第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「社会から信頼される企業であること。清く、正しく、美しく、事業を行うこと。」を社是とし、事業の発展と社員の幸福を一致させるべく活動し、お客様、取引先及び株主が、ともに満足を得られる経営を行い、社会に貢献することを基本理念としております。当社グループは「100年続く企業」に向け、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対して、持続的な成長を実現する企業体への転換を推進し、継続的な企業価値向上を追求してまいります。

 

(2)中期経営計画における重点方針の取組状況

当社グループは、当事業年度における中期経営計画「Marketing Solution 2026 DMSCからMSCへ」を策定し、二大重点方針に「成長軌道への回帰 事業ポートフォリオの修正」「実効性のあるResponsibility経営の推進」を掲げ、事業領域の拡大、顧客提供価値の向上に取り組んでまいりました。

 

① 成長軌道への回帰 事業ポートフォリオの修正

成長ドライバーであるソリューション事業におきましては、物流代行、決済代行、マーケティングサポートの業容拡大に努め増収となりましたが、決済代行における個別債権の不払率が悪化したことに伴う貸倒引当金計上の影響により収益性が低下いたしました。

収益の源泉である通販事業におきましては、円安や物価上昇が続くなか、販売価格のコントロールやコストの低減に取り組むなど、収益性の確保に努めてまいりました。

eコマース事業におきましては、不採算事業からの撤退を含めた事業再建に取り組んだ結果、黒字に転換いたしました。

 

② 実効性のあるResponsibility経営の推進

「語る」のではなく「やる」をテーマに、マテリアリティ(重要課題)に基づいて設定した中長期的な目標の達成に向けて、「企業価値向上に向けた取組み」「環境配慮、脱炭素社会への不断の取組み」「タスク・ダイバーシティ経営の推進」の観点からそれぞれの取組みを実施しております。引き続き、目標の達成に向けた実効性のある取組みを推進してまいります。

 

<マテリアリティ(重要課題)>

■より良い商品・サービスの開発を通して、豊かな暮らしづくりをサポートする

■少子高齢化社会によって起こる社会問題の解決

■環境負荷の低減

■SCM強化による安心安全な商品提供

■タスク・ダイバーシティ経営の推進

■地域社会への貢献

■コーポレート・ガバナンスの強化

 

(3)今後の見通し及び経営戦略

今後の見通しにつきましては、当社グループを取り巻く経営環境は、雇用・所得環境は改善がみられるものの、エネルギー・原材料価格の高騰や金利の上昇、金融為替市場の変動、不安定な国際情勢等の影響に加えて、米国の新政権による政策動向の景気への懸念により、不透明な状況が続くことが見込まれます。小売業界におきましては、短期的には人件費、物流費等の上昇や、物価高騰に伴う消費マインドの低下に加えて、中長期的には人口減少や少子高齢化に伴うマーケットの縮小が懸念され、厳しい状況が続くことが予想されます。通販業界におきましては、EC・通販市場の拡大ペースは鈍化しており、また、参入業者の増加に伴い業種・業態を越えた競争が激化していることから、通販ソリューションサービスの重要性が増しています。さらに、人材不足や人件費高騰などを背景に、ビジネスプロセスアウトソーシングの需要の拡大も予想されております。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

このような外部環境を踏まえて、当社グループは、中長期ビジョンに「真のMSC(マーケティングソリューションカンパニー)になるために、マーケティングソリューション領域で独自性を磨く」を掲げ、ダイレクトマーケティング市場に限定せず事業領域の拡大に取り組むとともに、独自性の高いビジネスモデルを追求し、収益力の向上を図ってまいります。2025年度におきましては、LPB(Logistics、Payment、BPO)に経営資源を集中し、「独自性を追求した収益力の強化」及び「機動性のあるResponsibility経営の推進」の二大重点方針に取り組むことで、当社グループの企業価値の向上に努めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として、売上高成長率、売上高経常利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEを重視しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社グループは、「社会から信頼される企業であること。清く、正しく、美しく、事業を行うこと。」という社是のもと、パーパス(存在意義)として「マーケティングソリューション事業を通じて、時代が求める豊かな暮らしづくりをサポートする。」を制定しております。

チャレンジ精神を持ちながら、より良い商品、サービスを生み出し、今までになかった付加価値を提供することで、当社グループの持続的な成長に努めてまいります。

そのためには、持続可能な社会であることが大前提です。私たちは事業活動を通じて環境問題、社会問題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

(2)具体的な取組み

国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のフレームワークに基づき、取組みを開示いたします。

 

① ガバナンス

当社グループは、あらゆる外部環境の変化によるリスク及び機会を把握し、特に経営に影響を及ぼす課題を基に、取締役会において、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の特定及び解決に向けた施策の方向性を決定しております。このマテリアリティに対する取組みを事業部門と連携するため、サステナビリティ委員会を設置しております。

サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長、各事業セグメントの責任者(PRS)を委員とし、年に2回程度、事業部門と連携して目標設定や計画に対する進捗状況のモニタリング、実施内容の評価を行います。当委員会の内容は、取締役会に報告されることで、取締役会の監督が適切に図られるような体制としております。

 

② リスクマネジメント

当社グループでは、事業部門をリスクオーナーとして、リスクの識別と評価を行っております。また、内部統制委員会のテーマ事務局として「リスクマネジメント全般活動」事務局(以下、「RM事務局」という。)を設置しており、RM事務局が事業部門のリスク対応を支援しております。これらの活動は、内部監査部門において監査され、監査等委員会及び取締役会に報告されております。事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社グループは、中期経営計画「Marketing Solution 2026」において、以下3点を重点方針とし、実効性のあるResponsibility経営を推進してまいりました。

