第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社が属するイオングループでは“お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する”という基本理念を定めております。当社はこの基本理念をふまえ、“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。”というミッションを定めております。そして加盟店と本部は「お客さま第一」を実践し、共に繁栄を目指す「事業の共同体」であると考え、時代や環境の変化への対応を進めるとともに新しい時代の要請に積極的に応え、コンビニエンスストア事業の新たなビジネスモデルを創造し、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

最優先すべき経営目標は各加盟店の収益向上であり、経営指標としては1店当たりの売上総利益高です。また、企業価値の向上のために店舗投資の効率化に努め、自己資本利益率(ROE)の向上に努めてまいります。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

当社は、構造改革の断行と戦略的成長の推進を中期的な経営戦略として推進してまいります。加盟店と本部が一体となって創出した事業利益を分け合うパートナーシップ契約で利益を上げ、フランチャイズ・直営を問わず通用する経営指導ができる組織となり、ミニストップ店舗の店頭をはじめ、デリバリーやEコマース、職域、外販といったあらゆる販路で、お客さまが求める高い価値の商品を供給できるユニークな事業体を目指します。

国内事業においては、手元に残る事業利益を重視した発想への転換を根幹に、経営指導改革と人財採用・教育をはじめとしたマネジメントシステム改革へ経営資源を集中し推し進めます。また成果を上げた成長戦略を推進しNewコンボストアモデル第3フェーズへの移行を進めるとともに新事業の事業確立と機能化に取り組み、お客さまの購買体験を変革してまいります。

海外事業においては、ベトナム事業でMD政策の再設計と収益を上げる個店モデルの水平展開に取り組みます。変化するお客さまの消費動向に対応した売場づくりと商品開発、価値訴求を推し進めるとともに、コスト構造改革に取り組みます。

各事業の経営環境は、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況」に記載しております。

 

(4)会社の優先的に対処すべき課題

① 構造改革の完遂

 個店モデルの競争力向上に向けて、Newコンボストアモデルの確立を推し進め日販向上を実現します。また、加盟店との新たな関係を築く「ミニストップパートナーシップ契約」のさらなる推進とともに、手元に残る事業利益を重視した経営指導体制の改革を進め加盟店の経営効率向上に取り組みます。構造改革と成長戦略を推進するために、本部組織の刷新と人財対策をはじめとしたマネジメントシステム改革を進め事業再成長を実現します。

② 成長戦略の推進

 事業として成長したデリバリーサービス・EコマースをOMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)のパーツとして機能化しミニストップアプリをインターフェースにリアル店舗との融合による新たな買い物体験を創出します。職域事業はOMOを活用しミニストップ店舗と商品供給をはじめとした接続を実現するとともに、新たなマーケットへの拠点拡大を推し進め、収益向上を実現します。ベトナム事業は、直営多店舗化事業として着実な投資を進めるとともに、MD政策の再設計と個店モデルの収益性向上を実現し成長を進めてまいります。

③ パーパス経営の実践

 パーパス経営の実践に向け、イオングループ未来ビジョン、ミニストップのミッション“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。”を基に、事業そのものを社会課題の解決に繋げるため事業活動を推進しております。このミッションのもと、2021年11月に「ミニストップ サステナビリティ基本方針」を制定いたしました。従業員の夢や成し得たいことと企業理念の結びつきが理念の実現に向けた行動に繋がっていくものと考え、2024年度下半期よりミッション座談会を開催しています。ミッション座談会を通じて、従業員一人ひとりを事業活動の源泉と捉えた企業経営を進めてまいります。

 

(5)環境および社会貢献活動への取り組み

当社は、「2030年までに店舗で排出するCO2等を2013年度比50%削減する」、「2030年までに店舗で発生する食品ロスを2015年度比50%削減する」、「2030年までに使い捨てプラスチック利用量を2018年度比半減する」という環境目標を設定し、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しております。CO2削減では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、気候変動に関するリスク・機会を洗い出し、ミニストップ事業に与える影響を定量的に把握、対応策の立案・取り組みを精査し内容を深めてまいります。

将来を担う子どもたちと地域社会の社会課題を解決する活動として、1991年より公益財団法人花と緑の農芸財団が提唱している「育てよう、花と緑、校庭に~花の輪運動」に賛同し、お客さまからお預かりした店頭募金と土曜日のソフトクリームの売上の1%を基に毎年小学校に花の苗を届けております。出店地域の小学校への贈呈のほか、加盟店から推薦いただいた小学校へも苗を贈呈しており、小学校、地域と店舗を繋ぐ懸け橋として継続してまいります。

小中学生の職場体験をもっとも身近な『コンビニエンスストア』を通じて学習していただく「チャイルドインターンシップ制度」は2005年より開始しました。職場体験学習通じて、お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する、イオンの理念を学んでいただくとともに、ソフトクリームの加工体験を通じ、笑顔あふれる地域社会づくりを目指してまいります。

 

(6)人的資本・多様性への対応

当社は、人こそが会社の中核、会社の源泉であり、そして人こそが企業文化を作り、事業を作り、企業理念を実現する原動力と考えています。従業員一人ひとりが仕事の本質を「自身を成長させる好機」と考えるようになれば、ビジネスの変革が生み出され、最終的には企業の成長に繋がると考えています。このような、人を会社の中核と捉えた企業経営を推進させていくために、次の3つの取組みを実行していきます。

 

・ 従業員一人ひとりの仕事を通じて成し得たいこと(夢)を探求する。

・ 従業員一人ひとりの夢と企業理念(ミッション)を結びつける。

・ ロールモデルを共有し、なりたい自分、成し得たい夢の実現性を高める。

 

従業員一人ひとりがすべてのステークホルダーに誠意を持ちエンゲージメントの高い従業員へと成長するためには、それぞれの持つ可能性や情熱を引き出すことが重要だと捉えています。自分なりの観点や経験をもって貢献し大切にされる組織になることで、従業員のエンゲージメントが高まり企業の成長が促進されると考えます。さらに一人ひとりが企業理念(ミッション)を真に深く理解し、自らの成し得たいことと企業理念が結びつくことで、従業員一人ひとりの持つ情熱や可能性が企業理念の実現に向けていきいきと躍動する、そういった組織づくりを目指していきます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

1.サステナビリティに関する考え方及び取り組みについて

当社グループは、パーパス経営の実践に向け、イオングループ未来ビジョンおよび、ミニストップのミッション“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します”をもとに、事業の成長が社会課題の解決に直結するように事業活動を推進しております。

このミッションのもと、当社は、2021年11月に「ミニストップ サステナビリティ基本方針」を制定いたしました。

 

ミニストップ サステナビリティ基本方針

1.安全・安心な商品やサービスの提供を通じて、お客さまや地域社会から信頼されるお店づくりを目指します。

2.脱炭素社会の実現に向け、地球温暖化防止、生物多様性に配慮し、環境保全および循環型社会の形成に努めます。

3.お客さまに環境・社会に配慮した商品・サービスをお届けする持続可能なサプライチェーンの構築を目指します。

4.一人ひとりの人権、多様な価値観を尊重し、事業に関わる全ての人が活躍できる環境整備を進めます。

5.地域社会の発展のために、ステークホルダーとともに社会貢献活動に取り組みます。

6.国際規範および事業を展開する国や地域の法令や規則を遵守し、誠実な事業活動を行います。

7.多様化するリスクに備え、グループ全体の内部統制と管理体制を構築します。

2021年11月 制定

 

加盟店をはじめとした多くのステークホルダーの皆さまと共に、環境課題、社会課題を捉え、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

(1)サステナビリティのガバナンス

当社グループは、「おいしさ」と「便利さ」で笑顔あふれる社会を実現するという使命を果たし、お客さま、加盟店、株主をはじめとする、すべてのステークホルターから、常に信頼され、期待される企業であり続けるため、法令等の遵守はもちろんのこと、経営課題に対する透明、公正かつ迅速、果断な意思決定を可能とする、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現を目指し、継続的に経営管理体制の充実に取り組むことを基本的な考え方としております。

詳細については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」をご参照ください。

 

(2)サステナビリティの戦略

① サステナビリティ経営に向けて

当社は、2030年に向けて、コアコンピタンスを「商品力」と「経営指導力(現場力)」と定め、唯一無二の企業となることを目指しております。「商品力」は、グループ内や外部企業に向けても、販路拡大が可能である「商品力」を武器に、ミニストップにしかできない魅力ある商品供給会社になることを目指しております。「経営指導力」は、フランチャイズビジネスの中でも、非常にユニークな日本初の「パートナーシップ契約」で利益を向上させることができる経営指導力(現場力)です。経営指導力をつけることで、あらゆるビジネスのフランチャイズ展開も可能となります。

 

a.経営指導改革 ― 新パートナーシップ体制、本部と加盟店の収益向上を図る体制づくり

当社は、「お客さま第一」を理念とし、加盟店と本部の共存共栄を目指すことを宣言したパートナーシップ契約を2021年9月より運用開始し、2025年2月末時点で884店舗となりました。パートナーシップ契約および複数店舗経営者の構成比拡大に伴い、加盟店と本部が共に成長するために、直営店で成功したモデルおよびノウハウの蓄積を進め、加盟店事業者と共に事業利益を得る経営指導体制を進めております。加盟店と向き合う本部体制を見直し、オーナーの個別対策を進めると共に、オペレーションの簡素化・省力化の対策を進め、パートナーシップ契約店舗において、より利益を創出する経営指導体制の確立を目指します。

 

 

b.マネジメントシステム改革 ― 決めて実行し数字を変える風土醸成

構造改革と成長戦略を着実に遂行し成果を創出することを目的に、中長期的なマネジメントシステム改革を推進しております。マネジメントシステム改革では人財供給体制の整備と採用機能の進化を進めてまいります。教育訓練をベースに“経営スキル”を携えた本部人財を計画的に採用し、育成を進めます。店舗においては、店舗責任者人財をプールし、直営店だけでなく、加盟店への人財支援といった未着手領域への改善を進めます。会社として、あるべき姿を実現する為、課題を発見・分析し、完全実行を通じて対策するスキルを醸成してまいります。また、全社において、数値を基にした提案を進め、加盟店と本部の最終利益を上げる為、ファストフードにおいて核となる商品やPI値の高い商品の開発を販売につなげていくように情報発信も含めて進めてまいります。

 

c.Newコンボストアモデル確立

昨今の環境変化や生活者ニーズの多様化にお応えするため、2023年度より「Newコンボストアモデル」の確立に向けた商品改革・オペレーション改革を推進するとともに、デジタル事業であるEC・QCや職域事業を育成してまいりました。Newコンボストアモデルにつきましては、全社のリソースと、グループのインフラ活用をベースに紡いだ取り組みを今後も継続いたします。

「おいしさ」と「便利さ」の提供価値を一層高める取り組みに進化させた第2フェーズフラッグシップ店舗を、2024年5月に開店しました。社内のリソースを集中し、グループインフラを活用したことで、大きな成果を得ることができました。ファストフードにおいては、創業から45年間培ったノウハウを結集し、できたての商品を専門店品質でスピーディーにご提供しております。おいしさだけでなく、新たな価値として健康にもこだわり、当社専門店事業の「MINI SOF(ミニソフ)」や職域事業の「cisca(シスカ)」の人気商品も展開しております。商品訴求とご注文方法を刷新しミニストップが目指すファストフードの世界観を感じていただき、「おいしさ」「できたて」にこだわった商品を体験いただいております。コンビニエントの進化では、”くらしの品”の品揃えを拡大し、イオングループのPBであるトップバリュの品揃えを1,000アイテム以上取り揃え、お手頃なプライスで提供することでワンストップショッピングを実現しました。

OMOの活用では、進化したファストフードと新たなコンビニエントを備えたコンボストアにオンラインサービスが融合したOMOを実現しました。ミニストップアプリをインターフェースとして、Eコマースでご注文いただいた商品の店頭受け取りや宅配ロッカー留置き、デリバリーやモバイルオーダーのご注文もご利用いただけます。イオングループ内外の企業との相互送客を実現し、これまでにない商品・サービスを提供しております。

フラッグシップ店舗にて創出した商品軸・オペレーション軸の取り組みは、成功カセットとして既存店へ展開を進めております。オペレーション軸では、セルフレジやワークスケジュールの活用から、完全作業につなげるとともに、効率運営を推奨しております。商品軸では、農産・デイリー商品やパウチ総菜など、ワンストップショッピングに繋がる新たな実証の取り組みにより、平日の夕刻や週末を中心に、前年度よりも来店客数を大きく伸長させております。2025年度はラボ店舗として、引き続き成功カセットの創出に取り組むとともに、既存店において成果の水平展開を加速させてまいります。

2025年度以降は、全ての新店、活性化店舗をNewコンボストアとし、その上で既存レガシーを活用した第3フェーズへの転換を進めてまいります。2023年度の既存店活性化から柱として取り組んでいる「心装」と合わせて、効果を生み出してまいります。

 

d.新事業の推進(事業確立と機能化)

ミニストップのタッチポイントを創出させる新事業の推進として、ECサイト「ミニストップオンライン」は、飲料・酒類など品揃えの拡大やオリジナル商品の開発、有名店とのコラボなどを進めます。デリバリーに関しては、引き続き、キャリア別・個店別にデータを活用し、受付体制および在庫の確認など進めます。またデリバリー専用商品の取り扱いやデリバリーサービス限定のセールを行い、お客さまのお得と利便性を高めてまいります。

ミニストップアプリは、お客さまにお得を感じていただき、来店動機につながる取り組みを進めております。お客さまにミニストップアプリで楽しみを感じていただく為、アプリ内で1日1回ひくことのできるMINIくじを2024年10月より導入しました。さらにアプリ内で自分だけのミニストップ店を作り上げていく「マイ・ミニストップ」を開始しました。ゲーム内でゴンドラやオープンケースなどを設置し、商品を陳列することで自分だけの店舗を作り上げることができます。

サイネージに関しては、コルトンタイプ設置店が1,000店を越え、お客さまへの伝達力および、リテールメディアとしての収益性も高めてまいります。ファストフードの新規商品を大々的に告知するだけでなく、ファストフード以外の商品やサービスなども告知を進めております。コルトンの左端の画面では、常時取り扱いメニュー一覧を掲示し、ファストフードの注文時の利便性も改善しています。

 

無人コンビニ「MINISTOP POCKET(ミニストップポケット)」の設置拠点は1,670箇所を越えています。今までエリアを限定しておりましたアライアンス先においては、関東に加え、九州にも拡げ、設置数を拡大させてまいります。ソフトクリーム専門店「MINI SOF」においては、2024年度は、MINI SOFイオンモール北戸田店、MINI SOF新百合丘OPA店の2店を開店しました。2025年度も小型ユニット店舗の展開や、MINI SOFで好評のドリンクメニューをミニストップ店舗でもお楽しみいただけるよう展開を進めてまいります。

 

