第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第6期

第7期

第8期

第9期

第10期

決算年月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

2025年2月

売上高

(千円)

8,677,991

7,804,460

11,841,779

15,311,567

17,159,077

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

379,894

1,931,399

516,472

1,441,239

1,722,376

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

447,269

891,965

252,530

1,065,693

1,207,252

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

10,000

10,000

10,000

10,000

2,378,442

発行済株式総数

(株)

1,000,000

1,000,000

1,000,000

5,000,000

6,878,645

純資産額

(千円)

32,910

927,335

1,209,484

2,305,249

7,953,603

総資産額

(千円)

7,518,092

7,335,057

8,222,752

11,149,708

15,867,269

1株当たり純資産額

(円)

32.91

927.33

241.89

461.04

1,156.27

1株当たり配当額

(円)

64.0

90.0

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

447.26

891.96

50.50

213.13

219.93

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

183.17

自己資本比率

(%)

0.4

12.6

14.7

20.7

50.1

自己資本利益率

(%)

178.4

185.8

23.6

60.6

23.5

株価収益率

(倍)

11.8

配当性向

(%)

30.0

40.9

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,267,922

1,798,464

1,418,762

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

386,665

591,402

819,182

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

106,605

1,072,396

3,563,312

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

4,217,676

6,497,135

10,660,027

従業員数

(人)

325

296

290

288

286

(外、平均臨時雇用者数)

(617)

(500)

(797)

(935)

(1,009)

株主総利回り

(%)

(比較指標:-)

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

3,220

最低株価

(円)

2,395

 (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.当社は、2020年9月9日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。第6期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)を算定しております。

3.当社は、2023年8月1日付で普通株式1株につき5株の株式分割を行っております。第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

4.第6期の売上高の減少及び当期純損失の計上は、COVID-19の感染拡大防止の緊急事態宣言を受けて、店舗の臨時休業等を行ったことによるもの、固定資産に係る多額の減損損失の計上等によるものであります。

5.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

6.第6期における潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。第7期、第8期及び第9期については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので記載しておりません。

7.当社株式は、2024年11月22日に東京証券取引所スタンダード市場に上場したため、当事業年度の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、新規上場日から当事業年度の末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

8.第6期、第7期及び第8期の1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

9.第6期から第9期までの株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。

10.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間平均雇用人員(1日時間換算)を()外数で記載しております。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第8期の期首から適用しており、第8期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

12.第8期以降の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、仰星監査法人の監査を受けております。なお、第6期、第7期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しております。また、各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく仰星監査法人の監査を受けておりません。

13.第6期、第7期についてはキャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシュ・フローに係る各項目については記載しておりません。

14.第8期以降の投資活動によるキャッシュ・フローについては、新規店舗の出店の際の固定資産の取得によりマイナスとなっております。

15.2024年11月22日付をもって東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場いたしましたので、第6期から第10期までの株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。

16.最高株価及び最低株価は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

なお、2024年11月22日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

 

2【沿革】

当社の事業は代表取締役社長である川島賢が2000年4月に株式会社ガーデンの前身であります有限会社マックの代表取締役に就任したことに始まります。

川島賢は、高校卒業後アルバイト勤務を通じて、当時アルバイト先の顧客であった株式会社シグマックの代表取締役と知り合いとなり、埼玉県を中心にカラオケ機器を販売していた株式会社アルコを紹介されております。

その株式会社アルコより「埼玉県所在の赤字のカラオケ店」の紹介を受け、当時休眠会社であった有限会社シグマック(有限会社シグマックは、業容拡大のために新設した株式会社シグマックへ事業(広告、印刷業)を移管したため、休眠会社となっておりました。)を再開してカラオケ事業を開始しました。

休眠会社である有限会社シグマックを再開した際、有限会社シグマックは株式会社シグマックの代表取締役が代表取締役を兼任しており、川島は取締役としてカラオケ事業を運営しておりました。その後、カラオケ事業が軌道に乗ったことから、2000年4月に社名を『有限会社マック』へ変更し、代表取締役に就任いたしました。

