文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、遊休資産を再生し、社会ニーズに応じた新たな価値を創造することで社会に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高の拡大に注力する一方、コストの最適化を図り、利益体質と資本効率の向上を図ってまいります。その経営成果の指標として、営業利益とROE(自己資本利益率)の向上を目標として活動しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの主な事業分野であるフレキシブルスペース(貸会議室・シェアオフィス等)の需要は、企業の働き方の多様化が促進され、固定オフィスの柔軟化が進んだことで、大幅に拡大しております。当社グループは創業以来、遊休不動産を活用した空間再生により全国の施設ネットワークを拡大してまいりましたが、その市場規模は大きく、全国の不稼働オフィスのTAM(Total Addressable Market、獲得可能な最大市場規模)は約7,000億円(注)と想定しております。
現在当社グループは、国内貸会議室産業において圧倒的なネットワーク力と多様なブランド展開を競争優位としており、必要な場所や目的に合わせた最適なスペースのサービス提供が可能となっております。
今後も貸会議室を中心としたフレキシブルスペース事業を中核に、料飲・バンケット、ウェビナー等の幅広い会議室オプションサービスやシェアオフィス、ホテル・宿泊研修サービス等、周辺サービスを拡充しながら、付加価値の高い総合サービスの実現と効率的な資源配分を目指していくとともに、その事業基盤とシナジーのある企業に対する政策投資、M&Aを戦略的に実行し、企業価値向上を目指してまいります。
(注)「令和3年度 固定資産の価格等の概要調書」、「東京の土地 2021」、オフィス利用に関する各種調査をもとに国内オフィスの不稼働共有部面積およびその利用状況を推定し、年間貸会議室利用金額に換算した金額を、当社が推計する貸会議室市場値に加算して推計。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループの中核事業は、遊休不動産に付加価値を加え、フレキシブルスペースとして提供することで空間を再生する空間再生流通事業であり、フレキシブルスペースの周辺サービスを開発することで事業拡大を目指しております。
事業拡大のため、当社グループは以下の課題に取り組んでまいります。
①効率的な出退店戦略の実施
当社グループの事業の強みは、様々な経済条件を駆使し、遊休不動産を主に賃貸契約により確保する不動産開発であります。
当社グループは、継続的に不動産開発機能の強化を行い、不動産市況に応じて敏捷に新規出店や撤退の判断を行うことで、賃借する不動産ポートフォリオの入れ替えを行い、事業モデルの向上を図ってまいります。
②付加価値サービスの見直し・拡充による利益率の向上
当社グループは、これまでフレキシブルスペースに付随する様々なサービスを開発し、顧客にワンストップで提供することで付加価値を生み出してまいりました。社会が変化する中で求められるサービスを敏感に捉えて商品化し、利用顧客へ提案していくことで、顧客満足度と利益率の向上を図ります。
③グループシナジーの創出
当社は、上記①及び②の課題に対して、積極的な政策投資・M&Aを戦略的に実行しております。グループ会社間における連携を強化し、事業シナジーの創出・事業運営と経営の効率化を図ります。
④システムを駆使した営業・予約の最適化
フレキシブルスペースの需要拡大のためには、顧客データベースに基づく付加価値の高い提案営業と、より容易な予約システムの整備による予約管理の効率化が重要となります。当社はシステム構築に適切な投資を行うことで、適時適切なコンサルティング提案を行い、企業のフレキシブルスペースの需要獲得を推進してまいります。また、予約システムの簡略化により、フレキシブルスペース事業の運営効率の向上を図ります。
⑤人材の確保と育成
社会の環境が大きく変化する中、多様な能力や経験が必要とされるようになり、営業・オペレーション・不動産開発・管理等各部門において、当社グループに最適な人材を獲得していく必要があります。当社グループは中長期的視点に基づき、新卒・通年採用を強化して採用活動を行っていくとともに、有能な人材の確保及び従業員育成を徹底してまいります。
⑥管理体制の強化
上場企業としての市場の信頼を獲得し続けるため、事業規模や事業展開にあわせた組織体制及び内部管理体制の改善・強化を図ることが重要かつ基礎的な課題であると認識しております。当社は管理体制の更なる改善を目指し、実効性のあるシステムの整備、経営の効率化や経営資源の最適化を図ってまいります。
当社及びその子会社(以下、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」において「当社グループ」という。)のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
「サステナビリティ方針」
ティーケーピーは、「空間再生流通企業(遊休資産を再生し、シェアリングすることで社会に価値を創造する)」の企業理念のもと、事業を通じて持続可能な社会の実現を目指します。空間シェアリングビジネスのリーディングカンパニーとして培ってきた既存事業のノウハウを活かし、今後はアジア各国をはじめとした海外からの人・企業の流れを商機に換え、さらなる付加価値向上を目的とした提携・M&Aに注力するとともに、サステナビリティ方針に基づいた企業活動を推進してまいります。
また、これらの活動をウェブサイト等により適切に開示し、社内外のステークホルダーとの対話を通じて継続的な改善を図ることで、サステナビリティ経営の透明性と信頼性の向上に努めます。
以上
