当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、人が生きていく上で欠かすことのできない食の分野を受け持つ企業グループです。創業以来受け継いできた社是・社訓を大切にしながら、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」で世界の人々の食と健康に貢献することをめざします。
めざす姿の実現に向けて2030年にどうありたいかをまとめた「2030ビジョン」、どのように成長や発展をめざすのかをまとめた「中期経営計画」に基づき、幅広い事業活動を展開していきます。当社グループならではの商品とサービスをお届けするとともに、社会課題の解決にも積極的に取り組みます。
(2) 中長期的な経営戦略、経営環境および対処すべき課題等
[中期経営計画]
当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって、世界の食と健康に貢献することをめざし、長期ビジョン「キユーピーグループ 2030ビジョン」を掲げています。
2025-2028年度 中期経営計画では、「~Change&Challenge~ 成熟市場での経営効率化と成長領域への投資加速」をテーマに取り組みます。「国内事業の構造改革」と「グローバル展開の加速」とともに、「食と健康への貢献」「環境への配慮」「人的資本の価値拡大」を推進することで、社会価値と経済価値を創出し、世界のお客様に貢献していきます。
[2025-2028年度 中期経営計画の指標]
2025-2028年度 中期経営計画では、経済価値として「ROE」「国内事業利益率」「海外売上CAGR」を指標とし、資本効率を重視しながら国内・海外ともに稼ぐ力を高めていきます。社会価値については「サラダ喫食数」「プラスチック削減」「食品ロス削減」「従業員エンゲージメント」を経営数値目標として取り組んでいきます。

<サステナビリティ目標>
[2025-2028年度 中期経営計画 キャッシュアロケーション]
キャッシュアロケーションについては、4年間の累積営業キャッシュ・フローを約1,700億円とし、加えて資産売却や資金調達も行い、これを原資として積極的な投資を行います。設備投資は約1,000億円を計画しています。また、株主還元については、配当金54円を下限とし、段階的に引き上げ、4年間累計総還元性向50%以上を基準とします。さらなる成長投資とともに資本効率向上に向けた機動的な自己株式取得など株主還元を強化していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」をもって世界の食と健康に貢献することで、社会に貢献し続ける企業でありたいと考えています。サステナビリティ活動を重要な活動と位置づけ、グループ理念と規範の実践を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、グループの持続的な成長の基盤として、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」を定め活動を推進します。
サステナビリティ基本方針
1) ガバナンス
サステナビリティ関連の重点課題については、経営会議(代表取締役社長執行役員の諮問機関)から権限を委譲されたサステナビリティ委員会が目標達成に向けた方針・計画の策定を行うとともに、重要事項の決定、重点課題の取り組みを推進しています。サステナビリティ委員会で検討した内容は取締役会でも適宜審議または報告がなされるなど、取締役会による適切な監督体制を整えています。当事業年度は、取締役会において脱炭素と食と健康の取り組み状況を報告するとともに今後の取り組みについて意見交換を実施しました。また、サステナビリティ委員会を4回開催し、気候変動対応を含めたサステナビリティ関連の方針・計画の策定、重要事項の決定、重点課題の取り組みの推進を議論しました。
サステナビリティ推進体制
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取締役会 |
サステナビリティ委員会 |
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メンバー |
・社内5名・社外4名で構成 ・議長は取締役会長が務める |
・社内17名で構成 ・委員長はコーポレート担当 取締役常務執行役員が務める |
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開催数 |
2回以上/年 |
4回/年 |
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役割 |
サステナビリティ関連の監督 |
サステナビリティ関連の方針・計画の策定、重要事項の決定、重点課題の取り組みの推進 |
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備考 |
・取締役会には環境問題に焦点を当てた職務におけるマネジメントレベルの経験のある役員を含む ・環境問題に関する社外の利害関係者や専門家と定期的に連携している |
・委員会の結果を取締役会にて報告し、監督を受けている |
2) 戦略
当社グループでは「キユーピーグループ 2030ビジョン」の実現やSDGsへの貢献など、2030年からバックキャスト思考で検討し、以下のサステナビリティに向けての重要課題を特定しました。
・食と健康への貢献
・資源の有効活用・循環
・気候変動への対応
・生物多様性の保全
・持続可能な調達
・人権の尊重
サステナビリティに向けての重点課題は、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長をめざす上で、事業と社会の双方にとって重要と考えています。社会・地球環境変化に応じて、定期的に重点課題の見直しを行います。
また、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」に基づく重点課題を指標化したサステナビリティ目標を設定し、取り組みを進めています。
① 食と健康への貢献
昨今の社会変化を踏まえ、世界中で健康に関する意識が高まっています。「健康寿命延伸への貢献」および「子どもの心と体の健康支援」に取り組むことで、当該意識の変化に対応することができ、機会創出につながると考えています。
生涯を通じて健康な食生活を送るためには「栄養」「運動」「社会参加」の3つをバランスよく取り入れることが大切です。当社グループは特に「栄養」に関して、食卓に自然と野菜を入れられるようなグループ全体の取り組み「サラダファースト」を推進し、サラダの喫食機会の向上に取り組んでいます。また、タマゴの付加価値化の取り組みを通じて、バランスの良い食生活をサポートしています。
また、講演会やマヨネーズ教室、オープンキッチン、WEBサイトコンテンツでのさまざまな食育活動を行っています。さらには、子どもたちが食生活に関して主体的に学び・考え・判断する力を育むためのサイト「食生活アカデミー」を立ち上げています。
② 資源の有効活用・循環
限りある食資源や自然エネルギーを無駄なく有効活用することは、食糧危機などのリスクをはらんだ昨今において食品メーカーの重要な責任であると考えており、具体的に「食品ロスの削減・有効活用」「プラスチックの削減・再利用」「水資源の持続的利用」に取り組んでいます。
食品ロスの削減・有効活用では、卵においては、卵黄、卵白は商品や食品原料として使用しているのはもちろんのこと、卵殻においても土壌改良材やカルシウム強化商品として活用、卵殻膜も化粧品として活用することで、卵の100%有効活用を実現しています。
また、野菜の未利用部(キャベツ・レタスなど葉物野菜の残さ)を、乳牛用飼料として再生利用することに成功しています。東京農工大学と当社の共同研究で、この飼料を与えた乳牛は乳量が増加することが報告されています。さらに、パッケージサラダを製造・販売する子会社である株式会社サラダクラブでもパッケージサラダを製造する直営7工場で発生する野菜の外葉や芯などの未利用部を、堆肥や飼料として契約農家などで活用いただくことですべて再資源化しています。
プラスチックの削減・再利用の取り組みの1つである製品で使用するプラスチックについても、石油由来のプラスチックの削減に向け、プラスチックの軽量化や再生プラスチックを使用する取り組みを進めています。また、油付きPETボトルおよびマヨネーズボトルの資源循環に向けて、他社と協働して取り組みを進めています。前期から引き続き、技術の確立と技術検証を進めるため、大手小売店と連携しながらボトルの回収実証実験を実施しました。
また、水資源の持続的利用においては、事業継続のために水は限りある貴重な資源と認識し、効率的な利用と取水・排水における環境負荷の低減に取り組んでいます。
③ 気候変動への対応
当社グループは気候変動におけるリスクと機会についてTCFD※1(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFDと表記)の枠組みに従い下記「気候変動への対応および生物多様性の保全に向けた取り組み」のとおり開示しています。気候変動の原因となるCO2排出量削減に向けて、原料調達から消費までのバリューチェーン全体で、省エネルギーや再生エネルギーへの転換を積極的に行うことが重要と考えています。
当社グループでは国内外で再生可能エネルギーの導入を順次進めています。また、生産事業所の各工程にエネルギー測定装置を設置するなど「エネルギー使用の見える化」を進め、設備運用改善・メンテナンスの徹底、省エネ型機器を導入し省エネルギー化を推進しています。さらに輸配送距離の短縮化と積載効率向上による輸配送効率化、低燃費で安全にもつながるエコドライブなどを実施しています。加えて、長距離トラック輸送の鉄道や船舶への切替え(モーダルシフト)を推進して、CO2排出削減を実現しています。
TCFD報告書
URL https://www.kewpie.com/sustainability/climate-change/co2/
④ 生物多様性の保全
当社グループの事業活動は、豊かな自然環境と密接な関わりを持っています。「良い商品は良い原料からしか生まれない」という考えを大切に、「生物多様性方針」のもと、原料を生み出す自然の恵みに感謝し、豊かな自然と生物多様性の保全に努めていきます。
当社グループは、2024年4月にTNFD※2(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下TNFDと表記)に賛同し、TNFDフォーラムへ参画しました。さらに、課題に対応すると同時に、新たな機会も見いだし、企業戦略にも活かしていくためのプロジェクトを発足しました。TNFDフレームワークのLEAPアプローチを活用して、当社グループの主要な原料と直接操業(生産拠点)を対象に分析を行っていきます。
TNFD報告書
URL https://www.kewpie.com/sustainability/nature/biodiversity/
⑤ 持続可能な調達
自社だけでなくサプライチェーン全体で環境や人権に与える影響に配慮する必要があると認識しています。特に調達における影響を最小限にする取り組みは重要です。当社グループでは「キユーピーグループ 持続可能な調達のための基本方針」を2018年に策定し、環境や人権に配慮した調達を推進しています。さらにサプライヤーガイドラインを定め、本ガイドラインをもって相互理解のもと、サプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、安全性はもとより、環境や人権への影響に配慮した安定調達を取引先と協働して進めます。また、当社グループの主要取引先に対してアンケートを実施し、サプライヤーガイドラインに準じた行動がなされているか確認を行いました。そしてアンケートの内容に応じて個別にヒアリングして詳細に把握するなど、サプライヤーとの協力体制を強化しています。
⑥ 人権の尊重
