文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、下記のとおり、グループミッション及び経営理念を掲げております。
① グループミッション
当社グループのグループミッションは、いろいろな個性を持った仲間と、わくわくしながら、予想もつかない、驚くような未来を創ろうという想いであります。各事業会社の個性を活かしつつ、他のグループ事業会社をリスペクトし、ともに未来を創っていく。時には自分たちだけで、またある時はグループの仲間たちとともに頑張る。これが、外食産業の中で我々が持つ大きな特徴であると考えております。当社グループは、このグループミッションのもと、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。
② 当社の経営理念
このような経営理念のもと、グループとしての社会的責任を果たしながら、企業価値向上に向け、努力してまいります。また、お客様、株主の皆様をはじめとする多くのステークホルダーに対して、魅力あふれる店舗を創造し続けていくことが、企業としての使命であると考えております。そして、株主の皆様に当社グループのバラエティ豊かな店舗を利用していただくことが、企業としての持続的成長につながっていくという考えのもと株主優待制度を実施しており、今後も引き続き実施してまいります。
(2)重視する経営指標
当社グループでは、経営効率を高め安定した財務体質を維持しつつ、持続的成長を達成するために、収益性の重要な経営指標(KPI)として調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン、財務の安定性を図る指標として調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を重視しております。当社グループは、これらの指標を向上させることで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における調整後EBITDAは26,124百万円(前連結会計年度比2.1%)、調整後EBITDAマージンは16.7%(前連結会計年度は17.6%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は42.9%(前連結会計年度は41.1%)となりました。
(注)1.調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。
・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100
2.調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)からIFRS第16号の影響を除外した比率
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 中期経営計画
当社では、アフターコロナの需給の変化に対応すべく、2021年7月に3か年の中期経営計画を発表し、「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」「グループ連邦経営の更なる進化」「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による生産性の向上と人財不足への対応」に重点的に取り組んでまいりました。これらの取り組みの結果、グループ全体の売上収益および営業利益は過去最高を更新するなど、力強い成長を遂げました。この成長を継続発展させるため、2025年4月には、2026年2月期を初年度とした5か年の中期経営計画を策定しました。この計画では、国内人口の減少、雇用の多様化、あらゆるコストの上昇、インフレ、サステナビリティの重要度増加といった外部環境の変化と、アフターコロナのリベンジ消費の終焉による本質的な競争の激化という課題認識を踏まえ、本質的な課題の解決を目指すものであり、従来の重要な経営戦略である「マルチブランド・マルチロケーション戦略」と「グループ連邦経営」を、国内外の事業展開や組織体制を含めて包括的に再定義し、「グループ連邦経営2.0」として進化させることで、あらゆるステークホルダーから選ばれる企業グループへの進化を目指しております。
具体的には、中期経営計画における成長の3本柱として「本質的価値の進化」「シナジーのあるM&A」「海外事業の拡大」、その成長を支える3基盤として「テクノロジーの活用」「人的資本経営の推進」「サステナビリティ推進」を掲げております。
成長の3本柱の一つ目の「本質的価値の進化」では、料理、サービス、立地においての進化を目指すもので、既存事業の成長エンジンである25のコアブランドを中心に、おいしさの追求、立地別価格制度の促進を含む適正価格化、ブランド別DXの最適化などに取り組みます。また、事業会社が主体となる新業態開発を加速し、新たなコアブランドの創出を目指します。立地においては、物件開発機能の強化による路面立地や地方都市立地の開発強化、ブランド価値とエリア運営効率化の両立を図るグループ内フランチャイズを推進します。加えて、店舗設計・施工管理の内製化を担うFastWorks社をSFPホールディングス社との合弁により設立(2025年6月予定)し、上昇トレンドである出店コストの抑制を図ります。二つ目の柱である「シナジーのあるM&A」では、これまで国内外で多数のM&Aを実行してきた経験を活かし、今後も既存事業とのシナジーと財務規律を重視しながら、国内外で年間2件前後の積極的なM&Aの実行を想定しております。三つ目の柱は「海外事業の拡大」です。現状のグループ全体の海外比率を、M&Aを軸に5年後には2倍にすることを目指します。既に事業展開している北米とアジアの事業拡大に加え、新たに欧州への進出も計画します。それぞれのエリアで現地顧客に支持されているブランドをグループに迎え入れ、経営チームは現地化する方式でのグローバルなグループ連邦経営の展開を志向しております。
成長を支える3つの基盤の一つ目は「テクノロジーの活用」です。従来はモバイルオーダーや配膳ロボの導入などの人手不足へ対応を重視したDXでしたが、今後はブランド毎に適した、即ちそのブランドの顧客に応じたDXを推進することで、ホスピタリティとテクノロジーの融合による顧客満足度の向上を図り、延いては人財の成長や人時キャッシュフローの向上という好循環を生み出すヒューマン・トランスフォーメーション(HX)の実現を目指します。二つ目の基盤は「人的資本経営の推進」です。人財を最大の財産と位置づけ、処遇改善や福利厚生の充実など従業員が安心して働くことできる環境の整備、人事評価制度の見直し、研修の充実など活躍を推進する諸施策の実行を通じて、働きがいがあり、多様性を尊重し、リスペクトを高め、個々人の成長につながる状態の創出を目指します。合わせて、これらの土台となる時代に合った企業風土への変革にも取り組みます。三つ目の基盤は「サステナビリティの推進」です。食の様々なシーンを通じて全てのステークホルダーに豊かさを提供することで持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を目指しております。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社は、昨今の緊迫した国際情勢の不透明さからも見てとれる厳しい外部環境の中、当社グループの強みである変化対応力を駆使して、以下の課題に適切に対処してまいります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 「食の安全・安心」への取り組み
