第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

経営理念

人を活かすシステムの創造で社会に貢献します。明日の健康、医療、介護を情報システムで支援いたします。

基本ポリシー

「専門特化」:健康・医療・介護分野に特化したシステムを開発し、専門性を発揮する。

「創造価値」:無から知識・技術・経験を活かした価値を自ら創造する。

「自主独立」:開発・販売・導入・保守を一貫して自社で行う。

 

(2)経営環境

わが国の推計によると、将来において人口減少・高齢化率の上昇が見込まれており、医療現場等における業務効率化の促進、より効率的・効果的な医療の提供が求められております。また、医療従事者の不足や人件費の上昇により、医療現場では業務効率化の重要性が一層高まっています。

持続的な医療提供体制の構築に向けて、行政の主導で医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されております。

・全国医療情報プラットフォームの構築

・電子カルテ情報の標準化(HL7FHIR規格)

・診療報酬DX

これら政策の中核となる電子カルテをはじめとする医療情報システムは今後も普及拡大が進み、既存システムのリプレイス需要も加わり、引き続き、医療情報システム市場における競争は一層活発化するものと考えられます。また、業務効率化に向けた新技術への関心も高まっており、生成AI・ビッグデータの活用の検討が進んでおります。一方で、医療機関を標的にしたサイバー攻撃のリスクが増大しており、セキュリティ強化の関心が高まっております。

当社グループはこれらの環境変化を踏まえ、医療情報システム・サービスの提供を通じて、医療DXの推進、持続可能な医療体制の構築に貢献してまいります。

 

(3)経営戦略・目標とする経営指標

当社グループは、経営理念の実現を通じて社会に貢献し続けることが使命と考えております。

その実現に向けて以下の3つを軸とした経営戦略を推進し、成長過程にある医療情報システム市場において確固たる地位を築き、企業価値の向上を目指してまいります。

なお、これまで目標として掲げてまいりましたシェア拡大は計画どおり進展しており、2025年10月時点で導入施設数は1,000施設に到達いたしました。

今後も引き続き、ユーザー基盤の一層の拡大に取り組んでまいります。

 

① 医療DXの実現

当社グループは、医療DXの実現を新たな成長領域と位置づけ、国策及び市場ニーズの変化に即した製品・サービスの提供を進めてまいります。特に、生成AIやビッグデータ等を活用した新システム・サービスをスピード感をもって展開していくことは、医療課題の早期解決に貢献するのみならず、当社グループの持続的成長の源泉になるものと考えております。医療機関にとって「なくてはならない存在」となることでさらに顧客満足度を高め、強固なユーザー基盤を維持するとともに、さらなるユーザー基盤の拡大のため、競争力と収益性の向上に努めてまいります。

 

② 保守サービスの拡充によるストック型収益の確保・拡大

医療機関等に安全で安定したシステムを提供し、継続的に利用していただくことは、持続可能な医療体制の構築に寄与するものと考えております。同時に、保守サービス等のストック型収益を拡充することは、当社グループの市場における確固たる地位の確立につながるだけでなく、中長期的な経営基盤の安定にも貢献すると考えております。そのため、継続的な機能強化とサービス向上を通じて新たな価値を創出し、医療現場における電子化の拡大・深化及び業務効率化を支援してまいります。

 

③ 収益力強化による持続的成長の実現

当社グループは、日本の医療業界における構造的課題の解決に向けた長期的取り組みを支えるため、収益力の強化を経営戦略における最優先事項として取り組んでおります。具体的には、経常利益率20%以上を中期的な財務目標として設定し、持続的かつ安定的な成長の実現に向けて収益基盤の強化に注力してまいります。これにより、キャッシュ・フローの安定化を図り、人材・組織への戦略的投資や医療DXの実現に必要な研究開発活動を継続的に実施するとともに、安定的かつ継続的な株主還元の充実に努めてまいります。

 

当連結会計年度では、1,000施設(前年比74施設増加)、保守売上高10,083百万円(前年同期比9.9%増)となり、経常利益率20.0%となりました。

 

(4)対処すべき課題等

① 技術革新への対応

急速に進化する開発言語、OS、データベース、クラウド環境などの技術プラットフォームに適切かつ迅速に対応することは、当社グループの競争力維持に不可欠です。医療現場でも業務効率化に向けた新技術への関心が高まっており、生成AIやデータ活用など先進技術を取り入れたシステム・サービスへのニーズが拡大しております。

