2025年2月期においては、COVID-19の影響が徐々に薄れ、経済活動は回復基調となりました。一方で、原材料・食材・エネルギー価格の高騰や、生産年齢人口の減少、スポットワーカーの増加といった社会的変化を背景に、店舗運営コストの上昇が続いております。これにより、依然として外食業界を取り巻く経営環境は厳しい状況が継続しております。
このような環境の中、当社は2026年2月期において、さらなる売上および利益の向上を目指し、以下の戦略・取り組みを推進してまいります。
2022年2月期に立ち上げた自社加工拠点「PPMセンター」は予定通り順調に稼働しております。外食ならではの圧倒的な商品力と、食品工場に匹敵する高い生産性を目指し、それぞれの業態、それぞれの商品において、緻密な調理工程管理を行い、安定した商品提供と高精度なコスト管理を実現できる体制を構築することで、利益の確保に努めてまいります。
既存ブランドにおいて、メニューの見直しや新商品の開発を定期的に実施することで、お客様の満足度および来店頻度の向上を図ってまいります。
「てけてけ」「the 3rd Burger」に次ぐ柱となる業態の確立を目指し、「もつ焼き酒場てけてけ」「新太郎」のブラッシュアップや、直営による新規出店に加え、フランチャイズによる店舗展開を視野に入れた新たな飲食業態の開発を推し進めます。2026年2月期の新規出店数は3店舗を計画しております。
人材採用・研修教育・各種マニュアルの強化・再整備を行い、全店舗において店舗QSCレベルの向上を推し進めてまいります。原材料費や光熱費などの物価高騰の影響を価格転嫁により吸収しつつ、サービスレベルを強化することでお客様の満足度や体験価値のさらなる向上を図ります。
当事業年度より開始した特定技能制度の活用を通じて、少子化や人手不足といった構造的課題への対応を進めてまいりました。受け入れは概ね完了しており、現在は人材の定着および戦力化に向けた教育に注力しております。今後も、労働集約型ビジネスの基盤である人材の安定的確保と育成を継続的に推進し、持続可能な人員体制の構築に取り組んでまいります。
(6) コスト管理・経費削減の取り組み
物価上昇をはじめとする各種コストの増加が続く中、仕入れの見直しや業務システムの刷新などに取り組み、更なるコスト削減を図ることで、収益性の一層の向上を目指してまいります。
当社は、当社のMission『「本当に美味しい料理」を世界中の人々に届けて、世界を良くしていく。』を追求することにより、サステナブルな社会の実現を目指します。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
社内取締役と部署長をメンバーとした各部との定例会議を毎週開催することにより、Missionの実現に向けたリスクの認識や対応方針の協議を行っております。そのうち重要なリスクや対応方針については、取締役会にて報告する体制を整えております。
商品ごとに緻密な調理工程管理を行う「PPM戦略(Preparation Process Management)」をMission実現のための独自戦略として推し進め、理論原価と実原価の差分である「理論原価差異」を店舗責任者の評価制度に採用することで、本部・店舗の両面で効果的なフードロス削減の取り組みを推進しております。
また、すべての従業員が「一体感」をもってMission実現を目指すことを理想に掲げ、社名を「United & Collective」と名付けております。その実現に向け、性別・年齢・国籍・人種・学歴等を問わない評価制度や全社員を対象としたフレックス制度、アルバイト責任者制度など各種社内制度を導入しておりますが、更なる働きやすい環境を目指して新制度導入や見直しに取組んでまいります。
定例会議等により認識したリスクや機会については、取締役会のみならず、毎月開催している全店会議及び年に4回開催している全社員会議において適宜共有し、迅速な意思決定と対応指示を行っております。
当社Mission『「本当に美味しい料理」を世界中の人々に届けて、世界を良くしていく。』を追求することによるサステナブルな社会の実現に向け、「戦略」の記載事項をはじめとする各種取組みを行っております。
なお、人材育成及び社内環境整備等に関する指標及び目標につきましては、現時点では「育児休暇取得率」、「外国人従業員人数」、「女性管理職比率」等を念頭に、目標とすべき指標等を検討中であります。
当社の事業展開その他に関して、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社は「てけてけ」「もつ焼き酒場てけてけ」「the 3rd Burger」「新太郎」の4業態81店舗(2025年2月28日現在)を一都三県と大阪府に展開しております。各業態ともに、市場ニーズや消費者嗜好の情報を収集しながら、常に業態の進化および新業態開発を継続して行っていく方針でありますが、国内景気の悪化・低迷等の外的要因や当社固有の問題等の発生により、店舗集客に大きな変化が生じた場合は、当社の財政状態または経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
食材につきましては、「安全」「安心」をお客様に提供するために、より厳しい基準で管理体制を維持しておりますが、当社使用の食材において、安全性が疑われる問題等が生じた場合、また、当社の営業店舗等で安全性が疑われるような事象が発生した場合には、当社の財政状態または経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのほか、社会的環境の変化や法令の改正などにより、提供する食材の調達や加工に設備や作業等が必要になった場合には、コストの増加が発生し財政状態または経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新規出店用物件の情報については、不動産仲介業者等に加え、当社既存店の管理会社、取引先銀行、取引先業者等からも情報入手を心がけておりますが、当社業態に合う物件取得は容易ではありません。売上・利益計画についても、取得物件において想定通りの店舗売上・収益を確保できない可能性があります。今後とも、新規出店計画達成に必要な物件の確保に努めてまいりますが、出店後に店舗周辺に多大な環境変化などの事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
