文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念を以下のとおり定めています。また、企業理念に謳われた使命を果たし、持続的な成長を遂げるために、社員一人ひとりが持つべき考え方、価値観、行動規範をKDDIフィロソフィとして定め、心をひとつにしてこれらを共有し実践していくことに努めております。
■企業理念
KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。
(1)中長期的な会社の経営戦略
現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、通信の社会的役割がより一層重要になる中、AI技術の進化により、生活や産業など社会全般において新たな価値創造の時代が到来しつつあります。また、日本国内では、生産性向上や脱炭素化など、サステナブルな社会の実現に向け、産業構造の変革が期待されています。
当社は、データ及び生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、昨年5月に事業戦略「サテライトグロース戦略」をアップデートしました。アップデートした事業戦略の下、2022年5月に策定した「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向けて、今後も「『命』『暮らし』『心』をつなぐ」を使命に、社会的に重要な役割を果たすとともに、お客さまの期待を超える感動をお届けすることで、引き続き社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
<中期経営戦略(2022-25年度)>
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■企業理念 KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。 ■ブランドメッセージ Tomorrow, Together KDDI / おもしろいほうの未来へ。au ■目指す姿 ①お客さまに一番身近に感じてもらえる会社 ②ワクワクを提案し続ける会社 ③社会の持続的な成長に貢献する会社 ■KDDI VISION 2030 「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。 ■財務目標 |
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持続的な成長に向け、成長投資・株主還元を引き続き強化します。EPS※については、2018年度対比1.5倍を引き続き目指します。株主還元については、安定的な配当を継続し、配当性向40%超、成長投資の状況などを鑑み、機動的な自己株式取得を実施します。
※ 「Earnings Per Share」の略で、1株当たり当期利益。
(2)対処すべき課題(中期経営戦略 ―サステナビリティ経営―)
「中期経営戦略(2022-25年度)」では、パートナーの皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指す-サステナビリティ経営-を根幹にしています。高品質・高信頼の「5G通信」をベースとし、「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を進めるコア事業を中心に、パートナーの皆さまと共に新たな価値が生まれる時代を目指すとともに、それを支える経営基盤を強化します。
<事業戦略 ~ サテライトグロース戦略 ~>
コア事業に加え、それらと連携し当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)を推進し、KDDIグループの企業価値の最大化を図ります。
■Orbit1
(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)
・ 法人事業ブランド「KDDI BUSINESS」のもと、昨年5月にAI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX(ワコンクロス)」を始動しました。さまざまなパートナー企業との共創により業界別のプラットフォームを構築し、サービス化することで法人のお客さまの事業成長と社会課題解決に貢献します。
(2)金融
・ 金融クロスユースの拡大を推進し、通信と金融によるエンゲージメント向上へ寄与します。また、金融各機能のさらなるスケール化を推進し、KDDIグループの金融各社の成長を実現します。
(3)エネルギー
・ 電力小売事業を引き続き強化するとともに、脱炭素関連事業の拡大を図り、カーボンニュートラルへ貢献します。
■Orbit2
(1)LX(モビリティ/宇宙/ヘルスケア/スポーツ・エンタメ/Web3・メタバース)
・ 新たな成長の柱として、当社の強みである通信や新技術を活用するとともにパートナリングによってお客さまのライフスタイルの変革に挑戦し、さらなる事業拡大を目指します。
当社はサテライトグロース戦略の推進とあわせて、「To Global」「With Life」「For Future」をテーマに
未来への取り組みも進めることで、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」、「誰もが思いを実現でき
る社会をつくる」ことを目指します。
また当社は、サテライトグロース戦略をリアルな消費生活シーンにおいて強力に推進するため、昨年2月に株式会社ローソン(以下「ローソン」)及び三菱商事株式会社 (以下「三菱商事」)と資本業務提携契約を締結し、昨年8月にはローソン株式取得のクロージングを経て、ローソンは、三菱商事と当社がそれぞれ50%ずつの出資比率となる共同経営体制となりました。3社は、ローソンの「未来のコンビニ」への変革に向けて、三菱商事と当社が有する事業基盤やAI・DX技術を活用することで、「Real×Tech Convenience」の拡大を推進するとともに、自治体と連携してお店と地域が抱える社会的課題を解決し「マチのほっとステーション」としての役割をさらに深化させていくことを目指します。なお、当社が本社を移転する「TAKANAWA GATEWAYCITY」には、「未来のコンビニ」への変革に向けたさまざまなリテールテックにおける実験ラボの位置づけとなるローソン店舗を開店します。そして、今後は高輪での実証結果をもとに「Real×Tech Convenience」の仕組みを構築することで、他店舗への拡大を目指すとともに、データを活用したマーケティング高度化やPonta経済圏の拡大・活性化を推進し、ローソンの「未来のコンビニ」に向けた変革に協働で取り組んでいきます。
<経営基盤強化>
KDDIグループは、社会と企業の持続的な成長に貢献するため、特に以下の3つの経営基盤を強化します。
(1)カーボンニュートラルの実現
・ 2040年度までにScope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指します。そして、この達成に向けて、当社グループ全体で2030年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、基地局・通信設備などでの省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを推し進めます。
(2)人財ファースト企業への変革
・ 「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の三位一体改革に取り組んでおり、社員が幸せで、活力ある企業であり続けるために、社員の「健康」を重要な経営課題と捉え、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進し、豊かな未来に向けて挑戦し続けていきます。
(3)グループ一体経営の推進とガバナンスの強化
・ 経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げる「KDDIフィロソフィ」を礎に、人権を尊重し、透明性・公平性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社は発足以来、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念として掲げてまいりました。昨今、生活やビジネスのさまざまな場所でIoTが活用されるなど、通信が果たす役割はますます重要になっており、さらには価値観の多様化やサステナビリティの重要性の高まり、次世代技術の発展など、事業を取り巻く環境は大きく変化しています。
このような事業環境の変化に対応しながら、ありたい未来社会を実現するため、当社は2022年5月に2030年に向けたビジョンとして「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を新たに掲げました。あらゆるものに通信がますます溶け込んでいく時代の中、「つなぐチカラ」を進化させ、2030年には、あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在、「社会を支えるプラットフォーマー」になることを目指しています。
2030年を見据え、2022年に始動した中期経営戦略では、「サステナビリティ経営」を根幹とし、パートナーの皆さまとともに「社会の持続的成長」と「企業価値向上」の好循環を目指しています。
そして、この「サステナビリティ経営」のもと、「事業戦略(サテライトグロース戦略)」とそれを支える「経営基盤強化(カーボンニュートラルの実現・人財ファースト企業への変革・グループガバナンスの強化)」を推進しています。
①ガバナンス
サステナビリティ推進体制
サステナビリティ関連のリスク及び機会はサステナビリティ委員会におけるKPIの進捗確認等を通じて管理し、同委員会から取締役会へ定期的に報告することで取締役会がそれらを監視する体制をとっています。
同委員会は、委員長を代表取締役社長、常任委員を取締役、またオブザーバーとして全事業・統括本部長(取締役以外)、KDDI財団理事長、ならびに監査役で構成し、サステナビリティを全社経営戦略の柱として取り組んでいます。
なお、サステナビリティ推進の達成度は全社重点KPIに織り込まれており、役員報酬ならびに全社員の賞与がサステナビリティ推進の達成度に連動する制度設計とすることで、サステナビリティの浸透や行動変容に繋げています。全社重点KPIは、カーボンニュートラルの実現、従業員エンゲージメント、グループガバナンス強化に関する指標が含まれています。
マテリアリティ選定プロセス
当社グループは、23.3期に始動した中期経営戦略の策定に伴い、次のプロセスにてサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を選定しています。
1.サステナビリティ情報開示の国際的なガイドラインであるGRI要請項目および情報通信業界に対するESG評価機関の要請事項から、重要課題を抽出
2.「長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項(縦軸)」と「事業へのインパクト(横軸)」をそれぞれ点数化し、優先順位を設定
3.社外有識者等へのヒアリングにより得られた意見を反映し、6つの最重要課題(マテリアリティ)を特定
4.サステナビリティ委員会および取締役会で妥当性を審議し、確定
②戦略
6つの重要課題(マテリアリティ)
長期投資家等マルチステークホルダーの関心事項と事業へのインパクトを軸に、中期経営戦略における課題をマッピングし集約いたしました。当社の事業変革に必要なイノベーションの推進、事業の多様化に伴う人財強化やガバナンス強化、気候変動など国際社会の課題意識の高まりに対応しています。
当社グループの6つの重要課題(マテリアリティ)に対処するための取組み(実施内容)、指標及び目標は次の
とおりです。
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提供価値 |
サステナビリティ中期目標(23.3期-26.3期) |
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実施内容 |
指標 |
25.3期実績 |
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①未来社会の創造 |
サテライトグロース戦略に基づく事業創造・研究開発プロジェクトの推進 |
プロジェクト数(累計) |
70件 |
80件 |
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自治体さまと連携した LXサービスの提供 |
LXサービス提供地域・施設数の拡大 |
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イノベーションの推進 による知的資本の強化 |
5G/Beyond 5G+サテライトグロース 関連領域の保有特許件数 |
対前年21%増 |
対前年15%増 |
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②サステナブルな 産業・インフラ環境の実現 |
産業・インフラDXへの貢献 |
IoT回線数(累計)※1※2 |
50,524千回線 |
57,500千回線 |
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お客さまの働き方改革を 推進 |
KDDIのお客さま(法人)における、 働き方改革を支援するソリューションの導入率 |
35% |
37% |
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5Gエリアの拡大 |
5G人口カバー率 政府目標99%(31.3期)への貢献※2 |
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重大事故撲滅 |
重大事故発生件数(設備障害) ※総務省の事故報告判断基準 ガイドライン等に準ずる |
0件 |
0件 |
