第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、『仕事を通じ社会に寄与する』『会社に関係するすべての人々の幸福を追求する』という「創業の理念」のもと、セキュリティ事業を中核事業として、お客さまから信頼される良質なサービスを提供することにより、社会の安全に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、全ての人々の想いを、パートナーとなって実現する企業を目指し、セキュリティ事業を中心とした事業の拡大及び業務全般における効率化と合理化の推進による、収益力の向上に取り組んでおり、経営指標としては「連結売上高」と「連結営業利益率」を重視しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 ①ブランドコンセプトと中期経営計画「想い2030 ~連携して実現する~」の推進

 当社グループのブランドコンセプトを「Creative Security Partner」(CSP)とし、標語を「私たちは「Creative Security Partner」として、安全・安心・快適な社会基盤を提供します」に定め、私たちの想いの実現を目指してまいります。

 

当社グループに関係する人々の想いは、以下の通りであります。

 

お客さま

・いつも見守り、いざという時は速やかに駆け付けて、寄り添い、対応します。

・課題の解決策や業務の改善策を提供して、実現します。

 

一緒に仕事をする会社や人々

・お客さまのために、連携してより良いモノやサービスを提供して

 お互いの貢献度に応じて利益を配分して、三方良しを実現します。

 

社  員

・キャリアアップイメージを示して、教育や資格取得の充実と、昇進制度や人財運用の

 最適化を図り、社員が自信を持って仕事ができることを実現します。

・仕事もプライベートも充実できる賃金・勤務制度・職場環境を実現します。

 

株  主

・会社を持続的に発展させて、配当を着実に増やしていきます。

・PBRを意識して企業価値を上げる取り組みを行います。

 

 

②中期経営計画「想い2030 ~連携して実現する~」の対象期間:2026年2月期から2030年2月期まで

 

③最終年度の経営目標

 

項 目

最終年度の目標数値

 

売 上 高

900億円

 

営業利益

54億円

 

営業利益率

6.0%

 

 

 

(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題

 今後のわが国の経済は、賃金上昇等による個人消費の拡大や内需の底堅い成長等により、国内経済は回復基調が継続すると期待されます。一方で、物価高への懸念が継続していることに加え、国外では中東地域での紛争、ロシアによるウクライナ侵攻など不安定な海外情勢の長期化や、中国経済の停滞、不安定な為替相場、アメリカによる相互関税の設定等の今後の政策動向など、現時点では先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。

 こうした情勢のもと当社グループの見通しは、いまだに続く物価上昇に配慮するとともに、今後の持続的な成長を実現するために必要な人材を維持・確保することを目的とした処遇改善を実施いたします。本取り組み実現に伴う人件費の増加により、厳しい業績が予想されますが、TAKANAWA GATEWAY CITYをはじめとした再開発件名への次世代警備サービスの提供を実現するとともに、引き続き持続的な成長と更なる企業価値の向上に努めてまいります。

 

 2025年3月27日にまちびらきが行われたTAKANAWA GATEWAY CITYにおいて、当社が提供する次世代警備サービスを開始いたします。「この街には、CSPがいる。」をコンセプトに、これまで培った技術とノウハウを結集し、人(警備員)と技術(セキュリティプラットフォーム「梯(かけはし)」、画像サービス、警備ロボットなど)を融合させ、街全体を守る高度な警備サービスの実現で、この街に関係するすべての皆さまに安全・安心をご提供いたします。また、当社は今後も同様の街づくりに対して、本サービスを提供してまいります。

 本年4月には日本連合警備株式会社の全株式を取得し、新たに連結子会社といたしました。日本連合警備は、山梨県内で機械警備をメインに事業を展開する企業であり、当社の直接の支社・事業部のないエリアの機械警備事業の強化を図るとともに、更なるグループ企業の収益拡大を目指すものです。

 当社が推進するサスティナビリティ活動の一環として、2023年から一部の事業所で再生可能エネルギーの導入を開始しております。更に当社が保有する施設である東京研修センターにおいて、2025年3月から再生可能エネルギー由来の電力の調達を開始し、当該施設におけるCO₂排出量実質ゼロ(※)を実現しました。今後は更に再生可能エネルギーの導入拡大を目指してまいります。(※非化石証書による環境価値付加)

 中期経営計画「想い2030 ~連携して実現する~」の推進により、経営基盤を確固たるものとし、警備会社として安全・安心・快適な社会基盤を提供するとともに、私たちの想いの実現を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループはサスティナビリティに関する取り組みを推進するため「サスティナビリティ委員会及び同推進室」を設置し、以下のサスティナビリティ基本方針を策定し、さらにマテリアリティを選定しました。

 