② パーパス経営への転換

a.ミッションに基づき社会課題を解決

パーパス経営の実践に向け、イオングループ未来ビジョンおよびミニストップのミッション“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します”をもとに、事業の成長が社会課題の解決に直結するように事業活動を推進しております。

2024年度下半期より開催しているミッション座談会では、ミッション浸透に取り組む意義、イオン基本理念、未来ビジョンの共有、ミニストップの歴史の振り返りなどを行い、参加者全員でのグループワークにおいて、各自の想いや取り組みを共有しております。部長・室長が主催するミッション座談会では、同じ職場で働く意義や共通認識、新たな課題を発見する場となり、全国36チーム延べ366名の従業員が参加しました。役員と従業員との座談会も始めており、ミッションや政策方針のみならず、加盟店と共に利益を上げていくことやそのためのツールの使い方、人手不足への対応や従業員育成など、幅広く忌憚のない意見交換を行っております。これらの座談会によって、従業員の夢や成し得たいことと企業理念の結びつきが理念の実現に向けた行動に繋がっていくものと考えています。2024年度は、店舗と関わりの深い、加盟店と共に価値を作り出してゆく営業部門22チームから開催しましたが、2025年度はさらに商品部門・スタッフ部門を対象として開催する計画です。ミッション座談会を通じて、従業員一人ひとりを事業活動の源泉と捉え、よりサステナブルな企業経営を進めてまいります。

 

b.店舗を通じた社会貢献活動

将来を担う子どもたちと花の苗を植えて育てるという体験を通じて「生命の大切さを知る」という目的のため、公益財団法人花と緑の農芸財団が提唱している「育てよう、花と緑、校庭に~花の輪運動」に賛同し、毎年小学校に花の苗を届けております。今期で34年目となる本活動において、これまで贈呈した小学校は延べ17,534校、贈呈した花の苗は463万5千株となりました。出店地域の小学校への贈呈のほか、加盟店から推薦いただいた小学校へも苗を贈呈しており、小学校、地域と店舗を繋ぐ懸け橋となっております。また、2005年より小中学生を対象として職場体験を行う「チャイルドインターンシップ制度」を実施しており、2024年度は67店舗にて70校269名(2025年2月末時点)の生徒の皆さんにもっとも身近なコンビニエンスストアの職場体験学習を通じて、“「おいしさ」と「便利さ」で笑顔あふれる社会を実現する”というミニストップのミッションを学んでいただくとともに、ソフトクリームの加工体験を通じて多くの笑顔を生み出してまいりました。2024年5月に開店したフラッグシップ店舗の神田錦町1丁目店では、地域のイベントと連動した職場体験会を実施し、22名がソフトクリーム加工に参加されました。加盟店を中心に近隣の福祉施設等でボランティアを行う活動では、2016年より延べ1,642施設において、イベントのお手伝いや清掃活動など通じて地域社会に貢献しております。

グループで実施した募金活動では、「福祉」「環境」「災害復興」の3つの分野の支援活動に活用いただくために、お客さまのご協力のもと、総額9,005,915円を寄贈しました。また、本社ビル周辺の清掃を行うクリーン&グリーン活動にも積極的に参加しております。

 

c.ソフトクリームをサステナビリティ活動のシンボルに

パーパス経営の象徴としてソフトクリームのブランディングを推進し、従来の「おいしさ」の価値軸に、「環境にやさしい」「からだにやさしい」「地域とのつながり」「社会貢献」といった新たな価値創造を目的とした「ソフトクリーム委員会」を3月に立ち上げ、“ナラティブ”と“ブランドストーリー”を作成しました。ソフトクリームの歴史と新たなソフトクリームの開発に挑戦していくことを誓った“ナラティブ”は、パーパス浸透のために2024年度下半期より社内で開催しているミッション座談会において共有し、加盟店へも当社のミッションに込めた想いと共に、浸透を進めています。お客さまをはじめとしたステークホルダーへの感謝と、毎日食べていただけるよう環境やからだにもやさしいソフトクリームをご提供し続けることを表現した“ブランドストーリー”は、今後幅広いステークホルダーへの発信を進めてまいります。

ソフトクリームの安全性・品質の向上を目的とし、ソフトクリームマイスター制度を6年ぶりに復活させました。店舗でのマイスター認定を進めており、1,207名のマイスターが新たに誕生しました。(2025年4月時点)今後もマイスター認定を継続し、お客さまの笑顔につながるソフトクリームのご提供と、ブランディングの確立を目指してまいります。

 

環境への取り組み意識向上として、2024年に算定したソフトクリームのカーボンフットプリントについては、2025年4月より発売した北海道ミルクソフトにおいても算定を行い、0.3054kg-CO2eとなりました。また、食べるスプーン付きソフトクリームとプラスチック製スプーン付きソフトクリームでは、食べるスプーン付きソフトクリームのCO2排出量の方が3.1g-CO2e少なく、「食べるスプーン」への切り替えがもたらす効果は、プラスチックの削減だけにとどまらないことが数値で明らかになりました。お客さまに向けて、CO2排出の定量化、見える化を図ることにより、プラスチックカトラリーを使用しない行動変容を促していくとともに、引き続きGHG排出量削減の取り組みも進めてまいります。

 

d.気候変動対応

第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 2.気候変動対応に関する考え方及び取り組みについて」をご参照ください。

 

e.人的資本

人こそが会社の中核と捉え、従業員一人ひとりが持つスキルや意欲を企業理念と結びつけることで自己革新を実現し、いきいきと働ける職場を目指します。

第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組3.人的資本・多様性に関する考え方及び取組について」をご参照ください。

 

(3)サステナビリティのリスク管理

当社は、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長とし、当社グループ経営に重要な影響を及ぼすリスクを認識し、評価する仕組みを整備するとともに、リスク管理に関する規定を整備し、事前予防体制を構築しております。内部統制システム委員会を開催し、事業活動に潜むリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を行っております。

詳細については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)サステナビリティの指標及び目標

① 環境目標

第2 事業の状況 2気候変動対応に関する考え方及び取り組みについて(3)気候変動対応の指標及び目標」をご参照ください。

 

② 人的資本

第2 事業の状況 3人的資本・多様性に関する考え方及び取り組みについて(1)人的資本・多様性の戦略(2)人的資本・多様性の指標及び目標数値」を参照ください。

 

③ パートナーシップ契約

既存加盟店につきましては、契約更改時にパートナーシップ契約に切り替えを進めております。

 

2.気候変動対応に関する考え方及び取り組みについて

当社は、「2030年までに店舗で排出するCO2を2013年度比で50%削減する」という目標を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しております。また、2022年5月に、気候関連財務情報開示タスクフォースであるTCFDの提言に賛同し、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、対応策および指標と目標に関する情報を開示しております。

気候変動に関するリスク・機会を洗い出し、1.5~2℃および4℃シナリオに基づいて日本国内事業に与える影響を分析いたしましたが、今後は、さらに透明性と信頼性を向上させるため、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の基準に準拠した対応を視野に入れ情報開示の準備を進めてまいります。また、事業範囲を、海外を含めたサプライチェーン全体まで広げることを視野に入れ、リスク・機会の特定、定量的な把握と対応策の立案・取り組みを精査し内容を深めてまいります。

 

(1)気候変動対応のガバナンス

気候変動関連に関しては気候変動対応事務局を設置し、リスク・機会の管理をするとともに1.5~2℃シナリオ分析を進めております。内部統制システム委員会にて気候変動対応を重要リスクとして選定するとともに、経営会議にて評価し、取締役会へ報告する体制を構築してまいります。

 

 

(2)気候変動対応の戦略

リスク機会の特定

当社が主に展開している日本国内の事業店舗(加盟店・直営店)における気候変動リスク・機会を整理し、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会、気象パターンの変化や気象災害の激甚化等による物理的リスク・機会について検討し、当社事業に影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しております。

分類

リスク・機会項目

リスク

機会

影響

時期

これまでの取り組み

今後








政策/

規制

各国の炭素排出目標・政策

・GHG排出規制が強化され、より高い省エネ基準の達成が求められ機器の入れ替え等が発生し投資が増える
・行政への報告がさらに強化され運営コストが増える

店舗での省エネ機器の入れ替え、太陽光パネル等の設置により購入電力量の削減

中期

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え

・エリアごとに再生可能エネルギー由来の電力へ切り替え

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え(LED化、環境配慮冷ケースの入れ替え)

・エリアごとに再生可能エネルギー由来の電力へ切り替え

・太陽電池導入検討

電力価格

・電力価格が高騰しエネルギーコストが増加
・原材料調達コスト、製造コストが増加
・収益構造が悪化する

店舗での省エネ機器の入れ替え、太陽光パネル等の設置により購入電力量の削減

中期

・店舗における計画的な省エネ機器への入れ替え
・電力調達方法の変更

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え(LED化、環境配慮冷ケースの入れ替え)
・電力調達方法の変更

プラスチック規制

・脱炭素素材(バイオプラ等)の原料高騰
・環境配慮素材への切り替えによる加盟店経費の圧迫
・対応遅れによるブランドイメージの低下

対応を早めることでブランドイメージが高まる

中期

・ソフトクリームのプラスチックスプーンを食べるスプーンへ切り替え

・アイスコーヒー紙カップ化、ストローレスの蓋への切り替え

・手作り弁当容器の軽量化

・ファストフード資材等を、より環境負荷の低い素材へ変更

・石油系プラスチック製カトラリーの段階的廃止

・2030年までにすべての使い捨てプラスチックを環境配慮型素材に変更

炭素税、炭素価格

・温暖化対策税等の引き上げ等、カーボンプライシング政策により、資材等の調達コストや燃料費、電力料金が上昇
・経済活動に伴うコスト負担見通しが立てにくくなる

温室効果ガス排出量ゼロ達成時に炭素税が非課税になる

長期

・冷凍商品のシッパー納品による配送頻度、積載率の向上を図る実験を開始

・カーボンフットプリント算定による商品由来のCO2排出量算定

・冷凍商品のシッパー納品による配送頻度、積載率の向上を図る実験と検証

・実験結果によりエリア拡大

・インターナルカーボンプライシングの情報収集および導入に向けた体制づくり

・再生可能エネルギーへの転換

・太陽電池導入検討

技術

電動車の普及

・店舗敷地内への電気充電設備の設置を求められ、対応できない場合は集客力が低下する
・営業車、配送車のEV化による投資拡大

・充電設備設置により、競合他社との差別化が図り、固定客の集客促進を図ることが可能

・社有車および配送車の電動化により、燃料経費削減

中期

・店舗敷地内にEV充電器を設置

・HPの店舗情報にEV設置について掲載

・一部エリアの配送車をEV車に切り替える実験を開始

・店舗敷地内へのEV充電器の設置拡大および設置情報発信

・自治体との連携

・ホームページの店舗情報にEV設置について掲載継続

・配送車および社有車のEV車への切り替え検討、拡大

再エネ・省エネ技術の普及

太陽光発電システム導入等の場合に係る投資の拡大

より低価格な再生可能エネルギーの利用選択肢が増加

中期

・太陽光発電システムの設置

・電力調達方法の変更

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え

・太陽光発電システムの設置

・電力調達方法の変更

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え(LED化、環境配慮冷ケースの入れ替え)

評判

顧客の嗜好変化

・既存ビジネスモデルが訴求力を失う
・競合激化によりシェアを失う

・グリーンウォッシュの疑いを掛けられる

・若年層が上世代より環境に関心が高いZ世代、α世代となり、環境配慮型商品開発の評価を獲得、ブランディング化

中期

・ソフトクリーム提供時のスプーンを食べるスプーンに切り替え

・ソフトクリームのカーボンフットプリントの算定、公表

・ベトナムチョコソフトやサステナブルコーヒー等、環境に配慮した商品の販売

・環境配慮型商品・資材の更なる充実

・店頭、SNS、学習ツールへの掲載など、多様な手段で発信し認知を高める

・カーボンフットプリントの算定アイテムの拡大

・カーボンフットプリントを活用した商品改良、商品開発

投資家の評判変化

気候変動への取り組みや開示情報が不十分な場合、投資家からの企業価値が低下

開示を基に投資家との対話を行うことによって投資家からの企業価値が高まる

中期

・TCFDのフレームワークに合わせた情報開示

・ISSB基準に合わせた情報開示を行うための社内体制確立

・第三者保証実施

・開示内容の充足と投資家との多様な対話のための体制構築

 

 

分類

リスク・機会項目

リスク

機会

影響

時期

これまでの取り組み

今後









急性

異常気象の激甚化

・豪雨・高潮等の発生により浸水・突風・土砂崩れが発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する
・休業による売上損失
・サプライヤー、配送センターの被災により、商品の供給が停止する

店舗の早期営業体制の構築

短期

・災害規程、マニュアルの整備、統一化(事業継続基本計画書・地震対策マニュアル・自然災害マニュアル等の整備)
・事業継続基本計画書の被害想定更新

・ローリングストックの啓発

・分散化を含めた原材料調達先の検討と実施

・自然災害が発生した場合の訓練の実施

・更なるローリングストックの啓発

・定期的なBCPの更新

慢性

降水・気象パターンの変化

・記録的な豪雪や激しいひょう、干ばつ・熱波・寒波、落雷、噴火等が発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する
・原材料の生産に影響があり、商品供給量が低下する

・原材料調達地域の分散化
・代替商品の開発

長期

海面の上昇

高潮等の発生により浸水が発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する

店舗の早期営業体制の構築

長期

平均気温の上昇

・店舗の電気使用量が増加
・配送センターでの電気使用量増加

・原材料調達価格の高騰など、円滑な調達が困難

気温上昇に伴い需要が上がる飲料・氷、コールドデザートなどのコールド商品の売上増加

長期

・省エネ・節電マニュアルの徹底による電力使用量の削減

・店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え

・店舗、配送センターなどの施設における再生エネルギーの活用

・太陽電池導入検討

・冷凍冷蔵機器の省エネ化

・FFコールド商品の拡充、販売期間の延長

 

 

(3)気候変動対応の指標及び目標

当社は、2021年8月に持続可能な社会を実現するため、社会環境に関する3つの目標を掲げました。それぞれ目標年度までに達成することを目標に、取り組みを進めております。なお、当社の取り組みが連結グループに属する全ての企業において行われてはいないことから、当社以外の連結グループに属する企業の数値については記載を省略しております。

 


 

 

項目

目標年度

目標値

2024度進捗率

CO2削減

2030年

店舗で排出するCO2を2013年度比50%削減

150.7%

食品ロス削減

2030年

食品ロスを2015年度比50%削減

△1.3%(注)

プラスチック削減

2030年

使い捨てプラスチック利用量を2018年度比半減

すべての使い捨てプラスチックを環境配慮型素材に変更

102.0%

 

(注) 食品ロス削減は2024年2月29日時点の進捗率となります。2025年2月28日時点の進捗率については、弊社ウェブサイト(https://www.ministop.co.jp/)の環境方針・環境目標をご参照ください。