また、2003年6月に株式会社友伸フーズよりステーキ事業を事業譲受し飲食事業に本格的に参入しました。

その後、株式会社マック及び株式会社ユウシンを中核として、2012年4月にカラオケ店・ラーメン店を運営するマイビス株式会社、2014年6月に牛丼店『東京チカラめし』を運営する赤字企業の株式会社チカラめし、2015年3月には牛丼店を運営する赤字企業の株式会社神戸らんぷ亭を子会社化し、事業再構築・生産性改革・収益構造改革による企業再生を実行いたしました。

 

2015年12月、株式会社マックの持株会社として当社を設立しました。2016年3月には、株式会社マックと株式会社ユウシンの権利義務を当社が承継することにより吸収分割を行い、当社を親会社、7社の飲食店舗運営会社を子会社とするグループ会社となりました。その後、株式会社トライアングル、株式会社KSGフードマネージメントを買収し本格的にフランチャイズ事業に参入しました。また、株式会社TERAKAZUエンタープライズ、株式会社らしく、及び株式会社肉寿司を完全子会社化し飲食事業を拡大させ、業態の多角化を進めました。

2018年3月には、全てのグループ子会社を当社に吸収合併し、本部機能の合理化・効率化、組織の活性化、及びシナジー強化を図り、いっそう強固な企業体質の構築に邁進しております。

 

当社設立以降の沿革は、次の通りであります。

年月

事業の変遷

2015年12月

東京都新宿区にカラオケ事業、飲食事業の運営を主たる事業として株式会社ガーデン設立

(代表取締役社長川島 賢、資本金1,000万円)

2016年2月

株式会社アドリブ、合同会社ハレルヤを買収し、ハワイアンレストラン業態に進出

2016年2月

株式会社新富フーズを完全子会社化、株式会社ブレイツに社名変更し不動産事業に参入

2016年3月

株式会社ガーデンを持株会社とし、株式交換によりグループ会社7社(株式会社マック、株式会社マイビス、株式会社ユウシン、株式会社神戸らんぷ亭、株式会社イー・ダイニング、株式会社グローバルデザイン、株式会社Airside)を完全子会社とする

2016年7月

株式会社トライアングルを完全子会社化し、フランチャイズ事業・ライセンス事業に進出

2016年10月

株式会社KSGフードマネージメントを完全子会社化し、回転寿司業態に進出

2016年11月

株式会社サンライズを株式会社ガーデンの完全子会社として設立

2017年3月

株式会社TERAKAZUエンタープライズを完全子会社化し背脂江戸味噌ラーメン業態へ進出

 

完全子会社である株式会社サンライズが明丸株式会社を完全子会社化

2017年4月

合同会社ハレルヤが運営するハワイアンレストランを株式会社アドリブへ事業譲渡

2017年6月

完全子会社である株式会社Airsideを株式会社第一興商へ売却し、カラオケ事業から撤退

 

山下本気うどんのライセンス契約を締結しうどん業態へ進出

 

株式会社らしくを完全子会社化し、トンテキ業態に進出

 

トンテキ事業の海外フランチャイズ展開を開始

2017年7月

株式会社肉寿司を完全子会社化

2017年9月

子会社である株式会社ライズ(旧明丸株式会社)を売却

2018年3月

グループ会社12社を吸収合併し、株式会社ガーデンへ統合

 

元祖博多中州屋台豚骨ラーメン『一竜』海外フランチャイズ1号店オープン

2020年1月

横浜家系ラーメン『壱角家』海外フランチャイズ1号店オープン

2021年10月

山下本気うどんの商標権を獲得

2024年11月

東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場

 

 

当社設立に至る経緯は下記の通りであります。

年月

事業の変遷

2000年4月

有限会社シグマックを有限会社マックへ社名変更

 

