当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針および経営戦略等
当社グループは、「私たちは、明日の笑顔のため、全ての人に愛と感動と勇気を与えます。私たちは、使う人が幸せを感じる、また心が豊かになる製品創りを目指します。」という経営理念のもと、介護用品および福祉用具の開発・製造・販売を通じて、高齢者の生活の質(QOL)向上と持続可能な社会への貢献を目指しています。
2025年2月期よりスタートした中期経営計画においては、激しく変化する外部環境や介護業界の構造変化を踏まえ、以下の3方針を中核に据えて事業を推進してまいりました。
①既存事業の変革と拡大
高齢者人口の増加とニーズの多様化に対応するため、製品の差別化と用途別提案力の強化を進めています。2024年3月には、駐車ブレーキ操作が不要な新機構を搭載した新型歩行車「ジスタ/Zista」を発売し、安全性と操作性を兼ね備えた革新的モデルとして高い評価を得ました。また、杖・シルバーカー・入浴補助具といった周辺製品のラインナップも強化し、生活全体を支えるトータル提案を推進しています。加えて、介護保険レンタル市場に加え、ECや量販店を通じた自費購入層への展開も強化し、販売チャネルの多角化と市場対応力の向上を図っています。EC領域では、商品構成の見直しや導線改善を通じて収益性の改善にも取り組んでおります。
②業務の効率化
属人化しがちな業務の標準化を推進し、稟議フローや形骸化した業務の見直しを通じて、意思決定の迅速化と業務負荷の平準化を実現しています。あわせて、働きやすい職場づくりにも注力しており、当期は残業時間が前年比34%削減、有給休暇の取得率は75%に達するなど、制度と意識の定着が進みました。
さらに、本社社屋の改装を通じて部門間の連携を強化し、動線の最適化やリフレッシュスペースの新設により、生産性と創造性の向上を図りました。物流面でも在庫や輸送効率の最適化を進めるとともに、生産体制においては海外拠点での一部内製化による設計・品質管理体制の強化を図っています。
③ブランド価値の再設計
福祉用具に対する「医療的・高齢者的」な固定観念を打破すべく、2024年4月に新ブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げました。第一弾の「前押しカート」は、滑らかなフレーム設計や直感的な操作性を備えた製品として登場し、日常の生活に自然と馴染む“生活道具”として好評を得ています。
AURULAでは、年齢や身体状況にかかわらず、自分らしさを大切にするすべての方に向けた製品づくりを志向しており、感性価値と機能性を両立したプロダクト開発を通じて、当社の存在価値そのものを再定義する取り組みを推進しています。
以上の取り組みを通じて、当社グループは「生活価値創造企業」としての進化を目指し、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
(単位:百万円)
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2025年2月期 実績 |
2026年2月期 業績予想 |
2026年2月期 目標 |
2027年2月期 目標 |
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売上高 |
6,368 |
6,500 |
6,954 |
7,232 |
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営業利益 |
797 |
700 |
1,076 |
1,242 |
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経常利益 |
827 |
700 |
1,066 |
1,232 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
616 |
500 |
688 |
797 |
(注)2026年2月期の業績予想は、2025年4月14日に公表した「2025年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)」に基づいています。
(3)経営環境
今後の経営環境につきましては、景気の持ち直しに対する期待がある一方、マイナス金利政策の解除に伴う金融政策の転換、円安の継続、エネルギー・物流コストの高止まりに加え、中東地域の地政学的リスクなど、今後も不透明な状況が続くものと予想されます。
介護業界においては、高齢化社会の進展により歩行補助用具や入浴関連製品などの需要は堅調に推移する一方、介護人材不足の深刻化に伴い、製品にはより高い「使いやすさ」や「安全性」「デザイン性」が求められる傾向が強まっております。
このような環境の中、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与できる社会の構築を目指し、グループ一丸となって邁進してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、永続的な発展のための礎となる経営基盤の強化と確立に向けて、以下の事項を重要な経営課題と認識し、今後、取り組んでまいります。
①製品・販売チャネルの拡大
当社グループは、歩行補助具を主力に自費市場での展開を進めてきました。近年では、介護保険対象の入浴補助具や住宅改修用製品にも領域を広げ、製品ラインナップの拡充を図っています。
