文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「地球会社」という企業理念のもと、持続可能な社会の発展に向け、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会などのステークホルダーの皆様と健全な関係の維持・発展に努め、社会とのより良い調和を図っていきます。
① 企業は、社会の公器であることを常に自覚し、顧客に喜ばれる製品を供給する。
② 社員には、職場の適正配置と生活の向上を図る。
③ 株主には、適正な安定配当を行うよう努める。
④ 社会的信頼を高めつつ、堅実な経営を行い、世界的企業に発展するよう努める。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長を目指す中、2025年11月期より3ヶ年の中期経営計画「Beyond the Limit 2027」を策定いたしました。
カーボンニュートラルの時代に向けて、世界のモノづくり産業に貢献するエッセンシャル・プレーヤーとなることを長期ビジョンとして新たに掲げるとともに、持続的な企業価値向上(サステナビリティ)に向けてESG経営を推進します。収益性や事業効率の改善を通して企業体質を再強化するとともに、ROEを新たに経営指標として設定し、資本効率の改善を行います。2027年11月期の経営目標としてROEは10%超、営業利益率は16%超を目標としております。
(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
資源・エネルギー価格の上昇、インフレによる人件費の上昇など、経済環境は常に変化しております。当社グループの主要市場では、自動車関連産業はドイツを中心に欧州にて停滞しておりましたが、底打ちの兆しが見られるようになりました。また、航空機関連産業は欧米での回復が継続しており、エネルギー関連産業がアジアにおいて好調を継続しました。
このような状況のもと、中期経営計画「Beyond the Limit 2027」においては以下の基本方針を策定しております。
基本方針
グループにおける製販会社の収益性や事業効率の改善に取り組み、景気変動に左右されにくい強固な企業体質を構築します。また、バランスシートの改革を行い、最適な成長投資と株主還元の強化を目指します。そのための経営指標として2027年11月期のROEは10%超、営業利益率は16%超を目標としています。中期経営計画「Beyond the Limit 2027」においては、事業成長戦略と経営基盤強化の2つのカテゴリーに戦略方針を分けて立案しております。
① 事業成長戦略
引
② 経営基盤強化
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、独自の高付加価値な製品とサービスを通じて、世界中のサステナブルなモノづくり産業に貢献するエッセンシャル・プレーヤーとして、社会の持続的な発展に寄与することを目指しております。
当社はサステナビリティ委員会を設置しており、委員長である社長が監視、監督責任を持っております。ESGに関連した課題や、方針やビジョンの徹底、重要施策などについて審議し、活動状況を定期的に取締役会へ報告しております。サステナビリティ推進のための施策は、サステナビリティ委員長である社長の決定の下、各組織の部門長(ESG責任者)及び推進担当者が実行しております。

当事業年度に係るサステナビリティ委員会開催状況
当社グループは、企業価値の持続的な向上を目的として、サステナビリティ基本方針に基づき、優先的に取り組むべき4項目のマテリアリティ(重要課題)を特定しております。これらの課題の達成に向けて具体的な施策を推進するとともに、社会・経済情勢の変化に応じて必要な取り組みを検討・実行しています。また、中期経営計画に掲げるESG経営の推進については、マテリアリティと連動させ、当社の経営目標として位置付けたうえで、全社的な取り組みを進めております。
マテリアリティ特定のプロセス
(リスク管理)
当社グループでは、事業活動において発生しうるリスクの防止、発生したリスクの対応及びリスク管理のための体制の整備を行い、業務の円滑な運営に努めております。
企業経営の透明性、公平性を高めるために迅速な情報開示に取り組むとともにグループ経営の健全性の確保と企業倫理確立のためのリスク管理体制の整備を図るため「リスク管理規定」を制定しています。また、当該「リスク管理規定」により、リスク管理を効果的かつ効率的に実施するための「リスク及びコンプライアンス管理委員会」を設置し、リスク管理に対する基本方針及び体制の策定、各リスクの重大性、緊急性等の評価に応じた対策の検討及び決定等の必要な措置を速やかに講じております。
(指標と目標)
各マテリアリティに関する目標は以下のとおりです。
(注)エコプロダクツの評価基準(満点60点)は、業界団体「日本機械工具工業会」で定めた基準を採用しております。
当社グループにとって気候変動は事業の持続的成長に影響を与える重要課題であると認識しています。2021年10月に賛同したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言を踏まえ、気候変動シナリオ分析に着手し、以下の枠組みで取り組みを進めています。
