当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界を進める、一歩を。」を掲げ、製造業界の変革に取り組んでいます。社名に含まれる「プログレス」は進歩や前進、発展といった意味を持っており、私たちの企業姿勢を表現するものとなっております。
当社グループは製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化し、事業展開を行っております。製造業界のデジタル化や提供価値の向上を実現するためには、当該分野における変革が不可欠であると考えております。製品要求の多様化、技術の高度化が進む中、人的・技術的リソースが不足しているという課題を有しているメーカーに対し、当社グループは、メーカーが自社の強みである「コア技術」に注力出来る環境を実現するための「ニアコア技術」を提供しています。
「ニアコア技術」の領域は多岐に渡りますが、当社グループにおいては、「デジタルツイン」「xILS」「AI」「UX」「RPA」の5つをPT専門技術として定義し、技術レベルの向上やノウハウの蓄積、スペシャリストの育成を行っております。
当社グループは、提供する技術領域の専門性やメーカーへの提供価値により一層磨きをかけ、QCD(品質・コスト・納期)の改善とイノベーションの創出を実現していく方針です。
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PT専門技術 |
技術内容・当社グループの具体的な活用方法 |
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デジタルツイン |
自動車や半導体装置、精密機器などの現実に存在するものをコンピューター内でデジタルな「双子」として作り出し、その物体の動きや状態をデジタル上で観察やシミュレーションを行う技術。 |
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xILS |
x-In-the-Loop Simulationの略称。シミュレーションループ内にxを介在させることの総称であり、具体的にはモデル(MILS)、ソフトウェア(SILS)、ハードウェア(HILS)などが挙げられる。制御システムの開発を支援する技術であり、制御ロジックやアルゴリズムのテスト、ソフトウェアを組み込んだ検証、ハードウェア連携による実機に近い環境でのテスト実施などを行う。 |
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AI |
人工知能(Artificial Intelligence)の略称。当社グループの事業領域である設計開発プロセスにおいては、データ分析によるニーズ把握や分析、設計の最適化、シミュレーションによる不具合検出、製造工程の効率化、自動検査における品質管理等で活用される。 |
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UX |
ユーザー体験(User Experience)の略称。ユーザーの感情や体験を重視して製品を設計する方法を指しており、使いやすさや楽しさを追求し、ユーザー視点で機能やデザインを設計する技術。 |
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RPA |
ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略称。設計開発プロセスの自動化・効率化によって、手作業を減らして時間やコストを削減し、ヒューマンエラーを減少させて設計品質を向上させるための技術。 |
(2)経営戦略等
当社グループは、製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域と5つの技術領域というプロセスフェーズとテクノロジーの双方の領域において、特化する分野を設け、強みを磨き込むことで、お客様に高い価値を提供しております。製品開発プロセスのデジタル化や製造業のDXを実現する上で、現場である設計開発部門のみならず、プロセス改革部門やIT部門との連携を行うことは不可欠ですが、多くの企業が各部門に対してピンポイントソリューションの提供をするに留まっているというのが実情です。当社グループは設計開発現場を熟知したコンサルタントや技術プロフェッショナルが部門横断のワンストップソリューションを提供し、お客様の真の課題解決を実現している点が大きな差別化のポイントであると認識しております。
ワンストップソリューションを提供し、お客様の真の課題解決を行うという経営方針・経営目標を評価していくにあたり、連結売上収益に占めるソリューション事業の売上収益の割合(または連結売上収益に占めるソリューション事業及びデジタルツイン事業の売上収益の割合)である「ソリューション比率」を重要なKPIとして設定し、「ソリューション化」のスローガンの元、同比率の向上に取り組んでいます。(ソリューション比率は、2024年2月期は50.0%であったのに対し、2025年2月期では52.9%まで上昇しております。デジタルツイン事業を含む同比率は、2024年2月期は51.7%であったのに対し、2025年2月期では55.8%となっております。)
ソリューション事業の強化のための具体的な戦略として、以下の3つの事項を掲げています。
① メーカーのデジタル化のニーズへの対応とサービス提供先の業種の拡大
当社は日本の最先端技術が集積する「自動車」、「半導体」、「精密機器」、「医療」、「重工業」の5つの業界に対して、様々なソリューションサービスを提供しています。特に自動車業界は最先端デジタル技術を活用した製品開発プロセス改革へのニーズが旺盛であり、当社グループに対して、多くの取引先から様々な案件の引き合いをいただいている状況にあります。
自動車業界で蓄積したノウハウや技術力を活用し、それ以外の業界に水平展開を行うことで、安定的な顧客基盤の構築と事業リスクの低減、更なる知見の獲得を行う方針であり、既存顧客の取引深耕や新規顧客への営業活動に注力しております。
② 専門技術領域毎の組織体制の強化と人材の育成
