(1)経営方針
当社グループは、私たちが目指す社会像(=ミッション)として、「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」を掲げ、人々が多種多様な選択肢から自分の嗜好に合わせて自由に選択でき、それが尊重される社会こそが豊かで幸せであると考え、世界中の人々が、多種多様で高品質な“おいしい”を自由に選択でき、楽しめる社会を目指しております。
また、当社グループは、私たちが果たす役割(=ビジョン)として、「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」を掲げております。日本及び世界で大切にされてきた“おいしい”を見つけ、守り、育て、世界へと届けることを目指し、そのために私たち独自の“おいしい”を見つける目利き力、“おいしい”を守る事業基盤、“おいしい”を育てる支援機能、“おいしい”を世界へと届ける販売網を構築し、その結果として、世界の食文化と多様性、地域社会の活性化を推進するグローバルプロデューサーになることを目指しております。
(2)経営環境
わが国の基幹産業である製造業には、地域に根ざした中小食品企業が数多く存在し、多くの雇用を支えております。しかしながら、高い技術力や優れた商品力を持ちながらも、後継者不在により廃業を余儀なくされる企業や、外部環境の変化により本来の力を発揮できずに経営が行き詰まる企業が増加しております。
当社はこれまで、そうした企業の受け皿として、ヒト・モノ・カネの面から支援をおこない、中小企業の再成長と地域経済の活性化に取り組んでまいりました。昨今では、物価上昇への対応として価格改定や商品規格の見直しが進む一方、消費者の節約志向は一段と強まっており、中小企業を取り巻く事業環境はますます厳しさを増しています。こうした状況の中、当社は、今後も引き続き多くの企業の受け皿となることで事業の拡大を図るとともに、当社の中核スキルである「中小企業支援プラットフォーム」を通じて的確な経営支援をおこない、グループ全体の持続的な成長と事業の活性化を推進してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境は、インバウンド需要の回復や個人消費の持ち直しが進む一方で、地政学的リスクの継続、為替の変動、世界的な物価上昇圧力などにより、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。また、原材料価格やエネルギー価格の高止まりに加え、物流費や人件費の上昇、労働力の確保が困難になるなど構造的な課題が顕在化する中、消費者の節約志向が一段と強まることも想定され、引き続き厳しい状況が続くものと見込まれます。
このような環境下において当社グループは、「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」というミッションの下、中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現に向け、以下のことに取り組んでまいります。
① M&Aによるグループ企業の増加
当社は、事業承継問題や単独での成長に課題を抱える企業をM&Aにより子会社化し、中小企業支援プラットフォームを活用した経営支援やグループシナジーの創出により、個社のみならずグループ全体で成長を図ることを基本的な方針としております。今後も、積極的なM&Aの推進により子会社が増加していくことで、新たに子会社となる企業が持つノウハウや人材などのリソースをグループ全体に取り込み、また、規模の拡大により購買、物流、経営管理面での効率化を図ることで、グループ全体の相乗的な成長に向けて取り組んでまいります。
② プラットフォームの強化
当社は、子会社の相互成長を促す「中小企業支援プラットフォーム」を構築しております。「中小企業支援プラットフォーム」は、中小企業が本来持つ“強み”を伸ばし、“弱み”を補い合うことを目的とし、各子会社がおこなう業務(セールス・マーケティング、商品開発、生産管理、購買物流、品質管理、経営管理等)を、当社の統括責任者が会社の枠を越えて横断的に統括し、有機的に結び付ける仕組みです。各統括責任者のもと、各子会社が持つ販路、生産管理手法、商品開発ノウハウ等を共有し、子会社間での相互活用や、経営管理の効率化、グループ信用力を活用した資金調達を通じて、当社グループ全体での成長を実現しております。
当社は、今後も、各機能の専門人材を積極的に採用するとともに、事業パートナーとの提携によるノウハウの獲得やM&Aによるグループ化を推進し、「中小企業支援プラットフォーム」をより一層強化してまいります。
③ 海外市場への展開
少子高齢化の進行により、今後、国内における食品市場は縮小していくことが予想されます。一方で、アジアを中心とした海外市場においては、安心安全な日本の食品への需要が高まる傾向があります。これまで当社は、シンガポールに設置した地域統括会社を中心として、主にシンガポールにおいて当社グループ商品を販売してまいりました。引き続き、当社グループ商品の海外販売強化、海外販路の構築、M&Aによる規模の拡大により、海外事業を推進してまいります。
④ 内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化
当社は、企業倫理と法令遵守の徹底を経営の根幹に据えるとともに、最重要課題の一つと位置づけ、内部統制及びコンプライアンス体制の強化に継続的に取り組んでおります。特に、教育・啓発活動の一環として、定期的な社内研修を通じたコンプライアンス意識の向上や、内部通報制度の整備による不正・不祥事の早期発見と被害の最小化、さらにモニタリング及び内部監査の強化を進めております。あわせて、内部統制システム全体の定期的な再点検を実施するとともに、コンプライアンス委員会による監視・牽制機能を強化することで、透明性と健全性の高い企業運営体制の構築に努めてまいります。