 

■環境配慮、脱炭素社会への不断の取組み

■タスク・ダイバーシティ経営の推進

■企業価値向上に向けた取組み

 

ⅰ)環境配慮・脱炭素社会への取組み

当社グループは、企業活動において起こりうる環境負荷に対して、以下の環境活動方針に沿った目標を設定し、事業を通じてバリューチェーン全体の環境負荷低減に貢献していきます。

(気候変動の事業影響とシナリオ分析)

当社グループの主要なビジネスであるソリューション・通販・eコマース事業を対象として、気候変動に関連する移行・物理的リスク及び機会を適切に把握し、シナリオ分析を実施しました。それぞれの気候変動リスク・機会が事業へ及ぼす影響を考察するにあたり、原材料調達~輸送・保管~商品・サービスの提供までのリスク・機会項目を考察し、国際機関が公表する2℃シナリオと4℃シナリオを用い、2030年時点における当社グループへの影響を考察しました。

リスク項目

事業影響

 

中分類

小分類

時間軸

考察:リスク

考察:機会

移行

政策・規制

 

炭素価格(炭素税)

中期~長期

物流施設・事業所等の電気・燃料使用等に関わるコストが増加

プラスチック規制

中期~長期

プラスチック製梱包材への規制が導入され、対応コストが発生

非プラスチックやバイオマス由来の梱包材を使用することにより、環境に配慮した物流への需要増加

製品・サービス

 

重要商品の需要変化

中期~長期

消費者のサステナビリティ意識の高まりから、衣料品・服飾雑貨の使用期間が長くなり、販売数量の減少や競合他社との競争が激化

消費者のサステナビリティ意識の高まりから、環境に配慮した製品の重要度が高まり、販売数量が増加

顧客行動変化

中期~長期

環境負荷を考慮していない、またはその明記のない商品の需要が減少

環境負荷の低い商品の需要が増加

市場

エネルギーコストの変化

短期~長期

化石燃料の価格高騰に伴い、物流会社へ支払う運送費が上昇

評判

顧客の

心理変化

中期~長期

環境への取組みに消極的という評価をされた場合には、ブランドイメージが毀損され、売上が減少

環境への取組みに積極的という評価をされた場合には、ブランドイメージが向上し、売上が増加

物理

 

急性

異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等)

中期~長期

・サプライチェーンが寸断され、商品出荷に遅れが出ることに伴う減収

・原料の値上がりによる輸送・カタログ用紙のコスト増加

異常気象の激甚化により外出頻度が減少し、通販の利用者数が増加

(ソリューション事業)

物流拠点の多拠点化により大規模災害や不測の事態への対応ができ、リスクの軽減及びコストの抑制

(eコマース事業)

激甚的な異常気象への不安から防災用品の需要が拡大

慢性

平均気温の上昇

中期~長期

・猛暑や暖冬の影響で季節性商品の需要が変化

・温度や湿度の変化により、商品保存環境の整備コストが増加

 

 

4℃シナリオの場合は、台風・洪水等の激甚災害による物理的被害に加え、石油需要の高まりによる運送費の影響度が比較的高くなる試算が得られました。両シナリオともに試算が可能なリスク・機会に関しては、影響度はどちらも限定的ですが、試算結果を考慮しながら、リスク・機会を継続的にモニタリングしてまいります。

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※BAU売総予測(business as usual):過去の業績から統計学を用いた 2030年における売上総利益。

 

(気候変動の戦略)

TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析と気候変動リスク・機会の選定、事業インパクトの評価を踏まえ、以下の主な施策を進めることにより、環境負荷の低減に取り組んでおります。

(a)CO排出量の計測と削減に向けた取組み

スコープ1~3におけるCO排出量の継続的な計測・認識を行うとともに、スコープ2における排出量削減に向けた取組みを推進します。具体的には、2024年度は物流センターであるスクロールロジスティクスセンター浜松西(以下、「SLC浜松西」という。)の屋上に設置した太陽光パネルによる発電が通年で稼働し、SLC浜松西にて使用する電力の一部をクリーンエネルギーに切り替えたことが、CO排出量の削減に寄与しました。また、「静岡Greenでんき」等のCOフリー電気の使用により、スコープ2におけるCO排出量の削減にも努めております。今後は、他の物流センターにおける太陽光発電パネルの設置を検討し、さらなるCO排出量削減を推進してまいります。

※スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

スコープ2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

スコープ3:スコープ1、2以外の間接排出

(b)紙の使用量の削減

当社は、生協宅配事業の組合員様向けに、カタログ通販を展開しております。組合員様にとって必要なカタログのみ配布するよう、カタログ発行部数・ページ数の削減やWebカタログへの移行を推進し、紙の使用量を削減いたします。

(c)プラスチック使用量の削減

自然環境では分解されないプラスチックは、海洋汚染や土壌汚染を引き起こし、海や陸の生態系に悪影響を及ぼしているといわれております。当社は、バイオマスや紙などの環境に配慮した商品梱包資材への切替えを推進し、プラスチック素材の使用量を削減いたします。

<指標と目標>

環境配慮・脱炭素社会への取組み

主な戦略

指標

目標値

(2030年度)

実績

(当連結会計年度)

スコープ2におけるCO排出量の削減

CO排出量削減率

(2020年度対比)

50%以上削減

41.4%削減

紙の使用量削減

カタログにおける紙の使用量削減率(2021年度対比)

25%以上削減

12.2%削減

プラスチック素材の使用量削減

プラスチック素材の梱包資材使用量削減率(2021年度対比)

