第一部【証券情報】

第1【募集要項】

1【新規発行株式】

種類

発行数

内容

普通株式

27,000,000株

完全議決権株式であり、株主としての権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。

 (注)1.本有価証券届出書による上記普通株式(以下「本新株式」といいます。)の募集(以下「本第三者割当」といいます。)は、2025年5月29日付の当社取締役会決議によるものであります。

2.当社は、本第三者割当に関連して、2025年5月29日に、割当予定先である日本電信電話株式会社(以下「NTT」または「割当予定先」といいます。)との間で資本業務提携契約書(以下「本資本業務提携契約」といい、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携を、以下「本資本業務提携」、本資本業務提携における業務提携を、以下「本業務提携」、本資本業務提携における資本提携を、以下「本資本提携」といいます。)及び投資契約書(以下「本投資契約」といいます。)をそれぞれ締結いたしました。

3.振替機関の名称及び住所

株式会社証券保管振替機構

東京都中央区日本橋兜町7番1号

 

2【株式募集の方法及び条件】

(1)【募集の方法】

区分

発行数

発行価額の総額(円)

資本組入額の総額(円)

株主割当

その他の者に対する割当

27,000,000株

110,754,000,000

55,377,000,000

一般募集

計(総発行株式)

27,000,000株

110,754,000,000

55,377,000,000

 (注)1 第三者割当の方法によります。

2 発行価額の総額は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じ。)上の払込金額の総額であり、資本組入額の総額は会社法上の増加する資本金の額の総額(会社計算規則第14条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げるものとします。)であります。また、増加する資本準備金の額の総額は、55,377,000,000円であります。

 

(2)【募集の条件】

発行価格

(円)

資本組入額

(円)

申込株数単位

申込期間

申込証拠金

(円)

払込期日

4,102

2,051

100株

2025年7月17日から

2025年8月29日まで

2025年7月17日から

2025年8月29日まで

 (注)1.第三者割当の方法により行うものとし、一般募集は行いません。

2.発行価格は、会社法上の払込金額であり、資本組入額は会社法上の増加する資本金の額であります。

3.申込方法は、当社と割当予定先との間で総数引受契約を締結し、払込期日に下記払込取扱場所へ発行価額の総額を払い込むものとします。

4.払込期日までに、割当予定先との間で総数引受契約を締結しない場合は、割当予定先に対する第三者割当による新株発行は行われないこととなります。

5.本第三者割当は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下同じです。)に基づく有価証券届出書の効力が発生していること、株式会社NTTドコモ(以下「ドコモ」といいます。)による当社持分法適用関連会社である住信SBIネット銀行株式会社(以下「住信SBIネット銀行」または「対象者」といいます。)の非公開化を目的とした対象者の株券等に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)が適法かつ有効に成立していること等(以下「本前提条件」といいます。)が全て充足されていることを条件としております。したがって、本公開買付けが成立しなかった場合など、本前提条件が充足されなかった場合には、未充足の本前提条件の放棄が行われない限り、本第三者割当及び本資本業務提携は実施されません。また、ドコモは、本公開買付けによる住信SBIネット銀行の普通株式の取得に関して、法令等に基づき必要となる関係当局の許認可等が得られた場合(銀行法第52条の9第1項に基づく銀行主要株主認可を受けた場合を含みます。)、金融商品取引法の規定に基づき、直ちに本公開買付けに係る公開買付届出書の訂正届出書を提出するとされておりますが、当該関係当局の許認可等が得られる時期を確定することができず、当該公開買付届出書の訂正届出書の提出に伴い、本公開買付けの公開買付期間が延長される可能性があります。したがって、本第三者割当においては、払込期間を設定し、当該払込期間を払込期日として記載しております。なお、現時点では、本第三者割当に関する払込みについては、2025年7月17日を予定しています。

 

(3)【申込取扱場所】

店名

所在地

SBIホールディングス株式会社 財務部

東京都港区六本木一丁目6番1号

 

(4)【払込取扱場所】

店名

所在地

株式会社みずほ銀行 大手町営業部

東京都千代田区丸の内一丁目3番3号

 

3【株式の引受け】

 該当事項はありません。

 

4【新規発行による手取金の使途】

(1)【新規発行による手取金の額】

払込金額の総額(円)

発行諸費用の概算額(円)

差引手取概算額(円)

110,754,000,000

716,000,000

110,038,000,000

 (注)1.発行諸費用の概算額には、消費税等は含まれておりません。

2.発行諸費用の概算額の内訳は、アドバイザリー手数料、弁護士費用、登記関連費用及びその他費用(印刷事務費用等)の合計であります。

 

(2)【手取金の使途】

 上記差引手取概算額110,038百万円については、下記表記載の各資金使途に充当する予定であります。

具体的な使途

金額(千円)

支出予定時期

金融サービス事業強化のための投資資金(子会社等を通じた投資を含み、出資・融資等の形態を問わない。)

110,038,000

2025年7月~2027年8月

 (注) 調達資金を実際に支出するまでは、銀行口座にて管理する予定です。

 

 本第三者割当は、割当予定先との資本業務提携を目的としたものであり、上記表中の資金使途に関する詳細は、以下のとおりです。

 証券事業における更なる収益源の多様化・顧客基盤の拡大、銀行事業の一層の収益力強化及び海外金融関連事業の更なる推進など、金融サービス事業強化のための資金として充当する予定です。なお、2027年8月頃までに本項記載の金融サービス事業強化のための投資資金に係る費用に充当されない場合には、2027年12月までに償還を迎える社債返済資金に充当する予定です。

 

第2【売出要項】

 該当事項はありません。

 

【募集又は売出しに関する特別記載事項】

 該当事項はありません。

 

第3【第三者割当の場合の特記事項】

1【割当予定先の状況】

(1)割当予定先の概要

名称

日本電信電話株式会社

本店の所在地

東京都千代田区大手町一丁目5番1号 大手町ファーストスクエア イーストタワー

直近の有価証券報告書等の提出日

(有価証券報告書)

事業年度 第39期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

2024年6月21日 関東財務局長に提出

 

(半期報告書)

事業年度 第40期中(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)

2024年11月8日 関東財務局長に提出

 

(2)提出者と割当予定先との間の関係

出資関係

割当予定先との間に該当事項はありません。なお、提出者の子会社の株式会社SBI証券(以下「SBI証券」といいます。)は証券業務に係る商品在庫として割当予定先の株式を保有、提出者の子会社のSBIアセットマネジメント株式会社及びSBI岡三アセットマネジメント株式会社は「投資一任契約」及び「投資信託委託契約」に基づく純投資として割当予定先の株式を保有しております。

人事関係

割当予定先との間に該当事項はありません。

資金関係

割当予定先との間に該当事項はありません。

技術関係又は取引関係

割当予定先との間に該当事項はありません。なお、割当予定先の子会社のエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、NTTファイナンス株式会社及び株式会社NTTドコモとの間で通信回線の利用など一定の取引関係はございますが、特筆すべき取引関係はありません。

 

(3)割当予定先の選定理由

① 本資本業務提携の目的及び理由

 当社並びに当社の子会社696社及び持分法適用会社64社(2025年3月31日時点。以下、総称して「当社グループ」といいます。)から構成される当社グループは、金融サービス事業や資産運用事業、投資事業に加え、今後も成長領域として期待される暗号資産事業、バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業のほか、Web3関連の先進的な分野に取り組む事業等が含まれる次世代事業を中心に事業を行っております。

 他方、NTT並びにNTTの連結子会社992社及び関連会社151社(2025年3月31日時点。以下、総称して「NTTグループ」といいます。)により構成されているNTTグループは、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業を中心に事業を行っております。

 当社グループは、NTTグループとの間で、デジタル技術及び金融サービスの各種領域における双方の強みを活かすことで、顧客に一層の利便性を提供するとともに両グループの一層の事業発展を図るべく、当社グループとNTTグループとの間の戦略的な資本及び業務の提携に関する取り組みとして、2024年11月頃に本公開買付け及び本資本業務提携に関する検討を開始しました。2025年2月5日、かかる検討の結果としてNTTグループから本公開買付け及び本資本業務提携に関する具体的な提案を受領いたしましたが、本公開買付けにおける買付け等の価格及び本資本業務提携における出資比率について折り合わなかったことから、同月7日に当該検討を終了する判断に至りました。

 その後、2025年4月中旬に、NTT及びドコモより本資本業務提携に関する出資比率の条件を見直す旨の意向が表明され、検討を再開したい旨の申し入れがあったことを受け、当社は本公開買付け及び本資本業務提携に関する協議を再開し、今般、本公開買付け及び本資本業務提携の実施について合意に至り、2025年5月29日付で、本資本業務提携契約を締結いたしました。

 当社グループとNTTグループはそれぞれの傘下グループ会社を通じて様々な事業を手掛けていることから、今後、グループベースに幅広い事業領域での協業の拡大や深化の機会について、具体的な協議を行っていく予定です。

 

 なお、当社において、今後、NTTグループとの新たな業務提携の推進に向けた各種施策に取り組んでいく上で、資金調達基盤を強化し、調達余力を拡大することが重要であるところ、NTTグループとの資本提携の一環として、NTTより資本性の資金を調達することが適切であると判断し、当社によるNTTを割当予定先とした本第三者割当を行うことにいたしました。

 

 また、本資本業務提携の一環として、本日付で公表した「住信SBIネット銀行株式の譲渡に伴う売却益の計上並びに当社、SBI証券、NTTドコモ及び住信SBIネット銀行による業務提携に関する基本合意の締結に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、ドコモ、三井住友信託銀行株式会社(以下「三井住友信託銀行」といいます。)及び住信SBIネット銀行との間で、①ドコモが実施する本公開買付けに対し、当社及び三井住友信託銀行が保有する対象者株式の全てを応募しないこと、②ドコモ、当社及び三井住友信託銀行が、本公開買付けの決済後に開催される対象者の臨時株主総会において上程される株式併合(以下「本株式併合」といいます。)に関する議案に対して賛成の議決権を行使すること、③当社が保有する対象者株式の全てについて、本株式併合の効力発生後に自己株式取得を通じて住信SBIネット銀行が買い取ることを通じて対象者を非公開化すること、その他これらに付随又は関連する取引等(以下「本取引」といいます。)について定めた基本契約書を締結いたしました。なお、住信SBIネット銀行は上場会社であることから、ドコモが実施する本公開買付けに対し、第三者が介入することでその成立を危うくする可能性も考えられます。仮に本公開買付けが不成立となった場合、本資本業務提携で前提としている当社グループとNTTグループとの間の関係性も異なることになり、本第三者割当を含む本資本業務提携の内容にも影響が生じる可能性もあることから、ドコモが実施する本公開買付けが適法かつ有効に成立していることを本前提条件の1つとしております。

 本取引に伴い、当社は所有する住信SBIネット銀行株式の全てを譲渡することになり、住信SBIネット銀行は当社の持分法適用関連会社から除外されますが、当社、当社子会社であるSBI証券、ドコモ及び住信SBIネット銀行との間で本日締結した業務提携契約(以下「本業務提携契約(銀証連携)」といいます。)に基づき、SBI証券と住信SBIネット銀行との業務提携及び住信SBIネット銀行とSBIグループとの間で行われている既存の連携を維持していくとともに、住信SBIネット銀行の更なる企業価値向上を企図した施策を、SBI証券、ドコモ及び住信SBIネット銀行との間で検討及び協議を進めて参ります。

 なお、本取引の詳細につきましては、住信SBIネット銀行が本日付で公表した「株式会社NTTドコモによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨並びに業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご参照ください。

 

② 本資本業務提携の内容

(ⅰ)本資本提携の内容

 当社は、本第三者割当により、割当予定先に対して、当社の普通株式(以下「当社普通株式」といいます。)27,000,000株(当社の発行済株式総数(当社が保有する自己株式を除く。)の8.91%(小数点以下第3位を四捨五入。持株比率について以下同じです。)。)を割り当てます。