お客様に「安全」なメニューをご提供し、「安心」して召し上がっていただけるようにすることは、外食企業にとって最重要事項であると認識しております。当社グループは、「食の安全・安心」に対する全役職員の意識浸透及びレベルアップに全力で取り組んでまいります。
具体的には、お客様の目線から見た「食の安全・安心」に関するモラルについて、従業員に対するメッセージを繰り返し発信するとともに、経営理念の中核にあるのが「お客様からの信頼」であることを広く浸透させる取り組みを実施しております。また、「食の安全安心推進室」を中心に、料理や食材の取り扱いに関するマニュアルを随時見直し、これに基づく従業員教育の徹底、店舗オペレーションの強化に加え、定期的に外部の衛生検査会社による点検を取り入れているほか、グループ内における衛生点検基準を統一しております。また、必要に応じて点検項目の改良を加えていき、常に一定の衛生レベルを保てる仕組みにしております。さらに、店舗と本社の情報共有につきましても、「食の安全安心推進委員会」を定期的に開催し、各事業会社が取り組み内容や課題を共有することで、迅速なグループ間の報告・連絡体制を構築しているとともに、店舗内のコミュニケーション及びチームワークの強化に取り組んでおります。
なお、「食の安全・安心」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
② 多様な人財の活躍促進、人財育成の強化
外食企業である当社グループにおいて、人財を確保しその活躍を促進することは、大変重要な課題となっております。当社グループは、人財に関する基本方針を定めており、人財こそが「持続的な成長を創出する極めて重要な源泉」であると認識し、人財を確保し成長させるため、重点項目に沿った取り組みや投資を積極的に行い、多様な従業員が安心して活き活きと仕事ができる働きやすい環境を整えてまいります。
また、当社グループは、現在、国内外の複数のグループ事業会社で構成されており、店舗の運営人財やグループ事業会社経営人財に加え、M&A、マーケティング、システム、経理・財務等、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させ、経営することができる人財の育成強化が必須と認識しております。
そのため、人財の育成に関しましては、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という当社グループの経営理念を牽引することを期待される幹部人財の育成強化を計画的に実施できるよう、教育・研修システムの整備を進めるとともに、グループ内人財交流の促進やグループ横断的な組織再編にも取り組むなど、HXの実現を目指してまいります。
なお、「多様な人財の活躍推進」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ DX推進による業務効率化・顧客満足度の向上
当社グループは、一部店舗においてお客様をお待たせすることによる機会損失を減少させるべく、タブレット端末やモバイルオーダー等の導入及び拡充を行い、待ち時間の短縮等を通じてお客様の満足度向上を図っております。加えて、店舗運営における省人化を進展させ、お客様サービスに向ける時間を最大化するべく、AI予約受付や配膳ロボ等を取り入れており、引き続き業務の効率化・高度化を進めてまいります。
また、本社におきましても、RPAや生成AIの活用等、DXを推進することで業務プロセスを高度化し、一層の経営の効率化を図るとともに、各種リスクの低減に取り組んでまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
① お客様から支持される商品及び業態開発の推進
お客様の食に対するニーズは、近年のスマートフォンやSNS等の普及による情報収集力の向上やライフスタイルの変化等により多様化が進んでおり、加えてニーズの変化のスピードも速まっている中、業態(ブランド)及び立地の陳腐化も早まる傾向にあります。
当社グループでは、このようなニーズの変化に機敏に対応していくために、お客様ニーズを汲み取った戦略的な業態転換や店舗改装のほか、「わくわく」するような新業態・コンセプト開発を担う専門組織「クリエイト・ブランド・ラボ」による、当社グループならではの大型投資や高いデザイン性をもったコンセプトの創出に取り組んでおります。
② 競争力強化に向けた各グループ事業会社の育成
当社は、各グループ事業会社(各社)の独自性を尊重しながらグループとしての成長を目指す『グループ連邦経営』を推進しており、各社の競争力の強化は当社グループの持続的な経営にとって重要であり、各社の競争状況、役割、ステージに応じた効果的な経営指導及び機動的かつ最適な経営資源の配分を行っていくことが必要であると認識しております。そのために、当社が各社の経営状態を的確に把握できる管理体制の強化に努めるとともに、複数の専門的かつ特徴的な企業文化、戦略を持つ各社の経営陣が、グループ内にてそれぞれのノウハウや情報交換等を密に行い、個々の経営力を拡充することができ、加えて、各社が成長に向け、迅速かつ最適な意思決定が可能となる組織体制及び環境を整えてまいります。また、各社の内部統制に係る体制につきましてもより一層の整備に努めることで、企業体質の強化を図ってまいります。
③ 本社機能の更なる強化
『グループ連邦経営』における当社の役割として、グループ全体の経営戦略を策定、実行することのほかに、各社が持続的な経営戦略の実行に集中できる環境(プラットフォーム)を提供することも必要であると認識しております。具体的には、各社の間接部門業務の集約化、標準化による効率性の向上と多様な立地・業態に対する開発機能の強化、原材料・設備等の集約化によるコスト面でのシナジーの最大化、食の安全・安心やコンプライアンスに関連する情報の提供等において一層の強化に取り組み、各社の収益性の最大化に資する支援体制強化に努めるとともに、グループガバナンスの更なる強化に取り組んでまいります。
④ グローバル展開
現在、当社グループは直営にてアジア2か国、北米1か国に拠点を有しておりますが、継続的な海外への展開は重要な課題の一つととらえております。新たな拠点となるエリアへの進出を志向し、それぞれの拠点が自律的に経営を行うこと、M&A及び出店により、ポートフォリオを多様化すること、経営を支えるグローバルな人財ネットワークを獲得すること等を通じて、グローバル市場において、基盤を固め『グローバル連邦経営』を目指してまいります。