65%以上削減

31.0%削減

ⅱ)タスク・ダイバーシティ経営の推進

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)

当社グループは、組織力向上のために適切な人員配置を行うことに加えて、個人として主体的・自律的なキャリア形成を求め、成果だけではなくグループの組織力向上に貢献する人材を育成、支援します。社員が望む多彩なキャリアの形成に応えられるよう努めながら、多様性を認め合い、個々人の能力を最大限発揮することのできる環境を整備していくことが、グループの持続的な成長につながっていくものと考えます。

(人材の育成に関する戦略及び取組み)

(a)採用活動

これまで各社で対応していた新卒社員の採用について、2023年3月の採用活動より、グループ採用(ダイレクトマーケティングソリューション採用)に切り替えました。これは、入社後ダイレクトマーケティングのプロとしての礎を築くという育成方針のもと、本人の志向や適性を踏まえ、最長で6年間、当社グループ内の多彩な事業・業務を経験し、計画的にジョブローテーションを実施するものです。成長事業であるソリューション事業から主力の通販事業、eコマース事業まで全社横断的に配置・登用をすることで、幅広い経験を積み、多様なキャリア形成を目指します。

また、当社の当事業年度における正規雇用労働者の採用全体に占めるキャリア採用者数は38名中28名で、多様なキャリアをもつ社員が活躍しています。今後も、経験や知見を生かし、即戦力として当社の企業価値向上に貢献する人材を積極的に採用していく方針です。

(b)人材育成

主体的・自律的なキャリア形成を実施するためには、社員一人ひとりが現在の業務に必要なスキルを身に付けることはもちろん、自身が目指すキャリア目標の達成に向けて努力をすることが求められます。そのような社員をサポートするために、階層別の研修、一人ひとりの志向やニーズに応じた専門性の強化、キャリア形成のための研修を主体的に受講できる機会を提供し、キャリア形成の実現を後押ししてまいります。

2024年度は、グループ全従業員を対象に、社員が講師となって行うナレッジ研修や、生産性向上に関する研修、AI活用研修などのグループ研修を全6回実施し、延べ563名が参加しました。

(c)目標管理

組織の目標達成のために従業員自身が取り組むべき目標を設定し実行する目標管理制度(MBO:Management by Objectives)により、社員の自主性を育み、モチベーションの向上につなげています。同時に、3年~5年後の「なりたい姿」を中長期的な目標(キャリア目標)として設定することで、自律的な人材を育成し、社員のキャリアパス実現をサポートする体制を整えます。また、タレントマネジメントシステムを導入し、人材データを可視化させることで、社員に紐づくデータを一元管理し、経験や能力、スキルといった情報を人材の育成や配置に活用しております。

(社内環境整備に関する戦略及び取組み)

(a)女性活躍推進

管理職候補者輩出のための研修を実施しながら人材育成を進め、女性管理職の登用を継続的に行ってまいります。また、社員の意見を吸い上げる場(コミュニティ)をつくり、グループ内で女性管理職としての悩みや課題を抽出し、その意見をもとに制度を改善していきます。さらに、ライフステージの変化により労働時間や働き方が制限される場合でも、テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を選択できる環境づくりに取り組み、社員の能力を十分に生かすことで、働き方の多様性を実現できるように努めてまいります。

<指標と目標>

タスク・ダイバーシティ経営の推進

主な戦略

指標

目標値

2025年度

実績

(当連結会計年度)

女性活躍推進

女性管理職比率(グループ全体)

30以上

26.6

女性管理職比率(スクロール単体)

30以上

31.1

 

 

(b)従業員エンゲージメントの向上

経営メッセージの伝達やロイヤルティ向上を目的とし、毎年度、部門や個人の業績・功績を表彰する制度を導入しております。受賞者のみならず社員のモチベーションを高め、組織の活性化につながる制度運営を行っております。

また、経営層と社員が自由に対話をすることができるタウンホールミーティングを開催し、経営層と社員とのコミュニケーション機会を創出しております。経営層は、直接社員に語りかけることにより重要なメッセージを社員に浸透させることができ、社員は経営層と直接対話することにより、意思伝達を行うとともに帰属意識を向上させることができます。

加えて、社員のコンディションの変化を早期に把握するため、社員に対し定期的にエンゲージメント・サーベイツールを用いた意識調査を実施し、必要に応じて個別のヒアリングを行うなどの改善活動を行っております。

 

ⅲ)企業価値向上に向けた取組み

当社は、持続的な企業価値向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の実効性向上に継続的に取り組んでおります。取締役会については、経営の監督機能を一層強化し、その実効性を高めるため、取締役の過半数を独立社外取締役とする機関構成としております。これに加えて、取締役会の多様性を確保し、それぞれの専門性や経験に基づく視点を経営の意思決定プロセスに生かすべく、女性の独立社外取締役を選任しております。こうした取組みを通じて、透明かつ客観的な経営判断と建設的な議論を促進し、企業価値向上に資する意思決定を目指してまいります。

また、経営の迅速な意思決定及び業務執行の権限・責任の明確化、並びに事業環境の変化に対する対応力強化を目的として、オフィサー制(グループオフィサー制・セグメントオフィサー制)を導入し、機動的かつ効率的な業務執行体制の構築を推進しております。

さらには、取締役の指名及び報酬に係る意思決定プロセスの客観性と透明性を確保するため、独立社外取締役を主要な構成員とする指名報酬委員会を設置しております。当委員会は、企業価値向上への貢献を重視した取締役に対する業績連動報酬制度の導入によって、経営貢献意欲を高めることや株主をはじめとするステークホルダーとの価値共有の実現を目指しております。