当社グループは、技術動向の把握、技術パートナーとの協業強化、クラウドやAI技術を安全かつ効果的に活用できる開発体制の整備を継続的に進めております。加えて、先進技術を取り入れたシステム・サービスの品質維持及び付加価値向上に取り組むことで、競争力の確保・向上を図ってまいります。

 

② 人財の増強・定着及び継続的な教育

当社グループは、開発から販売・導入・保守までを一貫して自社で行っているため、人財の確保と育成は事業拡大に直結する重要な課題です。医療・介護分野に関する専門知識に加え、それを具現化するIT分野の高度なスキルが求められます。

当社グループでは、新卒採用を中心とした人員の充実に努めるとともに、社員が中長期的に活躍できる職場環境の整備や定着促進を図っております。また、全社的な教育体制を強化するため、部門横断的な取り組みを通じて教育プログラムや研修コンテンツを整備し、社員の専門性向上を支援しております。引き続き、医療DXの進展に伴い、求められるスキルの高度化や技術進化に継続的に対応できる組織体制の構築を進めてまいります。

 

③ 製品ラインナップの拡充と品質の向上による販売強化

医療現場のニーズは日進月歩であり、常に成長・変化に対応し続けることが経営戦略上重要であると考えております。

当社グループは、主力製品である電子カルテシステムやオーダリングシステムに加え、医療機関の各部門業務を支援するサブ(部門)システムの開発も行っております。また、導入後のユーザーからのフィードバックや障害情報を反映し、品質管理部門と連携した検証・改善サイクルを強化することで、製品・サービス品質の継続的な向上を図っております。

これらの取り組みにより、多くの専門職の要望に応えるラインナップ拡充と品質向上を進めることで、医療提供体制の効率化・高度化に貢献するとともに、当社グループの競争力強化につなげてまいります。

 

④ 顧客との関係強化

変化し続けるニーズを的確に捉え、確実に対応するためには、医療機関等の現場における情報発信及び情報収集が重要であると考えております。また、地域特性に応じた病床機能分化や医療・介護連携、在宅医療の推進といった医療機関の取り組みも進展しており、これらの変化に伴うニーズを捉えることが重要となります。

当社グループでは、システム導入後の既存ユーザーに対しては営業的フォローを継続し、より緊密な関係を構築することで、リプレイスの要望やシステム・サービスへの新たなニーズを把握し、ユーザーと共存共栄の関係構築を目指してまいります。当社グループはユーザーの良きパートナーとして、システム提供を通じて医療の効率化や品質向上、地域連携の実現を支援してまいります。

 

⑤ システム導入の効率化

現状、当社グループの主力製品である電子カルテシステムの稼働までには通常4~6ヶ月間を要します。この導入期間を短縮し、システム導入にかかる負担を軽減することは、医療機関の業務効率向上のみならず、当社グループの競争力強化にもつながります。

当社グループでは、導入作業の標準化と効率化を推進し、一定以上の知識・スキルを持った社員を適切に配置することで、システム導入から稼働後までを見据えた支援体制を整備してまいります。これにより、効率的かつ効果的なシステム導入を実現し、医療機関の負担を軽減するとともに持続的な医療提供体制の構築に貢献してまいります。

 

⑥ サイバーセキュリティの強化

医療情報システムは機微な個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策の強化は最も重要な課題であります。当社グループでは、社内規程の整備、アクセス権限管理、外部との通信経路におけるセキュリティ機器の導入、定期的な社員教育など、多面的な取り組みを通じてセキュリティリスクの最小化を図っております。

また、サイバー攻撃の高度化に備え、当社における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の運用強化、セキュリティインシデント対応体制として「SSI-CSIRT」を設置し外部関係機関との連携を通じて情報共有や対応力の向上を図ることで、事故の未然防止及び発生時の影響最小化に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

わが国の人口推計によりますと、将来において人口減少・高齢化率の上昇が見込まれております。この事象を背景に、短期的には、増加する医療の需要への対応、中長期的には継続的な医療提供体制の維持といった社会課題が見込まれております。