(1)サスティナビリティ基本方針

当社では、「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」を創業の理念(=志)とし、当社グループの全社員がこの“志“を胸に、「安全・安心」な社会づくりに向けて日々の業務に取り組んでいます。

当社グループは、この先も「安全・安心」な社会に寄り添い続けるため、「社会的課題の解決」と「事業の持続的成長」の両立を目指し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(2)マテリアリティ

サスティナビリティに関する取り組みの一環として、ステークホルダーからの期待や影響度の観点、当社グループの成長や社会の持続化の可能性への寄与の観点から6つのマテリアリティ(持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて対処すべき重要課題)を選定し、優先的に取り組んでいくテーマを明確化しました。

 

マテリアリティ

ESG区分

具体的な取り組み

技術サービス企業の実現

S:社会(顧客)

・セキュリティプラットフォーム「梯」の開発と活用の推進

・画像解析監視サービス「VACSシステム」

・先端技術を取り入れた新しい警備

安全・安心・快適なまちづくりへの貢献

S:社会(顧客)

・社会インフラへの安全・安心の提供

・労働人口減少に対応した生産性向上を実現する警備サービ

 スの提供

・日常の暮らしに寄り添うサービスの提供

・社会的脅威・BCPへのサポート

・警備品質の向上

人づくりと職場環境の整備

S:社会(従業員)

・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

・働き方改革、ワーク・ライフ・バランスへの取り組み

ガバナンスの強化

G:ガバナンス

・ISMS認証の確立と強化

・コーポレートガバナンス体制

・グループガバナンス

環境への配慮

E:環境

・BEVなど脱炭素車へのシフト

・制服におけるサスティナブルな取り組み

地域社会への貢献と連携

S:社会(地域)

・地球環境に優しい施設の運営

・地域における取り組み

 

 

 

(3)ガバナンス

当社グループは、気候変動がもたらす環境・社会への影響を深く認識し、事業活動における温室効果ガス排出の低減を重要課題の一つとして位置づけています。気候変動に係る基本方針や重要事項は、サスティナビリティ委員会で審議するとともに、定期的に取締役会へ報告し、取締役会の監督が適切に図られる体制を整えています。

 

(取締役会)

取締役会では、サスティナビリティ委員会から年4回報告を受け、気候変動対応についての基本方針や目標設定、主要施策の最終決定や気候変動関連リスク及び機会の把握や対応方針の決定を行うとともに、気候変動対応に係る執行側の取り組みを監督しています。

 

(サスティナビリティ委員会)

当社は、気候変動を含むサスティナビリティ課題を審議する機関として、社長が委員長(最高責任者)を務め、主に経営会議のメンバーで構成されるサスティナビリティ委員会を設置し、サスティナビリティに関する取り組みを推進しています。

当委員会は隔月で開催され、気候変動対応についての基本方針や目標設定、主要施策を審議するとともに、気候変動関連リスク及び機会の識別・評価、リスク対応策等の審議を行っています。

 

(サスティナビリティ推進室)

社内関連部署・子会社と連携して、当社グループに関連する気候変動関連リスク及び機会の識別・評価、リスク対応策等を検討し、サスティナビリティ委員会へ報告を行っています。また、リスク及び機会の分析と推進管理を行っています。

 

(ガバナンス体制図)


 

〔環境課題への取り組み〕

(1)戦略

気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し戦略の策定を進めるため、当社グループの事業を対象にTCFDが提言する気候変動シナリオ分析と気候関連リスク・機会の選定、財務インパクトの評価を、2030年までの期間をタイムホライズンに実施しました。

なお、シナリオ分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書に示されている、最も気温上昇の低いシナリオ「SSP1-1.9(約1.5℃)」「SSP1-2.6(約2℃)」と、最も気温上昇が高いシナリオ「SSP5-8.5(約4℃)」に基づき、当社における気候関連のリスクと機会について主に定性的な手法を用いて分析しました。

識別した気候変動関連リスクが顕在化する可能性や時期、顕在化した場合の影響と現在の対策の状況等を評価した結果、いずれの項目についても重要な影響はありませんでした。しかしながら、喫緊の課題である温室効果ガス排出量削減に向け、2030年や2050年を見据えた中長期計画を策定し、オフィス照明のLED化による消費電力の削減、業務車両のEV・HV化など、各種施策を推進しています。

今後も継続的にリスク評価を行うとともに、適切なリスク管理やビジネス機会を検討し、「安全・安心・快適なまちづくり」への貢献を目指します。

 

(気候関連リスクに関する影響度の分析表)

分類

リスク内容

影響度

(2030年時点)

対応策

機会

移行リスク

(1.5℃シナリオ)

