文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
国内経済は、日経平均株価の最高値更新などを背景に、緩やかな回復基調にあります。
一方で、実質賃金は減少基調で、生活必需品価格や金利の上昇が家計を圧迫しており、消費者の節約志向は依然として根強く続いております。その結果、企業においては単純な価格転嫁は難しく、高付加価値商材や差別化されたサービスを通じて収益性を確保する必要性が一段と高まっております。
教育分野では、高等学校等就学支援金の拡充や、大学入試における学校推薦型・総合型選抜の拡大など、公的支援と入試制度改革が進展しております。また、社会人を対象としたリカレント教育・リスキリング関連の補助金制度が拡充され、幅広い世代において学び直しの需要が拡大しております。一方で、義務教育段階では、不登校児の増加や地域や所得による教育機会の差への関心が高まっており、行政・民間の双方で学習支援やデジタル教材の活用による教育機会拡充が進められております。
介護・医療サービス分野では、高齢化の進行に伴い需要が一層拡大しておりますが、人材確保は引き続き困難な状況にあります。加えて、食材費や建築費などのコスト上昇が経営を圧迫しており、多くの事業者で効率的な運営体制の構築が課題となっております。このような環境下で、介護保険制度や行政サービスの枠を超え、企業や民間事業者が提供する新たな介護支援・見守りサービスなど、多様なソリューションが拡がりつつあります。
上述のような市況において、当連結会計年度の連結業績は、売上高199,119百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益8,237百万円(前年同期比19.7%増)、経常利益7,810百万円(前年同期比13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,578百万円(前年同期比58.3%増)となりました。
当社は、企業価値の最大化のため、資本コストや株価向上・株主還元を意識した経営の実現に向けて、以下の4施策を実施いたします。
①成長戦略の着実な実行
2030年の目指すポートフォリオの実現に向け、グローバル事業、リカレント・リスキリング領域、メディカル/ウェルネス事業への戦略領域拡大に積極投資いたします。また、収益性を高めるために高付加価値サービスの拡大やLTV最大化、コスト効率の改善にも取組んでまいります。
②資本効率向上
投資意思決定プロセスの精緻化と不採算事業のモニタリング強化により、事業ポートフォリオの最適化を推進いたします。また、政策保有株式の圧縮、余剰資産の売却によってキャッシュ創出・債務削減を実行して資本効率と財務健全性を高め、ROE8%を目指します。
③株主還元
株主資本配当率(DOE)2.5%を目指し、安定的かつ持続的な株主還元を実施いたします。
④ガバナンスの強化
グループのガバナンス強化、意思決定の迅速化などを目的に、監査等委員会設置会社への移行を予定しております。
新中期経営計画「Gakken2027」の1年目である2026年9月期には売上高2,050億円、EBITDA135億円、営業利益85億円、親会社株主に帰属する当期純利益40億円を目指します。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1. サステナビリティ関連財務開示の作成方法について
本サステナビリティ関連財務開示は、当連結会計年度(2025年9月期:2024年10月1日から2025年9月30日まで)を報告期間として作成しています。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。
当社グループの理念は、「すべての人が心ゆたかに生きることを願い 今日の感動・満足・安心と 明日への夢・希望を提供します」です。この理念に掲げる、社会・環境に対する配慮や人権尊重の精神は、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指す姿勢、すなわちサステナビリティそのものであると考えています。教育・医療福祉事業を通じて価値を提供し、社会・環境の諸課題の解決に取り組むことは、同時に経済的価値の創出にもつながり、当社グループの持続的成長を支えるものであると認識しています。この認識のもと、事業を成長させることにより起こりうる環境・社会への影響にも配慮し、リスクや機会を把握したうえで、ダブル・マテリアリティを実現していきます。
新しい価値観や生活様式の定着、ESG・サステナビリティに関する関心の高まりなど、日々変化する外部環境に対応するために、2022年にマテリアリティの見直しを行いました。取締役会での議論などを経て、サステナブル・マテリアリティとフィナンシャル・マテリアリティを両立させた5つのマテリアリティを新たに特定しました。さらに、事業活動を通じてマテリアリティを解決し、6つの経営資本を強化していくことを説明した「学研グループ価値創造プロセス」に基づき、社会的価値の創造を実現するCSV(Creating Shared Value)への挑戦を一層推進してまいります。

