第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 DCMグループは、同じ志のホームセンターが集まり、業務基盤を統合・革新させながら着実に成長してまいりました。2021年度には、ホームセンター事業会社5社をDCM株式会社として統合し、2022年度に店名の統一、店舗サイン・ロゴ等の刷新に取り組みました。また2024年1月には関東・中部・近畿を中心にホームセンター事業を展開する株式会社ケーヨーを完全子会社化し、2024年9月に合併いたしました。全国843店舗のネットワークを生かし、これまで以上に、お客さまに寄り添い、地域で信頼される店を目指してまいります。消費トレンドの大きな変化や急速なIT化・デジタル化、物流改革の進展等に対応すべく、DIY(Do It Yourself)を核とする商品・サービスの開発に取り組むことなどにより、お客さまの快適なくらしを総合的に支える生活快適化総合企業、いわばお客さまの生活のさまざまな面におけるハブ/プラットフォームとしての存在・企業として、来るべき未来に対応する2つの“DCM”(「Demand Chain Management=お客さま視点からの流通改革」と「Do Create Mystyle=くらしの夢をカタチに」)の実現を、より一層追求してまいります。当社グループはこの2つの“DCM”を実現することで社会的に必要とされ、人々に信頼され、永続するために、単なるホームセンターにとどまることなく、新しい価値を提供してまいります。

 

<社是>

 奉仕・創造・団結

 

<経営理念>

 Do Create Mystyle

 くらしの夢をカタチに

 

<行動理念>

 Demand Chain Management for Customer

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 2025年度は、「新世代ホームセンター創造への挑戦~店舗の“再”活性化+事業領域の拡大~」を方針とする第3次中期経営計画の3年目となります。各事業戦略は計画に沿って着実に進めており、2030年のビジョンである「生活快適化総合企業」の実現へ向け、全社一丸となって取り組んでおります。具体的には既存店改革を中心とした店舗戦略、ローコストオペレーションの更なる追求、独自の“BOPIS”スタイルの構築、プライベートブランド商品開発体制の深化、M&A推進による事業領域の拡大に取り組むとともに、サステナブルな事業価値、株主価値拡大の創出を追求し、豊かなくらしを総合的に提供する企業、社会に不可欠な存在となることを目指してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、売上高営業利益率6.4%、自己資本利益率(ROE)7.5%を、2026年2月期を達成年度とする中期経営計画の目標とし、収益性と資本効率を高めることに努めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 小売業界におきましては、エネルギー価格や原材料価格の高騰、急激な為替の変動、物価上昇による消費者の生活防衛意識の高まりに伴う個人消費の停滞など先行きは不透明で厳しい経営環境にあります。加えて、業態の垣根を越えた競争もさらに厳しくなるものと思われます。

 このような環境の中、当社グループは、お客さまの消費行動の変化、コロナ禍を経たライフスタイルの変化、高齢化や人口減少といった社会環境の変化、Eコマースやキャッシュレス決済の利用拡大といった日本経済におけるデジタル技術の変化や進化に対して、これまで以上に迅速かつ効果的に対応していく必要があると考えており、以下の重点施策に取り組んでまいります。

 ①店舗戦略

店舗規模別役割の明確化と内製改装チームの編成による既存店改革を中心とした店舗戦略を推し進め、より身近なより便利な店舗づくりに努めてまいります。

②ローコストオペレーションの更なる追求

棚割改革・物流改革・DX推進による合理的な仕組みづくり、店舗ツールの開発を積極的に行い、店舗作業の軽減・効率化を図り、ローコストオペレーションに取り組んでまいります。

 

③独自のBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)スタイルの構築

リアル店舗とオンライン事業の融合によるシームレス化を推進し、我が社独自のBOPISスタイルを構築し、新しいホームセンターの形を創造することにより、お客さまの利便性向上に努めてまいります。

④プライベートブランド商品開発体制の深化

業態特性の強い領域(DIY・園芸・ペット用品・SDGs関連)の商品および中価格帯商品の開発に注力し、プライベートブランド商品の売上構成比率を拡大、荒利益率の改善に取り組んでまいります。

⑤M&Aの推進

ホームセンターのエリア拡大ならびに、プライベートブランド商品の販路拡大を目指します。また、生活快適化総合企業へ変革するために異業種連携・機能強化による事業領域の拡大を目的とし、協働・共創を通じたM&Aを積極的に推し進めてまいります。