2024年3月に発売した新型歩行車「ジスタ/Zista」は、簡便な操作性と高い安全性を両立した革新的製品として市場の評価を得ており、生活動線全体を支える提案型展開の中核となっています。また、介護保険レンタルに加え、EC・量販店を通じた自費市場向けの販売も強化しており、価格帯や用途に応じた販売戦略を展開しています。
今後も製品群の最適化と販売チャネルの多様化を進め、事業領域の拡大と収益基盤の強化を図ってまいります。
②シニア関連サービスの拡充と開発力の強化
当社グループは、ECおよび福祉用具貸与サービスを通じて、シニアの生活を支える体制を構築しています。EC事業では利便性と収益性を両立し、貸与事業では地域密着型のサービス提供により顧客基盤を強化しております。こうした現場の声を迅速に製品開発へ反映できることは、当社の強みです。高齢者の多様なニーズに応えるには、「機能性」だけでなく「使いやすさ」や「デザイン性」も重要であり、今後も製販レンタルの連携強化と人材育成を通じ、ユーザー起点の開発力を高めてまいります。
③品質管理体制の強化
当社グループでは、設計プロセス、開発プロセスさらに生産プロセスにおけるすべての品質管理体制の見直しを適時に行うことにより、安心・安全かつ高品質を担保するため、不良率の低減に向けた品質管理体制の構築に取り組んでまいります。
④生産管理体制の強化
東莞幸和家庭日用品有限公司(当社連結子会社)において、部材等の調達原価の低減、生産工程内での不良率の低減および当社からの発注予測情報(フォーキャスト)の共有による生産リードタイムの短縮など、効率的な生産管理体制の強化に取り組み、製品の安定供給に努めてまいります。
⑤組織機能の向上および人材の育成
当社グループは、持続的な企業価値の向上を図るため、また、あらゆる経営課題を克服するためにグループ内の組織機能の関連性を強化し、継続して向上させることが課題と認識しております。当社グループはこれらの組織機能を支える重要な要素である人材について、かねてよりOJTや社内外の研修を通じてその育成に努めております。また、将来を担う人材への職場環境として、労働環境の見直し、残業時間の削減、有給取得率の向上等、人的資本への投資を積極的に実施しております。今後も経営環境の変化に対して機動的に対応できる人材の確保および育成は、継続的な課題であると認識しております。社員一人ひとりの基礎力強化、教育体制の整備を推進し、人材育成に努めてまいります。
当社グループは、「私たちは、明日の笑顔のため、すべての人に愛と感動と勇気を与えます。私たちは、使う人が幸せを感じる、また心が豊かになる製品創りを目指します。」という経営理念のもと、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。当社グループの持続的な成長が社会の持続的な発展に寄与するとの信念のもと、顧客、取引先、従業員、株主をはじめ、地域社会や環境との良好な関係を構築・維持し、サステナビリティを重視した経営を実践しております。
(1)ガバナンス
当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「
(2)戦略
サステナビリティ経営の一環として、人的資本の強化を重要な経営戦略と位置付けています。
当連結会計年度は、従業員の働きやすさを高める職場環境整備が進み、残業時間は前年から34%削減、有給取得率は75%に達するなど、制度と意識の両面での成果が表れました。また、業務の標準化や稟議フローの見直しにより、属人性の排除と意思決定の迅速化を図ったほか、本社社屋の改装により部門間連携向上やコミュニケーションの活性化を実現しました。これらの取り組みは、従業員の働き甲斐や創造性の向上に寄与しており、ひいては当社の競争力向上につながっています。
さらに、2024年4月に新ブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げ、「高齢者が使うもの」という固定概念を超えた製品を展開することで、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現に貢献するブランド戦略を進めています。これは、サステナビリティを「人と社会の多様性への配慮」として体現するものであり、製品・ブランドを通じた社会的価値創出にも取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループでは、取締役会および経営会議を中心にリスクの特定と対処方針の策定を継続的に行っており、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受ける体制を整備しています。内部監査部門および監査等委員会による監査活動を通じて、法令遵守体制とリスク感度の向上を図っております。
また、従業員の健康と安全に配慮し、安全衛生委員化を開催するなど、快適で安心な職場環境整備に向けた活動も継続しております。
(4)指標及び目標
当社グループにおいては、サステナビリティに関する取り組みを統括する専門組織は設置していないものの、人材育成や社内環境整備を中心としたテーマについては、継続的に社内会議体で協議・進捗管理を行っております。