 なお、当社は、本資本業務提携契約において以下の合意をしております。

 NTTは、当社に対し、本資本業務提携契約の締結日以降、以下の事項を遵守することを約束する。

a 本新株式のロックアップ

 NTTは、本資本業務提携契約の有効期間中は、全ての本新株式の保有を継続するものとする。

 

b 当社の株式等の買い増し禁止

 NTTグループは、当社の事前の書面による承諾を得ない限り、本第三者割当による取得を除いて、当社の株式等を取得しないものとする。但し、(ⅰ)本資本業務提携契約締結日以降にNTTグループに属する法人が行った株式の譲受け又は組織再編行為等(但し、当社の株式等の取得を実質的な目的とする取引は除く。)により、NTTグループが追加の当社の株式等を取得することとなる場合、及び(ⅱ)金融商品取引業者であるNTTグループに属する法人が金融商品取引業者としての業務により当社の株式等を取得する場合については、この限りではない。

 

c 本新株式の売却時の事前協議

 NTTは、本資本業務提携の有効期間が満了した場合において、取引所金融商品市場内外を問わず、その保有する当社普通株式を当社グループの主要な事業と直接又は間接に競合する事業を営む者に売却するとき(疑義を避けるために付言すると、取引所金融商品市場内において不特定の第三者に売却する場合は除く。)は、当社に対して事前に通知の上、当社との間でその数量及び(特定可能な場合には)相手方等に関し誠実に協議した上でこれを行うものとする。

 

(ⅱ)本業務提携の内容

 当社及びNTTは、上記「① 本資本業務提携の目的及び理由」に記載のとおり、両グループの事業発展を目指し、NTTグループ及び当社グループの更なる企業価値向上に資する施策の検討及び協議を進めて参ります。

(ア)以下の各号記載の業務提携について、その実現可能性を含め、具体的内容、役割分担及び詳細条件について、本資本業務提携契約締結日以降、当社とNTT間及び以下の業務提携に関係する当社及びNTTの子会社又は関連会社間で誠実に協議を行っていく予定です。

a 当社グループとNTTグループによる、資産運用・セキュリティトークン・保険分野の協業を通じた金融サービスの拡充

・SBIグローバルアセットマネジメント株式会社による、ドコモユーザー向けのプロダクト開発及びドコモの販売チャネルを通じた当該プロダクトの販売

・SBI証券による、NTTグループが保有する実物資産を裏付けとしたセキュリティトークンの組成及び販売

・SBIインシュアランスグループ株式会社傘下各社によるドコモユーザー向け保険商品の開発及びドコモの販売チャネルを通じた当該保険商品の販売

 

b 株式会社NTTデータによる、金融サービス事業を運営している当社グループ各社向けのシステム開発

 

c SBIグループとNTTグループによる、両社のアセットを活用した協業

・再生可能エネルギー事業及び地域活性化事業に関する協業

・Web3事業によるデジタル金融生態圏の拡大に向けたWeb3ビジネスの協創

 

(イ)当社、SBI証券、住信SBIネット銀行及びドコモとの間で本業務提携契約(銀証連携)の締結

 

(4)割り当てようとする株式の数

当社普通株式  27,000,000株

 

(5)株券等の保有方針

 当社は、NTTとの間で締結する本資本業務提携契約において、本第三者割当により発行する当社普通株式に関し、NTTが当社に対して遵守する事項について合意しております。詳細は、上記「第3[第三者割当の場合の特記事項] 1[割当予定先の状況] (3)割当予定先の選定理由 ② 本資本業務提携の内容 (i)本資本提携の内容」をご参照ください。

 

(6)払込みに要する資金等の状況

 当社は、NTTの払込みに要する財産の存在について、NTTから本第三者割当に係る払込金額(以下「本払込金額」といいます。)の総額の払込に要する資金は確保されている旨の報告を受けております。また、NTTが2024年11月8日に関東財務局長宛に提出している第40期半期報告書(自2024年4月1日至2024年9月30日)に含まれる要約中間連結財政状態計算書から、NTTが本第三者割当の払込みに十分な現金及び現金同等物(1,207,863百万円)を保有していることを確認し、その後かかる財務内容が大きく悪化したことを懸念させる事情も認められず、本第三者割当に係る払込みの確実性に問題はないものと判断しております。

 

(7)割当予定先の実態

 割当予定先であるNTTは、東京証券取引所プライム市場に上場していることから、当社はNTTが東京証券取引所に提出したコーポレートガバナンス報告書(最終更新日:2024年6月21日)に記載している「反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況」を、同取引所のホームページにて確認することにより、NTTが反社会的勢力とは一切関係がないと判断しております。

 さらに、当社は、割当予定先との間で締結する本投資契約において、割当予定先から、反社会的勢力ではなく、又は反社会的勢力と何等かの関係を有していない旨の表明及び保証を受けております。

 

2【株券等の譲渡制限】

 上記「第3[第三者割当の場合の特記事項] 1[割当予定先の状況] (5)株券等の保有方針」に記載のとおりであります。

 

3【発行条件に関する事項】

(1)払込金額の算定根拠及び合理性に関する考え方

 本払込金額は、NTTとの協議を経て、本第三者割当増資に係る2025年5月29日開催の取締役会決議(以下「本取締役会決議日」といいます。)の直前営業日である2025年5月28日の株式会社東京証券取引所プライム市場における当社普通株式の終値4,102円と同額である1株4,102円といたしました。

 本払込金額の算定方法については、直近の市場価額に基づくものが合理的であると判断したこと、及び日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(平成22年4月1日付、以下「日証協指針」といいます。)によれば、「払込金額は、株式の発行に係る取締役会決議の直前日の価額(直前日における売買がない場合は、当該直前日からさかのぼった直近日の価額)に0.9を乗じた額以上の価額であること。ただし、直近日又は直前日までの価額又は売買高の状況等を勘案し、当該決議の日から払込金額を決定するために適当な期間(最長6ヶ月)さかのぼった日から当該決議の直前日までの間の平均の価額に0.9を乗じた額以上の価額とすることができる」とされているため、本第三者割当増資の発行価額を決定する際にも、当社普通株式の発行に係る取締役会決議日の直前営業日の終値を基準といたしました。

 なお、本払込金額は、本第三者割当に係る本取締役会決議日の直前1ヶ月間(2025年4月30日から2025年5月28日まで)の東京証券取引所における当社普通株式の終値の単純平均値である3,894円(1円未満四捨五入。以下単純平均値について同じ。)に対しては5.3%のプレミアム(小数点第2位を四捨五入。以下プレミアムについて同じ。)、同直前3ヶ月間(2025年3月3日から2025年5月28日まで)の東京証券取引所における当社普通株式の終値の単純平均値である3,910円に対しては4.9%のプレミアム、同直前6ヶ月間(2024年11月29日から2025年5月28日まで)の東京証券取引所における当社普通株式の終値の単純平均値である4,032円に対しては1.7%のプレミアムとなっており、日証協指針に準拠したものであり、当社は、本払込金額は、割当予定先に特に有利な金額には該当しないものと判断しております。

 以上のことから、当社は、本新株式の払込金額の決定方法は、適正かつ妥当であり、本新株式の払込金額は、割当予定先に特に有利な金額には該当しないものと判断しております。この判断に基づいて、当社取締役会は、本新株式の発行条件について十分に討議、検討を行い、取締役全員の賛成により本新株式の発行につき決議いたしました。

 また、当社の監査役4名(うち社外監査役2名)から、監査役全員一致の意見として、本払込金額が、日証協指針に準拠したものであり、適法であり、「特に有利な発行価額」には該当しない旨の意見を得ております。

 

(2)発行数量及び株式の希薄化の規模の合理性に関する考え方

 本第三者割当に係る発行株式数は27,000,000株(議決権270,000個)であり、これは2025年3月31日現在の当社の発行済株式総数303,056,907株に対し8.91%に相当し、これにより一定の希薄化が生じることとなります。

 しかしながら、本第三者割当は本資本業務提携の一環として実施するものであり、本資本業務提携を通じた当社とNTTとの関係の発展・強化は、当社の中長期的な企業価値の向上及び既存株主の皆様の利益向上に資するものであるため、本第三者割当による発行数量及び希薄化の規模には合理性があると判断しております。

 

4【大規模な第三者割当に関する事項】

 該当事項はありません。

 

5【第三者割当後の大株主の状況】

氏名又は名称

住所

所有株式数

(株)

総議決権数に対する所有議決権数の割合

(%)

割当後の所有株式数(株)

割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合(%)

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

東京都港区赤坂1丁目8番1号 赤坂インターシティAIR

46,699,000

15.55

46,699,000

14.27

株式会社三井住友フィナンシャルグループ

東京都千代田区丸の内1丁目1番2号

27,000,000

8.99

27,000,000

8.25

日本電信電話株式会社

東京都千代田区大手町一丁目5番1号

27,000,000

8.25

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

東京都中央区晴海1丁目8-12

19,845,476

6.61

19,845,476

6.06

ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140042

240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.

6,970,252

2.32

6,970,252

2.13

ステート ストリート バンク ウェスト クライアント トリーティー 505234

1776 HERITAGE DRIVE, NORTH QUINCY, MA 02171, U.S.A.

5,347,317

1.78

5,347,317

1.63

ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505001

ONE CONGRESS STREET, SUITE 1, BOSTON, MASSACHUSETTS

5,238,221

1.74

5,238,221

1.60

ザ バンク オブ ニューヨーク メロン 140051

240 GREENWICH STREET, NEW YORK, NY 10286, U.S.A.

4,744,136

1.58

4,744,136

1.45

JPモルガン証券株式会社

東京都千代田区丸の内2丁目7-3東京ビルディング

4,510,389

1.50

4,510,389

1.38

バンク オブ ニューヨーク ジーシーエム クライアント アカウント ジェイピーアールデイ アイエスジー エフイーエイシー

PETERBOROUGH COURT 133 FLEET STREET LONDON EC4A 2BB UNITED KINGDOM

4,479,753

1.49

4,479,753

1.37

124,834,544

41.58

151,834,544

46.40

 (注)1 「所有株式数」及び「総議決権数に対する所有議決権数の割合」につきましては、2024年9月30日現在の株主名簿に基づき記載しております。

2 「割当後の総議決権数に対する総議決権数の割合」は、「割当後の所有株式数」に係る議決権の数を、「総議決権数に対する所有議決権数の割合」の算出に用いた総議決権数(3,002,327個)に当社普通株式に係る議決権の株(270,000個)を加えた数(3,272,327個)で除して算出しております。

3 「総議決権数に対する所有議決権数の割合」及び「割当後の総議決権数に対する所有議決権数の割合」は、小数点以下第3位を四捨五入して算出しております。

4 2024年11月21日付(報告義務発生日 2024年11月15日)でベイリー・ギフォード・アンド・カンパニーから変更報告書が関東財務局長に提出されておりますが、当社としては、2024年11月15日現在の実質所有状況が確認できていないものについては、上記大株主の状況には含めておりません。なお、変更報告書の内容は、次のとおりであります。

氏名又は名称

住所

保有株券等の数(株)

株券等保有割合(%)

ベイリー・ギフォード・アンド・カンパニー

(Baillie Gifford & Co)

カルトン・スクエア、1グリーンサイド・ロウ、エジンバラ EH1 3AN スコットランド

6,535,426

2.16

ベイリー・ギフォード・オーバーシーズ・リミテッド

(Baillie Gifford Overseas Limited)

カルトン・スクエア、1グリーンサイド・ロウ、エジンバラ EH1 3AN スコットランド

12,575,482

4.15

 

5 2025年5月2日付(報告義務発生日 2025年4月24日)で三井住友DSアセットマネジメント株式会社から変更報告書が関東財務局長に提出されておりますが、当社としては、2025年4月24日現在の実質所有状況が確認できていないものについては、上記大株主の状況には含めておりません。なお、変更報告書の内容は、次のとおりであります。

氏名又は名称

住所

保有株券等の数(株)

株券等保有割合(%)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー26階

776,100

0.26

株式会社三井住友フィナンシャルグループ

東京都千代田区丸の内一丁目1番2号

27,000,000

8.91

SМBC日興証券株式会社

東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

534,178

0.18

 

6【大規模な第三者割当の必要性】

 該当事項はありません。

 

7【株式併合等の予定の有無及び内容】

 該当事項はありません。

 

8【その他参考になる事項】

 該当事項はありません。

 