なお、当該サイトは2025年7月に更新予定です。

 

CO2削減の取り組みでは、当社が算定した範囲内におけるCO2排出量の86.3%を占める店舗の電力使用量を削減することに注力しております。2030年までに店舗で排出するCO2を2013年比50%削減するという目標のもと、一部地域の使用電力源を再生可能エネルギーに切り替えるとともに、店内外の照明のLED化、節電機器の設置等を実施いたしました。これらの取り組みにより、目標を前倒しで達成いたしました。今後は「2040年ネットゼロ(CO2排出量が実質ゼロ)」を目指し、電力調達方法の変更や省エネ機器類の計画的入れ替えを進めることで更なる削減に取り組んでまいります。

資源循環の促進として、2025年までに2015年比50%削減するという目標のもと食品ロス削減に取り組んでいますが、目標設定時と現時点において、食品リサイクルの実施状況に差異が発生しております。そのため、店舗においては「発生抑制(リデュース)」に舵を切り、値下げ販売を9割の店舗で進めております。値下げ販売手順の完全作業による効率的な販売体制の構築に向け、加盟店との協働で一層の食品ロス削減を実現していくとともに、お客さまにもその取り組みに共感いただけるよう施策を計画してまいります。また、毎年10月に全店で実施しておりました「てまえどり」は年間を通した告知を行い、お客さまとともに食品ロス削減に取り組みました。さらに、家庭から出る食品ロス削減の為に、イオングループが推進しているフードドライブに参画しました。219店舗が参加し、お客さまのご協力のもと、未利用食品をフードバンクや子ども食堂に寄贈しました。なお、食品ロス削減の目標については、より実効性の高い取り組みを行うために目標達成年度を2030年に変更いたしました。これにより、食品ロスを50%削減するための発生抑制に注力し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行ってまいります。

プラスチック使用量削減の取り組みでは、店内淹れたてのアイスコーヒーについて、全店で紙製カップとストローレスの蓋への切り替えをすることで脱プラスチック化を進めました。これにより全店切り替え後から2月末までのプラスチック削減量は約6割減となりました。2030年までに使い捨てプラスチック利用量を2018年度比で半減とする削減目標を前倒しで達成しており、売上伸長といった使用量増加要因に対しても引き続き現在の目標達成水準を保つべく、さらなる削減を進めてまいります。また、一部のファストフードのパフェ商品において、容器の紙化実験を実施するとともに手作り弁当容器の重量を18.5%削減するなど軽量化を進めました。今後も、ファストフード商品を中心に、使用素材の紙への変更および容器の軽量化を進め脱プラスチック化の拡大を図るとともに全ての使い捨てプラスチックを環境配慮型素材へ変更することを推し進めてまいります。

 

3.人的資本・多様性に関する考え方及び取組について

<人的資本経営の考え方>

ありたき姿

・従業員が誇りを持てる会社 ・いきいきと働き続けられる職場

・人が成長している会社 ・生産性の高い組織

企業理念

私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。

中期経営計画

2030年に向けて、コアコンピタンスを「商品力」と「経営指導力(現場力)」と定め、唯一無二の企業となることを目指す

・経営指導改革 ・マネジメントシステム改革

・Newコンボストアモデル確立 ・新事業の推進

 

 

 

(1)人的資本・多様性の戦略

① 企業理念と従業員一人ひとりとの結びつき

当社は、人こそが会社の中核、会社の源泉であり、人こそが企業文化を作り、事業を作り、企業理念を実現する原動力と考えています。従業員一人ひとりが仕事の本質を「自身を成長させる好機」と考えるようになれば、ビジネスの変革が生み出され、最終的には企業の成長に繋がると考えています。このような、人を会社の中核と捉えた企業経営を推進させていくために、次の3つの取り組みを実行してまいります。

 

・ 従業員一人ひとりの仕事を通じて成し得たいこと(夢)を探求する。

・ 従業員一人ひとりの夢と企業理念(ミッション)を結びつける。

・ ロールモデルを共有し、なりたい自分、成し得たい夢の実現性を高める。

 

従業員一人ひとりがすべてのステークホルダーに誠意を持ちエンゲージメントの高い従業員へと成長するためには、それぞれの従業員が持つ可能性や情熱を引き出すことが重要だと捉えています。さらに一人ひとりが企業理念(ミッション)を真に深く理解し、自らの成し得たいことと企業理念が結びつくことで、従業員の情熱や可能性が企業理念の実現に向けていきいきと躍動する組織づくりを目指しております。それを実現できる人財を育成し、人的資本を蓄積してまいります。

 

② 多様な人財が活躍し全員が働きやすい職場へ

従業員一人ひとりをかけがえのない一個人として尊重し、その情熱や可能性が企業理念の実現に向かう組織づくりを目指すことが、ダイバーシティ&インクルージョンの推進にも繋がると考えています。従業員一人ひとりが自分なりの観点や経験をもって貢献し大切にされる組織になることで、従業員のエンゲージメントが高まり企業の成長が促進されると考えます。また、人的資本の蓄積は、従業員の能力やスキルを向上させることで、企業の価値を高める取り組みの積み重ねによって行われます。その実現のために、次のa.~d.の4つの視点から施策を設定し、モニタリングを行うことで、取り組みを実行、推進していきます。

 

a.女性・多様な人財の活躍を推進し、組織として生みだす付加価値を高める

ミニストップで働く一人ひとりに対して、その個性と能力を十分に発揮できるよう、性別や雇用形態に関わらず、多様な人財が活躍し全員が働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。まず女性活躍推進においては、将来の管理職計画に女性管理職の配置を織り込み、そこからバックキャストして候補者の計画的な育成を実施してまいります。具体的には、管理職候補者のうち9名をイオンの女性活躍プログラムへ参加させキャリアアップを目指す意識を醸成しました。2024年度の正規雇用労働者における男女賃金格差は82.4%であり目標の80%は超えておりますが格差自体が生じている要因としては管理職に占める女性割合が低いことにあります。2026年度女性管理職比率20%を目指し、次期候補者に対して管理職を担ってもらうための動機付けを行いながら今後も育成してまいります。また多様な人財の活躍推進として店舗で働くパート・アルバイト12名を店長(契約制社員)へと積極的に登用しました。登用された契約制社員へはマニュアル検定さらにMSP(ミニストップステップアッププログラム)に参加することにより着実に店長業務を習得できる体制を整えています。雇用形態にとらわれず、当社で働く一人ひとりがその能力や意欲に応じて活躍できる体制にしてまいります。さらに障がいを持ちながら働くことを希望される方を4名新規採用し、障がい者雇用率は2.53%となりました。入社後は障がいを持つ方と人事部との丁寧な面談を実施することで、2026年度雇用率2.7%を目標に長く働き続けられる環境を目指してまいります。

ミニストップをご利用いただくすべてのお客さまが安心してご利用いただける環境づくりと、ミニストップに関わるすべての人々が安全・安心に働くことが出来る環境づくりのため、イオンの人権基本方針に則り、すべての人々の人権が尊重される社会の実現を目指して、人権デュー・デリジェンス委員会を2024年度に発足しました。2月にはカスタマーハラスメントに対応する掲示を店内にて実施し、お客さまに安心してご利用いただけるお買い物環境の提供と、一人ひとりの人権、多様性を尊重し、事業に関わる全ての人が活躍できる環境整備を進め、笑顔あふれる社会の実現につなげてまいります。

b.健康経営を推進することで、社員個人の生みだす付加価値を高める

当社は、従業員の健康が経営戦略の一環となること、従業員と家族の健康を守り、社会を笑顔にする目的のため健康経営宣言を行いました。「ミニストップは健康経営の推進により、従業員と家族の健康をサポートし、笑顔あふれる社会を実現します。」という健康経営宣言をもとに健康経営に取り組んでおります。

からだの健康では、定期健康診断後の二次健診の受診勧奨による疾病の早期発見・早期治療、特定保健指導プログラム内容の拡充、積極的な禁煙勧奨に取り組んでまいりました。こころの健康においては、ストレスチェック受検率の改善、高ストレス者への迅速な産業医面談の実施、産業医・上司・人事の連携を強化することで、メンタル不調者の発生抑止に取り組んでおります。

 

2025年度は、さらに従業員の心身の健康保持・増進のため、特定保健指導の参加率の改善、禁煙率の向上、高ストレス者の低減に向け取り組みを強化してまいります。特定保健指導の参加率の改善に向け、①部長職以上に対して健康リスクを伝え、職制を通じた参加勧奨を行う、②集団面談の実施回数を増やす、③健診時に初回面談を受けられる環境を整え、事前案内の上、参加するよう積極的な働きかけを個別に行います。禁煙率の向上については、イオン健康保険組合が提供する禁煙プログラムを個別案内するとともに、全社員に向けて喫煙リスクの周知を行い、周囲の方からのサポートを受けながら禁煙に取り組める環境を整えます。高ストレス者の低減については、運動促進とメンタルヘルス対策に取り組みます。具体的には、個社でウォーキングイベントを開催し、従業員の運動習慣のきっかけを作るとともに、イベントを通じて社員同士のつながりを図ってまいります。また、ミッション座談会によるグループワークを通じて、自身の夢や成し得たいことと企業理念の結びつきを実感することで、全社のコミュニケーションを活性化させてまいります。

上記に加え、ヘルスケアテクノロジーズ社が提供するオンライン健康医療相談サービス「HELPO」による隙間時間での健康相談やオンライン診療を積極的に推奨し、従業員が自律的して自身の健康管理が行えるよう支援します。

2024年度においても、経済産業省と日本健康会議が開始した優良な健康経営を実施している法人を認定する制度である、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に4年連続で認定されました。

当社は、従業員一人ひとりの個性を大切にするとともに、従業員がやりがいと意欲を持てる働きやすい職場づくりに努めてまいります。

指標

目標

目標数値

25年度末

現状数値

24年度末

特定保健指導

特定保健指導実施率を2025年度までに100%

100

32.9

従業員の禁煙

2025年度までに喫煙率を2020年度比で25%削減

(2025年度末までに喫煙率を22.7%まで下げる)

22.7

30.7

メンタルヘルス

2025年度までに高ストレス者比率を下げる

10

22.1

 

※従業員の禁煙:目標数値22.7%、現状数値30.7%は喫煙率を記載しております。

 

c.社員が生活環境に応じて働き方を選択し、安心して業務に従事できる環境を実現する

業務生産性の向上および従業員満足の向上を目的として在宅勤務制度およびフレックス勤務制度を導入し、時間や場所にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。また2024年度に刷新した新人事制度においてあらたにLコース(地域選択制度)を新設し自身が働く地域を選択できるようにしました。Lコースを選択した従業員数は全体の約20%であり、従業員一人ひとりがその生活環境に応じて安心して働くことのできる労働環境を整えました。従業員それぞれの生活、育児や介護、地域との関わりといった日々の暮らしにおいて、働き方を選択し安心して業務に従事できる環境を今後も実現してまいります。

 

d.人財の採用・育成の考え方

人財の採用・育成の考え方として、前述した「企業理念と従業員一人ひとりとの結びつき」を土台として、その方針および計画を立案・実行してまいります。

 

ⅰ.従業員の採用方針

当社の企業理念である“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。”について、当社への入社を検討する方々に対し丁寧に説明を行い、この理念に共感を持っていただけるよう努めていきます。2030年に向けた当社のコアコンピタンスとして「他社を圧倒する商品開発力」と「業界初のパートナーシップ契約における加盟店指導力」を実現するために、将来の姿からバックキャストを行い、人財を育成してまいります。また当社にはない知見や経験を持ったスペシャリストを外部採用していくことも計画し実施してまいります。

 

ⅱ.従業員の育成方針

当社が属するイオングループの教育理念である「従業員の『志』を聴き、従業員の『心』を知り、従業員を活かす」という考え方のもと、活躍し、成長し続けられる企業環境づくりに取り組んでいます。また当社は従業員一人ひとりを最も重要な経営資源として考え、「教育は最大の福祉」という言葉に込められた「教育による成長が従業員の人生を豊かにする」という想いのもと、従業員の成長をサポートします。

 

そのために「キャリア自律啓発」・「スキル獲得・職場実践」のもと教育体系を強化します。2024年度は階層別教育・職務別教育を踏まえ、営業部門を中心に実務訓練教育を行ってまいりました。店長・店舗勤務社員に向けては職務要件チェック表において習得度の低い項目を中心に教育を行い、習得度が改善しました。ストアアドバイザーに向けては会議体にて加盟店巡回を想定したロールプレイングを実施し、店舗指導の実務スキル向上に努め、人的資本の蓄積に繋がっています。また2025年度においては2024年度の取り組みの継続と自律型人財の育成を目的にリスキリングを推奨した教育を追加します。具体的には若年層へメンター制度の導入、階層・職務・役職別・選抜型での教育研修、および社内にて実施する問題解決研修のもと、実務訓練教育を通じ、方針と戦略を実行し、小売業をリードするスペシャリストの育成を進めます。

 

③ 3つの姿勢

従業員の継続的な成長と意欲向上のために、イオングループ「未来ビジョン」の中にある『3つの姿勢』を従業員に向けて発信し行動変容を促してまいります。

 

・「想いをもとに、自発的に行動する」

お客さま基点にそれぞれが想いを持ち、行動します。その行動は、一人ひとりが自ら考えることでその人の内なる情熱による自発的な行動であることが肝要であり、当社は従業員一人ひとりの自発性・自律性を育みます。

 

・「学び続け、新たな価値を創造する」

学び続けることで、行動の可能性を広げます。自らの強みや専門性を磨くことで、すべてのステークホルダーを豊かにし貢献のできる人財に一人ひとりが成長できるよう、当社は学習環境を整備しその実現をサポートしていきます。

 

・「つながりを築き、育み、共創する」

企業・グループ・組織の壁を越え、多様なつながりを築き、育みます。つながりによって、互いの学びと価値創造の速度を上げ、未来のくらしを共創していきます。

 

当社は、従業員とともに事業が成長することでお客さまを始めとしたすべてのステークホルダーにとってかけがえのない存在となり、「おいしさ」と「便利さ」で笑顔あふれる社会を実現してまいります。

 

(2)人的資本・多様性の指標及び目標数値

当社の取り組みが連結グループに属する全ての企業において行われてはいないことから、当社以外の連結グループに属する企業の数値については記載を省略しております。

 

重要事項

項 目

2024年2月

2025年2月

目標(2026年2月

女性管理職比率

13.8%

12.1

20.0

男女賃金格差比率

79.3%

82.4

80.0

男性育児休暇取得率

50.0%

60.0

60.0

ミッション座談会社員参加率

58.7

90.0

1人当たり教育費

63,763円

82,861

77,868

障がい者雇用率

2.50%

2.53

2.7

基本理念への共感度

3.48

3.32

4

エンゲージメントスコア(レーティング)