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③地域共創の実現 |
地域のデバイド解消支援 |
支援者数(累計) ※スマホ教室、店頭サポート、使い方サポート、スマホ・ケータイ安全教室、地域体験応援サービスのご利用者数 |
1,717万人 |
2,000万人 |
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金融格差の解消 |
決済・金融取扱高 ※3 |
21.4兆円 |
22.1兆円 |
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④グローバルでの 地域・経済格差の解消 |
新興国における グローバル事業の拡大 |
新興国の国民の人権を尊重し、 国民の生活に不可欠な社会インフラの維持に取り組む |
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モンゴルにおける 通信を活用した 教育や次世代の育成 |
安全なモバイル・インターネット利用 等を促すための教育活動の支援者数 (累計) |
3,762人 |
8,000人 |
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⑤カーボンニュートラルの実現 |
通信設備を含むKDDIの カーボンニュートラル化※4 |
KDDIグループの カーボンニュートラル実現 (Scope1+Scope2) ※5 |
Co2排出量 1.0百万t |
― (目標:FY2030) |
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全世界のKDDIデータセンターで利用する電力の実質再生可能エネルギー割合 100%の達成 ※他社のデータセンター施設や設備を 一部借り受けてサービス提供する形態、閉局予定のデータセンターは除く |
85% |
100% |
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ネットゼロの達成 (Scope1+Scope2+Scope3) |
― |
― (目標:FY2040) |
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追加性ある再生可能 エネルギー |
追加性ある再生可能エネルギー 50%達成 (KDDI単体)※6 |
― |
― (目標:FY2030) |
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次世代再エネ ソリューションの提供 |
法人お客さま向けへのカーボンニュートラル支援ソリューションの提供拡大 ※グリーンICT/通信、電力SL、DX-SL、コンサルティング等 |
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⑥KDDIグループ全体の経営基盤強化 |
グループ全体のガバナンスと情報セキュリティの強化 |
重大事故発生件数※7 ・サイバーセキュリティ起因の個人情報の 漏えいおよび重大なサービスの停止 ・個人情報の不適切な利用 ・上記以外の重大事故 |
0件 |
0件 |
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先進セキュリティ技術への 取組み件数(累計)※8 |
20件 |
23件 |
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⑦人権の尊重 |
人権を尊重した事業活動の実施 |
グループ会社を含めた事業活動における人権リスク評価の実施と その結果に基づく改善 |
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人権デューデリジェンス |
人権侵害の恐れがある 高リスク取引先の活動改善対応率 ※9 |
対応率 100% |
改善率100%の継続 |
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⑧多様なプロ人財の活躍とエンゲージメント向上 |
プロ人財育成の ためのキャリア開発 (人材育成方針) |
各専門領域のプロ人財比率 (KDDI単体) |
※全領域 |
※全領域 |
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全社員におけるDX基礎スキル 研修修了者(KDDI単体:累計) ※習得機会はグループ会社へ拡大 |
全社員( |
※10 |
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社員エンゲージメント サーベイの実施 (社内環境整備方針) |
社員エンゲージメントスコアの 維持向上(KDDI単体) |
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多様性を重視した人財の 活躍推進(DE&I関連) (社内環境整備方針) |
女性取締役の構成比率 (KDDI単体) |
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女性経営基幹職の構成比率 (KDDI単体・STEM除く)※2※11 |
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※1 サービス開始時からの数値
※2 事業環境、社会動向の変化、事業拡大等に伴い指標、目標値を改定
※3 au PAY 決済額+au PAY カード 決済額+auかんたん決済 決済額+auじぶん銀行 決済額+ローン実行額
※4 カーボンニュートラル実現への取組みの詳細はKDDIウェブサイトご参照
(https://www.kddi.com/corporate/sustainability/carbon/)
※5 KDDI連結でカーボンニュートラル実現を目指す
25.3期実績は暫定値
※6 追加性ある再生可能エネルギー電力量の算出方法を再エネ発電設備の工事完了に基づく12カ月間の発電量予測値から、
受電量実績へ見直し
25.3期実績は26.3期2Q決算公表時に開示予定
※7 主務官庁への報告・届け出等レピュテーションを著しく棄損する事案
※8 KDDI単体、KDDI総合研究所によるニュースリリース・トピックス件数
※9 KDDIグループ調達額90%および人権リスクが把握された取引先が対象
※10 25.3期で目標達成済
26.3期は新規入社者(新卒採用/キャリア採用)に受講を推奨
※11 受入出向者・在籍出向者ともに含まず集計
女性比率が低いSTEM領域の職種選択者が80%超の部門は含まず集計
経営基幹職:組織のリーダーならびに専門領域のエキスパート、実績値は2025年4月1日時点の比率
③リスク管理
リスクマネジメント及び内部統制システムの考え方
当社は、会社法に基づき「内部統制システム構築の基本方針」を取締役会にて決議し、当該方針に従ってリスク管理体制を含む内部統制システムを整備・運用しています。経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題と認識し、事業を継続し社会への責任を果たしていくために、グループ全体でリスクマネジメント活動を推進しています。
リスクマネジメント及び内部統制活動
当社は、コーポレート統括本部を中核として、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社及びグループ会社全体でリスクマネジメント活動を推進しています。当社に43名、グループ会社各社に計49名の「内部統制責任者」を配置し、さらにそれを統括する6名の「内部統制統括責任者」を任命しており、同責任者のもと、内部統制システムの整備・運用およびリスクマネジメント活動を推進するとともに、リスクが発現しにくい企業風土を醸成するため業務品質向上活動を展開しています。
リスクマネジメント活動サイクル
当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発現時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。
リスク特定プロセス
当社は、リスク情報を年2回以上見直し、会社事業に重大な影響を与えるリスクを重要リスクと位置付け、これらの重要リスクの発現およびその発現した際の影響を可能な限り低減するための対応策を検討し、対策を講じています。2024年度は、経営目標を確実に達成するために、過去に顕在化した課題の他、事業環境の変化を踏まえ、重要リスク23項目を選定し、リスクの予見、重要リスクの低減活動およびリスクアプローチによる内部監査を実施しました。情報セキュリティ活動においても、グループ全体の統一基準を制定し、グループ全体で情報セキュリティレベルの向上を推進し、情報セキュリティリスクの低減を図っています。これら重要リスクの状況については、財務的影響との関係から「3.事業等のリスク」にも反映しています。
内部統制報告制度(J-SOX)への対応
2008年度から適用された金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への対応として、財務報告の信頼性を確保すべく、当社および国内・海外の主要なグループ会社13社の計14社に対して、内部統制評価を実施しました。評価結果については内部統制報告書として取りまとめ、2025年6月に内閣総理大臣に提出し、投資家の皆さまに開示しています。
業務品質向上活動
当社は、内部統制部門を全社の業務品質向上活動の推進事務局とし、各部門の内部統制責任者が推進責任者となって、業務の効率化・標準化を図りながら自律的に業務の品質を高める業務品質向上活動に取り組んでいます。また、部門を代表する業務変革を成し遂げた案件を表彰する制度を導入しており、従業員一人ひとりの業務品質に対する意識・モチベーションの向上を図っています。
業務品質向上の浸透活動
・各部門において業務品質向上の取り組み目標の策定および振り返りを行い、その内容を全社に共有
・部門を代表する業務変革を達成した案件に対する全社表彰の実施
・業務品質向上活動に対する意識調査アンケートの実施(年1回)
④指標及び目標
(2)人的資本・多様性
①ガバナンス
②戦略
「サステナビリティ経営」を根幹とし、サテライトグロース戦略の推進と、それを支える経営基盤の強化により、パートナー企業の皆さまとともに社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。このうち経営基盤の強化の1つとして、人財ファースト企業への変革を推進しております。
[KDDI VISION 2030の実現に向けて]
KDDIグループでは、DX、金融、エネルギーなどへと事業領域を広げるサテライトグロース戦略を推進する中で、多様な専門性を持つ人財を獲得し、その人財同士が混ざり合うことでのイノベーション創出を追求しています。この実現のためには、社員一人ひとりが専門性を持ち、自律したプロ人財として挑戦・成長し続けることが不可欠です。社員がそれぞれの場所で個性と能力を発揮し、挑戦を通じてスキルを高め、さらにレベルの高い挑戦を重ねることを促しています。それぞれの領域のプロ人財が互いに高め合うことで、グループ全体でプロ人財を輩出し続けるサステナブルな人財ポートフォリオを充実させることを目指していきます。
[これまでの人的資本経営の歩みと現在地]
2020年に「プロ人財を創り、育てる」をコンセプトにしたKDDI版ジョブ型人事制度を導入することにより、年功的な処遇の抜本的に見直しました。制度導入後の意識改革にも取り組むことで社員の成長意欲を促してきました。その結果として、39歳以下の若手管理職の登用数も、制度導入前と比較して2.6倍に増え(2024年4月時点)、キャリア採用者数も新卒採用者数を上回るなど外部人財の獲得に関しても一定の効果を得られました。
現在は、人財の力を通じて事業成長を促すことに注力しています。この取り組みでは、単にプロ人財を集めるだけでなく、互いの専門性を掛け合わせながら新しい価値を創造していかなければなりません。
このため、人財ファースト企業への変革を実現すべく人財戦略をアップデートしました。具体的には、DE&Iの深化や働き方アップデートによる社内環境の整備を進め、さらにジョブ型による人財育成を加速させることで、事業貢献につながる人財戦略を展開していきます。
[4つの重点施策_人材育成方針・社内環境整備方針]
a.ジョブ型の進化と活用促進による人事制度ローリング
2020年のKDDI版ジョブ型人事制度の導入を機に、30の専門領域を大括りで定義しました。これは、社員がプロ人財として成長するための方向性を明確にすることを目的にしています。現場主導での育成を推進するため、それぞれの業務に必要なスキルを特定し、149のジョブに細分化しました。また、これらのスキル習熟度を測れるスキルアセスメントを2024年3月から試験的に導入しました。加えて、必要とされるスキルとそのスキル開発に関する情報を体系的にまとめた社内サイト(ジョブ図鑑)を開設し、キャリア開発や自己研鑽への支援にも取り組んでいます。今後は、環境変化に合わせて必要とされるスキルの内容を随時追加・更新する予定です。社員一人ひとりが施策に納得感を持てるよう、各人財育成施策とも連動させていきます。
b.事業と人財戦略の連動
事業戦略に必要な人財を常に確保、最適化させることを目指しています。事業戦略から逆算して要員計画を立て、採用・育成・配置の各プロセスで一貫した人財マネジメント方針策定に着手しています。具体的には、人財の専門領域やスキルレベルをデータで把握し、将来的な必要要員数を予測しています。このデータに基づき、人財の不足(ギャップ)を解消するための採用・育成・配置計画を立てる仕組みを構築することで、事業戦略の推進に必要な人財が常に最適な質と量で確保できるよう、プロセスの高度化に取り組んでいます。
c.DE&Iの深化
2023年、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に公平性(エクイティ)の視点を加えたDE&Iへフェーズアップしました。これにより、個々の社員に合わせた支援を通じて公平な土台を築き、誰もが思いを実現できる環境・風土を構築することを目標に設定しました。多様な社員が活躍できる環境を整備し、個の違いを組織の力へと変える第一歩として、特に女性活躍推進へ注力しています。