■当社のサステナビリティに関する主要な取組の経過
環境分野においては、2022年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、具体的な排出削減計画の開示・実行に向けた取組を加速させました。さらに、2023年7月にはScope1・2に関する具体的な削減目標を設定し、2024年3月には環境方針を改定しています。
社会・ガバナンス分野においては、2023年3月に人権方針を改定するとともに、新たに調達方針・腐敗防止方針・タックス・ポリシーを制定しました。2024年3月には調達ガイドラインを策定し、従業員に関する情報も非財務データとして開示を開始しています。
また、当社グループの優先課題である女性活躍推進をはじめとしたダイバーシティおよびインクルージョンを進めています。2024年3月には学研ホールディングスにダイバーシティ&インクルージョン室を開設しました。女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差を主要な指標と定め、目標を策定して取組を強化しています。
また、当社グループは2004年より環境活動をマネジメントに落とし込むためにEMS(環境マネジメントシステム)を運用してきましたが、2024年9月期からはその枠組みをサステナビリティ全般に拡大し、サステナビリティを事業戦略と結びつけるSMS(サステナビリティ・マネジメントシステム)の運用を開始しました。サステナビリティ推進室が牽引役となり、グループ各社の「サステナビリティ担当取締役」および「サステナビリティ・リーダー」と連携して、各社の中期経営計画と価値創造プロセスを連動させたサステナビリティ目標とKPIを設定し、モニタリングしています。KPIにはGHG排出量の削減目標もあり、各社が達成に向けて施策を実行しています。今後もグループ全体で、一連の活動を迅速かつ強力に推進してまいります。
2025年9月期には、ダブル・マテリアリティの実現により生み出すCSVをさまざまな観点から検証するため、パイロット事業会社でバリューチェーン・マッピングを作成し、リスクと機会の特定と要因分析を開始しています。さらに、事業における社会的価値を貨幣価値化して示すSROI評価を行いました。
・学研グループ統合報告書2025
https://www.gakken.co.jp/ja/sustainability/report.html
2. サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社では、「サステナビリティ委員会」が、グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会を監督する責任を負っています。同委員会は、最高レベルの意思決定機関である取締役会の直下に設置されており、学研ホールディングス代表取締役を委員長、常勤取締役を委員として構成し、年2回以上開催しています。委員長は、委員会の議長を務め、議題の設定や進行を行うとともに、サステナビリティに関する戦略的な方向性を示し、全体の調整を図ります。委員会では、気候関連のリスク及び機会を含むサステナビリティ関連全般について、当社グループの方針・行動指針の策定、戦略の決定、取組状況のモニタリング・評価および監督を行っています。サステナビリティ推進室は、同委員会の事務局を担うとともに、統合報告書をはじめとした情報開示の充実を図っています。
(サステナビリティ推進体制)
各部会の役割は、以下の通りです。

・サプライチェーンマネジメント(SCM)部会
責任ある調達および気候変動・生物多様性・人権等の重点課題に関する対応、推進、統括を担う。
・人的資本部会
人的資本に関する情報開示、エンゲージメントスコアに基づくPDCAサイクルの検討、DE&Iへの対応を担う。
さらに、事業会社各社にサステナビリティ担当取締役およびサステナビリティ・リーダー、人事担当取締役および人事担当者を配置し、サステナビリティ委員会・取締役会の決定事項に基づき、サステナビリティに配慮した事業活動を実行する体制を整備しています。
当社グループは、リスクを「当社グループにおける一切の損失発生の危険」と定義し、18種類に分類・特定しています。これらを発生頻度と損失想定規模により評価・点数化し、各社で管理しています。気候関連リスクについても、事業に大きな影響を及ぼすリスクとして、内部統制委員会およびサステナビリティ委員会により統合的に管理しています。さらに、リスク管理の統括組織として内部統制委員会の下にリスク管理部会を設置し、年2回開催される内部統制委員会において取締役会へ報告を行い、取締役会による監督を受けています。
「戦略」と「指標及び目標」は、以下の重要な個別テーマごとに記載します。
3. 重要なサステナビリティ項目
当社グループは、前項のガバナンス及びリスク管理を通じて、重要なサステナビリティ項目として以下を特定しています。
①気候変動への対応
②人的資本への対応