第4【その他の記載事項】

 該当事項はありません。

 

第二部【公開買付け又は株式交付に関する情報】

 該当事項はありません。

 

第三部【参照情報】

第1【参照書類】

 会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。

 

1【有価証券報告書及びその添付書類】

 事業年度 第26期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)2024年6月27日関東財務局長に提出

 

2【半期報告書】

 事業年度 第27期中(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)2024年11月14日関東財務局長に提出

 

3【臨時報告書】

(1)1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年7月1日に関東財務局長に提出

(2)1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第1項及び同条第2項第1号の規定に基づく臨時報告書を2024年7月10日に関東財務局長に提出

(3)1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号の規定に基づく臨時報告書を2025年3月12日に関東財務局長に提出

(4)1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号の規定に基づく臨時報告書を2025年4月28日に関東財務局長に提出

(5)1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号及び第19号の規定に基づく臨時報告書を2025年5月29日に関東財務局長に提出

 

4【訂正報告書】

 訂正報告書(上記3(2)の臨時報告書の訂正報告書)を2024年7月11日に関東財務局長に提出

 

第2【参照書類の補完情報】

 上記に掲げた参照書類としての有価証券報告書及び半期報告書(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以降、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)までの間において変更及び追加すべき事項が生じております。以下の内容は、当該「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「事業等のリスク」について、その全文を一括して記載したものであります。

 なお、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されていますが、下記の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「事業等のリスク」に記載されたものを除き、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)現在においてもその判断に変更はなく、また新たに記載する将来に関する事項もありません。

 

「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」

1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当企業グループは、Strategic Business Innovator(戦略的事業の革新者)として、創業時から常に時流を捉え、革新的な事業を創造することを目指しています。同時に、企業は社会に帰属しているからこそ存続できるという考えのもと、事業を通じて、社会の維持・発展に貢献することを志しています。

 また、当企業グループには、持続的に成長する企業グループであり続けるため、今後も継承すべきと考える企業文化のDNAが4つあります。それは、常にチャレンジし続けるために「起業家精神を持ち続けること」、「スピード重視」の意思決定と行動、過去の成功体験に捉われず「イノベーションを促進すること」、環境の変化を敏感に察知して「自己進化し続けること」です。

 そして、全ての役職員が共有する規範として、当企業グループでは5つの経営理念を掲げています。

 

当企業グループの5つの経営理念

正しい倫理的価値観を持つ

 「法律に触れないか」、「儲かるか」ではなく、「それをすることが社会正義に照らして正しいかどうか」を判断基準として事業を行う。

金融イノベーターたれ

 革新的技術を導入し、より顧客便益性を高める金融商品やサービスを提供することで、従来の金融のあり方に変革を与える。

新産業クリエーターを目指す

 21世紀の中核的産業の創造および育成を担うリーディング・カンパニーとなる。

セルフエボリューションの継続

 「創意工夫」と「自己変革」により経済環境の変化に柔軟に適応すべく、自己進化し続ける。

社会的責任を全うする

 当企業グループ各社は、社会の一構成要素としての社会性を認識し、さまざまなステークホルダー(利害関係者)の要請に応えつつ、社会の維持・発展に貢献していく。

 

 当企業グループでは、企業価値は顧客価値の創出を土台に、株主価値および人材価値を加えた3つの価値が相互に連関する好循環を生むことによって増大していくと認識しています。創業以来、掲げてきた価値観である「顧客中心主義」を徹底的に実践することで、お客様のために、投資家のために、より革新的なサービス、ビジネスの創出に努め、顧客価値、株主価値、人材価値の総和たる企業価値の極大化を追求します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

当企業グループの事業構築の基本観

 当企業グループの事業構築は6つの基本観、即ち(1)「顧客中心主義」の徹底、(2)「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追及、(3)革新的技術に対する徹底的な信奉、(4)近未来を予見した戦略の策定と遂行、(5)公益は私益に繋がる、(6)金融を核に金融を超える、に基づき行われています。

 「顧客中心主義」の徹底とは、より安い手数料・より良い金利でのサービス、金融商品の一覧比較、魅力ある投資機会、安全性と信頼性の高いサービス、豊富かつ良質な金融コンテンツの提供といった、真に顧客の立場に立ったサービスを徹底的に追求するものです。

 「企業生態系」の形成とシナジーの徹底追求とは、「全体は部分の総和以上である」「全体には部分に見られない新しい性質がある」という「複雑系の科学」の二大命題をもとに、当企業グループを構成する企業間でシナジーを発揮することで、単一の企業では成し得ない相乗効果と相互進化による高い成長ポテンシャルを実現する「企業生態系」を構築し、当企業グループ全体で飛躍的な成長を実現させるものです。

 革新的技術に対する徹底的な信奉とは、テクノロジーこそが社会に新たな潮流を生み出すとの考えのもと、フィンテック領域やAI、ブロックチェーン、デジタルアセット、量子コンピュータ、核融合といった先端領域において、革新的技術を有する国内外の有望なベンチャー企業に「投資」し、投資先企業の技術等をグループ内の事業会社へ「導入」、そしてそれらの技術を業界横断的に「拡散」するという3つのプロセスを通じ、持続的な事業拡大を目指すものです。

 近未来を予見した戦略の策定と遂行とは、効率的なシナジーを生むとともに相互に一体感を高めるべく、社会問題や国家目標などに合致し、時代の変遷を踏まえて当企業グループを挙げて取り組む「全体戦略」を策定し、その全体戦略が効率的に各子会社に伝播され、各々に応じた具体的な「個別戦略」として遂行されることで、統一的な目標を達成する戦略です。

 公益は私益に繋がるとは、「社会なくして企業なく、企業なくして社会なし」という考えのもと、「世のため人のため」となる「公益」に資する企業活動を続けることは、自ずと当企業グループの利益にも繋がることを意味しています。

 また金融を核に金融を超えるとは、あらゆる財貨・サービスの動きと金融は表裏一体であるという認識のもと、当企業グループは金融のプロフェッショナルとしてこれからも金融事業を推進するとともに、金融事業と相乗的な効果を生み出す新たな事業領域へも進出し、国内外の様々な社会課題の解決に挑む事業体であり続けることを目指すものです。

 

 これらの基本観の実践を通じ、当企業グループは時代の変化を逸早く察知し、その変化に対応する戦略を実行することで、事業領域や事業規模を加速度的に拡大してきました。例えば、証券・銀行・保険を中心とする金融サービス事業では、銀証連携を始めとしたシナジーの発揮を通じて、競合他社を大きく上回る口座数や預り資産などの顧客基盤を築き上げ、高いマーケットシェアを獲得し、外部の各種顧客満足度調査においても好評価をいただいています。日本の国家戦略でもある地方創生の領域においては、全国各地の地域金融機関との提携を拡大し、それによって、地域金融機関に質的転換を促すことで、地域金融機関の収益力強化とそれに伴う地域経済の活性化に貢献する取り組みを進めています。また金融業と大きなシナジーを発揮できる分野として、次世代の金融商品にもつながるデジタルアセットに関連する事業を展開しています。

 

目標とする経営指標

 当企業グループでは、資本効率を考慮しながら、「金融イノベーター」や「新産業クリエーター」として、事業の「選択と集中」で回収した資金を成長分野や革新的な事業展開を可能とする分野へ再投資することで、グループ全体としての持続的な成長を目指しています。このように、経営資源を国内外の注力分野に投下することで、更なる利益成長につなげていきます。

 また、当企業グループは、株主への利益還元を充実させることを、株主価値を高めることにつながる重要な経営施策の1つとして捉え株主還元を決定しています。当社の株主還元は、配当金総額に自己株式取得額を加えた総還元額を、当面の間は金融サービス事業において子会社等株式売却益などの特殊要因を除いた税引前利益の30%程度とすることとしています。

 このほか、当企業グループが創業以来掲げる「顧客中心主義」の考え方に基づき、常に顧客の目線に立った商品ラインナップ拡充や、便益性の高い多様なサービスの提供を図ることで、業界最高水準のサービス提供を目指しています。そのため、当企業グループの金融サービス事業各社では、第三者評価機関が実施する顧客満足度調査において、継続して高評価を得ることを志向しています。

 

中長期的な経営戦略

 当企業グループは、1999年の創業以来、日本国内においてインターネットをメインチャネルとし、証券・銀行・保険をコア事業とする金融サービス事業において企業生態系の構築を進め、現在世界的に見ても極めてユニークな総合金融グループとなっています。また、創業時から、国内外において次世代の成長産業への注力投資やアジア地域を中心とした成長著しい国々への投資を積極的に行い、国内外のベンチャー企業等の育成にも取り組んできました。

 近年、金融業界だけでなく様々な業界において、AIやブロックチェーン・分散型台帳技術(DLT)を中心にそれらと親和性の高いビッグデータ、IoT、ロボティクス等のデジタルテクノロジーの導入が急速に進んでいます。そうした中、今後も引き続きこれらの先進技術における有望な企業への投資や提携を積極的に進めると共に、当企業グループの各金融サービスでこれらの先進技術を活用した新サービスの開発や新たな金融ビジネスの創造に向けた取り組みを強化し、企業生態系の組織優位性を最大限に発揮する事業展開によって、飛躍的な成長を図ることが重要であると考えています。

 当企業グループは、こうした「顧客中心主義」の徹底と「企業生態系」という仕組みの優位性を活用することに加え、革新的技術への信奉のもとアナログからデジタルという時代の流れに乗じて、デジタルテクノロジーを導入した新たな戦略を駆使することで、創業20周年(2019年3月期)から25周年(2024年3月期)の5年間で、顧客基盤は約2倍となる5,000万件を突破し、税引前利益も約1.7倍となる1,400億円を達成するなど著しい飛躍を遂げました。

 この度、次のマイルストーンとなる創業30周年(2029年3月期)に目指す姿として、以下をKey Indicatorsとする新中期ビジョンを策定しました。その達成に向けて、当企業グループが今日までに築き上げてきた顧客基盤、事業資産、資金調達力等の一層の拡大と進化させた生態系を徹底的に活用し、更なる営業基盤の拡大を図ることで、飛躍的成長の実現を目指します。

 

創業30周年(2029年3月期)に目指す姿

〈新中期ビジョンのKey Indicators〉

・グループ顧客基盤  1億件

・連結税引前利益 5,000億円

・連結税引前利益に占める海外事業※の割合 30%

・ROE 15%

※金融サービス事業セグメント及び暗号資産事業セグメントにおける海外事業が対象

 

新中期ビジョンの達成に向けた諸施策

1.グループ証券口座数3,000万を早期に達成

 SBI証券では顧客中心主義を体現する「ゼロ革命」(国内株式のオンライン取引に係る手数料の無料化)を2023年9月30日注文受付分より開始し、証券口座数は短期間で著増しました。また、収益源の多様化・強靭化を図る取り組みは、「ゼロ革命」によって発生した逸失利益を相殺して余りあるものとなり、企業生態系の更なる拡大と収益基盤の強化に繋がりました。またその効果は当企業グループの企業生態系という仕組みを通じて、他のグループ会社の顧客基盤拡大やサービスの認知拡大にも繋がり、グループ全体の成長を支える原動力となっています。

 新中期ビジョンの達成に向けては、このようにグループ全体に波及する証券顧客基盤の拡大が不可欠であることから、優良な顧客基盤を有する企業とのオープン・アライアンスの推進や、投資初心者や未経験者の多い若年層向けのアプローチを強化することで、新規顧客層の開拓に注力します。また伝統的金融とデジタル金融を融合した新たな金融商品やサービスを提供することで、可能な限り早期にグループ証券口座数3,000万の達成を目指します。

 

2.公的資金返済に目途がついたSBI新生銀行を中核に「第4のメガバンク構想」を推進

 当企業グループの銀行事業の中核を担うSBI新生銀行は、2021年12月に当企業グループ入りした後、企業生態系という仕組みを駆使し、SBI証券をはじめとした当企業グループ各社とのシナジーを徹底追求することで飛躍的な成長を遂げてきました。同行が2022年に策定し、2025年3月期を最終年度とする前中期経営計画においては、財務目標をアウトパフォームする形で達成することができ、2025年5月には新たな中期経営計画を発表しました。