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ経営の推進にあたり、グループのサステナビリティの取り組みを体系的かつ継続的に展開するため、2025年2月に当社取締役CFOを委員長とする「サステナビリティ委員会」(以下、「本委員会」という。)を設置いたしました。
本委員会は、多岐にわたる経営課題に企業として継続的に対応していくためグループ横断的な組織として機能するものです。具体的にはサステナビリティ課題への対応に関する全体計画の立案、各部署への戦略立案や指示、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価をし、取締役会において定期的に報告・提言を行います。
また持続可能な社会の実現、及び持続的な成長と中長期的な企業価値・株主価値の最大化を実現するため、基盤としてコ一ポレート・ガバナンスを位置付けており、経営の透明性・公平性・迅速性の維持向上や適切な情報開示に努めております。
当社グループ全体に影響を及ぼす重要事項については、取締役会において決定するとともに、適宜必要な委員会等を設置し、グループ全体のサステナビリティ推進ならびに企業品質向上に向けた活動を統治してまいります。
サステナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制は以下のとおりです。
サステナビリティ委員の主なカバー領域
取締役CFO :全体統括
執行役員経営企画担当 :全域を担当
上場子会社執行役員経営企画担当 :上場子会社内でのサステナビリティ推進の調整担当
(2)戦略
当社グループは、国際ガイドライン(GRI、ISO26000等)や取引先からの要請を踏まえて抽出した101の重要課題(マテリアリティ)候補の中から、「ステークホルダーにとっての重要度」と「自社にとっての重要度」の2軸で定量的に評価を行い、優先的に取り組むべき7つの項目を下記のとおり特定し、その取組を以下にまとめました。
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重要課題 |
取組 |
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ダイバーシティ推進 |
・ダイバーシティに関する研修の継続実施 ・男女待遇格差の是正 ・認定取得(くるみん・えるぼし) ・障がい者従業員の雇用の推進 ・定年の引上げ、再雇用制度の整備 |
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コンプライアンス |
・コンプライアンス研修の実施と受講の徹底 ・内部通報制度の有効な運用 |
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イノベーション |
・イノベーションを実現するための人材育成 ・社内提案制度の実施 |
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ステークホルダーとの繋がり |
・ビジネスパートナー(ビル管理会社、取引先業者等)との定期面談 |
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情報セキュリティ |
・情報セキュリティに関する研修 ・個人情報保護方針の策定、保護の徹底 ・サイバー攻撃、ハッカー対策やウィルスなどの情報技術の脅威に対する防御策の実施 |
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気候変動への対応 |
・省エネ設備の導入 ・省エネ補助金制度の活用 |
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人材開発・確保 |
・従業員エンゲージメント調査の実施 ・職種別、階層別、テーマ別研修の実施 ・社内公募制、ジョブローテーションの実施 |
特定した重要課題は、当社グループにおける収益機会及びリスクとして認識し、事業戦略として取り組むことで社会課題解決への貢献及び企業価値向上を目指したサステナビリティ経営の推進に取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社グループの持続可能な企業運営方針として定めた「サステナビリティ方針」を実現し、公平公正かつ透明性の高い企業活動を推進するため、サステナビリティに関する組織横断的リスク状況の監視及び全社的な対応は、取締役会とその委任を受けた「サステナビリティ委員会」が行います。
(4)指標及び目標
特定した重要課題に関連するサステナビリティ指標(KPI)及び目標については、以下のとおりです。
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重要課題 |
KPI |
目標 |
期限 |
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ダイバーシティ推進 |
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2030年 まで |
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2030年 まで |
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コンプライアンス |
コンプライアンス研修 |
年1回以上 100%受講 |
- |
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イノベーション |
創業社長自らによる次世代育成研修 |
年1回以上 |
- |
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情報セキュリティ |