お客様の真の課題を解決するためには、設計開発現場における課題発見、デジタル化を実現するための各種データや業務フローの整理、最適なデジタルツールや活用技術の選定、現場への落とし込みと伴走が不可欠であり、設計開発の実務経験とデジタル技術やデジタルツールに対する深い知見を有したコンサルタント・エンジニアが必要となります。
当社グループは、専門技術領域毎にお客様とエンジニアの架け橋としての役割を果たすソリューションアーキテクトやプロジェクトの責任者としてチームを纏めるプロジェクトマネジャーを配置するなど、組織体制の強化に注力することで、品質の高いソリューションを提供していく方針です。
また、人材の育成・定着化にも注力をしており、ソリューション化のための人事制度改革を行っています。具体的には、エンジニアを起点としたキャリアパスの明確化、評価・報酬制度の見直し、働きやすさ向上施策の実施等に取り組んでいます。また、新卒の技術者については入社6年間を目途としてエンジニアリング事業にて設計開発経験を積んだ後に、自らの志向に応じたプロフェッショナルロールを選択できるキャリアパスを設定しています。加えて、従前の人数や工数・それに紐づく売上高で成果を測る手法からソリューションの質やチームとしての価値提供をベースとした形に評価制度の変更を行っています。
③採用強化やグループ内異動によるソリューション人員の確保
当社グループの人材確保において、新卒採用は最も重要な手段であり、年間80名~100名程度の採用を継続しております。工学部等を卒業した理系人材で設計開発領域の仕事をしたいと考える人材を主なターゲットとし、大学等の教育機関とも連携しながら、採用活動を進めています。
また、グループ内異動として、エンジニアリング事業からソリューション事業へ年間50名~70名程度の人事異動を行っています。能力や経験を見極めつつ、早いタイミングでソリューション事業のプロジェクトに関わることで、個人の専門性のベクトルやキャリアプランを決定しやすくなるよう制度を運用しています。
前述の人事制度改革や給与水準の引き上げ、福利厚生制度の充実等により、従業員が安心して働くことの出来る環境づくりを進め、ソリューション人材のリテンション強化を図っております。
(3)経営環境
現在、製造業は「モノづくりからコトづくりへ」という言葉で表現されるように、極めて大きな変化の局面を迎えています。環境の変化に伴って、製造業の価値も従来の多機能・高品質・高性能の製品を安価に提供するという点から、製品を用いて如何にして消費者に新しい体験を与えられるかという点に重点が置かれるようになってきています。
製品ニーズの多様化、製品サイクルの短期化への対応が製造業にとっての生命線となる中、ドイツにおいては、産学官連携のプロジェクトとして「インダストリー4.0」が提唱され、スマートファクトリーを中心としたエコシステムの構築が目指されています。製造業全体をデジタル化することで、ニーズが多様化・複雑化する市場に対応していくこと企図し、既存のバリューチェーンの改革や新たなビジネスモデル構築に向けた取り組みが加速しています。日本国内においても、大手メーカーを中心に製造プロセスそのもののデジタル化による変革の必要性が強く認識されつつありますが、改革は道半ばの状況です。
インダストリー4.0は、AIを活用したスマートファクトリーなど、製造現場での変革という視点で語られる場面が多くあります。一方、当社グループでは、製造現場のデジタル化を進めるためには、バーチャルエンジニアリングに代表される上流工程である設計開発のデジタル化が前提になるものと考えております。設計段階で細やかな仕様を決定し、その後の検証・テスト・製造の段階における不具合を極力抑えながら、短いリードタイムで市場に製品を投入するという流れを作ることで、デジタル化を推進するメーカーの競争力を向上させ、ひいては日本の製造業のグローバルマーケットでのプレゼンスを向上させることが可能になると考えております。
日本のGDPにおいて製造業は全体の20.6%を占めており、市場規模は121兆円と日本経済を支える非常に大きな中心的産業です(注1)。一方で、デジタル化という観点で日本と米国を比較した場合、1995年対比で2020年の日本の民間ICT投資額は+95.5%である一方、米国は+1,579.3%と大きな差が生じております(注2)。グローバルマーケットにおける競争環境の変化の中、製造プロセスのデジタル化や業務改革を伴うIT投資の積極化が避けて通ることの出来ない課題として認識されてきています。
上記の認識の元、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要な経営課題として捉えており、製造DXの国内市場は2030年度には9,060億円の規模となり、2023年度対比約2.3倍の成長が見込まれております(注3)。
注1 出所:内閣府「2023年度(令和5年度)国民経済計算年次推計」
注2 出所:総務省(2024)「令和5年度 ICTの経済分析に関する調査」
注3 出所:富士キメラ総研 2024デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、更なる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。
① コンサルタント・エンジニアの採用・育成
当社グループは製造業の設計開発領域において様々なソリューションを提供しており、高度なデジタル技術や設計開発プロセスに関わる豊富な知見を有したコンサルタント・エンジニアを採用・育成していくことが、経営戦略を実行していく上で、極めて重要であると考えております。新卒採用・中途採用の強化を行うとともに、評価・報酬体系のブラッシュアップや専門性に応じたキャリアパスの設定、研修・教育体制の充実や働きやすい環境づくり等に注力し、コンサルタント・エンジニアの育成・定着化を図ってまいります。
② 技術力の向上、ノウハウ・ナレッジの蓄積
当社グループは国内トップメーカーに対して、製品開発プロセスの上流工程における様々なソリューションを提供しており、最先端技術のキャッチアップや新しい発想の元、既存の設計プロセスを改革することが必要となります。