川島 賢が有限会社マックの代表取締役に就任

2000年8月

有限会社マックを株式会社マックへ変更

2002年5月

株式会社大宮電化よりカラオケ事業を事業譲受

2002年7月

株式会社ランシステムよりカラオケ事業を事業譲受

2003年6月

株式会社友伸フーズよりステーキ事業を事業譲受し飲食事業へ参入

2007年6月

川島 賢が株式会社ユウシンを買収

2008年2月

新和光商事株式会社が民事再生法適用を申請後スポンサーとなったパレス・キャピタル株式会社と企業再生を目的として業務提携

2008年8月

株式会社ビー・ワイ・オーよりカラオケ事業を事業譲受

2012年4月

株式会社マックがマイビス株式会社を買収

2012年5月

川島 賢が居酒屋の運営を委託していた株式会社新富フーズの株式を譲受

2014年2月

株式会社ファイナル・スリー・フィート(現:株式会社ギフト)と取引を開始し、横浜家系ラーメン『壱角家』1号店を新宿区にオープン

2014年6月

株式会社マック、株式会社ユウシン、及びマイビス株式会社が株式会社チカラめしを買収

2015年3月

株式会社マックが株式会社神戸らんぷ亭を買収

 

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3【事業の内容】

当社は、M&Aを活用した飲食事業を展開しており、ラーメン事業、レストラン事業、ステーキ事業、寿司事業等の飲食店舗の運営、並びに保有するブランドに係るフランチャイズ事業及び不動産事業を行っております。

なお、当社のセグメントは、飲食事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。

 

当社の前身である株式会社マックでは、赤字であったカラオケ店舗の事業再生の経験を活かし、2003年6月より飲食事業に参入し、買収した企業の赤字店舗を業態変更することで利益の出る黒字店舗へと再生させてまいりました。

この企業買収・赤字企業再生のノウハウ、業態多角化によるシナジー強化、及び規模の経済によるバーゲニングパワーの高まりが、現在の当社成長の礎となっております。

企業再生型M&A(買収先企業が経営上の困難に直面し、再生の必要性がある場合に行われるM&Aのことを指し、買収することによって、買収元企業が買収先企業の経営を再建し成長を促進することを目的とします。)により店舗を拡大してきた『横浜家系ラーメン壱角家』、商標権を獲得し多店舗展開を図った『山下本気うどん』を主力ブランドとして確立し、展開しております。(2025年2月期における売上構成比:壱角家ブランド 10,258,841千円 63.0% 山下本気うどん 2,364,854千円 14.5%)

今期以降も壱角家、山下本気うどんは直営店舗の新規出店を継続する方針であります。(引き合いがあった場合はその他ブランド含めフランチャイズ展開を行います。)

2025年2月28日現在、店舗数は195店(直営店舗161店、業務委託店舗2店、フランチャイズ店舗32店)となっております。

※業務委託店舗は当社の従業員が独立制度を利用し、当社ブランドの既存店舗の運営、管理を行う形態を指します。業務委託での社員独立は、通常のフランチャイズ加盟と違い既存の店舗を運営委託するため、開店時より一定の入客が見込めるうえ、不動産賃貸、設備投資等の初期費用、加盟料、ロイヤルティなどがかからないことなどがメリットとなる独立の制度です。

 

壱角家(横浜道含む)

2023年2月期

2024年2月期

2025年2月期

店舗数(業務委託・フランチャイズ含む)

114店舗

122店舗

128店舗

客単価

914円

1,003円

1,101円

 

山下本気うどん

2023年2月期

2024年2月期

2025年2月期

店舗数

9店舗

11店舗

18店舗

客単価

974円

1,047円

1,201円

 

当社の店舗展開の特徴は、特定の業態に偏らずに分散して出店することを基本としている点にあります。主にラーメン、うどん、丼を提供する比較的低価格帯の「日常食業態」、肉寿司に代表される居酒屋や、ハワイアンレストラン等の「機会食業態」を中心に、幅広いジャンルのブランドを展開しております。

 

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オペレーションの面では、過去のM&A、業態転換で得たマニュアル化された効率的な店舗運営によりいかに繁盛店(来客数の増加及び利益率の高い店舗)を作るかのノウハウが蓄積されており、これらの経験を活かしてより収益率の高い運営を行いたいと考えております。

サービスについては、「イマをHAPPYに」という企業理念のもと、サービスの質を向上させるため、総務人事部人事課に人材開発担当者を置き、マニュアル整備、教育研修(講習会及びe-ラーニング)、実務への落とし込み、評価、改善のサイクルを回し続けることで、QSCA(Q=クオリティ、S=サービス、C=クレンリネス、A=アトモスフィア)の向上を図っております。

