文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。
<経営環境および対処すべき課題等>
当社を取り巻く事業環境は劇的に変化しております。足許では、世界情勢をうけての資機材不足、為替影響や人手不足による建築工程の遅延、労務費高騰などが懸念されております。日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」によって、より一層、各企業が脱炭素社会の実現に向けて取り組みを加速させております。当社においても、人口問題や気候変動問題など社会構造の転換点となると想定される2040年問題に向けて、これまでに空調設備事業を通じて得てきた数々の経験・実績と培ってきた技術や知見を活かし「建物環境のカーボントランジション」と、「地球環境のカーボンニュートラル」に取り組んでまいります。
<経営方針>
このような事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、多様な価値観を活かして、当社グループが、持続的な成長と付加価値を創出するためには、当社の社是「人の和と創意で社会に貢献」を原点に、当社グループに集う全ての人たちの心の拠り所が必要であると考え、自らのパーパスを『環境革新で、地球の未来をきりひらく。』と定めました。
「高砂熱学グループ長期ビジョン2040 Create our PLANET, Create our FUTURE」の策定にあたり、2040年にどのような姿であるべきか、株主・投資家の皆様、お客様、取引先、協力会社や社員といったすべてのステークホルダーのエンゲージメント向上の観点で議論してまいりました。その結果、当社グループは、これまでの空気調和の技術を核としながら、環境創造の事業領域を拡げ、役職員一人ひとりが、環境クリエイターⓇとして、社内外の多様な人財と高め合いながら常に挑戦を続けていき、ビジネスパートナーと環境価値を共創する企業像を導き出しました。
そして、これからの社会変化を踏まえ、空調設備事業を核として、①建設事業、②設備保守・管理事業、③カーボンニュートラル事業、④環境機器製造・販売事業の4つの事業ドメインをDXで連携し、目指す姿を実現する企業グループへ変革してまいります。高砂熱学グループ長期ビジョン2040を、市場環境の成長や投資回収時期等の観点から、3つのフェーズで着実に進めていき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。第1フェーズ(2023-2026)の「中期経営計画2026 Step for the FUTURE −未来への船出の4年間−」では、コア事業(建設事業)による収益基盤を盤石なものとし、得られる資金を事業領域拡大に向けた成長投資に振り向けてまいります。第2フェーズ(2027-2030)は、成長実現の4年間と位置づけ、海外事業の伸長、DXによる新たな付加価値の創造やカーボンニュートラル事業の収益化の実現を目指してまいります。そして、第3フェーズ(2031-2040)は、飛躍の10年と位置づけ、カーボンニュートラルに資する新たな事業セグメントの確立を目指します。
※“環境クリエイターⓇ”とは、偏に環境関連事業に携わる狭義の人財ではなく、高砂熱学グループにおいて技術・営業・管理・経理の業務を通じて、社会課題解決に資する価値創造を成す人財である。
<高砂熱学グループの長期ビジョン2040>
高砂熱学グループ長期ビジョン2040で目指す姿と4つの事業ドメイン
長期ビジョン2040実現に向けた3つのフェーズ(2025年5月修正版)
<高砂熱学グループの中期経営計画2026>
中期経営計画2026 Step for the FUTURE -未来への船出の4年間-の基本方針
中期経営計画(2023年~2026年)の数値目標(2025年5月修正版)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組に関しては、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティ基本原則>
当社グループは、2021年に制定したサステナビリティ基本原則(※)の下、中期経営計画で定めた目標達成に向け持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すサステナビリティ経営を推進しております。
当社グループは、パーパス「環境革新で地球の未来をきりひらく」の下、環境クリエイターⓇとして、TakasagoWayの実践を通じ持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
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※サステナビリティ基本原則(2024年4月改定) 1.サステナビリティ課題の解決に向けた取組を事業活動に組み込み、事業の一環として取り組みます。 2.サステナビリティ課題に関するリスクへの的確な対応と収益機会の獲得を目指します。 3.サプライチェーンを含めたあらゆるステークホルダーと協働し取り組みます。 4.建物内の空間環境にとどまらず、地球環境にやさしい技術・サービスの提供に努めます。 5.お客様ニーズを把握し、常にお客様から期待される以上の品質提供に努めます。 6.公平・公正な処遇、人権尊重、ダイバーシティおよび健康経営の推進など、働きやすく意欲向上に資する労働環境を整備し、社員エンゲージメントの向上に努めます。 7.企業倫理の徹底をはじめ公正で透明性の高い経営を推進します。 8.経営トップが率先垂範し、全役職員が高い使命感と情熱をもって取り組みます。 |
1.マテリアリティの特定
当社グループでは、社会情勢や事業環境の変化を踏まえ、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を以下のプロセスで特定し、適時アップデートを図っております。「気候・自然関連」および「ウェルビーイング(人的資本の強化)」をマテリアリティ(サステナビリティ課題)として認識した上で、ガバナンス、戦略、リスク管理及び、指標と目標を設定し取り組んでおります。
2.気候関連課題への対応環境
① ガバナンス
当社では、サステナビリティ課題への取り組みが中長期的な企業価値を向上させ、前述の長期ビジョン・中期経営計画の実現に結び付くとの考え方の下、取締役会が適切に監督する体制を整備しております。
具体的には本部長・部長クラスで構成するサステナビリティ推進委員会で中長期のゴールや足元の実施策などを協議の上、経営会議で審議し取締役会に上程・報告する体制としております。
2024年度は、サステナビリティ推進委員会を計7回開催し、当社グループ全体の活動状況の確認や、1.5℃目標に向けた施策に関する議論を行い、その内容を経営会議で審議し、取締役会に上程し、2025年度の経営計画に組み込みました。
<2025年度予定>
<2024年度実績>
上記の通り、サステナビリティ推進委員会で議論された内容は経営会議での審議を経て、取締役会へ付議され、必要に応じて取締役会からの指示を受けることとなっております。また、グループ各社ともグループサステナビリティ推進委員会を通じて、気候関連リスク・機会に関するグループシナジーの発揮を目標に掲げる体制としております。
なお、取締役会の構成員の選任にあたっては、気候変動など環境問題に関する経験や知見を、取締役に期待する専門性および経験等の一つに掲げ、ガバナンス・指名・報酬委員会で、スキルマトリックスの評価結果の妥当性を確認しております。加えて、気候関連分野における有識者を講師として招聘した勉強会を適宜開催し、取締役会の気候関連課題のリテラシー向上を図っております。また、取締役の報酬の中に、複数のマテリアリティのひとつとして温室効果ガス排出削減目標に対する達成状況に応じた評価を組み込んでおります。
当社グループは、環境クリエイターⓇとしての具体的な行動計画、定期的な進捗状況の確認や改善方策の立案などを取締役会が適切に監督できるための体制を整備することで、ガバナンスの実効性を高めております。
② 戦略