政策

/規制

炭素税導入に伴うガソリン等の燃料価格や電力価格の増加

化石燃料電力から再生可能エネルギー電力へのシフト

公共交通機関の利用者増加に伴う警備需要の増加

電力消費量削減のため、照明設備・空調設備・OA機器の省エネ機器へのシフト

節電によるコスト低減

現場使用車両をEV車、PHV車、EVスクーターを導入、電動キックボードの導入を検討

EV車、FCEV車の普及に付随したサービス需要の増加

警備用車両の排ガス規制の強化に伴うEV車両等への切り替えによるコスト増加

現場使用車両の一部をEVスクーター等へ切り替えることによるコストの抑制

物理的リスク

(4℃シナリオ)

慢性

気温上昇に伴う警備隊員の熱中症のリスクへの対策費用の増加

新制服への切替に伴う新素材の導入

カメラシステム等の最先端機械警備の推進(屋外活動の抑止)

最先端警備機器を活用した警備需要の増加

感染症発生頻度の増加

・BCPの見直しによる、業務継続運用の確保

・検査キット、感染予防対策の拡充

ホームセキュリティー需要の増加(在宅勤務の増加による)

急性

異常気象の発生に伴い警備体制・警備業務への支障(警備対策施設が存在するエリアでの風水害被害の発生に伴う異常対処業務の増加による警備体制の維持困難)や契約先に設置している警備機器損傷による修理・交換等の対応コストの発生

・BCPの見直しによる、業務継続運用の確保

・気象情報等の早期入手による隊員の避難

・気象情報に基づく契約先への情報提供

・警備機器損害保険等の加入検討

・安否確認サービス内容の検討による提供情報内容の拡充

BCPソリューションズの提供(安否確認サービス需要の拡大・災害時のドローン活用)

 

 

 

(2)リスク管理

当社グループを取り巻くリスクは常に変化しており、外部環境等の変化により急激に顕在化するリスクへの対応や、危機発生時に迅速に対応するための体制強化は当社の重要課題であります。このため、経営会議をはじめとする諸会議の機動的運営やトップマネジメントとの緊密な意思疎通を行い、当社を取り巻くリスクに対する管理体制を整備しています。なお重大なリスクが発生した場合には、社長を中心にリスク軽減等に取り組み、会社全体として対応する体制をとっています。

気候関連リスクについては、サスティナビリティ推進室が中心となり、社内の関連部署・子会社と連携して当社グループに関連する気候関連リスクの識別・評価、対応策の検討と進捗管理を行っています。その内容はサスティナビリティ委員会での審議を経て、取締役会へ報告されています。

 

(3)指標及び目標

気候変動によるリスクを緩和し、機会を拡大するため、当社グループは温室効果ガス排出削減目標を定め、削減施策を推進しています。

 

●短期目標:Scope1及び2のCO2排出量を毎年4.2%ずつ削減する

●中期目標:Scope1及び2のCO2排出量を2030年度までに2020年度比50%削減する

●長期目標:Scope1及び2のCO2排出量を2045年度までに実質ゼロとする

 

(CSPグループ温室効果ガス排出量)


 2021年6月 CSP東北株式会社連結子会社化

 2023年1月 株式会社CSPクリエイティブサービス連結子会社化

 2023年4月 東亜警備保障株式会社連結子会社化

 

〔人的資本への取り組み〕

(1)基本的な考え方

私たちは、社員をもっとも大切な財産”人財”と捉え、社員一人ひとりが生き生きと働き、「チャレンジを続けて未来を創造していく」ことが、持続的成長と企業価値を高める原動力と考えています。

人財の育成においては、社員の健康・意欲・働きがいを何よりも大切に考え、「多様な人財が働きがいを実感できる会社にする」の実現に向けて、全ての社員を対象としたダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、社員一人ひとりが能力を十分に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。

2023年にはCSPグループ人権方針を制定し、人種・宗教・性別・年齢・性的指向・国籍・言語・障がい等を理由としてあらゆる差別やハラスメント、人権侵害を排除し、その人らしい生き方や働き方を認め合う組織風土の醸成に力を入れています。

 

(2)目指すべき人財像

当社では、創業の理念とともに、社訓「厳粛なる規律」「鞏固なる責任」「脈々たる創意」「渾然たる融和」「確乎たる矜持」を定めています。社訓は全員が共有するコアバリュー(価値観)として根付き、その価値観をベースに私たちの目指すべき人財像を定めています。

 


 

(3)人財の育成及び社内環境整備に関する方針

①人財育成体制

当社の人財育成は、「試験制度」による昇進昇格、「研修制度」によるOff‐JTの機会提供、「キャリア支援制度」によるキャリア形成で構成しています。

「試験制度」は経験や能力が一定の水準に達した社員に対して、定期的な昇格試験を実施しています。試験に合格した社員は、積極的に役職者に登用することで将来のリーダーを育成する制度です。