情報セキュリティ研修 |
年1回以上 100%受講 |
- |
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社外に公表すべき重大な情報漏洩発生件数 |
0件 |
- |
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人材開発・確保 |
1人あたりの研修回数(コンプライアンス・情報セキュリティ研修除く) |
年1回以上 |
- |
※上記の指標は主に単体のものを記載しておりますが、今後グループ会社の指標及び目標についても検討していく予定です。
以下において、当社グループの状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)特に重要な事業等のリスク
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リスク項目 |
リスクの内容 |
主要な取り組み |
影響度 |
蓋然性 |
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固定資産の減損 |
・取得した固定資産につき、当初想定していた成果や利益が見込めず、減損する必要が生じる (1)買収した事業において継続的な需要を維持することが困難な場合 (2)当社グループのサービスと買収した事業との間でシナジー効果が得られない場合 (3)買収時に想定しなかった重大な問題点が買収後に発見された場合 |
・各事業の施設における稼働率向上施策や固定費削減等経営効率化に向けた施策の実施 ・当社グループのサービスと親和性の高い企業との業務・資本提携やM&Aを実施することでシナジー効果を発生させる ・事前に財務・税務・法務等詳細なデューデリジェンスを実施 ・経営会議等において買収価格の適切性に関する審議を実施 ・買収後のシナジー実現に向けたフォローアップや定期的なモニタリング |
大 |
中 |
|
原料価格の高騰 |
当社グループが運営する施設、レストラン、ブライダル事業やインテリア事業において使用する食材や水道光熱費、内装材の価格が高騰、または調達が困難になる |
・適切なマーケティングと価格設定 ・仕入れ先の多様化 |
中 |
高 |
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感染症の流行、自然災害、不景気等に伴う需要の減少 |
以下のような事象が発生した際の、フレキシブルスペースおよびブライダル事業等の利用キャンセルおよび新規予約の減少が発生する可能性 ・新型コロナウイルス感染症を例とするような治療方法が確立されていない感染症が流行 ・大地震等の自然災害が発生 ・景気後退により、企業および一般消費者が支出を抑える動きが広がった場合 |
<家賃を柔軟に減額することが可能な体制> ・定期借家契約では、契約期間中の解約が基本的に不可能な中、当社では全契約の約4割を短期間(半年等)で解約可能な契約としている <市況に応じた柔軟なサービス提供> ・左記のような状況となった場合、当社の既存の枠組み・不動産を活用した新サービスを組成し、新たな需要への対応を実施 |
大 |
中 |
(2)その他の重要な事業等のリスク
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リスク項目 |
リスクの内容 |
主要な取り組み |
影響度 |
蓋然性 |
|
フレキシブルスペース事業の物件・スペース確保の難化 |
・不動産市況その他の要因により新規物件が計画どおりに確保できない ・既存物件の賃貸借契約が計画どおりに延長できない |
・新規物件の確保については、不動産オーナーのニーズを的確に把握 ・既存物件の賃貸借契約の延長については、不動産オーナーによる再開発計画の進捗等を的確に把握し、延長交渉を実施 |
大 |
低 |
|
運営する事業の |
・競争激化に伴う販売単価の低下により利幅が縮小する ・競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストが増加する |
・マルチブランド戦略により競合他社よりも幅広い顧客層を取り込む ・付随する多様なサービスを展開 ・顧客ニーズに応じた付加価値の高いサービスの開発による差別化 |
中 |
中 |
|
個人情報等の取扱い |
個人情報を含む顧客及び取引先の機密情報が、外部からの不正アクセスや社内管理体制の不備、災害の発生等により外部へ漏洩、消滅、改ざんや不正利用が発生した場合に社会的信頼を失い、顧客の利用が減少する |
・情報の取扱いに関わる社内規定の整備 ・定期的な従業員教育の実施 ・システムのセキュリティ強化 ・インシデントが発覚した際の対応フローの整備 |
中 |
中 |
|
採用の難化 |
サービス業界における採用環境が悪化し、採用計画が達成できず、グループ全体の事業計画に支障がでる |
・採用活動と企業ブランディングの強化 ・人事制度の見直し/改定や研修の充実化 |
中 |
中 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、所得の増加による個人消費の増加や、引き続き好調なインバウンド需要による景気回復の動きがみられました。一方、2025年1月の日本銀行による政策金利の引き上げや、追加利上げの見通しにより、引き続き景気動向の注視が必要であると考えております。世界経済は、米国政権交代による保護主義政策強化や、中国経済の減速等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。そのような中において、当社グループ事業を取り巻く環境は、企業の人的資本投資への関心、対面コミュニケーション回帰の流れや、国内旅行・インバウンドの需要増加に伴う人流の回復が進んでおり、概ね好調に推移しております。