⑤ 人材採用の強化
当社は、今後さらなる事業拡大を推進するにあたって、継続的に各分野のスペシャリストを中心とした優秀な人材を採用し続けることが必須であると考えており、従前の採用手法だけにとどまらず、リファラル採用の強化等、あらゆる採用手法を積極的に取り入れ、採用体制の強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「いつまでも、この“おいしい”を楽しめる社会へ」というミッションのもと、「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」という企業理念に基づいた事業活動を通じて、わが国が直面する社会課題の解決に貢献するとともに、当社グループの中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。
(1)ガバナンス
当社グループは、代表取締役及び経営幹部で構成される経営会議やコンプライアンス委員会において、サステナビリティに関するリスク及び事業機会について定期的に情報共有及び議論をおこなっております。議論の内容のうち重要と判断した事項については、取締役会にて報告され、必要に応じて対策の審議・決議をおこなっております。取締役会において決議された対策は、経営会議及びコンプライアンス委員会を通じて各部門へ共有され、内部監査によりその活動及び管理体制の監視をおこなうことで、全社的なリスク管理を実施しております。
(2)戦略
① 気候変動対応に関する取り組みの方針
当社グループは、「地域の“おいしい”を守り、育て、世界へ」というビジョンのもと、日本及び世界で大切にされてきた“おいしい”を見出し、守り、育てて、世界中に届けることを目指しております。その実現に向けて、気候変動を中長期的な事業リスク及び成長の機会と捉え、グループ全体で気候変動対策に取り組んでまいります。
気候変動対応に関する施策として、当社グループでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言等を参照しつつ、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことで、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。
② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループでは、「あなた“らしさ”を大切にします」というバリューのもと、性別・年齢・国籍等にとらわれず、多様な人材の確保に努めるとともに、従業員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境の整備を目指すことが、当社グループの中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現につながると考え、積極的な採用活動、人事制度及び人材育成の強化に取り組んでおります。
多様性の確保に向けた施策として、当社グループでは、中途採用や定年退職者の再雇用等、スキルや能力等の適正な評価に基づき、必要な職務に応じた人材の採用を推進することにより、人的資本の向上を目指しております。また、組織力向上を目的とした適切な人員配置や、次世代の子会社経営人材育成につながる仕組みの構築を推進することにより、永続的な事業活動の継続及び発展に努めております。
また、当社グループは、人事制度及び教育研修体系の整備を通じて、多様な人材が活躍できる働き甲斐のある環境の提供に取り組むとともに、従業員の安全と健康に配慮した健全な労働環境の確保により、従業員の心身の充実を図ってまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、直接的・間接的に当社グループの経営又は事業運営に重大な影響を与える可能性のあるリスクを迅速かつ正確に把握し、対策を検討、実行するため、経営会議やコンプライアンス委員会において、サステナビリティに関するリスク及び事業機会の識別、評価及び管理について議論をおこなっております。環境、品質、法令遵守、自然災害等に係る個々の事業リスクについては、各部門において規程の制定やマニュアル作成等を実施し、内部監査によりその有効性及び適切性を確認しております。また、経営会議において、定期的に潜在的リスクの把握と分析を実施することにより、リスクの早期発見及び未然防止を推進し、リスク軽減に努めております。
なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取り組みについては「
(4)指標及び目標
① 気候変動対応に関する取り組みの方針
当社グループは、CO2排出削減の長期目標として、2051年2月期までにカーボンニュートラルを達成することを目指しております。特に2031年2月期までの期間については事業による直接排出(Scope1)と電力消費による間接排出(Scope2)について、2025年2月期比で25%以上削減を目標とし、グループ全体で取り組んでまいります。
Scope1及びScope2の排出量削減に関しては、生産の効率化を図り使用するエネルギーの総量を削減するほか、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えることや、再生可能電力を自社で発電するなどの取り組みも検討してまいります。現在、国内のグループ会社において、電気使用量及びCO2排出量をモニタリングしておりますが、今後は、海外グループも含めたデータ収集をおこない、開示してまいります。