具体的には、職場のジェンダーギャップ解消を目指し、女性経営基幹職の構成比率に関する数値目標を設定しました。この目標達成に向け、2024年4月からは、経営基幹職候補の女性社員の確実な登用を支援するため、本部長層が伴走するスポンサーシッププログラムを開始しました。
また、新卒から経営層に至るまでの全パイプラインにおいて女性の構成比率を高め、継続的な活躍を後押しすることも重要であり、各段階での重要施策を展開しています。
d.働き方アップデート ~心豊かに、仕事に打ち込む~
働き方改革により基幹職(メンバー)の残業時間は減少しましたが、その反動で経営基幹職(リーダー)への業務負荷が集中し、長時間労働が常態化する傾向がみられました。加えて、社員エンゲージメントサーベイから、業務を任される機会が減った基幹職の達成感や成長実感が低下傾向にあることが判明しました。この成長実感の欠如とリーダーの大変さを目の当たりにすることによる将来的なリーダー意向の低下は、経営基幹職への負荷集中に起因する負の循環であり、喫緊の課題です。
この課題を解消するため、全社員が主体的に時間を使え、やりがいを持って自己成長や新しい価値創造に取り組める状態を目指し、会議の見直し、過度な資料作成・報告の削減、休日・時間外の連絡制限など、コミュニケーション改善による時間あたりの生産性向上を推進しています。
また「メンバーが任されない」状況の背景には、インフラ企業としての安定運営を優先し、新たな挑戦が躊躇される組織風土が存在していたのではないか、と考えています。現在、DX、金融、エネルギーなど事業領域を拡大している中で、事業成長のために個人に裁量を持たせ、挑戦を促すカルチャーへの変革が必要です。そこで、業務過多となっているグループリーダー(課長職)の業務をシェアリングする制度(サブグループリーダーを設置し、権限委譲する制度)を導入し、「仕事の任せ方改革」を同時に実現することで「働き方アップデート」を加速させてきました。
なお、KDDIグループは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」という企業理念に基づき、健康経営も推進しています。今後も「KDDIグループ健康経営宣言」のもと、社員が心身ともに健康で意欲的に働ける環境を構築することで、一人ひとりの生産性向上を実現させていきます。
③リスク管理
④指標及び目標
[人材育成方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
[社内環境整備方針に関する指標内容、当該指標を用いた目標及び実績]
社員エンゲージメントスコアについては、当社グループ各社でも、同様の従業員満足度調査を当社グループへ順次拡大しています。
※KDDIグループにおける指標及び目標は、2025年度中に検討し、2026年度以降に目標と実績の開示を行います。
(3)カーボンニュートラルの実現、地球環境保護
当社では、「カーボンニュートラルの実現」を重点課題(マテリアリティ)の一つとしており、2030年度カーボンニュートラル実現※に加え、お客さまへ再生可能エネルギーを提供し、地球規模の課題である気候変動問題の解決に貢献することを目指しています。環境保全への姿勢を定めた「KDDI環境憲章」のもと、かけがえのない地球を次の世代に引き継ぐことができるよう、地球環境保護を推進することがグローバル企業としての重要な責務であると捉え、脱炭素社会の実現、生物多様性の保全、循環型社会の形成に向けた取り組みをグループ会社全体で一体的に推進しています。
気候変動についてはTCFDフレームワーク、生物多様性についてはTNFDフレームワークに準拠して記載しております。
※KDDIのカーボンニュートラルの定義は以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
①ガバナンス
当社は、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役が常任委員を構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、当社における気候変動・自然資本に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動・自然資本に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。
また、自然関連リスク等の評価と対応で影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメントとして、地域社会や住民の方などへの影響も考慮し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。これは、企業理念に基づき、すべてのステークホルダーに対する責任を果たすため、人権尊重の取り組みを明確にするものとして位置付けられています。この方針に基づき、「KDDIグループ重要人権課題」を設定していますが、その中で、「人権に配慮したサービス・商品の提供」を達成するために、「地域社会との調和とサプライチェーン上の人権侵害の排除」を掲げています。設備等の建設にあたって地域住民の人権に配慮するとともに、サプライチェーン上において紛争鉱物の使用等による人権侵害が発生しないように注視することを約束しています。また、現実のおよび潜在的な人権への負の影響に関する対応について、自治体、地域社会、サプライヤー、専門家など関連するステークホルダーとの対話と協議を行うことにより、人権尊重の取り組み向上と改善に努めています。
②戦略
当社は、①COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する1.5℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析と、②バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価を行いました。
当社は2024年5月9日、自然資本保全への貢献のため、中長期の環境保全計画である「KDDI GREEN PLAN」を策定しました。当社は「地球環境との調和」を経営の重要なテーマと捉えており、これまで「KDDI GREEN PLAN 2030」を掲げ、「循環型社会の形成」、「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」を重点課題として環境価値向上に取り組んできました。中長期的な企業価値向上のため、リスクの低減と事業機会の創出についての目標を新設し「KDDI GREEN PLAN」に改称することで、さらなる環境価値向上を目指し活動の活発化を推進していきます。
a.気候変動
シナリオ分析結果
・急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5℃とする目標が達成される未来)
参照::IEA(International Energy Agency)「World Energy Outlook 2021」 Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE Scenario)
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移行リスク分析 |
KDDIとしてのリスク内容 |
KDDIの対応 |
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政策・ 法規制 (短期・中期戦略) |
炭素税 |
炭素税課税リスク※1 |
2030年度末までにKDDIグループ全体のScope1+2のCO2排出量実質ゼロを目指し、活動を推進。 |
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都条例 |
削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク |
21.3期~25.3期の第三計画期間に発生が予想される未達CO2排出量19万t-CO2に相当する排出権(第二計画期間に発生したCO2排出権)を21.3期に4万t-CO2、2023年1月に15万t-CO2をあらかじめ購入した。この排出権は、21.3期~25.3期の第三計画期 間の実績により26.3期~27.3期に充当を予定。 |
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消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入 (中期戦略) |
通信量の増加に伴い発生する通信設備の消費電力の増加リスク |
脱炭素に貢献するサステナブルなデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置を用いたサーバ冷却のための消費される電力を94%削減する三菱重工社とNECネッツエスアイ社との共同研究開発を実施。また、基地局スリープ機能(トラフィックの少ない夜間帯にスリープさせる)を導入し消費電力の削減を推進。ミリ波無線機1機種に対応する機能を内製開発し、ノウハウの蓄積と課題の洗い出しを実施。無線機1台あたり年間約100kWhの電力消費の削減が可能となる。 |
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市場・評判 (長期戦略) |
カーボンニュートラル目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク |
化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを推進。当社の事業運営で消費する電力27億kWhを2030年度までに再生可能エネルギー由来のメニューに切り替え予定。また、グループ会社としてauリニューアブルエナジーが太陽光発電など追加性のある再生可能エネルギー発電事業を運営。 |
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※1 2030年度のCO2排出量見込みは約67.5万t-CO2 のため、IEA NZE 2050に基づく炭素税18,340円/t-CO2の場合、年間約123.8億円の
課税を想定。課税対象となるCO2排出量の削減のため、再生可能エネルギーへの切り替えるのに必要なコストは約54億円と想定
・気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)
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物理的リスク分析 (物理的シナリオ「RCP8.5」を用いて分析) |
KDDIとしてのリスク内容 |
KDDIの対応 |
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急性 |
(台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇 |
迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスク |
BCP※2の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え |
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慢性 |
平均気温上昇 |
お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク |
高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換 |
※2 Business Continuity Plan(事業継続計画)
参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書
b.自然資本
バリューチェーンにおける自然関連リスク等を特定し、評価しています。事業規模と自然資本との関係から、優先度を定性的に評価・判断し、自然関連リスク等を分析、対応策を検討・推進しています。
自社固有の事業的観点等を踏まえ、識別した依存と影響の重要な項目は以下の通りです。
・ 携帯端末の原材料(特に金属類)の採取における鉱山掘削、特に陸域の土地利用変化や水資源への影響
・ 携帯端末の製造における有害物質の使用による土壌汚染
・ 基地局建設や通信ケーブル設置に伴う陸域をはじめとした土地利用変化への影響
・ 基地局・通信ケーブルを構成する原材料調達における水資源や気候・土地の安定化機能への依存
シナリオⅠ:気候変動対策と生物多様性の保全が進み、平均気温の上昇が 1.5℃以内に抑えられ、自然資本の劣化が緩やかな世界の実現に向かう世界を想定
シナリオⅢ::気候変動対策と生物多様性の保全に失敗し、平均気温の上昇が 4℃以上に至り、自然資本の劣化が甚大な世界の実現に向かう世界を想定
③リスク管理
当社グループのリスク管理を主管するコーポレート統括本部は、気候変動や自然資本関連を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動・自然資本に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行います。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会であるカーボンニュートラル部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。
④指標及び目標
当社は、脱炭素社会の実現を加速させるため、KDDIグループ(※1)として2040年度末までにネットゼロ達成を目指す目標を含む4つの環境目標を策定しています。
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環境目標(※2) |
目標年度 |
内容 |