当連結会計年度においては、残業時間が前年から34%削減、有給取得率75%という実績を達成し、今後も働きやすさや従業員満足度を客観的に把握できる指標の整備を検討しています。また、ブランド戦略や新製品開発を通じて、当社製品が社会課題の解決に資することを定性的・定量的に評価できるよう、ESG視点での目標設定も今後の課題と捉えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
ただし、以下の事項は当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測の難しい事業等のリスクが存在するものと考えられます。また、そのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示を行うという観点から記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループの予測に基づいて判断したものであります。
(1)生産体制に関するリスク
当社グループの生産体制は、当社が企画・開発した製品を生産子会社である東莞幸和家庭日用品有限公司で量産する体制を敷いております。当社グループは高品質と安全性の確保に重点を置き、中国の生産子会社での生産を今後も継続する方針であります。
しかしながら、当社グループが生産活動を行う海外における政治または法環境の変化、労働力の不足および人件費の高騰、ストライキ、物流網の混乱、経済状況の変化など、予期せぬ事象により生産設備の管理やその他の事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
従いまして、これらの事象が発生した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)製品の欠陥および製造物責任に関するリスク
当社グループは、生産子会社である東莞幸和家庭日用品有限公司およびその他の協力工場において、一般財団法人製品安全協会のSG基準(製品安全規格)や工業標準化法に基づく国家規格のJIS(日本工業規格)および国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001に従って製品の品質向上に努め、各種製品の製造および商品の仕入を行っております。
しかしながら、すべての製品や商品について欠陥が発生しないという保証はなく、当社グループが加入している製造物責任賠償に係る保険についても、最終的に負担する賠償額を十分に補うことを保証するものではありません。万一、製品の欠陥が発生した場合や顧客の安全のために大規模なリコールを実施した場合には、多額の損害賠償や製品回収費用を当社が負担するだけではなく、当社ブランドが著しく毀損し、売上高の減少につながることが考えられます。このような場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)介護保険制度に関するリスク
当社グループが行っている事業は、介護保険制度に大きく影響を受けております。
社会の高齢化の進展にともない、介護を必要とする方の増加が見込まれておりますが、少子化・核家族化などにより家族だけで介護を支えることは困難な状況にあります。「介護保険制度」は、こうした状況を背景に、介護を必要とする状態となっても安心して生活が送れるよう、介護を社会全体で支えることを目的として2000年4月からスタートしたものです。
介護保険制度は、加入者が保険料を負担し合い、介護が必要なときに認定を受け、必要な介護サービスを利用する制度です。その介護保険の実施主体は市町村となっており、保険者として保険料と公費を財源として、介護保険事業を運営しております。介護保険制度の加入者(被保険者)は、年齢により第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳~64歳の方で医療保険に加入されている方)に区分されており、第1号被保険者の方は原因を問わず、また、第2号被保険者の方は、加齢による病気(特定疾病)が原因で介護や支援が必要となった場合に要介護認定を受け、それぞれの要介護状態に応じたサービスを利用することができます。
この介護保険制度で受けることのできるサービスの一つに「福祉用具の貸与(レンタル)および購入」があり、要介護認定を受けた被保険者は、「福祉用具の貸与(レンタル)および購入」を1割(2割)の自己負担で利用することができます。当社グループの介護保険制度に依拠する売上高は、介護用品・卸売事業者等を対象とする営業部の売上高2,468,254千円および介護サービス事業94,176千円の合計2,562,430千円となっており、売上高構成比で40.2%を占めております。このため、要介護認定を受ける被保険者の範囲、介護保険の適用となる福祉用具の範囲や利用者の負担率が変更されることで需要動向が変化し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替変動に関するリスク
当社グループは、取扱製品および商品の輸出入取引を行っており、それらに係る外貨建金銭債権および債務について、為替相場の変動リスクを有しております。間接的な影響を含め、これらを排除することは困難であるため、為替相場の変動が当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの輸出入取引は、アジアを中心とした複数の国々との間で行われており、今後もその取引は継続されていくため、各国の経済情勢の変化および災害の発生等にともなう輸出入環境の変化が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定の取引先への依存についてのリスク