気候変動課題への対応については、TCFD提言に基づき、当社にとっての気候関連リスクと機会を抽出の上、影響度算定の前提として1.5℃と4℃シナリオを設定し分析しております。
1.5℃シナリオでは、資機材等の調達コストの増加等の移行リスクが高まることが想定される一方で、物理的リスクについては、その影響は一定程度緩和され、自然災害による作業現場の被災が発生する可能性は相対的に低いと想定されます。
一方で、4℃シナリオにおいては、移行リスクは低い一方で、自然災害による施工現場の工程遅延等、物理的リスクは相当大きくなると想定されます。
なお、サプライチェーンを含めた建設労働者の熱中症や感染症等の健康被害は、双方いずれのシナリオの場合であっても、現状比で著しく増加することが想定されます。社員や作業員が働く環境整備に関する課題は、事業の継続・発展に必要不可欠な技術系を中心とする社員の確保のためにも非常に重要であり、様々に重点的な対策が求められます。
こうした分析の下で、主なリスクへの対応として、まず調達コストの増加など移行リスクへの対応として、素材メーカー等との連携による低炭素素材の研究を進めます。
また、建設現場の環境苛烈化といった物理的リスクの顕在化で、建設業入職者が一層減少し、施工能力が不足することが想定されますが、このリスクに対しては、T-BaseⓇ(※)等による作業オフサイト化の拡大、DXを活用した生産性向上などの職場環境の整備を進めてまいります。
当社事業にとって気候関連課題への対応は事業の成長機会でもあり、こうした機会を獲得するために、上記の対応に加え、積極的な省エネ設計提案、顧客・取引先とのエンゲージメント(対話)を通じた新技術開発に邁進してまいります。
※T-BaseⓇ:これまでの現場ごとの「施工管理」からプラットフォームによる「生産管理」へと、施工の在り方の変革を進めるプロジェクト
③ リスク管理
当社グループでは、リスク担当取締役を委員長とする「全社リスク管理委員会」を中心に、事業運営におけるリスクを全社的に管理する体制を構築しております。
「気候関連リスク」については、サステナビリティ推進委員会で影響評価を行った上で、「全社リスク管理委員会」へ連携され、内部統制委員会を経て取締役会でモニタリングする等、他の事業全体のリスク全般と合わせて統合管理されており、さらに、グループ会社各社における気候関連リスクの反映等も適宜行っております。
詳細につきましては、「
④ 指標と目標
当社は、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、スコープ1・2およびスコープ3の温室効果ガス削減率を指標として設定し、以下のような目標を中期経営計画2026のKGIとして定めております。
CО₂排出量削減率(2026年度)
スコープ1・2 ▲16.8%(2022年度対比)
スコープ3 ▲10.0%(2022年度対比)
加えて、以下の2つの行動目標をKPIとして掲げております。
グリーンエネルギー供給設備の社会実装
目標:中期経営期間中(2023-2026)に合計5,000kW相当の設備供給の実現
年間15,000t-CО₂のカーボントランジション提案と受注
目標:市場・顧客に向けて空調関連設備の設置・更新等による15,000t-CО₂/年の省エネ提
案・受注
なお、当社グループは、2024年度7月に2050年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出量を実質ゼロにするネットゼロ目標が、「SBT(Science Based Targets)イニシアティブ」より、科学的根拠があると認められ、「ネットゼロ目標」の認定を取得しました。
また、2021年度にSBTイニシアティブより認定された2030年度までの温室効果ガス排出量削減目標(短期目標)についても削減率を引き上げ、「1.5℃水準」を満たす内容として更新認定を受けました。
役員報酬では、業績連動の株式報酬を決定する非財務指標として、スコープ1およびスコープ2のCО₂の排出量削減率を設定の上、2026年度に▲16.8%(2022年度比)を目標とし、気候関連に関する社会課題解決への業務執行取締役の責任を明確化しております。
具体的には、報酬全体の30%部分に相当する株式報酬の中で、業績連動報酬部分(株式報酬の60%)の10%部分を当該指標の目標達成度合いにより配分する体系としております。
更に当社グループでは、1.5℃および4℃、いずれのシナリオ下においても戦略のレジリエンスを強化していく必要があるとの観点から、2050年ネットゼロに向けた移行計画を策定いたしました。リスクを適切に回避しつつ、将来的に新たに創造されるビジネス機会を着実に獲得できるよう、高砂熱学グループ長期ビジョン2040で掲げる経常利益400億円超の目標に向けて、中長期的に取り組んでまいります。
当社のTCFD提言に基づく取り組みについては、以下のURLにおいて適時開示します。
https://www.tte-net.com/sustainability/environment/carbon_neutral/index.html
3.ウェルビーイング(人的資本の強化)
① ガバナンス
当社では、ウェルビーイング(人的資本の強化)の取り組みが中長期的な企業価値を向上させ、前述の長期ビジョン・中期経営計画の実現に結び付くとの考え方の下、取締役会が適切に監督する体制を整備しています。
気候関連課題と同様に本部長・部長クラスで構成するサステナビリティ推進委員会で中長期のゴールや足許の実施策などを協議の上、経営会議で審議し取締役会に上程・報告する体制としております。
② 戦略
当社グループは、人が最大の財産であると考え、創立以来、社是「人の和と創意で社会に貢献」の下、社員一人ひとりの力を結集し新たな価値を生み出し社会の発展に貢献してまいりました。
その底流には、会社は社員一人ひとりにより支えられ、社員の自律的成長により会社も更に成長するという考えがあります。このように、当社グループでは、多様な人財が互いを高め合い、社員一人ひとりが環境クリエイターⓇとして常に挑戦し多様な人財が力を発揮ができる就労環境を整備し、環境革新につながる戦略実現可能とする人的資本の強化に取り組んでおります。
そのような観点から、当社は、人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、「人財マネジメント基本方針」(※)を定めております。
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※人財マネジメント基本方針 当社は、「人が最大の資産である」という理念に基づき、人財育成と人間尊重を礎とした人財マネジメントを行います。 企業活動を通じて、常に新たな価値を生み出して社会に貢献していく為には、日々成長を続ける企業でなければならず、それを支えるのは常に成長し続ける人財であるとの考えを基本とし、品性と高い倫理観を持ち、自律的に、常に挑戦し続ける人財を育成します。 また、性別、性的指向、性自認、国籍や障がいの有無などの属性にかかわりなく、お互いの多様性を認めて尊重し合う企業文化を醸成するとともに、個々の人財が健康でイキイキと、能力を最大限に発揮できる労働環境を整備します。 |
当社の人財マネジメント基本方針およびそれに基づく取組については、以下のURLをご覧ください。
https://www.tte-net.com/sustainability/social/human_capital/index.html
③ リスクと機会
当社グループは、これまでの空気調和の技術を核としながら、環境創造の事業領域を拡げていくことを考えており、今後そうした新たな事業領域を支える人財の確保が課題となります。また、長時間労働課題が生産性の制約につながり、当社グループの受注機会や売上の減少等の影響を及ぼす可能性があります。加えて、ダイバーシティ、人権課題への対応が不十分であると、社員のモチベーション低下、これに伴う生産性やイノベーションの停滞等の影響が懸念されます。
これらのリスクに対応していくため、必要な人財を確保し、さらにこれらの人財が十分に機能発揮する環境を整えていく必要があります。
2025年3月期の取り組みについては以下の通りです。