⑥人的資本経営

個人の価値観を尊重できる風土や成長と自己実現ができる環境づくりに取り組んでまいります。また、「株式付与ESOP信託」の導入など、従業員の企業価値向上意識を醸成するとともに「健康経営」等の推進に取り組んでまいります。

⑦サステナビリティ

SDGs8つの重点課題(マテリアリティ)を軸にDIYを通じて「くらしと住まいの快適化」を実現する価値創造企業を目指すと共にホームセンターとしての社会的使命を果たし、持続可能な成長を支える経営基盤の構築に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社グループは、経営理念「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」にもとづき、お客さまのために新しい商品・サービスを創造し、変化に柔軟に対応しながら、地域と団結し、社会に奉仕する、なくてはならない企業でありたいと考えています。ホームセンターは、DIY(Do It Yourself)、つまり「モノを自分で補修しながら大切に長く使う」ことをサポートする店であります。ホームセンターの存在そのものがサステナビリティであり、当社グループは2006年の会社設立当初からその思いを大切にし、サステナビリティ経営に力を注いでおります。サステナビリティへの取り組みを強化し、2030年のビジョンである「生活快適化総合企業」を実現する価値創造企業として、社会・お客さま・地域に「新価値」を創造し続ける企業を目指してまいります。

 

(2)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関して、取締役会における監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。

 取締役会は、気候変動問題、SDGsの重点課題(マテリアリティ)を含むサステナビリティに関わる取り組みに対し、年1回以上、サステナビリティ委員会より報告を受け、進捗状況の監督・評価を行うとともに、適切に方針・取り組みの見直しを行います。

 サステナビリティ委員会は、当社代表取締役社長を委員長として、サステナビリティ担当役員、SDGsの重点課題(マテリアリティ)の責任者が委員として出席し、年2回以上開催いたします。サステナビリティ委員会では、気候変動問題をはじめ、サステナビリティに関する最新動向の調査・研究、進捗状況の確認と取り組み方針についての審議を行い、取締役会へ報告・提案を行います。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、リスク管理規定に基づき、内部統制委員会においてグループ全体のリスクを網羅的・包括的に管理し、リスク並びに損害の発生を最小限に止めるため、啓発・指導・教育等を行っております。気候変動リスクについても、このリスク管理体制のもとで管理しております。

 各部署は、毎年、リスクを洗い出し、リスクの影響度・発生頻度を考慮してリスクを評価し、対応策とともにリスク評価表にまとめて、内部統制委員会に提出します。このリスク評価表には、気候変動リスクも含まれます。内部統制委員会は、各部署から提出されたリスク評価と対策をもとに、グループ全体のリスク状況を網羅的に把握します。

 グループ全体の重大なリスクについては、「リスク内容」「リスクが発生した際の影響度」「リスクの発生頻度」等を総合的に評価して、リスクを回避・低減・移転・受容する判断を行っております。

 こうしたリスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、内部統制委員会よりサステナビリティ委員会に報告・共有した上で、毎年、取締役会に報告し、取締役会にて審議・監督しております。内部統制委員会では取締役会での審議後、リスク管理体制や対応策のモニタリングを継続的に実施しております。

 

(4)戦略並びに指標及び目標

 当社グループは、持続可能な社会の実現と企業価値の拡大に向け、SDGsの8つの重点課題グループと22の重点課題(マテリアリティ)を特定しております。2030年を見据えた中長期的な視点で、社会課題の影響によるDCMにとっての脅威と機会を見極め、企業としての成長と社会課題への貢献に向けたアプローチを明確にし、DIYを通じて「くらしと住まいの快適化」を実現する価値創造企業を目指します。

 