TCFDへの賛同を表明し、気候変動による事業影響への適応に努めるとともに、脱炭素社会の実現に向けた事業活動を推進しています。具体的には、温室効果ガス排出量の削減に取り組み、営農型オフサイトPPAにより年間約4,000トン、新城工場でのオンサイトPPAにより年間約305トンのCO2排出量を削減しています。さらに、CO2フリー電力の購入を進め、再生可能エネルギーの活用を促進しています。
当社は、リスク及びコンプライアンス管理委員会にて、気候変動リスクをはじめとした当社全体のリスクについて、事業への影響度をもとに優先度を評価しております。気候変動に関するリスク・機会のモニタリングについては、サステナビリティ委員会、リスク及びコンプライアンス管理委員会、安全衛生委員会が連携して進めております。
異なるシナリオ(1.5℃シナリオ、4.0℃シナリオ)を選定し、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の情報を参考にリスク、機会及びその対応について検討を行いました。
リスクとその対応策
(注)時間軸については、2030~2050年を想定しています。
機会とその対応策
(注)時間軸については、2030~2050年を想定しています。
当社グループは、気候変動への対応として、中期経営計画において以下の目標を掲げています。環境に配慮した新製品の開発によるお客様の環境負荷低減をはじめ、省エネの運用改善によるScope1、2の排出削減、Scope3の算定、さらに主力製品のカーボンフットプリント算定を進め、CO2排出量の削減に取り組んでまいります。
CO2排出量削減に関しては、当社グループ全体での目標を新たに設定し、国内グループ会社に対して気候変動に関する研修及び方針説明を実施しました。具体的な削減計画として、2030年度において2024年度比で20%削減することを目標に設定し、当該計画に基づく取り組みを着実に実行してまいります。
<CO2排出量削減ステップ>

(3) 人的資本への取り組み
当社グループは「地球会社」の企業理念のもと、グローバルな視点で持続可能な成長を追求しています。先行き不透明な環境において、企業の発展には「変化に対応できる人財」、そして「挑戦・成長し続ける人財」の存在が不可欠です。人財育成の強化、多様なキャリア機会の提供、挑戦を後押しする企業文化の醸成に取り組んでおります。このような人財が活躍できる環境を整備するため、「人財の尊重と活躍できる環境の整備」をマテリアリティとして掲げ、長期的な人的資本戦略を推進しています。以下の3つの重点テーマを柱に強い組織づくりを進めてまいります。
当社グループは、「社員のウェルビーイングを追求し、社員・家族・お客様・地域・社会・地球の豊かな未来づくりに貢献する」をスローガンに、社員が働きやすさと働きがいを感じながら挑戦し続けられるよう、社内コミュニケーションの活性化を進めるとともに多様な働き方を支援し、成長意欲を引き出す企業文化を醸成します。
その一環として、ワークライフバランスの推進に取り組んでおります。特に男性育児休業取得率の向上を目標に掲げ、社員が取得しやすい環境づくりに注力しております。具体的には、男性育児休業の対象社員に対する意向確認の実施や個別相談、育児休業に関する情報の社内周知等を行っております。
また、安全健康経営を宣言し、安全と健康の両面から社員のウェルビーイングに繋がる取り組みを行っております。産業医・カウンセラー・ヘルススタッフによる健康相談窓口の設置、バランスの取れた健康な食事の提供など、社員の健康管理のサポートに注力しております。また、「健康ミッション25」と題し、喫煙率及びメタボリックシンドローム率において2025年度定期健康診断で両比率ともに25%以下を目標に、各事業所にて健康施策を立案、実施し、社員の健康意識向上に繋げました。安全衛生面においても、リスクアセスメント活動や安全衛生教育等を実施し、社員の安全に対する意識の向上に努めております。この結果、2025年度においても、昨年度に引き続き健康経営優良法人ホワイト500(経済産業省)に認定されました。
当社グループは企業価値の最大化に向けて、人財の育成を重要な経営目標のひとつと位置づけ、自己啓発や挑戦を尊重する組織風土を目指しております。社員一人ひとりが自身の可能性を広げ、持続的な企業成長に貢献できるよう、研修制度の充実やキャリア支援を強化していきます。また、適材適所の人員配置を通して、個々の能力が最大限に発揮される環境を整えていきます。
中期経営計画では、従来の常識にとらわれず、自らに限界を設けることなく挑戦する姿勢を示すスローガンとして「Beyond the Limit」を掲げています。その実現に向けて、人財のスキルや能力を明確にする「視える化」、率直に意見を伝え合う「言える化」、そして多様な意見に真摯に耳を傾ける「聴ける化」を推進し、適材適所における能力発揮を目指します。
当社グループは、国籍、性別、人種、障がいなどの有無に関わらず、多様な人財がそれぞれの個性を活かし、能力を十分に発揮できるよう「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進をテーマに働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。グローバル企業として、多様な価値観や経験を持つ人財が協働し、イノベーションを生み出せる環境を構築します。