⑤ サステナビリティへの取り組み
当社グループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指しております。食に携わる企業として、従来から食の安全・安心、生産地との連携、食品ロスの削減等、様々な活動を行っており、持続可能な社会の実現に取り組むための体制を強化すべく、「サステナビリティ委員会」及び「サステナビリティ推進室」を設置しております。また、当社が優先して取り組む課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティとして選定しており、その土台となる「コーポレートガバナンスの強化」とともに、関連する各部署がグループ事業会社と連携しながら具体的に取り組んでまいります。その内容は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長を委員長とし、グループの事業会社社長も含んだ「サステナビリティ委員会」、及び同委員会の事務局として「サステナビリティ推進室」を設け、組織的にサステナビリティへの取り組みを推進しております。
サステナビリティ推進室は、各種取り組みの進捗状況を定期的に取締役会に報告し、取締役会において、進捗状況の妥当性等を議論・監督し、その内容を各種取り組みの推進に反映しております。

(2)戦略
当社グループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指しております。食に携わる企業として、従来から食の安全・安心、生産地との連携、食品ロスの削減等、様々な活動を行っており、持続可能な社会の実現に取り組むための体制を強化すべく、2021年11月に、「サステナビリティに関する基本方針」を定めました。
また、当社が優先して取り組む課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティ(重要課題)として選定しており、その土台となる「コーポレートガバナンスの強化」とともに、関連する各部署がグループ事業会社と連携しながら具体的に取り組んでまいります。

また、各マテリアリティは、当社グループの事業活動に対して様々なリスクと機会を及ぼすものであり、当社グループは、これらに対応していくことが重要であると考え、想定されるリスクと機会を抽出し、対応方針を定めております。
〈各マテリアリティのリスクと機会・対応方針〉
※〇:影響中、◎:影響大
また、気候変動に関しては、「脱炭素社会への貢献」をマテリアリティに位置付けております。気候変動は、当社グループの事業活動に対して様々な「リスク」と「機会」を及ぼすものであり、これらに対応していくことが重要であると考え、事業活動に与える気候変動のリスク(移行リスクと物理的リスク)と機会を抽出し、それぞれの対応方針を定めております。
〈気候変動のリスクと機会・対応方針〉
※短期:10年以内、中期:30年以内、長期:30年超
※△:影響小、〇:影響中、◎:影響大
また、人的資本経営に関しては「多様な人財の活躍推進」をマテリアリティに位置付けているほか、以下の方針のもと、取り組みを進めております。
〈人的資本経営について〉
クリエイト・レストランツグループは、人的資本経営に関する基本方針として「人財に関する基本方針」を定め、経営戦略に連動した人財戦略を推進しております。
これらの重点項目は、それぞれが、社内環境整備方針、DE&I方針、人財尊重方針、人財育成方針として位置付けられ、相互に連動して、具体的な人的資本経営の取り組みに反映されています。各重点項目の考え方及び項目毎の取り組みは以下のとおりです。
〈社内環境整備方針〉
① 人財が、わくわく仕事に取り組める環境や仕組みを整えます(Motivation)
私たちは、人財が「働きがい」をもってわくわく仕事に取り組めることが、人財の活躍と成長に最も重要であると考えます。そのために、「働きやすい」職場環境・制度を整備するとともに、「やりがい」を感じられる職場作りを推進し、人財が心身ともに健康でわくわく仕事に取り組めるようにしていきます。
〈DE&I方針〉
② 多様な人財の活躍を促進します(Diversity,Equity & Inclusion)
私たちは、性別、人種、国籍、年齢、障がいの有無、宗教、価値観、性的指向・性自認等が異なる多様な人財が集い、その人財が多様性を活かしてそれぞれの能力を最大限発揮することが、私たち自身の成長のために極めて重要であると考えております。そのためには、多様性を尊重し、人権やワークライフバランスを大切にする意識をより高めるとともに、採用方法、人事制度、研修、勤務形態等を整備していきます。
〈人財尊重方針〉
③ 人財一人一人を、働く仲間として尊重します(Respect)
私たちは、職場で働く仲間を「お客様に彩り豊かな食のシーンを提供するための」最重要のパートナーであると考えております。そのために人財一人一人が、人権を守り、その役割や職位を超えて相互に尊重し合い、感謝の意を表すことで、笑顔に溢れるサステナブルな職場を創っていきます。
〈人財育成方針〉
④ 教育・研修を通じ、人財の成長を助けます(Development)
私たちは、「常にスピードをもってクリエイティブにチャレンジする」人財こそが、変化対応力に優れ、お客様をはじめとするステークホルダーの多様な期待に応えられる有為な人財であると考えております。こうした人財を育てるため、私たちは、チャレンジを尊重する社風を大切にするとともに、人財一人一人の専門性を磨き、自律的に知識や能力を伸ばすことができる教育・研修を提供していきます。
〈人的資本経営に関する取り組み〉
その他、当社グループのサステナビリティの各種取り組みは、
https://www.createrestaurants.com/sustainability/
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティに関するリスクの管理を経営上の重要課題として位置付け、サステナビリティ委員会の各所管部が、サステナビリティに関するリスクの情報を収集・認識した上で、その評価や対応策の検討を行い、定期的に取締役会に報告することとしております。
サステナビリティ推進室は、リスクの最小化に向け、「サステナビリティへの取り組み推進」の枠組みの中で計画的に対応策を実施してまいります。
(4)指標及び目標
当社グループは、気候変動のリスク・機会を管理するための指標として、CO2排出量の削減目標を設定しております。
〈CO2排出量に関する目標〉
スコープ1及び2における原単位当たりのCO2排出量について、2030年までに50%削減(2013年度比)を目指してまいります。
また、多様な人財の活躍推進のため、2026年2月期に向けた各種目標を設定しております。