なお、コーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)リスクマネジメント体制

① 組織

当社グループでは、事業部門をリスクオーナーとしてリスクの識別と評価を行っております。また、内部統制委員会のテーマ事務局としてRM事務局を設置しており、RM事務局が事業部門のリスク対応を支援しております。これらの活動は、内部監査部門において監査され、監査等委員会及び取締役会に報告されております。事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

 

② リスクの評価方法

ⅰ)リスク管理表・リスクマップの作成

当社グループにおける汎用的なリスク及び各事業の固有リスクを表1のリスク区分の項目から抽出し、一覧化した「リスク管理表」を事業部門ごとに作成します。さらに抽出したリスクの「発生可能性」「影響度」を評価し、各事業部門のリスクマップを作成しております。

なお、リスク管理表とリスクマップは、毎年、責任者が見直すことで各事業部門のリスク対応を促しております。

ⅱ)セグメントリスク・グループリスクのまとめ

RM事務局は、各事業部門のリスク評価に基づきヒアリングを行い、セグメント別及びグループ全体のリスク評価を実施し、内部統制委員会に報告をしております。

 

表1 リスク区分

 

リスク区分

 

リスク区分

外部環境リスク

顧客・マーケット

気候変動

災害・事故

競合

事業プロセスリスク

SCM・商品調達

アウトソーシング

物流・運輸

財(商品・サービス)

法規制

内部環境リスク

ガバナンス

コミュニケーション

人材

企業文化

労務・就労

コンプライアンス

環境対応

財務・会計・投資

情報システム

広報・IR

 

表2 リスク評価基準(★の数が多いほど重要性が高い)

 

影響度

発生可能性

重要性:★★★

重要性:★★★★

重要性:★★★★★

重要性:★★

重要性:★★★

重要性:★★★★

重要性:★

重要性:★★

重要性:★★★

 

(2)事業等のリスク

(1)国内市場環境の変化

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

顧客・マーケット

★★★★

●リスクの内容

日本における将来の景気減退又は経済減速等の経済不振、及び少子高齢化や消費者の購買行動の変化は、アパレル、雑貨、化粧品・健康食品、旅行等の当社グループが取り扱う商品・サービスに対する購買力や需要に影響を与える可能性があります。また、さまざまな外的要因により、市場環境が悪化した場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、グループの事業ポートフォリオを継続的に見直し、市場環境の変化に対応するとともに、常に高収益を生み出すことができる事業基盤の構築を推進しております。拡大する通販ソリューション市場における当社ソリューション事業の成長戦略策定、通販事業における高度化経営による収益力向上の推進に加え、グループの2大経営管理手法である「STEP経営」及び「SMS経営」により迅速に対応策を検討・実施する等、リスクの最小化に努めております。

 

(2)パンデミックや大規模な自然災害等の異常事態リスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

災害・事故

★★★★

●リスクの内容

当社グループは、複数の事業拠点、物流施設等を使用し事業運営を行っております。また、当社グループで取り扱う商材は、主に海外で生産されております。新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックによるロックダウンや大規模な自然災害等が当社の想定を超える規模で発生した場合、各事業拠点における事業活動の停止、海外の生産拠点からの商品調達の停滞等、事業が停止・停滞することとなり、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、事業復旧の早期化・省力化を図るため、事業運営機能やオフィスの分散化、物流機能の多拠点化を実施しております。また、海外生産拠点の分散化も推進しており、海外現地法人等を通じて円滑な代替生産ができる体制を整備し、リスクの最小化に努めております。加えてBCP策定や事業リスク最小化に向けた施策を推進しており、有事の際には拠点別管理方針が発信され、テレワーク等勤務体制の変更、従業員の行動基準変更、異常事態発生時の対応策の実施等が行われます。

 

(3)物流機能に関するリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

物流・運輸/災害・事故

★★★★

●リスクの内容

当社グループにおいて、衣料品をはじめとする当社グループの販売商品及びソリューション事業のクライアント企業の商品の保管・出荷等の物流業務が、事業推進上、非常に重要な機能となっております。現在、複数の物流施設を使用し、物流業務を運営しておりますが、パンデミックや大規模な自然災害等の異常事態及びシステムトラブルが当社の想定を超える規模で発生し、物流業務の実施が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、大規模災害や不測の事態への対応も想定し、事業運営の要である物流機能の多拠点化(関東・東海・関西地区)を実施しております。また、業務復旧の早期化・省力化を図るため、BCP訓練の継続的な実施による実践的な対応等、事業リスクの最小化に向けた施策を実施しております。

なお、当社グループは、感染症等のパンデミックへの対策として、グループ行動基準を設け、感染警戒レベルに応じた在宅勤務や時差出勤などの柔軟な勤務の実施、健康観察や衛生管理の徹底など、従業員や取引先関係者の安全と健康を最優先に考えた感染拡大防止策を実施しております。

 

(4)為替レートの変動

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

SCM・商品調達

★★★★

●リスクの内容

当社グループの通販事業及びeコマース事業で取り扱う商品等の輸入は、主に米ドル建てとなっております。そのため、為替相場の変動により、米ドルに対して大幅な円安になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、為替相場の変動リスクを軽減するために為替予約によるリスクヘッジを行っております。また、仕入れ時の為替影響を反映した適切な販売価格設定を行っております。

 