女性活躍推進に注力し、一人でも多くの女性リーダーが誕生し活躍できるよう、積極的な女性の採用、女性活躍に関する実態・意識の把握や開示、柔軟な考えを今後のESG経営に活かせる風土づくりを行ってまいります。目標として、2030年において女性役職者比率(係長以上)10%を掲げております。
また、障がい者雇用の取り組みも積極的に進めております。2022年12月に特例子会社「オーエスジーアクティブ㈱」を設立しました。障がいのある方が一人でも多く、その適性と症状に応じて社会で活躍できるように作業範囲拡大など整備してまいります。
その他、フレックス勤務制度、カムバックエントリー制度を制定し、従業員の柔軟な働き方をサポートする制度を整えています。
当社グループ及び全社員は、国内外を問わず、人権を尊重し、関係法令・国際ルール及びその精神を遵守するとともに、社会的良識をもって持続可能な社会の創造に向けて自主的に行動します。また、人種、信条、肌の色、性別、宗教、国籍、言語、身体的特徴、財産、出身地等の理由で嫌がらせや差別を受けない健全な職場環境を確保します。
主な取り組みとして、新入社員研修や外部講習会を通じて人権意識の向上を行い、社内報では人権課題を取り上げることで労働環境における課題の発生防止に努めております。また、従業員のハラスメントに関する相談・苦情等に対応する専用窓口を設置しております。
(注)上記指標に関して、当社においては指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループすべての会社で実施しているものではないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、提出会社のみを対象として記載しております。今後は、グループ単位の指標及び目標の設定・開示も検討してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの製品は、自動車関連産業、航空機関連産業をはじめIT関連産業等の広汎な製造業にて使用されています。また、当社グループの販売先は、日本国内のほか、米州、欧州、アジア等にわたっております。従って、当社グループの製品需要はこれら関連業界の需要の減少や、日本及び世界各地域における景気の減退の影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対し、販売先を特定の業種や国・地域に集中せず多様化することによりリスクの分散化を図っておりますが、急激な景気変動や需要減少が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは世界各国に現地法人を配置して製品の製造・販売を行っており、連結財務諸表の作成にあたっては各地域における収益、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目を円換算しております。そのため、たとえ現地通貨における価値に変動が無くても、換算時の為替レートによって影響を受けることになります。
また、当社や一部のグループ会社では販売や材料の調達等外貨建で取引しているものもあり、為替動向によって売上高や製造コスト等に影響する可能性があります。当社グループはこれらの為替リスクを回避するために為替予約の活用及び外貨預金口座を通じた決済等によるヘッジを行っておりますが、すべてのリスクを排除することは困難であり、為替相場の変動は当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループの主要な製品である工具の主な原材料は超硬合金、高速度工具鋼、ダイス鋼であり、これらの原材料にはコバルト、バナジュウム、モリブデン、タングステン等のレアメタルを使用しております。レアメタルは、産地及び供給者が限定され、市況により価格が急激に変動する可能性があり、当社グループの原材料調達価格もこの変動の影響を受ける可能性があります。
原材料価格の高騰に対しては、販売価格に反映する努力を行っておりますが、原材料価格の上昇と販売価格の改定のタイムラグがあること及び必ずしも原材料価格の上昇分のコストを販売価格に転嫁できない場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは自動車関連産業をはじめとする主要ユーザーの海外進出への対応と市場に近接した最適地での生産・販売体制の確立のため米州、欧州及びアジアなど世界各地への海外拠点の構築を行っております。従って、海外各国における法律や税制規則の変更、その他の社会的、政治的な諸情勢の変動により、当社グループの事業活動に障害が生じる可能性があります。これらのリスクに対し、グループ会社と連携し定期的な情報収集に努めておりますが、リスクが顕在化した場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当社の本社、生産及び研究開発拠点が愛知県内の東三河地区に集中しております。そのため同地区に大規模な地震等の自然災害が発生した場合、生産活動をはじめとする事業活動全般に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP、初動対応マニュアル及び業務復旧手順書)の整備を行うとともに、建物等の耐震工事、非常時を想定した訓練の実施及び安否確認システムの導入等の対策を講じておりますが、リスクを完全に回避することは困難であり、想定を超える事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、情報セキュリティ基本方針を定め、年々変化するサイバー犯罪の手法に対して情報システムリスク評価を実施し逐次対策を講じております。