54.7

(レーティングBB)

49.9

(レーティングB)

55

(レーティングBBB)

 

※基本理念への共感度は、5段階で評価

※エンゲージメントスコアは、他社平均50.0に対する偏差値

 

 

その他の取組事項

項 目

2025年2月

長時間勤務撲滅の誓約書の提出

誓約書の提出済み

障がい者の積極的な雇用

2024年度4採用

デジタルスペシャリストの外部採用

2024年度3採用

ダイバー関連情報の定期的配信

動画視聴研修の実施

課長職以上のイクボス検定合格率100%

100(初級合格率)

男性社員の配偶者出産休暇取得率100%

40.0

障がい者・LGBTに関する社内研修

動画視聴研修の実施

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、これらについては、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

① 小売業界における持続的な低迷のリスク

当社グループは、日本、ベトナムでコンビニエンスストア事業を行っておりますが、その収益は日本とベトナムの小売市場に大きく依存しております。そのため両国における景気動向・消費動向等の経済情勢等が当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、高齢化等による日本の人口構成の変化により、医療費や社会保険料の負担がさらに増加し、将来の消費傾向に大きな変化が生じる可能性もあります。日本の個人消費が著しく低迷又は悪化した場合、当社グループの業績が低迷し、その成長戦略に影響を与える可能性があります。

当社グループは、市場環境の変化に対応するため、中長期的な経営戦略として2つの“コアコンピタンス”である「グループ内・外でEC/外販含め、販路拡大可能とする“商品開発力”」と「ミニストップ・パートナーシップ契約で本部・加盟店共に稼ぐことが可能な“経営指導力(現場力)”」を推進しております。

 

② 競争の激化に関するリスク

当社グループは、コンビニエンスストア業界のみならず、ドラッグストア、長時間営業の食品スーパー業界、ファストフード業界、ファミリーレストランや中食といわれる惣菜販売業者等との間において競争状態にあります。当社グループでは、ソフトクリームを始めとする店内加工ファストフードを提供することで差別化を進めておりますが、当社グループが提供する商品の品質、価格、あるいはサービスレベルを上回る競争先が現れた場合、または更なる競争の激化によりコスト負担が嵩んだ場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

激化する競争環境に対抗するため、創業以来のコンボストアモデルの構成要素である「ファストフード」と「コンビニエント」をそれぞれの価値を磨き上げ個店競争力を向上させるNewコンボストアモデル確立を推進しております。コンボストアの構成要素のひとつである「ファストフード」では、創業から培ったノウハウを結集し進化に取り組んでおります。また、お客さまのニーズにお応えし「今求められる便利さ」を追求する「コンビニエント」では、MDプロセスの磨き直しによる商品力の向上、節約志向の高まりに対応する価格訴求を充実させるとともに、イオングループ商品の活用拡大および当社オリジナル商品のラインナップ拡充に取り組んでおります。生鮮食品や“暮らしの品”の品揃えを拡大しワンストップ、ショートタイムショッピングの実現を推進しております。

 

③ 食品の安全性に関するリスク

万一、食中毒の発生等でお客さまにご迷惑をおかけする事態が発生する場合や、原材料や食品添加物などの表示に誤りがあった場合、売上が減少する可能性があります。

また、鳥インフルエンザ等、社会全般の衛生問題が発生して当社グループが提供する食品の安全性及び品質にお客さまが疑念を抱いた場合、かかる疑念が真実であるか否かに関わらず、当社グループに対する信頼は失墜し、売上の減少や、安全衛生の強化策費の増加、関連設備投資、安全性に関するキャンペーン費の増加等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、食品の安全性に日頃より十分な注意を払っております。外部調査機関による店舗厨房環境の抜き打ち検査、食中毒の未然防止、商品の検査体制(製造工場に対しての不定期監査)の充実に取り組んでおります。

 

④ 仕入・流通ネットワークの障害に関するリスク

想定を超えた地震その他の自然災害、コンピューターウイルス等による仕入・流通ネットワーク障害が発生した場合、商品の破損・腐敗、ビジネスチャンスの逸失、修理費用の負担等による影響を被る可能性があります。

また、2024年4月から自動車運転業務の時間外労働時間上限が制限されドライバーの働き方改革および配送効率改善が社会的に求められる「2024年問題」により、荷主企業の運賃上昇による当社の営業利益が減少する可能性があります。これにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、常温品・冷凍品を定温便に混載することによる車両積載率の改善のほか、店舗納品ルールを統一することでの配送員の拘束時間削減を推進しております。

 

⑤ 天候不順に関するリスク

当社グループの売上は、季節的変動による影響を受けます。その年の気温等の推移を考慮して販売計画を立てておりますが、想定を上回る台風・洪水・津波、気候変動に伴う異常気象が頻発した場合、一部の商品に対する需要が予想外に減少し、営業収入の減少や加盟店に対する支援の増大を招く可能性があります。これにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、天候に影響を受けない、お客さまが必要とする商品やサービスをお値打ち価格で提供することが小売業の使命であると考えております。お客さまのニーズにお応えし「今求められる便利さ」を追求し、生鮮食品や“暮らしの品”の品揃えを拡大しワンストップ、ショートタイムショッピングの実現を推進しております。

 

 

⑥ 地震等の自然災害、テロ活動等に関するリスク

当社グループは日本、ベトナムでコンビニエンスストア事業を行っております。国内外を問わず、自然災害、暴動、テロ活動等が発生した場合、当社グループの店舗及びその他の施設、そして、その地域に物理的に損害が生じ、事業に支障が生じる可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、事業継続計画を毎年見直し、情報インフラの整備、防災拠点の設置や店舗の耐震強化、イオングループとして地方自治体との防災協力協定の締結、不測の事態が生じた際の資金調達手段の確保等を講じております。

 

⑦ 感染症に関するリスク

感染症の世界的な拡大は、国内外を問わず、経済活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループが事業を展開する日本、ベトナムにおいても、渡航禁止、外出自粛、大規模イベントの中止、コンビニエンスストア事業の営業自粛等により、消費意欲の後退をはじめ、消費活動全体への影響も懸念されます。

当社グループは上記リスクに備えるため、感染症に関するガイドラインを整備するとともに、イオングループの防疫対策基準に則って、感染リスクの低減を講じております。

 

⑧ 環境への負荷に関するリスク

当社グループは、店舗で排出される廃棄物等による環境への負荷を軽減させるため、店舗での値下げ販売による「発生抑制(リデュース)」について取り組んでおります。持続可能な社会の実現に向けて「2030年までに店舗で発生する食品ロスを2015年度比50%削減する」という環境目標を設定しております。この取り組みが不十分であった場合、当社グループに対する信頼は失墜し、客数の減少などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、値下げ販売による「発生抑制(リデュース)」を9割の店舗で進めております。また、家庭から出る食品ロス削減に向けて、イオングループが推進しているフードドライブに参画し、未利用食品をフードバンクや子ども食堂に寄贈する取り組み及び、「てまえどり」の定期実施によるお客さまへの浸透による食品ロスの削減に取り組んでおります。

 

⑨ 個人情報の漏洩に関するリスク

当社グループでは、営業活動に伴ってお客さまから入手した個人情報を保管・管理しております。当社グループは、個人情報の漏洩が生じないよう細心の注意を払っておりますが、当社グループのお客さまに関する個人情報が何らかの事情により漏洩した場合、当社グループに対する信頼は失墜し、客数の減少などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、個人情報保護法を遵守し、プライバシーマーク使用の認定を受けて事業を遂行しております。なお、個人情報に関する規程及び、社外に公開しているプライバシーポリシーを整備し、適宜改定するとともに、個人情報関連の法規制及びガイドラインの改正動向についても目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制を整えております。年に一度、eラーニングを活用し全社員を対象とした社内教育を行っております。

 

⑩ 法的規制の強化に関するリスク

当社グループは、食品衛生法、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、消防法、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法(下請法)、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)、エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)、地球温暖化対策推進法等、様々な法的規制を受けております。

関係する法解釈の相違等により、行政機関・司法機関から当社グループに不利な判断が下された場合等には、追徴金、損害賠償金その他の金銭負担の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務業況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、法規制を遵守し、必要な許可を得て事業を遂行しております。これらの法規制の改正動向については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑪ 為替変動に関するリスク

当社グループは、2025年2月28日時点において、連結子会社2社を海外に有しております。当社連結財務諸表において海外子会社及び関連会社の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。また、当社グループは主に日本国内で営業を行っておりますが、海外においても取引を行っており、同様に為替相場変動の影響を受けます。

当社グループは上記リスクに備えるため、外貨建て債務に対して為替予約等のデリバティブ取引を行い、為替変動リスクを軽減しております。

 

 

⑫ 貸倒れに関するリスク

当社連結貸借対照表上の加盟店貸勘定は、当社が保有する加盟店に対する営業債権です。競争激化による採算の悪化に伴い加盟店貸勘定残高が増加した場合や、加盟店貸勘定に対する貸倒率が上昇した場合、当社グループは、貸倒引当金をさらに積み増すことが必要となります。このような場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、加盟店貸勘定に対する貸倒率を下げるためには、売上を上げることが一番の対策と考えております。ミニストップ・パートナーシップ契約は、売上を上げることで利益を確保する構造を目指しており、加盟店と当社グループが一体となって経費の適正化、投資の適正化を進めております。

 

⑬ 加盟者の経営断念及び新規契約減少に関するリスク

当社グループは、加盟者との間でミニストップ・フランチャイズ契約及びミニストップ・パートナーシップ契約を締結し、コンビニエンスストア事業を行っております。加盟者の高齢化と後継者不足による経営の断念、競合店の出現、立地変化により加盟店収支が悪化し経営を断念した場合、店舗数が減少し当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループのビジネスモデルより魅力あるフランチャイザーが現れた場合、新規契約者が減少し当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、加盟店と本部が一体となって創出した事業利益を分け合うミニストップ・パートナーシップ契約店舗の拡大を進めております。ミニストップ・パートナーシップ契約の構成比拡大に伴い加盟店と本部が共に成長するために、効果的・効率的な経営指導体制の確立と人財教育や採用をはじめとするマネジメントシステム改革を全社一丸となって迅速に進めております。

 

⑭ 店舗の賃借物件の保証金回収に関するリスク

当社グループの店舗の土地・建物及び本社・事務所については賃借が主体であります。出店にあたり、店舗賃借のための保証金を賃貸人に差し入れます。2025年2月28日現在、差入保証金残高は108億7百万円であります。賃貸人の破産等により回収できなくなった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、これらの賃貸人の資産状況については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑮ 知的財産権に関するリスク

当社グループは、国内外で多数の商標権その他の知的財産権を保有しております。とりわけ海外においては第三者が先行して出願・登録するリスク、第三者が許可なく同一又は類似の商標を使用するリスク、あるいは第三者との間で権利に関する紛争が発生し、そのために当社グループが当該知的財産権を行使できなくなることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、これらの商標権及び知的財産権については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑯ 人権に関するリスク

当社グループの事業活動は人財に大きく依存しており、コンビニエンスストア事業をはじめとした各分野において優秀な人財を確保・育成することに加え、急速な社会の変化に対応するために多様な価値観を持つ多様な人財の能力を活用することが成長には不可欠です。しかしながら、人種や年齢、国籍、性別に捉われ多様な人財がお互いに認め合う事ができず、平等に活躍できる環境の整備や組織風土づくりが遅れることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、当社グループで働く一人ひとりに対して、その個性と能力を十分に発揮できるよう、性別や雇用形態に関わらず、多様な人財が活躍し全員が働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。また、ミニストップをご利用いただくすべてのお客さまが安心してご利用いただける環境づくりと、当社グループに関わるすべての人々が安心・安全に働くことが出来る環境づくりのため、イオンの人権基本方針に則り、すべての人々の人権が尊重される社会の実現を目指して、人権デュー・デリジェンス委員会を発足しました。カスタマーハラスメントに対する当社グループの方針を決め、お客さまに安心してご利用いただけるお買い物環境の提供と、一人ひとりの人権、多様性を尊重し、事業に関わる全ての人が活躍できる環境整備を進めております。

 

⑰ 重要な訴訟事件等に関するリスク

現時点では会社の経営成績に重要な影響を与える訴訟は発生しておりません。当社グループでは、コンプライアンスを重視し、リスク管理体制を強化しておりますが、事業を遂行していく上で加盟店・取引先・お客さま等から事業に重要な影響を与える訴訟を起こされた場合、これらの訴訟の帰趨によっては、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、日本及びベトナムにおける消費者保護、公正競争、食品衛生、労働環境、環境等に法規制を遵守し、必要な許可を得て事業を遂行しております。これらの法規制の改正動向については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制を整えております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

  ①財政状態及び経営成績の概況

当連結会計年度において、日本国内では雇用・所得環境が改善するなか、3月には賃金と物価上昇の好循環を踏まえ日本銀行がマイナス金利政策を解除し17年ぶりの利上げによる緩やかな物価上昇の定着を図ったほか、7月以降の記録的な猛暑と9月以降も続く残暑が消費活動を活発化させ、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、いっそう不安定化が進む国際情勢や米国をはじめとした海外の通商政策の変化に起因する原材料価格、エネルギー価格の高騰による物価上昇が消費行動に影響しており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

このような環境において、当社グループは、“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。”をミッションに掲げ、2023-2025中期経営計画2年目にあたる2024年度の方針を下半期より「構造改革の断行と戦略的成長の推進」として、より構造改革に優先度を置き経営資源を集中することといたしました。成長戦略は新店出店や既存店活性化といった成長投資を抑制し施策を厳選したうえで、構造改革に注力しフランチャイズ契約を前提とした発想を切り替え、手元に残る事業利益を重視する発想を企業風土から根付かせるための変革を推し進めました。この構造改革へ優先度をシフトした将来計画に基づき、回収可能性を検討した結果、減損損失を計上しております。加盟店と本部が一体となって創出した事業利益を分け合うミニストップパートナーシップ契約へとビジネスモデル転換が進むなか、その対策として効果的・効率的な経営指導体制の確立と人財教育や採用をはじめとするマネジメントシステム改革を全社一丸となって迅速に推進しております。

国内事業では、創業以来のコンボストアモデルの構成要素である「ファストフード」と「コンビニエント」それぞれの価値を磨き上げ個店競争力を向上させるNewコンボストアモデル確立を推し進め、第2フェーズとして両方の提供価値のさらなる進化に取り組んだことにより、客数および既存店日販が伸長しました。一方で、原材料価格が高騰するなか、即食の米飯や麺類の価値型商品が伸び悩んだことにより、売上総利益率の成長が鈍化しました。5月には第2フェーズの象徴となるフラッグシップ店舗を改装オープンしました。創業以来培ってきたノウハウとイオングループのリソースを最大限活用した多数の取り組みが成果を創出しており、成功カセットとして細かく切り出し既存店へ水平展開を推し進めたことにより、多くのお客さまのご支持をいただいております。また、Newコンボストアの成功カセット導入と加盟店を主体にお客さま第一のマインドセットを醸成する「心装」を柱とした既存店活性化は、店舗を厳選し61店舗で実施し全社を上回る実績となりました。これらの成果を踏まえ、フラッグシップ店舗の核となる取り組みについて最も店舗数構成比の高い坪面積の店舗に全面展開する第3フェーズの既存店活性化に向けた準備を推し進めてまいります。