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1 |
KDDIグループネットゼロ達成 |
2040年度 |
KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1(※3)およびScope2(※4))に加え、Scope3(※5)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を達成。 |
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2 |
KDDIグループカーボンニュートラル達成 |
2030年度 |
KDDIグループの事業活動に関わる排出(Scope1およびScope2) |
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3 |
KDDI追加性(※6)再生可能エネルギー比率50%以上 |
2030年度 |
KDDIが消費する電力に占める、追加性のある再生可能エネルギーの比率50%以上を達成 |
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4 |
Telehouseのデータセンターが使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え |
2025年度 |
KDDIグループがTelehouseブランドで展開している全世界のデータセンターに関して、目標を「使用電力の100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替える」と再定義し、目標年度を従来目標より1年前倒して達成。 |
(※1)KDDI本体および連結子会社を対象とします。
(※2)各目標の定義については、以下をご参照ください。
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/efforts-environment/policy/#a03
(※3)事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
(※4)他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
(※5)Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)。
(※6)企業自身が太陽光発電設備などを新たに導入することで、社会全体の再生可能エネルギー導入量増加につながる効果を持つこと。
当社は、2012年度よりKDDI単体、2021年度より当社グループの温室効果ガス排出量を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。
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CO2排出量 |
2024年度(推定値、連結) |
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Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出) |
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Scope2(他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計値 |
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最新情報は、9月以降に公表予定のサステナビリティ統合レポート2025における温室効果ガスScope1+2の排出量(実績)に関する記載をご参照ください。
また、当社ではScope2以外の間接排出であるScope3排出量を2040年度末までに実質ゼロにすることを目標にしており、2023年度のScope3排出量の実績値はKDDI単体において4,974,398 t-CO2となりました。Scope3排出量のうち、カテゴリ1、カテゴリ2が全体の95%を占めており、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。
自然関連の指標として、温室効果ガス排出量のほかに、水資源消費量、産業廃棄物排出量等を定量的に把握するとともに、廃棄物削減の取り組みを測る指標として使用済み携帯電話などの回収数をモニタリングしています。
さらに、KDDIグループのサプライチェーン全体の状況を把握するため、主要なお取引先さまに対してアンケートを行い、サステナブル調達における環境取り組みの重要性をご理解いただけるよう啓発・支援するとともに、課題や取り組み状況の共有をお願いしています。アンケート結果をはじめとしたサステナブル調達の推進に関する事項は、サステナビリティ担当役員(コーポレート統括本部長)に定期的に報告され監督されています。2023年度からは、3社(日本電信電話株式会社、KDDI、ソフトバンク株式会社)共通SAQ(Self-Assessment Questionnaire(自評価調査))を導入し、お取引先さまとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組んでいます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社は、リスクマネジメント活動を一元的に推進する体制を整えています。また、グループ全体の持続的な成長を実現するため、当社のみならず子会社などを含むグループ全体でのリスクマネジメントの推進に取り組んでいます。当社は、会社の危機を未然に防ぐためには、その予兆を把握し、事態が悪化する前に対策を講じることが重要という認識のもと、リスクマネジメント活動のPDCAサイクルを構築しています。また、リスクの発見時には迅速かつ適切な対応がとれる危機管理体制を整備しています。当社は、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。
(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化
新型コロナウイルス感染症の流行により、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。政府においても、デジタル実装を通じた地域活性化を推進する「デジタル田園都市国家構想」が掲げられ、人々の暮らしやビジネスのデジタル化が加速しています。当社は生活者の新たなライフスタイルをサポートし、経済発展と社会課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造に向けた取り組みを推進します。
なお、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか
・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか
・人口減少、高齢化に伴い期待通りの収入をあげられるかどうか
・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか
・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客さま維持コストの増大
・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下
・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客さまの満足度を維持できるかどうか
・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか
・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応
・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇販売コミッションの増加
・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客さま満足度の低下や防止対応コストの増加
・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加
・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか
・新たな高速データ無線技術による競争激化
・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響
・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小
・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性
・異業種との提携、通信と電力等のその他商品とのセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化
・金融事業における競争において期待通りの収入を上げられるかどうか
・金融事業の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により、不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じることによる貸倒引当金の追加計上
・燃料高騰等による通信設備コストの増加及びエネルギー事業における電力調達コストの増加
・日本国内における人件費や建設費、物価の高騰に伴う仕入コスト等の増加
・米国による関税率の引き上げに伴う端末価格等の高騰
(2)通信の秘密及び顧客情報の不適切な取り扱いや流出、及び、当社の提供する製品・サービスの不適切な利用等
近年、第三者によるサイバー攻撃等によって、重要な機密情報が外部流出する事故やサービス不正利用が世界的に発生しており、大きな社会問題となっています。これらのサイバー攻撃は、今や、自然災害や気候変動などに迫る大きなリスクとして考えられるようになっています。
当社グループでは、「KDDI行動指針」「KDDIセキュリティポリシー」「KDDIプライバシーポリシー」「KDDIグループAI開発・利活用原則」の策定やリスクマネジメント委員会の設置により、コンプライアンス体制を確立しています。
当社は電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、取り扱う情報資産の保護や管理については、リスクマネジメント委員会配下に情報セキュリティ部会を設置し、内部からの情報漏洩防止、外部ネットワークからの不正侵入を防ぐための全社的対応策の策定及びGDPRなどのグローバル法制度の対応を実施しています。
その他、顧客情報を管理するシステムでは、利用権限の管理やアクセスログの保存、監視の強化、社内データ持ち出しの制限など、技術的、組織的、人的な観点から各種の安全管理措置を強化しています。
これらの啓発活動として、当社全社員に対して継続的に通信の秘密及び顧客情報の保護に関する教育を行い、また、業務委託先、特に販売店であるauショップに対しても、情報漏洩のリスクを踏まえ、定期的な監査や教育、 セキュリティポリシーの遵守、情報取扱に関連した業務改善を徹底し、管理強化を図っています。加えて、リスクの高い顧客情報取扱業務に対しては、監査を強化しています。さらに、適正な顧客情報の取扱いを行うために、社内組織の整備、第三者による評価の実施、サービス導入前のプライバシー影響評価(PIA)の導入等の対応を実施しています。
また、サイバー攻撃による事業影響の回避や低減に向け、事業を担うシステムが守るべきセキュリティ対策の基準をセキュリティ規程として定め、規程への準拠状況を審査しています。本審査を、システムの企画から開発への移行フェーズにおいて厳格に実施することで、企画・設計段階からセキュリティ対策を考慮した「セキュリティバイデザイン」を実現するだけでなく、高度なセキュリティ監視を支える技術開発を進め、システムのセキュリティを強化し、安心・安全なサービスの提供に努めています。
お客さまに安心・安全に製品・サービスをご利用いただくための取り組みについては、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等に基づき、未成年のご契約時は原則としてフィルタリングサービスの設定を実施するとともに、フィルタリングサービスの利便性や認知度向上にも積極的に取り組んでいます。また、フィッシングサイトの発生やサービスの不正利用を24時間365日で監視・検知し、関連機関と連携したフィッシングサイトの閉鎖や、不正を検知したアカウントに対する利用制限により被害を抑止しています。サービスの不正利用の手口は日々巧妙化しているため、新たな脅威への対策にも取り組んでいきます。
これらの取り組みにもかかわらず、従業員の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃等により、通信の秘密及び顧客情報の漏洩、サービス停止・サービス品質低下が発生した場合、もしくは、当社の提供する製品・サービスが不適切に利用された場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護、サイバー攻撃防護体制の整備のため、更なるコストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)通信障害・自然災害・事故等
当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失、SNSなどの媒体を通じた風評被害等が発生した場合も同様の影響が生じる可能性があります。
当社グループは通信障害・自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。具体的には災害時においても通信サービスを確保できるよう、防災業務実施の方針を定め、災害に備えた対策を図り、国内外の関係機関と密接な連絡調整を行っています。災害が発生した場合には、各社組織の各機能を最大限に発揮して24時間365日、通信の疎通確保と施設の早期復旧に努めております。