CO2排出量削減の中長期目標
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2031年2月期 |
2051年2月期 |
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CO2排出量削減目標 (Scope1、2) |
25%削減 (2025年2月期比) |
カーボン ニュートラル |
CO2排出量実績(国内グループ会社)
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カテゴリー |
2025年2月期実績値 |
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Scope1 |
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Scope2 |
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合計 |
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② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる労働環境や企業風土の構築に取り組むとともに、性別・年齢・社歴等では区分せず、適正な人事評価制度を採用することにより、多様な人材の活用を進めております。
上記の考えのもと、国内のグループ会社では、女性労働者の管理職への積極的な登用を推進し、女性管理職比率を2036年2月期までに30%以上に引き上げること、及び男女の平均勤続年数の差異を80%以上に維持することを目標に取り組んでまいります。今後は、海外グループも含めたデータ収集をおこない、開示してまいります。
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指標 |
目標 |
実績(2025年2月期) |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本書に記載された将来に関する事項は、すべて本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 人口動態の変化について
現在、わが国では、少子高齢化により人口の減少と高齢化が急速に進行しております。特に地方に拠点をおく企業は、人口減少によるマーケット縮小の影響を受けております。当社グループにおいても、地方に拠点をおく子会社が存在しておりますが、全国に展開している当社グループの販路を活用するなどの相互補完により影響を軽減できる体制を整えております。また、高齢者向けの商品開発を推進するなど、高齢者向け市場の開拓も進めております。しかしながら、今後この傾向がさらに顕著となり、対応が遅延した場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 食品の安全性の問題について
当社の子会社は、食品の製造及び販売を主たる事業としております。当社グループは、「食の安全」を基本的事項と位置付け、社内に商品開発・品質管理担当責任者を配置し、グループ各社の品質管理に関わる事項について横断的に対応しております。また、各子会社では、衛生管理マニュアルに基づいた衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、将来において想定を超える食品の安全性を揺るがす事態が発生し、直接的に当社グループの製品、取扱商品に起因する如何にかかわらず、風評被害などによるイメージの低下や、食中毒などの衛生問題により製品の回収、廃棄、営業停止、被害者からの損害賠償請求などが発生した場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 消費者嗜好の変化について
当社グループが事業をおこなう食品市場は、消費者の嗜好の変化に影響を受けやすい市場です。当社グループが収益及び利益を確保していくためには、消費者の嗜好にあわせた魅力的な商品を提供することが必要となります。当社グループは、市場動向を的確に把握するよう努めていますが、必ずしも消費者の嗜好にあった魅力的な新商品を開発できるとは限りません。仮に、消費者の嗜好に重大な変化が生じた場合や、当社グループがその変化に的確に対応できない場合、当社グループ商品の需要が減少し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合について
当社グループが事業を展開している食品市場は競争が厳しく、当社グループは、大手食品企業や中小食品企業と競合しております。大手食品企業は、豊富な経営資源や事業規模を活かし、消費者の嗜好の変化にあわせた新商品の投入や、積極的な販促活動等をおこなうことが可能です。一方、中小食品企業は独自ブランドを武器に、特定の商品カテゴリーにおいて強みを持ち、安定した地位を築いている場合があります。当社グループがこれらの競合他社に対して優位性を確保できない場合、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 法的規制等の影響について
当社グループは、食品の製造及び販売にあたり、食品衛生法、製造物責任法、JAS法等の法的規制を受けているほか、工場においては各種の環境規制にも対応しております。そのため、当社グループでは子会社各社の関連部門と当社商品開発・品質管理担当責任者並びに総務・コンプライアンス部が連携して対応しております。法令遵守については万全を期して取り組んでおりますが、万一法令違反が発生した場合や、将来的に予期しない法令改正や新たな規制が導入された場合には、当社の事業活動が制限され、業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 偶発的リスクについて