(1) 必要人財の確保に向けて
本社部門のみならず全支店が一体となり、当社を知ってもらう機会を大幅に増やしており、新卒者の採用に注力しています。少子化に伴う人口減少の影響により、さまざまな業界において人手不足が深刻化していますが、こうした取り組みの結果、必要な人員を確保できております。また、定期的な1on1の実施により、上司と部下のコミュニケーションを活性化させ、社員の成長支援、日常の悩みの共有、中長期的なキャリア形成の確認等を行いながら信頼関係を構築しており、無用な離職の低減につながっています。さらに育児・介護等と仕事の両立を支援するため、研修や制度改定を通じて誰もが働きやすい職場環境の整備を図っています。
(2) 働く社員を支える諸制度の構築と適切な運営
従業員一人ひとりが健康でイキイキと能力を最大限発揮できるよう、人財投資への取り組みを一層強化し、社員と会社の相乗成長サイクルを実現するための人事制度改正や制度の運営を円滑に行い社員の活躍促進につながる評価者研修の充実などに取り組んでおります。
社員の成長支援に関しては、タカサゴ・シン・アカデミーを中心に業務に必要なスキルと能力の見える化を図り、各スキルのレベル向上に必要な学習機会をリンクさせ環境クリエイターとして自律的に成長できる環境を整備しつつ、プロフェッショナル人財を育成する教育体系を構築する等、運営強化を図っています。
なお、従業員の健康経営を継続して行っており、健康経営優良法人2025(大規模法人部門)(※)に認定されております。
※健康経営優良法人 日本健康会議が特に優良な健康経営を実践している法人として、健康・医療新産業協議会 健康投資ワーキング・グループにおいて定められた評価基準に基づき認定するもの
(3) ダイバーシティ推進とエンゲージメント向上
2021年4月に、ダイバーシティワーキングチーム(現ダイバーシティ推進ワーキングチーム)の下に女性、キャリア採用(※)、障がい者、外国籍社員の各ワークショップを設置し、2022年にLGBTQ+、2023年にシニア人財も加え、課題抽出と対策を検討し、様々な取り組みを行っております。
とくに、2025年3月期におきましては、女性社員が一堂に会した「TakasaGo! Woman Pride 2024」を実施し、自立的なキャリア形成の理解、女性社員同士の社内ネットワーキングを構築する場と致しました。
※新卒採用を除くいわゆる中途採用
<2025年3月期に実施したダイバーシティ推進に係る研修・イベント・制度改正>
〇研修
・管理職向け研修(女性部下育成強化、ヒューマンスキル等)
・女性社員向け研修(キャリアデザイン、リーダーシップ、仕事と育児の両立等)
・パラアスリートによる障がい者の理解促進研修
・LGBTQ+ 理解研修
〇イベント
・TakasaGo! Woman Pride 2024(女性大会)開催
・女性を対象とした業務経験がない現場や新規事業の見学会の実施
・社内外で活躍する社員のトークイベント
・各属性社員による意見交換会の実施(キャリア採用者・外国籍・障がい者・シニア人財)
・東京レインボーパレード2023~2025の協賛およびパレード沿道応援
〇その他
・職掌別賃金差に対する制度改正
・キャリア採用者へ向けた入社時ガイダンスの実施
・PRIDE指標 シルバー認定取得(一般社団法人work with Pride)
・介護支援動画の展開(介護フェーズ毎の対応、管理職向け等)
当社は、社員のエンゲージメントの向上を狙いとして、四半期に一度エンゲージメント調査を実施しております。このエンゲージメント調査の結果を分析の上、課題を把握し改善活動を行うとともに、会社が実施するさまざまな施策の効果測定のためのツールとしても活用しています。
社員エンゲージメント向上については、当社役員報酬における業績連動指標の一部に組み込むこととしております。役員報酬の詳細は
こうした取り組みの結果、エンゲージメントスコアは直近3年間で改善傾向が継続しています。
また、ビジネスと人権課題への対応については、あらゆる事業活動において影響を受けるステークホルダーの人権を尊重し、バリューチェーン全体を通じて持続可能な社会の実現に努めております。人権尊重に関する考え方を明確にするため、2021年12月に人権基本方針を定め、2022年より人権デューデリジェンスに関する取り組みを開始いたしました。
具体的には、サステナビリティ推進委員会によりバリューチェーン等のリスク抽出と評価から顕著なリスクを重要課題として設定し、未然防止策・改善措置の検討・実施に向けた取り組みを進めております。2024年度は、当社の全社員へ人権に関するeラーニングを実施し、また、各本支店ならびに当社協力会社で組織される高和会会員企業を対象に人権に関するアンケート調査を行いました。
④ 指標と目標
上記戦略の達成に向け、以下の項目を「指標と目標」として掲げております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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2026年度までに350名以上増加 (中期経営計画2026でKPIに設定) |
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2035年頃までに15% |
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男性育児休職取得率 (1週間以上) |
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注1 2025年3月31日時点の従業員数
2 2025年4月1日時点の実績
3 2024年度の実績
上記のほか、働く社員を支える制度である人事制度の改正、プロフェッショナル人財育成の実施を中期経営計画2026のKPIとして掲げております。
なお、上記の実績および目標は当社のみのものとなります。当社においては上記の目標を実現すべく、関連するデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、現時点では連結グループにおける記載は困難であります。
今後、当社グループに属する会社も含め、着実にダイバーシティが浸透すべく、その推進に努めてまいります。
当社グループは、あらゆるリスクの顕在化を未然に防止するとともに、リスクが顕在化した場合にはその損失を最小化すべくリスクマネジメントを行っております。リスク顕在化の未然防止にあたっては「リスク管理規程」に基づき、最高責任者を代表取締役社長とし、リスク管理担当役員を委員長とする「全社リスク管理委員会」を設置し、リスクマネジメント体制の運用方針・計画を定めるほか、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを定期的に見直し特定したうえで、その対策および対応状況の妥当性を評価しております。なお、全社リスク管理委員会は、事業統轄部門の役員、個別リスク主管部の長で構成されており、当連結会計年度は5回開催いたしました。
リスクについては、各リスクの主管部門である経営企画部、人事部等の本社機構部門と技術本部、営業本部等のマネジメントセンター部門が、当社グループが既に直面している、或いは、近い将来顕在化が予想されるリスクを抽出しております。
そして、抽出したリスクについては、影響度と発生可能性から重要度を評価し、それらのリスクをリスクマップ上に表示することにより、当社のリスクを俯瞰的に把握・管理しております。全社リスク管理委員会では、このように抽出されたリスクのうち、重要度・緊急度の高いリスク対策の実施状況と対策の充分性を確認し、必要に応じて追加対策を指示しております。
なお、当社はリスクが現実のものとして顕在化したこと、もしくは顕在化する蓋然性が高まったことで、当社グループの事業活動に深刻な状況および重大な被害・損失を生じさせるか、または、社会一般に悪影響を及ぼすおそれがある状態を「危機」と定義し、リスクが顕在化し「危機」が発生した場合に備え、経営陣が迅速に事態を把握するための報告ルールを定め、運用しております。さらに、当該「危機」に対して、代表取締役社長を委員長とする危機管理会議を立ち上げ、対応しております。
