業以来、“最高品質のデリバリーが最大の営業戦略”をモットーに顧客からの信頼を獲得しながら、売上を拡大してまいりました。今後もコンサルティング事業の基盤をさらに強化し、企業価値の向上を実現するため、売上収益と営業利益を重要視しております。
当社の売上成長性、収益性を強化する上で重要となるのが、主要KPIとして掲げている稼働対象の「コンサルタント人員数」「コンサルタント稼働率」「コンサルタント平均単価(月額)」となります。
●稼働対象コンサルタント人員数(注1)
当社グループにおいては、各企業のニーズに応えたコンサルティング業務を推進するために優秀な人材の確保が重要であると考えております。
●稼働対象コンサルタント稼働率(注2)
コンサルティング事業においては、コンサルティングサービスの需要に応じて最適にコンサルタントをアサインすることが重要な経営戦略となります。したがって、コンサルタントの稼働率の情報は、足元の需要の変化と当社グループの経営資源のバランスを把握する指標として、有用かつ必要であると考えております。
●稼働対象コンサルタント平均単価(月額)(注3)
コンサルティングサービスの品質の評価に係る指標として、有用かつ必要であると考えております。
(注) 1.稼働対象コンサルタント人員数とは、在籍コンサルタント数から休職中、研修中、ビジネスディベロップメント部、プラクティス活動等の稼働対象外の工数を除外した人員数
2.稼働対象コンサルタント稼働率=稼働コンサルタント数(工数)÷稼働対象コンサルタント数(工数)
3.稼働対象コンサルタント平均単価(月額)=(コンサルティング事業に係る売上高-外注売上高)÷稼働コンサルタント数(工数)
① 優秀な人材の採用と育成
当社は、昨今の高度化・複雑化する企業の多様な課題解決を導くための論点を設定し、プロジェクトを推進できる仮説思考型の優秀な人材の獲得が重要であると認識しております。コンサルティング事業は知識集約型のビジネスであり、コンサルタントが提供する知的な付加価値こそが顧客の多様な課題を解決し、結果として当社の成長に寄与すると考えております。
また、DXを推進するにあたっては、高いプロジェクトマネジメント力で顧客をリードする人材が不可欠になります。当社では、多種多彩な研修制度や勉強会を設けて、戦略立案や経営課題を解決するためのスキル向上を図ることで、コンサルティングスキルの成長を促す仕組みを構築しております。各コンサルタントが安心して働きやすい環境・待遇の整備に注力し、高いモチベーションを維持したまま業務を遂行できるように努めております。また、会社としてスキルマトリックスを設定し、各コンサルタントのコンサルティングスキルを定期的・客観的に把握するとともに、評価時にその職位における達成基準としてスキル要件を設定しております。
なお、当社は特定の業界やサービス領域に捉われず柔軟なアサインを可能とするOne Pool制を敷いており、コンサルタントは多岐にわたる経験が可能となっております。これにより、どのような顧客に相対しても、ニーズに応えた具体的で実現性の高い提案を行うプロフェッショナルの育成を図っております。
② コンサルティング品質の継続的な向上
当社グループの強みは、顧客に深く入り込み、Hands-onで戦略から実行に至るまで一気通貫でコンサルティングサービスを提供することにあります。困難なプロジェクトに対しても高い品質のコンサルティングサービスを提供できるよう、品質管理部門によるクライアントサーベイの実施や結果の分析・社内共有を行うことで、顧客の期待値を超える成果を出すための仕組みを構築しております。また、コンサルタントには志向性面談を実施し、本人のスキルや希望にマッチした案件へのアサインや従業員満足度調査を実施することで、モチベーションの維持・向上に向けた施策を進めております。
③ 高い稼働率の維持
当社グループは、収益力を高め持続的な成長を実現するためには高い稼働率を維持することが重要であると認識しております。高い稼働率を維持すべく、当社では営業を行う専門部隊を配置しております。また、コンサルタントは、案件を進めていく過程で、顧客のニーズをいち早くつかむようにしているほか、すでに保有する取引先と深い関係性の構築を進めております。それにより案件ニーズの早期把握や長期プロジェクトの獲得を目指しておりますが、今後とも高い稼働率の維持に向け注力する必要があります。
④ 新たなビジネスモデルの開発
昨今の経営環境は、市場競争の激化や市場構造の変化に起因した企業経営者を取り巻く課題が多様化しており、これらの経営課題を解決し、企業経営をサポートできる幅広い経験や調査・分析能力を有するコンサルタントを求める需要が高まっております。一方で、既存のコンサルティングビジネスは、需給によって変動するコモディティ的な側面があるうえ、より低単価で一定の品質を提供する競合他社が出現した場合、当社の大きな脅威となります。当社は、長期的に顧客の経営にコミットする仕組みの構築に加え、新たなテクノロジーを活用したビジネスモデルの開発などを進めております。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは、既存事業の継続的な成長と新規事業の開発・展開にあたっては、顧客からの信頼を得ることが不可欠であると考えております。現在、管理部門の人員増加を含め管理面の強化を行っておりますが、今後更なる事業拡大を見据え、継続的な内部管理体制の強化、内部統制やコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」というMISSIONの下、継続的な企業価値向上を実現し、株主、取引先及び従業員等に対する社会的責任を果たすためには、経営の健全性、効率性及び透明性の確保が不可欠であるとの認識に立ち、内部統制の整備・運用及びリスク管理の徹底によるコーポレート・ガバナンスの強化に努めております。
当社グループは、グループ全体でサステナビリティ経営をより一層推進するため、2025年2月期に取締役会の諮問委員会として「サステナビリティ委員会」を新たに設置しました。