事業活動のすべての過程で、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、ビジネスに関わるすべての人の人権を尊重することをめざしています。当社グループはビジネスに関わる全ての人の人権を尊重するために、「キユーピーグループ人権方針」を策定しています。 また、人権に関する国際基準やヒアリングなどを通じて得られた情報に基づき、外部専門家により特に重要と判断されたリスクも特定しています。抽出された人権リスクについては、サステナビリティ委員会にて取り上げ、関連する委員会や部門と連携し、対応策の計画や実施を行っています。 また内部統制システムの中に違反行為の発見と是正のための通報・相談窓口「ヘルプライン」を設置しています。 違反行為があれば担当部門との協議の上、再発防止策を実施しています。
※1 TCFD
G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立しました。気候変動によるリスクおよび機会が経営に与える財務的影響を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示することが推奨されています。
※2 TNFD
自然資本と生物多様性に関するリスクや機会を評価するタスクフォースです。金融機関や企業に情報開示を促し、資金の流れをネイチャーポジティブに転換することをめざし、自然関連リスクに関する情報開示フレームワークの構築を推進しています。
当社グループの特に注意すべき重要人権リスクと防止・軽減に向けた対応
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リスク |
対象 |
当社グループにおける 対応・対象のURL |
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自社 従業員 |
一次 サプライヤー |
原材料 生産者 |
顧客・消費者 |
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労働安全衛生 |
○ |
○ |
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https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/healthcare-management/#sec02 |
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強制労働 |
○ |
○ |
○ |
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https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/initiatives/ |
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児童労働 |
○ |
○ |
○ |
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上記と同じ |
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ハラスメント |
○ |
○ |
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上記と同じ |
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長時間労働・ 過重労働 |
○ |
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日々の時間管理の徹底 注意喚起と啓発 |
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製品の欠陥による健康・安全の侵害 |
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○ |
https://www.kewpie.com/sustainability/quality/manufacture/ |
3) リスク管理
社内外の経営環境の変化を広く見据え今後リスクおよび機会となりうることを洗い出し、それらの評価を行うことで重要なリスクおよび機会を見極めています。リスクの評価は、気候変動・自然資本で共通しており、「各リスクの経営への影響の大きさ」と「そのリスクの管理の程度(マネジメントコントロール度)」の2軸で行っています。経営への影響度については、グループ全体に影響を及ぼす、中長期戦略の達成に重大な影響を及ぼすリスクについて5段階の5に設定しています。また、マネジメントコントロール度については、当社がリスクをコントロールできているかを指標とし、リスクに対して仕組みがない、仕組みがあっても機能していない状態を5段階の5に設定しています。
リスク評価に基づき、対策すべきリスクを選定し優先順位づけしています。経営への影響度が大きいにもかかわらずマネジメントコントロールが不十分なリスクは「全社主要リスク」として全社横断的なプロジェクトにより最優先でリスク低減に努めています。活動を通じて対策が効果を上げ、マネジメントコントロール度が高まったとしても依然として経営への影響度が大きい場合はその後の状況を監査などにより確認しています。経営への影響度が小さく経営課題とならない場合においても感度高く社外情報の収集、モニタリングに努めています。このように社内外両面からモニタリングを行い状況変化に応じた重要性を適時評価し機敏にリスクに向き合うように努めています。
当社グループでは、経営の継続的、安定的発展に影響しかねない事象をリスクと認識し、リスクマネジメントの実践を通じ、内部統制システムの充実に取り組んでいます。個々のリスクを各担当部門が継続的に監視するとともに、全社的なリスクはリスクマネジメント委員会で情報を共有し、そのリスクを評価し、優先順位や対応策の効果などを包括的に管理し、下記の8つを主要なリスクに位置づけて抑制・回避に努めています。
8つの主要リスク
①市場の動向 ②製造物責任 ③システム障害 ④海外展開 ⑤原材料の調達
⑥自然災害などの不測の事態 ⑦人材、労務関連 ⑧地球環境問題、気候変動
これら全社的なリスク評価やリスク対応の方針・状況については、リスクマネジメント担当取締役が定期的に取締役会へ報告しています。
キユーピーグループのリスクマネジメントの体制と全社主要リスク
4) 指標および目標
当社グループではサステナビリティに向けた重点課題に紐づけ、当社グループとして取り組むテーマごとにサステナビリティ目標を設定しています。従業員一人ひとりが、サステナビリティの意識と視点を持ち、当社グループの理念と規範の実践により、目標達成に向けて取り組んでいます。
◆サステナビリティ目標
目標の詳細や現在の進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等<サステナビリティ目標>」および当社ウェブサイトをご参照ください。
URL https://www.kewpie.com/sustainability/management/materiality/#sec05
(2)気候変動への対応および生物多様性の保全に向けた取り組み
当社グループのサステナビリティ基本方針には気候変動への対応や生物多様性の保全、持続可能な調達について記載しており、当社の事業活動と気候変動や自然資本との関わり(依存と影響・リスクと機会)を把握して、幅広いステークホルダーの皆様に対して情報開示を行うことは重要と考えています。このような認識のもと、気候変動への対応についてはTCFDと生物多様性の保全についてはTNFDの開示提言をふまえ、取り組んでいます。当事業年度は、新たな取り組みとしてTCFDとTNFDを統合したレポートを作成しました。今後も、気候変動と自然資本の関連性を考慮したリスクと機会に関わる分析を進めることで統合的なアプローチを検討し、当社グループのサステナビリティの向上や持続可能な社会の実現につなげてまいります。
当社グループの各事業について、その事業規模や自然への依存・影響をバリューチェーンの上流から下流にわたって総合的に評価した結果、下記の表のとおりの対象範囲になっています。なお、中期経営計画において、段階的に分析範囲を拡張していく予定です。
TCFDに関して、2024年度に惣菜(主要原料のじゃがいも、にんじん、たまねぎ)に対する気候変動リスクと機会の分析を行いました。特に主原料の食油・卵・食酢においての穀物などの農作物に加え、キャベツ、レタス、じゃがいも、にんじん、たまねぎなどの農作物も気候変動が影響することを認識しました。これに対し、特定の農作物への依存度合いを中長期的に引き下げていく戦略を検討しています。
TNFDに関して、開示初年度である2024年度は当社グループにおける直接操業および、当社主要事業であるマヨネーズ・ドレッシング(特にごまドレッシング)事業を対象に、バリューチェーンの上流である原材料生産地域に注目しました。分析の対象として、ごまドレッシングの主要原材料である大豆、菜種、パーム、トウモロコシ、ごま、リンゴおよび鶏卵を特定しました。
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開示の範囲(TCFD) |
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2021年度 |
マヨネーズ・ごまドレッシング |
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2022年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ(液卵・加工品) |
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2023年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ・パッケージサラダ(キャベツ・レタス) |
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2024年度 |
マヨネーズ・ドレッシング・タマゴ・パッケージサラダ・惣菜(じゃがいも・にんじん・たまねぎ) |
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開示の範囲(TNFD) |
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2024年度 |
マヨネーズ・ごまドレッシング |
① ガバナンス
気候変動に対するガバナンスについては「1)ガバナンス」に準じます。追記事項として当社は気候変動関連リスクと機会の評価および管理を強化するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しています。ICPの設定および見直しはサステナビリティ委員会で検討、承認されます。その内容は、取締役会に適宜報告され、必要に応じて審議されるなど、取締役会による適切な監督を行っています。
② 戦略
・TCFD
当社グループでは気候変動に伴うさまざまなリスクと機会について、その重要性に応じて短期・中期・長期の観点から特定を行い、また外部環境の変化も踏まえ、定期的に分析・評価の見直しを行っています。リスクと機会の特定においてはIPCC※1や IEA※2などが発表しているシナリオを用いて、2つのシナリオを描いています。1つ目のシナリオは2100年時点において産業革命以前より1.5~2℃気温上昇し、環境政策が進展するシナリオ(以下「環境政策進展シナリオ」と表記)、2つ目のシナリオは2.7~4℃気温上昇し、気候変動に対し必要な施策や追加の対策が講じられない場合の成り行きシナリオ(以下「成り行きシナリオ」と表記)とし、2030年の事業におけるインパクトを算出しました。特定されたリスクと機会について対応策を検討し、単年度計画および中期経営計画に組み込んで、推進しています。