こうした状況のもと、当連結会計年度においては、賃借物件の契約満了等に伴う退店が発生する一方、積極的な新規出店・既存施設の増床を行い、当社が運営する貸会議室及びホテル・宿泊研修施設は、前期末に比べ+43施設と大幅に増加し、合計275施設(2025年2月末時点)となりました。(注)
当社グループの主力である貸会議室事業は、オフィス回帰を受け、会議やセミナー、研修等を対面で実施する需要が高まり、それらをうまく取り込むことで、高稼働で推移しました。特に、コロナ禍から回復が遅れていた飲食を伴う懇親会の受注水準は、通年で回復基調となり、前期と比較して大きく改善し、当第4四半期連結会計期間はコロナ禍以前の水準に回復いたしました。
ホテル・宿泊研修事業においては、旅行や出張等のビジネス利用に加え、引き続きインバウンド需要の急速な回復・増加により、高稼働及び高単価で推移いたしました。継続して積極的な新規出店、既存施設の拡張・改装を実施しており、当第4四半期連結会計期間においても新ブランドホテル、フランチャイズで運営する新たなアパホテルを2施設開業し、その他施設においても出店に向けたプロジェクトを積極的に推進いたしました。これにより、当社リゾートホテル・ビジネスホテル等の宿泊サービス売上高は通期で100億円を超え、過去最高を更新いたしました。
また、当社が中長期的な企業価値向上のために注力しているM&A・政策投資に関しては、主に第2四半期連結会計期間より連結子会社化したリリカラ株式会社、当第4四半期連結会計期間より連結子会社化した株式会社ノバレーゼ、それぞれとの協業を推進いたしました。また、貸会議室事業のさらなる付加価値向上のため、2025年3月31日付で音響・照明・映像演出の設計・施工を手掛ける株式会社インターメディアを完全子会社化したことに加え、2025年4月14日付で仕出し料理事業やケータリング事業、お弁当宅配事業を展開する株式会社ハークスレイと業務提携契約を締結し、その業務提携の一環として同社グループ会社より2025年4月24日付で株式会社味工房スイセンの発行済株式を35%取得し、持分法適用関連会社となりました。
上記の結果、当連結会計年度における売上高は59,208百万円(前期比62.0%増)、営業利益は5,915百万円(前期比28.4%増)、経常利益は5,825百万円(前期比19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,789百万円(前期比48.2%減)となり、売上高及び経常利益は過去最高を更新いたしました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期に比べ、大幅に減少しておりますが、これは、前連結会計年度に、それまで連結子会社であった日本リージャスホールディングス株式会社売却に伴う損失への税効果会計適用による法人税等調整額を3,259百万円計上したことによるものです。また、当連結会計年度において、リリカラ株式会社の持分法適用関連会社化による暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
(注)施設数の大幅な増加は、当社の新規施設に加え、当連結会計年度に持分法適用関連会社化した株式会社ノバレーゼの施設が36施設(既存ブランド「CIRQ」として追加)含まれていることによるものです。
② 連結業績 (単位:百万円)
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|
2024年2月期 |
2025年2月期 |
前期比 |
|
売上高 |
36,545 |
59,208 |
+62.0% |
|
EBITDA |
5,949 |
7,743 |
+30.1% |
|
営業利益 |
4,607 |
5,915 |
+28.4% |
|
経常利益 |
4,862 |
5,825 |
+19.8% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
7,321 |
3,789 |
△48.2% |
(注)EBITDAは営業利益に減価償却費、のれん償却費、長期前払費用償却及び顧客関連資産等
の無形資産償却費を加算して算出しております。
なお、貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)である有効会議室面積1坪あたり売上高は、前年同四半期比で売上高が増加し、有効会議室面積を拡大する中でも+2,526円と上昇しております。
貸会議室事業のKPIである有効会議室面積1坪あたり売上高の推移 (単位:円)
|
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第1四半期 連結会計期間平均 |
第2四半期 連結会計期間平均 |
第3四半期 連結会計期間平均 |
第4四半期 連結会計期間平均 |
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2024年2月期(A) |
33,687 |
32,141 |
35,464 |
33,286 |
|
2025年2月期(B) |
39,079 |
34,194 |
37,980 |
35,812 |
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(B)-(A) |
+5,392 |
+2,053 |
+2,516 |
+2,526 |
(注)売上高:会議室の室料、オプション料、料飲等会議室利用に付随する月次売上高合計の四半期平均
有効会議室面積:会議室としてレンタル可能な面積の合計(施設の共用部分や宿泊施設の客室等、会議室として利用されない面積は含まない)