〈多様な人財の活躍推進に関する目標〉
(女性の活躍について)
当社グループの2025年2月28日現在における従業員構成では、女性が24.1%を占めており、多くの女性が活躍しております。店舗責任者を務めるケースも多く、今後も多様な勤務形態や男性の育児休暇取得促進等、ワークライフバランスを取りながら安心して長く働くことができる環境整備を推進してまいります。女性の管理職の比率は現在13.7%であり、2026年2月期に15.0%を目指してまいります。また、男性の育児休暇取得率は現在39.1%であり、2026年2月期に50.0%を目指してまいります。
(外国籍従業員の活躍について)
当社グループの2025年2月28日現在における従業員構成では、11.9%が外国籍従業員であり、その国籍の内訳は、ベトナム、中国、ミャンマー、ネパール、フランス、米国等30ヶ国以上と多岐にわたっております。今後も多言語のマニュアルやツールの整備、国内で働くための手続き支援等の社内サポート体制構築を推進し、2026年2月期に外国籍従業員の比率を13.0%とすることを目標に掲げ、採用をより積極的に実施してまいります。また、外国籍の管理職の比率は現在0.8%であり、2026年2月期に1.0%を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループの事業においてはこれら以外にも様々なリスクを伴っており、ここに記載されたものがリスクの全てではありません。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外食業界の動向について
① 食材調達について
食材調達につきましては、原油高、円安、米国の政策動向、ロシアのウクライナ侵攻、天候要因等の複合的な要因により、価格の高騰の可能性及び供給が不安定となる可能性があります。
当社グループにおきましては、様々な業態を運営しているため、特定の食材には依存していませんが、安全かつ安定した食材の確保及び仕入価格高騰抑制については、グループのシナジーを発揮し、情報を集約しつつ、仕入先との交渉を行うことで、その影響を最小限に止めるべく取り組んでおります。また、高騰した食材価格を吸収する手段としては、メニューを見直すことで、販売価格への転嫁や高騰した食材の使用割合を減らすこと等で対応しております。
② 人財の確保について
人財の確保につきましては、メリハリ消費やインバウンド需要の拡大等による堅調な外食需要の中で、必要な人財を確保できない可能性並びに人件費及び募集費の高騰の可能性があります。
引き続き、募集方法の工夫や外国人採用の拡大、多様な人財が多様な働き方を実現できる環境整備等を進めながら必要な人財を確保していくほか、配膳ロボやモバイルオーダー、その他DXの活用により、省人化を進めていく方針です。
(2)当社グループのビジネスモデルに係るリスクについて
① 出店政策について
当社グループは、予め一定以上の集客を見込めるショッピングセンター、地下鉄を含む駅構内、百貨店等の商業施設、駅前、繁華街及び郊外ロードサイド等に出店しており、立地条件、賃貸条件、店舗の採算性等の観点から、好立地を選別した上で、出店候補地を決定してまいりました。コロナ禍以降、好立地の条件に一部変化が生じたことやインフレによる投資金額の増加傾向を踏まえ、投資基準の見直しを図っております。
また、当社グループは、賃貸による出店形態を基本としており、賃貸借契約のうち、特に、定期賃貸借契約は、契約終了後再契約されない可能性があります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 敷金・保証金について
当社グループは、賃借による出店形態を基本としており、出店等に際しては、賃貸人へ敷金・保証金を差し入れております。契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い、十分検討しておりますが、今後、契約期間満了による撤退等が発生した際に、賃貸人の財政状況によっては、当該敷金・保証金の全部若しくは一部回収不能となる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 業態開発について
当社グループは、商業施設の価値向上といった商業デベロッパーのニーズに対して、新規に開発した業態を継続的に提案することに加え、駅前や繁華街においては、ドミナント戦略等により好調な業態の出店を加速させ、事業の拡大を図っております。ただし、お客様に受け入れられる業態を開発できなかった場合には、売上収益が減少し、また、これにより商業デベロッパーとの関係が損なわれた場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 出退店時に発生する費用及び損失について
当社グループでは、新規出店時に什器、備品等の消耗品や、販売促進にかかる費用が一時的に発生するため、大量の新規出店や、期末に近い新規出店は、利益を押し下げる要因となります。また、店舗閉鎖時においては、固定資産除却損、賃貸借契約解約及びリース契約解約による違約金等が発生するため、大量に店舗を閉鎖した場合には、一時的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 商標権の管理について
当社グループは、多業態による店舗展開を行っており、多数の店舗ブランドを保有しているため、同一ブランドをチェーン展開する飲食企業と比較して、商標権侵害等による係争・訴訟のリスクが相対的に高いものと認識しております。そのため、新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。
ただし、出店時における当社グループの調査内容が十分である保証はなく、当社グループの見解が法的に常に正当性があるとは保証できません。万が一、当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、現在商標権に関する重大な係争・訴訟はありません。
⑥ 人財の育成について
当社グループは、各社員の創意工夫がサービス力の強化、競争力の向上に寄与すると考えているため、店舗の運営、サービス提供方法等については、画一的な運用を行わず、現場における創意工夫を活かす仕組みとしております。その結果、各業態、各店舗によって、お客様に提供する料理、サービス内容及び店舗運営方法等が異なっており、また、各店舗における顧客満足度は、各店舗で提供するサービスの水準に影響を受けることとなります。そのため、当社グループは人財の育成及び確保を経営上の重要課題であると認識しております。
人財育成については、お客様へのより一層のサービス向上と店舗運営に焦点をあてたオペレーション教育、店舗マネジメント教育を計画的に実施できるよう教育・研修システムの整備を進めております。