 

事業別売上構成比          単位:千円

事業部門

売上高

構成比

ラーメン事業

11,569,488

67.4%

レストラン事業

2,736,812

15.9%

ステーキ事業

1,489,023

8.7%

肉寿司事業

481,418

2.8%

フランチャイズ事業

661,754

3.9%

その他

220,579

1.3%

合 計

17,159,077

100%

※ 2025年2月期実績

 

事業別店舗数

事業部門

ブランド名

店舗名

サービス内容

店舗数

ラーメン事業

・壱角家

・だるまのめ

・一竜

・てらッちょ。

・壱角家(103店舗) ・横浜道(2店舗)・だるまのめ(4店舗) ・油そば総本店(1店舗) ・壱角堂(1店舗)

・品川製麺所(1店舗) ・一竜(4店舗) ・てらッちょ。(2店舗)

・ラーメン、油そばの提供

118店舗

レストラン事業

・山下本気うどん

・ハワイアン

・山下本気うどん(18店舗)

・RRainbow(2店舗)

・The Veranda(1店舗)

・うどんの提供

・ハワイアン料理の提供

21店舗

ステーキ事業

・情熱のすためしどんどん

・鉄板王国

・MARZAC

・鉄板王国(6店舗) ・ステーキの王様(1店舗) ・情熱のすためしどんどん(11店舗) ・MARZAC(1店舗)

・MARZAC7(1店舗)

・ステーキの提供

・どんぶりの提供

・グリル料理の提供

20店舗

寿司事業

・回転寿司プレミアム海王

・肉寿司

・回転寿司プレミアム海王(1店舗)

・シン・ニクズシマン(1店舗)

・寿司の提供

・肉寿司の提供

2店舗

フランチャイズ事業

・壱角家

・一竜

・肉寿司

・山下本気うどん

・情熱のすためしどんどん

・壱角家(23店舗) ・一竜(4店舗)

・肉寿司(6店舗)

・情熱のすためしどんどん(1店舗)

・各ブランドにおける営業ライセンスの貸与

・FC店舗への経営指導

・FC店舗への食材の卸売り

34店舗

店舗数は2025年2月28日現在

 

1.事業の内容

(1)ラーメン事業

当社のラーメン事業は横浜家系ラーメン『壱角家』、博多豚骨ラーメン『一竜』、『だるまのめ』、背脂醤油とんこつ『てらッちょ。』で構成されており、幅広いラーメンジャンルをカバーしております。

 

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最新の株式会社富士経済「外食産業マーケティング便覧2024」のデータによると、国内におけるラーメン市場規模は、ここ2年の急激な需要回復によりコロナ禍前の規模を超え、特にラーメン専業系の出店拡大が市場を底上げしています。単価の上昇やインバウンド需要も含めこの勢いは続くとみられ、市場は拡大傾向を維持すると見込まれています。

また、店舗数におきましては、食材費、燃料費の高騰の影響で個人店は減少傾向にありますが、チェーン展開を行う大手企業は新規出店を継続しております。

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※出展:外食産業マーケティング便覧2024

 

当事業のメインブランドである横浜家系ラーメン『壱角家』及び『横浜道』は、横浜のご当地ラーメンとして誕生しましたが、今や「家系」という、ラーメンの一ジャンルとして認知・確立されております。

当社の横浜家系ラーメンは、濃厚でクリーミーなスープと、スープが絡みやすい特注の中太麺を特徴としています。当社のスープは仕入れ工場で一括して仕込みまで行い、店舗での調理作業を軽減する仕組みとなっており、整備された調理マニュアルにより顧客へブレのない安定した味の商品を提供しております。

 

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また、卓上には多種類の調味料を用意しており、自分流の味付けができるとリピーター(継続的に複数回ご利用のお客様)にも好評です。現在は首都圏を中心に128店舗展開(2025年2月28日現在)しております。

 

駅前立地の路面店を中心に出店しておりますが、『壱角家』の認知度が向上してきたことで、商業施設内のフードコートからの引き合いが多くなり、2020年1月に初のフードコートへの出店を行い、現在出店中の7店舗(2025年2月現在)はいずれも好評を得ております。既存店舗の客層は若年男性が中心でしたが、フードコートへの出店により家族連れの来店が増え、新たな顧客層の開拓にも繋がりました。