万一被害にあった場合の影響範囲の最小化、業務継続性の確保までを視野に必要な投資を行っておりますが、当社の想定を超えた技術による不正アクセスやコンピュータウイルス、その他予測不可能な事象などにより、顧客情報や技術情報など機密情報の漏洩が生じた場合には、損害賠償義務の発生や競争力の低下等を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における経済環境は、世界的に緩やかな回復基調となりました。インフレは前年と比較して落ち着きを見せ、米国や欧州では金融環境の改善が進みました。一方、日本では、景気・物価見通しが概ね計画通りに推移し、金融政策の正常化に向けた動きが見られました。また、米国の関税引き上げによる景気の下押しが懸念されたものの、各国の対応により影響は当初の想定よりも緩和されました。加えてAI関連需要の拡大も下支えとなり、全体的に底堅い成長を維持しました。
当社グループにおいては、日本ではAブランドの新製品を世界展開したことにより増収増益となりました。アジアでは中国やタイでの回復に加え、好調を維持するインドの影響もあり、増収増益となりました。一方、米州は米国における製造業の回復が遅れたことから売上高はほぼ横ばいでしたが、営業利益は減少しました。欧州・アフリカでは、為替換算の影響もあり売上高は増加しましたが、前半の減速が響き営業利益は減少しました。
以上の結果、売上高は160,619百万円(前期比3.3%増)、営業利益は20,330百万円(前期比7.7%増)、経常利益は22,354百万円(前期比12.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,334百万円(前期比6.7%増)となりました。また、海外売上高比率は前期と比較して増加し、68.2%(前期は68.0%)となっております。
セグメントの業績は次のとおりです。
(日本)
売上高は76,669百万円(前期比3.2%増)、営業利益は8,884百万円(前期比23.3%増)となりました。
国内では、高いインフレ率の継続や米国の関税政策による輸出の落ち込みもあり製造業の景況を下押ししましたが、雇用が改善し名目賃金が堅調に推移したことに加え、サービス業や金融、IT関連が好調であったこともあり、総じて緩やかな回復基調となりました。
上記のように業種によって強弱はあるものの、国内の回復基調を反映したことに加えAブランド製品や微細精密加工向けカタログ製品の販売が好調に推移したこともあり、売上高、営業利益ともに増加しました。
(米州)
売上高は35,685百万円(前期比0.5%減)、営業利益は4,241百万円(前期比3.8%減)となりました。
主要市場の北米経済は、関税政策に伴う先行き不透明感はあったものの、関税引き上げによる景気の下押しは当初の懸念ほど大きくなく、底堅く推移しました。その一方で、製造業は業種によって強弱のある結果となりました。旺盛なAI需要を受けてコンピュータ・電子製品関連は好調を維持しましたが、その他の分野は総じて低調な結果となりました。南米ブラジルではインフレと高金利の影響で成長が鈍化することが懸念されましたが、経済は概ね堅調に推移しました。航空機は引き続き好調を維持しており、自動車も堅調に推移しました。
以上の結果、売上高は微減、営業利益は減少しました。
(欧州・アフリカ)
売上高は38,215百万円(前期比3.2%増)、営業利益は2,680百万円(前期比14.0%減)となりました。
主要市場である欧州の経済は、前年度からドイツの製造業を中心に低迷しました。主要輸出先である中国の需要低迷に加え、エネルギー価格の高止まりやコスト上昇による競争力の低下など複合的な要因が生産活動を抑制しました。しかしインフレ圧力の弱まりを背景に利下げが行われたこともあり、製造業の生産活動や受注が下げ止まったことで、期後半には底を打ち期末にかけて緩やかに回復しました。業種では航空機、防衛、エネルギー、医療産業が好調であったことに加えて一般加工業において改善が見られました。
以上の結果、為替換算の影響もあり売上高は増加しましたが、営業利益は減少しました。
(アジア)
売上高は40,166百万円(前期比6.3%増)、営業利益は4,793百万円(前期比15.4%増)となりました。
中国経済は、政府の景気刺激策の影響で消費が上向いたこともあり回復傾向にありましたが、次第に政策効果が薄れていったことにより鈍化しました。一方で、輸出関連やインフラ需要に支えられ、製造業は比較的堅調に推移しました。その他のアジア諸国においては、インドは好調を維持しており、タイも回復傾向にあります。
上記のように国によってまだら模様となっているものの、全体では増収増益となりました。
(資産)
総資産は、前期末と比較して10,443百万円増加し、267,699百万円となりました。
流動資産は、前期末と比較して3,790百万円増加し、148,243百万円となりました。これは主に、現金及び預金が3,424百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が2,889百万円、商品及び製品が2,464百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前期末と比較して6,671百万円増加し、119,361百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)が6,962百万円増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前期末と比較して4,002百万円減少し、73,842百万円となりました。