また、特定の業種に限定せずにサービスを提供していることから、様々な設計開発現場におけるノウハウやナレッジを蓄積し、それらをお客様に還元する好循環を作り上げることが当社グループの成長を実現する上で重要であると考えております。
当社グループの特定技術領域である「デジタルツイン」「xILS」「AI」「UX」「RPA」を中心に、当該分野における技術レベルを向上させ、様々な業界の設計開発現場における経験やノウハウを組織として蓄積していくことで、お客様により高い品質のソリューションを提供し、当社グループの成長性・収益性を高めていく方針であります。
③ 組織体制の強化
当社グループは、事業成長を実現し、企業価値を向上させるためには、営業・技術・管理それぞれの組織体制を一層強化し、更なるオペレーションの効率化と内部管理体制の水準の向上を図っていく必要があると考えております。事業の成長スピードを制限することのない拡張性のある組織づくりと業務プロセスの構築、それらを実現することの出来る人材の採用と教育を重要な経営課題に据えて、取り組んでまいります。
④ 財務基盤の強化
当社グループは、現時点において財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、財務基盤の強化を図ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、主な経営指標として、連結売上収益成長率、連結売上高総利益率、連結営業利益率、ソリューション比率(連結売上収益に占めるソリューション事業の売上収益の割合、連結売上収益に占めるソリューション事業及びデジタルツイン事業の売上収益の割合)を重視しております。同事業は直近業績における売上高の成長ドライバーであるとともに、収益性の高い事業であることから、ソリューション比率の向上が当社グループの財務目標を達成する上で重要であると捉えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社グループは、コーポレートスローガンとして「世界を進める、一歩を。」を掲げ、製品開発プロセスの上流工程である設計開発領域に特化したメーカーへの新たな価値の提供と業界の変革に向けた取り組みを行っています。
最先端技術や多くの設計開発現場から得たノウハウ等を活用し、様々な業界のお客様のプロセス改革・デジタル化を実現することで、日本の製造業のグローバルマーケットにおけるプレゼンスを向上させ、当社グループの成長と社会全体の発展の2つの価値の最大化に取り組むことを当社グループにおけるサステナビリティの基本方針としております。
(2)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティの基本方針に基づき、地域社会との共生や人的資本を含むサステナビリティに関する重要事項について、取締役会で審議しております。
詳細は、「
(3)リスク管理
当社グループは、企業経営・事業継続に影響を及ぼす事業リスクの識別・評価・管理が課題であると認識し、適切な管理と対応を講ずるために、「コンプライアンス・リスクマネジメント規程」を制定・施行しており、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設け、運用しております。
当社グループのリスク管理体制の詳細は、「
(4)戦略
当社グループは、長期にわたり持続可能な社会への貢献と発展を実現させるためには、製造業の設計プロセス改革を担うことの出来るエンジニアを主とした人的資本投資が重要であると認識しております。プロジェクトを円滑に遂行するためのヒューマンスキルおよび設計開発領域の知見・技術の獲得、課題発見・解決のためのコンサルテーションスキルおよびデジタルツールを使いこなすためのテクニカルスキルの習得、技術革新のスピードへのキャッチアップなどを目的とし、集合研修の実施やオンラインツールの提供、実際の設計開発現場におけるOJTなど体系的な人材育成プログラムを実施しています。また、エンジニアのメンタルケアや業務に集中できる環境づくりを目的としたセクレタリー制度や専門性ごとに細分化されたキャリアパスなど、働きやすい・定着しやすい環境の構築を推進しています。
(5)指標及び目標
当社グループでは、人材の多様性確保のため、女性管理職の積極的な登用や外国人及び障がい者雇用の推進等に取り組んでおります。現段階では具体的に女性、外国人、中途採用者等の区分での管理職の構成割合や人数、障がい者の雇用率等の目標値は定めておりませんが、引き続きダイバーシティー&インクルージョンの取り組みを推進し、取締役会等の重要な会議体において、指標や目標の設定要否について検討していく予定です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済情勢について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの収益の大部分は、現時点で国内のメーカーへの役務の提供に依存していることから、当社グループのビジネスは、国内メーカーを取り巻く経済状況により影響を受ける可能性があります。国内メーカーの停滞、技術への投資の大幅な減少、又はその他の市場環境の悪化は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループの技術力や課題解決力を向上させることで、特定の業界や取引先に過度に依存しない体制を構築していく方針であります。
(2)技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループが手掛けるテクノロジー分野においては、技術革新や顧客ニーズの変化の速度が非常に早く、極めて激しい開発技術競争や販売競争が行われております。当社グループが予期しない技術革新や顧客ニーズの急激な変化への対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、常に最新の技術動向や市場動向を分析し、新技術や製品の研究開発に努め、製品サービスの競争力向上に取り組むことで、技術や顧客ニーズの変化に対応できるよう努めてまいります。