当社連結子会社であるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.(以下「KSGM」)は、ミャンマー運輸通信省傘下組織であるミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っておりますが、2021年2月に発生した政変によって事業活動が制限されるなどした場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、KSGMは本事業活動におけるリース債権を保有しており、2022年4月以降開始されたミャンマー中央銀行及び外国為替監督委員会による外国為替管理の規制により、USドル建てのリース債権の回収に制限を受けております。当連結会計年度において、MPTとの通信事業運営サポートに関する契約の改定を行い、MPTに対するリース債権に関する支払条件が変更されました。当該支払条件の変更により、信用減損ではない金融資産112,211百万円の認識を中止し、新たな金融資産として購入又は組成した信用減損金融資産19,967百万円を認識しております。新たな金融資産の測定にあたり用いた仮定は、前提とした状況が変化すれば、当該金融資産の償却原価の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、ミャンマー通信事業に係るリース債権の詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 32.金融商品」に記載しています。
当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。
・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の2次災害
・感染症の世界的流行(パンデミック)
・戦争、テロ、事故その他不測の事態
・電力不足、停電
・コンピューターウィルス、サイバー攻撃、ハッキング
・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合
・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥
(4)電気通信事業等に関する法規制、政策決定等
電気通信事業をはじめ、電気事業や金融事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会、意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
2025年5月21日に「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」が成立しましたが、日本の電気通信事業の公平な競争環境の確保は、公正競争ルールを規定した電気通信事業法と、日本電信電話公社から資産や設備(以下、特別な資産)を継承した日本電信電話株式会社と東日本電信電話株式会社および西日本電信電話株式会社に対して公益的な責務などを課す「日本電信電話株式会社等に関する法律(以下 NTT法)」を組み合わせて実現されています。
NTTの特別な資産の維持・保護、国民生活や地域を守るユニバーサルサービスの確保、利用者利便を高める公正な競争の促進および安全保障などの確保に向けて、今後も時代に即したNTT法の必要な見直しや強化などを適切に行いながら、NTT法を維持することが必要不可欠です。
これまでのNTTによる株式会社NTTドコモの完全子会社化や今般の株式会社NTTデータグループの完全子会社化、さらに今後も組織または事業の統合・譲渡などのNTTグループ一体化が進むと、その事業運営によって公正な競争環境が阻害され、効率性とグループ利益を優先する結果、国民生活や地域を守る全国のユニバーサルサービスを含めたわが国の電気通信の健全な発達および国民の利便の確保が損なわれるおそれがあるため、NTTのあり方については適時適切に検証を行い、必要な措置を講じるなど、慎重な政策議論が必要と考えております。
その他、電気通信事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、電気通信事業、電気事業や金融事業等の政策決定等に限らず、不確実性が存在しています。
(5)公的規制
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、さまざまな政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止法、特許、消費者、租税、為替、環境、労働、金融(自己資本比率規制等)、電力等の法規制の適用を受けております。当社グループはこれらの法規制に係る情報を早期に収集し、必要な手続・対応を行っております。なお、これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。
(6)訴訟・特許
当社グループは、国内外で事業活動を行っており、その遂行に当たっては、各国の法令その他社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行っております。また、保有する商品、技術またはサービスに係る知的財産権を保護するとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めています。なお、予期せぬ知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成・労務管理
当社グループは、技術革新に即応すべく全社をあげて人材育成、キャリア形成の支援に注力しておりますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあり、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。また、当社グループは法令に基づき適正な労務管理、働き方改革の推進に努めております。なお、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)減損会計
当社グループは、IFRSに準拠して資産の減損の兆候の判定や減損テスト等を行い適切な処理を行っております。将来において事業状況が悪化した場合、回収可能価額の低下により、保有するのれんを含む資産の減損損失が発生する可能性があります。
(9)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編
当社グループは、市場環境の変化に対して、事業戦略の着実な推進や必要に応じて事業再編を行っておりますが、国内外の電気通信業界の再編が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
現代社会において、通信はあらゆるものに溶け込んでおり、通信の社会的役割がより一層重要になる中、AI技術の進化により、生活や産業など社会全般において、新たな価値創造の時代が到来しつつあります。また、日本国内では、生産性向上や脱炭素化など、サステナブルな社会の実現に向け、産業構造の変革が期待されています。
当社は、データ及び生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、昨年5月に事業戦略「サテライトグロース戦略」をアップデートしました。アップデートした事業戦略の下、2022年5月に策定した「KDDI VISION 2030:『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」の実現に向けて、今後も「『命』『暮らし』『心』をつなぐ」を使命に、社会的に重要な役割を果たすとともに、お客さまの期待を超える感動をお届けすることで、引き続き社会の持続的成長と企業価値の向上を目指していきます。
サテライトグロース戦略では、高品質・高信頼の「5G通信」をベースとし、「データドリブン」の実践と「生成AI」の社会実装を進めるコア事業を中心に、パートナーの皆さまとともに新たな価値を創造し、「つなぐチカラ」の進化を加速しています。生成AIの社会実装については、国内トップクラスのLLM(大規模言語モデル)の研究開発力を有するスタートアップ企業との提携や、当社グループの計算基盤及びネットワーク資源を活用し、付加価値の創出に取り組んでいます。
また、コア事業と連携し、当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「金融」「エネルギー」の3領域に注力し、パートナーの皆さまとの連携や通信事業とのシナジー最大化などに取り組み、引き続き成長を加速していきます。特に「DX」においては、昨年5月に、AIが溶け込む時代の新たなビジネスプラットフォームとして「WAKONX(ワコンクロス)」を始動しました。
WAKONXでは、社会のDX加速に不可欠な、AI・データ基盤・ネットワーク・運用保守をワンストップで提供することで、社会課題・業界課題の解決や日本企業の事業成長を加速していきます。
加えて、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)には、「モビリティ」「宇宙」「ヘルスケア」「Web3・メタバース」「スポーツ・エンタメ」の5領域を設定しています。当社の強みである通信や新技術を活用するとともに、パートナリングによってお客さまのライフスタイルの変革に挑戦し、さらなる事業拡大を目指します。
さらに、当社はサテライトグロース戦略の推進と併せて、「To Global」「With Life」「For Future」をテーマに未来への取組みも進めることで、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」として、誰もが思いを実現できる社会をつくることを目指します。
また当社は、サテライトグロース戦略をリアルな消費生活シーンにおいて強力に推進するため、昨年2月に株式会社ローソン(以下「ローソン」)及び三菱商事株式会社 (以下「三菱商事」)と資本業務提携契約を締結し、昨年8月にはローソン株式取得のクロージングを経て、ローソンは、三菱商事と当社がそれぞれ50%ずつの出資比率となる共同経営体制となりました。3社は、ローソンの「未来のコンビニ」への変革に向けて、三菱商事と当社が有する事業基盤やAI・DX技術を活用することで、「Real×Tech Convenience」の拡大を推進するとともに、自治体と連携してお店と地域が抱える社会的課題を解決し「マチのほっとステーション」としての役割をさらに深化させていくことを目指します。なお、当社が本社を移転する「TAKANAWA GATEWAY CITY」には、「未来のコンビニ」への変革に向けたさまざまなリテールテックにおける実験ラボの位置づけとなるローソン店舗を開店します。そして、今後は高輪での実証結果をもとに「Real×Tech Convenience」の仕組みを構築することで、他店舗への拡大を目指すとともに、データを活用したマーケティング高度化やPonta経済圏の拡大・活性化を推進し、ローソンの「未来のコンビニ」に向けた変革に協働で取り組んでいきます。
さらに、地球規模で大きな課題となっている、カーボンニュートラルを始めとするサステナビリティ課題についても積極的に取り組んでいます。当社が重要課題(マテリアリティ)の一つとして掲げる「カーボンニュートラルの実現」については、昨年5月に新たな目標を策定し、2040年度までにScope3を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指します。そして、この達成に向けて、当社グループ全体で2030年度のCO2排出量実質ゼロの実現を目指し、基地局・通信設備等の省電力化や再生可能エネルギーへのシフトを強力に推し進めます。
変化の激しい事業環境の中で持続的成長を実現するには、「イノベーションの推進」及び社員や組織の高度な自律性と成長を促す「人財ファースト企業」への変革が不可欠です。「イノベーションの推進」においては、Beyond 5G/6Gを見据えた先端技術の研究開発に挑み続けるとともに、産学官連携によるオープンイノベーションや外部パートナーとのコラボレーションを推進しています。また、日本国土強靭化や国際競争力向上を目指し、ソフトバンク株式会社とのインフラシェアリング等、競合他社との協調にも引き続き積極的に取り組んでいきます。
「人財ファースト企業」への変革については、従前より取り組んできた「新人事制度の浸透」「KDDI版ジョブ型人事制度によるプロ人財育成」「社員エンゲージメント向上」の三位一体改革を進化させ、社員のキャリア自律と成長のさらなる支援の取組みと、ワークスタイルの変革を促進しています。
引き続き当社は、経営層と従業員の共通の考え方・行動規範として掲げる「KDDIフィロソフィ」と、人権を尊重し、透明性・公正性を担保したコーポレート・ガバナンス体制との相乗効果により、リスクマネジメント・情報セキュリティ体制の強化を進め、グループ一体経営の推進に努めていきます。
■連結業績
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(単位:百万円) |
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2024年3月期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 |
2025年3月期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 |
比較増減
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増減率(%) |
|||
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売上高 |
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5,754,047 |
5,917,953 |
163,906 |
2.8 |
|
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売上原価 |