当社グループは、これらの社会課題に対し、健康・医療・介護情報システムは必要不可欠な社会インフラと認識し、事業を通じて解決を支援していくことで、持続可能な社会を目指してまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、持続可能性(サステナビリティ)の観点から企業価値を継続的に向上させるため、短期的な業績の責任をミッションにしないスタッフ部門である経営管理部を中心に、サステナビリティに関わる当社グループの在り方を取締役会及び幹部会議に提言・報告しております。取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針及び実行計画等について協議・決議し、監督を行っております。

 

(2)戦略

成長過程にある医療情報システム市場においては、より多くの医療機関等へ自社システムを導入し、シェア獲得することで市場での一定の存在感を保持することが、今後の継続的な事業展開において重要と考えております。

将来的な医療提供体制の維持を鑑みた場合に、専門的に継続して事業を行うことが、市場における信頼度・ブランド力の向上につながり、また深化していく現場ニーズへの柔軟な対応を可能にすると考えております。

当社グループは開発から販売・導入・保守を全て一貫して自社で行うため、人財の増強の成否が、中長期的な事業の拡大、シェア獲得に影響を及ぼします。

また、運用コンサルティングを含む導入作業及び保守サービスの拡充のためには、ユーザーにとっての良きパートナー、アドバイザー及びコンサルタントとしての能力が必要となります。これは、短期的に習得できるスキルではなく、一定以上の経験をもった人財が必要とされます。そのような専門性をもった人財を適材適所に配置し、効率的な運営を行ってまいります。

 

人財戦略に関する基本的な考え方

当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

医療、介護といった専門領域の知識やそれを具現化するIT分野の両方の専門知識を併せもった人財が外部労働市場に少ないこと、両分野の教育に時間も要することから、当社グループでは新卒採用を中心に人員の充実に努めております。

実力・能力を重視し、国籍・ジェンダーの区別なく、機会均等を採用の基本方針としております。また、事業の中核を担う管理職登用は、国籍・ジェンダー・年齢・新卒・中途採用の区別なく、あくまでも、実績・実力・能力を鑑み、かつ、会社の持続的な発展に貢献できることを期待した上で登用することを基本方針としております。

社員の個性及び自主性を大切にし、社員が商品という考え方のもと、各自が専門性をもったスペシャリストであり、同時に、多くの専門職と協業できるような幅広い基本知識をも併せ持つことを目指し、社員育成の基本方針としております。

 

 

採用・教育について

採用につきましては、中途採用、障がい者採用なども行っておりますが、新卒採用に特化した部署を作り、通年かけて積極的に採用活動を全国に対して行っております。

教育につきましては、外部で調達できない専門的な知識・ノウハウが多いことから、社内教育コンテンツの充実を進めております。各部横断の育成のための委員会を作り、業務に必要な専門知識を社員に還元することで人財の充実に努めてまいります。同時に、外部コンテンツを利用した自主的に取り組める動画配信教育サービスの導入等、偏りのない幅広い知識の取得を促し、教育の充実を図っております。

 

女性の管理職への登用について

現状、管理職を始め、意思決定を行う地位への任用において男女差があり、当社グループはこれを課題と認識しています。2026年3月末までに女性リーダー級(係長相当)比率を2022年10月末時点より3%増やすことを目指すほか、将来の女性管理職を増やすために、候補層を増やす取り組みを行っております。

 

社内環境整備の基本方針

社員の人格・個性を尊重し、実務経験を重ねた社員が長期的に働きやすい環境を整備するため、以下の基本方針を定めております。

・当然に労働災害の防止及び従業員の健康づくりを支援してまいります。

・ハラスメント行為を断じて許さず、社員が互いに尊重し合える職場環境づくりに取り組んでまいります。

・在宅勤務制度の導入、女性の産前産後休暇・育児休暇取得、男性の育児休暇取得のサポートなど法定以上の対応を取り入れ、育児と仕事が両立できる環境の整備に努めてまいります。

・社員のライフステージに合わせて可能な限り部署間・部署内異動にも対応できるよう組織体制の整備に努めてまいります。

・物価上昇等の社会情勢を鑑みて、適切な賃金設定を目指してまいります。

 

引き続き、人財に対して積極的な投資を行うことで、当社グループの競争力の源泉になる専門的知識を充実・進展させることで将来的な価値を生み出してまいります。

 