 こうした好調な業績を背景に、SBI新生銀行は既に合計約1,193億円の公的資金の返済を完了しています。今後は当企業グループ各社とのシナジーの徹底追求に加え、事業環境に応じた機動的な業務運営及び再上場を含む資本政策等の様々な施策を講じることで、残りの約2,300億円を可能な限り早期に返済し、公的資金の完済という大義を果たしたいと考えております。

 またSBI新生銀行の更なる飛躍に向けて、同行を中核とする「第4のメガバンク構想」を強力に推進します。当企業グループは同行をコアとする広域地域プラットフォーマーとして、資本関係の有無に関わらず、地域金融機関と連携し、システムや業務プロセスの効率化を図るとともに、規模の経済性を追求することで、地域金融機関ひいては地域企業の活性化を支援します。

 

3.海外事業の税引前利益をグループ全体の3割相当に

 当企業グループでは、東南アジアを中心に証券・銀行といった金融サービスを提供しており、高い経済成長にも支えられ、各社は既に収益貢献する段階に至っています。また中東・アフリカ・インドなどのグローバルサウス地域においても、有力パートナーと提携しながら積極的な投資活動などを行っております。

 今後は海外事業の更なる強化に向け、グループ横断的な組織として、海外事業統括本部を設立します。当企業グループが保有する人・資金・技術といった経営資源を最適配分できる体制の下で、海外で更なる競争優位性を発揮できる生態系を形成し、今後3~5年程度を目処に、連結税引前利益に占める海外事業の割合を、現在の2割程度から3割に相当する水準まで引き上げたいと考えております。

 また、米国トランプ政権が発表した相互関税政策の影響で、日系企業を中心に、地産地消に向けたグローバルな供給網の構築に向けて、生産拠点を消費国に移転する動きが増加することが見込まれます。当企業グループは既に銀行・証券事業を展開している東南アジア地域において、その地域の資金需要の増加を取り込むことで事業の成長を図ります。

 

4.技術革新の波を捉えるべく、デジタルスペース生態系の構築を着実に推進

 当企業グループでは早期から暗号資産事業を成長領域として位置付けてきました。現在、暗号資産の市場規模は、創業20周年(2019年3月期末)からの6年間で20倍以上に拡大しています。また、国内においては税制を含む制度改正の動きが活発化していることから、投資環境の整備が進み、投資家層の裾野が拡大することが期待されます。

 当企業グループでは同領域において、暗号資産交換業者のSBI VCトレードやビットポイントジャパン、暗号資産マーケットメーカーのB2C2、デジタルアセット流通市場を運営する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)といった各社が様々なサービスを提供し、デジタルスペース生態系を構築してきましたが、今後は生態系を更に拡大させつつ、当企業グループ各社との相乗効果を生み出せる取り組みを強化していきます。

 特に、法定通貨の値動きに連動した暗号資産の一種であるステーブルコインは有望な領域と捉えています。ステーブルコインは既存の決済・貿易金融の代替を果たすことが見込まれていますが、同領域においては米ドルが主流であることから、当企業グループでは米ドル建てステーブルコインUSD Coin(USDC)を発行する米Circle社と提携し、SBI VCトレードにて2025年3月26日より国内で初めてUSDCの取り扱いを開始しました。今後は、ドル建ての定期預金と比較して高い利回りが見込めるUSDCのレンディングサービスを提供するなど、更なるサービスの拡充を進めていきます。

 

 当企業グループではこれらの取り組みを通じて、新中期ビジョンの達成を目指すとともに、新たにメディア領域へと進出し、メディア・IT・金融を融合したネオメディア生態系の構築を図ります。

 昨今、SNSといったインターネットメディアの台頭など、メディアの立ち位置が激変しつつあり、特に米国ではメディア・IT・金融の融合が急速に進んでいます。

 こうした世界的な潮流の中で、当企業グループは銀行・証券・保険・資産運用など広範にわたって、国内最高峰の質・量を誇る金融データを保有しており、デジタルスペース生態系を駆使することで従来のアナログチャネルだけではなくデジタルチャネルにおいても情報の拡散が可能であることから、メディア領域においても当企業グループの強みを発揮できると考え、メディア事業への参入を決定しました。

 ネオメディア事業を統括するSBIネオメディアホールディングス株式会社を設立し、M&Aの推進やコンテンツファンドを通じたIPへの投資などの施策を通じて、コンテンツと金融データを組み合わせた唯一無二の総合金融&メディアディストリビューターを目指し、ネオメディア生態系の構築を進めていきます。

 またメディア領域においては、地方紙・ローカル局と連携し地域の情報を全国に発信するなど、第4のメガバンク構想との融合も図りながら、地方創生にも貢献していきます。

 

「事業等のリスク」

2 事業等のリスク

 事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を以下に記載しております。当該事項が顕在化する可能性の程度や時期、当該事項が顕在化した場合に当企業グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるものについては記載しておりません。他方、当企業グループは、これらの潜在的なリスクを認識した上で、かかるリスクの回避並びに顕在化した場合の低減に向けて当社及び当企業グループ各社にリスク管理担当役員を任命し、当企業グループのリスクを洗い出すとともにリスク対応策を策定し、リスクの低減に努めております。また、リスク管理態勢が機能しているか内部監査部門による監査を実施する等の様々な施策を講じており、引き続き適切な対応に努めてまいります。

 なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券届出書の訂正届出書提出日(2025年5月30日)現在において判断したものであります。

 

事業全般のリスクについて

1)複数事業領域への事業展開に伴うリスク

 当企業グループは金融分野及び非金融分野の多岐にわたる業種の企業で構成されております。また、当企業グループには複数の上場会社が存在しております。このような多様性により、当企業グループは単一の領域で事業を展開している企業には見られないような課題に直面しております。具体的には以下の3点があげられます。

・様々な分野の業界動向、市場動向及び法的規制等が存在します。したがって当企業グループは様々な事業環境における変化をモニタリングし、それによって影響を受ける事業のニーズに合う適切な戦略を持って対応できるよう、リソースを配分する必要があります。

・当企業グループの構成企業は多数あることから、事業目的達成のためには説明責任に重点を置き、財政面での規律を課し、経営者に価値創造のためのインセンティブを与えるといった効果的な経営システムが必要です。さらに多様な業種の企業買収を続けている当企業グループの事業運営はより複雑なものとなっており、こうした経営システムを実行することはより困難になる可能性があります。

・多業種にまたがる複数の構成企業がそれぞれの株主の利益になると判断し共同で事業を行うことがあります。こうした事業において、期待されるようなシナジー効果が発揮されない可能性があります。

 

2)当企業グループの構成企業における議決権の所有割合又は出資比率が希薄化される可能性があります

 構成企業は株式公開を行う可能性があり、その場合、当該会社に対する当企業グループの議決権の所有割合は希薄化されます。さらに、構成企業は成長戦略の実現その他の経営上の目的のために資本の増強を必要とする場合があり、この資金需要を満たすため、構成企業は新株の発行やその他の持分証券の募集を行う可能性があります。当企業グループはこのような構成企業の新株等の募集に応じないという選択をする、又は応じることができない可能性があります。当該会社に対する現在の出資比率を維持するだけの追加株式の買付けを行わない場合、当企業グループの当該会社に対する出資比率は低下することになります。

 構成企業に対する出資比率の低下により、当該企業から当企業グループへの利益の配分が減少することになった場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、出資比率が大きく低下した場合、当企業グループの当該企業の株主総会における議決権の所有割合が低下し、当該企業に対する支配力及び影響力が低下する可能性があります。

 

3)インターネットビジネスに関するリスク

 当企業グループの事業は主にインターネット利用等の非対面チャネルでのサービスを提供しており、正確で有益なサービス、コンテンツの提供、安心、安全な利用環境の提供に取り組んでおりますが、システム障害によるサービスの遅延又は中断、不正アクセスによる保有資産の毀損、個人情報の漏洩等の情報システム及びセキュリティに関するリスクが顕在化した場合には、個別企業の商品及びサービスにおける顧客離れや損害賠償責任等が生じることに加え、グループ全体の評判の低下につながることにより、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、インターネットとその関連技術に精通し続けることが当企業グループの成長には不可欠であります。インターネット関連業界は技術革新が継続しており、新技術の登場や異業種からの金融事業への参入により業界の競争環境は変化します。当企業グループはFinTech分野の新技術を活用した新サービスの開発や新たな金融ビジネスの創造を推進しておりますが、新技術や新規参入者への対応が遅れた場合、当企業グループの提供するサービスが陳腐化又は不適応化し、業界内での競争力低下を招く可能性があります。もし今後の環境変化への対応が遅れた場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、重要な技術変革に対応するために新たな社内体制の構築及びシステム開発等の費用負担が発生する場合があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4)システムに関するリスク

 当企業グループのシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、全てのビジネス要件や規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画どおりに完了しない可能性があります。その場合、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当企業グループの信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための費用負担等が発生する可能性があります。

 

5)当企業グループにおける合弁契約の締結、提携の相手先企業に対する法的規制若しくは財務の安定性における変化、又は双方の経営文化若しくは経営戦略における変化

 当企業グループは国内外の複数の企業と合弁事業を運営又は提携を行っております。これらの事業の成功は相手先企業の財務及び法的安定性に左右されることがあります。合弁事業を共同で運営する相手先企業に当企業グループが投資を行った後に、相手先企業のいずれかの財政状態が何らかの理由で悪化した場合又は相手先企業の事業に関わる法制度の変更が原因で事業の安定性が損なわれた場合、当企業グループは合弁事業若しくは提携を想定どおりに遂行できない、追加資本投資を行う必要に迫られる、又は事業の停止を余儀なくされる可能性があります。同様に、当企業グループと相手先企業との間の経営文化や事業戦略上の重大な相違が明らかになり、合弁又は提携契約の締結を決定した時点における前提に大幅な変更が生じる可能性があります。合弁事業や提携事業が期待した業績を達成できなかった場合、又は提携に関して予め想定しなかった事象が生じた場合、これらの合弁事業又は提携事業の継続が困難となる可能性があります。合弁事業又は提携事業が順調に進まなかった場合には、当企業グループの評判の低下や、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

6)ブランド及び風評に関するリスク

 当企業グループの業容拡大や知名度向上に伴い、グループ内の「SBI」ブランドを冠した一企業に対する評価がグループ全体の評価となり得る状況にあります。このため、当社は「SBI」ブランドの管理を徹底し、グループ各企業におけるブランドの適切な使用とブランド価値の維持向上に向けた取り組みを推進しておりますが、一企業の商品やサービス、顧客対応に対する信頼の毀損やインサイダー取引を含むコンプライアンス違反の他不祥事等がグループ全体のブランドに影響した場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当企業グループの事業分野は安心、安定と顧客の信頼が最も重要とされる業界であることから、当企業グループは顧客又は投資家からの低評価や風評リスクの影響を受けやすい状況にあります。当企業グループ又は当企業グループのファンド、商品、サービス、役職員、合弁事業のパートナー及び提携企業に関連して、その正誤にかかわらず不利な報道がなされた場合、又は本項に記載されたリスク要因のいずれかが顕在化した場合、顧客及び顧客からの受託のいずれか一方又は両方の減少につながる可能性があります。当企業グループの事業運営は役職員、合弁事業のパートナー企業及び提携企業に依存しております。役職員、合弁事業のパートナー企業及び提携企業によるいかなる行為、不正、不作為、不履行、及び違反も相互に関連し合うことで、当企業グループに関する不利な報道につながる可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当企業グループの商号や代表取締役等を騙った詐欺又は詐欺的行為が発生しており、当企業グループに非がないにもかかわらず、風評被害を受ける可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

7)事業再編と業容拡大に係るリスク

 当企業グループは「Strategic Business Innovator=戦略的事業の革新者」として、常に自己進化(「セルフエボリューション」)を続けていくことを基本方針の一つとしております。