店舗の安定した運営を継続して行うためには、パートタイマー・アルバイトを含め優秀な人材の確保が必要であります。当社の経営理念を理解し、賛同した人材確保を最重要課題として、正社員の採用においては新規学卒採用だけでなく、既存店舗に勤務しているパートタイマー・アルバイトからの社員登用や中途採用、特定技能制度の活用など、優秀な人材の獲得に取り組んでまいります。また人材教育に関しては、全店に設置された教育用タブレットを活用し、理念教育を重点的に行う事により当社の核となり得る人材を育成してまいります。しかしながら、人材の確保及び教育が追いつかない場合には、当社の財政状態または経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の本社及び店舗は全て建物を賃借しております。各賃貸借契約に対し保証金等を差し入れており、2025年2月28日現在、保証金等の差入残高は784,911千円で総資産に対し19.7%の比率となっております。
新規出店の際、与信調査については万全を期しておりますが、賃貸人側の財政状態が悪化した場合、保証金等が回収不能に陥ったり、賃借物件の継続賃借が困難になる恐れがあります。そうなった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社において、創業者である代表取締役坂井英也は、当社の経営方針の策定や経営戦略の決定、業態開発等、当社の業務執行において重要な役割を担っております。当社では、組織体制の充実や職務分掌及び職務権限規程に基づく権限の委譲など、特定の者に過度に依存しない組織体制への移行を進めており、依存度は相対的に低下するものと考えておりますが、そうした経営体制への移行過程において、何らかの理由により坂井の業務執行が困難となった場合には、当社の経営成績及び事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、飲食事業の衛生管理の重要性に鑑み、仕入食材については物流センターにおける品質管理の徹底を図っているほか、配送においても温度管理等、品質維持を徹底しております。また、各店舗におきましても衛生面での定期的なチェックと改善指導等を実施し社内の規則に沿った衛生管理を徹底しておりますが、食中毒に関する事故が発生した場合や食品衛生法の規定に抵触するような事象が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2001年5月に施行された「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により年間100トン以上の食品廃棄物を排出する外食業者(食品関連事業者)は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて、食品残渣物の削減を義務付けられております。当社は食品残渣物を削減するための取り組みを鋭意実施しておりますが、今後法的規制が強化された場合には、その対応のために、設備投資等に関連する新たな費用が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
深夜0時以降も営業する店舗につきましては、深夜営業について「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けております。当社は、各店舗における届出等、当該法令に定める事項の厳守に努めておりますが、法令違反等が発生した場合には、一定期間の営業停止等が命ぜられ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「農林物資の規格化等に関する法律」(JAS法)、「製造物責任法」(PL法)等に基づく規制を受けており、これらの法令の遵守についても対策を講じておりますが、万が一これらの法令に違反した場合、商品の廃棄処分、回収処理などが必要となるおそれがあり、当社の財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。
当社のアルバイト従業員のうち、10.0%(2025年2月28日現在)が外国人となっております。外国人の労働に関しては、「出入国管理及び難民認定法」により規制されており遵守しておりますが、法令や規制内容の変更が発生した場合には、一時的に人材不足により当社の財政状態または経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、店舗造作費用及び差入保証金等の出店に係る資金を主に金融機関からの借入れにより調達しております。この結果、総資産に占める有利子負債(借入金)の割合が、2025年2月28日現在で69.1%と高い水準となっております。金融機関とは良好な関係を維持しており、現在のところ特に金利引上げの要請も受けておりませんが、有利子負債依存度が高い状態のまま金利が上昇した場合、当社の財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主に店舗を基本単位としてグルーピングしております。外部環境の著しい変化等により、店舗収益が悪化し、店舗における営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合、固定資産について減損損失を計上することとなり、当社の財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、首都圏に集中して店舗展開を行っているため、東京都心部を中心に大規模な災害(地震、台風、洪水、新型コロナウイルス感染拡大等)が発生した場合、来客数の著しい落ち込みや通常営業が困難となる恐れがあり、当社の財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、2024年8月31日をもって債務超過を解消し、2025年2月期の通期において59,751千円の当期純利益を計上しております。また、今後の資金繰り計画においても、金融機関からの継続的支援を得ており、事業継続上の重要な不確実性は認められません。これらの状況を踏まえ、当社は本決算において「継続企業の前提に関する重要事象等」は存在しないと判断しております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
ウクライナ情勢の長期化や円安の進行、物価高騰などにより、日本経済は引き続き大きな影響を受けており、先行き不透明な状況が続いています。
外食産業においても、原材料・食材・エネルギー価格の上昇に加え、生産年齢人口の減少やスポットワーカーの増加などの影響により、原材料費・人件費・水道光熱費などの店舗運営コストが継続的に上昇しており、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況下において、当社は通期での黒字達成および債務超過の解消を目指し、緩やかな新規出店を継続するとともに、売上回復と収益性向上に取り組んでまいりました。また、COVID-19以前よりも筋肉質な経営体制を実現すべく、徹底したコスト管理を推進しております。