「研修制度」は、新入社員から管理職社員に至るまで、階層や職種に応じたプログラムを用意しており、全社員がOFF-JT、OJT両方で技能を高めることができる環境を整えています。なお、コンプライアンスに関わる研修は全階層で定期的に実施しています。

「キャリア支援制度」には、自己申告制度、社内インターンシップ制度、資格取得奨励制度、各種表彰制度など、社員の目標や希望を叶えるための人事制度を整備しています。さらに選抜された社員をそれぞれの育成計画に基づき、複数の職場経験を積みながら、役職者や管理職社員を育成する制度も運用しています。

 

 

②キャリア支援制度
 a.自己申告制度

社員のキャリア形成の希望、身上変化や仕事に対する悩みなどを把握することを目的として、年1回全社員を対象とした自己申告を実施しています。本制度の結果をもとに上司との面談を行い、個人的な相談を含め今後のキャリアへの希望を確認するなど、社員一人ひとりの声をしっかり聴く制度です。

 b.社内インターンシップ制度

2022年度から社内の他の職種に興味・関心のある、主に若手の社員を対象に、実際に各職域(警務・営業・技術・開発・事務)の業務を体験する社内インターンシップ制度を実施しています。各職域を超えた相互理解、ノウハウの共有、自身の知見を広め、自己実現と成長を促進する機会となり、今後のキャリア形成を支援する制度です。

 c.資格取得奨励制度

社員が技能向上に資する自己啓発を支援するため、資格取得奨励制度を実施しています。業務上必要な資格・免許の取得に限らず、個人の知識向上のための資格・免許の取得についても奨励しています。奨励する各種資格は社会やお客さまのニーズに合わせ、定期的に見直しを行っています。資格取得奨励制度は、会社の費用負担、及び一部補助により、多くの社員が本制度を利用して自己研鑽に励んでいます。

種類

内容

資格数(2025年2月現在)

職能別資格

業務遂行上、必要とするもの

警務職:45資格(各種警備業務検定など)

技術職:45資格(1級電気通信工事施工管理技士など)

営業職:13資格(セキュリティプランナーなど)

事務職: 8資格(衛生管理者など)

チャレンジ資格

個人の資質向上に有効で会社が奨励する資格

全職種共通:83資格

(防火管理者、ビジネス能力検定、ITパスポート、TOEIC、秘書検定など)

 

 

 d.各種表彰制度

会社の信頼を高める行動、災害・盗難などの発生時に功績があった行動、人命救助に関わる行動、及び安全運転の遂行などに対し、その功績を称える表彰制度があります。また、2015年から警備品質の向上を掲げてCS推進活動を展開しており、お客さまニーズに寄り添った行動や取り組みに対するCS推進表彰も行っています。

表彰は社長表彰・本部長表彰・部長表彰など段階的になっており、一人ひとりの尊い行動が社会の安全・安心につながる好事例として表彰が行われ、その表彰は社内報Web版により全社員が共有しています。

表彰制度は、警備会社の社員として常に仕事に誇りを持ち、モチベーション高く仕事に取り組む組織風土醸成に役立っています。

 

③指標と目標

 

2022年度

(実績)

2023年度

(実績)

2024年度

(実績)

2025年度

(目標)

2030年度

(目標)

政府目標

(参考)

女性管理職比率

3.7%

6.0%

7.5

6.0

10.0%

30%

(2030年)

女性係長級比率

13.3%

12.8%

12.7

15.0

20.0%

男性育休取得率

51.2%

43.5%

92.9

50.0

以上を維持

85.0%

以上

85%

(2030年)

有給休暇取得率

88.6%

89.4%

(※) ―%

80.0

以上を維持

85.0%

以上

70%

(2025年)

 

 ※(―)の箇所は集計中となります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に掲載しています。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努めてまいります。

 

(1) 法規制に関するリスク

 当社グループでは、業務管理及び社員教育を徹底し、コンプライアンス意識の維持、向上に努めておりますが、以下の関係法令に違反して罰則の適用を受け、営業停止等の行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 警備業法等

 セキュリティ事業の実施にあたっては、警備業法及び関係法令の規制を受けております。また、同法へ適確に対応すべく引き続き社員の資格取得を推進しております。

 なお、当社の他、子会社である関西シーエスピー㈱、新安全警備保障㈱、エスシーエスピー㈱、長野県パトロール㈱、長野県交通警備㈱、㈱特別警備保障、CSP東北㈱、㈱CSPクリエイティブサービス、東亜警備保障㈱、関連会社である㈱トーノーセキュリティが同様に警備業法及び関係法令の規制を受けております。