当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。各リスクについて、影響度を「大」「中」「小」、発生可能性を「高」「中」「低」に分類しております。但し、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク [影響度:中 発生可能性:中]
(1)民間設備投資の変動に関するリスク
世界的な経済情勢の変化等の影響を受け、顧客の投資計画の中止・延期、内容の変更などにより、想定を上回る建設需要および空調設備需要が減退するなど、事業環境に著しい変動が生じる場合があります。かかる場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
経済情勢の変化は先行きの見通しの予測が困難であるものの、当社グループは固定費縮減等を含め、全社で総合的取り組みを行っていくことで対処いたします。
(2)資機材の調達コスト・納期に関するリスク
当社グループが工事を施工するにあたり、経済環境から、ダクト、配管、断熱、冷媒、冷凍機・空調機など設備工事等に係る資機材価格が高騰する場合や納期が長期化する場合があります。これらを請負金額に反映することが困難な場合には、工事原価が想定以上に増加し、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
資機材の多くは、素材の相場の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は常にありますが、これに対しては、購買の体制を強化し、全店集中購買を加速させることでスケールメリットを生かした調達機能を強化し、価格の上昇を抑制すること等で対処いたします。
また、納期の長期化に対しては、発注者と協議のうえ、先行発注や機種・システムの変更を提案する等、工期への影響を最小限に留めるよう努めております。
(3)技術員・技能者の人手不足による工程遅延リスク
当社グループが工事を施工するにあたり、資機材の調達遅延に加え、協力会社を含めて施工に携わる技術員が不足し、定められた納期までに工事を完了させることができない場合、売上高が計上されず、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、想定を上回る水準での工数の増加によって、当該リスクが顕在化する可能性があります。
当社グループは、アウトソーシング体制の構築と活用、ITツールの活用、業務の標準化による生産性向上を図ることで対処してまいります。また、サプライチェーン全体との連携・共存共栄を進めるため、協力会社が有する経営課題解決への貢献や技術教育の支援等を通じサプライチェーンの基盤の維持・強化に努めております。特に技術員・技能者の不足については、委託工事会社の新規採用への注力、国交省の進める建設キャリアアップシステムの活用等による技能職の確保によって対処してまいります。
(4)労務関連法制に係るリスク
2024年4月1日から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されましたが、当社グループが工事を施工するにあたり、技術員等の総労働時間の減少が施工能力の縮小につながり、その結果売上高が減少し、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
施工能力の縮小に対しては、これまでの現場ごとの「施工管理」からプラットフォームによる「生産管理」へと、施工の在り方の変革を進める(T-BaseⓇプロジェクト)等、生産性の向上に取り組むことにより、労務関連法制の改正に伴うリスク軽減に努めております。
なお、当社グループでは、働き方改革と称した労働環境や人事制度の整備等による適正な労働時間管理や長時間労働の是正等の継続的な取り組みを行うことで、労務関連法制に適切に対処してまいります。
2.海外事業展開に伴うリスク [影響度:中 発生可能性:中]
当社グループは、収益機会の拡大のため、これまで中国、東南アジア、インドを中心に海外への事業展開を図ってまいりました。
他方、当社グループの事業を海外展開していくにあたっては、不安定な政情、戦争やテロといった国際政治に関わるリスク、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、各国の通商政策の影響等の動きやその影響を受けた海外の経済的・政治的不安定性、商慣習の違い等の様々なリスクおよび特定の国や地域またはグローバルマーケットにおいて競争力を有する競合他社との競争が激化するリスクが存在します。更には、外国政府により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。当社グループがこれらのリスクに対処できない場合、当社グループの海外への事業展開、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国際グループ事業部が海外グループ会社を管理・統括することにより、国際事業全体の戦略拠点の見直しを進めるとともに海外グループ会社と常時情報連携を図り、適切なモニタリングを行うことで迅速にリスク対応できる体制を整備しております。
3.事業の拡大に関するリスク [影響度:中 発生可能性:低]
(1)事業領域の拡大について
新規の事業領域へ参入するにあたっては、相応の先行投資に加え、その領域固有のリスク要因により、コントロールが困難なほど投資が膨らむ可能性があるほか、新規に参入した市場で求められる技術と当社グループが保有する技術がマッチングしない場合や、市場の拡大スピードや成長規模、市場へ参入する難易度によっては、当初想定していた成果を挙げることができないこともあり、かかる場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、参入する市場調査、事業計画の精査等により、極力リスクを低減するよう努めております。また、参入後は、予め定めた撤退基準に基づき、撤退の要否を判断しております。
(2)M&A等について
M&A等については、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性もあり、その結果、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A実施後、収益計画と実績に大きな乖離が生じた場合には、のれんや株式の評価損計上を余儀なくされる可能性があります。
これに対しては、対象企業の財務内容、契約関係、事業計画の精査等を行うことによって、極力リスクを低減するように努めております。
4.資金調達に関するリスク [影響度:中 発生可能性:低]
金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用力の悪化により格付機関から当社に付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできることは保証されておりません。そのような事態に至った場合、安定した資金繰りに支障が発生する等、当社グループの事業遂行の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
ロシア・ウクライナや中東情勢の影響をはじめとする地政学リスクの高まりや、各国の通商政策等の影響、国際金融システム不安等が拡大・深刻化した場合、当該リスクが顕在化する可能性は高くなります。当社グループは、これらのリスクを回避するため、金融機関との対話および情報連携を常時行うよう努めるとともに、従来の短期融資枠に加え、コミットメントラインの導入の検討や追加の社債発行の検討等により、資金調達の安定化・多様化に努めております。
5.施工中の事故、災害リスク [影響度:中 発生可能性:中]
当社グループが工事を施工するにあたって、施工中の災害または事故等の発生により、損害賠償責任、契約不適合責任等を負担する可能性があります。当社グループは不測の事態に備えて包括賠償責任保険に加入しておりますが、多額の損害賠償金が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