当社グループの販売先のうち、主たる取引先であるパナソニックエイジフリー株式会社に対する販売割合が2025年2月期連結会計年度において20.6%を占めております。
当社グループでは、上記取引先と良好な取引関係を継続する方針でありますが、特定取引先に過度に依存しないよう、新規取引先の開拓に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、上記取引先の当社に対する取引方針如何によっては、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料の価格高騰のリスク
当社グループの製品の主な原材料は、アルミパイプおよび樹脂などになります。これらの原材料は資源価格の変動リスクに晒されており、不測の資源価格高騰により原材料コストの上昇が発生し、販売価格への転嫁が遅れる場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)物流コストの高騰リスク
当社グループの商品および製品の大半は海外からの輸入となっており、販売先への納品についても物流業者へ委託を行っております。このため、燃料の高騰や人件費の高騰などにより物流コストが急激に上昇した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)研究開発についてのリスク
当社グループは、従前より市場ニーズの変化に対応した新しい機能性製品の研究開発を推進しております。このため、市場ニーズが当社グループの想定を大きく超えて変化した場合や、市場ニーズに合った開発品を適時に製品化できない場合、当初の想定を超えて研究開発費が大きく増加した場合には、研究開発投資を回収できないことにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害や感染症等に関するリスク
当社グループは、火災や台風、地震といった災害に備え、建物・機械設備・製品等の資産に対し損害補償を行う「企業財産総合保険」に加入しておりますが、大規模な自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、また、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等の感染症が想定を大きく超えた規模で発生および流行した場合に、当社グループの拠点設備が大きな被害を受け、操業が一部中断、停止し生産および出荷が遅延する可能性があり、被害を受けた設備等の修復のため、多額の費用が発生するなど、当該災害や感染症等が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権についてのリスク
当社は、新製品の開発時に創出された知的財産権を有しております。これら知的財産権は重要な経営資源の一つであると認識しており、知的財産権の保護、知的財産権にからむ紛争の回避は重要な経営課題であります。
しかしながら、当社の知的財産権が、第三者により無効とされる可能性、特定の地域では十分な保護が得られない可能性や知的財産権が模倣される可能性もあり、当該知的財産権が完全に保護されないことによって、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社では総務部が知的財産権を一元的に管理しており、事前に調査を行っておりますが、結果として第三者の特許を侵害するに至った場合や、その他知的財産権に係る紛争が発生した場合は、当社グループの製品の生産および販売の制約、損害賠償金の支払が発生等、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)固定資産の減損についてのリスク
当社グループは、建物や製造設備等の有形固定資産を保有しており、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、今後、大幅な企業収益の悪化や不動産価格の下落等があった場合には減損損失が発生し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)潜在株式による株式価値の希薄化についてのリスク
当社グループは、取締役および従業員の士気向上や優秀な人材の確保等を目的として、新株予約権を付与しております。2025年2月期連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は23,760株であり、発行済株式総数5,025,970株に対する割合は0.5%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報セキュリティおよびサイバー攻撃に関するリスク
当社グループでは、外部専門機関との連携による監視体制の構築、バックアップ体制の構築、セキュリティ対策の強化など取り組んでおりますが、サイバー攻撃や不正アクセスに対し、完全な防御策を講じることは困難であり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績および財政状態の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、マイナス金利政策の解除に伴う金融政策の転換や円安の継続、エネルギー・物流費の高止まり、さらに中東情勢の緊迫化などにより、引き続き不透明な外部環境に置かれました。定額減税等による一時的な消費刺激も見られましたが、物価上昇と実質賃金の伸び悩みが影響し、個人消費の回復は限定的にとどまりました。