サステナビリティ委員会は、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携しながら、サステナビリティに関する方針、目標の設定や進捗のモニタリング等、サステナビリティに関する重要なテーマについて検討・審議・決定を行い、取締役会への報告・答申を行っております。
取締役会は、サステナビリティに関する当社グループの在り方を提言するとともに、サステナビリティに関する取組等の執行を監督しています。
(体制図)

当社グループは、経営の基本方針である「クライアントバリューの最大化」を実現するため、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」を両立することを重視しています。これを支える基盤として、社員が健康で安心して働ける環境を整備し、持続的に能力を発揮できる「健康経営」の推進を人的資本戦略の柱としています。
当社グループの人的資本戦略は、健康・安全・働きやすさの向上を通じて、社員の能力を最大限に引き出し、企業の成長を支えることを目的とし、以下の3つの重点施策を推進します。
1. 健康診断の徹底
・定期健康診断受診率100%を目指し、社員の健康管理を支援
・社内への周知徹底及び継続的な情報発信と、適切なタイミングでの受診の促進
2. 有給休暇取得の促進
・平均有給休暇取得率を向上させ、リフレッシュ機会を確保
・有給休暇取得を促進できる制度を検討・導入することで、組織的に取得を推進
3. 時間外労働の抑制
・労働時間の適正化を図り、社内で従業員の労働時間をモニタリングし、タイムリーな打ち手を実施
・フレックスタイム制度の活用により柔軟な働き方を実現
当社グループは、これらの施策を通じて、社員一人ひとりが健康で働きやすい環境のもと、最大限の能力を発揮できるよう支援し、企業価値の向上を実現してまいります。
当社グループは、リスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤である内部統制システムの構築を行っております。また、コンプライアンス・リスク管理委員会を原則として四半期に一回開催することで、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。
一方、当社グループは、2025年2月期にサステナビリティ委員会を設置しました。今後は、当社グループのサステナビリティに関する重要な事項について、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携しながら、サステナビリティに関するリスク及び機会について審議を行い、取締役会への報告・答申を行ってまいります。取締役会は、サステナビリティに関するリスク及び機会に関して提言を行うとともに、リスク管理の取組をモニタリングしてまいります。
人的資本
当社グループの人的資本の指標と目標は以下の通りです。
(注)1.各指標は、当社連結グループの数値であります。
2.定期健康診断受診率の実績は、2024年4月から2025年3月末の数値を集計しております。
3.有給休暇取得率及び月平均所定時間外労働の実績は、2024年3月から2025年2月末の数値を集計しております。
4.有給休暇取得率は、有給休暇を付与されてから1年以上経過した従業員のみを対象として集計しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項については、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。
当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと、代表取締役CEOを委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。
当社グループの事業拠点は、本社所在地である東京港区に位置しております。そのため、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模災害が発生した場合、本社の損壊や停電、交通・通信・物流といった社会インフラの混乱及び途絶、さらにクライアントの被災等により、業務の停止等の影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、自然災害や大規模火災等の緊急事態に備え、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のためのガイドライン策定及び当該ガイドラインに基づく体制構築に努めております。しかしながら、不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループの売上について、取引額上位10社の合計販売比率(最近連結会計年度における連結売上高に占める割合)は、売上高全体の68.0%を占めています。特に、最近連結会計年度においては、株式会社NTTデータとの取引金額が売上高全体の33.8%を占めており、特定のクライアントへの依存度が高い状況です。
当社グループでは、特定のクライアントへの依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めてまいります。しかしながら、特定のクライアントにおける経営方針や業績の変化、景気の影響により、契約が予期せず短期間で終了した場合や、取引規模の縮小を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのコンサルティングサービス事業は、大手コンサルティング会社と競合する可能性が高く、当社グループの優位性をクライアントに対して十分に訴求できない場合、売上の減少等、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、厳選採用による優秀な人材の確保と、プラクティス活動(注)を通じた専門性強化を組織的に仕組化して実施することにより、コンサルティングサービスの品質向上を継続的に推進し、競争力の確保に努めています。また、営業部門の拡充により積極的な営業活動を展開し、新規顧客の獲得に注力するのみならず、既存顧客との関係の深化にも努めてまいります。