多数の施工現場を有する当社グループにおいては、安全に向けて最大限の配慮を払うとともに、安全衛生の現場指導、適正な労務環境の構築等による安全衛生管理の徹底等、未然防止策によりリスクの低減に努めております。
6.人財確保に関するリスク [影響度:大 発生可能性:高]
(1)国内の従業員数の減少リスク
日本国内においては、定年退職者の増加により従業員数の減少が見込まれており、将来の事業活動に支障をきたす可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、定年延長・再雇用制度を充実させる等、長く従業員が勤め続けることができる人事制度を導入・浸透させるとともに、IoTの活用やデジタル化の推進などによる省人化・効率化により生産性を高めることによって、従業員数減少に備えております。また、海外の人財を含めた多様な人財の活用等、人財への人的投資を拡充して対応してまいります。
(2)若手・専門性を有する人財の採用リスク
当社グループが若手や専門性を有する人財を継続的に確保することができず、円滑な事業活動に支障が出る場合は、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内の大学等において就職セミナーを開催し、またインターンシップを実施する等によって優秀な人財の確保に努めております。通年採用やリージョナル採用等による採用機会の拡充を行うとともに、キャリア採用も積極的に行っており、多様な人財・多様なスキルの充足に向けて取り組んでおります。
7.無形資産(知的財産権等)に関するリスク [影響度:小 発生可能性:中]
当社グループは、環境に貢献しうる技術を持ち、多くの特許等を保有しております。特許権その他の知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術等を保護できない場合には、事業の競争優位性が確保できず、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社グループが、故意なく他者が持つ特許権その他の知的財産権等を侵害してしまい、被侵害者から損害賠償請求されることもあり得ます。
当社グループは、知的財産権等に関する専門部署を設け、全部門間で常に情報共有を図る体制を確立することで、他者の知的財産権等を侵害することおよび他者による当社グループの知的財産権侵害の未然防止に努めております。
8.市場に関するリスク [影響度:中 発生可能性:中]
(1)資産保有リスク
当社グループは、不動産や有価証券等の資産を保有していますが、取引先を中心とした市場性ある株式等は価格変動リスクを負っております。当連結会計年度末時点での市場価格との評価差額(税効果会計の適用前)は20,293百万円の含み益ですが、今後の時価の動向次第でこれらの数値は変動いたします。また、大幅な時価の下落が生じた場合、評価損が発生し、特別損失として計上する可能性があります。
政策保有株式については、当社グループは持続的な企業価値向上に向けて、戦略上重要な協業および取引関係の維持発展が認められる場合を除き、原則として保有いたしません。経済動向を注視しつつ、定期的に取締役会で資産の保有意義の検証を行い、企業価値向上に資するものとはいえないと判断した資産については売却する等、保有資産が価値減少するリスクの低減に努めております。
当社グループは、個別投資においては決裁基準を設けて投資案件検討委員会等による事前の協議・審査を厳格に行うこととしております。また、取得後についても、投資先の運営・経営状況や時価を定期的にモニタリングすることとしております。
(2)為替変動リスク
当社グループの海外連結対象会社の財務諸表について、現地通貨で作成したものを、円換算した上で連結財務諸表を作成する際、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、その結果、外国為替相場の変動が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対しては、必要に応じ、国際政治・経済動向を注視し、モニタリングいたしますが、当社グループでは、国を跨いでの資機材の調達は少ないため、取引上における為替変動リスクは限定されたものであります。
9.情報セキュリティに関するリスク [影響度:中 発生可能性:中]
当社グループは、個人情報の保護、取引先の秘密情報の管理に最大限の注意を払い、また、建築設備等に関わるクラウド基盤およびその基盤上で提供するアプリケーションの開発、運用、保守業務における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得するなど、グループ全体としてリスク管理を徹底し、適切な情報管理を行っております。しかしながら、サイバー空間では様々な技術を用いた攻撃が増加し、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらが発生した場合に法的紛争に巻き込まれる可能性があるほか、内外監督官庁からの処分を受ける可能性があります。
当社グループは、個人情報および取引先からの秘密情報を保持して事業活動を継続していくため、情報セキュリティ方針に基づき業務上保有する情報資産を適切に保護することとしております。
これを実現するため、情報管理規則を施行し、全従業員の秘密保持体制を強化するとともに、情報リテラシーを高めるための社内教育を行っております。
また、昨今高まるサイバー攻撃への対応として、攻撃の検出・分析を行うため、SOC(Security Operation Center)の整備、SIEM(Security Information and Event Management)のツールを導入しセキュリティ監視の強化を行うとともに、インシデント発生時に迅速かつ円滑な対応が可能なCSIRT(Computer Security Incident Response Team)体制の構築にも取り組むなど、ITガバナンス強化に努めております。
10.コンプライアンスに関するリスク [影響度:中 発生可能性:中]
(1)法的規制等の適用の可能性について
当社グループは、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法、個人情報保護法等、国内外の各種法令・制度等の事業活動に関連する法的規制を受けております。
こうした法的規制の新設や改正、監督官庁による許認可の取消または処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定または改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受ける場合、または既存の規制が強化された場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、グループ横断的なコンプライアンスに対する取り組みを進め、全社リスク管理委員会、内部統制委員会および取締役会へその取り組み状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長直轄の独立組織である内部監査室による内部監査を実施し、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。
(2)訴訟等の可能性について
当社グループが事業活動を展開する中で、環境、労務、知的財産権等、当社グループに対し様々な訴訟を提起される可能性、またはその他の請求を受ける可能性があります。
かかる事態に直面した場合、顧問弁護士と連携し、事実関係の調査を行った上で、必要に応じ、応訴等を検討しております。
(3)人権リスクについて