当社グループは、これらのリスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸について、「短期」、「中期」及び「長期」をそれぞれ1年、2~3年、4年以上と定義しています。これは、当社グループが戦略的意思決定に用いる計画期間と合致しています。
各項目に関する当社グループの考え方および取組は、以下のとおりです。
①気候変動への対応
当社グループは、2022年8月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同しました。株主・投資家などのステークホルダーとの気候変動対応に関する対話を積極的に実施するとともに、TCFD提言の4項目に沿った情報開示を行っています。
①-1. ガバナンス
気候変動対応の最高責任者はサステナビリティ委員長である当社代表取締役であり、気候変動に伴うリスク管理方針や戦略のレビュー・指導、対応策の評価・監督、重要施策の最終判断などに責任を負っています。トップマネジメント・コミットメントとして温室効果ガスの削減目標を定め、削減に向けた行動計画の策定を進めています。
また、教育・医療福祉事業の各セグメントにおいて、気候変動によるリスクと機会の分析を実施しています。

①-2. 戦略及びリスク管理
TCFDで開示する戦略として、物理的リスク・機会については温暖化シナリオ(4℃)、移行リスク・機会については脱炭素シナリオ(1.5℃)を作成し、各シナリオに基づく戦略検討を進めています。シナリオ分析をもとに、短期、中長期の視点から顧客のニーズや環境負荷軽減を踏まえて戦略を策定し、レジリエントなビジネスモデルの構築に向けて対応を進めています。
<物理的リスク・機会 :温暖化シナリオ(4℃)>
医療福祉事業において、当社グループは全国約600拠点で約18,000人の高齢者や認知症患者が生活する施設を運営しています。IPCC第6次評価報告書によると、気温が4℃上昇した世界では、産業革命以前と比較して、極端な高温日は約9倍、大雨は2.7倍に増加すると予測されており、気候変動による自然災害の頻発化が見込まれます。
当社グループにとっての主な物理的リスクは、豪雨・洪水・台風などによる施設破損や運営停止による営業損失、高齢者への健康被害、物流網への被害影響による必需品不足などです。これらに対応するため、ハザードマップを基に拠点ごとの浸水リスクの把握に取り組んでいます。浸水リスクの低い土地への施設建設や、浸水リスクの高い拠点では居住スペースを2階以上とするなどの基準に基づき、中長期的視点で開発計画を策定しています。
短期的には、受電・変電設備の浸水対策のほか、リスクに応じた被害・安全対策を実施しています。また、入居者・利用者の健康・生命を守る機能を優先的に維持するため、必要物資の備蓄も行っています。これらの取組をステークホルダーに情報提供することで、安心・安全なサービスの提供を担保し、事業拡大につなげています。
<移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)>
気温の上昇を1.5℃に抑えた世界では、脱炭素移行に伴う炭素税の課税や、温室効果ガス排出抑制の政策導入・規制強化が進むと想定されます。この影響により、事業運営にかかる燃料費・電力コストは2030年までに最大約8.4億円※増加する可能性があります。
当社グループでは、エネルギー効率の向上に加え、2024年10月から東京本社ビルの電力を再生可能エネルギーに切り替えています。さらに、事業拠点での太陽光発電設備によるエネルギー創出などの対策も進めています。
規制強化のタイミングや内容には不確実性があるため、中長期・短期それぞれの視点で戦略を講じています。中長期的には、供給量の不足による調達コスト上昇も見込まれます。自然災害の頻発化による製造拠点や物流網への影響に備え、調達先の製紙メーカーや代理店の多様化によってリスク分散を図り、供給チェーンの脆弱性を低減しています。短期的には市場需要や消費者の紙媒体から電子媒体への移行動向を踏まえ、紙の調達計画を策定しています。
また、持続可能なビジネスモデルの構築に向け、発刊後に返本された商品を古紙として自社商品に再生させるクローズドリサイクルや、おむつのアップサイクルなどにも取組み始めています。脱炭素社会への移行に伴う消費者の環境意識の高まりは、SDGsや自然環境をテーマとする出版コンテンツの需要増加という重要な機会であると捉え、顧客ニーズに応じた価値創出を推進しています。
※当社グループの2023年9月期排出実績値5.6万t-CO2と、NZE2050に基づく2030年度推定炭素税($90、1$=153.34円 2024年11月11日為替レート)を用いて推定
①-3. 指標及び目標
指標:売上単位当たりGHG排出量(Scope1+Scope2 )
目標:2030年までに2022年比50%減
・実現のための取り組み
●エネルギー性能の高い拠点の開設を推進
-太陽光発電導入等による創エネ
-新規拠点のZEB Ready 及びZEH
※ZEB Ready : 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から、50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建築物