 今後もグループ内の事業再編に加えて、当企業グループが展開するコアビジネスとのシナジー効果が期待できる事業のM&A(企業の合併及び買収)を含む積極的な業容拡大を進めてまいりますが、これらの事業再編や業容拡大等がもたらす影響について、当企業グループが予め想定しなかった結果が生じる可能性も否定できず、結果として当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当企業グループは適切な投資機会、提携企業、又は買収先企業を見つけることができない可能性があるほか、これらについて適切に見つけることができた場合でも、商取引上許容し得る条件を満たさない、又は取引を完了することができない可能性があります。企業買収に関しては、内部運営、流通網、取扱商品、又は人材等の面で買収先企業及び事業を現存の事業に統合することが困難である可能性があり、こうした企業買収によって期待される成果が得られない可能性があります。買収先企業の利益率が低く、効率性向上のためには大幅な組織の再編を必要とする可能性や、買収先企業のキーパーソンが提携に協力しない可能性があります。買収先企業の経営陣の関心の分散、コストの増加、予期せぬ事象や状況、賠償責任、買収先企業の事業の失敗、投資価値の下落、及びのれんを含む無形資産の減損といった数多くのリスクを有し、それらの一部又は全部が当企業グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。企業買収や投資を行う際に、当企業グループが関連する監督官庁と日本国又は当該国政府のいずれか一方又は双方から予め承認を得る必要がある場合、必要な時期に承認を得られない、又は全く得られない可能性があります。また、海外企業の買収によって当企業グループには為替リスク、買収先企業の事業に適用される現地規制に係るリスク、及びカントリーリスクが生じます。これらリスクが顕在化した場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

8)新規事業への参入に係るリスク

 当企業グループは「新産業クリエーターを目指す」という経営理念のもと、21世紀の中核的産業の創造及び育成を積極的に展開しております。かかる新規事業が当初予定していた事業計画を達成できず、初期投資に見合うだけの十分な収益を将来において計上できない場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当企業グループが新たに提供する商品又はサービスが既存の法令や会計基準では想定されていない場合、その適用の有無や解釈の確認のために迅速な事業展開が制限され、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、法令その他の理由により参入が遅れる場合や、必要な許認可等が取得できない可能性があります。また、新規事業において新たな法令の対象となる、又は監督官庁の指導下に置かれる可能性があります。これら適用される法令、指導等に関して何らかの理由によりこれらに抵触し、行政処分又は法的措置等を受けた場合、当企業グループの事業の遂行に支障をきたします。結果として当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

9)投融資に係る損失計上及び市況変動に伴う収益悪化リスク

 当企業グループは、関連会社への投資を含む多額の投資有価証券を保有しております。そのため、株式市場及び債券市場の状況(例えば、クレジット市況の悪化、金利急上昇等)によって、かかる投資有価証券の評価損計上等による損失が生じる場合があります。また、当企業グループは、事業会社等へ融資も行うことがあり、今後発生し得る様々な要因により、これら融資先企業の業績等が悪化することで貸倒損失が発生する、あるいは信用損失引当金の追加計上等が必要になる場合があります。加えて、不動産市場の状況によって、関連する債権にかかる信用損失引当金の追加計上や損失が生じる場合があります。さらに、調達コスト上昇を価格に転嫁できないことや市況により商品又はサービスの需給が減少することで、営業収益が減少する等のリスクが生じます。このような場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

10)訴訟リスク

 当企業グループには各事業分野において、事業運営に関する訴訟リスクが継続的に存在します。訴訟本来の性質を考慮すると係争中又は将来の訴訟の結果は予測不可能であり、係争中又は将来の訴訟のいずれかひとつでも不利な結果に終わった場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

11)リスク管理及び内部統制に係るリスク

 当企業グループは、グループ会社に証券会社、銀行、保険会社など複数の金融機関を持ち、国内外において多岐にわたって金融事業を展開しております。そのため、リスク管理態勢やコンプライアンス態勢の更なる強化を図り、グループの財務の健全性及び業務の適切性を確保するとともに、リスク管理及び内部統制のシステム及び実施手順を整備しております。

 これらのシステムには、経営幹部や職員による常時の監視や維持、又は継続的な改善を必要とする領域があります。かかるシステムの維持を効果的かつ適切に行おうとする努力が十分でない場合、当企業グループは監督官庁から行政処分や制裁、処罰の対象となる可能性があり、結果として当企業グループの事業の遂行に支障をきたし、経営成績及び財政状態や評判に影響を与える可能性があります。

 当企業グループの内部統制システムは、いかに緻密に整備されていたとしても、その本来の性質により判断の誤りや過失による限界を有しております。したがって、当企業グループのリスク管理及び内部統制のためのシステムは、当企業グループの努力にかかわらず、効果的かつ適切である保証はありません。また、内部統制に係る問題への対処に失敗した場合、当企業グループ及び従業員が捜査、懲戒処分、さらには起訴の対象となる可能性、当企業グループのリスク管理システムに混乱をきたす可能性、又は当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

12)利益相反

 お客様の利益を不当に害されることがないよう、利益相反のおそれのある取引を適切に管理するために利益相反管理方針を作成しております。また適切な管理のために社内研修等の実施を含めて適切な利益相反管理に必要な体制を整備し、定期的な検証に努めております。利益相反を特定し適切に対処することができない場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客の信頼を失うレピュテーションの毀損等により、当企業グループのビジネスに悪影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

13)資金の流動性に係るリスク

 当企業グループは、事業資金を資本市場におけるエクイティファイナンスのほか、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しております。世界経済の危機による金融市場の悪化と、それに伴う金融機関の貸出圧縮を含む世界信用市場の悪化により、有利な条件で資金調達を行うことが難しい、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。また、各国中央銀行の金融政策、金融市場の動向等により金利が上昇した場合、若しくは当企業グループの信用格付が引下げられた場合には、当企業グループの資金調達が制約されるとともに、調達コストが増大する可能性があります。これらの場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

14)デリバティブに係るリスク

 当企業グループは、顧客に対する運用・調達および市場リスクヘッジ手段の提供や、投資ポートフォリオの価格変動リスクを軽減し、金利及び為替リスクに対処するため、デリバティブ商品を活用しております。しかし、こうしたデリバティブを通じたリスク管理が機能しない可能性があります。また、当企業グループとのデリバティブ契約の取引内容を契約相手が履行できない可能性があります。その他、当企業グループの信用格付が低下した場合、デリバティブ取引を行う能力や取引条件に影響を与える可能性があります。

 また、当企業グループは、その一部で行うデリバティブ商品を含む取引活動によって損失を被り、結果として当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

15)子会社及び関連会社からの配当金依存リスク

 当社は、債務返済を含む支払義務履行のための資金の一部を、子会社やその他の提携先企業、投資先企業等からの配当金、及び分配等に依存しております。契約上の制限を含む規則等の法的規制により、当企業グループと子会社及び関連会社との間の資金の移動が制限される可能性があります。かかる子会社及び関連会社のなかには、取締役会の権限により当該会社から当企業グループへの資金の移動を禁ずる、又は減ずることが可能であり、特定の状況下ではそうした資金の移動全ての禁止が可能となるような法令の対象となっているものがあります。これらの法令によって当企業グループが支払義務を果たすための資金調達が困難になる可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

16)キーパーソンへの依存

 当企業グループの経営は、当社代表取締役である北尾吉孝とその他のキーパーソンのリーダーシップに依存しており、現在の経営陣が継続して当企業グループの事業を運営できない場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。キーパーソンの喪失に対処するために経営陣が採用する是正措置が直ちには、あるいは効果を現さない可能性があります。

 

17)商標権等の様々な知的財産権に係るリスク

 当企業グループが行う事業には、商標権、特許権、著作権等の様々な知的財産権、特に「SBI」の商標が関係しております。当企業グループが所有し事業において利用するこれらの知的財産権の保護が不十分な場合や、第三者が有する知的財産権の適切な利用許諾を得られない場合には、技術開発やサービスの提供が困難となる可能性があります。また、当企業グループが第三者の知的財産権を侵害したとする訴訟の対象となる可能性があります。特に特許権関連の知的財産権については関連コストが増加する可能性があり、その場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

18)法令及び会計基準の施行又は改正に係るリスク

 法令の施行又は改正がなされた場合、当企業グループの事業の運営方法、国内外で提供している商品及びサービスにも影響を与える可能性があります。かかる法令の施行又は改正は予測不可能な場合があり、結果として、当企業グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、会計基準の施行又は改正がなされた場合、当企業グループの事業が基本的に変わらない場合であっても、当企業グループが経営成績及び財政状態を記録する方法に重要な影響を与える可能性があり、結果として当企業グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

19)繰延税金資産に関するリスク

 財務諸表と税務上の資産負債との間に生じる一時的な差異にかかる税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。

 このため税制改正等により法定実効税率が変動した場合には繰延税金資産計上額が減少又は増加し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 評価性引当額は、将来税務上減算される一時差異及び繰越欠損金などについて計上した繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる部分に対して設定しております。繰越欠損金については、回収可能な金額を限度として繰延税金資産を計上することが認められており、当企業グループにおける繰延税金資産も回収可能性を前提に計上しております。

 将来の税金の回収予想額は、当企業グループ各社の将来の課税所得の見込み額に基づき算出されます。評価性引当額差引後の繰延税金資産の実現については、十分な可能性があると考えておりますが、将来の課税所得の見込み額の変化により、評価性引当額が変動する場合があります。この場合、繰延税金資産計上額が減少又は増加し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

20)保険による補償範囲に係るリスク

 事業リスクの管理のため、当企業グループは保険をかける場合があります。しかし、こうした保険契約に基づいて全ての損失について、全額が必要な時期に補償されるという保証はありません。加えて、地震、台風、洪水、戦争、及び動乱等による損失等、保険をかけることが一般的に不可能な種類の損失もあります。構成企業のうちいずれか1社でも保険で補償されない、又は補償範囲を超える損失を被った場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

21)天災又は悪天候、テロ攻撃や地域紛争、戦争、感染症の発生・蔓延等により重大な損失を被る可能性について

 当企業グループの資産の相当部分は、日本国内にあり、当社純資産の相当部分は日本国内における事業から生じております。当企業グループの海外事業には、同様のあるいは他の災害リスクがあります。日本国内あるいは海外において、当企業グループの事業ネットワークに影響する大きな災害、暴動、テロによる攻撃あるいは他の災害はもとより、感染症の発生・蔓延等は、当社の資産に物理的被害を与えないとしても、当社の事業を混乱させる可能性があります。また、当企業グループが投資や事業展開を行う地域や国において紛争若しくは戦争等が発生する場合があり、当企業グループや投資先企業等の資産に被害が生じる可能性があります。これら災害等の影響を受けた地域や国における重大な経済の悪化を引き起こした結果、当企業グループの事業、経営成績及び財政状態に支障あるいは影響を与える可能性があります。

 

22)海外における投資、事業展開、資金調達、及び法規制等に伴うリスク

 当企業グループは、海外における投資や事業展開を積極的に進めております。これら投資や事業展開においては、為替リスクだけではなく、現地における法規制を含む諸制度、取引慣行、経済事情、企業文化、消費者動向等が日本国内におけるものと異なることにより、日本国内における投資や事業展開では発生することのない費用の増加や損失計上を伴うリスクがあります。海外における投資や事業展開にあたっては、これに伴うリスクを十分に調査や検証した上で対策を実行しておりますが、投資時点や事業展開開始時点で想定されなかった事象が起こる可能性があります。また、当企業グループが投資や事業展開を行う国が経済制裁対象国となる場合があり、これに関連する取引が存在すること等により、当企業グループが法規制等の影響や風評の悪化等の影響を受ける可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当社の株主構成における、外国人株主の保有状況によっては、当社の意図とは関係なく結果的に海外における資金調達を行っているということとなる可能性もあり、その結果、外国の法規制、特に投資家保護のための法規制の影響を受け、その対応のための費用増加や事業における制約等を受ける可能性があります。また、今後は為替リスク回避等を目的として、海外における金融機関からの借入や社債の発行等による資金調達が増加する可能性もあります。これら海外における資金調達を行う場合には、これに伴うリスクを十分に調査や検証した上で実行しておりますが、資金調達時点で想定されなかった事象が起こる可能性もあります。これらの結果、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 さらに、米国や英国による腐敗行為防止のための諸法令、各国当局等による経済制裁関連規制、EUによる一般データ保護規制等のように、当企業グループの海外拠点等所在地における法規制等で、その適用が日本国内を含む他の国における当企業グループ拠点にも及ぶ可能性のあるものがあります。これら法規制等については事前に十分な調査や検証を行いこれら法規制に抵触しないように対応しておりますが、現時点で想定できない事象が生じた場合や対応が不十分であった場合、これら法規制に抵触する可能性もあります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

