独立監査人の監査報告書

 

 

2025年5月29日

株式会社MS&Consulting

取締役会 御中

 

太陽有限責任監査法人

 

東京事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

西村 健太

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

本田 一暁

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社MS&Consultingの2024年3月1日から2025年2月28日までの第13期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社MS&Consultingの2025年2月28日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

のれんの評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社の当事業年度の貸借対照表において、のれんが845,542千円計上されており、総資産の37.0%を占めている。これは、注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、存続会社である会社(商号変更前はTMC BUYOUT3株式会社)が2013年10月1日に旧株式会社MS&Consultingを吸収合併した際に発生したものである。

会社は、注記事項(重要な会計方針)3.固定資産の減価償却の方法(2)無形固定資産に記載のとおり、のれんを18年にわたり規則的に償却しているが、のれんを含む資産グループに減損の兆候があると認められる場合は、減損損失の認識の要否を検討する必要がある。減損の兆候があると認められる場合は、営業損益又は営業活動によるキャッシュ・フローが2期連続赤字である場合、経営環境の著しい悪化又はその見込みがある場合等である。

当事業年度において、会社は、2期連続で営業損失を計上したことから、当該資産グループに減損の兆候があると判断した。そのため、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回るため、減損損失の認識は不要と判断している。

 

当事業年度において、物価上昇に伴う実質賃金の低迷や節約志向の高まりによって家計消費が伸び悩んだことに加え、人手不足に伴う人件費の上昇や国内企業物価の上昇等が主要顧客である内需型サービス産業の企業経営を圧迫しており、会社においても先行き不透明な経営環境が続いている。これに対し、会社は、基幹サービスである顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下「MSR」という。)について、様々な業種への拡大と浸透、従来よりも難易度の高い調査への対応力強化によって取引拡大及び利益率の回復に努めており、今後も、物価上昇に対応するため、顧客企業と価格転嫁交渉を継続して実施していく方針である。また、成長分野である海外関連調査の増加を見据えたオペレーションの強化なども進めている。

当該経営環境を踏まえた、のれんの減損損失の認識の判定に使用される、割引前将来キャッシュ・フローの基礎となった事業計画における重要な仮定は、以下のとおりであり、これらの仮定は経営者による判断を伴うため、見積りの不確実性が高い。

・ 日本国内で提供するMSRにおける、失注を考慮した直接利益の金額継続率及び新規顧客による直接利益予測

・ 海外関連調査の直接利益予測

・ コンサルティング・研修における、失注を考慮した直接利益の金額継続率及び新規顧客による直接利益予測

 

以上から、当監査法人は、のれんの評価が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、のれんの評価の検討に当たり、関連する内部統制を理解するとともに、主に以下の監査手続を実施した。

・ 会社の検討資料を閲覧し、減損の兆候の把握に使用された営業損益等の金額が決算数値と一致していることを確かめた。また、減損の認識の判定に使用された割引前将来キャッシュ・フローの見積額が、取締役会で承認された事業計画の内容を基礎として見積られていることを確かめた。

・ 割引前将来キャッシュ・フローの基礎となった事業計画について、前提となる経営環境やそれを踏まえた会社の経営戦略等に関して経営者に質問するとともに、経営者の判断が事業計画にどのように反映されているかについて検討を実施した。

・ 過年度の事業計画と実績を比較し、乖離要因について経営者へ質問を行うとともに、当該乖離要因が割引前将来キャッシュ・フローの基礎となった事業計画に与える影響を検討することによって、事業計画の見積りの不確実性を評価した。

・ 事業計画における重要な仮定の基礎となるデータについて、販売管理システムから出力したデータと照合するとともに、重要な仮定の合理性を以下のとおり評価した。

- 日本国内で提供するMSRにおける、失注を考慮した直接利益の金額継続率について、サービスの性質を考慮するとともに、外部環境との比較や過去実績からの趨勢分析を実施することにより、合理性を評価した。また、継続施策である価格転嫁交渉について、経済・物価情勢に係る利用可能な外部データとの比較や足元の受注状況の把握を通じて、実行可能性を評価した。

- 日本国内で提供するMSRにおける、新規顧客による直接利益予測について、外部環境との比較、過去実績からの趨勢分析及び足元の受注状況の把握により、合理性を評価した。

- 海外関連調査の直接利益予測について、サービスの性質を考慮するとともに、外部環境との比較や主要な取引先における過去実績からの趨勢分析、足元の顧客からの見積り依頼及び受注状況の把握により、合理性を評価した。また、成長性に対応するためのオペレーションの強化状況を把握することにより、その実行可能性を評価した。

- コンサルティング・研修における、失注を考慮した直接利益の金額継続率及び新規顧客による直接利益予測について、サービスの性質を考慮するとともに、外部環境との比較や過去実績からの趨勢分析及び足元の受注状況の把握により、合理性を評価した。

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

 

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(注) 1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E20870-000 2025-05-29 E20870-000 2025-05-29 jpcrp_cor:Row1Member