※ZEH:住宅で使う一次エネルギーの年間消費量が概ねゼロの住宅
●既存拠点のLED照明導入等の省エネ化
●DX推進による紙等資材の効率的な使用
●再生可能エネルギーへの切り替え
上記取組をスタートし、2024年9月期には、2030年までに削減すべき排出量の27%を削減しました。


②人的資本への対応
当社グループは、教育・医療福祉事業を営む企業グループとして、従業員一人ひとりが社会的使命感を持って日々の業務に従事しています。当社グループならではの特長ある商品・サービスは、多様なバックグラウンドを有する人材や、専門的な技能・知識を備えた人材の力によって生み出されています。こうした多様性を基盤としつつ、従業員が最大限の能力を発揮できるよう、健康経営の推進や多様な働き方の実現に取り組み、働きがいと働きやすさの両立を目指しています。
人的資本への対応にあたっては、「明日を創る人を創る」を人事ポリシーとする基本方針を定めています。

②-1. ガバナンス
人的資本への対応の最高責任者はサステナビリティ委員長である当社代表取締役であり、当社グループの人的資本への取組に対する責任を負っています。同委員長の発するトップマネジメント・コミットメントに基づき、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を定め、当社人事戦略室とダイバーシティ&インクルージョン室が連携して、取組を推進しています。
②-2. 戦略及びリスク管理
当社グループは、中期経営計画Gakken2025「SHIFT」において、従業員の可能性を拡げることを目的に、以下の5つの重点人材育成施策を推進しました。
1 行動指針 Gakken Initial Valuesの浸透
2 ダイバーシティ採用
3 リスキリング(学研仕事塾)
4 多様な事業経験/ OJT・グループ内外への異動
5 経営幹部の選抜・育成

5つの重点施策を中心に様々な施策を推進することで、多様な事業を推進しグループを成長させるために必要である3つの課題「人材の多様性」「知識・技能の高度化」「従業員のエンゲージメント向上」に取り組みました。
<人材の多様性>
・女性管理職比率の向上
・育児・介護との両立支援
・若手・シニア・外国籍従業員の活躍
・経営層の年齢構成の多様化
・障がい者雇用の推進
・LGBTQへの理解
<知識・技能の高度化>
・経営幹部の選抜・育成
・編集者・塾講師・介護士・保育士などの専門人材の育成
・グループ内人材交流
・グループ内コンテンツを活用したリスキリング
・DX・ICTスキル向上による業務効率化
・高度スキル人材採用
<従業員のエンゲージメント向上>
・健康経営の推進
・多様な働き方
・人事制度改定
・エンゲージメントサーベイの実施
・経営懇談会(経営層と従業員とが直接意見交換する場)の実施
②-3. 指標及び目標
2025年9月期における当社および連結子会社の主要指標は、女性管理職比率37.1%、男性育児休業取得率73.6%、男女間賃金格差79.5%となっており、いずれも統計調査※の平均値を上回っています。これらの指標の向上は、当社グループの持続的成長にとって重要であると認識しており、引き続き平均値以上の実績を維持・向上させていきます。
また、当社グループでは、上記「戦略とリスク管理」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。
●女性役員比率
当社グループは、人材の多様性が競争力の源泉であると認識しており、特に意思決定層の多様性を高めるため、2030年までに当社女性役員比率30%以上を目標と設定しています。この目標を達成するため、当社グループ全体で各階層での計画的な人材育成や人材登用をさらに推進していきます。
●男性育児休業取得率
教育・医療福祉事業を展開する当社グループでは、若い世代が安心して子育てできる社会の実現に率先して取り組む必要があると考えています。こども未来戦略方針に基づき、2030年までに男性育児休業取得率85%を目指し、職場環境の整備を進めていきます。
※厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」、「令和6年度雇用均等基本調査」を参照。
「令和6年度雇用均等基本調査」
・男性育休取得率:40.5%(令和5年度30.1%)女性は86.6%(令和5年度84.1%)
・管理職等に占める女性の割合:部長相当職 8.7%(令和5年度7.9%)、課長相当職12.3%(同12.0%)、係長相当職 21.1%(同19.5%)
「令和6年賃金構造基本統計調査」…一般労働者の賃金(月額)
・男女間賃金格差(男=100) 75.8(前年差1.0 ポイント上昇)
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
①法的規制等に関するリスク