(注)プラクティス活動とは、OnePoolの組織を維持しつつ、System Transformation(DX)、Green Transformation、Health Careなど、クライアントのニーズが高いテーマの研究開発や営業活動を行う取り組みです。
当社グループは、人材を最重要経営資源と位置付けており、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持つ優秀な人材の継続的採用及び育成が重要であると考えております。しかしながら、コンサルティング業界における人材獲得競争により、優秀な人材の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、さらにはクライアントに提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、1Day選考会、リファーラル採用強化等の母集団形成施策に加え、採用オペレーションの迅速化・高度化に取り組むことで、包括的な採用力の向上を図っております。さらに、従来の新卒入社研修に加え、コンサルティング業務未経験の中途入社者向けの研修を拡充し、早期の戦力化を促進しております。
また、人材流出の抑制策として、高い労働対価の提供と、それを維持するためのビジネスモデルや利益率のモニタリングを継続的に行っております。加えて、社員のエンゲージメント向上と定着率強化に取り組むことで、優秀な人材の流出防止に努めてまいります。
当社グループでは、事業運営に際してパソコン及び携帯端末の利用が不可欠でありますが、従業員に貸与しているすべての端末についてウィルス感染や不正アクセスのリスクに常にさらされております。万が一、不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入により多くの端末が使用不能となった場合、あるいは情報漏洩や作業環境の崩壊が発生した場合には、事業運営に重大な支障をきたす可能性があります。さらに、これらの事象により信用力の毀損が生じた場合、経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。
このリスクへの対応として、当社グループでは、すべての端末にセキュリティソフトを導入し、中央集権型管理を実施しているほか、私用デバイスのアクセスを制限するシステムツールの導入を進めることで、これらのリスクの低減に努めております。また、ISO27001規格に準拠し、情報セキュリティに関する規程を整備するとともに、各種セキュリティ管理策の実施や従業員への研修・モラル教育等を通じて、情報セキュリティインシデントの未然防止に取り組んでおります。さらに、インシデント検知及び発生時の対応力強化に努めております。
当社グループのコンサルティングサービスの提供において、個人情報を取り扱うことがあります。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の毀損や対応費用の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に個人情報の管理について指導・教育を行っております。
・機密情報の管理について
当社グループのコンサルティングサービスでは、クライアント先においてクライアントの経営課題を解決するための支援に従事しており、機密性の高い情報を取り扱っております。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の毀損や対応費用の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対応するため、役員及び従業員に対して、入社時及び定期的に機密情報の取扱について指導・教育を行っております。
b.訴訟および紛争について
当社グループは、クライアントと契約を締結する際に、事前にトラブル時の責任分担を取り決める等、過大な損害賠償の請求をされないようリスク管理を行っております。また、専門職業人賠償保険等に加入し、高額な損害賠償リスクの低減に努めております。
しかしながら、契約時に想定していないトラブルの発生等が生じた場合、クライアント等との何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年12月25日に旧株式会社ライズ・コンサルティング・グループの株式の過半数を取得しており、のれんを計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映していると判断しておりますが、収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上することとなります。なお、日本基準では、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しております。
当該リスクの対策として、経営成績の定期的なモニタリング、優秀な人材の採用・育成、新たな領域への展開を進めることで、収益性の向上に努めてまいります。しかしながら、これらの対策が計画通りに進まず当該のれんに係る減損損失を計上する場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、のれんの減損テストについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非金融資産の減損」に記載しております。
当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末(2025年4月30日)現在、新株予約権による潜在株式数は386,950株であり、発行済株式総数24,682,040株の1.57%に相当しております。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における我が国の経済は、企業の設備投資や個人消費の持ち直しにより、経済活動は緩やかに回復の動きが見られました。しかしながら、海外情勢に伴う世界的な各種物価の上昇や為替相場の大幅な変動、米国新政権の通商政策による日本経済への影響等、我が国の経済を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