23)反社会的勢力や金融犯罪グループとの取引及びマネー・ローンダリング等に関するリスク

 当企業グループは、反社会的勢力との関係が疑われる者との取引を排除すべく、新規の取引に先立ち、反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認や反社会的勢力ではないことの表明及び確約書の締結をするなど、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っています。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関しても、当企業グループの商品及びサービスがこれらの不正な取引に利用されないための対策を講じています。しかしながら、当企業グループの厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力や金融犯罪グループとの取引やマネー・ローンダリング等を排除できない可能性があります。このような問題が認められた場合、対策費用の増大、監督官庁等による処分・命令、社会的な評判の低下等により、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

24)サイバーセキュリティに関するリスク

 国内外にわたり、事業展開をしている当企業グループでは、深刻化するサイバーセキュリティに対する脅威から顧客及び当企業グループの情報及び資産を保護するため、当企業グループ各社に情報セキュリティ管理責任者を設置しています。これら責任者に対し、当社のグループ情報セキュリティ管理責任者による統括の下、グループCSIRTが支援し、当企業グループ全体の情報セキュリティを確保する体制を整備しています。この当企業グループ横断的な協力体制の下、JIS Q 15001に示される個人情報保護の標準、及びISO/IEC 27001に示される情報の安全管理措置等を参照し、組織管理、技術的対応、人的対応及び外部連携による、情報セキュリティ対策を推進して、継続的に改善を行っています。しかしながら、新たに人的、システム的な脆弱性の顕在化や、外部委託先を含むサードパーティーのセキュリティ対策が不十分な事から、サイバー攻撃又は情報セキュリティ事故が発生した場合、個人情報及び機密情報等の毀損、漏洩の被害が生じるおそれがあります。当該被害の結果、当企業グループの信用低下、被害者からの損害賠償請求、及び監督官庁による行政処分を受ける可能性により、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

25)情報紛失・情報漏洩に係るリスク

 当企業グループは、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当企業グループでは、顧客情報や個人情報を多く保有しており、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取り組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当企業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

 

26)ESGへの取り組みに関するリスク

 気候変動や資源問題に代表される環境課題のほか、人権や経済的不平等、食料問題といった社会課題の顕在化を背景に、ESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)を意識した経営に対する社会の注目や関心が高まる中、当企業グループでは、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続的な企業価値向上の両立を図ることが重要であるとの認識のもと、グループの経営戦略の一環としてサステナビリティ施策を議論・決定・管理するサステナビリティ委員会を設置し、その事務局であるサステナビリティ推進室を通じて各施策をグループ全体に展開・推進しています。

 当企業グループはこのように、気候変動を含む環境・社会課題解決に向けた取り組みを適切に管理する体制を整え、施策の更なる実効性を確保していく方針ですが、当企業グループの経営体制や事業活動においてESGへの取り組みが不十分であるとステークホルダーに判断された場合、当企業グループに対する評価が低下し、資金調達や人材採用等に影響を及ぼす可能性があります。また、当企業グループの投融資先におけるESGへの対応が不十分である場合、投融資先の企業価値低下や信用状態の悪化により、当企業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

金融分野におけるリスク

<金融サービス事業に係るリスク>

・証券関連事業に係るリスク

1)証券関連事業に影響を与える事業環境の変化による影響

 証券関連事業における収益は、株価や株式市場の取引高及び、売買高等の動向に強い影響を受けます。株式市場の取引高及び売買高は企業収益、為替動向、金利、国際情勢、世界主要市場の変動、又は投資家の心理等の様々な要因の影響を受け、株価が下がると一般的には取引高が縮小する傾向があります。今後、株式市場が活況を続ける保証はなく、株価の下落とともに取引高が減少した場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)信用リスク

 株式の信用取引は、証券関連事業における主な収益源の一つですが、同取引においては顧客への信用供与を行っており、顧客が信用取引で損失を被る、あるいは代用有価証券の担保価値が下落する等した場合に、顧客が預託する担保価値が十分でなくなる可能性があります。また、信用取引にかかる証券金融会社からの借入のために差入れた有価証券等の担保価値も変動するため、証券市況の変化に伴い、担保価値が下落した場合、追加の担保の差入れを求められることがあり、そのために必要な資金は独自に確保する必要があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当企業グループは、顧客から借入れた株式を他のブローカー・ディーラーに貸付ける場合があります。株式の時価が急激に変化し、株式の貸付先が決済不履行した場合、当企業グループは、損失を被る場合があります。株式市場における変動は、貸株取引を行っている当事者が決済不履行となるリスクをもたらす場合があります。また、当企業グループが貸株業務における顧客基盤を拡充することができず、株式の貸付先である他の証券会社と良好な関係を維持できない場合、当企業グループの評判、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、店頭外国為替証拠金取引は、定められた額の証拠金を担保として預託して行う取引であります。そのため、顧客は証拠金の額に比して多額の利益を得ることもありますが、逆に預託した証拠金以上の多額の損失を被ることがあります。外国為替市況の変動に伴い、預託されている証拠金を超える損失が発生した場合において、その総額又は発生件数によっては、無担保未収入金の増加により貸倒損失が発生する、あるいは信用損失引当金の追加計上が必要になる等、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3)為替変動及びカウンターパーティリスク

 当企業グループは、顧客に対する当企業グループのポジションの為替変動等をヘッジするために行う店頭外国為替証拠金取引において、カウンターパーティリスクに直面する場合があります。当該カウンターパーティがシステム障害や業務又は財務状況の悪化等の不測の事態に陥った場合には、顧客に対するポジションのリスクヘッジが実行できないおそれがあり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4)引受リスク

 当企業グループは、収益源の多様化を図るため、株式等の引受及び募集等の投資銀行業務にも注力しておりますが、引受けた有価証券を販売することができない場合には引受リスクが発生します。有価証券の価格動向によっては、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、特に新規公開株式の引受業務において、当企業グループが主幹事証券として引受業務を行う企業が、新規上場する過程又はその後に評価が低下するような事態が発生した場合には、当企業グループの評価が影響を受け、引受業務の推進に支障をきたす等、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5)私設取引システム(PTS)運営事業に係るリスク

 当企業グループが提供する私設取引システムは、複数の証券会社がシステム接続する本格的な取引所外電子取引市場です。しかしながら、システム障害、決済不能若しくは遅延、又は取引参加証券会社の破綻等の不測の事態により市場運営が困難になった場合には、投資家や取引参加証券会社等の当該私設取引システムに対する信頼性と安全性に対する信頼が損なわれ、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

6)証券関連事業における競合について

 証券関連事業については、近年の規制緩和やIT技術の発展により競争が激化する一方で、商品及びサービスの多様化・顧客利便性の向上・独自性の発揮が強く求められてきております。このような状況の中で競争力を維持できない場合には、競合他社に取引シェア・収益などで劣後し、収益性の低下を招く可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

7)証券関連事業における法的規制について

① 金融商品取引業登録等

 当企業グループの一部の構成企業は金融商品取引業を営むため、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を受けており、金融商品取引法、及び同法施行令等の関連法令の適用を受けております。また、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、及び札幌証券取引所の総合取引参加者等であるほか、金融商品取引法に基づき設置された業界団体である日本証券業協会及び(社)金融先物取引業協会等の定める諸規則にも服しております。当企業グループ及びその役職員がこれら法令等に違反し、登録等の取消し、又は改善に必要な措置等を命じる行政処分が発せられた場合等には、当企業グループの事業の遂行に支障をきたし、あるいは経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 自己資本規制比率

 第一種金融商品取引業者には、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率の制度が設けられております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の額の、保有する有価証券の価格変動その他の理由により発生し得るリスク相当額の合計に対する比率をいいます。当該金融商品取引業者は自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければならず、金融庁長官は当該金融商品取引業者に対しその自己資本規制比率が120%を下回るときは、業務方法の変更等を命ずること、また100%を下回るときは3ヶ月以内の期間、業務の停止を命ずることができ、さらに業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ回復の見込みがないと認められるときは当該金融商品取引業者の登録を取り消すことができるとされております。また、当該金融商品取引業者は四半期ごとにこの自己資本規制比率を記載した書面を作成し、3ヶ月間全ての営業所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならず、これに違反した場合には罰則が科されます。

 

③ 顧客資産の分別管理及び投資者保護基金

 金融商品取引業者は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう顧客から預託を受けた有価証券及び金銭につき、自己の固有財産と分別して管理することが義務付けられております。但し、信用取引により買付けた株券等及び信用取引によって株券等を売付けた場合の代金については、このような分別管理の対象とはなっておりません。また、有価証券関連業を行う金融商品取引業者は投資者保護のために、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣が認可した投資者保護基金に加入することが義務付けられており、当企業グループは日本投資者保護基金に加入しております。投資者保護基金の原資は基金の会員である金融商品取引業者から徴収される負担金であり、日本投資者保護基金は、基金の会員金融商品取引業者が破綻した場合には投資家が破綻金融商品取引業者に預託した証券その他顧客の一定の債権について上限を顧客一人当たり10百万円として保護することとなっております。そのため、基金の積立額を超える支払いが必要な会員金融商品取引業者の破綻があった場合、当企業グループを含む他の会員金融商品取引業者は臨時拠出の負担を基金から求められる可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 金融商品販売法及び消費者契約法

 「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」は、金融商品の販売等に際して顧客の保護を図るため、金融商品販売業者等の説明義務及びかかる説明義務を怠ったことにより顧客に生じた損害の賠償責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正を確保するための措置について定めております。

 また、消費者契約法は、消費者契約における消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に着目し、一定の場合に消費者が契約の効力を否定することができる旨を規定しております。当企業グループでは、かかる法律への違反がないよう、内部管理体制を整備しております。これらの違反が発生した場合には損害賠償責任が生ずるとともに、顧客からの信頼が失墜する等、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

8)証券関連事業に影響を与えるシステムリスク

 当企業グループは、インターネットを主たる販売チャネルとしているため、オンライン取引システムの安定性を経営の最重要課題と認識しており、そのサービスレベルの維持向上に日々取り組んでおります。しかしながら、オンライン取引システムに関しては、ハードウェア及びソフトウェアの不具合、処理能力の逼迫、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウイルス、並びにサイバー攻撃のほか、自然災害等によってもシステム障害が発生する可能性があります。当企業グループでは、かかるシステム障害リスクに備え、365日24時間体制の監視機能、基幹システムの二重化、及び複数拠点におけるバックアップサイト構築等の対応を実施しておりますが、これらの対策にもかかわらず何らかの理由によりシステム障害が発生し、かかる障害への対応が遅れた場合、又は適切な対応ができなかった場合には、障害によって生じた損害について賠償を請求され、当企業グループのシステム及びサポート体制に対する信頼が低下し、結果として相当数の顧客を失う等の影響を受ける可能性があります。また、口座数及び約定件数の増加を見越して適時適切にシステムの開発及び増強を行ってまいりますが、口座数及び約定件数がその開発及び増強に見合って増加しない場合、システムの開発及び増強に応じて減価償却費及びリース料等のシステム関連費用が増加するため、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

9)証券関連事業における顧客情報のセキュリティについて

 不正な証券取引注文、重要な顧客データの漏洩又は破壊が起こった場合は、賠償責任を負う場合があり、それが当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、個人情報の保護に関する法律への違反が発生した場合又は顧客データの漏洩若しくは破壊が発生した場合には、顧客からの信頼が失墜する等負の結果が生じ、それによって当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また顧客への外部不正アクセス等の拡大により、不正取引や不正出金に対する一定の負担発生や、顧客取引が減少する可能性があります。

 