② その他の法律等

 機械警備業務及び工事・機器販売の業務においては、契約先の施設に警報機器を設置しており、この設置工事に関して建設業法等の規制を受けております。

 また運輸警備業務においては、契約先の要請に応じ、現金輸送車を利用して現金等を輸送しているため、貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。

(2) 情報管理及びプライバシー保護に関するリスク

 当社グループは、セキュリティ事業の各サービスの実施にあたって、業務運営上の必要から契約先の機密情報その他の情報を知り得る立場にあります。

 当社グループは、従来から徹底した管理体制と社員教育により、契約先の情報が外部に漏洩しないよう情報の管理及びプライバシー保護に努めております。当社はさらに、これらの情報管理体制をより強化して契約先との信頼関係を一層強固なものとするため、2003年5月に全社を挙げてISMS(情報セキュリティ・マネジメントシステム、2007年1月よりISO/IEC27001に移行)認証を取得いたしました。

 また、2005年4月から施行された個人情報保護法への対応については、当社内で「個人情報保護規則」(2022年4月1日改定)を定め、一連の個人情報保護に関する社内ルールを整備して、ISMSをベースにした情報管理を徹底させております。

 それらに加え、2020年1月には「CSPグループ情報セキュリティ基本方針」を制定し、情報セキュリティ事故の未然防止に努め、情報管理体制をより強化して契約先との信頼関係を一層強固なものとするため、グループを挙げて取り組んでおります。

 しかしながら、契約先の情報が外部に漏洩した場合には当社グループの信用が損なわれることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 価格競争に関するリスク

 市場規模に比べて警備業者は大小とりまぜて10,674社(警察庁公表「令和5年における警備業の概況」より)と多数にのぼっており、同業者間の価格競争が年々激しくなっております。当社グループは、これらの同業他社と競合状態にあり、今後の価格競争の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材確保に関するリスク

 良質な警備サービスを継続して提供するためには、常に優秀な人材を確保し、不断の教育、研修を通じてその知識、技能の維持、向上を図ることが欠かせません。当社グループでは年間を通じて採用業務を展開するとともに、専用の施設と専属のスタッフを配置して社員教育に取り組んでおりますが、少子化の時代を迎え、質・量の両面で必要な人員を確保できなくなった場合、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、引き続き人材の確保に注力するとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進することで、女性の活躍の場を拡大し、すべての社員が働きやすい職場環境の構築を目指してまいります。

(5) 技術の陳腐化に関するリスク

 機械警備業務における最近の傾向として、IT技術の進展により、画像解析等を利用した機械警備など、新たなサービスが登場しています。

 また、情報ネットワークの拡大に伴い、各種情報の漏洩、コンピュータ・ウィルスによるデータの破壊などの脅威から重要な情報資産を守るため、サイバーセキュリティの分野での需要も増大しております。

 当社グループでは、当該技術分野の研究・開発により、既存の機器・装置の陳腐化や犯罪の高度化・凶悪化に対応しておりますが、急速な環境変化への対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 大規模災害等に関するリスク

 当社グループでは災害発生時の対応について、普段より対応マニュアルの整備及び定期的な教育・訓練の実施等により、対策を講じております。また機械警備部門では、万一に備えて東京と長野に相互にバックアップ機能を持たせた全国ネットワーク(機械警備統合システムS21)を構築しております。

 しかしながら、広範囲に亘って大規模な地震や火災などが発生した場合には、公共の通信インフラの機能停止、道路、鉄道などの交通インフラの遮断などにより、当社グループが提供する各種のセキュリティサービスの実行に支障をきたすおそれがあります。また、当社が契約先に設置している警報機器等(当社資産)が損傷した場合には、修理・交換等の対応を余儀なくされる可能性があります。

 したがいまして、大規模な災害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

(7) パンデミックによる感染拡大に関するリスク

 当社はウイルスや伝染病等による集団感染(パンデミック)などが発生した場合、迅速にその対応要領を定め、予防に関する備品の整備、社員教育、各関係機関からの情報収集等の体制を整えるなど、感染予防及び危機管理体制の確立に努めております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症などの感染が広範囲に拡大し、警備を担当する社員の感染者が多数に至った場合には、お客さまへの感染を最大限防止するためにも、セキュリティサービスの実行を縮小及び停止せざるを得ない事態が発生する可能性があります。

 したがって、危険度の高い感染症が大流行した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

(8) 警備及び基幹システムに関するリスク

 当社グループでは、機械警備サービスの信号処理、警備サービスに係る契約の管理、代金の請求及び債権の回収・管理等の業務処理について、警備及び基幹システムを使用して統合的に管理しております。また、業務効率化、取引形態の多様化や制度改正に対応するため、随時、システムの改修を実施しております。
 システムの運用・改修については、システムの開発段階から納品までの品質管理の徹底を図っておりますが、災害の発生等によるシステム障害やシステムの改修に伴いプログラムの不具合が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 従業員による不適切事案に関するリスク