ただし、今後においても当社グループは業態開発及び店舗網の拡大を図っていく方針であるため、業容に見合った人財の育成が出来ない場合には、サービスの質の低下による信用力の低下が生じ、または、出店計画どおりの出店が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 食品の安全管理について
当社グループは、お客様に安心・安全でおいしい商品を提供するため、衛生管理マニュアル等に基づき、各店舗及び一部のグループ事業会社が保有しているセントラルキッチン等において、食中毒の発生を未然に防ぐべく、品質管理及び衛生管理を徹底し、食品事故の予防に努めております。また、社長直轄組織として「食の安全安心推進室」を設置し、従業員への教育・指導の徹底、アレルゲン管理や定期的な検査の実施等、食の安全性に対する体制強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一食中毒や異物混入等の衛生問題が発生した場合には、当社の商品に対する信用力の低下や企業イメージの失墜等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)法的規制等について
当社グループの事業は、「食品衛生法」、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「健康増進法」、「労働基準法」、「食品表示法」、「プラスチック資源循環法」等の法的規制があります。今後の社会情勢の変化等により、これらの法的規制が強化され、その対応のため新たなコストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)金利変動の影響について
当社グループは、出店時における設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産に占める有利子負債(リース負債を除く。)の割合は19.1%となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく長期借入金により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)災害等及び感染症等の流行による影響について
当社グループは、国内外に店舗展開しておりますが、地震や津波、台風等の自然災害の発生や、自然災害に起因するライフラインや交通網の遮断・制限、感染症の流行等により、来店客数の減少、原材料の調達の阻害や従業員の人員の確保ができない場合は、店舗運営に支障をきたし、営業が困難となることから、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)インターネット等による風評被害に伴うリスク
当社グループは、SNSサイトへの不適切な書き込み等に対し、WEBリスクモニタリングを導入し、企業ブランドに悪影響を与えるリスク投稿を早期に検知する体制を整えております。しかしながら、当社の所有する商標等の不正利用、商品への異物混入や調理設備の不適切使用等、インターネット上の掲示板やSNS等への書き込みに伴うマスコミ報道等による風評被害が拡散した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの財政状況及び業績、社会的信用等に重大な影響を与える可能性があります。
(7)訴訟に伴うリスクについて
当社グループは、事業を展開していくにあたり、顧客や取引業者、従業員を含む第三者等による様々な訴訟の対象となる可能性があります。現在、当社グループの業績に重大な影響を与える訴訟等は提起されておりませんが、業績に重大な影響を与える訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)情報システムへの依存リスクについて
当社グループは、店舗運営、食材の仕入れ等の主要業務を情報システムに依存しており、セキュリティガイドラインに基づき、コンピュータウイルスや外部からのサイバー攻撃等の悪意のある攻撃に対し、適切な予防策を実施してリスクの低減を図っておりますが、万が一これらの攻撃等により情報システムに障害が生じた場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)海外展開におけるカントリーリスクについて
当社グループは、海外へ店舗展開しておりますが、海外子会社及び関連会社の進出国における、市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣や為替、その他の様々なカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)有形固定資産の減損損失に係るリスクについて
当社グループは、多様な立地に店舗を展開しており、店舗に係る建物及び構築物等の有形固定資産を保有しております。そのため、環境の変化等により店舗の収益性等が著しく低下し、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
(11)M&A等によるのれん・無形資産に係るリスクについて
当社グループは、成長戦略の一つとして、シナジー効果が期待できるM&Aを多数行ってまいりました。そのため、当社グループが予め想定しなかった結果が生じ、のれんや無形資産の評価額が帳簿価額より著しく低下する場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化による人流の回復や訪日外国人の増加によるインバウンド需要の拡大に加え、賃上げトレンドの継続も下支えとなり、個人消費は持ち直しの傾向がみられました。しかしながら、国内では円安や異常気象に起因するインフレや少子高齢化に伴う労働力不足等が生じていることに加え、海外では米国の政策動向、ロシア・ウクライナや中東情勢等の地政学的リスクの解消が見通せないこともあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては、メリハリ消費や訪日外国人の増加等により、堅調な需要が続いている一方、エネルギー資源価格の高止まり、円安の継続や異常気象に伴う原材料価格の更なる高騰等に加え、人財面では、年収の壁の上昇による緩和は期待できるものの、依然として供給不足が見込まれ、引き続き厳しい経営環境が予想されております。また、国内では実質賃金はプラス転換の兆しがあるものの、トレンドとして定着するかについては不透明であるため、選択的消費の傾向がますます強まるものと思われます。海外でも米国等でインフレ疲れの様相を呈してきていることは引き続き注視が必要と思われます。
こうした中、当社は、2024年5月に創業25周年を迎え、長年培ってきた変化対応力を武器に、引き続き更なる飛躍を目指しております。具体的には、グループ連邦経営進化の一環として、グループ横断的な組織再編に取り組みました。各事業領域におけるナレッジ集約による専門性の強化及び人財交流の促進を目的に、2024年6月1日付けでダイニング事業領域の株式会社LG&EWを株式会社クリエイト・ダイニングが吸収合併いたしました。更に、コントラクト事業領域においては、2024年9月1日付けで、株式会社KRフードサービスのコントラクト事業を株式会社クリエイト・レストランツが吸収分割により承継し、人財配置の効率化を含めた、事業基盤の強化を進めております。