当社グループは教育・医療福祉に関する事業を中心に様々な事業を展開し、それぞれの事業分野において各種法令・諸規則等の適用を受けており、これら法令・諸規則の改正もしくは解釈の変更、法的規制の新設によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、コンプライアンス経営の確立に努め、全従業員への定期的な研修をはじめ、法的規制の順守および取り組み強化を進めております。
②自然災害や感染症に関するリスク
当社グループの本社および主要な事業所は東京を中心とした都市部に、高齢者住宅事業や認知症グループホーム事業、教室・塾事業では全国で事業所や施設等の運営をしており、当該地域において、地震、津波、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、感染症の蔓延等、予測の範囲を超える事態の発生により、事業活動の停止や事業運営への重大な支障が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの設備やシステムが被害を免れた場合においても、取引先の被害状況によっては、上記同様のリスクが発生する可能性があります。そのため、地震や風水害等の自然災害や火災などの災害発生に備え、対策マニュアルや事業継続計画(BCP)を整備し、緊急時の被災状況等の情報収集体制の確立、お客様や従業員等の安全確保と事業継続に向けた体制の構築に努めております。
③個人情報の管理に関するリスク
当社グループでは、商品・サービスの企画、制作、販売のあらゆる過程において多くの個人情報を有しており、今後不測の事態により個人情報が流出する事態になった場合、当社グループの信用失墜は免れず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、個人情報の適正な取り扱いをすることは、事業活動の基本であり、社会的責務であるとの認識のもと、これらの個人情報の取得、保存、利用、処分等にあたっては、関連法令の順守はもとより、社内規程、ガイドライン、マニュアル等を制定し、外部からの不正アクセスには防止対策を強化するなど必要な措置を講じるよう努めております。
④情報システムの障害に関するリスク
当社グループは事業の多くにおいて、情報システム・通信ネットワークに依存しておりますが、予測の範囲を超える停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセスなどにより、情報システムの停止、情報の消失、漏洩、改ざんなどの事態が発生した場合には営業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、システムトラブルの発生可能性を低減させるために、安定的運用に向けたシステム強化、セキュリティ強化及び安全性の高いデータセンターでのサーバー運用、クラウドサービス利用によるサーバーの分散化等の対策に努めております。
⑤医療福祉分野に関するリスク
高齢者住宅事業や認知症グループホーム事業では、「サービス付き高齢者向け住宅」および「認知症グループホーム」などの事業を展開し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができる社会を支える仕組みづくりに取り組んでおります。また、子育て支援事業では、認定こども園や保育所、学童保育などの運営を行い、子どもを安心して預けられる環境整備と待機児童問題の改善に向けた取り組みを推進しておりますが、利用者の安全・健康管理という側面において、ご利用者が高齢者や乳幼児等であることから、生命に関わる重大な問題(事故、食中毒、集団感染等)が生じる可能性があるため、これらの問題に基づき、訴訟が提起された場合や風評被害が生じた場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、高齢者福祉事業、子育て支援事業共に各事業所、施設等の運営において、ガイドラインやマニュアルの制定や研修などを通し、安全・安心な環境の整備などに努めております。なお、高齢者福祉事業は、介護保険法、高齢者住まい法、老人福祉法などの関係法令に従い展開しておりますが、今後の社会保障制度や法令の改正によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥教育分野に関するリスク
教室・塾事業では、主に幼児から高校生を対象として全国で教室や塾を運営しており、利用者の安全を脅かす事態が発生した場合は、信頼性が低下する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、利用者が安全に通っていただくために交通・防犯指導や緊急時対策等、体制の整備に努めております。