(5)資源・原材料価格等の変動

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

SCM・商品調達

★★★★

●リスクの内容

国際的な資源・原材料需給の変動、社会情勢等の変化や天災地変等に起因して資源・原材料価格が高騰するおそれがあります。これにより、物流コストや原材料価格の上昇だけでなく、事業運営コストにも影響を及ぼし、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、複数の仕入ルートを確保することで、より安価な原材料調達に努めるとともに、パートナー企業との連携した取組み等、サプライチェーン全体でのコスト低減を図っております。

 

(6)販促に係るコストの増加

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

顧客・マーケット

★★★★

●リスクの内容

当社グループの通販事業においては、事業特性上、カタログ用紙や商品の梱包資材の材料として紙を使用しております。今後、用紙市況のさらなる環境変化等によりカタログ用紙や梱包資材のコストの増加が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、国内外の複数の調達先との取引関係を強化することで、常に最適かつ安定的な資材調達ができる体制を構築しております。また、サステナビリティの観点からも、カタログの発行部数やページ数の削減、Webカタログへの移行推進などにより、紙の使用量の削減に努めております。

 

 

 

(7)人材の確保と育成について

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

人材 / 物流・運輸

★★★★

●リスクの内容

当社グループでは、経営戦略を支えるのは人材であると認識しております。企業の持続的成長に向け、新たなビジネスモデルの構築や物流・システムインフラの強化など、経営・事業推進や専門技術を有する人材の継続的な育成・採用が必要となります。

また、当社グループでは、物流業務が事業運営上、重要な役割を担っております。この業務は、物流倉庫内の労働集約型業務ですが、サービス品質の維持及び効率の観点から、多くの質の高い人材を長期的に確保していくことが重要です。我が国における人口減少や少子高齢化等の影響により、安定的な人材採用が困難になり、必要な人材の確保ができない場合、サービス品質の低下や業務効率の悪化により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、社員一人ひとりが、多様なキャリア形成や組織力向上に貢献することを意識し、個人や組織の目標達成が事業発展へとつながるよう、タスク・ダイバーシティ経営を推進しております。新卒採用活動強化や育成プログラム拡充のほかジョブ型制度の導入など、さまざまなスキル・キャリアを持つ人材の採用・育成に努めております。女性活躍推進や若手社員へのユニット経営の機会創出など人材教育を進めるほか、ダイバーシティ制度を導入し、ライフステージの変化にあわせた柔軟な働き方を選択できる環境づくりに取り組んでおります。

また、物流業務に関する人材確保については、外国人材の積極的な活用を推進するなど、安定的な人材確保にグループ全体で努めております。加えて、業務改善(機械化、省人化等)により、少ない人員でも事業規模を維持できるようにしつつ、人件費コストの増加を抑制するように努めております。

 

(8)主要取引先との営業取引への依存

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

顧客・マーケット

★★★

●リスクの内容

当社グループは、基幹事業である通販事業セグメントにおいて、日本生活協同組合連合会及び各地域の生活協同組合等との営業取引を行っており、生活協同組合全体としての営業取引額は、当社グループの営業取引額全体の46.3%に至っております。予期せぬ事象等により、日本生活協同組合連合会あるいは個別の生活協同組合等との取引に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、経営戦略として、通販事業の事業基盤の強化に加え、成長ドライバーであるソリューション事業の事業拡大・収益力の向上を推進しております。中期経営計画で策定した各種戦略・重点施策を着実に推進し、通販事業以外の確固たる収益の柱を構築することで、事業ポートフォリオの強化を図っております。

 

 

 

(9)システムリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

情報システム

★★★

●リスクの内容

当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っており、個々のサービスレベルの向上を目的としたシステムの改修や変更、機器の入替等を継続的に行っております。不正アクセス、大規模停電等、予期せぬトラブルが発生し、復旧等に時間を要した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、主にeコマース事業において、大手ECモール運営会社が提供するプラットフォームを利用しているため、システム障害等によるモール閉鎖等、インターネット上の販売環境に何らかの障害が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化を含め、不測の事態による事業停止からの早期復旧に関して根本的な対策を講じております。なお、外部の専門機関から基幹システム及びグループインフラの情報セキュリティに対する外部評価を受けており、一定の水準を満たしていることを確認しております。また、オフィシャルサイトの運営や複数のECモールへの出店等により、特定のECモールに依存しない運営体制の構築に努めております。

 

(10)情報セキュリティに関するリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

情報システム

★★★

●リスクの内容

当社グループでは、事業活動を通じて個人情報などの秘密情報を取り扱う場合があります。これらの情報が漏洩した場合、当社グループの信用が失墜し、今後の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、不正アクセスやサイバー攻撃などにより事業が停止した場合、売上高の減少、在庫の増加及び損失の発生等に加えて、事後対応等に関するコストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、システム部門がグループ内のネットワーク環境等を整備するとともに、外部の専門機関による評価を行い、その評価を基に必要に応じた各種対策を講じております。加えて、定期的な社員研修を通じた人的対策や、セキュリティ区画の設定等の物理的対策も講じております。また、グループ横断のセキュリティ対策チームを組織し、インシデント発生時の行動基準を策定することで、発生リスクの低減を図るとともに、インシデント発生時に早期復旧が可能となる体制を構築しております。

 

(11)重大な事故等による影響

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

災害・事故

★★★

●リスクの内容

当社グループは、事業推進上、物流及びシステムインフラが非常に重要な機能を果たしております。火災、自然災害や情報セキュリティに関する事故が発生し、物流・システム機能の継続が困難な状況に陥った場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、バス旅行ツアーや訪日客向け旅行ツアー等において、重大な事故が発生した場合、当社グループの信用の失墜に繋がり、今後の営業活動に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループが主催・運営に関与していない他社のツアー等において、大規模な事故が発生した場合においても、旅行需要全体が低迷することにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、業務復旧の早期化・省力化を図るため、異常事態発生時の対応策の策定やBCP訓練の継続的な実施等により、事業リスクの最小化に向けた施策を実施しております。