当社グループは、日本全国及び海外に子会社や工場などの拠点を有しております。そのため、大地震や豪雨、竜巻などの自然災害により、当社グループの事務所、工場などの建物、並びに内部の設備・機械装置が破損、水没、焼失等の被害を受ける可能性があります。また、想定を越える自然災害が発生した場合には、当社グループの設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、交通や通信の停止、さらにはサプライチェーンの断絶などにより、取引先への商品・製品の出荷遅延や停止を余儀なくされ、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、天候不順や自然災害に加え、鳥インフルエンザや豚流行性下痢等の疫病等の発生により、原材料の調達が困難となる場合や、価格高騰が生じた場合には、製造コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その他、新型コロナウイルス感染症のような新種の疫病発生に伴い、国内外のサプライチェーンの混乱、外出自粛要請による消費の減退、外食産業や観光産業の低迷、業務用商品の需要低迷、政府による行動制限や社会的混乱、消費者の心理的要因による消費行動や購買内容に重大な変化が起こることにより、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果として、当社子会社においては事業収益の悪化に伴う固定資産の減損や、買収時に想定した事業計画が予定通り進捗しないことによりのれんの減損等が発生する可能性もあり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
(7) 原料価格の変動について
当社グループは、原材料や商品の多くを、直接的又は間接的に海外から調達しております。このため、急激な為替相場の変動により仕入価格が高騰した場合には、販売価格への転嫁が遅れることや十分な価格転嫁ができないことで、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループにおいて製造される製品は、主原料として、小麦、そば、米、たまねぎ、キャベツなどの農産物、鮭、かき、わかめ、ひじき、ホタテなどの海産物、鶏肉などの食肉を加工した製品となります。加えて、資材・包材等の石油製品も使用しております。これらの原材料や資材の価格は、原産国における異常気象、紛争の発生、需給構造の変化、市況の変化、漁獲・収穫量の減少及び法的規制の変更などの要因により相場が高騰する場合があり、その結果、仕入コストが上昇し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 販売チャネルについて
当社グループは、卸売業者及び大手小売業者などの販売チャネルを通じて商品を販売しております。卸売業者や小売業者の間で合併・統合が進み、大規模な流通業者が誕生しつつあります。こうした事業者は高い価格交渉力を有する場合があり、当社グループに対する価格引下げ圧力が強まる可能性があります。また、何らかの理由によりこれらの販売先との取引が中止もしくは縮小された場合には、当社グループの事業・業績に影響を与える可能性があります。
(9) 特定の仕入先への依存について
当社グループは、一部の原料について特定の仕入先に依存しているものがあります。たとえば、株式会社オーブンの主力商品である「かきフライ」に使用する原料(かきIQF※)は、特定の仕入先から供給され、大量に安定的に調達することが困難な状況にあります。また、SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITEDやPACIFIC SORBY PTE. LTD.が扱うエビ、ホタテ、カニ、ロブスターなどや、株式会社香り芽本舗が扱うわかめ、十二堂株式会社が扱うひじき、株式会社マルキチ及び株式会社ワイエスフーズが扱うホタテなども、それぞれ特定の仕入先に依存しております。これらの仕入先とは、継続的かつ安定的に仕入ができるよう、情報交換等含め連携の強化に努めておりますが、天災地変、品質上の問題、あるいは仕入先の経営破綻などが発生した場合、原料の仕入れが困難となり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※ かきIQFとは、特殊な冷凍技術により、かきを個別に急速冷凍したものであります。
(10) ビジネスモデルに関するリスクについて
① 子会社の業績変動について
当社グループのビジネスモデルは、子会社の成長を通じてグループ全体の成長を実現することを目的としております。そのため、各子会社の財政状態及び経営成績は、当社グループ全体の財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。現在、当社においては、グループ全体及び各子会社の経営戦略の立案や経営管理を統括しておりますが、子会社における事業の遂行が計画通りに進まない場合や、予期しない業績変動が生じた場合には、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。
② キャッシュ・フローの変動について
当社グループは、過去に実施したM&Aにより資産及び負債が増減するとともに、キャッシュ・フローの状況が大きく変動しております。当該変動は、M&Aに伴う会計処理等に起因するもの等でありますが、今後、新たなM&Aを実施することにより、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。