(3)リスク管理

重要なリスクは、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会などの各委員会の協議を経て、取締役会へ報告し、監督されております。

サステナビリティに関するリスクへの対応は、経営管理部を中心に、協議・モニタリングされ、その内容は取締役会へ報告しております。サステナビリティに関する機会の識別・評価を行い、重要と認識されたものについては、取締役会へ報告し、監督されております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

従業員数

前期比増 〈毎期〉

1,804

平均勤続年数

前期比増 〈毎期〉

9.11

管理職に占める女性労働者の割合(注)

12.62026年3月末

11.5

 

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、当指標につきましては、提出会社のみの数値となっております。

 

3【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとして必ずしも事業上のリスクに該当すると考えていない事項についても、投資家の投資判断、或いは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)事業・経営戦略に対するリスク

① 当社グループの事業内容について

当社グループは、経営上の基本ポリシーとして「専門特化」を掲げ、電子カルテシステム等の医療情報システムに特化した事業を行っております。電子カルテシステム等の医療情報システムは、業務効率化及び医療サービスの向上といった病院の情報化ニーズに合致したものであり、普及率は高まりつつあります。

しかし、医療の電子化のニーズはあるものの導入時期については、医療機関の予算、設備投資の優先順位、戦略に依存するところもあります。その結果、予想していた収益・シェアを獲得できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、短期間での医療情報システムへの需要要求に対応できないことによる機会損失、リプレイス市場の活発化によるストック型収益の損失・縮小、有力ベンダー数社間の競争激化に伴う大幅な売価引き下げの結果、予想していた収益・シェアを獲得できない場合、中長期的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、様々な製品ラインナップの拡充を図り、サービスを含めた品質の高い製品の提供を継続することで高い競争力を保ってまいります。また、システム導入の効率化を図り、コストコントロールや年間導入数を引き上げることで、適正売価での提供とシステムの普及に努めてまいります。同時に、既存ユーザーとの関係強化にも注力し、新たなニーズを的確に捉え、ユーザーと共存共栄の関係構築を目指し、シェアの確保に努めてまいります。

 

② 人財の確保、育成について

当社グループは、今後の事業拡大及び技術革新に対応できる「医療・介護の業務に対する知識」と「ITに関する専門知識」を有する優秀な人財を継続的に確保し育成することが重要と認識しております。しかし、これらの知識を習得するには数年の経験が必要となり、人財採用から戦力化までの計画が予定どおり進まない場合、中長期的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの従業員の大半はシステム関連に従事する技術者であります。今後、人財育成や拡充を図る所存ですが、一挙に大量のコア技術者が社外流出し、代替要員の不在、業務引継ぎ手続きの遅延等が発生した場合にも経営目標に届かない可能性や安定した事業継続・成長を見通せない可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、積極的な採用活動を行って人財を確保し、社内外のセミナー等の教育機会を積極的に提供し、常に専門的な知識の習得やスキル向上の機会・方法を持ち続けることで優秀な人財を継続的に確保し育成することに努めております。

 

③ 技術革新及びAI技術関連サービスについて

当社グループは、電子カルテをはじめとする医療情報システムの開発・運用を行っており、その基盤となる開発言語、OS、データベース、クラウド環境、ネットワーク機器等の技術は、急速に進化を続けております。

また、近年急速に進展している人工知能(AI)技術の活用が、医療分野においても広がりを見せており、当社グループにおいても、医療文書作成支援や診療支援などの領域でAI技術を活用したサービスの導入を進めております。AI技術の進展やその性能の変化、関連法令・ガイドラインの改正等により、当社グループの製品・サービス開発・運用方針の見直し等、適切な対応が求められます。

これらの技術プラットフォームにおいて、バージョンアップや仕様変更、サポート終了、或いは想定外の不具合が発生した場合に、当社グループの対応が遅れたり、新技術への移行が円滑に進まなかったりした場合には、製品・サービスの品質や開発効率が低下し、結果として当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

このようなリスクを踏まえ、多様な技術パートナーとの協業や情報収集を通じて技術動向を把握し、クラウド、AI技術などの先進技術を安全かつ効果的に活用できる体制を整備することで、技術革新に伴うリスクの最小化に努めております。同時に、これらの技術を活用した製品・サービスの品質維持及び付加価値向上に継続的に取り組んでまいります