 

 

(12)商品調達・海外貿易に関するトラブル

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

SCM・商品調達

★★★

●リスクの内容

当社グループで取り扱う商材は、主に海外で生産しております。貿易摩擦や当該地域における紛争、パンデミックによるロックダウン等により、当該国・地域からの仕入れが困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは複数の仕入れルートを確保しており、紛争やロックダウンが発生した際には、当該地域以外での商品調達が行える体制を構築しております。また、仕入先との連携強化を図るとともに、主要な海外生産拠点において海外現地法人等を設立し、情報収集や生産管理体制の強化とリスクの最小化に努めております。

 

(13)在庫リスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

SCM・商品調達

★★★

●リスクの内容

当社グループは、異常気象や天候不順、海外の法改正を含めたマーケットの急激な環境変化等により、当社グループの想定を上回る需要の変動があった場合、仕入商品が不稼働在庫となり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、暖冬等、昨今の異常気象を考慮に入れたマーチャンダイジング、雑貨等の季節性が比較的低い商品展開の拡大、仕入先との連携強化による生産リードタイムの短縮、受注予測システムによる発注精度の向上等の対策を推進しております。

 

(14)貸倒引当金に関するリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

顧客・マーケット

★★★

●リスクの内容

当社グループは、ソリューション事業のメニューのひとつとして決済代行サービスを提供しております。決済代行サービスは、加盟店に対し消費者のご利用料金の立替払いを行い、商品・サービスの提供後に消費者から代金を回収することで成立しております。当社グループは、立替金について、会計方針に基づき貸倒引当金を計上し、今後予想される貸倒れに備えておりますが、見積り以上の貸倒れが発生する場合や、貸倒引当金の算定方法を変更する必要が生じた場合は、貸倒引当金の追加計上等により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、与信精度の維持・向上を図るとともに、業界ごとの市場動向を定期的に検証し適切な加盟店管理に反映させるなど、リスクの発生可能性の低減に努めております。

 

 

 

(15)企業買収

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

財務・会計・投資

★★★

●リスクの内容

当社グループは、経営戦略の推進のため、事業ポートフォリオの強化に向けた企業買収を実施しております。当社グループでは、企業買収にあたり、対象となる企業の資産内容や事業状況について、必要かつ十分なデューデリジェンス(適正価値精査)を実施しておりますが、買収対象会社において、事業環境や競合状況の変化等に伴い、当社グループが期待する利益成長やシナジーが目論みどおりに実現できず、予期しない債務又は追加投入資金等が発生する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社では、買収前の外部評価を含むデューデリジェンス、監査等委員による事業審議会の開催、取締役会での複数回の審議の実施、物流等のグループインフラ活用、グループ情報の共有等によるPMIの促進を行い、当社グループが期待する利益成長やシナジーが発現するように取り組んでおります。加えて、買収企業の経営成績を定期的に確認するとともに、当初計画に対する進捗を適宜確認のうえ、必要な審議を行う体制を構築しております。

 

 

(16)減損会計の影響

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

財務・会計・投資

★★★

●リスクの内容

当社グループは企業買収等により計上したのれんをはじめ、事業用の設備、不動産等のさまざまな有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産が、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になる等、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

投資案件に関して、監査等委員による事業審議会の開催、取締役会での複数回の審議を行い、投資計画の妥当性、有効性を確認しております。また、投資後において業績の状況、社内の評価算定ルール等に基づいたモニタリングをする仕組みを構築し、適宜、取締役会への報告、必要に応じた審議を行っております。

 

(17)知的財産権の侵害

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

財(商品・サービス)

★★★

●リスクの内容

当社グループの取り扱っている商品が第三者の知的財産権を侵害した場合、権利者から当該商品の廃棄や損害賠償を請求されるおそれがあります。その結果、当該商品の廃棄や損害賠償の費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループにおいては、複数のオリジナルブランドを保有しており、商標権等の知的財産権の申請を行っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間や費用を要することにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、知的財産権に関する社内研修を実施するほか、当社の取り扱う商品が他人の知的財産権を侵害しないことを事前に確認する仕組みを構築するなど知的財産権保護のための体制を整備しております。これにより、リスクの発生可能性の低減を図っております。

 

 

 

(18)気候変動に関するリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

気候変動

★★★

●リスクの内容

気候変動が生じると、災害が激甚化するおそれがあります。この場合、社会インフラがダメージを受け、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

●具体的な対策

当社グループは、気候変動を含む環境問題を経営に影響を及ぼす重要な課題の一つとして認識しており、環境負荷低減に向けた課題と目標を新たに設定しております。また、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理リスク・機会について検討し、対応方針を策定しております。リスクについては、紙やプラスチック包装資材の使用量削減や環境に配慮した商品の開発など、環境負荷の低減に向けた取組みを強化するとともに、機会については、積極的にビジネスへの取り込みを図ってまいります。

なお、自社の物流施設やオフィスビルについて、COの削減目標を定め、太陽光発電システムの設置等、排出量削減に向けた取組みを推進してまいります。

 

 

(19)商品の安全性

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

財(商品・サービス)

★★

●リスクの内容

当社グループが提供する商品において、品質に重大な瑕疵や不備その他予期せぬ重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの信頼低下により、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、独自の品質基準を設け商品の品質向上に取り組むとともに、関連法規を遵守することで、リスクの低減に努めております。なお、商品不良等による重大なトラブルに伴う各種損害の軽減及び確実な賠償を行うために、賠償責任保険へ加入しております。