8つの重点課題グループと22の重点課題

重点課題グループ

重点課題

快適で持続可能な地域のくらしと

住まいの実現

・人と地域に愛される「くらしのバラエティストア」の構築

・あらゆる人への生活支援・便利サービスの進化

・地域のニーズに合わせた新たな事業の導入

・ハード特化型のプロ・DIY支援店舗の構築

商品と店舗による循環経済と脱炭素の推進

・豊かなくらし、資源循環と脱炭素に貢献する商品の開発・販売

・商品の包装・容器の削減

・店舗での廃棄物の回収・削減、再利用、リサイクルの推進

・店舗の省エネルギー推進と再生可能エネルギー利用の拡大

新たな価値を共創するお客さまとの

関係深化

・商品品質の追求とVoCを取り入れた改善

・DXによる事業・サービスの進化

・店舗でのDIY啓発と情報発信

災害に強いレジリエントな地域の支援

・地域の防災拠点としての確立

・防災用品の開発・販売

多様な人材が活躍できる職場づくりと

人権尊重

・人権尊重と多様性・女性活躍の推進

・人材開発と働きやすい職場づくり

・DXによる人材の高付加価値業務へのシフト

環境・社会に配慮したサプライチェーンの構築

・CSR調達の推進

・物流におけるCO2排出削減と資源有効利用の推進

コーポレートガバナンスの強化

・コーポレートガバナンスの強化と

責任あるステークホルダーとの対話

・コンプライアンスと腐敗防止

・リスクマネジメント

地域・コミュニティの発展

・地域と協働した環境保護・地域創生への貢献

 

①気候変動への対応

 当社グループでは、気候変動への対応を経営戦略における重要課題と位置づけ、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。

 気候変動がもたらす長期の「リスク」と「機会」を明確にし、「リスク」を低減して「機会」を拡大するための事業戦略立案に向けて、シナリオ分析を行っています。産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える目標に対応した分析を実施し、具体的には、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃の世界)」と、「温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃の世界)」の2つのシナリオを設定し、 気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)を分析いたしました。それぞれの対応策をSDGsの重点課題と紐づけて規定し、当社におけるサステナビリティ経営の一環として、気候変動対策に取り組んでまいります。

 

②人的資本に関する考え方及び取組

当社グループは「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」の経営理念のもと、豊かなくらしを総合的に提供する「生活快適化総合企業」への変革を目指しております。役割を明確にした店舗戦略、お客さまのくらしを豊かにする商品開発、リアル店舗とECサイトの利便性の融合による新たな購買様式の形成などにより「新世代ホームセンター」を創造することでお客さまの利便性向上の実現に取り組んでおります。

 その実現のための原動力は人材の多様性と創造力、自己成長への意欲であると考えております。個人の価値観を尊重した多様な人材が活躍できる環境づくりと、人材育成や自律的な学びへの積極的な支援により、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる組織の構築を進めております。従業員のウェルビーイング実現に向けた支援によるエンゲージメントの向上と、従業員の企業価値向上意識の醸成を通じて、持続的な企業の成長と価値の向上を図っております。

 

③指標及び目標

当社グループでは、環境負荷の低減や人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

 

・温室効果ガス排出量について

当社グループの温室効果ガス排出量削減目標として、Scope1+2の排出量につき、毎年4.2%の削減を目指してまいります。Scope3につきましては算出の精度を高めるとともに、お取引先さまとの協働による削減を検討してまいります。

2030年度 2020年度比で42%削減

2050年度 カーボンニュートラル(実質ゼロ)

 

・女性登用について

 管理職登用とスペシャリスト(中核人材)登用を両輪で進め、相乗効果を出していく方針であります。管理職登用までの育成期間に鑑み、離職を減らし勤続年数を長くしていくことが重要と考えております。人材配置におけるアンコンシャスバイアスを取り除き、成果が数字で見えやすいスペシャリスト登用で、挑戦・成果・成功および失敗経験を積み重ねることができるよう、育成のための配置や研修機会を積極的に増やしております。

 管理職に占める女性比率は、2030年度で7%以上(2025年3月現在3.4%)を目標にしております。

 

・キャリア採用者登用について

 新卒者に加え、キャリア採用についても積極的に実施しており、管理職に占めるキャリア採用者比率は15.0%(2025年3月現在)となっております。当面目標値を設定しない方針としておりますが、企業の成長には多様な経験を有する人材が必要不可欠と考えており、キャリア採用は継続していく予定です。

 

・外国人登用について

 当社は、外国人従業員を管理職に登用し多様性を確保することは、中長期的な企業価値の向上に資すると考えております。現在の管理職に占める外国人は数名に留まっており、当面目標値を設定しない方針としておりますが、多様性確保の観点から、外国人登用は継続していく予定です。

 