(3)他社との競合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは製品開発プロセスにおける設計開発領域に高い専門性を有し、デジタル技術を活用して設計開発プロセスそのものを企画するとともに、デジタルツールの選定や実装、運用定着までを担うワンストップサービスの提供に強みを有しております。今後の事業展開を通じて更なる競争優位性を構築していく予定ですが、当社グループの事業領域において、競合他社が存在している他、今後新たな事業者が参入してくる可能性もあります。当社グループを上回る技術力や資金力、その他の経営リソースを有した競合他社が出現した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)人材の確保と育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは設計開発分野における一気通貫のサービス提供を行っており、当該サービス領域に精通した経験豊富で有能な人材の確保と育成が重要な経営課題になります。当社グループが必要とする人材の確保が計画どおりに進まずに事業上の制約要因になる場合には、当社グループの事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、新卒採用に加え、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、労働環境の整備など、従業員の働きがい・働きやすさを向上させる取り組みを強化していく方針であります。
(5)請負契約に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
ソリューション事業の一部においては、請負契約によって受託することがあり、納期までに顧客の要求に沿ったソリューションを完成・納品する完成責任を負っております。ソリューションへの要求が一層高度化かつ複雑化すると共に、短工期の完成・納品が求められる中、契約当初の納期及び作業工数見積もりどおりにプロジェクトを完遂できず、顧客からの損害賠償請求、当社グループの信用失墜等の事態を招いた場合には、当社グループの事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、契約前にプロジェクトのリスクを洗い出し、適切な進捗管理を行うことでトラブルや損失発生の抑止に努めてまいります。
(6)知的財産権について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループでは知的財産権の経営資源としての重要性を認識の上、リスク管理上も留意すべき領域であると捉え、事業活動を行っております。当社グループによる第三者の知的財産権の侵害リスクについては、顧問弁護士及び弁理士事務所等と連携し、調査可能な事前の調査を行っておりますが、第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識することなく他社の特許等を侵害してしまう可能性を完全に否定することは出来ません。万が一、これらの事象が発生した場合、ロイヤリティの支払いや損害賠償請求等により、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)のれん・固定資産の減損に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、当連結会計年度末時点で、コーポレートストラクチャーの再構築によって生じたのれん4,964百万円を連結財政状態計算書に計上している他、その他の有形固定資産・無形資産も計上しております。今後これらの固定資産に係る事業の収益性が低下する場合、当該固定資産の帳簿価額と回収可能価額との差を損失とする減損処理により、当社グループ全体の業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループが認識しているのれんは、単一セグメントを単一の資金生成単位としてすべて配分されており、毎期減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を上回っていることを確認しています。また、その他の有形固定資産・無形資産については、減損の兆候の有無を確認し、有るものに関して減損テストを実施し、回収可能価額が帳簿価額を上回っていることを確認しています。
(8)情報管理について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは提供するサービス上、顧客側で保有している未公表の製品開発情報や技術情報等の機密情報等に触れる機会があります。情報の取り扱いについては規程及びルールの整備と的確な運用を義務づけるとともに、役職員向けの情報管理に係る教育や研修を定期的に実施しています。
しかしながら、不正アクセスやハッキング等の第三者からのサイバー攻撃によるシステム障害、人的オペレーションのミスによる情報漏洩等、その他予期せぬ要因等が生じた場合、取引先からの契約の解除や損害賠償の請求、当社や当社のサービスに対する信頼性の低下等により、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(9)特定の販売先への依存が高いことについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの最近2連結会計年度における販売実績のうち、10%を超える販売先は、以下のとおりであります。
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相手先 |
第4期連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
第5期連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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本田技研工業グループ |