 

④ 医療情報システム及びサービスの不備について

電子カルテシステム等の医療情報システムは、医療現場における重要なインフラ設備であり、患者の生命・身体に関する情報を取り扱うため、その安定性、安全性、堅牢性が極めて重要です。これに加えて、当社グループが提供する導入支援や保守サービスも、医療機関における運用の継続性や安全性に直接影響を及ぼします。従って、製品だけでなく、導入プロセスや運用・保守サービスにおいても高い品質基準を満たすことが求められます。

当社グループは、これらのシステム及びサービスにおいて品質を確保するために最大限の努力を払っていますが、システム不備やサービス提供の不備が発生した場合、医療機関等からの損害賠償請求や契約違反に基づく法的責任が生じる可能性があります。このような不備は、当社グループの業績に深刻な影響を与える可能性があり、特に医療機関の運用停止や信頼失墜による長期的な影響が懸念されます。

このようなリスクを踏まえ、品質管理部門を設置し、システムの見直しや改良を進めるとともに、導入時のチェック体制や保守サービスの品質向上に取り組んでいます。また、サービス担当者の専門的な教育・訓練を継続的に実施し、システム及びサービス全般における不備の発生を未然に防ぐ体制を強化しています

 

(2)サイバーセキュリティに関するリスク

当社グループは、電子カルテシステムをはじめとする医療情報システムの開発・販売・導入・保守サービスを行っており、医療機関の機微な個人情報を取り扱うとともに、社内ネットワーク及びデータセンターを通じて多くの情報資産を管理しております。

当社グループでは、社内ネットワーク及び保守サービス用の通信環境において、機器構成や運用ルールの整備を含めたセキュリティ対策を実施しておりますが、ランサムウェアや不正アクセスによるサイバー攻撃などの脅威は日々高度化・巧妙化しており、当社グループの対策が常に完全に機能する保証はありません。万が一、システムの停止、情報の改ざん、漏えい等が発生した場合には、事業停止、顧客・取引先からの信頼低下や損害賠償責任の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、クラウドサービスや通信回線、機器保守など、一部のインフラやサービスを外部事業者に委託しており、これらの外部事業者において情報漏えいや障害等が発生した場合には、当社グループの業務に支障を来し、結果として顧客・取引先との関係や業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、システムの停止、情報の漏えい、滅失または毀損の防止等、その管理のために必要かつ適切な安全管理措置を講じております。また、当社では保守サービス及び診療情報(バックアップ)の外部保存サービスの提供に対し「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証を取得し運用をしております。

さらに、情報を取り扱う従業者や委託先(再委託先等を含む)に対して、必要かつ適切な監督を行うことで、事故の未然防止及び発生時の影響の最小化に努めております。

加えて、セキュリティインシデント対応体制として「SSI-CSIRT」(一般社団法人日本シーサート協議会(NCA)加盟)を構築し、外部関係機関との連携を通じて対応力の向上を図っております。今後も、技術的環境や脅威の変化に対応し、セキュリティ体制の継続的な見直しと強化に取り組んでまいります

 

(3)事業環境に対するリスク

① 法的規制について

当社グループが事業展開している医療業界は公的規制、政策動向の影響を受けます。わが国における人口動態を踏まえ、医療分野においても政府は様々な政策を打ち出しております。今後も、政策変更、ガイドラインを含む法的規制、診療報酬改定等による医療制度改革の動向によっては、電子カルテ市場や当社グループの顧客である医療機関の経営方針等への影響が想定され、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、政策・法規制の変更などにより、当社グループが提供する医療情報システムの新規開発、システムの大幅な改変作業等が発生し対応が遅れる、或いは、適切に対応できない等の事態に陥れば、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、販売先である医療機関と連携して情報収集を行い、また医療や法律に関する専門的な学会にも参加する等して、法的規制や医療制度改革の動向に迅速な対応ができるよう努めております。

 

