第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「Webマーケティングとセールステックを活用し、顧客、社会にとって有益なサービスを創る。」という企業理念のもと、Web領域における有益なサービスの提供を通して世の中になくてはならない会社となることを目指しております。

 

(2)経営環境

 当社が主たる事業領域とする国内インターネット広告市場は成長を続け、2024年にはテレビ・新聞・雑誌・ラジオのマスコミ四媒体合計を上回る3兆6,517億円(前年比9.6%増)規模に拡大しており(出所:「2024年 日本の広告費」株式会社電通)、社会のデジタル化を背景として堅調に伸長し、今後も継続して拡大することが見込まれます。

 同様に、当社がクラウド業務支援ツールをサービス提供している国内SaaS市場においても、2023年度の1兆7,328億円から5年後の2028年度には3兆円に迫る2兆9,078億円規模に達するとの予測がみられ拡大傾向にあります(出所:「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」株式会社富士キメラ総研、「SaaS業界レポート2024」スマートキャンプ株式会社)。今後も労働人口の減少が見込まれるなかで、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進、働き方改革や生産性向上を実現するためのIT投資需要の増加は継続するものとみられ、また、それらに加えて、AI技術の普及による市場規模の更なる拡大も見込まれます。

 

(3)経営戦略等

 当社は、安定的かつ継続的な事業拡大を目指し、主力事業であるWebマーケティング事業とクラウドセールステック事業を中心に、東京、大阪を主な拠点とした営業活動やWebマーケティングによる受注強化に加え、展示会への出展や大手企業・金融機関・代理店との関係強化や協業等により多様な販路を確立し、業績の向上に継続して取り組んでまいりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の優先的に対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 

①Webマーケティング提供サービスの持続的な品質向上

 当社の主力サービスである「オーガニックマーケティング」は、従来のSEO対策とWebサイト制作を統合し、検索エンジン経由でのWebサイトのアクセス数の増加から、案件成約率の改善まで、一連のマーケティングプロセス全てを一社完結で支援するサービスでありますが、検索エンジンにおいて頻繁に実施される順位決定の仕組み(アルゴリズム)の更新に対応していくことが提供サービスの持続的な品質向上を図っていくうえで必須の事項であると考えております。また、Web広告運用においては、広告媒体の多様化や広告媒体社側から提供される広告出稿のための最新機能を積極的に取り入れていくことが重要であると考えております。さらに近年では、生成AI等の最新技術の活用も必要となってきております。そのため当社では、SEOやWeb広告運用に関する対策手法や運用体制の改善に日常的に取り組むとともに最新の技術動向や顧客ニーズ等を踏まえ、サービス品質の維持・向上に今後も継続して取り組んでまいります。

 

②クラウド業務支援ツールの市場競争力の向上

 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の機運が継続するなかで、当社が提供するクラウド業務支援ツールの市場競争力を高めていくためには、顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、AI技術も活用しながら提供ツールの機能及び利便性のさらなる向上を図ったうえで、販売力を強化するとともに販売後のサポート体制を充実していくことが重要であると考えております。そのため当社では、ツール導入から定着まで顧客を支援するカスタマーサクセス要員の配置や開発体制の充実・強化を図るとともに、周辺サービスを提供する他社ツールとの機能連携や大手企業との協業等も積極的に進め、クラウド業務支援ツールの市場競争力の向上に今後も継続的に取り組んでまいります。

 

③継続取引の強化による収益安定化

 当社は、安定した収益基盤を確立し持続的な企業成長を実現するためには、継続取引を中心に事業展開を図ることが重要であると考えております。そのため当社では、Webマーケティングサービス及びクラウド業務支援ツールの提供を通してストック型の取引を基本とし、今後も顧客との継続的な関係構築に努めてまいります。

 

 

④多様な販路の確立

 当社は、持続的な企業成長を実現するためには、既存顧客との継続取引の拡大とともに新規顧客の獲得が重要であると考えております。そのため当社では、オウンドメディア(注1)の充実やSEO対策のノウハウを駆使してWebサイト経由での受注率向上に継続的に取り組むとともに、既存顧客への提案力を高め、アップセル(注2)やクロスセル(注3)をより一層推進してまいります。また、大手企業や代理店、金融機関等との関係強化を図り新たな販路の開拓にも努め、今後も多様な販路の確立に継続して取り組んでまいります。

 