当社グループが事業を進める上では、雇用形態にかかわらず事業に関わる全ての従業員(正社員のほか、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート社員等を含む。)や取引先従業員、更には、顧客や事業活動が行われる地域住民等、事業活動に関わる全ての人の人権を尊重しなければなりません。しかしながら、人権に関する取り組みが不十分である場合、取引の停止や株価の下落、罰金等が発生し当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「人権の尊重」を企業が果たすべき概念と認識し、人権基本方針を作成のうえ開示するとともに、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係を踏まえ、人権への負の影響を予測・特定し、人権への悪影響の防止、軽減に努めております。
11.災害等のリスク [影響度:大 発生可能性:中]
当社グループが事業を展開する地域において、地震、台風、津波等の大規模自然災害等の発生や感染症の拡大等に伴い、工事の中断や大幅な遅延等の事態が生じた場合には、事業所において事業の継続に支障をきたす重大な損害が生じる可能性があります。また、これらの災害等が発生した場合には、短期的な復興需要の可能性がある一方、中長期的に社会全体の経済活動が停滞し、建設需要そのものが低下する結果、これらが当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
大規模災害等は予測困難であるものの、当社グループにおいては、これらの災害等が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)において基本的な方針や体制等を定め、中長期的な対応・対策を講じるとともに、定期的に計画の見直しを行い、精度向上を図っております。
12.気候変動に関するリスク [影響度:中 発生可能性:中]
気候変動は国・地域を超えて世界規模で影響を与える問題であり、当社グループにとって重要な課題であると認識しておりますが、対応の遅れや不足によって以下のリスクが顕在化する可能性があります。
(1)移行リスク
当社グループが脱炭素社会への移行や、顧客・社会の気候変動へのニーズに対応できない場合、投資家・顧客等からの評価が低下し、受注等の事業機会の喪失を招くなど、企業価値の低下につながる可能性があります。また、カーボンプライシング制度等の導入に伴うコスト増加により当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
脱炭素社会への移行に対処するため、サステナビリティ推進委員会を設置し、変化する情勢を常に確認し、環境目標の見直しやリスク顕在化の未然防止・迅速な対処に努める体制を整備しております。
(2)物理リスク
異常気象による資機材の高騰に伴うコストの増加の負担や大規模災害の発生に伴うサプライチェーンへの影響および施工のうち当社受注分の工期延長・利益減少によって、当社グループの事業、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、サプライヤーと協力し、より安定的な資機材の供給体制を構築するとともに、発生予測が困難な自然災害等に対する事業継続能力向上に取り組んでまいります。また、気候変動に伴い発生する事象等の影響について、一定の想定に基づくシミュレーション(シナリオ分析)の実施およびBCP訓練等、不測の事態に備えた対応策を継続してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇や金融資本市場の変動等による下振れが懸念されたものの、企業収益や雇用・所得環境の改善の動きなど、緩やかな回復基調のもとで推移しました。
建設業界および当社関連の空調業界におきましては、製造業・非製造業ともに堅調な企業収益等を背景に設備投資が進められ、建設需要は底堅く継続しております。しかしながら、働き方改革への対応や海外の政策動向による世界経済の先行き不透明感には引き続き注視を要するなど、事業運営には慎重な取り組み姿勢が求められる状況で推移しました。
このような状況のもと、当社グループはパーパスのもと、長期ビジョン・中期経営計画に基づき、建設事業による収益基盤を盤石なものとし、将来の成長に向けた投資を推進するための「ビジネスモデルのトランスフォーメーション」と、環境クリエイター®企業へのトランスフォーメーションに向けた人的資本への投資と体制の構築を図るための「企業と人財のトランスフォーメーション」を進めております。
当社グループの当期の売上高は381,661百万円(前期比+5.0%)となりました。
利益につきましては、効率的な施工体制の取り組みを通じた順調な工事進捗に加え、受注および施工段階における採算改善の取り組み等により、営業利益は32,415百万円(前期比+34.0%)、経常利益は34,970百万円(前期比+33.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は27,631百万円(前期比+40.9%)となりました。
また、受注高につきましては、416,147百万円(前期比+3.2%)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。(セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)
(設備工事事業)
売上高は373,683百万円(前期比+5.1%)、セグメント利益(営業利益)は31,738百万円(前期比+33.7%)となりました。
(設備機器の製造・販売事業)
売上高は8,535百万円(前期比+3.2%)、セグメント利益(営業利益)は579百万円(前期比+43.0%)となりました。
(その他)
売上高は119百万円(前期比+32.2%)、セグメント利益(営業利益)は82百万円(前期比+62.3%)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①受注高
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
設備工事事業 |
395,063 |
408,328 |
3.4 |
|
設備機器の製造・販売事業 |
7,956 |
7,699 |
△3.2 |
|
その他 |
90 |
119 |
32.2 |
|
合計 |
403,110 |
416,147 |
3.2 |
|
(うち海外) |
(64,787) |
(72,336) |
(11.7) |
|
(うち保守・メンテナンス) |
(31,109) |
(30,753) |
(△1.1) |
②売上高
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) (百万円) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
設備工事事業 |
355,493 |
373,683 |
5.1 |
|
設備機器の製造・販売事業 |
7,782 |
7,859 |
1.0 |
|
その他 |
90 |
119 |
32.2 |
|
合計 |
363,366 |
381,661 |
5.0 |
|
(うち海外) |
(58,850) |
(71,579) |
(21.6) |
|
(うち保守・メンテナンス) |
(30,466) |
(30,818) |
(1.2) |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため、提出会社の事業の状況は、次のとおりであります。
設備工事事業における受注工事高および完成工事高の状況
①受注工事高、完成工事高および繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
一般設備 |
142,474 |
144,501 |
286,976 |
133,240 |
153,735 |
|
産業設備 |
99,982 |
156,672 |
256,655 |
135,416 |
121,238 |
|
|
計 |
242,457 |
301,173 |
543,631 |
268,657 |
274,974 |
|
|
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
153,735 |
157,627 |