流動負債は、前期末と比較して2,252百万円減少し、25,208百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が3,211百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、前期末と比較して1,749百万円減少し、48,633百万円となりました。これは主に、長期借入金が912百万円、長期未払金(固定負債 その他)が883百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前期末と比較して14,445百万円増加し、193,857百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が8,887百万円、利益剰余金が3,504百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は67.5%(前期末は64.8%)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は48,005百万円となり、前連結会計年度末と比較して200百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は26,389百万円(前期比2,167百万円減)となりました。これは税金等調整前当期純利益21,334百万円、減価償却費12,598百万円、法人税等の支払額6,370百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は13,976百万円(前期比7,765百万円減)となりました。これは有形固定資産の取得による支出14,324百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は15,035百万円(前期比7,050百万円増)となりました。これは配当金の支払額5,011百万円、自己株式の取得による支出5,001百万円、長期借入金の返済による支出4,338百万円等であります。
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であってもその形状は一様ではなく、正確な生産規模としての把握が困難であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント別に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な販売先については、総販売実績の100分の10以上の販売先がないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比3.3%増加の160,619百万円、営業利益は前期比7.7%増加の20,330百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、海外市場と比較してシェアの高い国内市場の自動車関連産業や航空機関連産業の需要動向、輸出に関連する為替状況等が挙げられます。当連結会計年度は、自動車関連産業はドイツを中心に欧州にて停滞しておりましたが、底打ちの兆しが見られるようになりました。また、航空機関連産業は欧米での回復が継続しており、エネルギー関連産業がアジアにおいて好調を継続しました。その結果、コスト削減や為替変動による円安影響もあり、売上は過去最高であった2024年11月期を上回り、利益も前連結会計年度と比較して増益となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、超硬材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資及びM&Aによるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本とし、場合によっては社債の発行等を行うなど、資金調達の多様性を図っております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は44,957百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は48,005百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、のれんについて、発生日以降20年以内の年数(主として国内連結子会社は5年間、在外連結子会社は10年間)で均等償却しております。のれんは規則的に償却されますが、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定しており、その際には、将来キャッシュ・フローの見積りの基礎となる事業計画における将来の売上予測、またその前提となる関連市場の成長見込み等を主要な仮定としています。将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合等、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、世界市場におけるシェア拡大を目指し、国際競争力のある製品を開発すべく、基礎研究から応用研究に至るまで積極的な研究開発活動を行っております。また、SDGs達成に繋がる社会課題解決への貢献を目的として「環境に配慮した製品開発」を掲げ、エコプロダクツ評価基準を設定し、新製品開発時に達成すべき指標としています。