⑤認知度の向上

 当社は、中長期的な企業価値向上を実現するためには、当社及び当社が提供するサービスの認知度向上が重要であると考えております。そのため当社では、自社Webサイト(コーポレートサイト、各サービスサイト)やオウンドメディアをより一層充実させること等により自社マーケティング活動を強化し、また、積極的な広報IR活動やSNSでの発信、さらには展示会への出展等を通して、当社及び当社提供サービスに関する情報発信力を高め、認知度向上に向けて今後も継続して取り組んでまいります。

 

⑥多様性ある人材の確保

 当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現していくうえで、人的資本を最重要の経営資源と位置付けており、多様性ある人材を積極的に採用するとともに、入社した人材が長期にわたり活躍できる職場環境を整備することが重要であると考えております。そのため当社では、多様性ある人材を採用し、中核人材を適材適所で役職者へ登用するとともに、教育制度・研修体制を含め全ての人材が活躍できる職場環境を充実・整備することに努め、多様性ある人材の確保に向けて今後も継続して取り組んでまいります。

 

⑦経営管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、中長期的な企業価値向上を実現するためには、コーポレート・ガバナンスや財務報告の適正性確保を含めた経営管理体制を強化し、コンプライアンスの徹底に努めていくことが重要であると考えております。そのため当社では、役職員のコンプライアンス意識の向上、各種リスクの管理や定期的な内部監査の実施による経営管理体制の強化、社外役員によるモニタリングの実効性確保や監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス体制の強化に今後も継続して取り組んでまいります。

 

⑧情報セキュリティ体制の強化

 当社は、顧客との取引を行うにあたり、顧客情報、個人情報及び営業機密等の機密情報を取り扱うことから、継続して情報セキュリティ体制を強化していくことが重要であると考えております。そのため当社では、サーバー設備をはじめ社内ネットワークや情報機器等に適切なセキュリティ手段を採用することによってサイバー攻撃等による不正アクセスや情報漏洩、システム障害等の回避に努めるとともに、機密情報管理に関する社内規程の整備や社内教育の徹底にも努め、情報セキュリティ体制の充実・強化に今後も継続して取り組んでまいります。

 

⑨生成AI活用による業務革新の推進

 当社は、業務の生産性向上及び業務品質の均一化において、生成AIの活用が重要な施策であると考えております。そのため当社では、生成AI利用ガイドラインを制定し、役職員が安全かつ効果的に生成AIを活用できる体制を整備しております。生成AI活用に際しては、情報セキュリティの確保及びコンプライアンスの遵守を徹底するとともに、役職員一人ひとりのAIリテラシー向上に向けた教育・研修プログラムを実施してまいります。これらの取り組みを通じて、全社的な業務革新の実現に努めてまいります。

 

⑩東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準への適合

 当社は、上場している東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち「流通株式時価総額」について該当基準に適合しない状況にあります。そのため当社では、各種事業上の施策を着実に実行することで業績を向上させ、安定的かつ継続的な事業成長を回復することが流通株式時価総額を増加させるための最重要事項であると考えており、全社一丸となって日々の事業活動に今後も継続して取り組んでまいります。また、併せて、株主還元政策、広報IR活動による認知度向上、コーポレート・ガバナンス体制の一層の強化等にも積極的に取り組むことで企業価値向上を目指し、上場維持基準適合に向けて引き続き取り組んでまいります。

 

 

<用語解説>

番号

用語

意味・内容

(注1)

オウンドメディア

自社の商品・サービスの情報発信やブランディング、集客のために企業やブランドが自ら運営するメディア(オンライン媒体)のことであります。

(注2)

アップセル

既存顧客に対して、現在利用しているサービスにおいて、より単価の高い上位モデルに乗り換えること、又は、より利用量を増やすことを促し、顧客単価を上げる販売施策のことであります。

(注3)

クロスセル

既存顧客に対して、現在利用しているサービスと併せて別のサービスの利用を促し、顧客単価を上げる販売施策のことであります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、有益なサービスを提供し続け売上高の拡大に努めると同時に適正な利益を生みだすことが重要であると考えており、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置付けております。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社は、リスクマネジメント及びコンプライアンス規程を定め、常勤役員及び各部門責任者等で構成されるリスクマネジメント及びコンプライアンス推進委員会を原則として四半期毎に開催して、サステナビリティに関する事項を含む企業活動におけるリスクマネジメントやコンプライアンス等に係る取り組みを推進しております。また、取締役会は、リスクマネジメント及びコンプライアンス推進委員会での協議内容・決定事項の報告を受け、中長期的な企業価値向上の観点から経営的な視点で、課題の改善・解消に向けて重ねて審議・検討することで、実効性の高い監督機能が発揮されるように努めております。