また、成長戦略の柱の1つである「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」の取り組みとして、米国アリゾナ州において「ワイルドフラワー」ブランドを展開するベーカリーレストラン事業を Wildflower Bread Company LLC から2024年9月3日付けで譲り受けました。これは、「日常」「定番」「地域密着」をキーワードに、アフターコロナを見据えたポートフォリオの強化を目的としたもので、米国での更なる事業拡大を目指すものであります。国内においても、本成長戦略に資する事業として、北海道札幌を代表するラーメン店「えびそば一幻」を運営する株式会社一幻フードカンパニーの発行済株式の全部を2024年10月1日付けで取得し、連結子会社といたしました。
そのほか、持続的な成長に不可欠な人的資本及びDXへの投資にも注力いたしました。人的資本に関しては、社員昇給ファンドの拡大や外国人採用の強化、雇用年齢の引き上げ、キャリアパスの多様化としてのエキスパート職導入、新入社員向けの特別休暇制度導入による福利厚生の充実等を通じ、多様な人財が多様な働き方を実現できる環境整備を進めました。また、DXにおきましては、配膳ロボ、モバイルオーダーシステムやセルフレジの導入を推進し、お客様の利便性の向上と店舗従業員の負担軽減の両立に取り組みました。
新規出店等に関しては、しゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ菜」や「MACCHA HOUSE 抹茶館」、ベーカリー「サンヴァリエ」、海鮮居酒屋「磯丸水産」、大衆酒場「五の五」といったコアブランドを中心に出店いたしました。また、ゴルフ場内レストランやJA全農とのコラボによる業務受託店舗も積極的に出店いたしました。そのほか、ネクストコアブランド候補として、韓国料理「シクタン」、もんじゃ焼き「まるもん」といった新業態を開発し、既存店舗からの業態変更も実施いたしました。
その結果、グループ全体では32店舗の新規出店、16店舗の業態変更、契約満了を中心に51店舗の退店を実施した一方、「ワイルドフラワー」16店舗及び「えびそば一幻」10店舗を連結対象に加えたことにより、当連結会計年度末における業務受託店舗等を含む連結店舗数は1,116店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は156,354百万円(前連結会計年度比7.3%増)、営業利益は8,504百万円(前連結会計年度比20.2%増)、税引前当期利益は7,659百万円(前連結会計年度比15.5%増)、当期利益は6,228百万円(前連結会計年度比11.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,590百万円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。また、調整後EBITDAは26,124百万円(前連結会計年度比2.1%増)、調整後EBITDAマージンは16.7%(前連結会計年度は17.6%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は42.9%(前連結会計年度は41.1%)となりました(注)。
(注)当社グループの業績の有用な指標として、調整後EBITDA、調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を用いております。
調整後EBITDA、調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)の算出方法は以下のとおりです。
・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)
・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100
・調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)からIFRS第16号の影響を除外した比率
報告セグメントにつきましては、当社グループは飲食事業以外の報告セグメントがないため、記載を省略しております。なお、飲食事業における主要カテゴリー毎の状況は以下のとおりです。
(CRカテゴリー)
当カテゴリーは、株式会社クリエイト・レストランツ及び株式会社クリエイト・ダイニングが運営する店舗で構成されており、商業施設を中心に多様なブランドにてレストラン及びフードコートを運営しているほか、ゴルフ場内レストラン等の受託運営を行っております。
当連結会計年度におきましては、株式会社クリエイト・レストランツが「しゃぶ菜」、「MACCHA HOUSE 抹茶館」といったコアブランドを中心に出店したことに加え、グループ内フランチャイズ出店をしたこと、株式会社クリエイト・ダイニングがダイニング業態「GOTTA」を出店したことにより、19店舗の新規出店、33店舗の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は54,777百万円、連結店舗数は518店舗となっております。
(SFPカテゴリー)
当カテゴリーは、SFPホールディングス株式会社、株式会社ジョー・スマイル及び株式会社クルークダイニングが運営する店舗で構成されており、都心繁華街を中心に「磯丸水産」、「鳥良商店」、「おもてなしとりよし」ブランド等の居酒屋を運営しているほか、熊本県や長野県においても居酒屋を運営しております。
当連結会計年度におきましては、海鮮居酒屋「磯丸水産」や、大衆酒場「五の五」を出店したことに加え、グループ内フランチャイズ出店により、6店舗の新規出店、5店舗の退店を実施いたしました。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は30,389百万円、連結店舗数は203店舗となっております。
(専門ブランドカテゴリー)
当カテゴリーは、株式会社YUNARI、株式会社グルメブランズカンパニー、株式会社KRフードサービス、株式会社遊鶴、株式会社いっちょう、株式会社サンジェルマン、株式会社レフボン及び株式会社一幻フードカンパニーが運営する店舗で構成されております。
当連結会計年度におきましては、株式会社グルメブランズカンパニーがベーカリーの「IKEDAYAMA」を、KRフードサービスが「牧之原サービスエリア(上り線)」にフードコートを、株式会社レフボンがベーカリーの「サンヴァリエ」を出店したことにより、6店舗の新規出店、6店舗の退店を実施したほか、M&Aを通じて株式会社一幻フードカンパニーの5店舗が増加しております。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は49,815百万円、連結店舗数は325店舗となっております。