 当社グループの従業員による不適切な事案が発生した場合には、各サービスの解約、縮小等につながるとともに多額の損害賠償請求を受けるなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

 当社では、コンプライアンスに関する教育を定期的に実施することで、各従業員の意識の向上を図るとともに、グループ子会社においては、当社から取締役または監査役を派遣するなどして、厳正な指導、監督を行っております。

(10)関連当事者との取引等に関するリスク

 当社グループと大株主(議決権所有比率25.5%)である東日本旅客鉄道㈱及びそのグループ会社との間の当連結会計年度における売上実績は、20,319百万円となり、全売上高の28.5%を占めております。

 当社は、1997年12月に東日本旅客鉄道㈱と「業務提携基本契約」を締結して以来、同社が管轄する各駅及び同社の本社ビル等の常駐・機械警備、同社及び同社グループの集配金業務(現金輸送等)などのセキュリティサービスの提供、並びに、新セキュリティシステムの共同開発等を行って、その提携関係を強化して参りました。また、今後もその提携関係は強化していく方針ですので、同社及び同社グループに対する売上比率は徐々に高まっていくものと思われます。

 したがいまして、同社の業績が著しく悪化した場合、あるいは当社との提携関係に変化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (業績等の概要)

(1) 当期の業績の概況及び財政状態

当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績を背景にした雇用・所得環境の改善に加え、インバウンド需要の回復が持続したことなどから緩やかな回復が続きました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締めに伴う円安の常態化、不安定な海外情勢の長期化など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

警備業界におきましては、インバウンド需要の増加などによる景気の回復とともに、警備需要は安定的であるものの慢性的な労働力不足により、新卒及び中途採用ともに厳しい状況が続いております。また、離職防止並びに処遇改善に伴う人件費の増加は今後も続く見通しであり、引き続き厳しい事業環境下に置かれております。

このような状況の中、当社グループは中期経営計画「Creative 2025」の目標達成に向け、持続的な成長と更なる企業価値の向上に努め「安心と信頼を創造する技術サービス企業」を目指し、事業を展開してまいりました。

 

当社は引き続き、お客さまへ安全・安心を提供する従業員が働き甲斐を感じられる待遇を実現するべく、昨年の4月1日付で昨今の物価高騰にも配慮し、給与水準の引上げ(ベースアップ)や各種手当の見直しを実施いたしました。今後も現場第一線で日々の業務に取り組んでいる従業員を中心に更なるモチベーションの向上及び離職防止を図ってまいります。

2024年7月1日付で阪急阪神ハイセキュリティサービス株式会社が直轄運営する、常駐警備事業を吸収分割により承継いたしました。中期経営計画「Creative 2025」における「グループ連携の強化」として掲げる「M&A等の推進」の一環として実施したものです。関西地区での新たな取引基盤(当社にとって強みの鉄道系企業との取引)を獲得することにより、大阪万博の開催や大阪梅田エリアの再開発事業におけるセキュリティニーズの獲得を目指してまいります。

また同じく2024年には、環境、社会、ガバナンス(ESG)の対応に優れた日本企業を選定する「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されました。当社は、創業の理念「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」をあらゆることの基盤として事業を展開してまいりました。本理念の「すべての人々」の中に「未来の人々」も含まれていると捉え、サスティナビリティ経営を推進しています。引き続き、現在そして未来の人々の暮らしがともに幸福であるように、取り組みを深めてまいります。

新事業分野への展開として、ドローンを活用した設備点検事業、大規模イベントの開催に伴う関係官庁向けサービス、ドローンパイロットの育成を目的としたドローンスクールの提供と拡大に努めてまいりました。こうした取り組みの一環として、ドローンベースカーの提供及び新型ドローンの販売を開始いたしました。新型ドローンは、サーマルカメラとAIを搭載した有線給電式ドローンや災害支援ツールとして効果的な有線給電式照明ドローンとなります。

引き続き人員の採用難や処遇改善の実施など厳しい事業環境下にありますが、当社が提供する警備サービスは安定的な施設警備(常駐警備・機械警備)が中心となります。今後も安定した収益の確保を実現するとともにM&A等を積極的に推進することで、更なる事業拡大を図ってまいります。

 

(セキュリティ事業) 

常駐警備部門につきましては、7月に実施した阪急阪神ハイセキュリティサービス株式会社の常駐警備事業の承継が寄与したこともあり、売上高は35,750百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。