 なお、当社のコーポレート・ガバナンスの概要は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであり、サステナビリティへの取り組みについても、この体制のもとで運営しております。

 

(2)戦略

 当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現していくうえで、人的資本を最重要の経営資源と位置付けており、多様なバックグラウンドをもった人材の採用を積極的に行うとともに、採用した人材が入社後長期間にわたって継続して活躍できるように社内環境の整備に取り組んでおります。

 人材育成の面では、実務スキルの習得・向上に向けた研修や資格取得の補助等の充実を図り、職位や等級に応じた研修を定期的に実施して従業員個々のキャリア形成に応じた成長機会を提供するとともに、年齢・性別・国籍等を問わず適材適所で中核人材を役職者へ登用し、多様性の確保を推進しております。また、社内環境整備の面では、多様化する価値観やライフステージに合わせた柔軟な働き方の提供の実現に向けて継続的に制度の充実を図るとともに、各種オンボーディング施策やメンタルヘルスケア等の充実によって、健康で長期間にわたり安心・安全に働ける仕組みを構築し、全ての人材に活躍の機会を提供できる社内環境整備に努めております。

 

(3)リスク管理

 当社は、リスクマネジメント及びコンプライアンス推進委員会において、サステナビリティに関する事項を含め企業活動における事業上のリスクやコンプライアンス等に係る課題を識別し、対応方針及び具体策を決定するとともに、その取り組み状況の進捗管理を行っております。また、重要なリスクに発展する可能性のある事象やコンプライアンス違反又はその可能性のある事実が顕在化又は発生した場合には、速やかにリスクマネジメント及びコンプライアンス推進委員会を開催して対応策を講じております。

 

(4)指標及び目標

 当社は、上記「(2)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に係る指標について、具体的な取り組みを行っているものの、本報告書提出日現在において目標数値を設定しておりません。

 具体的な取り組みとして人材多様性の確保を含む人材育成を推進するなかで、2025年2月末日現在、女性従業員比率は30.5%であり、女性管理職比率は13.6%と前事業年度比で4.5ポイント増加しております。また、採用した人材が入社後活躍できる社内環境整備に取り組むなかで、平均勤続年数は過去5年間で1年1ヵ月伸長し、4年4ヵ月となりました。詳細は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりであります。

 当社は、引き続き多様なバックグラウンドをもった人材の積極採用、年齢・性別・国籍等を問わない適材適所での中核人材の役職者への登用、採用した全ての人材に活躍の機会を提供できる社内環境整備に努め、多様性の確保を推進してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

①インターネット広告市場の動向について

 当社が事業を展開するインターネット広告市場は、インターネットの普及と技術革新により成長を続けており、インターネット広告市場がマスコミ四媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)合計の広告費を上回る広告メディアへと成長しております。しかしながら、インターネット広告市場で展開するWebマーケティング事業は、一般的に景気変動や広告主の広告戦略の変化等による影響を受けやすい傾向にあるため、景気や顧客動向に急激な変化がみられる場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②クラウド市場の動向について

 当社は、クラウド業務支援ツール「ネクストSFA」(商談管理、顧客管理)、「ネクストICカード」(勤怠管理、経費・交通費精算)をSaaS形態でサービス提供しております。クラウド市場は、急速な成長を続けており、当社は、今後もこの傾向が継続するものと見込み、同市場での更なる事業展開を図っていく方針であります。しかしながら、国内外の経済情勢や景気動向等に大きな変化がみられ、クラウド市場の成長が鈍化する場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③技術革新について

 当社の事業領域であるインターネット広告市場及びクラウド市場を取り巻く技術革新のスピードや顧客ニーズの変化は速く、新たなサービスの開発が活発に行われております。こうした状況に対応するため当社では、生成AIに代表される最新技術の活用や業界動向の情報収集等に日常的に努めておりますが、これらの変化に適切に対応ができない場合には、競争力が低下し、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④法的規制について