 

(20)法規制

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

法規制

★★

●リスクの内容

当社グループは、衣料品・生活雑貨・化粧品・健康食品等の製造並びに販売、通販ビジネスのソリューション事業、旅行の企画・催行をしております。各事業は特定商取引に関する法律、割賦販売法、個人情報の保護に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、消費者保護法、製造物責任法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、食品衛生法、倉庫業法、旅行業法等々、多数の法的規制を受けております。万一、何らかの理由により関連法令等の規制が遵守できず、監督官庁から処分を受けた場合や、これらの法的規制の大幅な変更があった場合等には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、グループ内に内部統制委員会を設置しております。内部統制委員会では、リスクマネジメント活動の強化を重点テーマの一つとして掲げ、各種法令への遵守に向けた社員教育及び体制整備に努めております。

 

 

 

(21)責任ある調達

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

SCM・商品調達

★★

●リスクの内容

当社グループで取り扱う衣料品商材等におきましては、自社で企画・監督しながら主に海外の工場への外部委託によって製造を行っております。当該製造委託先等において、人権侵害行為等が発生した場合、商品調達の断念及び当社の社会的な信用が毀損するなど、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、より良い労働環境を確保することや製品の生産プロセス全体にわたる持続可能な取組みが重要との考えのもと、製造委託先に向けた「行動規範」を制定するとともに、規範の遵守を誓約した工場でのみ製造をしています。また、監査手法として、自社従業員の訪問による行動規範監査の実施、又は第三者認証監査による世界最大の労働・環境認定プログラムであるWRAP(Worldwide Responsible Apparel Production Certification Program)等の行動規範基準に基づく監査を行うなど、社会や環境に配慮した責任ある調達を推進しております。

 

 

(22)運送会社及び物流網に関するリスク

リスク区分

発生可能性

影響度

重要性

物流・運輸

★★

●リスクの内容

EC・通販市場の拡大に伴う物流量の急増や、物流の「2024年問題」等の影響による配送ドライバーの人手不足問題により、物流コストの増加や配送制限等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

●具体的な対策

当社グループでは、配送パートナーの協力のもと最適な配送網を構築し、リスクの発生可能性を低減するとともに、適切な販売価格を設定するなど影響度の軽減を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や堅調な企業収益、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復等により、緩やかに回復しておりますが、物価の高騰や金融・為替市場の変動、不安定な国際情勢や米国の通商政策による景気への影響などにより、先行きは不透明な状況になっております。小売業界におきましては、実質賃金のプラス基調は定着しておらず、継続的な物価高騰に伴う生活防衛意識の高まりにより消費マインドの低下が懸念されていることに加えて、仕入価格やエネルギー価格等の各種コストが増加しており、厳しい経営環境となっております。通販業界におきましては、成長率が鈍化しているなか、参入企業の増加に伴う業種・業態を越えた競争が激化しております。

このような環境のなか、当社グループは、2024年度を始期とする新たな中期経営計画「Marketing Solution 2026 DMSCからMSCへ」を策定し、本中期経営計画のもと、マーケットの拡大に挑戦し提供価値を高めていくことで、既存の殻を破り、新たな企業体への進化を目指してまいりました。2024年度におきましては、「成長軌道への回帰 事業ポートフォリオの修正」及び「実効性のあるResponsibility経営の推進」の二大重点方針に取り組むことで、当社グループの企業価値の向上に努めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高84,030百万円(前年同期比5.3%増)となりました。利益面におきましては、営業利益6,052百万円(同13.9%増)、経常利益6,424百万円(同16.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,267百万円(同16.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

前連結会計年度まで、5つの報告セグメントにて事業を展開してまいりましたが、当連結会計年度より経営の効率化を図るため、従来の「HBT事業」を「eコマース事業」に統合し、4つの報告セグメントへと変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

なお、各セグメントの売上高につきましては、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。

 

ソリューション事業

ソリューション事業におきましては、ダイレクトマーケティングの事業運営に必要不可欠な機能をワンストップで提供できることを強みとして、その提供先をダイレクトマーケティング市場に限定せず、あらゆる事業者を対象にマーケットの拡大に取り組んでまいりました。物流代行においては、BtoB物流や食品ECなどの新しい市場の開拓を含め、新規顧客の獲得に向けた営業活動や、物流センターの効率改善等に努めてまいりました。マーケティングサポートにおいては、引き続き好調に推移しております。決済代行においては、役務提供企業への営業拡大により、取扱高は堅調に推移しておりますが、個別債権の不払率が悪化したことに伴い引当金の負担が増加しております。

以上の結果、売上高は31,223百万円(前年同期比24.9%増)となり、セグメント利益は889百万円(同26.7%減)となりました。

 

通販事業

通販事業におきましては、夏・盛夏物商品の受注は堅調に推移しましたが、冬物・春物商品の受注が苦戦したことにより、通期では前年同期並みの売上高となりました。また、円安等により仕入価格が上昇するなか、販促費をはじめとする各種コストの削減・抑制に取り組むことで、利益の最適化に努めてまいりました。

以上の結果、売上高は38,993百万円(同0.4%減)となり、セグメント利益は5,200百万円(同3.1%減)となりました。

 

eコマース事業

eコマース事業におきましては、事業効率化を目的とした事業再編に伴う不採算商材からの撤退や規模縮小により、売上高が大幅に減少いたしました。再編により運営費用を圧縮したことに加え、販促費等のコスト削減に取り組むなど、収支バランスの正常化に努めてまいりました。