311,362 |
134,805 |
176,557 |
|
産業設備 |
121,238 |
150,347 |
271,586 |
139,469 |
132,116 |
|
|
計 |
274,974 |
307,974 |
582,949 |
274,274 |
308,674 |
(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでいるため、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
②受注工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
一般設備 |
6,674 |
137,826 |
144,501 |
|
産業設備 |
3,229 |
153,442 |
156,672 |
|
|
計 |
9,904 |
291,268 |
301,173 |
|
|
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
6,427 |
151,199 |
157,627 |
|
産業設備 |
805 |
149,541 |
150,347 |
|
|
計 |
7,233 |
300,741 |
307,974 |
(注)受注工事高のうち、主なものは次のとおりであります。
前事業年度
|
清水建設㈱ |
大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発(TOKYOTORCH)Torch Tower新築工事他 |
|
鹿島建設㈱ |
(仮称)浜松町二丁目4地区A街区A-1棟 |
|
Rapidus㈱ |
Rapidus株式会社IIM-1 建設計画 |
|
㈱東京ビッグサイト |
TFTビル東西館オフィス空調改修工事 |
|
長瀬産業㈱ |
長瀬産業東京本社ビル建替 |
当事業年度
|
鹿島建設(株) |
赤坂二・六丁目地区開発計画 |
|
(株)大林組 |
東京駅南部東西自由通路新設他 |
|
愛知県警察本部 |
愛知県警察本部北館空調改修工事 |
|
鹿島建設(株) |
Rapidus解析センター新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
基町相生通地区第一種市街地再開発事業 |
受注工事方法は、特命と競争に大別されます。これを受注金額比で示すと次のとおりであります。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
一般設備 |
26.8 |
21.2 |
48.0 |
|
産業設備 |
23.2 |
28.8 |
52.0 |
|
|
計 |
50.0 |
50.0 |
100.0 |
|
|
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
31.3 |
19.9 |
51.2 |
|
産業設備 |
25.6 |
23.3 |
48.8 |
|
|
計 |
56.8 |
43.2 |
100.0 |
③完成工事高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
一般設備 |
11,018 |
122,222 |
133,240 |
|
産業設備 |
367 |
135,049 |
135,416 |
|
|
計 |
11,385 |
257,271 |
268,657 |
|
|
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
一般設備 |
5,480 |
129,324 |
134,805 |
|
産業設備 |
3,333 |
136,135 |
139,469 |
|
|
計 |
8,814 |
265,460 |
274,274 |
(注)1 完成工事高のうち、主なものは次のとおりであります。
前事業年度
|
東京都 |
東京都しごとセンター(3)改修空調設備工事 |
|
森ビル㈱ |
虎ノ門麻布台計画A街区新築工事 |
|
鹿島建設㈱ |
渋谷駅桜丘口再開発(A街区) |
|
㈱大林組 |
京都競馬場BS改修本体工事 |
|
芙蓉総合リース㈱ |
米沢市立病院・三友堂病院新病院建設事業に伴うエネルギーセンター棟建設工事のうち本建屋工事 |
当事業年度
|
大成建設(株) |
東京ワールドゲート赤坂新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
大阪三菱ビル建替計画 低層事務所 |
|
東急建設(株) |
東京都市大学B棟新築工事 |
|
(株)竹中工務店 |
NHK渋谷放送センター情報棟建替え |
|
(株)大林組 |
グラングリーン大阪南街区 |
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 ㈱大林組 29,666百万円 11.0%
当事業年度 Rapidus㈱ 37,447百万円 13.7%
④手持工事高(2025年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
一般設備 |
7,243 |
169,314 |
176,557 |
|
産業設備 |
469 |
131,647 |
132,116 |
|
計 |
7,712 |
300,961 |
308,674 |
(注) 手持工事高のうち、主なものは次のとおりであります。
|
清水建設(株) |
日本橋一丁目中地区再開発C街区 |
2026年3月完成予定 |
|
三井不動産ビルマネジメント(株) |
聖路加ガーデンオフィス棟空調設備改修工事 |
2027年10月完成予定 |
|
清水建設(株) |
大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発 |
2028年5月完成予定 |
|
丸の内熱供給(株) |
大手町地域(仮称)Torch Towerプラント新設工事 |
2028年3月完成予定 |
|
鹿島建設(株) |
大和地所・住友不動産 北仲通北地区A1・2地区プロジェクト |
2027年1月完成予定 |
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、現金預金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて5,157百万円減少し、334,949百万円となりました。
負債合計は、支払手形・工事未払金等が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて22,209百万円減少し、150,665百万円となりました。
また、純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて17,051百万円増加し、184,283百万円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7,700百万円減少し、41,364百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,885百万円の収入(前連結会計年度は13,100百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,405百万円の支出(前連結会計年度比+6,698百万円)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、12,713百万円の支出(前連結会計年度比△12,222百万円)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
②資本の財源および資金の流動性に関する情報