出版コンテンツ事業では、子どもの知的好奇心を満たす図鑑や知育教材、学習ニーズに対応した学習参考書や辞典をはじめ、医療者向け等の専門書のほか、料理・健康・教養など様々なライフスタイルに向けた出版物を提供しており、電子書籍等、更なるコンテンツの充実に努めておりますが、出版市場では、書籍及び雑誌等の販売減少傾向が続いており、また、広告収入においても景気変動の影響を受けやすい状況にあるため、急激な市場変化によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。製作・販売している出版物などのコンテンツには、著作権・肖像権など様々な無体財産権が存在しており、今後権利者からの出版差し止め、損害賠償などの係争に発展するリスクを完全に回避することは困難であり、係争に発展した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、公正取引委員会の2001年3月23日公表「著作物再販制度の取扱いについて」において、著作物再販制度の廃止の考えがコメントされておりますが、同制度の廃止に反対する意見も多く、当面廃止が見送られております。将来において同制度が廃止された場合、出版業界全体への影響、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、出版業界の慣行として委託販売(返品条件付販売)制度がありますが、想定以上の返品の増加となった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、市場予測の精度の向上や、返品率の改善などに取り組むとともに、電子書籍や出版物以外の事業拡大など、収益の最大化を目指してまいります。
園・学校事業では、今後の少子化の影響は甚大ですが、「こども家庭庁」の設置に象徴されるように、保育環境設備や幼児教育の質的向上ニーズに対応すべく商品・サービスの開発に努めてまいります。学校教育では急速なDX化への対応が課題ですが、大学入試改革による入試形態の多様化で、探究学習などの非教科型・教科横断型学習が広がりを見せており、強みを生かしたコンテンツの開発を進めてまいります。
⑦海外への事業展開に関するリスク
当社グループは、海外においても商品の生産・販売をはじめとして、出版・学習塾・介護・ODAコンサルタントなどの事業を行っており、事業展開する国・地域における政治的・社会的・経済的不安定要因、自然災害、感染症・伝染病、法律や規制の新設・変更などの顕在化により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当該国・地域での法制度の改正や解釈の変更、行政の動向等に係る情報収集及び状況把握を行い、体制の強化に努めております。
⑧株式の評価損やのれんの減損損失に関するリスク
当社グループは、事業領域の拡大及び事業運営の円滑化等の目的で、有価証券を保有しておりますが、近時の経済環境、市場環境は、引き続き不透明な状況となっていることから、業績への影響も懸念され、当該株式価値の急激な下落に伴う当該株式の評価損の可能性があります。また、買収後の事業環境の変化等により、当初想定した事業計画通りに進まなかった場合、のれんの減損損失や株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、M&Aの実施に際しては、対象会社の財務・法務・事業等について詳細な事前調査を行い、リスクの把握や正常収益力を分析した上での決定など、リスクの顕在化の可能性の低減に努めております。
当連結会計年度の連結業績は、売上高199,119百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益8,237百万円(前年同期比19.7%増)、経常利益7,810百万円(前年同期比13.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,578百万円(前年同期比58.3%増)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
※1 有利子負債=借入金+社債+リース債務
※2 自己資本比率=自己資本÷総資産
※3 DEレシオ=有利子負債÷自己資本
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,479百万円増加し、139,194百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の増加2,530百万円、商品及び製品の増加1,109百万円、有形固定資産の減少3,034百万円、無形固定資産の増加6,423百万円、投資有価証券の減少2,163百万円などによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,661百万円増加し、79,722百万円となりました。主な増減は、短期借入金の減少1,697百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加1,536百万円、長期借入金の減少2,593百万円などによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5,818百万円増加し、59,471百万円となりました。