(5)人権方針

当社グループでは、社是に掲げる「奉仕 創造 団結」の精神のもと、経営理念である「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」を実現し、お客さまと「ともに」豊かなくらしを創造するため事業活動に取り組んでおります。また企業活動を通じ、お客さま、従業員、取引先、株主、地域社会などあらゆるステークホルダーの皆さまに「価値ある企業」として支持され続けることを目指しております。

 私たちは、経営理念の実現にあたり、多様な人材が活躍できる職場づくりと人権尊重を通じて、ステークホルダーの皆さまと協働しながら、人権が尊重される豊かなくらしを創造してまいります。

 重点取組課題としては、差別の禁止、過剰・不当な労働の禁止、強制労働の禁止、児童労働の禁止、賃金の不足・未払いの防止、労働安全衛生の確保、ハラスメント行為の禁止、結社の自由等です。

 

(6)調達方針

 当社グループは、経営理念にもとづいた「DCMホ-ルディングス コンプライアンス方針」「DCMホールディングス 人権方針」を全サプライヤー(輸送含む)の皆様にご理解・ご賛同いただき、共により良い社会、地域環境づくりと持続的な企業発展のため、また、労働における国際的な原則、宣言、規範に準拠することを明確化するため「DCMホールディングス 調達方針」を制定し、全てのサプライヤー様に遵守を要請いたしております。

 

(7)CSR活動

①植樹活動「DCMの森プロジェクト」

当社グループでは、2007年から自然環境保護を目的に植樹活動に取り組み、「DCMの森プロジェクト」として従業員とその家族のボランティアによる植樹活動を全国で展開しております。2025年度は北海道、東北、関東、中部、四国地方で活動予定です。

 

②防災支援活動

 当社グループでは、全国177の自治体との防災協定の締結をはじめ、自主防災組織での研修や小中学校等での防災授業、DCM各店舗での最新の防災ノウハウ・防災用品を紹介する防災啓発活動を実施しております。

 また、愛媛県松山市では、自力で防災対策が難しい高齢者世帯等に対し、産官学民協働による「新たな備えサポート隊」を通じて、「在宅避難」に向けた家具転倒防止や備蓄支援、「屋外避難」や「疎開避難」のための備えの提案をおこなっております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

ただし、これらは、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)リスク管理体制

当社グループは、リスク管理規程に基づき、内部統制委員会においてグループ全体のリスクを網羅的・包括的に管理し、リスク並びに損害の発生を最小限に止めるため、啓発・指導・教育等を行っております。

各部署リスク管理責任者は、毎年、リスクを洗い出し、リスクの影響度・発生頻度を考慮してリスクを評価し、対応策とともにリスク評価表にまとめて、内部統制委員会に提出します。内部統制委員会は、各部署リスク管理責任者から提出されたリスク評価と対策をもとに、グループ全体のリスク状況を網羅的に把握します。

こうしたリスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、毎年、取締役会に報告し、取締役会にて審議・監督しております。内部統制委員会では取締役会での審議後、リスク管理体制や対応策のモニタリングを継続的に実施しております。

 

(2)主要なリスク

①出店に関するリスク

当社グループは、積極的な店舗展開を行い、ドミナント化を推進してまいりますが、経済的情勢の変更等により出店用地の確保に時間を要する場合や、競合各社の出店等のさまざまな偶発的要因により、当社グループの出店計画に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの店舗の出店および増床に関しましては、「大規模小売店舗立地法」等の法的規制を受けております。「大規模小売店舗立地法」では、売場面積1,000㎡超の出店および増床について、地元自治体への届出が義務付けられており、駐車台数、交通渋滞、騒音、ごみ処理問題、環境問題等の規制が行われております。そのため、出店までに要する期間が長期化し、当社グループの出店計画に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、出店および既存店の増床の際は、地域住民・自治体との調整を図りながら、地域環境を考慮し法令遵守のうえ、店舗の出店を進めております。進捗状況は随時、経営会議等で情報共有しており、当社グループに影響があると判断した際は、速やかに関係部署で連携し対策を図ってまいります。

 

②気候変動に関するリスク

気候変動に伴う異常気象の増加により、商品供給体制をはじめ事業全体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、あらかじめ天候を予測し年間の販売促進計画を立てておりますが、冷夏、暖冬等の天候不順による季節商品の需要低下等により販売促進計画を下回った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取り組みを進めており、商品力の強化や商品企画・投入時期の見直しを行い、お客様のニーズに即した商品販売時期の適正化を図っております。