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シナリオ |
内容 |
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環境政策進展シナリオ (移行リスクと機会の特定に使用) |
厳しい環境規制・高い炭素税が導入され、世界ではカーボンニュートラルが達成されます。農林水産部門ではCO2ゼロエミッション化を実現する一方で、サプライヤーの環境対応コストが高まります。健康意識が高い消費者が増加し、サラダなど野菜の摂取量が増加します。また、環境意識の高まりからサステナビリティ性が高い商品の需要も増加します。 |
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成り行きシナリオ (物理リスクと機会の特定に使用) |
低炭素化は進展するものの、2050年カーボンニュートラルは達成せず、気温が上昇する影響により、自然災害は激甚化・頻発化し、サプライヤー・自社の生産拠点で浸水被害発生頻度が上昇します。熱ストレスによる農作物の収量低下により、原材料調達コストが増加します。一方で気温上昇に伴い免疫事業などの需要が増加します。 |
※1 IPCC
IPCCとは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)のことで、世界気象機関(WMO)および国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織です。各国政府の気候変動に関する政策に必要な科学的情報を提供しています。
※2 IEA
IEAとは、国際エネルギー機関(International Energy Agency)のことで、OECD(経済協力開発機構)の枠内における自律的な機関として第1次石油危機後の1974年に設立された組織です。エネルギー政策に必要な中長期の需給見通しなどの情報を提供しています。
シナリオに沿って、以下の通り当社グループのリスクと機会を特定し、対応を進めています。なお、TOPIC 1~5の詳細は「TOPIC:重点課題への取り組み」に記載しています。
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分野 |
バリューチェーン |
リスクの概要 |
影響度※3 |
緊急度※4 |
対応策 |
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移行リスク |
政策 ・ 規制 |
直接操業 |
炭素税の導入 |
中 |
中期 |
〇CO2排出量の削減 ・インターナルカーボンプライシング活用による低炭素投資の促進(TOPIC 1) ・CO2削減を指標とした設備投資(電化の推進など) ・製造工程見直しによる省エネ化 ・再生可能エネルギーの活用・導入 ・サプライヤーとの協働 |
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政策 ・ 規制 |
直接操業 |
プラスチック・包装材への規制 |
小 |
中期 |
〇使用したプラスチックの再利用 (TOPIC 2-1・2-2・2-3) |
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市場 |
直接操業 |
環境に配慮した原資材の調達コスト増加 |
小 |
中期 |
〇持続可能なパーム油の調達 ・RSPO認証のパーム油の購入 〇持続可能な紙の調達 ・森林認証紙(FSC認証等)の調達 |
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物理リスク |
慢性 |
上流 |
熱ストレスによる収量減少に伴う農作物の調達コストの増加 |
中 |
中期 |
○持続可能な農作物の調達 ・農作物の調達先の検討(産地の分散化、環境負荷の少ない原料の調達等) ・農作物を使いこなす技術開発(代替油脂の使用検討等) |
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急性 |
上流 |
洪水による生産設備の被災 ・停電、操業の停滞・停止 |
小~大 |
短~長期 |
〇洪水への備え ・洪水リスク評価に応じ重点的な対策 ・主力製品のBCP(被災時に備えた事業継続計画) |
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機会 |
市場 |
直接操業 |
サステナビリティ性が高い商品の需要増加 |
小 |
中期 |
〇環境政策の進展した市場への対応 ・環境配慮型商品の需要増加への対応 (TOPIC 3) ・農作物(食油)などを使いこなす技術革新 ・原料相場に強い体質への転換 ・容器包装プラスチック軽量化 ・使用したプラスチックの再利用(TOPIC 2-1・2-2・2-3) ・再生プラスチックやバイオマスプラスチックの積極導入(TOPIC 4-1・4-2) ・商品の使い方提案による環境負荷低減 〇食品ロスの削減と有効活用 ・野菜未利用部の有効活用(飼料・肥料化)(TOPIC 5) |
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急性 |
直接操業 |
気温の上昇に伴う、新製品・新規事業の需要増加 |
小 |
中期 |
〇温暖化による感染症への関心拡大への対応 ・酢酸菌ビジネスの展開 |
※3 影響度
各リスクや機会の対応策に関する「2030年の売上計画×直近3年間の市販用、業務用および海外の営業利益率平均割合」が「直近4年間の当社の連結営業利益平均」に占める割合で検討しています。
(大:30%以上、中:15~30%、小:1~15%、なし:1%未満)
※4 緊急度
時間軸を設定しています。
(短期:2024年まで、中期:2030年まで、長期:2050年まで)
・TNFD
自然関連のリスクと機会は、当社グループやバリューチェーン上のサプライヤーなどの事業者が自然と関わることで生じます。当社はTNFDの枠組みをふまえて、直接操業およびバリューチェーン上流における自然への依存と影響を把握すべくENCORE※5(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)を用いた分析を行いました。
その結果、直接操業においては、水資源の使用および固形廃棄物への影響が大きいことが、またバリューチェーンの上流における原材料生産においては、陸域生態系の利用、水資源の使用、水質汚染物質、土壌汚染物質への影響が相対的に大きいことがわかりました。
特定した優先地域をふまえて当社バリューチェーンにおける自然関連のリスクと機会を洗い出し、「事業への影響」と「環境・社会への影響」の2軸でそれぞれのリスクと機会の重要度を試行的に特定しました。TCFD/TNFD報告書ではシングルマテリアリティの考え方を基本とするものの、リスクと機会の重要度評価にあたっては、事業活動を通じた環境・社会への影響が、将来的な規制強化やレピュテーション低下につながり、最終的に当社の財務状況などにまで影響するというシナリオも考慮しています。今回把握した重要なリスクと機会をふまえた対応策については、今後さらに分析を深め、社内での議論を通じて検討を進めていきます。なお、TOPIC 6の詳細は「TOPIC:重点課題への取り組み」に記載しています。
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分野 |
バリューチェーン |
要因 |
リスクの概要 |
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移行リスク |
評判 |
上流 |
陸域生態系の劣化 |
農地確保のために生態系を破壊するサプライヤーから調達することによる社会的信用の失墜 |
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水資源の枯渇 |
過度な取水で周辺の自然環境に悪影響を及ぼすサプライヤーから調達することによる社会的信用の失墜 |
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市場 |
上流 |
陸域生態系の劣化 |
認証パームの需要拡大に伴う調達コストの増加 |
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|
消費者嗜好の変化 |
消費者嗜好の変化に伴う調達コストの増加 |
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政策 |
直接操業 |
水利用規制の強化 |
取水量と同等の量の水源涵養が求められる規制など対応コストの増加 |
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|
訴訟 |
直接操業 |
水資源の枯渇 |
過度な取水で拠点周辺の水資源量が減少し周辺の水利用を阻害することによる周辺住民などから訴訟を受けるリスクの増大 |
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技術 |
消費 |
陸域生態系の劣化 |
環境負荷低減製品への置き換えによる売上高の減少 |
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|
物理リスク |
慢性 |
上流 |
水質の悪化 |
水質悪化による生産性低下と調達難化 |
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気象条件 (降水量変化) |
降水量変化による生産性低下と調達難化 |
|||
|
気象条件 (平均気温上昇) |
平均気温上昇による生産性低下と調達難化 |
|||
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慢性/ 急性 |
上流 |
水資源の枯渇 |
水資源の枯渇による生産性低下と調達難化 |
|
|
直接操業 |
水資源の枯渇 |
水ストレスの高まりや災害発生による水不足で操業の停滞・停止 |
||
|
水資源の枯渇 |
過度な取水で拠点周辺の水資源量が減少することによる周辺の自然環境への悪影響 |
|||
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機会 |
評判 |
上流 |
消費者嗜好の変化 |
サステナビリティ、アニマルウェルフェア対応製品を好む顧客層の獲得(TOPIC 6) |
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技術 |
上流 |
陸域生態系の劣化 |
生態系の保護、再生が作物調達の持続可能性を向上 |
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水資源の枯渇 |
取水量低減に資する設備などの導入により水使用量低減 |
|||
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気象条件 (降水量変化) |
自然災害に強い品種を他企業と共同開発し、災害によるリスクを低減し持続可能な調達を実現 |
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製品 |
消費 |
陸域生態系の劣化 |
環境負荷低減に資するパッケージ導入によって廃棄物削減や有益利用による持続可能性実現 |
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上流 |
気象条件 (平均気温上昇) |
生産性が低下して調達が難化するリスクを低減すべくグローバル調達を最適化することで安定した調達を実現 |
※5 ENCORE