1,403 |
27.4 |
2,056 |
36.4 |
|
日立Astemo株式会社 |
727 |
14.2 |
787 |
13.9 |
(注)本田技研工業グループの販売実績は、本田技研工業株式会社及び株式会社本田技術研究所への販売実績を合計したものであります。
当社グループでは、これらの主要顧客との取引を維持・継続するために、日常の業務を通じて主要顧客との事業上の連携関係を強化することに加えて、主要顧客以外の顧客や新規顧客の開拓を進めることで、顧客基盤のより一層の拡大に努めております。しかしながら、何らかの理由により主要顧客との取引が終了あるいは大幅に縮小した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、製品開発プロセスの上流工程に特化した各種サービスを提供しており、その一部は労働者派遣法に基づく形でコンサルタントやエンジニア等の派遣を行っております。このため、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年当同省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣業務の許可を取得しております。法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の許可の取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。本書提出日現在において、本許可の有効期限は2029年5月31日であり、許認可取消事由に該当する事実はありませんが、将来何らかの理由により登録の拒否、更新できない事由の発生または登録の取消があった場合、当社グループの事業活動に重大な支障をきたし、当社グループ全体の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、法令遵守体制の強化や社内教育などを継続して行っていく方針であります。また、法令改正の動向などの情報収集に努め、適時に対応することで、リスクの軽減を図ってまいります。
(11)内部統制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、当社グループの内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは法令に基づき財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し運用していますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制システムを構築及び運用できる保証はありません。
更に、内部統制システムには本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制システムに重大な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
これらのリスクに対応するため、専門人材の採用や育成により、内部管理に係る組織体制をより強固なものにするとともに、当社の事業や組織の特性に合わせた内部統制システムの運用レベルを向上させていく方針であります。
(12)事業投資について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、今後の事業拡大のために、事業会社への出資や子会社の設立、他社とのアライアンス、M&A等の投資を実施する可能性があります。投資の実施においては、当社グループの事業とのシナジーや収益性・投資効率、投資金額やその回収可能性を含めた総合的なリスクを勘案の上、判断を行う予定です。
しかしながら、投資判断の前提条件の変更等により、当初の目論見通りに投資回収や事業シナジーの創出が実現しなかった場合には、当社グループ全体の業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
(13)特定人物への依存について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社の代表取締役である中山岳人は、当社の創業以来、当社グループの経営方針及び事業戦略を決定するとともに、既存ビジネスにおける営業活動、新規ビジネスの開拓およびビジネスモデルの構築から事業化に至るまでのプロセスにおいて重要な役割を果たしております。当社グループは、権限の委譲や人材の育成、取締役会や経営会議等において役員及び幹部従業員の情報共有を図ることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。
しかしながら、今後において、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務遂行の継続が困難となった場合、当社グループ全体の業績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があります。
(14)大株主について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社は、国内の独立系のジャフコ グループ株式会社が投資助言を行うファンドから、純投資を目的とした出資を受けており、2025年5月2日時点において、当社の発行済株式数の45.32%を当該ファンドが保有しております。
当該ファンドの当社株式の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当該ファンドが相当数の当社株式を保有する場合、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、その程度や当該リスクが顕在化する可能性、時期については現時点で認識しておりません。
また、当社は同社より、当社株式について中長期的には売却等によって所有比率を低下させる方針であり、当社株式の処分時期や手法については未定であるものの、市場価格への影響を極力抑えた手法で対応する旨を聴取しております。