下期より経営資源を集中して推し進めている経営指導改革は、手元に残る事業利益を重視する発想への転換を根幹に、マネジメントシステム改革をベースとして直営店経営モデルの再生から取り組みを進めております。直営店は2025年2月末時点で271店舗と前年同期より84店舗増となりました。効率的な店舗経営の成功モデルを確立し加盟店へと水平展開していくプロセスの再構築と“店頭実現100%”に向け、人財採用・教育体制の再設計から着手し、手順書発注や店長ワークスケジュールをはじめとした経営改善ツールの活用、作業システム改革に取り組みました。パートナーシップ契約は期首計画より先行して移行を推し進め、2025年2月末時点で全加盟店の半数を超える884店舗となりました。加盟店経営者一人一人と向き合う体制の構築および経営指導方針の確立と店舗経営数値の全方位的な”レントゲン“と”処方箋“からなる店舗カルテの活用を両軸に、効果的・効率的な経営指導への転換を進めております。また、構造改革のベースとなるマネジメントシステム改革は、採用や教育といった人財対策から推し進めております。ビジネスモデル転換が進むなか、パートナーシップ契約を軸とした組織・風土改革を推し進め、人財採用およびイオングループとの人財交流といった人員体制の整備と教育組織を充実させました。また、本部より加盟店へのトレーナー派遣教育を推し進めました。

新事業では、構造改革へ優先度をシフトするなか成果を生み出している施策を厳選し事業成長を推し進めました。デジタル事業として、デリバリーサービスでは事業利益向上とお客さま利便性の向上、Eコマースでは整備を進めた販売インフラの活用とリアル店舗で実証した商品力の強みを活かし、売上拡大と店頭およびイオングループと連動した商品・サービス提供に取り組みました。また、リアルとデジタルをつなぐインターフェースとなるミニストップアプリは、会員基盤の拡大とロイヤルカスタマー創出に向けたキャンペーン・施策、機能改善に取り組み、デジタル事業は事業成長とともにリアル店舗と融合する機能化を推し進めました。職域事業では、オフィスなどの施設内に設置する無人コンビニ「MINISTOP POCKET(ミニストップ・ポケット)」をはじめ関連サービスを含む拠点数が2025年2月末時点で1,700拠点となりました。新たなマーケットシェアの獲得を進めたほか、商品供給サービスの拡充、売れ筋商品を中心とした在庫管理に取り組み、1拠点当たりの収益が伸長したことにより職域事業は引き続き安定した事業利益を創出しております。成長投資により事業基盤が整い、成果を実証したこれらの新事業を引き続き推進してまいります。

 

海外事業では、ベトナム事業の再成長に向け根幹となるMDプロセスの再設計をはじめ、親会社である当社担当役員の関与を強めて取り組みを推進しております。カテゴリーマネジメントの推進と成功モデル実証に基づく個店モデル確立および水平展開、後方支援体制の整備に取り組んだほか、32店舗を新規に出店しました。価格政策の再設計とお客さまにご満足いただける高付加価値商品の訴求、イオングループ売れ筋商品の品揃え拡充に取り組みましたが、2024年10月に発生した物流センタートラブルにより商品供給に遅れや不足が生じ、日販に影響を及ぼしました。後方支援体制の整備では1人の店舗責任者が複数店舗を管理するスーパーインテンデント制(以下、SI制)の導入を、実務教育ならびに作業システム改革とともに推し進めました。

ミニストップのミッションをもとに事業成長と社会課題の解決を直結させるパーパス経営の実践に向け、象徴としてのソフトクリームのブランディングを推進するとともに、従業員のエンゲージメント向上を図る研修を全部門で実施し、新たな価値創造と社会課題の解決に取り組みました。

これらの結果、当連結会計年度における連結業績は、営業総収入874億75百万円(前期比110.7%)、営業損失34億86百万円(前期実績 営業損失6億9百万円)、経常損失28億68百万円(前期実績 経常利益10百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失67億74百万円(前期実績 親会社株主に帰属する当期純損失4億68百万円)となりました。

 

各セグメント別の業績は以下のとおりです。

[国内事業]

継続する物価上昇がお客さまの価格と価値の二軸に対する一層合理的な購買行動を促進するなか、コンビニエンスストア商品の価格訴求が定着しお客さまのご支持が拡大したほか、高付加価値の品揃えを拡充したことによりチェーン全店売上高は100.7%となりました。ミニストップ店舗の既存店1店1日あたりの売上高の前年比は100.8%となり、既存店平均客数は同100.6%、既存店平均客単価は同100.3%となりました。コンビニエンスストア商品の既存店日販は同99.5%、店内加工ファストフード商品の既存店日販は同108.1%となりました。また、売上総利益率は、原材料価格高騰の影響を受けたほか、コンビニエンスストア商品のおにぎりや菓子パンを中心に価格訴求型の品揃えを拡充したことにより、前年同期比0.3%減少し30.2%となりました。

コンボストアの構成要素のひとつである「ファストフード」では、創業から45年間培ったノウハウを結集し進化に取り組みました。専門店品質のできたてのおいしさにこだわるとともに、“健康”の価値を新たに加えた高付加価値商品の開発、環境にやさしいといった新しい価値を訴求するブランディング、デジタルを活用した商品価値訴求の刷新と提供方法改革に取り組みました。

店内で炊き上げたごはんとこだわりの旬の具材を組み合わせた手づくりおにぎりでは、ボリューム感ある具材と国内産コシヒカリとの組み合わせにこだわったおいしさがTV番組で高評価を受け、「北海道産焼しゃけ」や「博多辛子明太子」といった人気定番商品が多くのお客さまにご支持をいただきました。11月には、秋の香りを楽しめる舞茸を使用した「舞茸かき揚げ」、2月にはこだわりの出汁とたけのこの組み合わせで春を感じられる商品に仕立てた「たけのこごはん」といった旬の商品を発売し好評を博しました。また、ボリュームとおいしさにこだわった総菜と店内で炊き上げたごはんを組み合わせてできたてのおいしさを提供する店内手づくり弁当では、10月に食べ応えのある三元豚のロースカツをだしの香り豊かな玉子煮で贅沢にとじた「ロースカツ丼」、12月には彩りある野菜をふんだんに使用した健康価値の「彩り野菜の甘酢あん弁当」を発売、食材から加工手順までこだわりインストアの価値の進化に取り組んだ商品が好評を博しました。高付加価値の店内手づくり米飯をお客さまにご満足いただける品揃えでご提供するため、2月に炊飯手順を再設計しごはんのおいしさはそのままに1回の炊飯量の引き上げを実現し、計画的な製造量の増加と作業効率の改善を図りました。これらにより、手づくり米飯の売上は前年同期比117.5%となりました。加えて、未着手領域の加盟店支援の取り組みとして本部でトレーナーを育成したうえで加盟店に派遣し、ワークスケジュールと製造計画に沿った加盟店の完全作業に向け手づくり米飯製造者の新規育成と衛生教育を推し進めました。引き続き、当社の強みを発揮しおいしさに健康価値を加えた高付加価値の商品開発および充実した品揃えの実現に取り組んでまいります。

 

お客さまからご注文をいただいた後に店内で再調理を行うことで、できたてのおいしさをご提供するポテトでは、定番人気商品の「Xフライドポテト」を中心に認知拡大と商品価値訴求に取り組みました。ボリュームの価値を訴求する「Xフライドポテト1.5倍増量」企画を断続的に実施したほか、9月には、お客さま参加型の人気商品投票企画「ミニストップ総選挙」を実施、「Xフライドポテト」は46,000票を超える投票で第1位となりました。また、11月には発売20周年を記念しSNSを活用した写真投稿企画を行い、目標を大きく上回る36,949件の投稿をいただくなど、当社ホットスナックの象徴的な商品としてブランディングに貢献しました。チキンでは、オリジナルの衣を使用した特徴的な食感で人気の定番商品「クランキーチキン」で、6月に初となるメーカー人気商品とのタイアップ企画として「クランキ―チキンコンソメWパンチ味」を発売し好評を博しました。スナックでは、2月に米粉を使用した生地と特徴的な食感が楽しめるポテトを組み合わせた衣でジューシーなソーセージと伸びるチーズを包んだ食べ応えのある「チーズハットグ」を発売しました。2019年に累計販売本数930万本を超えた人気商品として、お客さまの声にお応えしリバイバル発売したことにより改めて多くのお客さまにご支持いただきました。これらにより、ホットスナックの売上は前年同期を上回りました。

お客さまの購入頻度が高い主食カテゴリーの核商品として、「ホットドッグ」を9月より全国発売しました。食感にこだわった胚芽パンとジューシーなポーク100%ウィンナーを使用し毎日食べたくなるおいしさに仕上げ、店頭ではできたてをスピーディーに提供するオペレーションを確立しました。価値ある商品を本体価格199円とお値打ち価格で発売し好調な販売となり、10月には具だくさんで満足感ある「チリドッグ」、11月には濃厚な味わいの「チーズドッグ」と追加のフレーバーを投入し商品ラインナップの拡充を図りました。一方、第4四半期にかけては新規商品の投入が遅れ、ポテトとのセット販売が伸び悩みました。引き続き、主食カテゴリーの進化に向け、毎日食べたいと思えるおいしさの価値ある商品開発を加速してまいります。

できたてのおいしさをお届けするコールドスイーツでは、7月にこだわりの商品を紹介する大型TV企画にて、コンビニエンスストアでは初となる全品高評価を受けました。夏の定番フルーツのすいかを、旨味を逃がさないこだわりの製法で加工し、みずみずしい食感に仕上げた果実氷に宮古島の雪塩を使用したすいかシロップを組み合わせた「ハロハロ果実氷すいか」や、酸味と甘みのバランスがとれたカナダ産の大粒のブルーベリーと北海道十勝産原料を使用したヘルシーなヨーグルトを組み合わせた健康価値の「ブルーベリーヨーグルトパフェ」といった高付加価値商品について原料や製法へのこだわりが評価されました。9月には人気パフェの「なめらかプリンパフェ」をリニューアルし北海道産生乳と生クリームにこだわった飽きないおいしさに仕上げました。1月には北海道産生クリームを使用した濃厚なミルクプリンとフランボワーズソースを合わせ、トッピングに「とよのかいちご」を贅沢に使用した「白いパフェ」を発売しました。長引く残暑の影響でいちごの出荷量が減少し市場価格が高騰するなか、お客さまに見た目からお楽しみいただけるショートケーキのようなかわいらしいパフェに仕上げました。希少な旬の食材を計画的に調達し産地から製法までこだわったほか、見た目の新しさとできたてのおいしさを追求しコールドスイーツの売上は前年同期を上回りました。

当社の看板商品であるソフトクリームでは、おいしさの価値に加えて環境や健康にやさしいといった新たなブランディングを推し進めました。3月には、ソフトクリーム(食べるスプーン付)のカーボンフットプリント(CFP)を算定し環境負荷を可視化、0.2914kgCO2eqと環境にやさしい商品としての価値訴求を進めました。6月にはSNSを活用した写真投稿企画において昨年の世界記録23,137件を大きく超える45,111件の投稿をいただき、当社を象徴する看板商品として認知向上に繋げました。10月には、カカオの生産者を支援するサステナブルな原料を使用した「香るカカオチョコソフト-Vietnam-(ベトナム)」を発売しました。1月には同じ原料をトッピングにも使用した「プレミアムソフト‐いちご×チョコ×バニラ‐」を発売、おいしさの価値だけでなく環境に配慮した高付加価値商品を連続して展開し好評を博しました。また、地域の身近な店舗でいつもお客さまにご満足いただけるおいしさと品質でご提供するために、従業員の商品知識向上とオペレーションスキル向上を図る目的で、2019年以来となる「ソフトクリームマイスター」制度を復活いたしました。引き続き、環境や健康にやさしく、身近な店舗を介した地域とのつながりや原料の生産者支援といった社会貢献を開発コンセプトにブランディングを推進してまいります。

ファストフードをお客さまがいつでも気軽にご注文いただける体制に向けた提供方法改革の一環として、商品価値訴求の刷新を推し進めました。当連結会計年度にて新たに573店舗で店内メニューをデジタルコルトンへ置き換え、2025年2月末時点で1,024店舗にて動画による商品訴求を実施しており、デジタルコルトンと連動したセルフレジからのご注文とお呼び出しシステムの整備が進みました。また、モバイルオーダーでは、お得なクーポンの限定配信やモバイルオーダー限定商品の展開、店頭訴求を拡充し利用促進に取り組みました。加えて、デジタルサイネージとしてのリテールメディアの取り組みでは、イオングループ企業との協業をはじめ機動的な広告獲得活動を進めたほか、営業・商品が一体となってサイネージ放映商品の店頭展開の成功事例を創出しリテールメディアの価値訴求につなげました。引き続き、デジタルサイネージと店内放送が連動した商品価値訴求の進化とお客さま利便性の向上に取り組んでまいります。

 

お客さまのニーズにお応えし「今求められる便利さ」を追求する「コンビニエント」では、MDプロセスの磨き直しによる商品力の向上、節約志向の高まりに対応する価格訴求を充実させるとともに、トップバリュをはじめとするイオングループ商品の活用拡大および当社オリジナル商品のラインナップ拡充に取り組みました。また、生鮮食品や“暮らしの品”の品揃えを拡大しワンストップ、ショートタイムショッピングの実現を推し進めております。

MDプロセスの磨き直しによる商品力向上では、7月の大型TV企画にてコンビニエンスストア商品のスイーツが全品高評価を獲得しました。培った商品力を生かしたチルドスイーツは店頭でもお客さまから高くご支持いただき、台湾蜜いも餡とフランス産発酵バターを合わせた和洋折衷スイーツ「台湾蜜いもバターどら焼き」や定番の「ベルギーチョコパフェ」が好評を博しました。また、北海道産原料を使用し本体価格100円のお値打ち価格で展開する当社No.1スイーツの「ダブルクリームシュー」では、人気のファストフード食材と同じ原料を用いて8月に「マンゴーシュークリーム」、9月に「クラウンメロンシュー」を発売しました。また、11月には「珈琲シュークリーム」を発売しいずれもお値打ち価格で訴求し好調な売れ行きとなりました。加えて、人気のチーズケーキ専門店とのコラボ商品を第5弾まで発売し、リアル店舗での好調な実績を踏まえてEコマースでも9月より同じ専門店のクリスマスケーキ取り扱いを開始したことにより、リアルとデジタル両方でお客さまに高くご支持いただきました。これらにより、スイーツの売上は前年同期を上回りました。