(11) 情報システムに関するリスクについて
当社グループは、販売、購買、生産等の業務に関する情報や、通信販売の顧客に関する個人情報を情報システムにより管理しております。システム上のトラブルに備え、最大限の保守・保全等の対策を講じるとともに、アクセス権限の設定・パスワード管理の徹底などにより、情報漏洩の防止に努めております。しかしながら、万が一、システムのダウンや予測不能のウイルスの侵入、不正アクセス等が発生した場合には、情報システムの停止、顧客情報を含む内部情報の消失、漏洩、改ざんといったリスクが生じる可能性があります。このような事態が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 訴訟等の可能性について
当社は、コンプライアンス体制の整備、強化に努めており、将来問題となる可能性のある事項については、顧問弁護士と連携のうえ、細心の注意を払って業務を遂行しております。しかしながら、何らかの要因により、株主、取引先、消費者等から訴訟を提起される可能性があり、その訴訟等の内容や結果によっては、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 固定資産の減損について
当社グループで製造事業をおこなう子会社は、工場設備等事業用の固定資産を多く保有しております。事業収益が悪化した場合及び当該固定資産の時価が著しく下落した場合には、減損会計の適用により減損処理が必要となり、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 無配当
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、経営成績及び財政状態を総合的に勘案したうえで、株主への利益配当の実現を基本方針としております。しかしながら、当社は現在、事業拡大の途上にあり、将来の事業展開及び財務体質の強化を目的として、必要な内部留保の確保を優先してきたことから、創業以来、無配当の方針を継続しております。現在も内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を踏まえたうえで、株主への利益配分について検討を進めていく方針であります。なお、配当実施可能性及びその時期等については、現時点において未定であります。
(15) M&Aについて
① 買収後の事業計画の進捗について
当社は、食品の製造及び販売をおこなう中小企業を対象にM&Aを実施し、新たな事業展開及び事業規模の拡大を図っております。買収した企業に対しては、当社が保有するプラットフォームを活用し、資金面にとどまらず、事業面における支援もおこなっております。M&Aの実施にあたっては、十分なデューデリジェンスをおこない、リスクの分析・検討を実施しておりますが、買収時に想定した事業計画が予定通りに進捗しない場合には、固定資産やのれんの減損等により当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 偶発債務や未認識債務の発生について
M&Aを実施する際には、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを通して十分なリスクの確認、及び正常収益力の分析をおこなった上で買収の可否を決定しております。しかしながら、買収後に偶発債務が発生する場合や、未認識の債務が判明する場合など、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 統合に伴う資産等の整理について
M&A後の経営統合において、事業再編や遊休資産の売却等をおこなうことにより特別利益、特別損失が発生し、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ M&A時の調達資金について
当社グループは、事業拡大を加速させる有効な手段の一つとして、当社グループに関連する企業・事業のM&Aを検討していく方針です。その実施にあたっては、自己資金に加え、借入金及び株式の発行により資金を調達する予定としております。新たに借入金を活用する場合、市場金利の変動状況によっては、金利負担の増加等につながる可能性があります。また、株式発行による資金調達をおこなう場合には、株式の希薄化や自己資本の変動などが生じ、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 海外事業展開について
当社は、シンガポール、マレーシアに子会社を有し、海外における事業の拡大を進めております。今後も海外展開をおこなう中で、政治・経済情勢の変化、予期し得ない法規制の変更、自然災害、暴動、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、労働賃金の上昇、サプライチェーンや流通網の遮断、慣習等に起因する予測不可能な事態等が発生するリスクが存在いたします。これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 為替変動リスクについて