介護業界においては、高齢化の進行により歩行補助具や入浴関連製品の需要は堅調に推移しております。一方、介護人材不足や生産性向上への要請が高まっており、製品には「使いやすさ」「安全性」「デザイン性」への期待が一層高まっております。
このような状況の中、当社グループは、2025年2月期よりスタートした中期経営計画に基づき、「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3方針を柱に各種施策を推進いたしました。
「既存事業の変革と拡大」
当社の中期経営計画における根幹は、歩行車・シルバーカーをはじめとする介護用品・福祉用具領域の競争力強化と、事業構造の高度化にあります。既存市場の成熟化が進む一方で、高齢者人口の拡大と多様化により、製品の差別化と細分化されたニーズへの対応が急務となっております。こうした認識のもと、2024年3月に新型歩行車「ジスタ/Zista」を発売しました。本製品は、駐車ブレーキ操作を不要とした新機構を搭載し、利用者の操作ミスや負担を軽減するとともに、安全性の向上と簡便な操作性を両立した革新的なモデルとなります。高齢者ご本人だけでなく、介護者や販売事業者からも高く評価され、業界のスタンダードを塗り替える製品として確かな手応えを得ており、加えて、杖・シルバーカー・入浴補助具といった製品群のラインナップ拡充も強化しております。これにより、利用者の生活動線に即したトータル提案が可能となり、「個別製品の供給」から「生活の支援」へと、当社の事業提供価値は着実に広がっています。販売チャネルについても多角化を進めており、介護保険制度を活用したレンタル市場に加え、ECや量販店など自費購入層への訴求も強化しております。製品の価格帯や使用目的に応じたマーケティングを展開し、需要の細分化に的確に対応する戦略を推進し、特にEC分野では、製品構成や価格体系の見直しや購入導線の改善などにより、収益性の向上と顧客利便性の両立を図っております。
「業務の効率化」
業務の効率化は、当社が中期経営計画において重視する重要施策の一つです。変化の激しい経営環境において、業務のスピードと品質の両立、そして働きやすさを追求する体制の構築が、企業としての持続可能性と人材競争力の源泉になると考えています。社内業務においては、属人化しやすい手続きや判断業務を中心に標準化を推進しております。特に、稟議フローの見直しや形骸化した業務の整理を進めることで、意思決定プロセスの迅速化と、実態に即した業務運用の最適化に取り組んでおります。これにより、業務負荷の平準化やボトルネックの解消が進み、突発的な業務にも柔軟に対応できる体制づくりが進展しています。
労働環境面では、残業時間の削減と有給休暇の取得促進に継続して取り組んでおり、当連結会計年度では残業時間が前年から34%削減、有給取得率は75%と、制度運用の定着と意識の定着が成果として表れました。また、年間休日数の見直しも行い、従業員のワークライフバランスの向上に努めています。これらの取り組みは、従業員満足度の向上だけでなく、採用市場における当社の競争力強化にもつながっています。
加えて、本社社屋の改装を実施し、効率的な執務エリアの配置により部門間連携を促進しました。さらに、来客と従業員の動線を明確に分離することで、セキュリティと業務効率の両立を実現しました。新たに設置されたリフレッシュスペースは、従業員のコミュニケーションを活性化し、働きやすさや創造性の向上にも寄与しています。流通面では、製品在庫の適正化や輸送効率の見直しを通じて、保管コスト・配送コストの抑制に取り組んでおります。販売実績や出荷傾向の分析に基づいた在庫管理を行うことで、過剰在庫の防止と出荷対応の迅速化を両立しており、引き続き、需給バランスに応じた運用体制を整備してまいります。また、生産体制の一環として、海外自社拠点において一部製品の内製比率を高める取り組みも進めております。これは、設計・品質管理との連携強化や安定供給体制の確保を目的としたものであり、外部取引先との協調を維持しつつ、全体最適を志向した生産体制の再構築を図っています。
こうした一連の施策を通じて、当社は単なる“業務の削減”ではなく、価値を生み出すための時間・体制・環境を整備することを目指しております。今後も、業務品質とスピードの両立、そして人的資本の活性化を通じて、企業としての生産性を総合的に引き上げてまいります。
「ブランド価値の再設計」
当社グループでは、福祉用具に求められる基本的な機能性や安全性を前提としながら、使用者の暮らしや感性に寄り添った製品づくりを重視し、製品の総合的な価値向上に取り組んでおります。これまで福祉用具は“医療機器的”な無機質なデザインが主流でしたが、近年では使用者のライフスタイルや自立意欲に調和する「使いたくなる製品」への期待が高まっています。
こうした市場の変化を踏まえ、当社では2024年4月に新たなブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げました。AURULAは、「日常の背景のように自然に寄り添う」をコンセプトに、使う人の生活の中に違和感なく溶け込み、日常にさりげなく寄り添う存在でありたいという想いから生まれたブランドです。単なる道具としての福祉用具ではなく、使用者の気持ちや生活の風景を大切にする“生活道具”として、デザインと機能の調和を追求した製品群を展開しています。