ビジネスの自然関連リスクへの曝露を調査し、自然への依存とインパクトを理解するために役立つ無料オンラインツール。
・TOPIC:重点課題への取り組み
当事業年度においては、重点課題に対応して実施した内容は下記のとおりです。なお、TOPIC 1~5は「主な気候変動関連のリスクと機会」で抽出したリスクと機会、TOPIC 6は「主な自然関連のリスクと機会」の機会に対応しています。
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対応策 |
(TOPIC 1)インターナルカーボンプライシング活用による低炭素投資の促進 |
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取り組み |
気候変動リスクを財務的視点で評価し、低炭素投資を促進するため、ICPを導入 |
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概要 |
ICP導入は主に以下の目的で活用されています。 ・設備投資の意思決定における炭素排出コストの考慮 ・低炭素技術への投資促進 ・社内での気候変動リスクに対する意識向上
当社では、2022年度より社内炭素価格の運用を開始し、その内部炭素価格をベースに2028年までの環境投資計画の立案を社内で進めています。これまでの運用では投資対効果が薄いとの理由から社内承認が難しい低炭素投資がありましたが、社内炭素価格の導入により、脱炭素を含めたトータルの投資対効果を示すことができ、より脱炭素への取り組みが加速することが期待されます。直近では、太陽光パネル導入などにおいて、社内炭素価格を用いた投資対効果を基に決裁が実行されています。 |
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対応策 |
(TOPIC 2-1)使用したプラスチックの再利用 |
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取り組み |
・油付きPETボトル(ドレッシングボトルなど)の資源循環 ・マヨネーズボトルの資源循環 |
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概要 |
油が付着したPETボトルは、リサイクルの洗浄工程で油が残り、再生PETの品質に影響を与えることが懸念されており、リサイクルの仕組みが社会的に実装されていません。また、国内のマヨネーズボトルには、主にポリエチレン(PE)というプラスチック素材が使用されており、PEは食品包装に多く使用されていますが、素材の種類や他素材と複合しているものが多いことから、飲料PETボトルに代表されるような水平リサイクルの仕組みが社会的に実装されていません。これらの課題に対して企業の枠を超えて協働することで、ボトルを資源循環できる社会をめざします。技術の確立と使用済みの油付きPETボトルの排出量や性状(汚れ具合など)の検証を行うため、小売店の店舗でボトルの回収実証実験を実施しました。
・ 油付きPETボトル(ドレッシングボトルなど) 当社は、日清オイリオグループ株式会社とドレッシングや食用油に使用されるPETボトルの資源循環に向けて協働を開始しました。 前期は、両社の知見を生かした技術の確立と使用済みの油付きPETボトルの排出量や性状(汚れ具合など)の検証を行うため、千葉市内のイオン・イオンスタイル8店舗で、使用済み油付きPETボトルの回収実証実験を実施しました。
・マヨネーズボトル 当社は、味の素株式会社と両社が参画する海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて官民連携で取り組む、業種を超えたプラットフォーム「CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)」の活動として、マヨネーズボトルの資源循環に向けて協働を開始しました。回収拠点を川崎市内のイトーヨーカドー3店舗に拡大し、使用済みマヨネーズボトルの回収実証実験を実施しています。
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対応策 |
(TOPIC 2-2)使用したプラスチックの再利用 |
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取り組み |
持続可能な社会の実現に向けた、株式会社アールプラスジャパンへの資本参加と使用済みプラスチック再資源化への取り組み |
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概要 |
ペットボトル以外のプラスチックは、現在国内では多くが燃焼※1されていると言われています。開発中の新技術は、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、直接原料(ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなど)に戻すケミカルリサイクル※2の技術です。 従来の油化工程を経由するケミカルリサイクルよりも少ない工程で処理でき、CO2排出量やエネルギー必要量の抑制につながるものと期待しています。この技術が確立できれば、より多くの使用済みプラスチックを効率的に再生利用することができると考えています。
参画企業一覧(2025年3月時点) |
※1 燃焼
焼却時に発生する熱を回収し、発電や熱供給に活用するサーマルリカバリー(熱利用)を含みます。
※2 ケミカルリサイクル
使用済みの資源をそのままではなく、化学反応により組成変換した後にリサイクルすることを指します。
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対応策 |
(TOPIC 2-3)使用したプラスチックの再利用 |
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取り組み |
鹿嶋市、リファインバース株式会社、三菱ケミカル株式会社、東洋製罐グループホールディングス株式会社、株式会社カスミおよび当社の6者連携で、プラスチック容器の循環をめざす包括連携協定を締結 国内初※、調味料キャップのサーキュラーエコノミー |
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概要 |
本取り組みは「プラリレープロジェクト」と称して、6者それぞれがプラスチックをリレー形式で繋ぎ、循環をめざす実証実験プロジェクトです。 2025年夏から、鹿嶋市内で排出された使用済みプラスチックをリファインバース株式会社で回収・一次加工し、三菱ケミカル株式会社が新設したケミカルリサイクルプラントにて再資源化します。その再生プラスチックを使用して東洋製罐グループホールディングス株式会社にて容器を製造、当社にて製品化、株式会社カスミにて販売するという、実証実験を行っています。 実証実験の前後の期間では、鹿嶋市内の公立小中学校にて、プラスチック資源の調査学習や各社のプラント見学、リサイクルに関する教育プログラムなどを行います。また、2026年内に実証実験や取り組みで見えた課題点やフィードバックを基に、6者共同で「プラスチック容器の循環に関する検証レポート」を作成・発表する予定です。
プラリレープロジェクト |
※国内初
超臨界水を用いた廃プラ油化リサイクル由来の樹脂(マスバランス方式)の利用は国内初です。
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対応策 |
(TOPIC 3)環境配慮型商品の需要増加への対応 |
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取り組み |
協働による環境負荷低減をめざした取り組み -国内初の紙製小袋ドレッシングが一部の日本航空株式会社国際線機内食に採用決定- |
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概要 |
当社とJALグループの商社である株式会社JALUXは、両社が共同で国内初となる紙製小袋ドレッシングを企画開発し、2025年9月から一部の日本航空株式会社の国際線機内食で提供を開始しました。採用されたのは、当社のサステナブルな食を提案する「GREEN KEWPIE※1」ブランドの「植物生まれのごまドレッシング」です。
・プラントベース※2のドレッシングと環境に配慮した紙製小袋の融合 日本航空株式会社の一部の国際線で提供している「GREEN KEWPIE 植物生まれのごまドレッシング」は、植物性原材料から作られたプラントベースのドレッシングです。プラントベースのドレッシングと紙製小袋の組み合わせにより、内容物から容器まで環境に配慮した商品として機内食に初登場しました。
・従来品に比べ、プラスチック使用量、CO2排出量を削減 従来の同一包材メーカーのプラスチック製パッケージと比較すると、1袋当たりプラスチック使用量は44%削減、CO2排出量は25%削減となります。今回の採用により、当社と株式会社JALUXのサステナブルな取り組みに貢献します。
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※1 GREEN KEWPIE
プラントベースフードなど「サステナブルな食」を展開する当社のブランドです。地球と人の双方が持続可能で、日々続けられる食生活を実現したいという思いで立ち上げました。環境や健康の今と未来のためを考えている世界の方々に向けて、価値観の多様性や社会環境の変化に適応した、新たな食の提案に挑戦しています。
※2 プラントベース
プラントベースフードの社内基準に沿って、一次原料および二次原料に動物性由来原料(肉類・魚介類・卵・乳成分)を使用しない食品のことです。
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対応策 |
(TOPIC 4-1)再生プラスチックやバイオマスプラスチックの積極導入 |
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取り組み |
市販用ドレッシング類※1の380mlサイズ全10品に100%再生PET樹脂ボトル※2を採用 |
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概要 |
380mlサイズの市販用ドレッシング類全10品について、100%再生PET樹脂を使用したボトルを採用し、2025年9月上旬以降、順次切り替えました。これにより、年間で新たなプラスチック使用量を約1,600トン削減、CO2排出量を約1,400トン削減できる見込みです(前年出荷実績に基づく当社試算)。新たなプラスチック使用量の削減見込みは年間で約1,600トンと、当社が進めてきたドレッシングの再生PET化の中では最大規模です。切り替え後には、順次パッケージに独自のecoラベルを付与し、環境に配慮した容器であることをお客さまに訴求していきます。
・キユーピードレッシングにおける再生PETボトル採用の取り組み URL https://www.kewpie.com/newsrelease/2025/3826/
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※1 ドレッシング類
ドレッシングおよびノンオイル等のドレッシングタイプ調味料のことです。
※2 100%再生PET樹脂
主に清涼飲料水用のペットボトルを回収し、粉砕・洗浄後、高温下で一定時間処理し、汚れを除去する方法「メカニカルリサイクル(物理的再生法)」で再生したPET樹脂。
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対応策 |
(TOPIC 4-2)再生プラスチックやバイオマスプラスチックの積極導入 |
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取り組み |