このように激しく変化する市場環境に対応すべく、日本の各企業は、ビジネス機会の創出や更なる企業価値向上を目指すための積極的な取り組みを行っており、企業活動へのコンサルティング支援に対する需要は今後さらに高まっていくものと考えられます。
そのような状況下、当社グループでは、創業以来の強みとしている戦略策定から実行支援に至るまで一貫して顧客に深く入り込み、伴走型で課題解決に挑むスタイルのコンサルティングサービスを軸として、様々な業界に対し、戦略策定、業務改革、IT導入、DX推進等、あらゆる側面からの支援を行ってまいりました。加えて、当社の創業以来からの強みを継続させながら、当連結会計年度は「人材獲得」と「案件獲得」をさらに推進していくことを成長戦略とし、新たな取り組みを始めました。
まず、「人材獲得」面においては、ROIを意識しつつも積極的なエージェントの活用や1Day選考会(注1)の実施回数の増加等、採用への投資を拡大し、優秀な人材の厳選採用をこれまで以上に強化してまいりました。その結果、期末時点における在籍コンサルタント数は、期初計画を上回る286名となりました。
また、「案件獲得」面においては、中長期的な成長を維持するため、新規開拓に特化した部署(ビジネスディベロップメント部)の設立やプラクティスを起点とした営業活動の本格化等の活動を行った結果、新規案件開拓数が増加し、将来の大口顧客となりうる取引先の獲得が順調に進みました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は7,679,866千円(前年同期比 24.8%増)、営業利益は1,958,460千円(前年同期比 8.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,418,334千円(前年同期比 7.8%増)となりました。
なお、当社グループは、コンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
(注1)1日で面接プロセス(1次面接、最終面接)を完了する選考会
(資産)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて678,794千円増加し、9,200,725千円となりました。
流動資産は714,730千円増加し、3,564,451千円となりました。主な要因は、売上の増加等に伴う現金及び現金同等物の増加566,714千円、営業債権及びその他の債権の増加125,907千円であります。
非流動資産は35,936千円減少し、5,636,274千円となりました。主な要因は、減価償却に伴う使用権資産の減少51,629千円であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べて479,817千円減少し、2,886,045千円となりました。
流動負債は82,951千円増加し、1,531,757千円となりました。主な要因は、その他の流動負債の増加94,318千円であります。
非流動負債は562,768千円減少し、1,354,287千円となりました。主な要因は、返済等による借入金の減少511,652千円であります。
(資本)
当連結会計年度末の資本につきましては、前連結会計年度末に比べて1,158,611千円増加し、6,314,680千円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益1,418,334千円の計上、自己株式の取得等による自己株式の増加277,312千円であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて566,714千円増加し、2,459,288千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、1,447,943千円(前年同期は1,225,605千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期利益1,908,614千円(前年同期は1,779,791千円)によるもの及び法人所得税の支払額554,646千円(前年同期は408,519千円)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、16,519千円(前年同期は1,548千円の支出)となりました。これは主に長期前払費用の取得による支出12,370千円(前年同期の支出はありません)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、864,710千円(前年同期は483,577千円の支出)となりました。これは主に借換えに伴う長期借入れによる収入1,595,790千円(前年同期の収入はありません)及び借換え等に伴う長期借入金の返済による支出2,128,230千円(前年同期は532,440千円の支出)であります。
当社グループは、生産活動を行っていませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
当社グループは、受注生産を行っていませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
当社グループは、コンサルティング事業の単一セグメントであり、前連結会計年度及び当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における販売高増加の主な要因は、コンサルタントの増加に伴う業容拡大によるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。経営者は、これらの見積りを行うに当たり過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって特に重要と認識しているものは以下のとおりであります。
(非金融資産の減損 のれんの減損テスト)
当社グループは、のれんについて、毎期末又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。減損テストにおいて、資金生成単位の回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。