研究開発活動は当社のデザインセンターとRDセンターを中心に行っており、長期的な基礎研究については大学、国公立の研究機関と、先端加工に関する研究開発については工作機械メーカー及び素材メーカーと共同で取り組んでおります。
デザインセンターはタップ、ドリル、エンドミル、転造工具、ゲージ等の新製品開発及び改良を行っており、性能及び品質面において差別化された製品開発を基本方針として取り組んでおります。また、当部門は切削試験専用の各種工作機械及び開発設備を有し、様々な被削材・加工環境・加工条件・要求品位などを満たすべく新製品の性能評価を実施するとともに、工具性能を最大限に活かすために各種機器を活用し、加工技術の開発も行っています。
RDセンターは、PVDコーティング、CVDダイヤモンドコーティング及び窒化処理等の表面改質技術、高速度鋼及びダイス鋼材料の開発改良技術及び熱処理技術の研究開発を行っています。
一部の研究開発はデザインセンター、RDセンターと連結子会社が連携して進めており、超硬合金材料は日本ハードメタル㈱との共同研究開発体制を採っています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当社グループは、精密機械工具の生産・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、研究開発活動は主に当社を中心とした日本セグメントで行っております。当該セグメントにおける主な製品別の研究開発の成果は、次のとおりであります。
① タップ
タップは、多種多様な業界部品のねじ切り加工に使用されております。ねじ切り加工が最終工程になることも多いため、安定しためねじ加工の実現を基本としつつ、更なる高能率化も課題とする製品開発に取り組んでいます。
当期においては、Aブランド転造タップ「A-XPF」のバリエーション拡充として、オーバーサイズ及びロングシャンク品の追加を行いました。加えて、ねじ立て加工において深穴への加工にも対応した「A-LT-DH-XPF」の製品化を行いました。塑性変形によりめねじを形成する転造タップの特性を活かし、切削タップでは困難な深穴への加工対応が可能となりました。
また、2024年11月に環境配慮型製品として製品化した「Green Tap」は、2025年“超”モノづくり部品大賞(モノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催)において大賞を受賞し、さらに2025年度省エネ大賞(一般社団法人省エネルギーセンター主催)製品・ビジネスモデル部門では省エネルギーセンター会長賞を受賞しました。
② ドリル
自動車、航空機、半導体、医療機器などで高精度穴加工が求められる中、微細精密加工の需要増加に対応するため、高精度工具と豊富なサイズバリエーションで生産性向上に貢献できる製品開発に取り組んでいます。
当期においては、近年需要の高まる小径高精度加工に対応できるAブランドドリルとして「AD-MICRO」の製品化を行いました。また幅広い加工に対応し、独自の油穴形状により加工時の消費電力削減にも貢献する「ADOXシリーズ」の製品化を行いました。
③ エンドミル
金型、航空機、重電機、半導体産業を主要なユーザーとして生産性の向上及び、高精度加工の実現を重点課題として開発に取り組んでいます。
当期においては、高い防振性能を備え、高能率加工を実現する刃先強化型エンドミル「AE-VMSX」の製品化を行いました。また近年、半導体製造装置や検査装置、航空宇宙分野において需要が急拡大している高機能プラスチック加工に特化した「SEP-EL」の製品化を行いました。
④ 転造工具
転造工具はすべてが受注生産であり、多様なユーザーニーズに基づく迅速な製品開発と改良に対応する研究開発を行っています。
日本本社に8軸のラックダイス転造盤を設置し、変化するユーザーニーズに追従するため様々な加工条件で基礎研究を実施しております。丸ダイスにおいては、近年増加しているスルーフィード転造に対応できるように保有転造盤を改良しラックダイス同様に基礎研究を進めております。
⑤ 表面改質
PVDコーティング、CVDダイヤモンドコーティング及び窒化処理等の表面改質技術の基礎研究と応用開発を主に行っています。
当期においては、高精度な直径許容差を実現する小径超硬ドリル用コーティング「KeptA」を市場投入しました。また、超硬ドリル以外の工具を対象に、KeptA同様の優れた表面平滑性を有するコーティング開発を進めております。
⑥ 硬脆材加工用工具
精密金型に用いられる超硬合金や半導体製造装置の部品として使用されるセラミックス等の硬脆材加工では研削加工や放電加工が一般的となっておりますが、当社では切削加工への切り替えを希望する顧客に対応するため、セラミックス・ガラス加工用超硬ドリル「DIA-MXD」を製品化し、硬脆材加工用工具シリーズ「6CxOSG」とともに、差別化製品として高い加工精度及び加工安定性を提供しております。