|
3,323,514 |
3,409,577 |
86,063 |
2.6 |
|
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売上総利益 |
|
2,430,533 |
2,508,376 |
77,843 |
3.2 |
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販売費及び一般管理費 |
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1,503,680 |
1,426,974 |
△76,707 |
△5.1 |
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その他の損益(△損失) |
|
24,786 |
9,770 |
△15,016 |
△60.6 |
|
|
|
持分法による投資損益(△損失) |
|
9,945 |
27,501 |
17,556 |
176.5 |
|
|
営業利益 |
|
961,584 |
1,118,674 |
157,090 |
16.3 |
|
|
|
|
金融損益(△損失) |
|
11,652 |
△19,513 |
△31,165 |
- |
|
|
|
その他の営業外損益(△損失) |
|
19,490 |
5,464 |
△14,026 |
△72.0 |
|
|
税引前当期利益 |
|
992,725 |
1,104,625 |
111,899 |
11.3 |
|
|
|
|
法人所得税費用 |
|
336,621 |
338,517 |
1,896 |
0.6 |
|
|
当期利益 |
|
656,104 |
766,107 |
110,003 |
16.8 |
|
|
|
|
親会社の所有者 |
|
637,874 |
685,677 |
47,803 |
7.5 |
|
|
|
非支配持分 |
|
18,230 |
80,430 |
62,200 |
341.2 |
当期より、組織変更に伴い当社事業、連結子会社及び関連会社の一部所管セグメントを見直しております。これに伴い、前期のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを開示しております。
当期の売上高は、前期と比較し、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少等があったものの、端末販売収入や金融事業収入、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、5,917,953百万円(2.8%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、ミャンマー通信事業リース債権引当が前期にあったことや、通信ARPU収入の増加、エネルギー事業利益やローソンの取得による持分法投資利益の増加、グロース領域の成長による収入の増加等により、1,118,674百万円(16.3%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、685,677百万円(7.5%増)となりました。
b.セグメント別の状況
|
パーソナルセグメント |
パーソナルセグメントでは、個人のお客さま向けにサービスを提供しています。
日本国内においては、「au」「UQ mobile」「povo」のマルチブランドで提供する5G通信サービスを中心に、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)等の各種サービスを連携し拡充することで、新たな付加価値・体験価値の提供を目指していることに加え、地域のパートナーの皆さまとともに、デジタルデバイド解消とサステナブルな地域共創の実現を目指しています。
海外においては、国内で培った事業ノウハウを生かし、モンゴルとミャンマーのお客さま向けに、通信サービス、金融サービス及び映像等のエンターテインメントサービスの提供にも取り組んでいます。また、日本から海外へ渡航されるお客さま、海外から日本に来られるお客さま向けの通信サービスについても利便性の向上に努めています。
<当期のトピックス>
●お客さま一人ひとりのニーズに合った料金を自由にお選びいただけるよう、3つのブランドを提供しています。
auでは、昨年12月に「スマホスタート応援割」の提供を開始しました。同時に提供を開始した「auマネ活プラン+(またはauマネ活プラン)」にご家族がご加入していれば、22歳以下のお客さまは30GBが最大半年間0円となり、ご家族でおトクにご利用いただけます。
お客さまサポートでは、昨年3月にauで提供する一部チャットボットによるお問合せ対応において、国内主要企業で初めて(※1)生成AIの活用を開始しました。また、本年3月には生成AIとデジタルヒューマン(※2)を組み合わせたオンラインサポート「auサポート AIアドバイザー」を導入しました。今後もAIを活用し、お客さまがストレスなく迅速にお問合せ内容を解決できることと併せて、業務・運用コストの効率化へつながる取組みを進めていきます。
UQ mobileでは、市場における中容量帯へのニーズにお応えし、昨年11月から既存の「コミコミプラン」のご利用料金を据え置いたまま、データ容量を20GBから30GB(さらに「データ10%増量特典」(※3)により毎月33GB)へ増量した「コミコミプラン+」と、同プランを対象とした18歳以下のお客さまとそのご家族でのご利用がさらにおトクになる「UQ親子応援割」の提供を開始しました。さらに本年2月には、文字が見やすくて操作もわかりやすい5G対応スマートフォン「らくらくスマートフォン Lite」も発売しました。今後も幅広いお客さまのニーズにお応えできるように、より一層の競争力向上を図っていきます。
povoでは、お客さまのご利用形態に合わせたサービスを展開しており、本年2月にはローソンでデータeSIM「ギガチャージカード」を販売開始し、モバイルとコンビニの連携の第一歩として、多くのお客さまにご利用いただいています。さらに、各サービス事業者がpovoの通信サービスを自社サービスに組み込むことが可能な「povo SDK」を活用したパートナーとの協業も進めており、昨年12月には、株式会社AbemaTVや合同会社DMM.comとの協業も開始しました。今後もさまざまなパートナーと連携し、パートナーのサービスにデータをエンベデッドしていくビジネスモデルの展開を推進することで、お客さまの体験価値向上に努めていきます。
●通信品質向上の取組みについては、本年2月にグローバル分析会社Opensignalが発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2025」Large land areaグループにおいて、通信体感分析6部門中3部門で世界1位を獲得しました。ネットワークへの接続性を総合的に評価する「信頼性エクスペリエンス」、モバイル・ボイス・アプリ/モバイル・ゲームでのユーザー体感を測定する「音声アプリ・エクスペリエンス」、「ゲーム・エクスペリエンス」の各部門で世界1位を受賞、さらに画質や読み込み時間など動画のユーザー体感を評価する「ビデオ・エクスペリエンス」の部門で世界5位を受賞し、世界的にも高い評価を獲得しました。(※4)
当社では、お客さまの日常をつなぐため、鉄道路線や商業地域など、生活動線に沿ったエリア整備を積極的に行っています。また、お客さまの非日常をつなぐため、光回線を敷設しづらい山間部や野外イベントにおいて、車載型基地局やStarlinkを活用した通信対策の実施に加え、本年4月にはauスマートフォンが直接通信用Starlink衛星とつながり、空が見える状況であれば圏外エリアでもテキストメッセージ送受信が可能になる「au Starlink Direct」の提供を開始しました。
これらの取組みを通じて、引き続きお客さまが安心してご利用いただける通信品質の向上に努めていきます。
●昨年10月にリニューアルを行ったPontaパスでは、従来のauスマートパスプレミアムの特典に加え、ローソンで毎月総額600円以上おトクになる無料・割引クーポンを提供する「ウィークリーLAWSON」、及びローソンでのau PAYを利用したお支払い時にPontaポイント還元率が通常(0.5%)の最大4倍(2%)となる「Pontaパスブースト」の2つのサービスを提供しています。併せて、昨年10月及び本年1月には、Pontaパスの特典を上乗せするキャンペーン「あげすぎチャレンジ」を開催するなど、引き続き、ローソンを始めとする様々なお店でのご利用がより楽しくおトクになるサービスへの進化と、さらなるPonta経済圏の拡大・活性化に努めていきます。
また、本年3月にTELASAのリニューアルを行い、テレビ朝日ドラマ・バラエティのオリジナルコンテンツの大幅強化に加えて、全国(一部除く)のローソン・ユナイテッドシネマ/ユナイテッド・シネマ/シネプレックスでご利用いただける劇場特典を新たに追加しました。さらに、同月にJCOM株式会社ともパートナーシップを締結し、動画配信サービス「J:COM STREAM」で「TELASA」を追加料金無しでご視聴いただくことが可能となりました。今後もお客さまへ新しく充実した映像視聴体験をお届けできるよう努めていきます。
●金融事業では、本年3月に、auじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)の預金口座数が670万口座に、au PAYカードの会員数が1,020万人に到達するなど、業容は順調に拡大しています。
昨年11月には、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループとの間で、より柔軟な戦略遂行や迅速な意思決定を行うことを目的として、協業の重点領域やあり方を新たなステージへ発展させることに合意しました。この一環として、本年1月に、auフィナンシャルホールディングス株式会社がauじぶん銀行を完全子会社化するとともに、同社が保有するauカブコム証券株式会社(現三菱UFJ eスマート証券株式会社)の全株式を株式会社三菱UFJ銀行に譲渡しております。また、本年3月には、auじぶん銀行のアプリをアップデートし、マイナンバーカードの利用で最短“当日”に口座開設できるようにするなど、お客さまの利便性のさらなる向上に取り組んでいます。
auフィナンシャルサービス株式会社においては、本年2月に最短5分のスピード審査でご利用いただける「au PAY あと払い」の提供を開始しました。また、auペイメント株式会社においては、本年1月に生命保険代理業を、3月には損害保険代理業、金融商品仲介業、銀行代理業をそれぞれ開始するとともに、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払)を行う資金移動業者の指定を受けました。
今後も通信と金融サービスの連携によりお客さまの生活に楽しい変化を生み出し、お客さまに寄り添いながら、全ての人にとって金融をもっと身近なものにする「つながる金融。」を実現していきます。
●エネルギー事業では、昨年7月より東京都(離島を除く)にお住まいのお客さまを対象に、初期費用・月額定額料無料で太陽光パネルと蓄電池をご自宅に導入し、発電した電気を割引価格でお使いいただける「じたく発電所サービス」の提供を開始しました。また、昨年5月に埼玉県川島町及び京セラコミュニケーションシステム株式会社と「再生可能エネルギー導入拡大及び持続可能な地域の実現に関する包括連携協定」を締結したほか、昨年11月には群馬県と「県有財産への太陽光発電設備等導入事業に関する基本協定」を締結しました。さらに、auリニューアブルエナジー株式会社を事業主体とする蓄電池事業の開始を目指し、本年1月からKDDI小山ネットワークセンター内に大型蓄電設備の建設を開始しました。引き続き、再生可能エネルギーの導入促進、持続可能な社会づくりと、環境保全及び地域課題の解決の取組みを推進していきます。
●モンゴルでは、連結子会社であるMobicom Corporation LLCが、モンゴル国内シェアNo.1(※5)を維持しており、事業は順調に推移しています。今年度は、昨年度に開始したSmart Usage(スマホ教室)の取組みを同国内全域へ拡大し、小中高生の安心・安全なインターネット利用を支援しています。また、2021年から継続しているSmart Educationプロジェクトの第4弾では、首都ウランバートルと地方の合計6校へのネット環境や電子黒板等のデジタル教室整備を通じ、子供たちへの平等な教育機会の提供を推進しています。ミャンマーにおいては、KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.が、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)の通信事業運営のサポートを行っています。 本年3月に同国で発生した地震により被災・避難された皆さまに、心よりお見舞い申し上げますとともに、引き続き、関係者の安全確保を念頭に、同国の国民生活に不可欠な通信サービスの維持に努めています。
※1 昨年2月29日時点。商品やサービスの使用方法や手続などに関するお客さまからのお問合せに回答するカスタマーサポート領域における活用として初めて。日経225対象企業のお客さま向けチャットボット提供有無及び生成AI搭載の有無をKDDIにて調査。
※2 人間のような特徴や外見を持つ3Dモデルを作成または使用する技術の総称です。コミュニケーションや感情表現などを自動で行う最新技術を活用することで、さまざまなユースケースで「人間らしさ」を提供することができます。
※3 受付期間:昨年11月12日~終了日未定。終了する場合は別途ご案内します。
※4 本年2月27日Opensignal社発表「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2025」では、通信事業者は、Large land areaグループとSmall land areaグループに分類され評価されています。Large land areaグループは、土地面積あたり200,000㎢以上の国・地域における通信事業者で構成。Small land areaグループは、土地面積あたり200,000㎢未満の国・地域における通信事業者で構成されています。KDDIのグローバル・アワード受賞結果はLarge land areaグループに基づいたものです。