ブランド第一弾として発売した「前押しカート」は、滑らかなフレーム設計や質感へのこだわり、直感的な操作性など、従来のカートとは一線を画すプロダクトです。生活空間や街並みに自然と馴染む佇まいを目指し、使用者が「持つことに誇りや安心を感じられる」デザインと使い心地を追求しました。これまでの延長線上にはない、新しい視点から開発された製品として、ブランドの象徴的な存在となっています。
また、AURULAは「高齢者が使うもの」といった従来の福祉用具の固定観念にも問いを投げかける存在です。年齢や身体状況にかかわらず、自分らしく生きるすべての人々の生活に自然と溶け込む製品を目指し、福祉用具の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えております。
現在、AURULAの世界観や価値を生活者に届けるための情報発信のあり方について、その方向性を明確にするべく取り組みを進めております。介護・福祉の枠にとらわれない表現や、顧客との新たな接点の可能性も視野に入れ、ブランド体験をより自然なかたちで伝えるための手法の整理を行っている段階です。AURULAの持つ思想や魅力を、使用者の視点に立って共感を呼ぶかたちで発信していくことが、今後のブランド浸透において重要なテーマであると捉えております。
今後は、AURULAの製品展開をさらに深めるとともに、歩行補助具の枠にとどまらない生活支援のあり方についても検討を進めてまいります。また、使用者の多様な生活スタイルや価値観に寄り添うべく、製品の設計や細部仕様における工夫を重ね、「選べる福祉用具」としての付加価値を高めてまいります。機能性と感性の両立を図りながら、“生活価値創造企業”への進化を目指してまいります。この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ71,221千円増加し、4,888,061千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ455,267千円減少し、1,883,293千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高6,368,477千円(前年同期比0.6%減)、営業利益797,366千円(前年同期比15.9%減)、経常利益827,510千円(前年同期比11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円(前年同期比13.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①介護用品・福祉用具製造販売事業
介護用品・福祉用具製造販売事業の当連結会計年度の売上高は、介護ルートが堅調に推移し、5,685,314千円(前年同期比1.1%増)となりましたが、円安の影響による仕入コスト等の増加により、セグメント利益は1,073,499千円(前年同期比6.6%減)となりました。
②介護サービス事業
介護サービス事業の当連結会計年度の売上高は、2023年12月に関東圏を中心とするレンタル事業を一部譲渡したことにより、94,176千円(前年同期比37.8%減)となり、セグメント損失は58,535千円(前年同期はセグメント損失12,618千円)となりました。
③EC事業
EC事業の当連結会計年度の売上高は、価格および製品群の見直し等の影響により、779,222千円(前年同期比3.4%減)となり、セグメント利益は54,730千円(前年同期比22.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,540,553千円となり、前連結会計年度末に比べ518,924千円増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は960,494千円(前年同期は742,057千円の獲得)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益929,744千円、減価償却費212,919千円等の増加要因が、未払消費税等の減少額60,208千円、法人税等の支払額276,621千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、38,484千円(前年同期は92,963千円の獲得)となりました。主な要因は、有形固定資産の売却による収入551,416千円等の増加要因が、有形固定資産の取得による支出317,500千円、定期預金の預入による支出147,245千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は549,822千円(前年同期は1,085,306千円の使用)となりました。主な要因は、短期借入金純減少額170,000千円、長期借入金の返済による支出72,288千円、自己株式の取得による支出146,922千円、リース債務の返済による支出126,987千円等の減少要因が、株式の発行による収入13,414千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
|
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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介護用品・福祉用具製造販売事業 |