 当事業年度末現在、当社の主力事業であるWebマーケティング事業において直接的な法的規制又は業界の自主規制はありませんが、Web広告の広告主等は、広告内容により、「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」等の規制を受ける可能性があります。当社では、運用する顧客の広告が各種法的規制に抵触することを避けるため、品質管理規程を定め、具体的な注意点を記したチェックリストを整備し、担当者やその上長が慎重に確認を行うとともに、同分野に専門性を有する弁護士法人と契約し必要に応じて広告審査を依頼する体制を採用しております。また、インターネット関連分野においては、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」等が存在しており、今後、法令等の改正や新たな法令等の制定が行われ既存の法令等の解釈に変更が生じる場合や、法令等に準ずる位置づけで業界の自主規制が制定され、その遵守を要請される場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤競合について

 当社が事業を展開するインターネット広告市場及びクラウド市場では、競合他社との間で競争状態にあり、競合他社によるサービス改善や新規参入、市場環境の変化等により競争が激化する可能性があります。当社では、引き続き提供サービスの品質改善や競争優位性の維持・向上に努めてまいりますが、当社が競合他社に対するサービス品質等の差別化や競争優位性の確保に十分な対応ができない場合には、販売コストの増加や新規契約獲得件数の鈍化、さらに、既存契約先の解約件数の増加等によって、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスクについて

①特定の広告媒体社への依存について

 当社のWebマーケティング事業は、グーグル合同会社及びLINEヤフー株式会社が提供する広告媒体に大きく依存しております。当社では、当該広告媒体社との良好な関係の維持・継続には十分留意しておりますが、何らかの事情により当該広告媒体社からの広告枠の提供が滞るような状況となった場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②検索エンジンの寡占状態について

 当社のWebマーケティング事業においてオーガニックマーケティングとして提供する検索エンジンを活用した顧客マーケティング支援サービス(SEO対策)は、国内で寡占状態にあるGoogleやYahoo!JAPANの検索エンジンに大きく依存しております。これらの検索エンジンの順位決定の仕組み(アルゴリズム)の更新に当社が適切に対応できない場合や、将来これらに代わる新たな検索エンジンが台頭して相当数のユーザーを獲得するような状況となるなかで当社が適切に対応できない場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③システムトラブルについて

 当社は、サーバーを中心とするコンピュータシステムからインターネット環境を介して、顧客に全てのサービスを提供しております。安定的なサービス提供のため当社では、システム強化策の一環として、コンピュータウイルスや外部からの不正な侵入等を抑止するために必要と考えられるセキュリティ対策及びシステムの脆弱性の防御策を講じており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できる体制の整備に努めております。しかしながら、ソフトウエアの不具合、自然災害、停電、新種のコンピュータウイルスへの感染、継続的に高度化、巧妙化しているサイバー攻撃等の事態により、当社の設備又はネットワークに障害が発生した場合には、一定期間サービスの停止を余儀なくされ、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④債権回収について

 当社の主な顧客層は中堅・中小企業であり、顧客数は多数に及びますが、顧客との取引開始の前に与信調査を行うとともに、取引継続期間中にも定期的に与信調査を行っております。しかしながら、景気動向や経済情勢の急激な変化等により、経営基盤の脆弱な顧客の経営状態が急速に悪化することも考えられます。このような場合には、売上債権の回収が遅延するばかりか、回収不能となり、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤解約について

 当社は、安定した収益基盤を確立するため、継続取引を中心に事業を展開しており、解約額が新規契約額を上回らない限り、収益が継続して増加するという安定性があります。当社の利益計画は、過年度実績を基に一定の解約を見込んで策定しておりますが、競合他社の台頭による競争力の低下や顧客とのトラブル等何らかの要因により、当社の想定を超える解約が発生した場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業運営体制に関するリスクについて

①特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である原口大輔は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。原口大輔は、当社サービスの営業戦略及び開発に関して豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行に極めて重要な役割を果たしております。当社では、幹部職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化を図り、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により原口大輔の業務遂行が困難となった場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保及び育成について

 当社は、事業の持続的な成長を実現するためには、高付加価値のサービスを提供できる人材をより多く確保するとともに、業務効率を継続的に改善していくことが必要であると考えており、積極的な採用活動を継続するとともに、従業員への教育・研修体制の充実・強化を図り、経験の浅い人材の早期戦力化や全社的な生産性の向上、人材の定着に努めております。しかしながら、必要な人材の確保及び育成が計画どおり進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となり得る可能性があり、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③内部管理体制について

 当社は、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制についてより一層の充実・強化を図る必要があると考えておりますが、事業規模に適合した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④情報管理体制について