なお、当社グループは、従来「空間再生流通事業」の単一セグメントでありましたが、当連結会計年度より、「リリカラ事業」及び「ノバレーゼ事業」をセグメント情報として開示しております。なお、当連結会計年度においては株式会社ノバレーゼの貸借対照表のみを連結しているため、「ノバレーゼ事業」についての記載を省略しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
(空間再生流通事業)
当連結会計年度の業績は、売上高は42,158百万円、セグメント利益は5,483百万円となりました。
(リリカラ事業)
当連結会計年度の業績は、売上高は17,050百万円、セグメント利益は442百万円となりました。
③財政状態の状況
当連結会計年度において、リリカラ株式会社及び株式会社ノバレーゼを連結の範囲に含めたことに伴い、資産及び負債の額が総じて増加しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,161百万円減少し、35,274百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少が17,540百万円あった一方で、受取手形、売掛金及び契約資産の増加が6,637百万円、商品の増加が3,120百万円、電子記録債権の増加が2,085百万円、販売用不動産の増加が552百万円、仕掛販売用不動産の増加が454百万円あったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ43,883百万円増加し、86,119百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物の増加が16,059百万円、土地の増加が7,934百万円、のれんの増加が5,736百万円、商標権の増加が5,571百万円、敷金及び保証金の増加が3,243百万円、建設仮勘定の増加が2,354百万円、投資有価証券の増加が1,203百万円あったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ22,202百万円増加し、32,786百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加が5,523百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加が4,886百万円、短期借入金の増加が3,302百万円、電子記録債務の増加が2,488百万円、未払法人税等の増加が2,022百万円、契約負債の増加が1,395百万円あったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ14,295百万円増加し、43,148百万円となりました。主な要因は、長期借入金の増加が10,049百万円、繰延税金負債の増加が2,155百万円、資産除去債務の増加が1,577百万円あったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ5,224百万円増加し、45,459百万円となりました。主な要因は、自己株式の増加が2,870百万円あった一方で、非支配株主持分の増加が4,005百万円、利益剰余金の増加が3,789百万円あったことによるものであります。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ17,540百万円減少し、14,528百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、5,095百万円(前期比36.9%増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益5,915百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、21,300百万円(前期は5,006百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出16,150百万円、投資有価証券の取得による支出7,619百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、1,336百万円(前期は692百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入7,550百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出5,620百万円、自己株式の取得による支出2,870百万円等があったことによるものであります。
⑤仕入、生産、受注及び販売の実績
ノバレーゼ事業は当連結会計年度において貸借対照表のみを連結しているため、受注実績(受注残組数)のみを記載しております。
a.仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
|
リリカラ事業 |
8,027 |
空間再生流通事業の仕入実績は僅少であるため、記載しておりません。
b.生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
|
リリカラ事業 |
4,048 |
空間再生流通事業並びにリリカラ事業のインテリア事業及び不動産投資開発事業の生産実績は僅少であるため、記載しておりません。
c.受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
受注残高(百万円) |
|
リリカラ事業 |
2,437 |
411 |
|
セグメントの名称 |
受注組数(組) |
受注残組数(組) |
|
ノバレーゼ事業 |
- |
5,495 |
空間再生流通事業及びリリカラ事業のインテリア事業の受注実績は概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載しておりません。