※5 昨年12月31日時点。出典元:GSMA Intelligence
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
|
|
|
(単位:百万円) |
||
|
|
2024年3月期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 |
2025年3月期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
売上高 |
4,747,034 |
4,795,618 |
48,584 |
1.0 |
|
営業利益 |
737,260 |
877,144 |
139,885 |
19.0 |
当期の売上高は、前期と比較し、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少等があったものの、端末販売収入や金融事業収入の増加等により、4,795,618百万円(1.0%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、ミャンマー通信事業リース債権引当が前期にあったことや、通信ARPU収入の増加、エネルギー事業利益やローソンの取得による持分法投資利益の増加等により、877,144百万円(19.0%増)となりました。
|
ビジネスセグメント |
ビジネスセグメントでは、日本国内及び海外において、幅広い法人のお客さま向けに、スマートフォン等のデバイス、ネットワーク、クラウド等の多様なソリューションや、「Telehouse」ブランドでのデータセンターサービス等を提供しています。
またこれに加えて、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」を立ち上げ、法人のお客さまが抱える業界特有の課題解消に取り組み、お客さまの事業成長と社会課題解決に貢献していきます。
引き続き、5G通信を中心にIoTやDX、生成AIなどを活用したソリューションを、パートナー企業との連携によってグローバルにワンストップで提供し、お客さまのビジネスの発展・拡大をサポートしていきます。
<当期のトピックス>
●昨年5月、法人事業ブランド「KDDI BUSINESS」のもと、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX」を始動しました。WAKONXは、KDDI VISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」の実現に向け、日本のデジタル化をスピードアップするというコンセプトから生まれたブランドです。パートナー企業との共創により、業界別のプラットフォームを構築し、サービス化して提供します。昨年8月には「WAKONX Retail」として、リテール業界向けに店舗開発ソリューション「KDDI Retail Data Consulting」を提供開始、同じく昨年8月には物流業界向けに「WAKONX Logistics」のアセットとして、株式会社椿本チエインと当社との合弁会社である株式会社Nexa Wareが、物流倉庫向けデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer」を提供開始、さらに本年3月には街データとauデータを活用してスマートシティを実現する「WAKONX SmartCity」を提供開始し、本年3月に開業したTAKANAWA GATEWAY CITYで採用されています。今後もWAKONXを通じて、法人のお客さまの事業成長と社会課題解決に貢献していきます。
●本年1月、当社はサイバーセキュリティのリーディングカンパニーである株式会社ラック(以下「ラック」)の普通株式公開買付けを完了し、同社を連結子会社化しました。近年、生成AIやIoT、クラウドの浸透や、テレワークの急速な普及など、サイバーセキュリティの重要性が時代の変化とともに高まっています。当社は、ラックのサイバーセキュリティに関する豊富な知見と、当社のネットワークサービスなどの経営資源を集約することで、お客さまにより最適なソリューションを提供できる体制を構築していきます。また、サイバーセキュリティサービスの高度化をさらに推進し、日本のサイバーセキュリティ全体の強化、発展にも貢献していきます。
●本年1月、製品やサービスにIoT通信を組み込み、一体化して提供する「ConnectIN(コネクティン)」を開始しました。本サービスは、メーカー企業の製品に一定期間の通信料を内包して販売し、製品を購入されるお客さまに対しては、KDDIから通信料金を請求しないビジネスモデルであり、メーカー企業が製品に通信機能を内蔵させる際に必要となる、通信回線の手配・管理・運用、データベース構築、システム開発を当社が提供し、販売台数に応じたレベニューシェアとすることで、メーカー企業の初期投資が不要となります。また、製品を購入されるお客さまは、製品に通信機能が内蔵されているため、コンテンツが自動アップデートされるなど、新たな付加価値を体験いただけます。当社は今後もIoTを通じて、さまざまなメーカーへコネクティッドサービスを提供し、法人のお客さまのDXを支援していきます。
当社は、お客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただくことを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2024年3月期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 |
2025年3月期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
売上高 |
1,289,552 |
1,399,787 |
110,235 |
8.5 |
|
営業利益 |
216,952 |
233,048 |
16,096 |
7.4 |
当期の売上高は、前期と比較し、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、1,399,787百万円(8.5%増)となりました。
営業利益は、前期と比較し、売上高の増加等により、233,048百万円(7.4%増)となりました。
c. 財政状態の状況
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
比較増減 |
|
資産合計(百万円) |
14,146,060 |
16,876,219 |
2,730,159 |
|
負債合計(百万円) |
8,348,833 |
11,225,648 |
2,876,814 |
|
資本合計(百万円) |
5,797,226 |
5,650,572 |
△146,655 |
|
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) |
5,253,362 |
5,128,072 |
△125,290 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
37.1 |
30.4 |
△6.8 |
|
1株当たり親会社所有者帰属持分(円) |
1,261.46 |
1,288.96 |
27.50 |
|
有利子負債残高(百万円) |
2,394,403 |
4,437,562 |
2,043,159 |
(注)当社は2025年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり親会社所有者帰属持分を算定しております。
(資産)
資産は、使用権資産等が減少したものの、金融事業の貸出金、持分法で会計処理されている投資等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,730,159百万円増加し、16,876,219百万円となりました。
(負債)
負債は、コールマネー等が減少したものの、借入金及び社債、金融事業の預金等が増加したことにより、前連結会計年度末と比較し、2,876,814百万円増加し、11,225,648百万円となりました。
(資本)
資本は、親会社の所有者に帰属する持分の減少等により、5,650,572百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の37.1%から30.4%となりました。
(※)auフィナンシャルホールディングス株式会社(連結)を除く、当社連結における親会社所有者帰属持分
比率は、前連結会計年度が58.2%、当連結会計年度が51.1%、親会社所有者帰属持分当期利益率は、
前連結会計年度が12.6%、当連結会計年度が13.4%となっております。
② キャッシュ・フローの状況
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2024年3月期 |
2025年3月期 |
比較増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,706,498 |
1,249,042 |
△457,456 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△832,433 |
△1,180,103 |
△347,670 |
|
フリー・キャッシュ・フロー ※ |
874,065 |
68,939 |
△805,126 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△476,477 |
△33,555 |
442,922 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
9,367 |
△1,415 |
△10,783 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
406,955 |
33,969 |
△372,986 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
480,252 |
887,207 |
406,955 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
887,207 |
921,175 |
33,969 |
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、前期と比較し、金融事業の借入金の増加幅が大きくなったこと等による収入が増加したものの、金融事業の預金の増加幅が小さくなったこと等による収入の減少により、457,456百万円減少し、1,249,042百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、ローソン等の関連会社株式の取得による支出の増加等により、347,670百万円増加し、1,180,103百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、前期と比較し、社債発行及び長期借入による収入の増加等により、442,922百万円減少し、33,555百万円の支出となりました。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により1,415百万円減少した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、33,969百万円増加し、921,175百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
パーソナル |
4,795,618 |
1.0 |
|
ビジネス |
1,399,787 |
8.5 |
|
その他 |
123,380 |
4.3 |
|
セグメント間の内部売上高 |
△400,832 |
- |
|
合計 |
5,917,953 |
2.8 |
(注)金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により、国際財務報告基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
前期と比較し、子会社の一部取引において商流変更を行い、総額計上から純額計上となった影響等によるエネルギー事業収入の減少等があったものの、端末販売収入や金融事業収入、IoT関連サービス・データセンター・デジタルBPO等で構成されるグロース領域の成長による収入の増加等により、5,917,953百万円(2.8%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
前期と比較し、ミャンマー通信事業リース債権引当の計上が前期にあったものの、端末販売コストの増加等により、4,836,550百万円(0.2%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
前期と比較し、補助金収入の減少等により9,770百万円の利益(60.6%減)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資損益)
持分法適用共同支配企業の株式会社ローソンの取得等により、27,501百万円(176.5%増)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は1,118,674百万円(16.3%増)となりました。なお、営業利益率は、18.9%(2.2ポイント増)となりました。
(金融収益及び金融費用)
受取配当金4,575百万円、支払利息17,573百万円、為替差損9,200百万円の計上等により、19,513百万円の損失(前期は11,652百万円の利益)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