さらに、当社グループでは、気候変動問題を重要な経営課題と捉え、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、2050年までの温室効果ガス排出量削減目標を設定しております。具体的な対策につきましては、当社代表取締役社長を委員長とした「サスティナビリティ委員会」において、今後も検討を重ねてまいります。

 

③売上高の変動リスク

当社グループは、複数の商品を取り扱っており、同業他社はもちろんのこと他業態とも競合し、ますます競争が激しくなっております。そのような環境の中、競合各社の出店あるいは関係法令の改正施行等による、お客様の購買行動の変更等から、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、経営理念「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」に基づき、長期事業構想 『生活快適化総合企業への変革』を掲げ、既存店改革を中心とした店舗戦略、ローコストオペレーションの更なる追求、独自の“BOPIS”スタイルの構築、プライベートブランド商品開発体制の深化、M&Aの推進による事業領域の拡大を事業戦略とし、豊かなくらしを総合的に提供する企業、社会に不可欠な存在となることを目指し、取り組んでおります。

 

④自然災害等に関するリスク

当社グループが運営する店舗は、全て総合保険に加入しており、台風、火災、水害等による動産および不動産の損失補償がされておりますが、地震保険については補償内容および保険料を勘案し加入しておりません。このため、大規模な地震による建物の倒壊等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、ガイドラインおよび緊急対応マニュアルの策定、緊急連絡網の整備、安否確認システムの導入、定期訓練や必要物資の備蓄などの対策を講じております。

また、災害等発生時には対策本部を設置し、当社グループ各社が連携して事業継続が可能な体制を整えております。

 

⑤感染症に関するリスク

 感染症の流行により、商品供給の停滞、従業員の罹患、店舗の営業時間短縮や臨時休業などを余儀なくされる可能性があります。更に、感染症の流行が長期化することで、経済活動が停滞し、消費マインドが冷え込むこととなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、当該リスクが顕在化した際に、迅速かつ適切な行動が取れるようガイドラインを作成しております。

 

⑥PB商品に関するリスク

当社グループは、暮らしの必需品を中心とするPB商品(DCMブランド)の開発を積極的に行っております。PB商品(DCMブランド)の一部は海外から供給されており、配送についての混乱などで商品の入手が不安定になった場合、また、消費者のニーズにマッチした商品の開発ができなかった場合等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、安定した調達を継続するため、商品毎に生産国の見直しや産地分散、複数のサプライヤーから調達可能な体制を構築してまいります。

また、新規商品開発の際、従業員の声やアイデアを積極的に取り入れることのできる制度を構築し、お客さま視点の商品開発に注力しています。製造された商品については、事前に少量ロットでの試験販売を経て製品化することでリスクの低減に努めております。

 

⑦固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、今後、新たに減損損失を認識すべき資産について減損を計上することになった場合、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、減損兆候の有無を確認し、減損懸念が見込まれる場合は、収益性の向上に向けた取り組みを行いリスクの低減に努めております。

 

⑧為替相場の変動に関するリスク

当社グループは、仕入の一部を外貨建てで行っております。短期的な為替変動が当社の業績に与える影響は軽微なものであると考えられますが、想定以上の為替変動が生じた場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、為替予約を行うことでリスクの低減に努めております。

 

⑨金利変動に関するリスク

当社グループは、資金調達手段の多様化により財務環境の変動に柔軟に対応できる体制を整えておりますが、急速かつ大幅な金利上昇があった場合、支払利息の増加等により当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対して、当社グループでは、資金調達時に状況に応じて固定金利と変動金利を組み合わせることで、市場金利の変動による影響を可能な限り限定的にするよう努めております。

 

⑩個人情報の漏えいに関するリスク

当社グループは、自社カードの会員を主とする個人情報を保有しておりますが、不測の犯罪行為・事故等により個人情報が漏えいした場合、社会的信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

これらのリスクに対し、当社グループでは、情報セキュリティー対策等として、情報セキュリティーや個人情報取扱に関する規程を定め、規程に沿ったIT環境の構築、従業員に対する定期的な教育を行うとともに、標的型攻撃メール訓練など、情報セキュリティー対策の強化に努めております。

 

⑪企業買収及び事業等の譲受けに関するリスク

当社グループは、企業買収及び事業等の譲受け並びに資本業務提携等(以下「M&A」といいます。)を行う場合、対象会社に当社グループの経営方針を理解していただくことが重要であると考えております。