店舗でのオペレーションにおいては、人材育成に重きを置き、定期的な営業店舗社員の研修、長年の経験から積み上げたマニュアルによる効率化、QSCA(Q=クオリティ、S=サービス、C=クレンリネス、A=アトモスフィア)向上の意識徹底を実施しております。気持ちの良い接客といつでも同じ味が提供できる店舗環境の整備によって、リピーター顧客を増やすことを目指しております。

上記のとおり、集客性の良い駅前立地の店舗において、調理経験の浅い従業員でも提供可能かつ安定した味わいの濃厚なラーメン、質の良いサービスを提供し、また毎年新規店舗を出店していくことで、安定的な高収益と事業拡大の両立を実現しております。

居抜き店舗を活用するなど初期投資を低く抑えていることに加え、収益率は高いことから(営業利益率21.4% 2025年2月実績)、投資回収期間が短い業態です。(2025年2月末時点で壱角家の平均投資回収期間は20.0カ月、最短は4カ月を実現しています。)今後は首都圏中心に自己資本で更なるドミナント展開を進め、また、フランチャイズ方式により全国に店舗を展開したいと考えております。

また、料金面におきましては、大手チェーン店9社の通常商品の平均価格が749円(自社調べ:商品価格は各社HP、グルメ媒体より引用)となっているところ、壱角家では980円~1,130円と店舗毎に価格設定を行うダイナミックプライシングを採用しており、店舗のロケーション、営業時間帯により料金を変更することで、適正な利益を確保しております。

 

『元祖博多中州屋台とんこつラーメン 一竜』は、1955年に開業し、長い行列が絶えなかった博多中洲の名物屋台をそのまま引き継ぎ再現したブランドであります。いまだに根強いファンも多く、知る人ぞ知る屋台ラーメンであり、国内では西日本、海外ではアジア圏からフランチャイズ加盟の問い合わせが寄せられています。

また、『だるまのめ』は釜炊きとんこつスープを使用し、癖が少なくあっさりしたコクのある白湯スープを使用しており、『てらッちょ。』は醤油とんこつベースのこってりしたスープを使用しております。

 

(2)レストラン事業

当社のレストラン事業は、ハワイアンフードを中心とした洋食を扱うハワイアンレストラン、『山下本気うどん』等、ラーメン事業と比較して顧客の滞在時間が長い業態で構成されております。

 

ハワイアンレストランは、まるでハワイに来ているようなリゾート感あふれる店内で、「ロコモコ」や「特製ガーリックシュリンプ」等のハワイアングルメを提供するブランドであります。「オープンテラスのあるハワイアンレストラン」をコンセプトに、『RRainbow』、『The Veranda』を都内、及び横浜に展開しております。家族連れや団体の貸し切りパーティー、女子会等での利用も多く、昼間はカフェとしても女性客を中心に人気があります。

 

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『山下本気うどん』は、2017年6月にライセンスを取得しました。その後、業態のブラッシュアップ(好立地への出店及び内外装を洗練し、映えるメニューの開発を実施。)を重ね、2021年10月に商標を獲得し、高収益化及びブランド構築に成功しました。2021年2月期より本格的に店舗展開を開始し、現在は宅配の売上も好調であります。

今後は当社の成長ドライバーと位置付け山下本気うどんの出店を継続してまいります。

店舗外観や内装は、落ち着いた和の雰囲気をイメージしています。基本の味付けや麺は、グルメレビューサイトでも高い評価を受け行列の絶えない名店『慎』の味を踏襲し、加えて見栄えの楽しさも意識した期間・季節限定メニュー、新メニュー開発を積極的に行っております。

期間限定メニューにて販売を開始した「白い明太チーズクリームうどん」は、食べやすい味付けとインパクトのある見た目で女性客を中心に好評を博し、SNSでの情報拡散やTV等のメディアに度々取り上げられたことで人気が上昇したため、現在は常時ご利用いただけるレギュラーメニューとして、既に定番メニューとなっている「名物鶏天うどん」、「明太タルタルぶっかけうどん」と併せて全店舗で展開しております。また、店舗ごとに異なる期間限定メニューを提供することで、メニューの特色を活かした集客を行っております。