10)自己勘定によるトレーディング業務に係るリスク

 当企業グループは、自己勘定による有価証券・外国為替等に関するトレーディング業務を行っております。当該トレーディング業務では、市場動向や顧客側の取引需要の影響で当企業グループにとって不利な事象が生じ、取引の低迷や保有ポジションの時価変動により損失を被るリスクがあります。トレーディングに係るリスクを低減するため、ヘッジ取引やポジション管理を行うほか、継続的なモニタリングを行っておりますが、想定を超える市場変動等により、ヘッジが有効に機能しない場合やポジションの速やかな処分が進まない場合、取引先が受渡決済を含む債務不履行に陥った場合、保有する有価証券の発行体が信用状況を著しく悪化させた場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

・銀行関連事業に係るリスク

1)銀行関連事業全般に係るリスク

 銀行関連事業(銀行業、無担保ローン、クレジットカード・信販及びリース事業等)においては、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、コンプライアンスリスク、オペレーショナル・リスク、システムリスク、情報セキュリティリスク、外部委託にかかるリスク、イベントリスク、風評リスク、自己資本比率悪化リスク、事業戦略リスク、及び規制変更リスク等の広範なリスクへの対応が必要となります。態勢整備が不十分であった場合、当企業グループの事業の遂行に支障をきたす可能性があります。

 当該事業は、債券、証券化・流動化商品、デリバティブ取引などの金融商品等への投資を行っております。また、預金・貸出金等の長短金利ギャップに伴う金利リスクを抱えております。そのため、リスク限度の設定、損失額についての損失限度の設定や、個別商品への投資上限の設定等を行い、厳格なリスク管理体制を整備しております。しかしながら、金融市場動向や景気動向等により、予想を超えて金利等の各種経済条件が大幅に変動した場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)信用リスク

 当企業グループは、顧客の状況、差し入れられた担保の価値及び経済全体の見通しに基づいて、信用損失引当金の額を決定しています。実際の貸倒損失は、予測したそれと大きく異なり、引当額を大幅に上回り、信用損失引当金が不十分となる可能性があります。また、経済状況の悪化により当企業が前提及び見通しを変更したり、担保価値が下落したり、又はその他の要因により予測を上回る悪影響が生じた場合には、貸倒損失が発生する、あるいは信用損失引当金の追加計上が必要になる等、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3)市場リスク

 当企業グループは、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し、日本の国内外において、広く取引・投資活動を行っております。これらの活動による業績は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等により変動しますが、急激な株式相場の下落や長期金利の上昇に伴う債券等の価格下落等による資産の目減り、顧客の減少等に伴う貸出業務や投資業務等における収益の減少、利鞘の縮小等が予想され、これらが当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当企業グループは、クレジットトレーディングや証券化業務において、住宅ローン、不良債権、売掛債権、リース資産等の多様な資産に対する投資を行っており、最終的には、これを回収、売却又は証券化することを目的としております。そのため、特定の資産又は特定の格付若しくは種類の有価証券を集中的に保有する場合があります。かかる営業資産から得られる当企業の収益が予想より少ない場合(当企業グループにより証券化された資産のプールにおいて、当企業グループ自身がその残余持分を保有している場合におけるその残余持分の価値の下落を含む)には、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、こうした当企業グループが取得できる資産の市場規模及びその価格は常に変動していることから、当企業グループが魅力的な投資機会を常に得られるとは限らず、投資活動の結果が大きく変動する場合もあります。

 

4)流動性リスク

 安定的な資金繰り運営を継続することを目的として、資金調達方法の多様化や、調達環境の状況に応じた流動性リスク指標のモニタリングを通じ、適切な流動性リスク管理に努めておりますが、以下のとおり、資金の効率的な調達が困難となるリスクがあります。

・今後、リテールバンキング業務及び同業務にかかる預金の営業基盤・顧客基盤が伸び悩む可能性があります。

・国内の公社債市場の変化や市況動向により、社債又はその他の債券を発行することに制限が生ずる可能性があります。

・日本銀行の金利に係る方針の変更により、金融市場における資金需給が変化した場合、当企業グループの資金調達は何らかの影響を受ける可能性があります。

・海外の金融市場の混乱や金融経済環境の悪化等により、資金調達の条件悪化を含め、外貨資金調達が不安定化、非効率化する可能性があります。

・人々の認識や市場環境の著しい変化により、資金調達のコストが増加し、又は十分な流動性を確保することが予期に反して困難となる可能性があります。

 また、格付機関により信用格付が下げられると、銀行間市場での短期資金調達あるいは資本調達活動等において相手方との取引を有利な条件で実施できず、又は一定の取引を行うことができない可能性があります。そのため、当企業グループの資金調達コスト増加ないし流動性の制約、デリバティブ取引あるいは信託業務上の制約等により当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5)オペレーショナル・リスク

 当企業グループでは、幅広い金融業務において大量に事務処理を行っておりますが、事務フローの改善、事務指導、研修等の実施や、表記方法の見直し等による手続き内容の明確化等事務水準の向上にも努めており、事務処理状況の定期的な点検等により事務レベルをチェックする体制等を整えております。また、お客さま本位の業務運営に反した行為等のコンダクトリスクに対して、ミスコンダクト事案の広範な捕捉やリスク軽減策の実施等の管理体制の高度化に努めております。しかしながら、こうした対策が有効に機能せず、又は当企業グループや外部委託先の役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こした場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当企業グループの業務運営や、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

6)銀行関連事業に影響を与えるシステムリスク

 当企業グループは、情報システム及びインターネットにより顧客にサービスを提供しておりますが、システムの処理能力や信頼性に大きく依存しております。過去に発生しましたATM、インターネットバンキングサービスや他行宛て送金取引に係る不具合等に対して、発生原因の究明及び十分な再発防止策を講じておりますが、今後とも不具合やサービスの停止が発生する可能性があります。また、当企業グループのシステムには人為的ミス、自然災害、停電、システム連携先または外部委託先の障害、サイバー攻撃等の不正・妨害、機密情報の漏洩、ハッキングによる不正利用等が今後も発生する可能性があります。システム障害等により提供する金融サービスの中断や停止が発生した場合、レピュテーションや営業基盤の毀損等により、当企業グループの業務運営や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

7)銀行関連事業における顧客情報のセキュリティについて

 当企業グループは、銀行関連事業に関連し保有した多数の個人情報について、個人情報保護法に従い、個人情報の保護及び適切な利用に努めておりますが、万一個人情報の漏洩又は不正アクセス等による事故が発生した場合、その損害に対し賠償を行う必要があると同時に、関連監督当局から行政処分等を受ける可能性があります。さらに漏洩事故の発生により、顧客や市場の当企業グループに対する信用の低下を招き、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

8)銀行関連事業における法的規制について

 当企業グループは銀行関連事業を行うにあたり、会社法、銀行法、独占禁止法、金融商品取引法、貸金業法、外国為替及び外国貿易法、犯罪による収益の移転防止に関する法律等並びに外国における同様の法律等の広範な法令上の制限及び監督官庁による監視を受けております。また、金融当局による自己資本規制その他の銀行関連業務規制に加えて、業務範囲についての制限を受けております。こうした金融関連法規・規制をはじめ、その他の適用法規・規制の遵守を怠った場合には、重大なレピュテーショナルリスクに晒される他、法令等に基づき「業務改善命令」や「業務停止命令」といった行政処分や、その他の制裁・罰則・賠償請求を受けること等により、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当企業グループは現時点の規制に従って業務を遂行していますが、法律、規制、税制、実務慣行、法解釈、財政や金融その他政策の変更又は当局との見解の相違並びにそれらによって発生する事態が、当企業グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当企業グループにおける各銀行は、銀行法及び金融庁長官の告示に基づく自己資本比率規制に服しており、海外に支店等の営業拠点を有しない銀行として、自己資本比率を4.0%以上に保つことが義務付けられておりますが、「事業等のリスク」に記載する各種リスクの顕在化等により、自己資本比率は低下する可能性があります。この最低比率を維持できない場合には、当企業グループにおける各銀行は行政処分を受ける可能性があり、当企業グループの業務遂行能力が間接的に影響を受ける可能性があります。

 

9)コンシューマーファイナンス事業に係るリスク

 当企業グループは、銀行関連事業における中核業務として、コンシューマーファイナンス業務(個人向け無担保ローン等)を行っております。コンシューマーファイナンス業務を営む子会社は、過去に発生した所謂「グレーゾーン金利」(超過利息あるいは過払金)に関して、将来に発生する過払金返還及びそれに関連する貸倒損失を見積もった上で引当金を計上しております。これにより、過払金返還に係る追加的な損失の発生は限定的なものになると認識しておりますが、現在の引当金額が将来の過払金返還請求及び関連する貸倒損失への対応として不十分である場合、将来追加の費用が生じる可能性があり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

10)株式会社SBI新生銀行に対する政府の影響力について

 当企業グループの連結子会社であるSBI新生銀行は公的資金による資本増強を行っており、政府(預金保険機構及び整理回収機構)が優先株を有しております。公的資金を受ける際に法律に基づき、SBI新生銀行は経営健全化計画の作成及び定期的な見直しを義務付けられております。この経営健全化計画の収益目標と実績値が大幅に乖離した場合、SBI新生銀行は金融庁より業務改善命令を受ける可能性があります。また同計画について、中小企業に対する貸出に関する計画目標を達成できない場合等にも業務改善命令を受ける可能性があります。

 政府は株主及び監督当局の両方の立場から、SBI新生銀行の経営に対して影響を与える可能性があり、SBI新生銀行経営陣の事業戦略とは異なる対応等を求める可能性があります。またSBI新生銀行の普通株式配当は、経営健全化計画に基づき一定の制約を受ける事から、SBI新生銀行の利益水準と照らして十分な配当を、当企業グループが受けられない可能性があります。

 

11)海外における銀行業に係るリスク

 海外における銀行業においても、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、コンプライアンスリスク、事務リスク、システムリスク、情報セキュリティリスク、外部委託にかかるリスク、イベントリスク、風評リスク、自己資本比率悪化リスク、事業戦略リスク、及び規制変更リスク等の広範なリスクへの対応が必要となります。態勢整備が不十分であった場合、当企業グループの事業の遂行に支障をきたす可能性があります。また、当該事業が予定していた事業計画を達成できず、投資に見合うだけの十分な収益を将来において計上できない場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、現地において自己資本比率規制等が適用されており、当該比率が悪化した場合、現地当局から様々な規制及び命令を受けることになります。その場合、業務が制限されること等により、顧客に対して十分なサービスを提供することが困難となり、その結果、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、このような事態を避けるため、当企業グループからの追加出資等が必要となる可能性があり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

・その他の金融サービス事業に係るリスク

1)保険業に係るリスク

 保険業においては、保険引受リスク、市場関連リスク、信用リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク、情報漏洩リスク、法務リスク、及び災害リスク等の広範なリスクへの対応が必要となります。そのためリスク管理態勢の改善を続けておりますが、態勢整備が不十分であった場合、当企業グループの事業の遂行に支障をきたす可能性があります。また、当該事業が当初予定していた事業計画を達成できず、初期投資に見合うだけの十分な収益を将来において計上できない場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 生命保険業においては、保険料設定時の想定を超えて、社会・経済情勢の変化により死亡率・羅患率が上昇した場合等に、追加で保険金・責任準備金等の費用負担が発生し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 なお、損害保険業においては、自動車保険の保有契約件数が順調に伸びているものの、会計上、保険料売上の計上と同時に未経過分の保険料を責任準備金として費用計上する必要があるため、契約件数が伸びているうちは費用が先行する傾向にあります。今後も事業費の圧縮等に努めてまいりますが、費用を先行して計上すること等により、ソルベンシー・マージン比率の維持のための追加出資等が必要となり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)オペレーティングリースのアレンジメント事業に係るリスク

 当企業グループではオペレーティングリースのアレンジメント事業を行っており、今後、対象となる事業資産の稼働率の低下や資産価値の下落により、当該資産の販売が低迷した場合、減損損失の計上等が発生し、当企業グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

 

3)その他の金融サービス事業に影響を与える法的規制ついて

 当該事業においては、貸金業法、銀行法、保険業法、及び関連諸規則、並びにこれらの法令等に基づく許認可の取得又は届出を行っております。当企業グループ及びその役職員がこれらの法令等に違反し、業務改善命令あるいは認可又は登録の取消等の行政処分を受けた場合、当該事業の遂行に支障をきたし、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4)その他の金融サービス事業に影響を与えるシステムリスク