主な増減は、資本剰余金の減少745百万円、利益剰余金の増加2,512百万円、自己株式の増加841百万円、非支配株主持分の増加5,899百万円などによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、20,994百万円と前連結会計年度末と比べ2,225百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、7,817百万円の資金増加(前連結会計年度は7,158百万円の増加)となりました。主な増減は、税金等調整前当期純利益の計上8,784百万円、減価償却費の計上3,508百万円、のれん償却額の計上1,228百万円、法人税等の支払額2,960百万円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、392百万円の資金増加(前連結会計年度は1,842百万円の増加)となりました。主な増減は、有形及び無形固定資産の取得による支出3,608百万円、有形及び無形固定資産の売却による収入4,171百万円、投資有価証券の取得による支出3,550百万円、投資有価証券の売却による収入2,581百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入2,546百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,604百万円の資金減少(前連結会計年度は9,375百万円の減少)となりました。主な増減は、短期借入金の純減少額1,697百万円、長期借入れによる収入5,300百万円、長期借入金の返済による支出6,383百万円、社債の発行による収入6,957百万円、社債の償還による支出6,000百万円、自己株式の取得による支出1,006百万円、配当金の支払額1,066百万円などによるものです。
当社グループが扱うサービス・商品は広範囲かつ多種多様であり、生産実績の画一的表示が困難であることから、記載を省略しております。
金額僅少のため、受注実績の記載は省略いたします。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、『第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)』に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは『第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」(重要な会計上の見積り)』に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結業績は、売上高199,119百万円、営業利益8,237百万円、経常利益7,810百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,578百万円となりました。
また、重要な経営指標と位置付けている売上高営業利益率は4.1%、ROEは7.0%、配当性向30.2%でした。
売上高については、医療福祉分野における施設増と入居率を高位維持できたこと、またDTP Education Solutions JSC(以下「DTP社」)、及び株式会社桐原書店の連結子会社化、出版事業、語学事業の事業規模拡大が寄与し前年同期比13,552百万円の増収となりました。
営業利益については、教育分野における価格改定とコスト削減効果によって増益となり、医療福祉分野も価格改定効果によって下期に業績を回復したことで増益を果たし、全体では前年同期比1,357百万円の増益となりました。
経常利益は、持分法による投資損益の減少はあったものの、営業利益の増益により、前年同期比907百万円の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、事業ポートフォリオ転換を進める中で減損処理を実施しましたが、前年第1四半期に計上した株式売却損が無くなったことと、DTP社の連結化に伴う段階取得差益の計上に加え、資本効率の向上を目的とした政策保有株式の売却益により、前年同期比1,317百万円の増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〇教育分野
売上高:95,390百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益:4,958百万円(前年同期より836百万円・20.3%増)
(単位:百万円)
(教室・塾事業)
売上高:53,438百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益:2,369百万円(前年同期より409百万円・20.9%増)
売上高は、2024年10月に㈱講談社パルが運営する「講談社こども教室」を事業承継して設立した㈱学研Linkを今期連結したことに加え、中学教科書改訂による塾向け参考書の販売増加、㈱市進ホールディングスの業績好調により、全体として増収となりました。
営業利益は、教室事業において2025年4月に実施した月謝改定の効果、及びコスト効率改善活動の寄与、塾向け参考書の伸長が貢献し、増益となりました。
(出版コンテンツ事業)