価格訴求の定着に向けた取り組みでは、菓子パンで6月の「ずっしりデニッシュ(りんご)」、7月の「毎日食べたいカレーパン」を皮切りに本体価格100円の商品をシリーズとして計12品を展開しました。通常売場での展開に加え、前期に設備投資したジャンブル什器での陳列手法の習熟が進み、お客さまの認知が拡大したことが菓子パンの売上を押し上げました。おにぎりでは、7月より投入した「いつも本体価格98円シリーズ」が定着し売場の活性化が進んだことにより、定番商品を含めたおにぎり全体でお客さまのご支持が拡大しました。また、お手頃価格の商品のリニューアルを継続して行い、商品価値の向上を進めたことにより当第4四半期連結会計期間におけるおにぎりの売上は前年同期を上回りました。お客さまのご来店動機につながる品揃えの充実では、先行投資によりたばこの什器の増設を5月に完了し、6月以降は販促の充実と品揃え拡充および品切れの防止に取り組みました。これらの取り組みが下半期にかけて効果を積み上げ、当連結会計年度の客数は前年同期を上回りました。

生鮮食品と“暮らしの品”の拡大では、フラッグシップ店舗で成果を上げた農産・日配品の売場づくり成功カセットの水平展開を加盟店とともに推し進め、新たなお客さまの獲得につながりました。9月よりイオングループの商流を活用し関東エリアから農産の供給体制刷新とともに容量再設計、鮮度向上に取り組んだほか、日配品の品揃え拡充を推し進めました。農産では、バナナ部門でプライベートブランドNo.1の販売実績があり、甘さひかえめでやわらか食感の「ベストプライスバナナ」を、5月より東京・千葉・埼玉で販売開始し12月には関東全域へと拡大したことにより売上を押し上げました。引き続き、農産・日配品をはじめとした普段使いの品揃え拡充と品切れの防止に取り組み、ワンストップショッピング・ショートタイムショッピングの実現に取り組んでまいります。

暮らしの品の拡大と価格訴求では、物価上昇によるお客さまの節約志向にお応えするべく、イオングループの独自価値商品であるトップバリュのさらなる活用を進めております。手軽に食事の準備が整う“時短調理”といった便利さの価値を訴求するパウチ総菜や冷凍食品では、計画的な売場づくりと品揃えの拡充を進めたことで、「チーズインハンバーグ(デミグラスソース)」や「豚バラ生姜焼き」、「がつ飯」シリーズの「な、なんと大きなナポリタン&ミラノ風ドリア、ハンバーグのせ」といった商品がイオングループ企業で1位の販売実績となりデイリーや冷凍食品の米飯の売上を押し上げました。また飲料では、記録的な猛暑や残暑へ対応するため売場変更のタイミングを気温に応じた時期に変更し、お手頃価格のトップバリュ商品のお茶や水の売場づくりをお客さまの購買行動に基づき再設計したことにより、売上を押し上げました。加えて、菓子・加工食品では、10月に「トキメクおやつ部」シリーズを発売しM・Z世代のお客さまに向けた品揃えを拡大しご支持いただいたほか、11月にはラーメンで「トップバリュ」50周年の記念商品である「トップバリュ ジェーカップシリーズ」を2品発売し好評を博したことにより菓子・加工食品の売上を押し上げました。引き続きイオングループの独自価値あるトップバリュ商品の活用を拡大し価格と価値の両面からお客さまに訴求してまいります。

 

 

5月に改装開店したNewコンボストアモデル第2フェーズのフラッグシップ店舗では、「ファストフード」「コンビニエント」両方の提供価値の進化に取り組むとともに、リアル店舗とデジタルサービスをインターフェースとなるミニストップアプリで融合するOMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)活用を推し進め、多くのお客さまにご支持いただいているほか、創出した成功カセットの既存店への水平展開が成果につながりました。ラボ店舗としてフラッグシップ店舗が創出した成功カセットは2025年2月末時点で80カセットと、商品・オペレーション両面での積み上げが進んでおります。成功カセットの取り組みは、フラッグシップ店舗においてワンストップ、ショートタイムショッピングの実現から新たなお客さまのご支持につながっており、当第4四半期連結会計期間における日販の前年比は平日で140%、週末で180%超と大きく伸長しました。「ファストフード」では、主食の核商品「ホットドッグ」を5月の開店当初から発売し商品価値訴求やオペレーションを磨き上げて9月の全国発売を実現しました。また、ファストフード専門店事業のドリンクスイーツをミニストップ店舗事業でも展開できる商品仕様とオペレーションに仕上げ、既存店への水平展開に向け先鞭をつけました。当社が目指すファストフードの世界観をお伝えする商品価値訴求とご注文体制の刷新では、デジタルサイネージを活用し時間帯に応じた動画での告知と音声連動での価値訴求を磨き上げたほか、セルフレジやモバイルオーダーを活用しカスタマージャーニーに沿って気軽にファストフードをご注文いただける設計を確立しました。「コンビニエント」では、生鮮食品や“暮らしの品”の拡充に取り組み新たなお客さまの支持を獲得したほか、容量や鮮度、仕様を再設計した商品の供給体制を既存店にも拡大し成果につながりました。また、イオングループで売れ筋の米飯やサラダ、おかずの拡充に取り組みました。米飯では「トップバリュ鶏照焼き重」や「トップバリュ10品目のサーモン西京焼弁当」、サラダや総菜では「18品目のコブサラダ」「れんこん金平」といった商品が好評を博し当第4四半期連結会計期間における常温弁当の売上は230%超、サラダでは340%超、おかずでは2,500%超と大きく伸長しました。イオングループの独自価値商品であるトップバリュの品揃えは構成比30%まで拡大し売場づくり成功カセットの水平展開に取り組みました。OMO活用では、インターフェースとなるミニストップアプリについて、プレミアム会員制度がお客さま来店頻度を引き上げ、ロイヤルカスタマー創出の成果につながっているため、活性化・新店開店時に毎日来ていただけるお客さまのご来店促進の取り組みとして水平展開しております。Eコマースでは、オンライン専用商品の店頭取り扱いとコラボ企画の情報発信拠点としての活用が進み、リアル店舗の強みをデジタルでも生かすといった成功パターンの確立が進みました。第2フェーズフラッグシップ店舗の実績と水平展開した成功カセットの成果を踏まえ、今後の新店および既存店活性化はすべてNewコンボストアモデルとすることを方針とし、フラッグシップ店舗の成功の核を既存店に全面展開する次のフェーズへの準備を進めております。

お客さま第一のマインドセットを醸成する「心装」を柱に、Newコンボストアモデルの成功カセットを導入する既存店活性化は、下半期より構造改革へ経営資源を集中するにあたり実施店舗を厳選し2025年2月末時点で61店舗にて実施しました。2023年度の活性化店舗と合わせ計230店となり、全エリアでハード面での改装をきっかけとした計画的な「心装」が進み、店舗経営者から従業員まで巻き込んで地域のお客さまを新たにお迎えする取り組みの組織的学習が進みました。また、競争店対策としてのMD政策立案と実行に加え、売上から荒利、経費まで全方位的に分析する“レントゲン”と“処方箋”からなる店舗カルテの活用につなげています。これらにより、2024年度活性化店舗の1店1日当たり売上高の前年同期比は103.8%と全社実績を上回りました。引き続き、個店競争力を高めるNewコンボストアモデルの既存店活性化を推進してまいります。

構造改革の重点施策として経営資源を集中する経営指導体制/本部改革は、手元に残る事業利益を重視する発想および設計への転換に向け、人財採用や教育といったマネジメントシステム改革をベースに、直営店経営モデルの再生および本質的な経営指導の転換に並行して取り組んでおります。直営店は2025年2月末時点で271店舗と前年同期より84店舗増となりました。上半期に課題となった直営店の増加に対応する店舗運営人財の充足では、下半期にかけて時間給スタッフの採用プロセス改善を推し進めたことにより採用が計画通り進み、中間期末と比較して当第4四半期連結会計期間末の人時充足率は7%改善しました。また、基礎教育を重視する教育体系再設計に取り組み、資格要件を満たす店舗責任者の充足が進んだことにより同期間における有資格者の配属は64店舗改善しました。

直営店で成功モデルを確立し加盟店へと水平展開する経営改善ツールの活用では、販売実績とAIによる客数予測を活用し合理的に利益を上げる「手順書発注」を直営店168店舗で開始し、完全作業を前提に売上総利益の改善を実証しました。加えて、適切な手順に基づく値下げ作業の実施を「手順書発注」と組み合わせて拡大し利益を上げる発注の実現と商品廃棄の削減が両軸で進んだことにより同期間における直営店の売上荒利益高の昨年比は3%超改善しました。また、ワークスケジュールおよび製造計画の活用が進んだほか、店長ワークスケジュールを活用した店舗責任者の付加価値業務の仕分けが進みました。上半期を中心に不足人時の応急的な充足により人件費が増加しましたが、これらの取り組みと外部人材活用ルールの再設計により同期間における外部人材活用コストは1店あたり40%超減少しました。これら経営改善ツール活用の成功モデル確立が直営店で進み成果を実証しており、引き続き、店頭実現100%および効率的な複数店舗管理の実現に向け、パートナーシップ契約店舗から加盟店への水平展開を進めてまいります。

 

加盟店との新たな関係を築き、共に成長を目指すパートナーシップ契約店舗は2025年2月時点で前年同期より215店舗増の884店舗と、期首計画に先行し全加盟店の半数を超えて移行を進めました。未着手領域への踏み込みをはじめとした経営指導の質的転換と加盟店経営者一人一人と向き合う体制への転換に向け、6月には充実した経営指導のためのプロセス改革を進め、会議体を集約し52週MDの適切な情報発信を踏まえた営業現場での着実な経営指導の実行に焦点を当て、管理職とストアアドバイザーがともに加盟店の経営課題解決に取り組む時間を増やしました。9月にはあるべき経営指導体制確立に向けたプロジェクトを組成し全社横断での討議と制度化につなげました。また共に繁栄する事業の共同体として一加盟店ごとの経営指導方針確立と、売上から経費まで経営状態の全方位的な“レントゲン”と“処方箋”からなる店舗カルテを両軸に、加盟店と合意した経営目標数値と適切な“レントゲン”から導いた問題解決の枠組みに沿った改善活動を推し進めました。また“店頭実現100%”に向け経営改善ツールの活用を軸となるワークスケジュールから推進したほか、全店に導入したマネジメントタブレットを活用したダイレクトコミュニケーションでは、52週MDのテーマに合わせた動画コンテンツや売場づくり情報を充実させ具体的行動につながるタイムリーな情報発信に取り組みました。これらにより、中間期と比較して下半期におけるパートナーシップ契約店舗1店1日当たり売上高の前年比が改善するとともに事業経費の増加率が低減しました。引き続き、共に繁栄する事業の共同体として加盟店と本部の役割分担のもと、手元に残る事業利益を重視する発想への切り替えをベースに、お客さまニーズにお応えする売場づくりと効率的な店舗経営の実現に向け、構造改革を完遂してまいります。

デリバリーサービスは、2025年2月末時点で1,174店舗にて展開し拠点収益力向上の取り組みとお客さまの利便性向上に取り組みました。売上拡大に向けた販売促進では、お客さまのご利用頻度と買上点数向上を目的に、人気商品のセールや送料無料のキャンペーンを展開したほか、売れ筋商品の価格訴求、人気アニメとのコラボ企画に取り組むなど、費用対効果を明確にした販促を展開しました。また、業務効率化として受注システムを統合しスムーズな受付とピッキング対応を実現しました。お客さま利便性の向上では、一部デリバリーサービスの24時間受付対応を2025年2月末時点で約800店規模まで拡大したほか、デリバリーで需要の高い即食の米飯をはじめとした日配品、大容量の飲料から高付加価値のデリバリー専用商品まで品揃えを約1,100SKUまで拡充しました。これらによりデリバリーサービスの事業利益は前年同期比135%超伸長しました。引き続き高まるQコマースへのお客さまニーズにお応えしスムーズで確実な注文対応と品切れの防止に向け、デリバリーサービスキャリアとの協働に加え、在庫管理の精緻化とオペレーションを軸とした経営指導に取り組んでまいります。

Eコマースでは、整備が進んだ販売チャネルと冷凍を含む物流インフラを活用した売上拡大に取り組んだほか、リアル店舗での実績や催事に連動したオリジナル商品や企画の展開、イオングループEコマースとの相互送客を推し進めました。6月には母店となる「MINISTOP Online(ミニストップオンライン)」および大手ECモールで酒類の取り扱いを開始したほか、7月にはお手頃価格の飲料を取り揃えた専門店を開設し利便性向上と記録的猛暑のなか高まる飲料への需要にも対応しました。リアル店舗での実績に連動した取り組みでは、9月より人気のチーズケーキ専門店とのコラボ商品をクリスマスケーキとして展開しました。高単価で店頭では品揃えの難しいこだわりの商品を、協業先とともにミニストップファンに向けて丁寧な情報発信とともに訴求したことにより多くのお客さまからご支持いただき、Eコマースでの再現性ある成功パターンを確立しました。また相互送客では、イオングループのネットスーパー「Green Beans」へのミニストップオリジナル商品の展開のほか、お得なクーポンによるネットスーパーからリアル店舗への誘導に取り組みました。新たなミニストップファンの創出に向けたマインドシェアの拡大を推し進め、Eコマースの売上高は前年同期より290%超伸長しました。引き続き、店頭実績と連動したミニストップオリジナルの核商品開発とコラボ企画の展開、イオングループEコマース連動の深耕とグループ決済手段の活用を推し進め、お客さまの購買体験を変え便利さを実現するとともに事業利益創出に取り組んでまいります。

OMOのインターフェースとなるミニストップアプリは、2025年2月末時点でダウンロード数が259万件を超え、会員売上高は前年同期比140%超伸長しました。会員基盤の拡大に向けた取り組みでは、5月にモバイルオーダー機能の活用でソフトクリームがお得になるキャンペーンを店頭販促の充実とともに実施したほか、7月には大型TV企画と連動したクーポン発行によりダウンロード数が伸長しました。また1To1マーケティングでは、お客さまの属性やアプリの利用頻度、購入商品に応じて購入頻度の高い商品のクーポン配信ならびにプッシュ通知での販売促進に取り組みました。お客さま利便性の向上をはじめとしたインターフェースの進化では、7月にイオングループのコード決済サービスであるAEON Pay(イオンペイ)を実装、10月より1日1回抽選でお得なクーポンが当たる「MINIくじ」を開始したほか1月にはアプリ内体験型店舗運営シミュレーションゲーム「マイ・ミニストップ」を開始し施策の積み上げによるお客さま利用頻度の向上に取り組みました。引き続き、リアル店舗とデジタルをつなぐインターフェースとして、会員基盤の拡大と利用促進を中心に取り組み、ロイヤルカスタマーの創出につなげてまいります。