2024年2月から、市販用ドレッシングやスープの素など、環境に配慮した容器包装の商品に対して独自のecoラベルの付与を開始 |
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概要 |
容器包装に対する環境配慮基準を策定し、基準を満たした商品には、パッケージに当社グループ独自のecoラベルを付与しています。 ・当社グループecoラベル付与項目と基準 ・当社グループecoラベル付与商品一覧(2025年1月時点) URL https://www.kewpie.com/sustainability/pdf/sustainability_20250130_eco_management_ecolabel_list.pdf
ecoラベルを付与した対象商品(一部) |
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対応策 |
(TOPIC 5)野菜未利用部の有効活用(飼料・肥料化) |
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取り組み |
協働による持続可能な農業の実現と環境負荷低減をめざした取り組み 当社とカゴメ株式会社が未利用野菜資源のバイオ炭化※1で共同研究を開始 |
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概要 |
未利用野菜資源をバイオ炭化する取り組みについて共同研究を2025年5月から開始しました。本研究は、野菜に関わる事業に注力する両社が協力して、野菜の栽培・加工に関するサステナビリティ課題を解決することをめざし、持続可能な農業の実現に貢献する取り組みです。
・共同研究の目的 1.バイオ炭化するための技術確立 野菜という水分含有量が高い資源を効果的にバイオ炭化する技術を開発します。効率的な脱水方法や炭化技術の確立をめざします。 2.バイオ炭を施用した際の栽培特性の評価 野菜由来のバイオ炭の農業利用における有効性を検証し、土壌改良効果や作物の生育促進効果を明らかにします。 3. カーボンネガティブな事業モデルの確立 バイオ炭の生産・利用を通じて、CO2の固定化と排出削減を図り、J-クレジット制度※2を活用して、継続的にカーボンネガティブな事業モデルの確立をめざします。
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※1 バイオ炭
植物性バイオマスを酸素が少ない状態で加熱し炭化させたものです。土壌改良や炭素貯留に効果があるとされ、通常の堆肥と比べ分解されにくく、長期間土壌中に留まることができる特徴があります。
※2 J-クレジット制度
温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度です。
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対応策 |
(TOPIC 6)サステナビリティ、アニマルウェルフェア対応製品を好む顧客層の獲得 |
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取り組み |
生物多様性の保全のためのコンソーシアム「SHIBUYA Urban Farming Project」の活動を本格化 |
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概要 |
当社は、一般社団法人渋谷未来デザインとともに、都市の緑地化と生物多様性を促進し、渋谷らしいコミュニティ形成と新たな食文化を実現する「SHIBUYA Urban Farming Project」を2024年6月に設立しました。 アーバンファーミングを軸とし、当社グループの強みを生かしながら、参画企業と共にネイチャー・ポジティブに向けた取り組みを推進しています。 渋谷区内の小中学生を対象とした「シブヤ未来科」に対し、小学校2校を対象にアーバンファーミングに関するプログラムを提供しました。これにより、野菜の栽培・収穫から調理までを体験する、農と食の教育を融合した新たな機会を創出しました。 また、都市空間における野菜の栽培・収穫を通じて、食と自然のつながりを体験できるイベントを開催し、都市生活者に対して生物多様性の重要性や、食を支える自然資本の役割について啓発活動を行い、地域社会との対話と交流を深めました。
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③ リスク管理
気候変動への対応および生物多様性の保全に関するリスクに関しては
④ 指標と目標
気候変動への対応および生物多様性の保全に関する指標と目標に関しては「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般 4) 指標および目標」 をご参照ください。
(3) 人的資本
① 人材育成方針
当社グループは、「社是・社訓」「めざす姿」など、当社グループの理念を経営の根幹に据えています。国内外の幅広い事業領域において、多様な価値観を持つ従業員が理念を共有し、「誠実に仕事に向き合い、一致協力して同じ志の実現をめざす」組織文化と人材は、ユニークな強み(競争優位性)であると位置づけています。これからの未来に向けてグローバル化やデジタル化の進展により事業環境が変化する中、持続的な成長を実現するためには、当社グループの強みを基盤としつつ「新たな価値を創造する力」を強化することが不可欠です。世界の食と健康に貢献し続けるため、多様な視点を融合させイノベーションを創出する原動力として、従業員一人ひとりの「個の力」を最大化させることをめざします。
2025-2028年度 中期経営計画では、当社グループの人材との向き合い方を示す「人材ポリシー」として、「一人ひとりの生き方と向き合い、自己実現への挑戦を成長の原動力とする」という方針を掲げています。一人ひとりが主役としてお互いの生き方を尊重し、仕事を通して自己実現に挑戦することが、当社グループの人材と組織の成長の原動力になるという考え方です。当社グループの人的資本への投資や、人材戦略としての取り組みは、この人材ポリシーの考え方が土台となっています。
② 人的資本の価値を拡大する人材戦略
2025-2028年度 中期経営計画では、人材ポリシーを実現するための仕組みや動きをつくる投資を進めていきます。金額的な投資だけではなく、自身の生き方と向き合い挑戦するための時間や、新しい機会を提供することも人的資本の価値を高める大切な人材投資と捉えています。これらの投資を通じて組織基盤を強化し、経営戦略を遂行する人材の育成と、成長領域への挑戦の機会創出を進めます。エンゲージメント向上とパフォーマンス発揮との好循環を構築することが、新たな価値の創出と当社グループの持続的成長につながると考えています。
③ 具体的な取り組み
◇新しい活躍の機会創出 <成長分野への人材シフト>
・挑戦の機会の提供
海外やDXなど、当社グループとして優先的に進めるべき戦略と位置付けた領域への人材配置にあたり、当社グループ全従業員に対する公募を実施し、挑戦意欲や、キャリア実現への強い想いを持った従業員を抜擢する取り組みを、継続して進めています。海外事業への挑戦を希望する人材を対象にした選抜型の海外人材育成プログラム第3期を実施しました。そのうち約30%が、現在海外駐在の希望を叶えており、グローバル化を進める人材の育成と配置が進んできています。今後も、海外に限らず当社グループの様々な仕事に自ら手を挙げてチャレンジできる様に、社内公募の実施等を進めていきます。
◇多様な個の力の強化 <競争優位の専門性>
・期待役割の明文化
2026年度からスタートする新人事制度の導入と併せて、当社グループ内の仕事に対する「期待役割書」を当社版のジョブ・ディスクリプションとして明文化し、当社グループ全従業員に開示しました。当社グループ国内外に展開する様々な仕事の役割と、求める専門性を明確にすることによって、多様なチャンスがあふれる当社グループで個々の強みやスキルを最大限に発揮し、活き活きと活躍する人材が増えていくと考えています。
・自律的な学びの拡充
当事業年度においては、自律的な学習を支援する研修プログラムを、当社グループ全階層を対象としてさらに拡大しました。重要なスキルと位置付けた9つのテーマを学ぶ「スキル研修」や、語学等の学習を支援する「自己啓発研修」、そして基幹職向け動画配信「基幹職の学び」など、自律的に学ぶことができる機会を拡充することで、4,800人の新たな学びを支援しました。
◇自己実現のキャリア改革 <従業員の働きがい向上>
・従業員の自己実現の支援
当社では、従業員のキャリア自律を支援する仕組みとして、キャリア自己申告制度を導入しています。当社グループの事業領域の広さを活かして、従業員が仕事を通じて自己実現できる環境づくりを進めています。具体的には、各部署の役割や仕事を知る機会の創出、希望の職場への異動実現支援などにより、定量的にキャリア自己申告の実現率の向上を推進しています。この取り組みをさらに強化し、目標であったマッチング率22%を達成しました。
・グローバルを対象にした理念研修の実施
当社グループでは、前期より海外ナショナルスタッフも含めた新しい理念研修を実施しています。グローバル展開によってますます価値観が多様化する中、理念を伝達して「浸透」させる研修ではなく、対話を通じて一人ひとりが理念に「共鳴」することをめざしています。海外4拠点のナショナルスタッフ約600人との対話を実施しました。当社グループの理念と自分の価値観が共鳴し、従業員が働きがいを感じながら活躍できる環境づくりを進めます。
◇組織基盤の強化
・エンゲージメントの向上
エンゲージメントサーベイを人的資本への投資効果を測る重要指標と位置づけ、スコアの向上をめざしています。「仕事をする上での環境」、「仕事における貢献感・受容感」、「職場で働く意義、モチベーション」、「職場における成長実感」の4つの領域に分類して分析を行います。分析結果は当社グループ内で共有し、各職場でのコミュニケーションや働きがいの向上に活用しています。エンゲージメント向上につながる様々な取り組みを実施し、目標であった当社グループ国内スコア70点を達成しました。
・DE&Iの推進
多様な人材が理念で結びつきながら、それぞれの専門性と個性を発揮する状態をめざし、社内セミナーやコミュニケーションの機会を創出しています。2017年度より実施している当社グループ従業員を対象とした「ダイバーシティアンケート」では、「多様性」、「公正性」、「受容」の各項目に対する従業員の実感を調査しています。当事業年度は、95%以上が「ダイバーシティ推進に共感している」という高い結果を維持しました。
・多様な人材が働きやすい環境づくり
当社グループの約半数を占める女性従業員が活躍できるよう、女性総合職の育成や、転居を伴う異動のない総合職制度の導入、地域職から総合職への転換、男性育休の取得推進や育休復帰セミナーなども進めています。また、LGBTQ+の観点から、従業員の同性パートナーを当社制度上の「配偶者」に含めて運用しています。人事制度や労務制度に加えて、マネジメントや風土もあわせて変えていくことで、意欲ある、多様な人材が安心して働き続けられる会社をめざしています。
・新人事制度の導入
当社グループの強みである人的資本の価値拡大を、持続的に実践していくことを目的として、新人事制度を導入しました。本制度では、従来のマネジメント職の強化に加え、高度な専門性を発揮するスペシャリスト職の拡充や、一般職から基幹職への早期抜擢を可能とする仕組みを構築しています。「期待役割の明確化」「専門性の向上」「キャリア自律の促進」「職務基準の公正な処遇」を柱とし、多様な価値観を持つ従業員が自己実現を図りながら最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整備していきます。
④ 指標および目標
当社グループの人的資本の価値を拡大する人材戦略については、以下の指標をモニタリングし、目標達成に向けたアクションプランの実践と、その実効性の検証を行います。