(海外カテゴリー)
当カテゴリーは、海外において展開している店舗で構成されており、シンガポール国内にて展開しているcreate restaurants asia Pte. Ltd.が運営する店舗、香港にて展開している香港創造餐飲管理有限公司が運営する店舗、米国にて展開しているIl Fornaio (America) LLC及びCreate Restaurants DE LLCが運営する店舗で主に構成されております。
当連結会計年度におきましては、香港に「えびそば一幻」を出店したことにより、1店舗の新規出店、7店舖の退店を実施したほか、米国にて、Create Restaurants DE LLC がWildflower Bread Company LLCよりベーカリーレストラン事業を譲り受けたことにより16店舗が増加、M&Aを通じて「えびそば一幻」のフランチャイズ店舗が、香港にて4店舗及び台湾にて1店舗増加しております。
以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は23,262百万円、連結店舗数は70店舗となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが25,991百万円の資金増(前連結会計年度比11.6%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが9,199百万円の資金減(前連結会計年度比155.4%増)、財務活動によるキャッシュ・フローが16,657百万円の資金減(前連結会計年度比26.0%減)となり、さらに換算差額等を加味した当連結会計年度末の資金残高は21,474百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は25,991百万円となりました。この主な要因は、減価償却費15,487百万円、税引前当期利益7,659百万円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は9,199百万円となりました。この主な要因は、事業譲受による支出4,231百万円、有形固定資産の取得による支出3,410百万円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は16,657百万円となりました。この主な要因は、リース負債の返済による支出13,478百万円、長期借入金の返済による支出7,614百万円を計上したこと等によるものであります。
当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金等であります。
当社は、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、銀行借入、社債調達を行っているほか、コミットメント・ライン及び銀行信用枠の設定等により、多様かつ十分な資金調達手段を確保しております。
なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当連結会計年度における仕入実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格で記載しております。
2.その他は、主に本社一括購入による仕入割戻であります。
3.上記の金額には、他勘定振替高は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。
(注) その他は、主に業務受託収入及び連結調整によるものであります。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グル-プの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。
① 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の判断及び見積りを伴う判断」に記載しております。
② 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、137,168百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。この主な要因は、のれんが2,818百万円、有形固定資産が2,580百万円、無形資産が1,726百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債は、93,179百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。この主な要因は、社債及び借入金が1,365百万円減少した一方で、リース負債が1,292百万円、未払法人所得税等が452百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の資本は、43,989百万円(前連結会計年度比11.7%増)となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容
当社は、2024年5月に創業25周年を迎え、長年培ってきた変化対応力を武器に、引き続き更なる飛躍を目指しております。具体的には、グループ連邦経営進化の一環として、グループ横断的な組織再編に取り組みました。各事業領域におけるナレッジ集約による専門性の強化及び人財交流の促進を目的に、2024年6月1日付けでダイニング事業領域の株式会社LG&EWを株式会社クリエイト・ダイニングが吸収合併いたしました。更に、コントラクト事業領域においては、2024年9月1日付けで、株式会社KRフードサービスのコントラクト事業を株式会社クリエイト・レストランツが吸収分割により承継し、人財配置の効率化を含めた、事業基盤の強化を進めております。
また、成長戦略の柱の1つである「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」の取り組みとして、米国アリゾナ州において「ワイルドフラワー」ブランドを展開するベーカリーレストラン事業を Wildflower Bread Company LLC から2024年9月3日付けで譲り受けました。これは、「日常」「定番」「地域密着」をキーワードに、アフターコロナを見据えたポートフォリオの強化を目的としたもので、米国での更なる事業拡大を目指すものであります。国内においても、本成長戦略に資する事業として、北海道札幌を代表するラーメン店「えびそば一幻」を運営する株式会社一幻フードカンパニーの発行済株式の全部を2024年10月1日付けで取得し、連結子会社といたしました。