 

安定した事業利益を創出している職域事業では、オフィスなどの施設内に設置する無人コンビニ「MINISTOP POCKET(ミニストップ・ポケット)」をはじめ関連サービスを含む拠点数が2025年2月末時点で1,700拠点と前年同時期と比べて120%超拡大しました。近畿圏への拠点拡大を進めたほか、病院などの新ロケーションである半職域マーケットでは、AIを活用した無人店舗やレジレスのウォークスルー型店舗を展開しお客さま利便性の向上と新たな購買体験を実現しました。また、協業先の拠点展開を補完する新サービスとして、オフィスの食事需要にお応えする商品供給サービスを2月に開始し更なるマーケットシェアの拡大に取り組みました。加えて、各拠点の売れ筋商品の把握をはじめとした在庫管理システムの稼働を推し進め品切れの防止に取り組んだことにより、1拠点当たりの売上高は前年同期を110%超上回りました。また、ミニストップ店舗へ高付加価値商品の供給を行うクラウドキッチンの展開を提携先とともに推し進めました。引き続きスピーディーな拠点拡大と各拠点の運営レベル向上、OMOで融合したミニストップ店舗事業とのシナジー創出に取り組んでまいります。

政策を着実に遂行し成果を創出するマネジメントシステム改革は、採用や教育といった人財対策を中心に取り組んでおります。直営店舗の増加に対し時間給スタッフの採用プロセス改善に取り組み、下半期にかけて直営店の人時充足状況が改善するとともに、応急的な外部人財活用コストの削減が進みました。12月には店舗の実務教育部門とキャリア教育部門を統合した新たな教育組織を組成し店舗責任者やSIの育成から本部人材育成、加盟店支援教育へもつながる教育体系の再設計を推し進めました。引き続き、バリューチェーンの再設計および加盟店と本部で共通する人財課題の解決に向け、未着手領域の加盟店支援を含めた制度設計を推し進めてまいります。

パーパス経営の実践に向け、イオングループ未来ビジョンおよびミニストップのミッションをもとに、事業の成長が社会課題の解決に直結するよう事業活動を推進しております。パーパス経営の象徴としてソフトクリームのブランディングを推進し、従来の「おいしさ」の価値軸に、「環境にやさしい」「からだにやさしい」「地域とのつながり」「社会貢献」といった新たな価値創造を目的とした「ソフトクリーム委員会」を3月に立ち上げ、“ナラティブ”と“ブランドストーリー”を作成しました。ソフトクリームの歴史と新たな開発に挑戦していくことを誓った“ナラティブ”は、パーパス浸透の為に2024年度下半期より社内で開催しているミッション座談会において共有し、当社のミッションに込めた想いとともに浸透を進めています。お客さまをはじめとしたステークホルダーへの感謝と、毎日食べていただけるよう環境やからだにもやさしいソフトクリームをご提供し続けることを表現した“ブランドストーリー”は、今後幅広いステークホルダーへの発信を進めてまいります。

従業員一人ひとりを事業活動の源泉と捉え、2024年度下半期より開催しているミッション座談会では、ミッション浸透に取り組む意義、イオン基本理念、未来ビジョンの共有、ミニストップの歴史の振り返りなどを行い、参加者全員でのグループワークにおいて、各自の想いや取り組みを共有しております。部長・室長が主催する座談会では、同じ職場で働く意義や共通認識、新たな課題を発見する場となり、全国36チーム延べ366名の従業員が参加しました。また、役員と従業員との座談会では、現場の課題や政策方針について忌憚のない意見交換を行っており、2024年度は店舗と関わりの深い、加盟店と共に価値を作り出してゆく営業部門22チームから開始しました。2025年度はさらに商品部門・スタッフ部門を対象として開催する計画です。これらの座談会を通して従業員の夢や成し得たいことと企業理念を結びつけ、理念の実現に向けた行動に繋げるとともに、ソフトクリームのブランディングを推進することで、よりサステナブルな企業経営を実践してまいります。

気候変動対応として、当社が算定した範囲内におけるCO2排出量の86.3%を占める、店舗の電力使用量を削減することに注力しております。2030年までに店舗で排出するCO2を2013年比50%削減するという目標のもと、一部地域の使用電力源を再生可能エネルギーに切り替えるとともに、電力使用量の削減に向け店内外の照明のLED化、節電機器の設置等に取り組み、目標を前倒しで達成いたしました。今後は「2040年ネットゼロ(CO2排出量が実質ゼロ) 」を目指し、電力調達方法の変更や省エネ機器類の計画的入れ替えを進めることでさらなる削減に取り組んでまいります。

資源循環の促進として、2025年までに2015年比50%削減するという目標のもと食品ロス削減に取り組んでおりますが、目標設定時と現時点において、食品リサイクルの実施状況に差異が発生しております。店舗においては値下げ販売による「発生抑制(リデュース)」を9割の店舗で進めており、値下げ販売手順の完全作業による効率的な販売体制の構築に向け、加盟店との協働で一層の食品ロス削減を実現するためのツールの整備を推し進めてまいります。なお、より実効性の高い取り組みを行うために目標達成年度を2030年に変更いたしております。また、2024年度はお客さまとともに食品ロス削減に取り組みました。毎年10月に全店で実施しております「てまえどり」は年間を通した告知を行いました。さらに、家庭から出る食品ロス削減のために、イオングループが推進しているフードドライブに219店舗が参加し、お客さまのご協力のもと未利用食品をフードバンクや子ども食堂に寄贈しました。引き続き食品ロス50%削減を達成するために発生抑制に注力し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行ってまいります。

 

プラスチック使用量削減の取り組みでは、アイスコーヒーについて、全店で紙製カップとストローレスの蓋への切り替えをすることで脱プラスチック化を進めました。これにより全店切り替え後から2025年2月末までのプラスチック削減量は約6割となりました。2030年までに使い捨てプラスチック利用量を2018年度比で半減とする削減目標を前倒しで達成しており、売上伸長といった使用量増加要因に対しても引き続き現在の目標達成水準を保つべく、さらなる削減の取り組みを進めてまいります。また、一部のファストフードのパフェ商品において、容器の紙化実験を実施するとともに手作り弁当容器の重量を18.5%削減するなど軽量化を進めました。今後も、ファストフード商品を中心に、使用素材の紙への変更および容器の軽量化を進め脱プラスチック化の拡大を図るとともに全ての使い捨てプラスチックを環境配慮型素材へ変更することを推し進めてまいります。

地域とのつながりの取り組みとしては、小中学生向け職場体験学習「チャイルドインターンシップ」を2005年より実施しています。未来を担う子どもたちに向けて、“私たちは、「おいしさ」と「便利さ」で、笑顔あふれる社会を実現します。“というミニストップのミッションを学んでいただくとともに、今期は環境や健康といった新たな価値を訴求するソフトクリームから環境問題を捉えていただくようプログラムを改訂し、今期累計で67校269人の生徒の皆さまにご参加いただきました。フラッグシップ店舗においては、地域の催事と連携してソフトクリーム加工を中心とした職業体験会を実施し、多くの地域のお子さまに体験していただきました。小学校に花の苗を届ける花の輪運動募金は通年で実施し、本年度は400校の小学校に花の苗を贈呈しました。1991年の開始時から、延べ17,534校、合計で約463万5千株の寄贈となります。また、加盟店を中心に近隣の福祉施設等でボランティアを行う活動では、2016年より延べ1,642施設において、イベントのお手伝いや清掃活動などを通じて地域との親交を深めております。グループをあげての募金活動においては、イオン ユニセフセーフウォーターキャンペーン募金、24時間テレビ47募金、令和6年能登豪雨災害支援募金(福井県店舗のみ)、首里城支援募金、全国こども食堂応援募金の5件の募金活動をイオンとともに取り組みました。「福祉」「環境」「災害復興」の3つの分野の支援活動に活用するために、お客さまのご協力のもと総額で9,005,915円を寄付いたしました。

ミニストップで働く一人ひとりに対して、その個性と能力を十分に発揮できるよう、性別や雇用形態に関わらず、多様な人財が活躍し全員が働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。まず女性活躍推進においては、将来の管理職計画に女性管理職の配置を織り込み、そこからバックキャストして候補者の計画的な育成を進めております。管理職候補者のうち9名をイオンの女性活躍プログラムへ参加させキャリアアップを目指す意識を醸成し、また多様な人財の活躍推進として、店舗で働くパート・アルバイト17名を店長(契約制社員)へと積極的に登用しました。登用された契約制社員へはマニュアル検定さらにMSP(ミニストップステップアッププログラム)に参加することにより着実に店長業務を習得できる体制を整えています。雇用形態にとらわれず、当社で働く一人ひとりがその能力や意欲に応じて活躍できる体制へと刷新してまいります。さらに障がいを持ちながら働くことを希望される方を4名新規採用し、雇用率は2.53%となりました。入社後は障がいを持つ方と人事部との丁寧な面談を継続的に実施することで、長く働き続けられる職場環境を目指してまいります。

生産性と従業員満足の向上を目的として、本年度より人事制度においてLコース(地域選択制度)を新設し、従業員の約20%が新コースを選択しています。引き続き従業員一人ひとりが安心して働くことのできる労働環境を整えてまいります。

ミニストップをご利用されるすべてのお客さまに安心してご利用いただき、ミニストップに関わるすべての人々が安全・安心に働くことが出来る環境づくりのため、イオンの人権基本方針に則り、すべての人々の人権が尊重される社会の実現を目指す “人権デュー・デリジェンス委員会”を2024年度に発足させました。また、2月にはカスタマーハラスメントに対応する店内の掲示を実施いたしました。お客さまに安心してご利用いただけるお買い物環境の提供と、一人ひとりの人権、多様性を尊重し、事業に関わる全ての人が活躍できる環境整備を進め、笑顔あふれる社会の実現につなげてまいります。

ネットワークサービス株式会社は、国内店舗向けの共同配送事業を展開しており、定温センター13ヶ所、常温センター6ヶ所、冷凍センター10ヶ所を運営しております。配送ルート数および1ルートあたりの走行距離の適正化のほか、冷凍商品の納品形態変更を拡大し、コスト削減とともにCO2排出量削減による環境負荷の低減に取り組んでおります。また、2024年4月から自動車運転業務の時間外労働時間上限が制限されるのに際し、ドライバーの働き方改革および配送効率改善への対応を推し進めました。常温品・冷凍品を定温便に混載することによる車両積載率の改善のほか、店舗納品ルールを統一することで配送員の拘束時間を削減しました。引き続き、物流効率改善の取り組みを推進してまいります。

店舗開発は10店舗を出店、18店舗を閉店し当連結会計年度末店舗数は1,848店舗となりました。構造改革へ経営資源を集中するなか、エリア戦略に基づき収益性を重視して厳選した出店を引き続き進めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度における国内事業の営業総収入は779億80百万円(前期比110.2%)、営業損失は23億98百万円(前期実績 営業損失1億96百万円)となりました。

 

[海外事業]

当連結会計年度において、ベトナムでは2024年の実質GDP成長率(推計値)が前年同期比7.09%と政府目標を達成し、第4四半期(10~12月)には前年同期比7.55%と伸び率が加速しました。製造業の復調に加え、政府による付加価値税(VAT)減税の効果もあり、飲食・観光等サービス業の売上高(推計値)は前年比12.9%増となったほか、小売業では前年比8.3%増となりました。

このような環境の中、ベトナムのMINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITEDは、直営多店舗化事業として根幹となるMDプロセスの再設計を中心に親会社役員の関与を強め取り組んでいます。ホーチミン市のドミナント確立に向け32店舗を新規出店し2025年2月末時点の店舗数は182店舗、チェーン全店売上高は前年同期比114.4%となりました。また、お客さまニーズに対応し飲料や冷凍食品の売場を拡大する既存店改装を4店舗で実施したほか、高付加価値のフルーツドリンクの世界観を訴求するためのドリンクカウンターを設置する改装を47店舗で実施しました。カウンター設置店舗は累計86店舗となり、商品価値訴求に取り組んだことでフルーツドリンクの実績は、前年同期と比較して160.8%伸長しました。

ベトナムの消費動向の変化にスピーディーに対応するとともに、競争店となる小型スーパーや伝統的な市場に対し価格優位性を確保するための価格設計を進めました。カテゴリーマネジメントに沿って売場の役割を再定義し購買頻度の高い飲料の天然水や袋麺、紙製品といったカテゴリーに厳選した価格訴求を進めるとともに、対象商品を一つ買うと交換商品を一つ無料でもらえる「Buy1Get1」の販促施策を断続的に実施し、お客さま支持が拡大しました。また、スナックでは価値型商品の品揃えを拡充し売場を拡大して酒類との関連購買を誘引したほか、雑貨では市場が成長しているヘアケアをはじめとした品揃えを充実させたことにより実績が伸長し、売場づくりの成功モデルとして実証が進んだことを踏まえて既存店への水平展開を推し進めました。高付加価値のファストフード商品では、店内で加工するフルーツドリンクについて、抽出後ケースに陳列するオペレーションに変更したことによりお客さまの認知度が向上し、販売を押し上げました。また、全店拡大を進めた主食カテゴリーのベーカリーでは、お客さまにご注文いただいた後、店内で焼き上げるとともに、「クロワッサンチョコ」や「韓国パン」といった商品をデリケースで一段展開して訴求し好評を博しました。加えて、イオングループのデリカ商品をベンチマークしレンジ麺といった即食を展開したほか、「チョコパン」をはじめとした付加価値型の韓国スイーツを発売し売上を押し上げました。

個店モデルの確立では、人件費、廃棄ロスを中心にコスト構造の再設計に取り組みました。店内作業の精査と削減を進めたうえで、ワークスケジュールの再設計と勤務実態の合致に取り組み、当連結会計年度末の全店平均人時は中間期末比94%と削減が進みました。また、廃棄を差し引いたGP率をKPIとして設定し販売上位商品の品揃え拡充や廃棄実績の個店別進捗管理を進めたことにより、当連結会計年度末の廃棄額を中間期末と比較して25%削減、ロス額を中間期末と比較して61%削減しました。引き続き、利益を上げるための発注や売場づくり、作業システム改革に取り組んでまいります。

業績改善に向けた取り組みが進む一方、10月に新たに移転した物流センターでトラブルが発生し商品供給に遅れや不足が生じ、既存店日販が影響を受けました。再発防止に努めるとともに、引き続き、ベトナム事業の再成長に向けたMD政策の確立と成功モデルの水平展開を推し進めてまいります。