なお、以下表のうち、指標によって取り組みの範囲が異なるため、海外を含むグループ全体での数値の計測が困難な項目については、キユーピー単体またはグループ国内のみの数値を記載しています。
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人的資本に関する指標 |
2023年度 実績 |
2024年度 実績 |
2025年度 実績 |
目標 |
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従業員エンゲージメント |
エンゲージメントスコア※1 (当社グループ 国内) |
計測なし |
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70点 |
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組織基盤の強化 |
女性管理職比率 (当社グループ 海外含む) |
19.5% |
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20.5% |
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女性管理職比率 (キユーピー単体) |
14.5% |
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19.9% |
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理念研修の実施人数 (各社グループ 海外含む)累計 |
計測なし |
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1,314人 |
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新卒総合職入社3年の定着率 (キユーピー単体) |
84.9% |
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95.8% |
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新しい活躍の機会創出 <成長分野への人材シフト> |
グローバル人材の創出 (キユーピー単体)累計 |
計測なし |
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49人 |
100人 |
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多様な個の力の強化 <競争優位の専門性> |
スペシャリスト創出人数 (当社グループ 国内) |
計測なし |
計測なし |
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一人あたりの研修時間 (当社グループ 国内) |
計測なし |
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6.8時間/人 |
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自己実現のキャリア改革 <従業員の働きがい向上> |
キャリア自己申告実現率※2 (キユーピー単体) |
14% |
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22% |
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※1 エンゲージメントスコア
エンゲージメントスコアは、仕事環境・貢献感・働く意義・成長実感の観点で従業員アンケートを実施し、第三者機関による分析から、100点満点で点数化しています。今後、海外を含む当社グループ全体に対象を拡大して実施していきます。
※2 自己申告実現率
職務の変更希望を申告した従業員のうち、希望の職務に従事できている比率です。今後、キャリア自己申告制度の導入を当社グループ会社にも段階的に拡大し、取り組みを進めます。
この有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるものには、以下の表内のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識したうえで、発生の抑制・回避に努めています。そのためにリスクマネジメント基本規程において当社のリスク管理を体系的に定め、個々のリスクを各担当部門が継続的に監視しています。直近の業績への影響が大きなリスクについては経営会議、全社的なリスクについてはリスクマネジメント委員会、気候変動を含む社会・環境に関するリスクについてはサステナビリティ委員会でそれぞれ情報を共有し、リスクの評価、優先順位および対応策などを管理しています。また、リスクマネジメント担当取締役は、全社的リスクの評価や対応の方針・状況などを定期的に取締役会へ報告しています。
リスクの評価と選定については、社内外の経営環境の変化を広く見据え今後リスクとなりうることを洗い出し、それらの評価を行うことで重要なリスクを見極めています。「各リスクの経営への影響の大きさ」と「そのリスクの管理の程度(マネジメントコントロール度)」の2軸で評価し、対策すべきリスクを選定し優先順位づけをしています。経営への影響度が大きいにも関わらずマネジメントコントロールが不十分なリスクは『全社主要リスク』として全社横断的なプロジェクトにより、最優先でリスク低減に努めています。活動を通じて対策が効果を上げ、マネジメントコントロール度が高まったとしても、依然として経営への影響度が大きい場合は、その後の状況を監査などにより確認しています。経営への影響度が小さく経営課題とならない場合においても、感度高く社外情報の収集、モニタリングに努めています。このように社内社外両面からモニタリングを行い状況変化に応じた重要性を適時評価し機敏にリスクに向き合うように努めています。
しかしながら、当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、当社グループの信用、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、以下の表内の内容は、当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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事象 |
リスク |
リスクへの対応策 |
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市場の動向 |
長期にわたり漸次的にその影響が大きくなる可能性がある主なリスクは次のとおりです。
・国内人口減少による長期的な市場縮小 ・野菜価格変動、消費者意識の変化によるサラダ市場の縮小 |
国内では「市販用」と「業務用」の2体制でフレキシブルな市場対応を図り持続的成長につなげています。当社グループの内食・中食・外食への展開力を活かしサラダとタマゴの可能性を広げ、健康的で豊かな食生活に貢献することで事業機会の創出をめざします。また、グループ独自素材を活かしウェルネス領域の拡大もめざします。 市場環境の急速な変化や多様化する消費者ニーズに対応するため、新商品の開発・検証拠点として「仙川SHIPYARD」を運用しています。同施設では小ロット生産による迅速なプロトタイプ化が可能であり、直接的な顧客フィードバックを早期に得られる体制を構築しています。これにより、市場検証型の商品開発を推進し、商品投入における不確実性の低減とヒット率の向上を図っています。 また、顧客の食生活における課題解決や新たな食シーンの創出につながる商品・サービスを迅速に提供するため、営業の組織体制をマーケティング本部と販売戦略本部の2本部体制に刷新し、マーケティング力と提案力を強化しています。この体制変更により、市場の変化をいち早く捉えた需要開拓を推進し、収益機会の最大化に努めています。 海外では、中国、アジアパシフィック、米州を重点エリアとし、当社グループのこれまでの顧客層である富裕層から中間層へ開拓を進めます。またデジタルコミュニケーションとマーケティング機能を強化し、「キユーピーブランド」の認知率と商品使用率の向上に取り組んでいきます。人材や商品開発、マーケティング、ガバナンスなどに経営資源を集中的に投下し、持続的な成長を図っています。 |
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原材料(主原料やエネルギー・一般原資材)の調達 |
食油調達においては、大豆や菜種の相場、為替相場および需給などの変動により短期、長期的な価格変動リスクがあります。
鶏卵調達においては、突発的な鳥インフルエンザの発生、産卵鶏の羽数変動、長期的な鶏卵の消費動向などによる価格変動および調達困難リスクがあります。
その他当社グループで使用している原材料調達は、国際的な景気動向や需給バランス、為替の変動、地政学リスクなどによる価格変動リスクがあります。
また、社会的な配慮のもとでの持続可能な調達への取り組みが不十分と評価された場合、漸次的にレピュテーションが低下する可能性があります。 |
当社グループでは、原材料価格の上昇の影響を低減するため、商品の価格改定や付加価値化、生産効率化、グループ連携による調達体制の構築などの取り組みを進めています。また、主原料の相場影響を受けにくい事業構造への転換を進めています。 鶏卵調達においては、大手生産者を中心に各地の生産者との年間数量計画、一定価格契約、相場でのスポット契約の組み合わせ、また一部地域で鳥インフルエンザが発生して卵の移動が制限されたとしても他の地域の工場でカバーできる全国調達・割卵工場体制整備などを実施しています。また、状況に応じて海外からも調達できる体制を整備しています。鳥インフルエンザの猛威による原価上昇と減産による利益減少のリスクについては、発生時期を考慮した原料及び製品在庫を確保するとともに、商品の付加価値化を進め、収益性向上に努めています。 中長期的な持続可能性の観点では、採卵鶏のアニマルウェルフェアの課題に関係する業界や行政と連携しながら取り組んでいます。 また、サステナビリティにむけての重点課題として「持続可能な調達」を特定し、グループ全体で取り組んでいます。社会的な配慮のもとでの持続可能な調達に向けて、当社グループの「持続可能な調達のための基本方針」を定め、原料の品質だけでなく、サプライチェーン上での環境や人権に与える影響の確認を進めています。本基本方針の実現に向けて「キユーピーグループ サプライヤーガイドライン」を定め、サプライヤーとの相互理解のもとサプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、持続可能な調達およびサプライヤーとの共存共栄をめざして取り組んでいます。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 |
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事象 |
リスク |
リスクへの対応策 |
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製造物責任 |
異物混入や誤表示など、消費者に健康被害を及ぼす恐れのある製品事故は、重篤なリスクとして常に認識しています。 |
当社グループ創業以来の品質第一主義を基本として、食品安全マネジメントシステム(FSSC22000)の認証、グループを横断した品質監査の実施、FA(ファクトリー・オートメーション)を活用した製品保証やトレーサビリティ、また自社モニタリングや調達原料の品質規格書管理システムの構築など、制度・システム面から品質保証の充実を推進しています。 加えて、従業員の品質に対する意識と理解が最も重要なことから、OJTや勉強会などさまざまな機会を通じた知識・技術の習得はもちろん、品質第一主義の浸透にも努めており、永続的な企業発展の基盤となる「安全・安心で高品質な食品の提供」を担保するため、万全な体制で取り組んでいます。 |