② 知的財産権について

当社グループは、プログラム開発を自社で行っており、「e-カルテ®」(電子カルテシステム)等、一部のシステムについては商標登録をしておりますが、それ以外の知的財産権の出願・取得を行っておりません。近年のソフトウェアに関する技術革新のスピードは早く、場合によっては第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。これまで、当社グループは第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたことはありませんが、前述のようにソフトウェアに関する技術革新の顕著な進展により、当社グループのソフトウェアが第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確に想定、判断できない場合も考えられます。また、当社グループ事業分野において認識していない特許等が成立している場合、当該第三者より損害賠償及び使用差し止め等を受け、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、規程の整備や競合他社のサービス内容の事前調査、当社グループ内での教育に努めております。

 

(4)自然災害等に対するリスク

① 自然災害の発生について

国内外における大規模な震災や津波、台風、洪水、疫病の発生等の自然災害が発生した際は、当該災害が発生した地域の医療機関として医療情報システムの導入より優先すべき事項がある場合や当社グループの事業所の閉鎖等により事業活動が制限される場合には、システムの導入中止や延期、医療情報システムのデータ損失等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループとしましては、医療機関からの情報収集体制及び防災に対する適切な管理体制の構築を行うとともに、大阪と東京の2か所にデータセンターを設置し、医療情報システムに関するデータが災害などで損なわれないように対処しております。

 

② 感染症等の拡大について

新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が発生・拡大し、長期化かつ深刻化する様相となった場合には、顧客である医療機関が当感染症の対策を優先させる等の方針を重視することが想定されます。その結果として、医療情報システムの導入を中止、延期する医療機関が多数発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループとしましては、お客様、お取引先様、従業員とその家族の安全確保と感染拡大防止を最優先に考え、必要に応じて検温の実施や在宅勤務及び時差出勤の活用、ソーシャルディスタンスの確保等の対策を実施いたします。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績等の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や設備投資など内需を中心に緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇の長期化や人手不足に伴う負担が増す中、海外経済の減速懸念や地政学リスクも重なり、先行きは依然として不透明な状況となっております。

医療業界においては、高齢者人口の増加と人口減少への対応が求められる中、質の高い効率的な医療・介護提供体制の構築が進められております。一方で、医療従事者の賃上げや物価上昇、医療従事者の不足、老朽設備の更新需要などが重なり、病院経営を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。こうした中、医療現場では業務効率化や生産性向上に向けた新技術への関心が高まっており、生成AIやビッグデータの活用に向けた検討が進んでおります。また、医療機関を標的としたサイバー攻撃の増加を背景に、セキュリティ強化に向けた投資の重要性も高まっております。さらに、医療・介護の担い手確保や医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進といった医療現場の持続可能性に向けた課題にも対応するため、行政主導による「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX(デジタルトランスフォーメーション)」等の医療・介護DXへの取り組みが進められております。

このような環境のもと、電子カルテをはじめとする医療情報システムは今後も普及拡大が見込まれ、既存システムのリプレイス需要も加わり、医療情報システム市場における競争は一層活発化するものと考えられます。

当社グループにおきましては電子カルテシステムをはじめとする医療情報システムの開発・販売・導入・保守を中心に事業展開し、顧客満足度の向上に努めてまいりました。本社、東京支社及び各ブランチを活用し、各地域での営業・保守体制の強化を図っております。また、将来の人員増加を見据え、社員寮(大阪)のオフィスビルへの建て替え(2027年4月末竣工予定)を進めております。

そのような中、新規導入案件やリプレイス案件の堅調な受注に加え、既存ユーザーによる追加システムの受注が計画を大きく上回ったことから、賃上げに伴う人件費の増加や建て替えに伴う減価償却費の増加(※1)を吸収し、売上高、営業利益、経常利益及び当期純利益のいずれにおきましても前年同期比で増収増益となりました。

この結果、売上高は42,298百万円(前年同期比10.1%増)、受注高は36,494百万円(同19.5%増)、受注残高は15,824百万円(同36.9%増)となり、利益面におきましては営業利益8,388百万円(同15.3%増)、経常利益8,471百万円(同15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,112百万円(同14.7%増)となりました。

 