使用価値は、経営者が承認した5年以内の事業計画のうちのれんの資金生成単位である株式会社ライズ・コンサルティング・グループに係る係数を基礎とし、その後の成長率は同業他社の長期成長率等を加味して検討を行い、算出が困難な場合は保守的に0%と仮定して計算した将来キャッシュ・フローの見積額を、現在価値に割り引いて算定しております。この事業計画は、コンサルタントの人員計画及びコンサルタントの稼働率等を計画に基づいて見積り、過去の実績及び外部環境とも整合性を取ったうえで策定しております。
使用価値の測定で使用した割引率は、税引前加重平均資本コストを基礎に、外部情報及び内部情報を用いて事業に係るリスク等が適切に反映されるよう算定しております。
当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
(売上収益)
売上収益は、7,679,866千円(前年同期比24.8%増)となりました。これは主に、新たなコンサルタント(新卒含む。)の採用、充実した研修や適切なフォローアップによるコンサルタントの早期戦力化に加え、営業活動により稼働対象コンサルタントの稼働率(稼働コンサルタント数(工数)÷稼働対象コンサルタント数(工数))が通期で約90%となったことにより、コンサルティング事業の収益が好調に推移したことによるものであります。
(営業利益)
営業利益は1,958,460千円(前年同期比8.5%増)となりました。これは主に、売上収益が大幅に拡大した一方で売上総利益率はほぼ前年と同水準を維持したことによるものであります。なお、売上原価及び販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費の合計は64,314千円(前連結会計年度比10.7%減)であり、EBITDAは2,022,774千円(前年同期比7.7%増)であります。
(税引前当期利益)
税引前当期利益は1,908,614千円(前年同期比7.2%増)となりました。これは主に、借換に伴う借入費用の増加等による金融費用が25,077千円増加したものの、営業利益が増加したことによるものであります。
(当期利益)
当期利益は1,418,334千円(前年同期比7.8%増)となりました。これは主に、順調な収益拡大およびコンサルタントの高稼働率の維持により営業利益が増加したことによるものであります。
b.財政状態
財政状態の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
(a) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(b) 財務政策
当社グループの資金需要のうち主なものは、コンサルタントの人件費等の営業費用であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより大部分の運転資金の確保が可能です。自己資金を中心としながら、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としておりますが、今後の資金需要の額や使途に合わせて資金調達方法は柔軟に検討を行う予定です。
なお、直近連結会計年度末において、現金及び現金同等物は2,459,288千円であり、十分な資金の流動性を確保しております。
d.経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析
経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、稼働対象コンサルタント人員数、稼働対象コンサルタント平均単価(月額)、稼働対象コンサルタント稼働率を経営指標として重視しております。
・稼働対象コンサルタント人員数:当社グループにおいては、人材が最重要経営資源であり、各企業のニーズに応えたコンサルティング業務を推進し、更なる事業の拡大を図るためには必要な人員数の確保が重要であると考えております。したがって、稼働対象コンサルタント人員数の情報は、当社グループの経営資源の指標として、有用かつ必要であると考えております。
・稼働対象コンサルタント平均単価(月額):稼働対象コンサルタント人員数の拡大に加え、より単価の高い重要経営課題に対応するサービスを受注することが、当社グループの成長には欠かせないと考えております。したがって、一人当たりの平均単価である稼働対象コンサルタント平均単価(月額)の情報は、コンサルティングサービスの品質の評価に係る指標として、有用かつ必要であると考えております。
・稼働対象コンサルタント稼働率:コンサルティング事業においては、コンサルティングサービスの需要に応じた最適な資源配分が重要な経営戦略となります。したがって、稼働対象コンサルタントの稼働率の情報は、足元の需要の変化と当社グループの経営資源のバランスを把握する指標として、有用かつ必要であると考えております。
各指標の実績等は以下のとおりであります。
稼働対象コンサルタント人員数は、積極的な採用活動により、前期を大幅に上回る257.7人となりました。
稼働対象コンサルタント平均単価(月額)は、昨年度改定した新単価が順調に定着し、前期と同水準の2.6百万円となりました。
稼働対象コンサルタント稼働率は、企業のニーズに応えたコンサルティングサービスを継続して提供している結果、高い水準で安定的に推移していると認識しております。営業活動やクライアントからのニーズが高いテーマの研究開発に取り組んだ結果、91%の着地となり高い水準を維持しております。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
f.経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。
(1)金銭消費貸借契約
当社は、2025年2月19日開催の取締役会決議に基づき、資金の借入(借換え)により、借入金利が圧縮されることに伴い、利息負担の軽減を目的として、以下のとおり金銭消費貸借契約を締結しております。
(2)資本業務提携契約
該当事項はありません。