(15)自然災害・感染症等のリスクについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループには様々な領域の技術者が所属し、メーカーに対して様々なソリューションやサービスを提供しております。当社グループの拠点所在地や顧客企業の設計開発現場において、通信・交通機関等の社会インフラや、当社グループの事業拠点・従業員等に被害が生じた場合、業務の全部または一部が停止し、当社グループの事業展開及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループでは定期的なデータのバックアップ、システム稼働状況の監視等により、自然災害等による事業への影響を最小化するよう努めてまいります。
(16)財務資本に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループはLBOの実施に関連して、多額の借入を行いました。このため、当連結会計年度末時点における借入金の残高は2,777百万円であり、IFRSに基づく資本合計額に占める割合は75.94%となっております。
LBOローンは2023年9月をもって借換えを実施し、現時点の借入には財務制限条項が付されていない等、一般のコーポレート・ローンと同水準に借入条件は改善しておりますが、今後の金融市場等の動向により、金利が上昇局面となった場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(17)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく方針でありますが、現在のところは配当を実施しておらず、今後の配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
現時点では、当社グループの事業は成長過程にあり、内部留保の充実及び事業拡大のための投資、財務基盤の強化を行うことが、株主に対する利益還元に繋がると考えております。
(18)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、業績向上に対する意欲向上を目的として、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループの役職員等に付与しております。2025年4月末時点における新株予約権の目的となる株式数は369,860株であり、当社発行済株式総数の7,779,400株に対する潜在株式比率は4.8%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
(19)資金使途について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、今後の事業拡大に向けた人材の採用に関連する費用、ソリューション事業及びデジタルツイン事業強化のための人件費、借入金の返済等に充当する予定です。
しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応していくため、現時点の資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。
今後、資金使途を変更する場合には、適時適切に情報開示を行ってまいります。また、投資効果については継続的に測定・改善を行い、想定通りの成果を上げられるよう取り組んでまいります。
(20)訴訟等について(顕在化の可能性:不明、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:不明)
当社グループは、顧客(販売先、仕入先等)、競合他社、従業員等との関係において、訴訟その他の法的手続きを提起される、あるいは提起するリスクがあります。本書提出日現在において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている、あるいは提起している事実はありませんが、今後、何らかの事由により当社グループが訴訟を提起される、あるいは提起する可能性があり、訴訟等の発生により、当社グループの社会的信用力の低下や、多額の損害賠償・和解金の支払いや受け取り等により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,153百万円増加し、8,830百万円(前連結会計年度末比15.0%増)となりました。
この主な要因は、現金及び現金同等物の増加112百万円、未収還付消費税の計上に伴うその他の流動資産の増加102百万円、ドライビングシミュレータ装置の取得及び技術研究所の建設等による有形固定資産の増加897百万円によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べて556百万円増加し、5,172百万円(前連結会計年度末比12.0%増)となりました。
この主な要因は、ドライビングシミュレータ装置の取得に伴う短期リース負債等のその他の金融負債(流動)の増加76百万円並びに長期リース負債等のその他の金融負債(非流動)の増加497百万円、技術研究所の建設に伴う資産除去債務等の引当金(非流動)の増加102百万円、約定弁済による借入金(非流動)の減少303百万円によるものであります。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末と比べて597百万円増加し、3,657百万円(前連結会計年度末比19.5%増)となりました。
この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加584百万円によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善がみられ、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移しました。一方で、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う海外景気の下振れ、物価上昇、通商政策など米国の政策動向、中東地域をめぐる情勢に起因する資源価格の高騰等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループがサービスを提供する製造業界においては、大手メーカー各社の生産性向上や競争力向上のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)などへの投資意欲が引き続き高い状況にあり、当社グループに対するニーズも堅調に推移しております。