機械警備部門につきましては、前年の広島サミット関連の臨時警備の反動により、売上高は21,881百万円(同2.4%減)となりました。

運輸警備部門につきましては、集配金・精査サービスなどの販売に注力したものの、前年度実施した一部の連結子会社による決算期変更の反動などにより、売上高は3,361百万円(同2.6%減)となりました。

工事・機器販売部門につきましては、防犯カメラの販売を中心とした画像関連システムや入退出管理システムなどが好調だったこともあり、売上高は8,583百万円(同26.5%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度のセキュリティ事業セグメントの売上高は69,576百万円(同5.1%増)、セグメント利益(営業利益)は3,959百万円(同0.4%増)となりました。

 

(ビル管理・不動産事業)

ビル管理・不動産事業につきましては、清掃業務や電気設備の保安業務等の建物総合管理サービス及び不動産賃貸を中心に事業を行っております。当連結会計年度のビル管理・不動産事業セグメントの売上高は1,840百万円(前連結会計年度比2.1%増)、セグメント利益(営業利益)は370百万円(同2.2%減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は71,417百万円(同5.0%増)、利益面につきましては、営業利益は4,331百万円(同0.3%増)、経常利益は4,566百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,230百万円(同40.0%減)となりました。

 

また資産は、前連結会計年度末に比べ921百万円減少し、63,522百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ3,178百万円減少し、21,490百万円となりました。一方、純資産は、前連結会計年度末に比べ2,257百万円増加し、42,031百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の変動状況は次のとおりであり、前連結会計年度末に比べ3,116百万円減少して、17,548百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは2,938百万円の増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益5,178百万円、減価償却費2,768百万円、主な減少要因は、法人税等の支払4,283百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは2,897百万円の減少となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出2,087百万円、事業譲受による支出805百万円、無形固定資産の取得による支出793百万円、主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入806百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは3,157百万円の減少となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出1,141百万円、配当金の支払額877百万円、リース債務の返済による支出725百万円などによるものであります。

 

 (生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメントごとの契約件数は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度末において、契約件数の著しい増減はありません。

セグメント名称及び業務別名称

契約件数(件)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

936

100.4

機械警備

131,680

102.1

運輸警備

3,047

97.5

小計

135,663

102.0

(ビル管理・不動産事業)

8,081

103.4

合計

143,744

102.0

 

 

(2) 販売実績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの業務別販売実績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度末において、販売実績の著しい増減はありません。

セグメント名称及び業務別名称

金額(千円)

前年同期比(%)

(セキュリティ事業)

 

 

常駐警備

35,750,446

106.6

機械警備

21,881,418

97.6

運輸警備

3,361,304

97.4

工事・機器販売

8,583,807

126.5

小計

69,576,977

105.1

(ビル管理・不動産事業)

1,840,657

102.1

合計

71,417,635

105.0

 

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東日本旅客鉄道㈱

9,799,837

14.4

9,961,121

13.9

 

 

 

 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び今後の方針)

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績については以下のとおりです。

① 概要

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高71,417百万円(前連結会計年度比5.0%増)、営業利益は4,331百万円(同0.3%増)、経常利益は4,566百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,230百万円(同40.0%減)となりました。
 以下、連結財務諸表に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

② 売上高

 売上高は、前連結会計年度に比較して3,406百万円の増収となりました。セキュリティ事業の常駐警備部門において、2,198百万円の増収(同6.6%増)、機械警備部門において、536百万円の減収(同2.4%減)、運輸警備部門において、87百万円の減収(同2.6%減)、工事・機器販売部門において、1,795百万円の増収(同26.5%増)となったことが要因であります。

③ 売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益

 売上総利益は前連結会計年度に比較して331百万円の増益(同2.2%増)、売上総利益率は22.0%となり、前連結会計年度に比較して0.6ポイント減少しました。
 また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比較して316百万円の増加(同2.9%増)、売上高に対する販売費及び一般管理費の構成比率は16.0%(0.3ポイント減少)となりました。
 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比較して14百万円の増益(同0.3%増)となりました。

④ 営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比較して44百万円増加しました。また営業外費用は前連結会計年度に比較して26百万円の増加となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度に比較して32百万円の増益(同0.7%増)となりました。

⑤ 特別損益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、前連結会計年度に比較して3,924百万円減少しました。また特別損失は、前連結会計年度に比較して741百万円の減少となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比較して3,150百万円の減益(同37.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比較して2,150百万円の減益(同40.0%減)となりました。

 

 

(3) 当連結会計年度末の財政状態の分析

 当社グループの当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりです。

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ921百万円減少し、63,522百万円(前連結会計年度末比1.4%減)となりました。これは主に、現金及び預金の減少3,118百万円、運輸警備用現金及び預金の減少732百万円、退職給付に係る資産の増加552百万円などによるものです。