 

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うどん市場は、他社ブランドも含め安定した業績推移となり、観光地、繁華街ではインバウンド需要が増加し、市場規模はプラス推移が見込まれており、店舗数も増加傾向とする予想となっています。

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※出展:外食産業マーケティング便覧2024

 

日本人のソウルフードであるうどんを提供する市場において、山下本気うどんは、SNS映えをする創作うどんを中心とするキラー商品と、こだわりのある店内仕込みによる質の高い定番うどんを揃え、落ち着いて食事ができる空間と質の高いサービスを提供しております。

山下本気うどん渋谷並木橋が開店した2017年10月から直近の2025年2月までの期間において、投資回収は10号店目まで目標期間内に回収済み。10号店目までの平均投資回収は18カ月となっており、高い利益率を実現することで早期投資回収を可能としています。今後は首都圏中心に自己資本で更なる新規出店を進めるとともに、フランチャイズ方式により全国に店舗を展開したいと考えております。

立地戦略と致しまして、直営での新規出店につきましては従来、駅近の好立地物件を中心に出店してまいりましたが、商業ビル、郊外型ショッピングセンター、アウトレット等のレストランフロア・フードコートへと出店範囲を広げることで、新たな顧客層の取り込みを図って参ります。

 

また、商品単価の高い季節商品・創作商品等のキラー商品はメニュー全体の11.8%という商品構成割合ですが、平均単価は1,373円(定番商品は992円)、山下本気うどんにおけるうどんカテゴリ全体の売上高の34.3%を占める構成となっており、有名うどん競合チェーンと比べて客単価の高いビジネスモデルとなっています。(2025年2月実績)

 

今後はインバウンド需要の回復にともなって、当初から注力してきたSNSマーケティングにより、訪日外国人に積極的に日本食を提供できる環境の整備を急いでおります。従いまして『山下本気うどん』は、今後の事業展開の柱となるグローバルブランドであると考えております。

また、現プロ野球日本ハムファイターズの監督である新庄剛志氏による2022年3月ブランドアンバサダーの就任、SNSでの拡散、TV番組への出演などにより知名度が向上した結果、商業施設からの引き合いも多く、引き続き出店を加速していく方針です。

 

(3)ステーキ事業

『鉄板王国』、『ステーキの王様』は焼きたてのステーキやハンバーグをリーズナブルな価格で提供しており(お客様一人当たり売上単価1,567円、2025年2月実績)、熱々の鉄板で好みの焼き加減に仕上げたステーキと、厳選した十数種類のスパイスや果実を独自にブレンドしたオリジナルソースとともに提供しております。国産米、毎日仕入れる新鮮な野菜等、肉以外の食材にもこだわっております。

 

『情熱のすためしどんどん』は独自に開発したニンニク醤油で炒めた豚バラを、熱々のご飯に載せた丼ぶりを提供しております。

 

『MARZAC』は気軽に立ち寄れる「ワイン食堂」をコンセプトに、ワインと炭焼き料理を提供するブランドになります。

ワインに合うイタリア料理やフレンチの技術を使った料理、和の食材を使った料理など、様々なお料理をアラカルト・コースにてお楽しみいただけます。同ブランドは、表参道『MARZAC』、中目黒『MARZAC7』の2店舗を展開しており、両店舗ともに、団体の貸切パーティーから少人数での会食に利用されております。

 

(4)寿司事業

『回転寿司プレミアム海王』は、お台場の大規模商業施設であるダイバーシティ東京プラザに店を構え、観光で訪れる国内外のお客様に対し、日本全国から厳選した新鮮で質の高い旬の食材を取り寄せ、握り寿司だけでなく創作寿司やおつまみなど豊富なメニューを提供しております。

また、食べ放題メニューの実施、インバウンド向けに金箔をふんだんに使ったプレミアムゴールド握り等、顧客のニーズに対応する企画を行い集客に努めております。

 