 当該事業は、コンピュータシステムに依存する部分が多いため、地震や水害等の大規模広域災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断、又は予測不可能なシステム障害により顧客へのサービスが遅延、中断又は停止する場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当該事業では、主に受託開発並びに運用及び保守業務等を行っておりますが、IT関連業界は技術革新が継続しており、新技術の登場により業界の技術標準又は顧客の利用環境が変化します。これら新技術への対応が遅れ、当企業グループの提供するサービスが陳腐化又は不適応化し、業界内での競争力低下を招く等により、これらの事業が当初予定していた事業計画を達成できず、初期投資に見合うだけの十分な収益を将来において計上できない場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。更に提供するサービスでの障害発生や、障害復旧を円滑に対応できない場合は、提供先からの損害賠償請求や風評の低下を招く可能性があります。

 

5)その他の金融サービス事業における顧客情報のセキュリティについて

 個人情報の保護に関する法律への違反や個人情報の漏洩事件等が発生した場合、顧客からの信用を失う可能性があり、法的な、あるいはその他のコストが発生する可能性があります。これらのコストはいずれも、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

<資産運用事業に係るリスク>

1)資産運用事業で運営するファンドの運用成績の低迷に係るリスク

 当企業グループの資産運用事業は、公募又は私募の投資信託や投資助言を行っておりますが、これらは当初期待していた通りの運用成績が達成できない可能性があります。その場合、投資家への販売額の低下や、評価額の減少、解約、新規ファンドの設定が困難となること等による預かり資産の減少を通して、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)金融機関の動向

 当企業グループの資産運用事業のうち、一般投資家向け投資信託の販売について金融機関に委託しております。また金融機関の自己資金の受託による私募投資信託の運用を行っております。金融機関は資産運用業務における主要顧客であり、金融機関の投資信託販売業務や資金運用方針の変更は、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3)資産運用事業における競合について

 公募又は私募の投資信託や投資助言を行う資産運用事業は、国内外の大手金融機関が積極的に経営資源を投入した場合や、業界内プレーヤーの統廃合等により、競合他社の規模が拡大した場合は、競争環境が変化する可能性があります。このような競争環境の変化に当企業グループが柔軟に対応できなかった場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4)資産運用事業に影響を与える法的規制について

 当企業グループ内には、投資信託委託会社として金融商品取引法に基づき投資運用業及び投資助言・代理業の登録を行っている会社があります。今後これら金融商品取引法及びその関連法令等に関し改正が行われた場合又は何らかの理由によりこれらの登録の取消処分を受けた場合には、当該事業の業務遂行に支障をきたすとともに当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

<投資事業に係るリスク>

1)投資事業における事業環境の変化等による影響

 当企業グループ及び当企業グループが運営する投資事業組合等が行う投資事業については、保有株式の売却によるキャピタルゲインや投資事業組合等管理収入が主な収益源でありますが、これらは政治、経済又は産業等の状況や、新規公開市場を含む株式市場全般の動向に大きく影響を受けます。当該事業においては、これら当企業グループがコントロールできない外部要因によって業績が変動し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社は、国際会計基準(IFRS会計基準)に基づき、投資事業等を通じて保有する多額の投資有価証券の公正価値を売却の有無に関わらず毎四半期ごとに見直し、各期末における公正価値評価額の増減を公正価値の変動による損益として認識しております。そのため、株式市場及び債券市場が著しく変動する等し、かかる投資有価証券の公正価値の変動による多大な損失等を計上した場合、当企業グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)当企業グループが運営する投資事業組合等における外部投資家に係るリスク

 ファンドの運用成績が不調の場合、既存又は新規の外部投資家からの新規資金調達が困難になる場合があります。また、既存の外部投資家が、流動性の低下、財務の健全性の低下、又は財務上困難な状況となる場合、当企業グループが既存の投資家からの出資約束金額を利用できなくなる場合があります。当企業グループの投資事業における新規ファンドの募集が困難となる場合は、当初予定していたとおりにファンドを運用できなくなる可能性があり、その結果、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3)投資リスク

 当企業グループ及び当企業グループが運営する投資事業組合等からの投資先企業には、ベンチャー企業や事業再生中の企業が多く含まれます。これらの企業は、その将来見通しにおいて不確定要因を多く含み、今後発生し得る様々な要因により、これら投資先企業の業績が変動する可能性があります。かかる要因には、急激な技術革新の進行や業界標準の変動等による競争環境の変化、優秀な経営者や社員の維持及び確保、並びに財務基盤の脆弱性の他に、投資先企業からの未開示の重要情報等に関するものを含みますが、これらに限定されるわけではありません。

 また、当企業グループが投資しているいくつかの事業は、本質的に投機的及びリスクのある業種において行われているものです。このような不確実性を伴う投資リスクは結果として損失となり、その結果、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4)為替リスク

 当企業グループ及び当企業グループが運営する投資事業組合等が、外貨建ての投資を行う場合には為替変動リスクを伴います。投資資金回収の時期や金額が不確定であるため、為替レートの変動が当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5)海外投資リスク

 当企業グループ及び当企業グループが運営する投資事業組合等が、海外での投資活動を行う場合には、現地において経済情勢の変化、政治的要因の変化、法制度の変更、又はテロ等による社会的混乱等が発生する可能性があります。こうしたカントリーリスクを極小化させたり、完全に回避することは困難であり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 特に当企業グループのファンドは、中国及びその他のアジア諸国を含む新興市場の企業に対して投資を行っております。数多くの新興市場の国々は経済的にも政治的にも発展途上であり、確固たる基盤を持った証券市場を有していない場合があります。新興市場における企業への投資には高いリスクを伴う可能性があり、また投機的となる場合があります。

 将来において、当企業グループのファンドが新興市場において期待されたとおりの運用成績を達成できなかった場合、当企業グループの事業、成長見通し、ファンドの募集、管理報酬等の収入、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

6)投資事業における競合について

 ベンチャー投資や企業再生型の投資事業は新規参入を含め競合が激しく、国内外の金融機関や事業会社等による多数のファンドが設定される状況下、当企業グループの競争力が将来にわたって維持できる保証はありません。また、画期的な新規サービスを展開する競合他社の出現や競合先同士の合併、連携その他の結果、当企業グループが企図する十分な規模のファンドの募集を実施できない、あるいは投資実行において十分な収益を獲得できる有望な投資先企業の発掘ができない可能性があります。この場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

7)投資事業に影響を与える法的規制について

 当企業グループが運営する投資事業組合等は、その運営において金融商品取引法、貸金業法、会社法、民法、投資事業有限責任組合契約に関する法律、及びその他国内外の法令の対象となっており、これらを遵守する必要があります。今後これら金融商品取引法及びその関連法令等に関し改正が行われた場合又はこれらの法的規制が及ぶことにより当企業グループの活動が制限される場合には、当該事業の業務遂行に支障をきたすとともに当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

<暗号資産に係るリスク>

1)暗号資産の交換・取引サービス等を行う事業における法令諸規則等の事業環境等の変化等による影響

 当企業グループでは、資金決済に関する法律第63条の2に基づき、暗号資産交換業者として内閣総理大臣の登録を受け、同法及び関係法令による各種規制並びに金融庁の監督を受ける暗号資産交換業を営んでおります。当企業グループは自主規制機関である一般社団法人日本暗号資産取引業協会に加入していることから、同協会の諸規則にも服しております。そのため、これらの法令、諸規則、業界の自主規制ルール等の制定又は改定等が行われることにより、当初の計画通りに事業を展開できなくなる可能性があります。規制の内容によっては、暗号資産全般に係る事業環境の著しい変化や価格変動等をもたらす可能性があり、当企業グループの事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、諸法令等に違反する事実が発生した場合には、登録その他認可業務の取消、業務の全部又は一部の停止等の行政処分を受ける可能性があり、当企業グループの風評、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2)サイバー攻撃等による暗号資産の消失に伴うリスク

 当企業グループは、管理する電子ウォレットにおいて顧客の所有する暗号資産の預託を受けております。また、マイニング事業等を通じ、自己勘定として暗号資産を保有しております。

 権限のない第三者による電子ウォレットに対する不正アクセスのリスクを軽減するためのサイバーセキュリティ対策等を講じておりますが、電子ウォレットに対して不正アクセスが行われた場合には、権限のない第三者によりこれらの電子ウォレットに保管される暗号資産が消失させられるとともに、当企業グループがこれらの暗号資産を取り戻せない可能性があります。当企業グループが保有する暗号資産の消失及び当企業グループの顧客の暗号資産の消失により、顧客に対する多額の弁済が生じる可能性があるとともに、当企業グループの経営成績及び財政状態、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

3)市場リスク

 当企業グループは、暗号資産を保有するとともに、暗号資産交換業を運営しており、様々な要因に基づく暗号資産の価格及び取引規模の変動により、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4)信用リスク

 当企業グループは、暗号資産に係る事業において、金融商品取引業者として顧客に対して証拠金取引を提供しております。同取引においては顧客への信用供与を行っており、取引の損失は預かった証拠金の範囲内に収まるよう、ロスカットルールを設定しておりますが、暗号資産の価格が急激に変動し、顧客が追加の証拠金の差し入れや取引の決済が行えなくなった場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、当企業グループでは、暗号資産の売買取引や貸借取引を行っております。また、暗号資産の価格が大きく変動し、貸付先が期限での返済や追加担保の差し入れに応じられなくなった場合、それら債務が履行されないリスクが存在します。更に自己の保有する暗号資産について、他の暗号資産取引業者に預入している場合、預入先に信用不安が発生した場合、預入暗号資産の引出しや回収ができないリスクがあります。これらは、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

次世代事業分野におけるリスク

<バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業に係るリスク>

 当該事業において主に一般用医薬品の研究開発に注力しておりますが、当企業グループの研究開発努力が商業的に成功する製品の開発又は画期的な製造技術の開発につながる、あるいはこれらの研究プロジェクトが当初予定していたとおりの業績をもたらすという保証はありません。当企業グループのバイオテクノロジー製品は多くの場合、販売目的で市場に投入する前に臨床試験を実施する必要があります。この過程には費用及び時間がかかり、その結果は不確実なものです。研究開発及び臨床試験に莫大な時間と費用を費やしたにもかかわらず、開発途中の製品に対して商業販売の認可が下りなかった場合、又はバイオテクノロジー製品に関する製造物責任に関する賠償請求の対象になった場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当企業グループ又は製品の製造委託先において、経営成績及び財政状態の悪化、技術上若しくは法規制上の問題、原料の不足、又は自然災害の発生等により、製品の安定的な供給に支障が生じる可能性があり、その動向によっては当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法等及び薬事行政指導、その他関係法令等により様々な規制を受けており、当該事業は薬事法をはじめとする現行の法的規制及び医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として事業計画を策定しています。しかしながら、当該事業において開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

<新技術関連事業に係るリスク>

 新技術に基づいた事業については、当該技術が成熟されていない事による損失の発生や、当該技術を用いたサービス・製品が当初予定した通りに拡大しない可能性があります。また、法規制等が十分に整備されていない新技術を利用した事業領域へ進出する場合、当該新技術に基づいた事業領域におけるステークホルダーの権利が十分に保護されず、当企業グループ又は当企業グループの顧客の権利・資産が毀損する、訴訟が発生する等の恐れがあります。これらの恐れが顕在化した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

<開発途上地域における事業に係るリスク>

 開発途上地域での事業については、法規制、取引慣行、経済状況、政情、文化等に係るリスクについて十分に調査・検証した上で取り組んでおりますが、事業開始時点では想定されなかった事象が起こる可能性があります。特にクーデター等による政変、テロ、法規制の急変、国際社会による経済制裁等が発生した場合、これまで培った金融分野でのナレッジ等が活かせない可能性があり、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

第3【参照書類を縦覧に供している場所】

SBIホールディングス株式会社 本店

(東京都港区六本木一丁目6番1号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

 

第四部【提出会社の保証会社等の情報】

 該当事項はありません。

 

第五部【特別情報】

 該当事項はありません。