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自然災害などの不測の事態 |
巨大台風、豪雨・長雨による洪水や大規模地震などの自然災害の影響が大きくなる可能性があります。それらにより次のようなリスクを想定しています。
・製造や物流施設・設備などの破損 ・原資材やエネルギーの調達困難 ・操業に必要な人員の不足 |
過去の災害の経験を活かし、当社グループ横断で危機発生時の事業継続計画(BCP)を整備し、対策に取り組んでいます。 東京にある本社の代替機能を関西に設置する体制の整備、非常時の通信ネットワークの整備や物資の備蓄、生産設備や物流設備の補強、不測の事態において生産可能状況を確認するシステムの整備、主要商品に関する生産や原資材調達機能および受注機能を2拠点化することなどにより危機発生時に備えており、災害の種類毎にマニュアルを整備しています。 さらにそれらを確実に運用できるようにするために大規模災害対応訓練(初動対応訓練や商品供給訓練、安否確認訓練)も行っています。 |
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システム障害 |
高度化した外部からのサイバー攻撃によりシステムが停止することで事業活動に大きな影響が出る可能性があります。 |
当社グループでは、サイバー攻撃を受けた場合の備えとして「防御システムの多層化」を実施し、迷惑メールや不正アクセスを防ぐ対策に加えて、24時間監視し不審なプログラムの挙動を判定し実行防止するEDRシステムなどによる対策を行っています。 並行して従業員の「リテラシー向上」に向けた対策として、攻撃メールへの対応模擬訓練、情報セキュリティ教育など定期的に実施し、さらに従業員の情報セキュリティ意識を高く保てるよう情報推進委員会が適宜情報を発信しています。 長期間にわたり重要システムが停止した場合の事業継続については、事業継続計画(BCP)の整備を進めています。 |
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事象 |
リスク |
リスクへの対応策 |
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人材、労務関連 |
人材、労務に関しては、主に次のようなリスクを常に想定しています。
・製造現場の労働力不足 ・ハラスメント ・従業員エンゲージメントの低下 ・専門人材の不足 |
当社グループでは、継続的な採用、教育の充実、労働環境の最適化などにより人材の確保、定着に取り組んでいます。具体的には、作業の効率化、省力化を推進し、負荷がかかる作業や複雑な作業を機械やロボットに置き換えています。加えて外国籍の方が就労し易い環境整備も進め、雇用を拡大しています。 すべての職場の従業員一人ひとりが安心して働くことができ、仕事と家庭生活の両立が実現できる雇用環境の整備を進め、テレワークの積極的な活用、労働時間の適正化や法令に基づく適正な労務管理、ハラスメント予防に関する従業員教育の徹底、内部通報制度(ヘルプライン)の設置などにより労務関連リスクの低減に取り組んでいます。 これらに加え、持続的成長を実現する人材を育成していくために、多様な人材が活躍できる仕組みづくりを実施し、併せて専門性の高い外部人材の採用や登用を推進しています。 また、サステナビリティにむけての重点課題として「人権の尊重」を特定し、グループ全体で取り組んでいます。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 |
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海外展開 |
海外展開においては、主に次のようなリスクを想定しています。
・脆弱な経営基盤によるトラブル ・情報管理の不備による漏洩 ・模倣品の流通による競争力の侵害およびブランドイメージ毀損 ・地政学リスク |
海外子会社においても当社グループの理念を浸透させるための現場教育、各種研修などを行っています。また、内部統制システム整備を進めており、具体的には決裁権限の明確化、契約書・規程管理や経理・財務規程、反贈収賄規程、人事評価制度など各種規程や制度の整備・運用、内部通報制度の導入、事業継続計画(BCP)および危機管理訓練などにより経営基盤の強化に取り組んでいます。 さらに会社情報や重要技術情報の取り扱い・セキュリティに関する規程の導入および盤石なICTネットワークの構築に取り組んでいます。 模倣品対策では、市場に出回る当社商標権の侵害品や紛らわしい他社品を排除するとともに、悪意ある商標出願を権利化させないように取り組んでいます。 生産拠点のある地域の政治・経済情勢や法規制の動向を確認し、エリア毎に必要な対応を検討、実施しています。また、国際情勢によって生じるカントリーリスクについては、有形・無形資産の対応、原料調達リスクの分散、知的財産の保護、従業員の退避などの観点で備えています。 |
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事象 |
リスク |
リスクへの対応策 |
|
地球環境問題、気候変動 |
地球環境問題、気候変動においては、主に次のようなリスクを想定しています。
・原資材調達難、価格高騰 ・CO2排出規制強化 ・エネルギーコスト増 ・大雨、洪水による生産設備被災
これらサステナビリティへの取り組み、対応が不十分と評価された場合、漸次的にレピュテーションが低下する可能性があります。 |
当社グループでは、サステナビリティにむけての重点課題として環境面では「資源の有効活用・循環」、「気候変動への対応」および「生物多様性の保全」を特定し、グループ全体で取り組んでいます。 当社グループの事業は、自然の恵みに強く依存しているため、原材料の収量の減少や品質の低下、価格高騰など、地球環境の変化や気候変動によるさまざまな影響を受ける可能性があります。機動的な価格適正化や原料相場に強い体質へ転換するため、ポートフォリオの最適化やグループ連携による調達体制の構築を進めています。地球環境の変化や気候変動に関連する事象を経営リスクとして捉えて対応すると同時に、新たな機会を見出し企業戦略へ活かします。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営環境は、各国の政策を巡る不確実性や地政学リスク、為替の変動などにより、不安定な状況が続きました。国内では、所得環境の改善やインバウンド消費の回復が見られたものの、食品価格の上昇に伴う消費者の節約志向の高まりに加え、原材料価格の高騰などにより、厳しい経営環境が続きました。特に、鶏卵においては高病原性鳥インフルエンザや猛暑による供給減少、生産コストの上昇を背景に価格が高止まりしたことに加え、天候不順による野菜相場の変動も収益に影響を及ぼしました。
このような経営環境において、海外事業では、アジアパシフィック・米州での新工場の本格稼働による供給能力強化および生産効率の向上を推進しました。また、KEWPIEブランドの認知度向上に向けた取り組みや現地料理と融合した提案型プロモーションを展開し、需要拡大に注力しました。
国内では、多様化するニーズに対応した高付加価値商品の展開を強化するとともに、原材料価格上昇に対応した適切な価格改定を実施しました。また、ロボット導入による生産自働化を推進し、収益性および生産性の向上に取り組みました。また、中長期的な成長基盤構築に向け、人的資本やサステナビリティ、新規領域への投資を計画的に実施しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、海外事業の継続的な成長に加え、国内におけるタマゴ商品の販売回復やカット野菜の需要拡大および単価上昇により増収となりました。営業利益は、主原料価格高騰の長期化や物流コスト上昇の影響を受けたものの、海外での販売増や国内での価格改定の浸透などにより増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増益に加え工場跡地売却による特別利益の計上により増益となりました。
当連結会計年度の連結業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
増減(金額) |
増減(比率) |
|
売上高 |
483,985 |
513,417 |
29,432 |
6.1% |
|
営業利益 |
34,329 |
34,628 |
299 |
0.9% |
|
経常利益 |
36,874 |
37,389 |
515 |
1.4% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
21,419 |
30,506 |
9,087 |
42.4% |
◇ セグメント別の状況
|
[売上高の内訳] |
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
増減(金額) |
増減(比率) |
|
市販用 |
186,747 |
189,823 |
3,076 |
1.6% |
|
業務用 |
170,086 |
185,584 |
15,498 |
9.1% |
|
海外 |
92,199 |
100,262 |
8,063 |
8.7% |
|
フルーツ ソリューション |
17,001 |
17,575 |
574 |
3.4% |
|
ファインケミカル |
11,382 |
11,836 |
454 |
4.0% |
|
共通 |
6,568 |
8,334 |
1,766 |
26.9% |
|
合 計 |
483,985 |
513,417 |
29,432 |
6.1% |
|
[営業利益の内訳] |
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2023年12月1日 至 2024年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
増減(金額) |
増減(比率) |
|
市販用 |
14,277 |
12,577 |
△1,700 |
△11.9% |
|
業務用 |
11,951 |
11,857 |
△94 |
△0.8% |
|
海外 |
12,467 |
13,586 |
1,119 |
9.0% |
|
フルーツ ソリューション |
197 |
680 |
483 |
245.2% |
|
ファインケミカル |
572 |
712 |
140 |
24.5% |
|
共通 |
1,352 |
1,358 |
6 |
0.4% |
|
全社費用 |
△6,489 |
△6,145 |
344 |
- |
|
合 計 |
34,329 |
34,628 |
299 |
0.9% |
(注)当連結会計年度において、各セグメントの損益の実態をより適正に反映させるため、全社費用の配賦基準の変更を行っており、前連結会計年度に係る各数値については、遡及後の数値を反映させています。
<市販用>
・調味料、カット野菜の単価上昇により増収
・鶏卵、野菜相場高騰などによる原材料高により減益
<業務用>
・価格改定による単価上昇とタマゴ商品販売数量増により増収
・価格改定効果があったものの、鶏卵相場高騰や原材料高影響を受け減益
<海外>
・米州・アジアパシフィックの販売が堅調に推移し増収
・アジアパシフィックを中心とした売上増による売上総利益増や中国の生販効率化取り組みにより増益
<フルーツ ソリューション>
・家庭用ジャム・スプレッドと産業用フルーツ加工品が好調に推移し増収増益
<ファインケミカル>
・医薬原料の販売数量減も、通信販売が好調に推移し増収増益
<共通>
・外部向け機械販売および原料販売増加により増収増益