その上でM&Aを行った場合に、想定していなかった偶発債務や未認識の債務などが顕在化する可能性があります。また、当初想定していたシナジー効果が得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対し、当社グループでは、M&Aに際しては、対象会社の事業計画、財務内容、不動産・雇用契約関係等について、詳細にデューデリジェンスを行なっております。デューデリジェンス等により判明したリスクとM&Aにより見込まれるシナジー効果、取得価額の妥当性などについて、取締役会等において検討し、リスクの低減に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加等により景気は緩やかに回復しているものの、米国の政権交代に伴う政策動向、不安定な国際情勢や中国経済の低迷、エネルギー価格や原材料価格の高止まりに加え、長引く円安など依然として先行きの不透明な状況が続いております。

小売業界におきましては、雇用・所得環境の改善による個人消費の回復が見込まれているものの、デフレからインフレへと外部環境が大きく変化していく中、電気代や生活必需品などの物価上昇による生活防衛意識の高まり、また、業態を超えた販売競争もあり、引き続き厳しい経営環境にあります。

販売面につきましては、春先の全国的な低温傾向から始まり、記録的猛暑や長引く残暑など、年間を通して天候不順の影響を受けました。節約志向の高まりによる買い控えなど厳しい状況は継続しておりますが、夏場のエアコンや12月以降の暖房用品など、冷暖房機器が好調に推移しました。DCMブランド商品につきましては、原材料価格の上昇と円安による仕入価格の上昇、物流コスト上昇などの影響を受けておりますが、環境に配慮した商品開発、節電や節約商品の新規展開、販促強化などに取り組んだ効果もあり、売上高構成比率を引き上げることができました。また、エクスプライス㈱のPB商品(MAXZEN)についても重点販売に取り組んでまいりました。

当社グループの新規出店につきましては13店舗、退店につきましては10店舗を実施しました。これにより、当連結会計年度末日現在の店舗数は843店舗となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して252億2百万円増加し、6,479億3千6百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して121億7千7百万円増加し、3,836億3千7百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して130億2千5百万円増加し、2,642億9千9百万円となりました。

 

ロ.経営成績

営業収益は5,446億2百万円(前年同期比111.5%)、営業利益は332億3千0百万円(前年同期比115.8%)、経常利益は309億9千7百万円(前年同期比113.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、171億4千4百万円(前年同期比79.9%)となりました。

 

ハ.セグメント別の状況

セグメント別の経営成績については、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご覧ください。

 

ニ.主要商品部門別の状況

(園芸部門)

天候不順の影響によって、植物や関連する肥料、用土は年間を通して低調でした。一方、土嚢袋などの防災用品は好調に推移しました。また、2月の強力な寒波の影響で除雪用品も好調でした。その結果、売上高は774億5千0百万円(前年同期比117.5%)となりました。

(ホームインプルーブメント部門)

12月以降の気温低下に伴って、防寒衣料や断熱用品が好調に推移しました。家具転倒防止用品などの防災用品や、窓用フィルムなどの防犯用品につきましては、需要の高まりにより好調に推移しました。その結果、売上高は1,063億3千7百万円(前年同期比111.7%)となりました。

(ホームレジャー・ペット部門)

犬猫フードを中心としたペット用品は低調でした。自転車用ヘルメットは前期の法令改正に伴う特需の反動を受け低調でしたが、自転車本体は好調に推移し、自転車関連全体では前年を上回りました。カー用品につきましては、バッテリーやワイパーなどの整備用品は好調でした。その結果、売上高は753億4千7百万円(前年同期比112.8%)となりました。

(ハウスキーピング部門)

マスクなど衛生用品の需要は低下しておりますが、節約志向に対する企画品強化によって、トイレットペーパーなどの紙関連商品や洗剤は好調に推移しました。また、水や非常食、米などの食品が好調に推移しました。その結果、売上高は1,166億7千1百万円(前年同期比117.8%)となりました。

(ホームファニシング部門)

気温の低下に伴って、秋冬物のクッションやラグ、こたつ布団などが伸長しましたが、節約志向の高まりによる買い控えの影響を受けて、部門全体で低調でした。その結果、売上高は245億5千1百万円(前年同期比111.2%)となりました。