「てけてけ」業態においては、2カ月に1度の頻度でメニューの改廃を行うとともに、グルメサイト等を活用した販促施策を強化し、物価高騰によるコスト上昇を価格転嫁のみに依存することなく、集客の維持・向上に努めました。「the 3rd Burger」業態では、期間限定メニューの導入を定期的に実施し、ブランド力の強化に取り組みました。さらに、一部既存店の業態転換を進めた結果、新業態「もつ焼き酒場てけてけ」は9店舗まで拡大し、売上回復を図りました。当事業年度においては、「西船橋もつ焼き酒場てけてけ」「恵比寿 新太郎」の2店舗を新規出店し、1店舗を閉店したことで、当事業年度末時点の店舗数は81店舗(前年同期比1店舗増)となりました。
以上の結果、売上高は6,492,053千円(前年同期比5.2%増)となり、売上総利益は4,861,558千円(前年同期比3.9%増)、営業利益は115,594千円(前年同期比118.4%増)、経常利益は87,048千円(前年同期比123.7%増)、当期純利益は59,751千円(前年同期は当期純損失91,056千円)となりました。
なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度末の総資産は3,974,430千円となり、前事業年度末と比較して45,100千円の増加となりました。これは主に、流動資産が16,117千円減少した一方、固定資産が61,217千円が増加したこと等によるものであります。
また、当事業年度末の負債総額は3,631,975千円となり、前事業年度末と比較して558,556千円の減少となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が495,964千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末の純資産は342,455千円となり、前事業年度末と比較して603,657千円の増加となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ271,731千円、利益剰余金が当期純利益により59,751千円増加したこと等よるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前事業年度末と比較して68,583千円減少し、1,480,160千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における営業活動による資金の増加は122,243千円(前事業年度は159,905千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益66,833千円、未払消費税等の減少額90,080千円、減価償却費210,672千円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における投資活動による資金の減少は237,370千円(前事業年度は17,037千円の増加)となりました。これは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出237,876千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における財務活動による資金の増加は46,544千円(前事業年度は127,353千円の減少)となりました。これは、長期借入金の返済による支出667,550千円となった一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入542,795千円、長期借入れによる収入が171,300千円あったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社の事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて、「仕入実績」を記載いたします。
(注) 金額は、仕入価格の金額によっております。
当社は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
当事業年度における販売実績は次のとおりです。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
当事業年度の売上高は、COVID-19の影響が薄まり経済回復が進んだことで6,492,053千円(前年同期比5.2%増)となりました。
売上原価については、原材料費の高騰により、原価率が前年同期比で0.8ポイント上昇したものの、売上総利益は4,861,558千円(前年同期比3.9%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、新規出店および特定技能人材の採用を推進したことにより4,745,964千円(前年同期比2.6%増)となりました。主な費用の内訳は、給料及び手当が1,946,050千円、地代家賃が1,035,855千円です。
これらの結果、営業利益は115,594千円(前年同期比118.4%増)、経常利益は87,048千円(前年同期比123.7%増)、当期純利益は59,751千円(前年同期は当期純損失91,056千円)となりました。
当社の資金需要は大きく分けて新規出店に係る有形固定資産の取得のための資金、商品仕入や人件費等の支払に係る資金であります。
これらの資金は主に自己資金及び借入金により調達しており、今後も同様の方針で賄う予定であります。また、現状資金が不足するような状況ではございませんが、事業計画に基づく新規出店による資金需要、経済環境等を熟慮した上で調達手段や調達規模を都度判断して参ります。
なお、キャッシュ・フローの状況についての分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、フランチャイズ加盟店との間で、以下のような加盟契約を締結しております。
当社は、当社が開発・展開し統括する鶏料理居酒屋「てけてけ」の商標を使用して店舗を営業する資格ないし権利を加盟店に付与し、マニュアル等の印刷物、担当スーパーバイザーによる店舗運営・経営指導、運営システムの提供等を通じて加盟店の経営、店舗の営業を支援する。加盟店は、契約に定める事項、貸与ないし供与されたマニュアル並びに当社の指示を遵守して営業に従事し、その発展に邁進するものとし、契約に定める加盟金、ロイヤリティを支払う。
契約締結日を開始日として、満5年を経過した日を終了日とする。
契約期間満了の3ヶ月前までに両当事者のいずれからも解約の申し入れがない場合は、3年毎に自動的に更新される。
該当事項はありません。