当社グループでは、在外連結子会社の外貨建財務諸表を日本円に換算して連結財務諸表を作成しております。このため、現地通貨における価値に変動がなかった場合でも、為替相場の変動により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループがおこなう外貨建取引から発生する収益・費用、並びに外貨建債権・債務についても、為替相場の変動により円換算額が変動し、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、為替変動などの外部環境の影響を受けながらも、個人消費やインバウンド需要の回復が下支えとなり、緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、消費者の節約志向の高まりや価格競争の激化等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内の食品業界におきましては、こうしたコスト上昇への対応として価格改定や商品規格の見直しが進められる中、消費者の価格感度の高まりやライフスタイルの多様化に柔軟に対応する経営が求められております。
このような状況下において当社グループは、「中小企業支援プラットフォーム」による傘下企業の業績向上支援、及び提携先である国分グループ本社株式会社との協業を推進するとともに、M&A案件の検討及び実行を強化することで、企業価値の向上に努めてまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、株式会社ワイエスフーズ及びその子会社(以下、「ワイエスフーズグループ」という。)をグループ化したこと、及び既存企業のオーガニックな成長により大幅な増収増益となりました。
a.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は58,110,107千円(前期比16.7%増)、営業利益4,161,280千円(同75.8%増)、経常利益4,251,060千円(同42.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,861,345千円(同79.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
イ.製造事業
製造事業は、国内及びシンガポール、マレーシアで食品及び厨房機器等の製造をおこなう企業29社により構成されております。
国内においては、ワイエスフーズグループが業績へ大きく貢献しました。また、消費者の節約志向が強まったことにより低価格帯商品の販売が増加したことや、株式会社マルキチにおいてホタテ貝柱の販売単価が上昇したことで増収増益となりました。
海外においては、シンガポールにおける競争環境の変化、及び原材料価格高騰等の影響により増収減益となりました。その結果、外部顧客への売上高は47,649,678千円(前期比19.4%増)、セグメント利益は4,335,113千円(同66.8%増)となりました。
ロ.販売事業
販売事業は、国内及びシンガポールで食品卸、企画をおこなう企業4社により構成されております。
国内においては、既存取引先の深耕及び新規取引先の開拓を推進したことにより、激しい価格競争にさらされる中においても、前期同水準で推移しました。
海外においては、SIN HIN FROZEN FOOD PRIVATE LIMITEDによるホタテ販売が好調に推移したことで増収増益となりました。その結果、外部顧客への売上高は9,991,834千円(前期比7.9%増)、セグメント利益は586,775千円(同13.2%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,563,986千円増加し、56,069,104千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ799,262千円減少し、39,534,719千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,363,248千円増加し、16,534,385千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,913,020千円増加し、11,039,808千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,627,566千円(前連結会計年度は5,764,112千円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益4,750,935千円、減損損失766,500千円、棚卸資産の減少額371,605千円、減価償却費1,573,496千円、及びのれん償却額879,828千円等の増加要因に対し、売上債権の増加額744,385千円、及び法人税等の支払額1,196,845千円等の減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は843,317千円(前連結会計年度は4,529,642千円の使用)となりました。
これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出110,254千円、及び有形固定資産の取得による支出989,482千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,978,540千円(前連結会計年度は2,318,225千円の収入)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入8,100,000千円、及び長期借入金の返済による支出9,895,282千円等があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、販売事業セグメント及びその他事業セグメントにおいては、生産をおこなっておりませんので該当事項はありません。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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生産高(千円) |