(ホームエレクトロニクス部門)

夏場は猛暑の影響でエアコンが好調でした。暖房機器などの冬物商品は低調な滑り出しでしたが、12月以降は好調に推移しました。また、防犯意識の高まりにより、セキュリティ用品も好調に推移しました。その結果、売上高は540億8百万円(前年同期比118.1%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは365億3千4百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ44億3千2百万円収入が増加いたしました。主な要因は、法人税等の支払額の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは149億2千5百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ430億5千6百万円支出が減少いたしました。主な要因は、ケーヨー株式取得による支出の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは40億6千5百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ599億4百万円収入が減少いたしました。主な要因は、借入れの返済によるものであります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ256億7千4百万円増加し、1,194億7百万円となりました。

 

③ 仕入及び販売の実績

当社グループ(当社、連結子会社7社、以下同じ)は、ホームセンター事業及びEC事業を主たる業務としているため、生産及び受注の実績は記載しておりません。また、投資情報の有用性の観点から、連結子会社を基礎とした業態別のセグメントに代えて、事業部門別に仕入及び販売の実績を記載しております。

イ.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

 至 2025年2月28日)

(百万円)

前期比(%)

 ホームセンター事業

 

 

  園芸

48,719

114.3

  ホームインプルーブメント

66,356

110.9

  ホームレジャー・ペット

48,204

110.3

  ハウスキーピング

78,701

121.8

  ホームファニシング

14,297

114.9

  ホームエレクトロニクス

33,530

115.2

  その他

10,820

110.8

  商品供給高他

788

10.1

 ホームセンター事業計

301,419

111.7

 エクスプライス事業

53,971

103.7

 その他の事業

 合計

355,391

110.4

 

(注)ホームセンター事業の部門別の主な取扱商品は、次のとおりであります。

部門

取扱商品

 園芸

 園芸用品、大型機械、農業・業務資材、屋外資材、植物他

 ホームインプルーブメント

 作業用品、金物、工具、塗料、補修、木材、建築資材他

 ホームレジャー・ペット

 カー用品、スポーツ、玩具、自転車、レジャー、ペット用品他

 ハウスキーピング

 日用消耗品、文具、ダイニング・キッチン、バス・トイレタリー、

 ヘルスケア・ビューティケア、食品他

 ホームファニシング

 インテリア、寝具、家具収納他

 ホームエレクトロニクス

 家庭電器、冷暖房、電材・照明、AV情報機器、住宅設備、エクステリア他

 その他

 テナント植物、テナントペット、灯油、工事費、サービス料他

 

 

ロ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

 至 2025年2月28日)

(百万円)

前期比(%)

 ホームセンター事業

 

 

  園芸

77,450

117.5

  ホームインプルーブメント

106,337

111.7

  ホームレジャー・ペット

75,347

112.8

  ハウスキーピング

116,671

117.8

  ホームファニシング

24,551

111.2

  ホームエレクトロニクス

54,008

118.1

  その他

16,550

111.0

  商品供給高他

1,316

13.1

 ホームセンター事業計

472,234

112.5

 エクスプライス事業

63,649

103.9

 その他の事業

248

64.1

 合計

536,132

111.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態

 当連結会計年度末における資産残高は、長期借入の実行による現金及び預金増加、13店舗出店による有形固定資産の増加などから、資産合計は前連結会計年度末に比較して252億2百万円増加し、6,479億3千6百万円となりました。

 負債残高は、長期借入の実行や社債の発行などから、負債合計は前連結会計年度末に比較して121億7千7百万円増加し、3,836億3千7百万円となりました。

 純資産残高は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加の一方、配当金支払いによる減少などから、純資産合計は前連結会計年度末に比較して130億2千5百万円増加し、2,642億9千9百万円となりました。

 

ロ.経営成績

(売上高)

記録的猛暑や残暑の長期化、暖冬など年間を通して天候不順の影響を受けましたが、2023年11月30日の株式会社ケーヨーの連結子会社化により、売上高は5,361億3千2百万円(前期比111.4%)となりました。

 

(売上総利益)

定番商品の商品構成の見直しやDCMブランドの売上構成比の上昇、2023年11月30日の株式会社ケーヨーの連結子会社化により、売上総利益は1,826億6千0百万円(前期比114.0%)となりました。

 

(営業利益)