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ3,178百万円減少し、21,490百万円(同12.9%減)となりました。これは主に、未払法人税等の減少2,908百万円、短期借入金の減少735百万円などによるものです。

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,257百万円増加し、42,031百万円(同5.7%増)となりました。これは主に、利益剰余金の増加2,352百万円などによるものです。

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は62.0%、1株当たり純資産は2,719円24銭となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,938百万円の増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益5,178百万円、減価償却費2,768百万円、主な減少要因は、法人税等の支払額4,283百万円などによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,897百万円の減少となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出2,087百万円、事業譲受による支出805百万円、無形固定資産の取得による支出793百万円、主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入806百万円などによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3,157百万円の減少となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出1,141百万円、配当金の支払額877百万円、リース債務の返済による支出725百万円などによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,116百万円減少し、17,548百万円となりました。

② 資金需要について

 当連結会計年度の設備投資として、機械警備先の増加に伴う警備先に設置する警報装置及びこれに対応するセンター装置の増設などに1,166百万円、総額3,314百万円の投資を実施いたしました。
 次期の当社グループの資金需要については、当連結会計年度に引き続き機械警備設備などに1,300百万円、総額3,000百万円の設備投資を予定しております。なお、この設備投資につきましては自己資金及び長期借入金によって賄う予定であります。

 

(5) 経営者の問題認識について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、少子高齢化に伴う労働力不足による採用難が挙げられます。新卒及び中途採用ともに厳しい状況が続いており、また、離職防止並びに処遇改善に伴う人件費の増加は今後も続く見通しであります。

 当社グループの業績への影響につきましては、警備契約を維持するだけの人員は確保できており、短期的な影響は受けづらいものと考えております。ただし、長期的な採用難及び従業員の離職増加などによっては、当社の成長が一時的に鈍化する恐れがあります。これは、人員不足により常駐警備を中心とした新規受注が困難となるためです。また、同様に協力会社についても人員不足が懸念されます。

 このような影響への対策といたしまして、当社グループはさらなる警備サービスの品質維持・向上に努めるとともに、従来から取り組んでまいりました、人による警備から“機械化・効率化”にもさらに注力してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)業務提携基本契約

契約会社名

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

セントラル警備
保障株式会社(当社)

東日本旅客鉄
道株式会社
(JR東日本)

業務提携基本契約書

当社との資本提携及びJR東日本グループに対する警備サービスの提供に関する業務提携(対価:物件ごとの個別警備契約書による)

1997年12月18日締結、以後1年ごとの自動更新

 

 

(2)阪急阪神ハイセキュリティサービス株式会社の常駐警備事業の承継

 当社は、2024年5月15日開催の取締役会において、阪急阪神ハイセキュリティサービス株式会社が直轄運営する常駐警備事業を吸収分割の方法により当社が承継することを決議するとともに、同日、阪急阪神ハイセキュリティサービス株式会社との間で吸収分割契約を締結しました。

 なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

(1) セキュリティ事業

 当社グループの研究開発活動は、主に開発推進本部(開発企画部、研究開発部及び商品開発部)にて行っております。収益力の強化を目的としてネットワーク、無線通信、クラウド、AI及びロボットなど、様々な先進技術を警備サービスの高度化、高品質化のために活用し、付加価値の高いセキュリティシステムを開発することにより、多様化する市場ニーズを的確に捉え、お客さまの信頼を獲得することを基本方針としております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は71百万円であり、販売費及び一般管理費のその他に含まれております。また、研究開発に該当しない調査、企画、検証、品質管理等の活動においても研究開発と一体として行っており、これらの費用は別途、販売費及び一般管理費に含まれております。

① 汎用セキュリティサービスの開発

 IP通信やモバイルサービスを取り込んだセキュリティ商品、様々なシチュエーションに対応できる簡易・低価格なセンサーやカメラシステム(画像サーバー内蔵、無線通信、夜間撮影)を活用した警備サービスの開発を行っております。

② 画像セキュリティシステムの開発

 高感度カメラ、サーマルカメラなどを用いた画像解析システムや、ディープラーニングを活用したAI画像解析システム、次世代無線通信を利用したネットワークシステムなど、最先端技術をいち早く取り込み、人的警備サービスと融合した新たな画像監視システムなどの開発を行っております。

③ 情報セキュリティについての開発

 インターネット、イントラネット、企業内のサーバー・パソコンの電子化された情報の漏洩、外部からの侵入、改ざん、ウイルス等の人的脅威、地震等の災害から貴重な情報を確実に守るサイバー領域のセキュリティサービスの開発を推進しております。

 

(2) ビル管理・不動産事業

 当連結会計年度は、当事業の研究開発活動は行っておりません。