2,062,793 |
104.5 |
|
介護サービス事業 |
- |
- |
|
EC事業 |
- |
- |
|
合計 |
2,062,793 |
104.5 |
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
2,184,946 |
96.8 |
|
介護サービス事業 |
60,165 |
68.3 |
|
EC事業 |
370,153 |
99.5 |
|
合計 |
2,615,264 |
96.3 |
(注)金額は実際仕入原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
③受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
1,278,332 |
132.5 |
212,121 |
144.8 |
|
介護サービス事業 |
- |
- |
- |
- |
|
EC事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,278,332 |
132.5 |
212,121 |
144.8 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
介護用品・福祉用具製造販売事業 |
5,495,078 |
100.9 |
|
介護サービス事業 |
94,176 |
62.2 |
|
EC事業 |
779,222 |
96.6 |
|
合計 |
6,368,477 |
99.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
||
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
パナソニックエイジフリー株式会社 |
1,065,861 |
16.6 |
1,312,099 |
20.6 |
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、「重要な会計方針および見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.売上高および売上総利益
2024年3月に新商品「ジスタ/Zista」を販売し、当社の主力カテゴリーである歩行関連商品の出荷が堅調に推移した結果、売上高は6,368,477千円(前期比0.6%減)となりました。利益面では、円安の影響による仕入コスト等の増加により、売上総利益は2,824,614千円(前期比4.3%減)となりました。
b.販売費及び一般管理費および営業利益
運賃をはじめとする物流費高騰などの影響を受け、販売費及び一般管理費が22,642千円増加した結果、2,027,248千円となり、営業利益は797,366千円(前期比15.9%減)となりました。
c.営業外損益および経常利益
営業外収益として賃貸収入44,922千円、受取手数料10,861千円等を計上し、営業外費用として支払利息15,676千円および賃貸費用24,638千円等を計上した結果、当連結会計年度の経常利益は827,510千円(前期比11.7%減)となりました。
d.特別損益および当期純利益
特別利益としてリース解約益196,675千円および固定資産売却益61,943千円、特別損失として減損損失104,300千円、リース解約損49,419千円等を計上した結果、税金等調整前当期純利益は929,744千円(前期比4.6%減)となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は616,203千円(前期比13.3%減)となりました。
③財政状態の分析
a.流動資産
流動資産は、前連結会計年度末と比較して554,420千円増加し、3,849,238千円となりました。これは主に、現金及び預金666,170千円、流動資産のその他に含まれる未収消費税12,857千円等の増加要因が、商品及び製品109,274千円、受取手形及び売掛金5,787千円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
b.固定資産
固定資産は、前連結会計年度末と比較し483,199千円減少の1,038,823千円となりました。主な要因は、有形固定資産に含まれる建物及び構築物114,187千円、使用権資産200,598千円、土地259,400千円等の減少要因が、有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品67,191千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
c.流動負債
流動負債は、前連結会計年度末と比較し、217,031千円減少の1,818,561千円となりました。主な要因は、短期借入金170,000千円、リース債務83,670千円、1年内返済予定の長期借入金48,184千円等の減少要因が、支払手形及び買掛金182,647千円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
d.固定負債
固定負債は、前連結会計年度末と比較し、238,235千円減少の64,732千円となりました。主な要因は、長期借入金24,104千円、リース債務220,627千円等の減少によるものであります。