2023年11月30日の株式会社ケーヨーの連結子会社化により、前期に比べて販売費及び一般管理費が190億1千4百万円増加したものの、全体的に販売費及び一般管理費をコントロールしたことにより、営業利益は332億3千0百万円(前期比115.8%)となりました。

 

(経常利益)

新規長期借入金の調達による支払利息が増加したものの、2023年11月30日の株式会社ケーヨーの連結子会社化により、経常利益は309億9千7百万円(前期比113.1%)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

減損損失18億5千5百万円の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は171億4千4百万円(前期比79.9%)となりました。

 

ハ.中期経営計画の進捗状況

当社グループは、2026年2月期を最終年度とする中期経営計画(2023年度~2025年度)を策定しており、その進捗状況については次のとおりであります。

 

2024年度

(2025年2月期)実績

2024年度

(2025年2月期)計画

達成状況

売上高

536,132百万円

542,000百万円

98.9%

営業利益

33,230百万円

34,000百万円

97.7%

営業利益率

6.2%

6.3%

△0.1ポイント

経常利益

30,997百万円

32,800百万円

94.5%

親会社株主に帰属する

当期純利益

17,144百万円

19,400百万円

88.4%

ROE

6.7%

7.7%

△1.0ポイント

当社グループは、営業利益率、ROEを重要な指標として位置付けております。

当連結会計年度における営業利益率は6.2%(前期比0.2ポイント増加)、ROEは6.7%(前期比2.0ポイント減少)となりました。

 

ニ.資本の財源及び資金の流動性

1)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益291億4百万円、減価償却費133億8千9百万円に法人税等の支払額85億0百万円や仕入債務10億3千6百万円の減少などから365億3千4百万円の収入(前連結会計年度は321億1百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、新規出店や改装などによる有形固定資産の取得による支出139億2千4百万円、ソフトウエアなどの無形固定資産の取得による支出25億5百万円などにより、149億2千5百万円の支出(前連結会計年度は579億8千1百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入770億円、長期借入金の返済による支出328億6千1百万円、配当金の支払いによる支出61億1千2百万円などにより、40億6千5百万円の収入(前連結会計年度は639億6千9百万円の収入)となりました。

 

2)契約債務

2025年2月28日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

社債

35,000

35,000

長期借入金

241,240

52,444

129,838

51,875

7,081

リース債務

17,352

1,412

2,835

2,722

10,382

 

3)財務政策

(資金需要)

当社グループの資金需要は、営業活動については、商品販売に必要な運転資金(商品仕入、販管費等)が主な内容であります。

投資活動については、店舗の出店・修繕、生産性向上のための設備投資などが主な内容であります。加えて、企業買収及び事業等の譲受け並びに資本業務提携等(以下「M&A」といいます。)による資金需要が随時発生いたします。

 

(財務政策)

当社グループは、運転資金については内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。

設備投資については、営業キャッシュ・フローの範囲内で実施することを基本としておりますが、不足が生じた場合並びにM&A実行時は、長期借入金・社債等により調達を行っております。

長期借入金、社債等の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を勘案し、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しております。

現時点では、M&Aによる規模拡大を重要視しており、機動的に対応できるよう手許資金を厚くする方針であります。平常時はグループファイナンスにより、当社グループ内での余剰資金の有効活用・有利子負債の圧縮を図っております。

株主還元については、成長投資による中長期的な企業価値向上と株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。連結配当性向については、35%を目安とし、持続可能な成長に向けて必要となる設備投資等の資金を確保しつつ、利益成長にあわせて増配等を行う方針です。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 経営指導に関する契約

 当社は、当社の子会社であるDCM㈱との間で、当該子会社に対して当社が行う経営指導に関し、「経営指導に関する契約」を締結しております。

 

(2) 資本業務提携契約

 当社は、㈱カンセキと「資本業務提携契約」を締結しております。

 

(3) 合併契約

 当社は、2024年4月12日開催の取締役会において、完全子会社であるDCM㈱と㈱ケーヨーの2社について、DCM㈱を存続会社、㈱ケーヨーを消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2024年7月11日に「合併契約書」を締結しております。

 

(4) 株式交換契約

 当社は、2025年5月9日開催の取締役会において、当社を親会社とし、㈱エンチョーを完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式交換契約を締結しました。

 詳細につきましては、「連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載の通りであります。

 

(5) その他の契約

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。