 当社では、事業遂行上、顧客の機密情報や個人情報を入手し取り扱う機会があり、これらの情報資産を保護するため、情報管理規程を定め、サーバー設備のセキュリティを強化し、また、社内ネットワークや情報機器に適切なセキュリティ手段を構築することによって不正アクセス防止等の措置を講じ、情報管理については日頃より万全を期しております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩等の事故が発生した場合には、損害賠償等による予期せぬ費用やレピュテーショナルリスクが発生し、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

①大規模災害による影響について

 当社では、地震・台風等の自然災害や事故等が発生した場合に備え、日頃から危機管理対策や復旧対応を速やかに行えるように、防災マニュアルを整備し緊急時に備えた運用体制を整備しております。しかしながら、当社設備の損壊や電力供給の制限等の事態が発生した場合には、当社のサービス提供に支障をきたし、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客が被災した場合には、その影響を受け、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②訴訟について

 当社では、法令違反となるような行為を防止するため、役員及び従業員を対象にコンプライアンス研修を定期的に実施する等して、取引先、従業員、その他第三者との関係において訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、システム障害や重大な人為的ミス等の予期せぬトラブルが発生した場合や取引先との間で何らかのトラブルが発生した場合には、これらに起因して訴訟を提起され、損害賠償を請求される可能性があります。かかる訴訟の内容及びその結果、損害賠償の金額によっては、当社の社会的信用及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は30,800株であり、発行済株式総数2,783,100株の1.1%に相当しております。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、雇用情勢・所得環境に改善の動きがみられ、個人消費が持ち直し企業収益も改善するなど、景気は緩やかに回復する状況にありました。しかしながら他方で、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、国内外の金融政策や為替変動、米国における政権移行後の通商政策などの政策動向、長期化するウクライナ情勢等を勘案する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 

 このような外部環境のもと、当事業年度の売上高は1,582,072千円(前年同期比4.0%増)となりました。営業利益については、先行投資として販売関連費や採用費等を増額したなかで、販売費及び一般管理費全体では無駄な費用の発生を抑え前年同期比2.2%増にとどめたものの、売上高の計画未達をカバーしきれずに営業損失が25,081千円(前事業年度は営業損失5,766千円)となりました。経常利益及び当期純利益については、カード決済に係るキャッシュバック収益及び余剰資金を活用した有価証券投資からの配当収益の計上で営業損失をカバーした結果、経常利益27,889千円(前年同期比24.9%増)、当期純利益16,732千円(同17.7%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。

 

(Webマーケティング事業)

 Webマーケティング事業においては、オーガニックマーケティング(注)、Web広告等の提供サービスの品質向上、新たなサービスの拡充や業務効率の改善に継続して取り組むとともに、販路の開拓も積極的に推進いたしました。

 以上の結果、当事業年度においては、Web広告の売上が前年同期比31.3%増と順調に伸長したものの、オーガニックマーケティングの新規受注が伸び悩んだこと等もあり、売上高1,364,996千円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益348,244千円(同5.8%減)となりました。

(注)オーガニックマーケティングとは、広告を使わずに、主にGoogle、Yahoo!等の検索エンジン経由でのWebサイトのアクセス数の増加から案件成約に結び付けるマーケティング活動のことであります。具体的には、Webサイトの検索順位を向上させるためのサイトマップ構築、SEO対策、コンテンツマーケティング、さらにWebサイトへのアクセスを成約へと効果的に結び付けていくためのUI・UX改善等を各Webサイトの状況や状態に合わせて複合的に立案し、コンサルティングとして提案するとともに、提案した施策の実施に必要な作業も代行することで、効率的かつ迅速にWebサイトの成功を支援するものであります。

 

(クラウドセールステック事業)

 クラウドセールステック事業においては、顧客に対するツールの導入支援や定着支援を推進すると共に、マーケティング機能や生成AIを活用した新機能の開発・提供等を進め、ツールの利便性と機能性の向上に継続して取り組んでまいりました。

 以上の結果、当事業年度における売上高は217,076千円(前年同期比19.1%増)と伸長しましたが、先行投資として販売関連費等を増額した影響で、セグメント損失が10,092千円(前年同期はセグメント損失884千円)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は1,838,106千円となり、前事業年度末に比べて102,315千円減少いたしました。