前年同期比(%) |
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製造事業 |
47,868,409 |
120.3 |
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合計 |
47,868,409 |
120.3 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループは、販売計画に基づいた見込生産をおこなっているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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製造事業 |
47,649,678 |
119.4 |
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販売事業 |
9,991,834 |
107.9 |
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その他事業 |
468,595 |
78.3 |
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合計 |
58,110,107 |
116.7 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して8,328,270千円増加の58,110,107千円となりました。これは主として、M&Aによるグループ企業が増加したことに加え、販売体制の強化や価格改定を実施したことによるものです。
売上原価は、前連結会計年度と比較して5,316,644千円増加の44,810,360千円となりました。これは主として、売上高の増加に比例したことによるものです。
以上の結果により、当連結会計年度の売上総利益は、13,299,747千円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して1,217,117千円増加の9,138,466千円となりました。これは主として、M&Aによるグループ企業の増加により、販売費及び人件費が増加したことによるものです。
以上の結果により、当連結会計年度の営業利益は、4,161,280千円となりました。
営業外収益は、補助金収入等の計上により、429,832千円となりました。また、営業外費用は、支払利息等の計上により、340,052千円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の経常利益は、4,251,060千円となりました。
特別利益は、受取補償金等の計上により、1,269,684千円となりました。また、特別損失は、減損損失等の計上により、769,809千円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、4,750,935千円となりました。
法人税等合計は、2,119,671千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して824,585千円増加し1,861,345千円となりました。
b.財政状態の分析
イ.資産
当社グループの当連結会計年度末における総資産は56,069,104千円となり、前連結会計年度末と比較して2,563,986千円増加しました。
流動資産は32,448,891千円となり、前連結会計年度末と比較して4,111,258千円増加しました。これは主として、現金及び預金の増加2,945,073千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,054,758千円があったことによるものです。
固定資産は23,620,213千円となり、前連結会計年度末と比較して1,547,272千円減少しました。これは主として、有形固定資産の増加374,869千円、のれんの減少1,435,293千円、及び顧客関連資産の減少368,308千円があったことによるものです。
ロ.負債
負債は、39,534,719千円となり、前連結会計年度末と比較して799,262千円減少しました。これは主として、未払法人税等の増加630,734千円、繰延税金負債の増加330,043千円、及び借入金等の減少2,702,035千円があったことによるものです。
ハ.純資産
純資産は、16,534,385千円となり、前連結会計年度末と比較して3,363,248千円増加しました。これは主として、利益剰余金の増加1,861,345千円、為替換算調整勘定の増加389,743千円、及び非支配株主持分の増加1,030,892千円があったことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。また、当社グループは、既存事業において経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持するとともに、M&Aに必要な資金を確保する事を基本方針としており、事業活動に必要な資金については、主に金融機関及び内部資金等を活用しております。なお、グループ内の余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断をおこなっております。これらの見積り及び判断に関しましては、過去の実績及び状況等から最も合理的であると判断される前提に基づき、継続して評価をおこなっておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
特記事項はありません。
特記事項はありません。