当社グループの資金需要は、事業運営に必要な運転資金、設備投資・研究開発・新規事業開発等の成長投資のための資金および株主還元のための資金等であります。当連結会計年度の実績は設備投資額4,347百万円、研究開発費2,971百万円、株主還元額10,508百万円(配当10,508百万円)でありました。設備投資の詳細については「第3 設備の状況」を、研究開発費の詳細については「第2 事業の状況 6 研究開発活動」を、株主還元の詳細については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をそれぞれご参照ください。
当該資金需要に備えるための資金調達は、主に営業キャッシュ・フローの積み上がりによる自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入、社債の発行により行っております。
当社グループは、将来の資金需要に備え、金融機関との対話および情報連携を常時行うよう努めるとともに、従来の短期融資枠に加え、コミットメントラインの導入の検討や追加の社債発行の検討により、資金調達の安定化・多様化に努めております。
(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いております。会計上の見積りにあたっては、入手し得る将来に関する情報や過去の実績等に基づき合理的と判断する方法によっておりますが、将来に関する事象については不確実性を伴うため、見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、その活動テーマを「建物の環境を創る」、「地球の環境を守る」、「新たな環境に挑む」、「地域環境に貢献する」の3+αの柱を掲げ、脱炭素社会の実現、地球環境保全、生産性向上・働き方改革、その他多様な顧客ニーズに応える技術と商品の創出に注力してまいりました。
具体的には産業空調向け省エネ技術の開発、再生可能エネルギー・未利用エネルギー利活用技術の開発、資源循環型利用技術の開発、高砂熱学イノベーションセンター導入技術の性能向上・検証に取り組んでおります。
特に脱炭素の推進への寄与が期待される水素エネルギー利用技術を重要開発課題と位置付け、関連する技術開発、事業開発を継続して推進しております。
2020年より運用開始した高砂熱学イノベーションセンターにて、導入した当社独自の空調システムや省・創・蓄エネルギーシステムの継続的な運用改善に取り組みました。その結果、オフィス棟でZEBを継続して達成いたしました。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、
セグメントごとの主な成果は、次のとおりであります。
(設備工事事業)
(1)水素エネルギー利用技術
これまで20年以上にわたり建築設備向け水素利用システム開発で培ってきた技術を基に上市しました水素製造用水電解装置は、順調に市場展開しております。当社製水電解装置と太陽光発電、二次電池、燃料電池を融合して構築した北海道石狩市の厚田地区マイクログリッドは、運用事業の開始から3年間順調に需要家に電源供給を行いました。引き続きグリッドのさらなる運用改善に取り組んでまいります。
また、水素社会実現を加速化することのできる大型水電解装置(メガワット級)の開発は、2025年の市場投入にあわせ商品機の設計を完成させました。将来の受注増に対応すべく、装置製造体制の整備等を進めております。
さらには、将来の月面経済圏でのビジネス展開可能性に着目し、月面にあるとされる水を使って燃料となる水素および人が生きていくための酸素を生成するために、「月面環境での稼働を想定した水電解装置」を、宇宙スタートアップ企業の株式会社ispaceが提供する月着陸船に搭載し、月面環境下で世界初となる水素・酸素生成実証実験に挑戦しました。
月着陸船は2025年6月に予定していた月面着陸に至らず、当社は月面での実証実験を行うことはできませんでした。
当社の月面用水電解装置は、打ち上げ後、月着陸船との定期的な通信により、ロケット打ち上げ時の大きな振動や衝撃、急激な圧力低下、宇宙空間の真空・高放射線・無重力といった過酷な環境に約5か月間晒されながら、着陸直前まで健全な状態であることが確認されておりました。当社は月面用水電解装置開発を通じて得た知見を今後の様々な分野の研究開発に活かしてまいります。
(2)高砂熱学イノベーションセンター
茨城県つくばみらい市に新たな研究開発拠点として「高砂熱学イノベーションセンター」を開設し、運用開始から5年が経過しました。「地球環境負荷低減と知的生産性向上を両立したサスティナブル建築」を設計コンセプトとし、再生可能エネルギーの積極的活用による「ZEB」の達成やワークスタイルの変革に対応した多様な執務空間や地域貢献の場の提供を実現しております。
再生可能エネルギー利用として、太陽光発電200kWに加え、北関東圏産の木質チップを燃料としたバイオマスガス化発電80kWを継続して運転している他、大容量蓄電池やグリーン水素による小型燃料電池発電、自社開発のエネルギーマネジメントシステムにより、システムの最適運用を行っております。
研究開発の進捗により使用電力量は増加しておりますが、その受電電力も水力発電由来のグリーン電力とすることによりカーボンフリーを継続して実現しております。また、地下水とバイオマスガス化発電の排熱を利用したデシカント外調機や天井放射空調パネル、パーソナル端末で操作できる個別空調機により、執務者の健康性や快適性を実現しております。
これらの実績が評価され、当連結会計年度には、次の賞を受賞いたしました。
・「コージェネ大賞2024 民生用部門 理事長賞『木質バイオマスCHPと 太陽光発電・蓄電池を組合せた サスティナブルなエネルギー需給システム ~ 高砂熱学イノベーションセンターへの導入事例 ~』」(一般財団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センター)
(3)カーボンニュートラル事業開発部
当連結会計年度において、設置後3年目を迎えたカーボンニュートラル事業開発部による取組みは、当社が保有する環境技術を活用して、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを進める自治体・企業や先端技術を持つ学会・スタートアップなどと連携し、水素を軸にクリーンエネルギーを「つくる・ためる・つかう」領域を「ツナグ」ビジネスモデルの構築を目指しております。
新たな事業への取り組みとして、パートナー企業とともにキリンビール北海道千歳工場にて、2026年6月より同社が利用する化石燃料由来の都市ガスをグリーン水素へエネルギー転換する実証事業を開始する予定です。期間は10年間を予定しており、グリーン水素へのエネルギー転換によるGHG排出量削減効果や技術的な課題を検証予定です。
この他に当社は三菱商事株式会社、北海道電力株式会社及びエア・ウォーター北海道株式会社の4社コンソーシアムにより北海道千歳エリアにおけるグリーン水素供給に向け共同検討を行っており、グリーン水素サプライチェーンの実現を目指しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費(設備工事事業関連)は、
(設備機器の製造・販売事業)
2022年度から開発を継続している新たな空調機で2024年度に取り組んだのは大きく2種類、全6機種のシリーズです。2種類のうち、一つは既存機種のASPACシリーズをベースにした空冷一体型空調機、もう一つはPAFMACシリーズをベースにしたハイブリッド型空調機となります。昨年度リリースした空冷一体型空調機で、換気ができる体育館用空調システム「フレッシュクール」は今年度納品を開始しました。2024年度、新たに着手した製品開発としては、現在販売している二次側空調機へ熱源水を供給するための熱源機開発及び熱源機を含めた空調システム全体をコントロールするための監視制御システムの開発です。建物の空調システム全体をPMACの機器だけで完結できるオールピーマックシステムの完成を目指しております。これらの新規開発製品は2025~27年度中の製品化を目標に開発を継続中です。
また、既存製品については環境性能を向上させるべく、使用している冷媒を地球温暖化係数(GWP値)の低い冷媒へ改良開発を全機種進めており、2025年度は5機種を製品化予定です。
なお、当連結会計年度における研究開発費(設備機器の製造・販売事業関連)は、
(その他)
該当事項はありません。