段階取得に係る差損益4,567百万円の計上等により、5,464百万円の利益(72.0%減)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
税率の変更による影響等により338,517百万円(0.6%増)となりました。なお、2025年3月期の法人税等負担率は30.6%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主にミャンマー通信事業リース債権引当の計上によるKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.の利益減少が前期にあったこと等の影響により、80,430百万円(341.2%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は685,677百万円(7.5%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。また金融事業については、資金調達やリスクアセットの削減を目標として、債権流動化を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は4,437,562百万円、現金及び現金同等物の残高は921,175百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記32.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社は、データ及び生成AIによるデジタル社会インフラの進展など、社会全体を取り巻く急速な環境変化に対応するため、2024年5月に事業戦略「サテライトグロース戦略」をアップデートしました。財務目標において、営業利益については、持続的な成長を目指し、EPSについては、2025年度1.5倍(2018年度比)の実現、株主還元については、安定的な配当を継続し、連結配当性向は40%超を掲げております。
当連結会計年度においては、通信ARPU収入はじめ、注力領域が順調に成長し、過去最高益を更新するとともに、配当性向40%超を達成いたしました。
当社グループは、引き続きサステナビリティ経営を根幹に、サテライトグロース戦略を推進し、社会の持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。
株式会社ラックの連結子会社化について
当社は、2024年11月7日付の取締役会(書面決議)において、当社の持分法適用関連会社である株式会社ラック(以下、ラック)を完全子会社化することを目的とした一連の取引の一環として、ラックの普通株式を金融商品取引法に基づく公開買付け(以下、本公開買付け)により取得することを決議し、2025年1月22日付で本公開買付けにより取得しました。その結果、ラックの株式を28,624,091株(92.43%)保有することになり、ラックを当社の連結子会社といたしました。なお、その後の株式売渡請求手続き等により、2025年3月31日時点におけるラックに対する当社の出資比率は100%となりました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.企業結合」に記載しております。
当社グループは、「サテライトグロース戦略」を推進しております。同戦略は5G通信、データドリブン、生成AIをコア領域とし、コアを取り巻く複数の事業領域をサテライトとして位置づけ、それらの拡大を図ることを目指しています。当社の成長を牽引する事業領域(Orbit1)として、デジタルトランスフォーメーション、エネルギーなどを掲げており、新たな成長に挑戦する事業領域(Orbit2)として、モビリティ、宇宙などを設定しています。当社グループは、これらの領域に対して、必要な技術の研究開発を推進しており、特にコア領域の研究開発を積極的に取り組んでおります。また、2024年4月、先端技術領域における研究開発の戦略策定や事業モデルの推進を担う「先端技術統括本部」を新設し、先端技術によるコア領域、Orbit1領域、Orbit2領域のさらなる事業化を推進するとともに、次世代における事業の萌芽を見出すための研究開発活動も進めております。以下、各領域に対する研究開発活動のトピックスをご紹介します。
(1)コア領域に対応した研究開発活動
当社グループでは、5G通信の次世代に位置づけられるBeyond 5G/6Gについて、その特長を踏まえた研究開発を続けております。以下に例を示します。
・Beyond 5G/6Gでは、高速で大容量の通信に適した電波であるミリ波帯(28GHz帯)の活用が必要不可欠とされています。ミリ波帯は直進性が強くビルや樹木等の影響を受けやすく、連続的な通信エリアの実現には多数の基地局やアンテナを必要とします。そこで2024年12月に京セラ株式会社と共同で、ミリ波の通信エリアを効率的に拡張する無線中継技術の開発に世界で初めて成功し、西新宿ビル街で実施した性能試験において、道路のミリ波カバー率を33%から99%に拡大できることを確認しました。また2025年2月に、株式会社ジャパンディスプレイと共同で、電波の反射方向・範囲を変更できる可搬型ミリ波用液晶メタサーフェス反射板を開発し、ミリ波の電波が届きにくいビル間にピンポイントに電波を反射させてエリア化することに成功しました。
・AI技術の普及と利用拡大に伴うデータトラフィックの増大に対し、バックボーンネットワークの柔軟な容量拡張を実現するクラスタ型ルーターについて、商用バックボーンネットワークへの適用に向けた技術検証を進め、2025年2月に完了しました。
・2025年3月に、Samsung Electronicsと、将来の無線通信におけるAI技術に関する共同研究の覚書を締結しました。複数の無線局が連携してカバレッジ境界エリアでの通信品質を高めネットワーク全域で高い通信品質を提供する分散MIMOシステムにおいて、設計・運用に用いるAI技術の確立を目指します。
また、データドリブン、生成AIについても様々な取り組みを進めております。以下に例を示します。
・2024年4月に、経済産業省「クラウドプログラム」の供給確保計画に認定されました。これを受けて、生成AI開発のための大規模計算基盤整備を開始し、1,000億円規模の投資を行い、国内最高性能の大規模言語モデル(LLM)(※1)や領域特化型LLMの開発を加速していきます。
・アルティウスリンク株式会社及び株式会社ELYZAと、コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーションを開発し、2024年9月から、アルティウスリンクのコンタクトセンター向けサービス「Altius ONE for Support」の標準機能として提供を開始しました。応対内容要約・回答メール草案生成などの業務を効率化し、業務負荷軽減やサービス品質向上に貢献します。
・2025年2月に、AIとの対話から運用者の要求に応じたネットワークを構築・設定・管理するシステムを開発し、当社ネットワーク運用を想定した実証に成功しました。運用者の作業負荷軽減やヒューマンエラー回避を実現し、迅速かつ効率的なネットワーク管理が可能になります。
・2024年7月に、国立研究開発法人情報通信研究機構とLLMに関する共同研究を開始しました。LLMを活用する上で課題となるハルシネーション(※2)の抑制やマルチモーダル(※3)データの取り扱いを可能にする技術について、研究開発を行います。また、2024年9月に、学校法人慶應義塾を中心に設立された「慶應AIセンター」に参画しました。本センターは、慶應義塾大学、米カーネギーメロン大学及び参画メンバー企業が連携して次世代AI技術の創造に貢献する共同研究機関です。本センターへの参画を通じて、自律的に振る舞う次世代AIの開発に取り組みます。
・2025年3月に、LLMを利用してAIのセキュリティに関する情報を分類し、一元化して発信するポータルサイト「AIセキュリティポータル」を公開しました。本サイトでは、AIのセキュリティに関する情報が体系的に整理されており、利用者は最新情報を得ることが可能になります。
(2)Orbit1及びOrbit2領域に対応した研究開発活動
当社グループでは、「サテライトグロース戦略」において定義した各事業領域の強化と拡大を目指し、必要な研究開発を進めています。以下に例を示します。
・DX領域では、当社の技術力を活かして企業や自治体におけるDX実現を加速する取り組みを進めています。
例えば2024年8月に、清水建設株式会社と共同で、同社が建設中の北海道新幹線トンネル建設現場から、Starlinkによるau通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を活用した3D点群データ(※4)のリアルタイム伝送実証に成功しました。本実証で検証した技術を活用することで、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を遠隔からリアルタイムで確認でき、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮することが可能になります。
・エネルギー領域では、企業などの脱炭素化の支援と合わせて当社自身の脱炭素化を推進しています。
例えば2025年1月に、新規に開発した基地局附帯電源設備「Open Power Station」に対する、ドローンからのワイヤレス充電及び基地局に設置した自家発電設備(太陽光発電機器等)からの充電について、検証を開始しました。自家発電やドローンを活用して基地局への電力供給を可能とすることで、災害対応力の向上及び環境負荷の低減を図ります。また2025年3月に、「ペロブスカイト太陽電池を基地局で活用した実証実験を実施」の取り組みで、「第33回地球環境大賞 総務大臣賞」を受賞しました。本取り組みは、次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池(※5)を電柱型の基地局に設置し、太陽光発電の効率向上や有用性を検証する実証実験です。基地局に設置された円柱状の発電ポールにペロブスカイト太陽電池を巻き付けることで、限られた敷地面積の基地局でも太陽光発電が可能となります。
・モビリティ領域では、災害対策や人手不足などの社会課題の解決に資する最新技術を早期に実用化するため、関係機関と連携した技術実証を積極的に進めています。
例えば2024年12月に、石川県、石川県警察、株式会社ローソンと、ローソン店舗の屋根に設置したAIドローンを用いた「地域防災コンビニ」の実証に成功しました。本実証では、AI制御により障害物を自動回避しながら安全に自律飛行が可能なドローンを、行方不明者捜索現場や交通事故現場と見立てた場所まで飛行させ、AIドローンのカメラ映像を通じて遠隔で初動対応を行い、警察活動への活用の可能性を確認しました。また2024年6月に、アイサンテクノロジー株式会社・株式会社ティアフォーと、位置情報の定義が異なるモビリティ(自動配送ロボット・自動運転車・ドローン)を連携させた協調配送実証に、国内で初めて成功しました。今後、建物内や都心ビルへの配送は自動配送ロボット、都市部からの大規模な配送は自動運転車、陸上からの輸送が困難な地域ではドローンで配送を行うといった、モビリティを組み合わせた全自動荷物配送サービスの社会実装を目指します。
・宇宙領域では、パートナー企業との宇宙での事業共創に取り組んでいます。
例えば2024年5月に、スタートアップと大企業による、宇宙を活用して地球上の課題解決を目指す共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」を開始しました。また2024年12月に第一弾支援として、株式会社スペースデータと株式会社ギャラクシーズによる「宇宙の物理現象をデジタル空間上に再現する技術の共同開発・事業化」を支援することを決定しました。本取り組みにより構築されるシミュレーション環境の利用者拡大、コンピュータリソースの提供、本取り組みの事業化に対する経済的支援などを実施します。
※1 LLM:
Large Language Models(大規模言語モデル)の略。大量の文章を学習し自然な文章の理解と生成を可能にする、生成AIの基盤技術
※2 ハルシネーション:
AIが誤った情報や無関係な内容を事実のように出力する現象
※3 マルチモーダル:
テキスト、画像、音声、動画など、複数の異なる形式のデータを同時に処理・分析する技術
※4 3D点群データ:
レーザースキャナーなどで物体や地形を計測し、その情報を3次元空間上の無数の点の集合体として表現したデータ
※5 ペロブスカイト太陽電池:
ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ化合物を用いた次世代の太陽電池。「薄い・軽い・曲げやすい」という特長がある
(3)次世代の萌芽となる事業に対応した研究開発活動
当社グループでは、将来の事業展開や持続的な成長を見据えた研究開発に取り組んでおります。以下に例を示します。
・2025年2月に、同社、株式会社Jij及び学校法人早稲田大学と、量子コンピューターの技術開発と事業化に関するパートナーシップ締結に合意しました。今後、AIと量子計算をシームレスにつなぐAI・量子共通ビジネスプラットフォームを開発するとともに、このプラットフォームを活用したユースケースの開拓を進めます。
・量子コンピューターの登場で、現在使用されている暗号が短時間で解読されることが懸念されています。そこで、量子コンピューターに耐性を持つ暗号方式(耐量子暗号)について、研究開発を進めています。耐量子暗号の安全性を検証するため、2024年6月に耐量子暗号の解読に関するコンテストで世界記録を達成し、耐量子暗号を量子コンピューターで解く場合は10億年程度が必要であることを確認しました。
・量子コンピューターの登場による暗号の安全性への懸念を受けて、暗号鍵の盗聴が不可能な通信方式である量子鍵配送方式(QKD方式)が注目されています。QKD方式は微弱な光を用いるため専用の光ファイバーが必要ですが、東芝デジタルソリューションズ株式会社と、QKD方式の暗号鍵と大容量データを光ファイバー1心で多重伝送する技術を開発し、2025年3月に、QKD方式の暗号鍵と33.4Tbpsの大容量データ信号を80km伝送することに世界で初めて成功しました。
これらの活動を通じて当連結会計年度における研究開発費の総額は、