 流動資産は1,301,468千円となり、前事業年度末に比べ300,736千円減少いたしました。これは主に広告仕入の増加により前渡金が12,463千円増加した一方で、現金及び預金が276,665千円、売掛金が34,884千円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定資産は536,637千円となり、前事業年度末に比べ198,421千円増加いたしました。これは主に営業保証金の返還により差入保証金が70,000千円、固定資産の償却により23,632千円それぞれ減少した一方で、投資有価証券の取得により277,268千円、有形固定資産の取得により8,238千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は666,674千円となり、前事業年度末に比べて53,977千円減少いたしました。

 流動負債は591,017千円となり、前事業年度末に比べ57,903千円減少いたしました。これは主にその他に含まれる未払消費税等が12,181千円、未払法人税等が11,340千円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が50,165千円、Webサイト制作に係る外注費等の減少により買掛金が37,783千円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定負債は75,657千円となり、前事業年度末に比べ3,926千円増加いたしました。これは主にその他に含まれる預り保証金が3,035千円、リース債務が702千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,171,431千円となり、前事業年度末に比べ48,338千円減少いたしました。

 これは新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ2,038千円増加した一方で、剰余金の配当及び当期純利益の計上により利益剰余金が38,501千円、その他有価証券評価差額金が13,912千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して276,665千円減少し、939,860千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は130,900千円(前年同期比399.9%増)となりました。これは主に、減少要因として仕入債務の減少額37,783千円、その他の流動資産の増加額22,034千円があった一方で、増加要因として営業保証金の受取額70,000千円、売上債権の減少額34,884円、税引前当期純利益27,889千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は301,761千円(前年同期は7,928千円の使用)となりました。これは主に、減少要因として投資有価証券の取得による支出299,557千円、有形固定資産の取得による支出1,658千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は105,803千円(前年同期は110,526千円の使用)となりました。これは主に、増加要因として長期借入れによる収入100,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入4,076千円があった一方で、減少要因として長期借入金の返済による支出149,976千円、配当金の支払額55,181千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

Webマーケティング事業

 (Webサイト制作)

140,347

63.7

17,381

26.4

 

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Webマーケティング事業

1,364,996

102.0

クラウドセールステック事業

217,076

119.1

合計

1,582,072

104.0

 (注)1.セグメント間の内部振替はありません。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績の100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、1,582,072千円(前年同期比4.0%増)となりました。これは主に、オーガニックマーケティングの新規受注が伸び悩んだ一方で、市場拡大傾向にあるWeb広告及び営業支援ツールネクストSFAの売上が伸長したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、767,206千円(同8.9%増)となりました。これは主に、アフィリエイト広告の自社運用(収益総額表示)を開始したことによる広告仕入の増加80,600千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は、814,866千円(同0.2%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、839,947千円(同2.2%増)となりました。これは主に、先行投資として販売関連費の増加34,718千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の営業損失は、25,081千円(前事業年度は営業損失5,766千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、54,595千円(前年同期比84.2%増)となりました。これは主に、余剰資金を活用した有価証券投資の配当収益を計上したことによる受取配当金の増加25,202千円によるものであります。営業外費用は、1,624千円(同5.7%増)となりました。これは、支払利息の増加87千円によるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は、27,889千円(同24.9%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純利益)

 当事業年度の特別損益は発生しておりません。

 この結果、当事業年度の税引前当期純利益は、27,889千円(同24.9%増)となり、法人税等を11,157千円計上したことにより、当期純利益は、16,732千円(同17.7%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

 当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は939,860千円となっており、また、取引銀行1行と当座貸越契約を締結しているため、十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、会計基準の範囲内で、一定の見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 当社は、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置付けております。

 第21期事業年度においては、引き続き安定的かつ継続的な事業拡大を目指し、主力事業であるWebマーケティング事業とクラウドセールステック事業を中心に、東京、大阪を主な拠点とした営業活動やWebマーケティング活動による受注強化に加え、展示会への出展や大手企業・金融機関・代理店との関係強化や協業等により多様な販路を確立し、業績の向上に継続して取り組んでまいりました。しかしながら、先行投資として販売関連費や採用費等を増額したなかで、販売費及び一般管理費全体では無駄な費用の発生を抑えたものの、売上高の計画未達をカバーしきれずに、営業損失となりました。

 その結果、売上高は前年同期比104.0%となっております。なお、営業損失については、比較を行っておりません。

 第22期事業年度においても、引き続き安定的かつ継続的な事業拡大を目指し、主力事業であるWebマーケティング事業とクラウドセールステック事業に注力するとともに、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

 最近2事業年度の経営指標は次のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比(%)

売上高

営業損失(△)

1,520,546

△5,766

1,582,072

△25,081

104.0

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。