直営多店舗化を実現する後方支援体制の構築では、1人の店舗責任者が複数店舗を管理するSI制の導入をワークスケジュールの活用並びに業務効率化、SI本人とSI店舗のスタッフを含めた教育制度の再設計とともに推し進めました。また、お客さまの視点であるべき売場づくりやサービスの提供ができているかを総合点検する店舗サポート体制を引き続き運用したことにより、店舗レベルの継続的な改善が進みました。引き続きSI店舗拡大を作業システム改革とともに推進してまいります。

以上の結果、当連結会計年度における海外事業の営業総収入は94億95百万円(前期比114.4%)、営業損失は10億88百万円(前期実績 営業損失4億13百万円)となりました。

 

[財政状態]

(流動資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比べて12億11百万円増加522億42百万円となりました。これは主に現金及び預金が23億13百万円、未収入金が17億49百万円増加し、償還により有価証券が21億98百万円減少したことによります。

(固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末と比べて44億25百万円減少224億44百万円となりました。これは主にソフトウェアが減損により32億63百万円、投資有価証券が8億6百万円、差入保証金が7億60百万円減少し、有形固定資産が3億68百万円増加したことによります。

(流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比べて46億86百万円増加356億91百万円となりました。これは主に預り金が47億40百万円増加したことによります。

(固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末と比べて0百万円減少62億13百万円となりました。これは主に長期預り保証金が1億39百万円減少し、リース債務が1億18百万円増加したことによります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比べて78億99百万円減少327億81百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を67億74百万円、非支配株主に帰属する当期純損失を8億8百万円計上し、配当金の支払として5億80百万円があったことによります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は6億70百万円増加し、230億86百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べて13億53百万円収入が増加し、19億39百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純損失74億4百万円の計上に加え、増加要因として減損損失44億96百万円、減価償却費30億73百万円、預り金の増加で47億33百万円、また減少要因として未収入金の増加で17億93百万円等があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べて72億88百万円支出が減少し4億92百万円の支出となりました。これは主に増加要因として有価証券の償還による収入30億円、また減少要因として有形固定資産の取得による支出30億26百万円、無形固定資産の取得による支出15億20百万円によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べて10百万円支出が増加し8億6百万円の支出となりました。これは主にリース債務の返済による支出1億51百万円、配当金の支払額5億80百万円があったことによります。

 

 

当連結会計年度末の加盟店を含む地域別店舗数は次のとおりであります。

 

地域

店舗数

前年同期末比較増減

青森県

25

(

1

)店

(

1

)

岩手県

10

(

2

)

(

)

宮城県

101

(

8

)

△2

(

1

)

福島県

74

(

17

)

(

5

)

茨城県

93

(

17

)

△2

(

6

)

栃木県

27

(

3

)

(

1

)

群馬県

43

(

17

)

△1

(

13

)

埼玉県

125

(

21

)

△1

(

7

)

千葉県

161

(

19

)

△1

(

3

)

東京都

256

(

43

)

5

(

16

)

神奈川県

110

(

16

)

△1

(

2

)

福井県

7

(

)

(

)

岐阜県

78

(

10

)

△3

(

1

)

静岡県

119

(

16

)

(

1

)

愛知県

187

(

34

)

(

9

)

三重県

80

(

10

)

(

6

)

滋賀県

5

(

)

(

)

京都府

33

(

)

△1

(

)

大阪府

80

(

2

)

(

)

兵庫県

40

(

1

)

△1

(

)

奈良県

10

(

1

)

(

)

徳島県

18

(

6

)

(

3

)

香川県

29

(

12

)

(

2

)

愛媛県

7

(

2

)

(

)

福岡県

114

(

8

)

(

5

)

佐賀県

12

(

3

)

(

1

)

大分県

4

(

2

)

(

1

)

小計

1,848

(

271

)

△8

(

84

)

(ベトナム)

MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITED

182

(

176

)

9

(

16

)

          合計

2,030

(

447

)

1

(

100

)

 

(注)1 店舗数欄の(内書)は直営店(運営委託店を含む)の店舗数であります。

    2 上記店舗数には、cisca24店舗、MINISOF7店舗を含んでおります。

  3 MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITEDの店舗数は2025年2月28日現在の店舗数です。

 

当連結会計年度における事業別の売上状況は、次のとおりであります。

 

事業別

加盟店売上高(百万円)

直営店売上高(百万円)

計(百万円)

構成比(%)

(国内事業)

 

 

 

 

ミニストップ株式会社

254,524

30,448

284,972

96.80

小計

254,524

30,448

284,972

96.80

(海外事業)

 

 

 

 

MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITED

508

8,900

9,408

3.20

小計

508

8,900

9,408

3.20

合計

255,032

39,348

294,381

100.0

 

(注) MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITEDの加盟店売上高及び直営店売上高は2024年1月1日から2024年12月31日のものになります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

    なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

  ① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社経営陣は決算日における資産・負債の金額、並びに報告期間における収益・費用の金額のうち、見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績・現在の状況を勘案して可能な限り正確な見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これら見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5  経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

  ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア.経営成績の分析

a.(営業総収入及び営業損益)

当社グループの営業総収入は前連結会計年度に比べ84億19百万円増加し、874億75百万円(前期実績 営業総収入790億56百万円)となりました。国内事業では、加盟店からの収入が20億72百万円減少し、248億86百万円(前期実績 加盟店からの収入269億59百万円)、直営店売上高が79億89百万円増加し、304億48百万円(前期実績 直営店売上高224億59百万円)となりました。海外事業では、加盟店からの収入が13百万円減少し、29百万円(前期実績 加盟店からの収入43百万円)、直営店売上高が13億71百万円増加し、89億円(前期実績 直営店売上高75億28百万円)、商品供給高が1億48百万円減少し、3億76百万円(前期実績 商品供給高5億24百万円)となりました。

営業損益は、前連結会計年度に比べ28億76百万円減少し、営業損失34億86百万円(前期実績 営業損失6億9百万円)となりました。

b.(営業外損益及び経常損益)

営業外収益は、受取利息4億33百万円、受取補償金1億65百万円、違約金収入22百万円などの計上により6億59百万円となりました。営業外費用は支払利息28百万円などの計上により41百万円となりました。その結果、経常損失は28億68百万円(前期実績 経常利益10百万円)となりました。

 

c.(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益は、店舗閉鎖損失引当金戻入額13百万円などの計上により21百万円となりました。特別損失は、減損損失44億96百万円などの計上により45億57百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は67億74百万円(前期実績 親会社株主に帰属する当期純損失4億68百万円)となりました。

 

イ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、運転資金および新規出店・既存店改装等の設備投資資金および自社利用のソフトウェア開発資金となります。これらの資金需要に対応するための財源は、主として営業活動により得られた資金を充当しております。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 加盟契約の要旨Ⅰ

a 当事者(当社と加盟者)の間で取り結ぶ契約
(a) 契約の名称

フランチャイズ契約

(b) 契約の本旨

当社の許諾によるコンボストア・ミニストップ店を経営するためのフランチャイズ契約関係を形成すること。

b 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項

 

徴収する金銭の額

内容

総額

金2,500,000円
(消費税別)

・下記イとロの合計

内訳

イ 開店準備費

金1,000,000円
(消費税別)

 

 

・開店前トレーニング・商品陳列まで、加盟者の開店がただちにできる状態にするために当社が担当実施する開店準備の諸作業に関する費用

ロ 保証金

金1,500,000円


・自動融資・貸与資産等、当社の加盟者への信用供与に対する保証金

 

 

c フランチャイズ権の付与に関する事項

(a) 当該加盟店におけるコンボストア経営について、ミニストップの商標、サービスマーク、意匠、著作物およびこれに関連する標章、記号、デザイン、ラベル、看板ならびにその他ミニストップ店であることを示す営業シンボルを使用する権利。

(b) ミニストップ店の経営ノウハウおよび各種経営情報の提供を受け、それを使用する権利。

(c) ミニストップ・システムを構成するマニュアル、資料、書式用紙の貸与を受け、それを使用する権利。

(d) 当社が無償貸与する営業用什器・設備を使用する権利。

d 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

(a) 加盟者は当社の推薦する仕入先およびその他の仕入先から商品を買取る。

(b) 開店時の在庫品の代金は、開店直前に当社に送金し決済する。開店後は毎日送金される売上金から充当決済されることになる。

e 経営の指導に関する事項
(a) 加盟に際しての研修

加盟者および加盟者以外の方の2名は、当社の定める研修のすべての課程を修了する。

(b) 研修の内容

イ トレーニングセンター研修(6日間)

当社の基本理念、基本4原則、接客、ファストフードの加工、オペレーションなど基本的な事項について の研修。

ロ 直営トレーニング店(直営旗艦店・研修店)研修(5日間)

レジ接客、レジ精算、会計業務、商品陳列などについての研修。

ハ 直営トレーニング店(直営旗艦店・研修店)研修(18日間、休日を含む)

実践的かつ総合的な店長代行業務の実習および従業員育成(イエローテイルプログラム)やスケジュール管理、会計帳票の見方の研修。

ニ 修了認定研修(1日間)

開店に向けたCSR講習(企業の社会的責任、雇用管理や個人情報管理、店舗の在り方)の受講。

 

(c) 加盟者に対する継続的な経営指導の方法

イ 担当者を派遣して、経営に関して定期的継続的に指導・助言する。

ロ 消費動向、地域市場等を勘案し、最も効果的と判断される商品構成、品揃えに関する助言を行い、小売価格を随時開示する。

ハ 経営資料、会計帳簿および貸借対照表、損益計算書を原則毎月1回作成し提供する。

ニ 商品・現金・金券等の実地棚卸を原則として四半期毎に行い、その結果による商品管理の改善の助言を行う。

ホ 従業員採用・教育・管理に関するマニュアルを提供する。

へ 業務の合理化、簡素化のためのPOSシステム等の店舗運営システムを提供する。

f 契約の期間、契約の更新および契約終了等に関する事項
(a) 契約の期間

営業開始日から満7か年間経過した月の末日まで。

(b) 契約の更新および手続

契約期間の満了にあたって、加盟者と当社が協議を行い、合意に基づいて行われる。

(c) 契約の終了

イ 契約が更新されない場合には、契約期間の満了により終了する。

ロ 加盟者の死亡または成年後見開始、保佐開始、補助開始の審判、特定店舗の滅失または賃借権の喪失、本部または加盟者の破産宣告、解散などの場合には自動終了となる。

ハ 契約に違反し是正勧告によっても是正されない場合または重要な契約上の義務に違反した場合などには解除により終了する場合がある。

ニ その他

g 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

加盟者の営業時間により、原則として下記の割合による金額を、当社が実施するサービス等の対価として徴収する。

(a) 加盟者が店舗を用意する場合
    (内外装費、店舗賃借費用等加盟店負担)

 

 ・24時間営業の店舗の場合……………………

月間売上総利益の30~33%相当額

 ・上記以外の営業時間の店舗の場合…………

月間売上総利益の33~36%相当額

(b) 当社が加盟者に店舗を提供する場合………
    (内外装費、店舗賃借費用等当社負担)

月間売上総利益に月間売上総利益の額に応じ段階的に定められた料率を乗じた額

 

 

(2) 加盟契約の要旨Ⅱ

a 当事者(当社と加盟者)の間で取り結ぶ契約

(a) 契約の名称

ミニストップ・パートナーシップ契約

(b) 契約の本旨

人件費や商品損耗等店舗運営に必須とみられる一定の費用を店舗運営全体の経費(事業経費)として、それを売上総利益高から控除した金額を当事者共通の利益とし、各当事者の寄与度に応じて利益を割り当てることにより、共通の目標をもって店舗の売上および利益の向上を目指すこと。

b 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項

(1) 加盟契約の要旨Ⅰb記載内容と同一

c フランチャイズ権の付与に関する事項

(1) 加盟契約の要旨Ⅰc記載内容と同一

d 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

(1) 加盟契約の要旨Ⅰd記載内容と同一

e 経営の指導に関する事項

(1) 加盟契約の要旨Ⅰe記載内容と同一

 

f 契約の期間、契約の更新および契約終了等に関する事項

(a) 契約の期間

営業開始日から満10か年間経過した月の末日まで。

(b) 契約の更新および手続

契約期間の満了にあたって、加盟者と当社が協議を行い、合意に基づいて行われる。

(c) 契約の終了

イ 契約が更新されない場合には、契約期間の満了により終了する。

ロ 法人の解散、加盟者(法人なら法人代表者)に成年後見開始、保佐開始、補助開始の審判、法令あるいは行政措置による加盟者の廃業、店舗が滅失したときは自動終了となる。

ハ 契約に違反し是正勧告によっても是正されない場合または重要な契約上の義務に違反した場合や加盟者(法人なら法人代表者)の死亡などは解除により終了する場合がある。

ニ その他

g 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

(a) 本部シェアと加盟店シェア

本契約は店舗運営の全体に必要であると契約上定められたすべての経費を事業経費とし、それらを売上総利益から差し引いたものを店舗全体の事業利益とする。その事業利益のうち、契約タイプ別に定められた一定の比率(シェア率)に応じた金額を各当事者に割り当てる。

売上総利益-事業経費=事業利益

事業利益×加盟店シェア率=加盟店シェア

※加盟店シェア率は、内外装の負担有無や本部と加盟者との店舗賃貸契約の有無などの状況によって異なる。

(b) 時短営業調整費

店舗の営業時間について24時間以外を希望する場合、希望営業時間に応じて、時短営業調整費を加盟者は支払う。

 

(3) エリアフランチャイズ契約の要旨

  MINISTOP VIETNAM COMPANY LIMITED(ベトナム社会主義共和国)

(a) 契約日

2015年2月1日

(b) 契約名

「エリアフランチャイズ契約」

(c) 契約の内容

ベトナム国内におけるミニストップの商標および「ミニストップ・システム」を使用した
店舗展開の許諾

(d) 契約期間

2015年2月1日から21年後まで

(e) 契約の条件

ロイアルティ  全売上総利益高の一定料率

 

 

(4) 商標使用許諾契約書の要旨

 韓国ミニストップ株式会社(大韓民国)

(a) 契約日

2022年3月29日

(b) 契約名

「商標使用許諾契約」

(c) 契約の内容

韓国内におけるコンビニエンスストア事業のための商標使用許諾

(d) 契約期間

2022年3月29日から2年後まで

(e) 契約の条件

ロイアルティ  全売上高の一定料率

 

(注)上記契約は2024年3月28日に終了いたしました。

 

(5) その他

当社は、イオン株式会社および主要な子会社のグループが、1990年8月1日に設立した「イオン1%クラブ」に参画し、同団体の趣旨に賛同して、毎期、税引前当期純利益の1%相当額をその活動に充てております。

「イオン1%クラブ」の活動の柱は、①環境の保全、②国際的な文化・人材の交流、③地域の社会・文化の振興、の3点であります。

 

 

6 【研究開発活動】

研究開発活動については、商品についてオリジナル商品の開発を常に進めておりますが、その他特記すべき事項はありません。