そのほか、持続的な成長に不可欠な人的資本及びDXへの投資にも注力いたしました。人的資本に関しては、社員昇給ファンドの拡大や外国人採用の強化、雇用年齢の引き上げ、キャリアパスの多様化としてのエキスパート職導入、新入社員向けの特別休暇制度導入による福利厚生の充実等を通じ、多様な人財が多様な働き方を実現できる環境整備を進めました。また、DXにおきましては、配膳ロボ、モバイルオーダーシステムやセルフレジの導入を推進し、お客様の利便性の向上と店舗従業員の負担軽減の両立に取り組みました。今後につきましては、2026年2月期を初年度とした「本質的な課題を解決するための5年間」と位置付ける中期経営計画をもとに、持続的な成長基盤の確立と企業価値向上を目指してまいります。
(売上収益)
当連結会計年度の連結売上収益は、メリハリ消費や訪日外国人のインバウンド需要を捉えたことに加え、下期にWildflower Bread Company LLCから譲り受けたベーカリーレストラン事業、並びに下期にグループ入りした株式会社一幻フードカンパニーの貢献もあり、156,354百万円(前連結会計年度比7.3%増)となりました。
(営業利益、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン)
営業利益は、適正価格化による売上収益の増加により、原材料価格や人件費の上昇、M&Aに伴う費用等を吸収し、8,504百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
また、調整後EBITDAは26,124百万円(前連結会計年度比2.1%増)、調整後EBITDAマージンは16.7%(前連結会計年度は17.6%)となりました。
(親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率))
売上収益の増加に伴う当期純利益の積み上げ等により、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は29.3%(前連結会計年度は27.5%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は42.9%(前連結会計年度は41.1%)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「わくわく無限大! 個性いろいろ ともに創る 驚きの未来。」というグループミッションに基づき、個性豊かな事業会社の強みを活かしながら、様々な可能性に挑戦し、お客様だけでなく従業員や社会が驚くような未来を創ることにより、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。
今後の見通しにつきましては、国内の需要サイドでは、雇用環境の改善・賃上げトレンドの継続、インバウンド需要の拡大等により、堅調に推移すると予想されます。一方、供給サイドでは、年収の壁の上昇による緩和はあるものの、少子高齢化に伴う労働力不足は継続する見込みであることに加え、米国の政策動向、ロシア・ウクライナや中東情勢等、地政学的リスクに起因した国際情勢の不透明さもあり、原材料価格やエネルギーコストの高止まりが懸念される等、引き続き需給ギャップの深刻化が続くものと予想されます。
外食業界におきましては、国内消費は、インバウンド消費の継続等により堅調な需要は見込めるものの、インフレ疲れの様相が一部に見え始めていること、人財面では依然として供給不足が懸念されるほか、エネルギー資源価格、原材料価格、人件費の上昇といったインフレの継続等により、今後も厳しい経営環境が続くと予想されます。
このような環境の中、当社グループは、2026年2月期を初年度とした「本質的な課題を解決するための5年間」と位置付ける中期経営計画を策定し、持続的な成長基盤の確立と企業価値向上を目指してまいります。従来の重要な経営戦略である「マルチブランド・マルチロケーション戦略」と「グループ連邦経営」を、国内外の事業展開や組織体制を含めて包括的に再定義し、「グループ連邦経営2.0」として進化させてまいります。具体的には、成長の3本柱として、コアブランドを中心とした「本質的価値の進化」による既存事業の成長と新業態開発の加速、これまでの多くのM&Aにて蓄積したノウハウを最大限活用した「シナジーのあるM&A」の積極的な実行、既存展開地域でのポートフォリオ強化に加え新商圏への進出も含めた「海外事業の拡大」に取り組んでまいります。また、これらの成長を支える3つの基盤として、各ブランドと顧客に適したDXの推進やAIの活用によりホスピタリティと「テクノロジーの活用」を融合させ顧客満足度の向上を推進、社員昇給ファンドの拡大を含む「人的資本経営の推進」による働きがいのある職場づくり、持続可能な社会の実現に貢献する「サステナビリティ推進」にも取り組み、「豊かな食体験の共創にチャレンジしつづけ、ステークホルダーから末永く選ばれるプロフェッショナルチーム」になることを目指してまいります。
以上を踏まえ、2026年2月期の通期業績予想といたしましては、売上収益1,650億円、営業利益96億円、税引前当期利益88億円、当期利益65億円、親会社の所有者に帰属する当期利益58億円を見込んでおります。また、調整後EBITDAは272億円、調整後EBITDAマージンは16.5%を見込んでおります。
新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
(1)Create Restaurants DE LLCによるWildflower Bread Company LLCのベーカリーレストラン事業の譲受
当社は、2024年8月6日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるCreate Restaurants DE LLCを通じてWildflower Bread Company LLCのベーカリーレストラン事業を譲受ることを決議し、2024年8月6日付で事業譲渡契約を締結しました。当契約に基づき2024年9月3日付で事業の譲受を完了いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 8.企業結合」に記載のとおりであります。
(2)株式会社一幻フードカンパニーの株式取得
当社は、2024年9月6日開催の取締役会において、北海道札幌を代表するラーメン店「えびそば一幻」を運営する株式会社一幻フードカンパニーの株式を取得し、連結子会社とすることを決議いたしました。また、2024年9月6日付で株式譲渡契約を締結し、当契約に基づき2024年10月1日付で株式の取得を完了いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 8.企業結合」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。