このような経営環境の下、当社グループは、顧客企業のものづくりにおけるQCD(品質・コスト・納期)の改善とイノベーションの創出に貢献すべく、設計開発現場におけるコンサルティングから最先端デジタルツールの選定、業務への実装・定着支援までをワンストップで支援する「デジタルソリューション事業」を推進してまいりました。自動車業界を筆頭に、半導体、精密機器、医療、重工業の5つの最先端技術が集積する各分野のエンタープライズ企業との取引深耕を進めたこと、より収益性の高い案件に人的リソースを傾注したこと等が奏功し、前連結会計年度を上回る売上収益、売上総利益を計上しました。費用においては新卒エンジニアの獲得に向けた採用活動の促進やドライビングシミュレータを備えた技術研究所にかかる減価償却費の計上等の販売費及び一般管理費の増加があったものの、適切なコストコントロールを実行し、調整後営業利益では前連結会計年度に対して増益を達成しました。当連結会計年度における特殊要因として、連結子会社であるプログレス・テクノロジーズ株式会社を被告とする知的財産に関する損害賠償の和解に伴う一時的なその他の費用を計上した影響により、営業利益においては前連結会計年度に対して減益となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上収益5,649百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益914百万円(前年同期比20.5%減)、調整後営業利益1,414百万円(前年同期比23.0%増)、税引前利益856百万円(前年同期比14.0%減)、当期利益584百万円(前年同期比16.1%減)、調整後当期利益940百万円(前年同期比35.1%増)となりました。
なお、当社グループは、「デジタルソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりませんが、有益な情報の提供を行う観点から、事業形態別の情報を開示しております。詳細は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」をご参照ください。
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
増減 |
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売上収益 |
5,116 |
5,649 |
10.4% |
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営業利益 |
1,150 |
914 |
△20.5% |
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(参考)調整後営業利益 |
1,150 |
1,414 |
23.0% |
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税引前利益 |
996 |
856 |
△14.0% |
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当期利益 |
696 |
584 |
△16.1% |
|
(参考)調整後当期利益 |
696 |
940 |
35.1% |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
696 |
584 |
△16.1% |
(注)調整後営業利益、調整後当期利益は、いずれも国際会計基準により規定された指標ではありません。これらは一時的に発生する費用を除外したものであり、当社グループの業績を適切に把握・評価するための、通常の営業活動の結果を示すものであります。
営業利益に係る調整表
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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調整項目 |
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+訴訟関連費用 |
- |
500 |
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調整後営業利益 |
1,150 |
1,414 |
税引前利益、当期利益に係る調整表
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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調整項目 |
|
|
|
+訴訟関連費用 |
- |
500 |
|
調整後税引前利益 |
996 |
1,356 |
|
+税金等調整額 |
△300 |
△415 |
|
調整後当期利益 |
696 |
940 |
(訴訟関連費用の概要)
当社の連結子会社であるプログレス・テクノロジーズ株式会社が東京地方裁判所にて訴訟を提起されていた知的財産に関する損害賠償請求事件(以下、「本件」という。)について、2024年12月20日、東京地方裁判所での和解が成立いたしました。
決定した和解の内容に基づき、2024年12月24日にプログレス・テクノロジーズ株式会社は原告に対して和解金500百万円を支払っております。当社は和解金500百万円について、外部関係者に対して請求権を有しており、今後求償していく予定であります。
なお、和解契約では、本件が和解で解決した事実を除き、原告及び被告双方に守秘義務が課されております。そのため、和解内容の詳細につきましては、開示を控えさせていただきます。