以上の結果、売上高は15,281百万円(同12.7%減)となり、セグメント利益は163百万円(前年同期はセグメント損失1,184百万円)となりました。

 

グループ管轄事業

グループ管轄事業におきましては、自社保有物流施設等の不動産賃貸、当社グループの物流オペレーション及び海外子会社の管理を行っております。物流オペレーションにおいては、東海・関西・関東エリアにおけるセンター運営の強化を進め、安定的な運営体制の構築に努めてまいりました。

以上の結果、売上高は3,605百万円(前年同期比8.7%増)となり、セグメント利益は175百万円(同52.8%増)となりました。

 

財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、56,032百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,773百万円増加いたしました。この主な要因は、未収入金の増加、現金及び預金の増加によるものであります。

(負債)

負債は19,561百万円となり、前連結会計年度末に比べ313百万円減少いたしました。この主な要因は、借入金の減少、未払金の増加によるものであります。

(純資産)

純資産は36,470百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,086百万円増加し、自己資本比率は65.1%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ1,770百万円減少し、当連結会計年度末において5,625百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は6,124百万円(前年同期は3,434百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上、未払債務の増加、未収入金の増加及び法人税等の支払額などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は3,298百万円(前年同期は332百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は4,632百万円(前年同期は5,969百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出及び配当金の支払額などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、カタログ及びインターネットを媒体とする通信販売業を主たる事業としているため、生産及び受注の状況に替えて仕入実績を記載しております。

 

a.仕入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ソリューション事業(百万円)

6,543

32.2

通販事業(百万円)

19,126

2.0

eコマース事業(百万円)

10,293

△12.7

グループ管轄事業(百万円)

調整額(百万円)

△169

合計(百万円)

35,794

1.1

 

b.販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ソリューション事業(百万円)

31,223

24.9

通販事業(百万円)

38,993

△0.4

eコマース事業(百万円)

15,281

△12.7

グループ管轄事業(百万円)

3,605

8.7

調整額(百万円)

△5,074

合計(百万円)

84,030

5.3

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

コープデリ生活協同組合連合会

9,845

12.3

10,077

12.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ4,204百万円増加し、84,030百万円(前年同期比5.3%増)となりました。

ソリューション事業におきましては、売上高は前連結会計年度に比べ6,230百万円増加し、31,223百万円となりました。これは主に、物流代行、決済代行、マーケティングサポートの業容拡大に努めたことによるものであります。

通販事業におきましては、売上高は前連結会計年度に比べ171百万円減少し、38,993百万円となりました。これは、夏・盛夏物商品の受注は堅調に推移したものの、冬物・春物商品の受注が苦戦したことによるものであり、通期では前年同期並みの着地となりました。

eコマース事業におきましては、売上高は前連結会計年度に比べ2,226百万円減少し、15,281百万円となりました。これは主に、不採算事業からの撤退による事業規模縮小の影響によるものであります。

また、各報告セグメントの売上構成比(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)は、ソリューション事業が35.0%、通販事業が43.8%、eコマース事業が17.2%、グループ管轄事業が4.0%となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ3,145百万円増加し、34,632百万円(前年同期比10.0%増)となりました。また、売上総利益率は、前年同期の利益率悪化要因であった事業リストラ・再編のための在庫評価損が解消されたことにより改善し、41.2%(前年同期は39.4%)となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、主にソリューション事業における決済代行の拡大に伴う貸倒引当金の計上に伴い、前連結会計年度に比べ2,406百万円増加し、28,580百万円(前年同期比9.2%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ739百万円増加し、6,052百万円(同13.9%増)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ158百万円増加し、406百万円(同64.3%増)となりました。

営業外費用は、前連結会計年度に比べ14百万円減少し、33百万円(同30.1%減)となりました。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ912百万円増加し、6,424百万円(同16.6%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益はありません。(前年同期は115百万円)

特別損失は、78百万円(前年同期比48.4%増)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ617百万円増加し、4,267百万円(同16.9%増)となりました。

 

当社グループの財政状態の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

2025年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。

売上高は、計画比4,030百万円増(5.0%増)となりました。これは、ソリューション事業の業容拡大によるものです。

経常利益は、計画比224百万円増(3.6%増)となりました。これは、ソリューション事業における貸倒引当金の計上を行ったものの、増収の影響及びeコマース事業のリストラ効果がそれを上回ったことによるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は、計画比67百万円増(1.6%増)となりました。

ROEは、計画比0.1ポイント増の12.2%となりました。

指標

2025年3月期

(計画)

2025年3月期

(実績)

2025年3月期

(計画比)

売上高

80,000百万円

84,030百万円

4,030百万円増( 5.0%増)

経常利益

6,200百万円

6,424百万円

 224百万円増( 3.6%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

4,200百万円

4,267百万円

  67百万円増( 1.6%増)

ROE

(自己資本利益率)

12.1%

12.2%

0.1ポイント増

(注)2025年3月期(計画)につきましては、2024年5月8日付「2024年3月期 決算説明会資料」で公表いたしました通期の業績予想数値であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。

運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金又は金融機関からの借入を基本としております。

また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。

 

当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,625百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(貸倒引当金)

当社グループは、債権の状況に応じて算出した過去の貸倒実績率を基礎に、外部環境等の変化が期末日現在に保有する債権の信用リスクに与える影響を反映するよう、最近の回収状況を加味した予想貸倒率を用いて計上しております。貸倒見積高の見積りにあたっては最近の回収状況等を反映するよう考慮していますが、将来の信用リスクの変動によっては、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する貸倒引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

5【重要な契約等】

当連結会計年度において、重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。