d.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
|
空間再生流通事業 |
42,160 |
|
リリカラ事業 |
17,128 |
なお、空間再生流通事業のサービス別売上高は以下のとおり推移しております。
空間再生流通事業 サービス別売上高四半期推移
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。
当社グループが採用している重要な会計方針及び重要な見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4)資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
空間再生流通事業のフレキシブルスペース事業を推進するにあたって、オフィスビル等の不動産に関しては賃貸借契約を締結し、基本的には、土地・建物を直接保有しないことで設備投資を抑制する運営を行っております。
(財務政策)
フレキシブルスペース・宿泊施設に適した不動産を適時、機動的に取得するため、営業キャッシュ・フローで賄う他、金融機関からの借入により手元流動性を保っております。
なお、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップ等の手法を活用しております。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
1.フランチャイズ契約
当社が日本国内の各ホテル所在地においてのアパホテルブランドの運営権などを取得することを目的として、アパホテル株式会社との間でアパホテルズ&リゾーツフランチャイズ加盟契約書を締結しております。
2014年5月30日付で締結したアパホテル<TKP札幌駅前>を対象とする契約をはじめとして、他16拠点で契約を締結しております。
2.リリカラ株式会社に関連する契約
当社は、会社法第370条及び当社の定款の規定に基づく取締役会の決議に代わる2024年5月17日付の書面決議により、持分法適用関連会社であるリリカラ株式会社(以下「リリカラ」といいます。)の普通株式を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決定し、同日付で、本件の応募に合意する株主との間で、公開買付応募契約を、リリカラとの間で、資本業務提携契約をそれぞれ締結いたしました。
本公開買付け(2024年5月20日~2024年6月14日)の結果、当社はリリカラの普通株式3,247,733株を取得することとなり、発行済株式総数(但し、自己株式を除く)に対する割合は53.01%となったことにより、2024年6月20日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、リリカラは当社の連結子会社及び特定子会社となりました。
3.株式会社ノバレーゼに関連する契約
(1)2024年6月21日付資本業務提携契約
当社は、2024年6月21日開催の取締役会において、2024年6月21日付で、株式会社ノバレーゼ(以下「ノバレーゼ」といいます。)との間で、ノバレーゼを当社の持分法適用会社とすることを含む資本業務提携契約(以下「2024年6月21日付資本業務提携契約」といいます。)を締結すること及び2024年6月24日付で、ノバレーゼの発行済株式の一部を取得すること(以下「本株式取得」といいます。)を決議しいたしました。本株式取得により、当社はノバレーゼの普通株式8,250,000株(発行済株式総数に対する所有割合 33.0%)を保有する筆頭株主となり、同社は当社の持分法適用関連会社となりました。
(2)2024年11月14日公開買付に関する契約
当社は、2024年11月14日付書面決議により、ノバレーゼの主要株主である第二位株主のポラリス第三号投資事業有限責任組合(所有するノバレーゼ株式数:3,529,482株(所有割合:14.12%)。以下「ポラリス第三号」といいます。)及び第四位株主であるTiara CG Private Equity Fund 2013,L.P.(所有するノバレーゼ株式数:1,164,418株(所有割合:4.66%)。以下「Tiara CG」といい、ポラリス第三号及び Tiara CGを総称して、以下「本応募合意株主」といいます。)からその所有する全ての対ノバレーゼ株式(所有株式数合計:4,693,900株(所有割合:18.78%)。以下「本応募合意株式」といいます。)を取得し、ノバレーゼを連結子会社化することを目的として、本公開買付けを実施することを決定いたしました。
当社は、同日付で本応募合意株主との間で、本応募合意株式について本公開買付けに応募する旨の本応募契約を締結しております。
また、当社は、同日付でノバレーゼとの間で(i)両社が継続的に発展していくこと、及び、(ii)両社が業務上の提携を行うことを目的とした資本業務提携契約を締結しております。
4.「fabbit」事業の承継に関連する契約
当社は、2024年11月8日開催の取締役会において、株式会社システムソフト(以下「システムソフト」といいます。)及びAPAMAN株式会社(以下「APAMAN」といいます。)が運営する「fabbit」事業のうち、レンタルオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィス、会議室、イベントスペースおよびフランチャイズの各事業を承継することを決議し、同日付で三社間で基本合意書を締結いたしました。
また、2024年12月26日開催の取締役会において、システムソフト及びAPAMAN、APAMAN Network株式会社を吸収分割会社、当社を吸収分割承継会社とする吸収分割方式により承継することを決議し、同日付で各社との間で吸収分割契約を締結いたしました。なお、吸収分割の効力発生日は2025年2月28日付でございます。
該当事項はありません。