本件に係る和解金は一時的なものであり、今後、何らかのロイヤリティや追加的な費用の発生等は予定しておらず、本件以外に訴訟や支払いは発生しておりません。
また、今後、請求権に基づき、外部関係者からの支払いがあった場合には、支払われた全額が「その他の収益」として計上されることを予定しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて112百万円増加し、905百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、950百万円(前年同期は712百万円の収入)となりました。
これは、税引前利益856百万円の計上、その他(営業)の収入152百万円等の資金増加要因があった一方で、法人所得税の支払額282百万円等の資金減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、266百万円(前年同期は31百万円の支出)となりました。
これは、ドライビングシミュレータ装置及び技術研究所建設等の設備投資に係る有形固定資産の取得による支出262百万円等の資金減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、571百万円(前年同期は1,167百万円の支出)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出327百万円、リース負債の返済による支出243百万円の資金減少要因があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、「デジタルソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりませんが、有益な情報の提供を行う観点から、事業形態別に示すと以下の通りであります。
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格及び売上収益の実績に占める受注残高の割合が少額であるため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における事業形態別の販売実績は、以下の通りであります。
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事業形態別 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ソリューション事業 |
2,989 |
16.9 |
|
デジタルツイン事業 |
160 |
77.5 |
|
エンジニアリング事業 |
2,499 |
1.2 |
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合計 |
5,649 |
10.4 |
(注)1.金額は、売上収益によっております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下の通りであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
本田技研工業グループ |
1,403 |
27.4 |
2,056 |
36.4 |
|
日立Astemo株式会社 |
727 |
14.2 |
787 |
13.9 |
(注)本田技研工業グループの販売実績は、本田技研工業株式会社及び株式会社本田技術研究所への販売実績を合計したものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態、経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討)
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。運転資金は主に、従業員の人件費及び事業規模拡大のための採用活動費用等であります。設備投資資金は主に、最先端技術の提供を目的とした設備の取得及び更なる人材の獲得と地方拠点の開設等であります。これらの資金需要は、原則として「営業活動によるキャッシュ・フロー」により獲得した資金で賄う方針でありますが、必要に応じて株式市場からの資金の獲得や銀行からの借入を活用することを考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合など不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
当社グループの主な経営指標の推移は以下の通りです。
(単位:百万円)
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第4期連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
第5期連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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連結売上収益 |
5,116 |
5,649 |
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連結売上収益成長率 |
7.0% |
10.4% |
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連結売上高総利益率 |
43.5% |
45.9% |
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連結営業利益 |
1,150 |
914 |
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連結営業利益率 |
22.5% |
16.2% |
|
ソリューション比率 |
50.0% |
52.9% |
該当事項はありません。
該当事項はありません。