※1 前連結会計年度に社員寮(大阪)取り壊しに係る耐用年数の見積りを変更した結果、当連結会計年度では減価償却費が237百万円増加となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて922百万円増加し、16,051百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、3,214百万円(前年同期は7,204百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8,471百万円、減価償却費879百万円、売上債権増加額5,050百万円、棚卸資産増加額262百万円、仕入債務増加額2,007百万円、未払消費税等の減少額416百万円、利息及び配当金の受取額65百万円及び法人税等の支払額2,148百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、1,559百万円(前年同期は2,157百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出8,400百万円、有価証券の償還による収入7,400百万円、有形固定資産の取得による支出368百万円、有形固定資産の除却による支出178百万円、定期預金の預入による支出101百万円及び定期預金の払戻による収入100百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、733百万円(前年同期は626百万円の支出)となりました。これは配当金の支払額によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. ハードウェア仕入実績

当連結会計年度のハードウェアの仕入実績について、当社グループは単一セグメントとしているため、種類別に示すと、次のとおりであります。

種類

当連結会計年度

(自  2024年11月1日

至  2025年10月31日)

仕入高(百万円)

前年同期増減率(%)

ハードウェア

17,233

21.3

合計

17,233

21.3

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績について、当社グループは単一セグメントとしているため、種類別に示すと、次のとおりであります。

種類

当連結会計年度

(自  2024年11月1日

至  2025年10月31日)

受注高

(百万円)

前年同期増減率(%)

受注残高

(百万円)

前年同期増減率(%)

ソフトウェア

12,859

20.0

5,135

24.6

ハードウェア

22,328

19.9

10,351

44.7

その他

1,306

9.5

337

19.5

合計

36,494

19.5

15,824

36.9

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績について、当社グループは単一セグメントとしているため、種類別に示すと、次のとおりであります。

種類

当連結会計年度

(自  2024年11月1日

至  2025年10月31日)

販売高(百万円)

前年同期増減率(%)

ソフトウェア

11,845

10.1

ハードウェア

19,129

9.9

保守サービス

10,083

9.9

その他

1,240

13.7

合計

42,298

10.1

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して7,294百万円増加し、52,188百万円となりました。主な要因は、現金及び預金923百万円の増加、売掛金5,050百万円の増加、有価証券1,000百万円の増加、棚卸資産262百万円の増加及び有形固定資産459百万円の減少によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して1,830百万円増加し、10,292百万円となりました。主な要因は、買掛金2,007百万円の増加、未払金80百万円の減少、未払法人税等358百万円の増加及び未払消費税等404百万円の減少によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して5,464百万円増加し、41,896百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益6,112百万円の計上、剰余金の配当732百万円の支払によるものであります。

 

b. 経営成績の分析

(売上高)

売上高は、前年同期に比べ3,872百万円増加し42,298百万円(前年同期比10.1%増)となっております。種類別の内訳は、ソフトウェア売上は1,089百万円増加し11,845百万円(同10.1%増)、ハードウェア売上は1,721百万円増加し19,129百万円(同9.9%増)、保守サービス売上は912百万円増加し10,083百万円(同9.9%増)、その他売上は149百万円増加し1,240百万円(同13.7%増)となっております。

(営業利益、経常利益)

営業利益は、売上総利益1,341百万円の増加、販売費及び一般管理費227百万円の増加により、前年同期に比べ1,113百万円増加し8,388百万円(前年同期比15.3%増)となりました。これを受けて経常利益は1,135百万円増加し8,471百万円(同15.5%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の結果、税金等調整前当期純利益は、前年同期に比べ1,135百万円増加し8,471百万円(前年同期比15.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税が460百万円増加し、法人税等調整額が109百万円減少したことにより、前年同期に比べ783百万円増加し6,112百万円(同14.7%増)となりました。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項及び投資家の投資判断、或いは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、リスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

d. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの資金需要のうち主なものは、労務費、仕入、製造経費、販売費及び一般管理費のほか、配当金や法人税等の支払いになります。このほか、会社の成長に必要な設備投資等を含め、全てを自己資金でまかなうことを原則としております。

当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

e. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営戦略・目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは主力製品である電子カルテシステムとオーダリングシステムだけではなく、医療機関における様々な部門の業務支援を行うサブ(部門)システム、医療及び介護を巻き込んだ地域連携を見据えたシステム開発を進めております。また、ICT、AIやビッグデータ等の先進技術に対応するべく、研究開発も継続して行っております。

このような中、当連結会計年度の研究開発費の総額は、611百万円となりました。

なお、当社グループは、医療情報システム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。