e.純資産
純資産は、前連結会計年度末と比較し、526,488千円増加し、3,004,767千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少146,922千円、配当金の支払いによる減少47,038千円等の減少要因が、親会社株主に帰属する当期純利益616,203千円、為替換算調整勘定58,231千円等の増加要因を下回ったことによるものであります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑧資本の財源および資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、2022年2月期に実施した公募増資と第三者割当による増資で得た資金および金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は393,502千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,540,553千円となっております。
(固定資産の譲渡)
当社は、2024年5月29日開催の取締役会において、当社子会社であります株式会社幸和ライフゼーションが固定資産を譲渡することについて決議し、2024年5月31日付で不動産売買契約を締結、2024年6月12日付で引き渡しが完了しております。
1.譲渡の理由
経営資源の効率的活用および財務体質の強化を目的としております。
2.譲渡資産の内容
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所在地 |
東京都江戸川区篠崎町7丁目423番9号 |
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土地面積 |
483.03㎡ |
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建物延床面積 |
806.24㎡ |
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現況 |
事務所 |
3.損益に与える影響
当該固定資産の譲渡に伴う売却益は、当中間連結会計期間において固定資産売却益として特別利益に計上しております。
(株式取得による企業結合)
2024年10月1日付でパーソンケア株式会社の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発活動は、福祉用具の総合メーカーとして、歩行支援、入浴支援、排泄支援等、様々な福祉用具を全方位に研究開発し、高齢者の方々が「幸せを感じ、心が豊かになる」価値の高い製品を数多く創り出すことを基本姿勢としております。
当社グループの研究開発活動は、国内では当社開発部で、国外では中国広東省東莞市において東莞幸和家庭日用品有限公司開発本部が担っております。
製品化にあたっては、主に次の四つのフェーズにおいて社内会議を経て推進しております。第一フェーズとして製品企画と開発スタートの承認、第二フェーズとして仕様決定と金型着工の承認、第三フェーズとして価格決定と量産の承認であります。そして、第四フェーズとして上市後の販売状況や顧客からのフィードバックを受けて検証を行い、次の開発に向けての参考としております。
当連結会計年度のグループ全体の研究開発費の総額は、
(介護用品・福祉用具製造販売事業)
当社グループでは、歩行支援分野における競争力強化を目的に、利用者視点に立った製品開発を推進しております。2025年2月期においては、既存の常識に捉われない発想で、より安全性と利便性を追求した新型歩行車「ジスタ/Zista」を市場投入いたしました。
本製品は、歩行車利用時におけるヒヤリハットの主因とされる「駐車ブレーキのかけ忘れ」問題に着目し、駐車ブレーキ操作を不要とする新機構を搭載。これにより、利用者自身や介護者の不安を軽減するとともに、操作負担を大幅に低減しました。開発にあたっては、実際の使用環境におけるヒヤリハット事例を分析し、人的要因・構造要因・生活環境要因それぞれに対する対策を施しています。
また、近年は単なる機能性にとどまらず、デザイン性やライフスタイルへの調和といった「感性価値」も重視される傾向にあり、当社グループではこれを重要な開発テーマと位置づけています。2024年4月には、日常に自然に寄り添うことをコンセプトとした新ブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げ、第一弾製品として「前押しカート」を発売いたしました。直感的な操作性、洗練されたデザイン、質感へのこだわりなど、これまでの福祉用具の枠を超える新たな提案を行っております。
今後も、加齢による身体機能や認知機能の低下を前提にしつつも、「できる限り自立した生活を続けたい」という利用者の願いに応えるべく、安全性、利便性、そして感性価値を兼ね備えた製品開発を進めてまいります。さらに、歩行補助具だけでなく、生活支援全般にわたる製品展開も視野に入れ、多様化するニーズに応えるイノベーションを推進してまいります。
当社グループは、製品開発を通じて高齢社会の課題解決に貢献し、福祉用具市場における新たなスタンダードを創出することを目指してまいります。
(介護サービス事業)
介護サービス事業においては、研究開発活動は行っておりません。
(EC事業)
EC事業においては、研究開発活動は行っておりません。