売上高:27,859百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益:2,850百万円(前年同期より683百万円・31.5%増)
売上高は、出版事業において、高校学参書、語学書、実用書が好調を維持できたことに加え、語学・社会人教育事業において、オンライン英会話「Kimini」の受講者数と看護師向けeラーニングにおける契約病院数がそれぞれ堅調に推移したことから、全体として増収となりました。
営業利益は、出版事業において、既刊学習参考書の価格改定や実用書ヒット本増刷に加え、語学・社会人教育事業における利益率の高いデジタルコンテンツ事業の拡大によって増益となりました。
(園・学校事業)
売上高:14,092百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益:123百万円(前年同期より286百万円・69.8%減)
売上高は、学校事業において、㈱桐原書店のグループインの貢献により増収となりました。園事業において、国内の幼稚園・保育所数および園児数の減少に伴い減収となり、全体として増収となりました。
営業利益は、園事業における継続的なコスト削減努力によって営業利益黒字を確保したものの、学校事業において昨年度の小学校向け教科書改訂に伴う伸長の反動減により減益となりました。
〇医療福祉分野
売上高:95,088百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益:4,275百万円(前年同期より71百万円・1.7%増)
(単位:百万円)
(高齢者住宅事業)
売上高:46,587百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益:2,433百万円(前年同期より5百万円・0.2%増)
売上高は、新規開設数の増加、入居率の高位安定により増収となりました。高騰する建設コストの中でも今期16棟の新規開設と2棟の事業承継を実施し、1棟当たりの室数を増加させることで収益性を確保しつつ、需要の高まりに応じた拠点展開を着実に推進しております。
営業利益は、食材費や水道光熱費をはじめとする物価高騰や人件費上昇の影響を受けたものの、2025年3月に実施した価格改定および業務効率化によるコスト削減効果により増益となりました。
(認知症グループホーム事業)
売上高:40,397百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益:2,290百万円(前年同期より43百万円・1.9%増)
今期2棟の新規開設と10棟の事業承継を行い、建築コストの高騰により新規開設が難しい環境下においても順調に拠点数を拡大しております。売上高は、拠点数の増加に加え、入居率を高い水準で維持できたことにより、引き続き増収となりました。
営業利益は、水道光熱費や食材費等の高騰の影響を受けながらも、2025年2月より原価上昇分の価格改定を段階的に進めたこと、加えて全社的なコスト削減施策の効果によって増益となりました。
(子育て支援事業)
売上高:8,103百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益:193百万円(前年同期より32百万円・19.8%増)
今期は10施設の学童および児童発達支援施設を新規開設し、首都圏を中心に共働き世帯や個別支援を必要とする世帯のニーズに応えて施設展開を推進しております。
売上高は、学童および児童発達支援施設の新規開設、及び保育園の定員充足率が引き続き高水準を維持したことが寄与し、増収となりました。
営業利益は、園児数の増加に加え、運営効率化施策の推進などにより、増益となりました。
〇その他
売上高:8,639百万円(前年同期比40.0%増)、営業利益:1,200百万円(前年同期より673百万円・127.7%増)
その他事業では、グローバル事業においてDTP社を連結子会社化したことにより、増収となりました。
営業利益は、DTP社の増収効果がグローバル事業の収益基盤を支えたことで当該領域の強化施策を着実に展開できるようになり、増益に転じました。
(財政状態)
当連結会計年度の財政状態の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費、商品の仕入、製品の製造費、販売費及び一般管理費であり、戦略的投資資金としては、拠点展開の整備等の設備投資、企業買収及び業務資本提携などがあります。また運転資金及び戦略的投資資金は、内部留保資金、金融機関からの借入、社債の発行及び新株式の発行等により資金調達することとしております。
当社は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。
契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
なお、2024年4月1日前に締結された財務上の特約が付された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
特記すべき事項はありません。