『肉寿司/シン・ニクズシマン』は、「肉を美味しく食べる方法と、新しい価値の有る料理」をコンセプトに、飲食店として最も大切な安全性を確保しながら、肉の可能性を探る研究を続け、馬・牛・豚・鶏・ホルモン等、あらゆる肉を最適な調理法で提供する肉料理専門の寿司店として誕生したブランドです。

特に馬肉は栄養価が高く、カルシウム・鉄分・ビタミン・グリコーゲンを豊富に含むうえ、低カロリー・高たんぱくで、健康と美容に理想的とされ、アスリートの肉体をつくる食材としても注目を集めております。

『シン・ニクズシマン』は、看板にネオン管を使用し、明るくポップな雰囲気を演出した店舗作りで肉寿司のメニューをベースに低アルコール度数のカラフルなフルーツサワーやカクテルを提供しております。

 

(5)フランチャイズ事業

①国内

横浜家系ラーメン『壱角家』、『肉寿司』、『元祖博多中州屋台とんこつラーメン 一竜』、2023年3月からは『山下本気うどん』を加え、フランチャイズ本部を立ち上げ、フランチャイズ方式を用いて事業展開しておりラーメンフランチャイズ店舗においては、スーパーバイザーによる経営指導、食材の卸売りを行っており、『肉寿司』フランチャイズにおいては前記の他、ブランド使用のよる対価としてロイヤルティを徴収しております。

 

『壱角家』は国内・海外フランチャイズ加盟店23店舗(国内20店舗、海外3店舗)を展開しております。『肉寿司』は、2017年7月よりフランチャイズ加盟店を中心に全国展開を進め、現在ではフランチャイズ加盟店6店舗を展開しております。(2025年2月28日現在)

 

『壱角家』のフランチャイズ加盟店は既に20店舗を超える規模に成長しており、スケールメリットを活かし事業を継続・発展させるために、フランチャイズ展開による事業拡大は大いに役立ちます。直営展開に加えフランチャイズ展開を加速することは、市場シェアをさらに高め、オペレーションノウハウを蓄積させ、ひいてはブランド力向上へと繋がります。

2024年2月期より、うどん事業の『山下本気うどん』もフランチャイズ加盟募集を開始しており、複数のブランドをフランチャイズ展開することでポートフォリオを構築し、ヒト・モノ・カネといった経営資源を各ブランドの隆盛に合わせて最適に配分しながら、持続可能な競争優位性を確立したいと考えております。

 

また、当社ブランドの店舗は駅前立地への出店が多く、また、視認性の高い大きな看板と鮮やかなロゴマーク等、ブランドアイデンティティを高めた店舗作りを意識しており、国内・海外の有力企業及び投資家からフランチャイズのお問い合わせを募っております。

 

②海外

現在、アジア圏を中心に海外フランチャイズを展開しています。特に著しい経済発展を見せる東南アジア等の新興国を中心に年間可処分所得の増加にともない、人々が求める商品やサービスは、必要を満たすものから、より良いものや体験したことのないものへと変化しております。こうした「消費市場」への移行のなかで、アジア圏におけるサービス産業は目覚ましく発展し、GDPに占めるサービス産業の割合も増加しております。また、日本ブランドは依然として現地で高い評価を得ております。

当社は、①自社にて加盟者を募るフランチャイズ方式、②海外企業・メーカー等との業務提携により出店するライセンス方式の2つの手法を用いて、アジア圏の国々をはじめとした海外においても、将来的に自社ブランド店舗の展開を行っていく方針であります。

多彩なメニュー構成、現地の食文化に合わせたローカライズ等、これまでに蓄積したノウハウを活かし、「日本の国民食」に新しい価値を加え、世界に発信したいと考えております。

(6)その他

店舗開発部において、店舗物件情報の早期取得を目的として不動産事業を行っており、一部不動産仲介、不動産転貸借を手掛けております。

 

 

2.事業系統図

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4【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年2月28日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

286

1,009

39.0

5.6

5,441,311

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマー)は、年間の平均人員を(1日1人8時間換算)を()外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)労働組合の状況

当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

7.4

62.5

66.8

79.0

86.2

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64条)の規定に基づき算出し

たものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76

号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。