◇ 財政状態の状況
・総資産は、4,805億31百万円と前期末比181億59百万円増加
主に受取手形及び売掛金の増加33億33百万円、有価証券の増加50億円、投資有価証券の増加43億93百万円、退職給付に係る資産の増加118億50百万円、投資その他の資産のその他に含まれる長期定期預金の増加35億49百万円、現金及び預金の減少125億41百万円によるものです。
・負債は、1,329億30百万円と前期末比21億96百万円増加
主に未払法人税等の増加28億22百万円、繰延税金負債の増加45億51百万円、流動負債のその他に含まれる未払金の減少15億27百万円、未払消費税等の減少15億59百万円、前受金の減少12億8百万円、契約負債の減少4億34百万円によるものです。
・純資産は、3,476億円と前期末比159億62百万円増加
主に利益剰余金の増加217億43百万円、資本剰余金の減少74億77百万円によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の残高は、658億49百万円と前期末比146億63百万円減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、下記のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が475億17百万円、減価償却費が182億91百万円、固定資産除売却益が113億62百万円、法人税等の支払いが105億48百万円となったことなどから318億2百万円の収入(前期は631億26百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が155億94百万円、有形固定資産の売却による収入が112億17百万円、定期預金の預入による支出が193億86百万円となったことなどから169億5百万円の支出(前期は238億93百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが87億57百万円、非支配株主への配当金の支払いが34億20百万円、自己株式の取得による支出が162億88百万円となったことなどから301億2百万円の支出(前期は211億26百万円の支出)となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりです。
|
|
2021年 11月期 |
2022年 11月期 |
2023年 11月期 |
2024年 11月期 |
2025年 11月期 |
|
自己資本比率(%) |
64.5 |
66.4 |
66.2 |
65.4 |
67.4 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
84.2 |
84.3 |
84.2 |
103.4 |
127.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.1 |
1.2 |
1.4 |
0.4 |
0.7 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
159.0 |
110.6 |
61.1 |
202.5 |
113.0 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としています。
※キャッシュ・フローおよび利払いは、それぞれ連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を使用しています。
③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
市販用 |
123,702 |
105.5 |
|
業務用 |
130,625 |
133.1 |
|
海外 |
61,062 |
106.7 |
|
フルーツ ソリューション |
12,796 |
98.7 |
|
ファインケミカル |
5,988 |
107.9 |
|
共通 |
3,435 |
151.6 |
|
合計 |
337,610 |
115.1 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
市販用 |
20,157 |
105.3 |
|
業務用 |
16,637 |
133.4 |
|
海外 |
2,296 |
67.4 |
|
フルーツ ソリューション |
1,399 |
97.6 |
|
ファインケミカル |
104 |
105.0 |
|
共通 |
6,382 |
241.7 |
|
合計 |
46,977 |
119.8 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。
c.受注実績
主要製品以外の一部の製品について受注生産を行うほかは、すべて見込み生産のため記載を省略しています。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度(百万円) (自 2024年12月1日 至 2025年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
市販用 |
189,823 |
101.6 |
|
業務用 |
185,584 |
109.1 |
|
海外 |
100,262 |
108.7 |
|
フルーツ ソリューション |
17,575 |
103.4 |
|
ファインケミカル |
11,836 |
104.0 |
|
共通 |
8,334 |
126.9 |
|
合計 |
513,417 |
106.1 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告金額および報告期間における収益・費用の報告金額に影響する見積り、判断および仮定を必要としています。過去の実績や状況を踏まえ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、継続的に見積り、判断および仮定を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載していますが、次の重要な会計方針が財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
(1) 固定資産の減損処理
保有する固定資産について、原則として継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分(会社別、事業別かつ事業所別)を単位としてグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しています。減損損失を認識するかどうかの判定および使用価値の算定に際して用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報に基づき、合理的な仮定を置いて計算しています。将来の市場環境の変化などにより、見積り額と実態に乖離が生じた場合には、減損損失が発生する可能性があります。
なお、将来キャッシュ・フローの見積りの算定における主要な仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2) 貸倒引当金の計上基準
貸倒引当金については、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については過年度実績率を基礎とした将来の貸倒予測率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しています。将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
(3) 投資有価証券の減損処理
投資有価証券の評価方法については、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しています。保有する有価証券につき、市場価格のない株式等以外のものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、市場価格のない株式等は投資先の業績状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損処理を行っています。
この基準に伴い、将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現状の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。
(4) 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.財政状態および経営成績の分析
当連結会計年度における財政状態および経営成績の分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
b.資金の財源および資金の流動性
(1) キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(2) 資金の需要
さらなる企業価値の向上を図るための設備投資、事業投資、債務の返済および運転資金などの資金需要に備え、資金調達および流動性の確保に努めています。
(3) 資金の調達
必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入および社債発行により調達しています。
(4) 資金の流動性
複数の金融機関との当座貸越契約を設定しています。また、当社および国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。
c.目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、2025年度からの4年間を対象とする中期経営計画を策定し、最終年度である2028年11月期において、「ROE(自己資本利益率) 8.5%以上」「国内事業利益率 8.0%以上」「海外売上高伸長率(現地通貨ベース) (年率)二桁%以上」を目標として掲げています。
当連結会計年度におきましては、ROE(自己資本利益率)が9.7%、国内事業利益率が6.6%、海外売上高伸長率(現地通貨ベース)は前年比8%の増加となりました。
◇経営指標
|
|
2025年11月期 |
2028年11月期目標 |
|
ROE(自己資本利益率) |
9.7% |
8.5%以上 |
|
国内事業利益率 |
6.6% |
8.0%以上 |
|
海外売上高伸長率(現地通貨ベース) |
(前年比)8% |
(年率)二桁%以上 |
(簡易株式交換による完全子会社化)
当社およびアヲハタ株式会社(以下「アヲハタ」といいます。)は、両社の2025年7月3日の取締役会におい
て、当社を株式交換完全親会社とし、アヲハタを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式交換契約を締結しました。
詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりです。
当社グループは、「人の健康」「地球の健康」「未来の食生活の創造」の3つを重点研究領域とし、持続可能な社会の実現と食を通じた新たな価値提供をめざして研究開発を推進しています。マヨネーズやドレッシングをはじめとした食品開発で培ってきたコア技術を基盤に、社会課題への対応と将来を見据えたイノベーション創出を並行して進めています。
「人の健康」領域では、食品の栄養機能や健康機能に関するエビデンスの創出と活用に取り組み、商品への付加価値提供を進めています。2025年度は、酢酸菌を活用した機能性表示食品「キユーピー 免疫ケア 酢酸菌GK-1 マヨネーズタイプ」および「ドレッシング」の2品の届出が受理されました。また、マヨネーズと米飯を同時に摂取することによる食後血糖値の上昇抑制効果を日本栄養改善学会にて発表し、栄養提案への活用が期待されています。さらに、卵由来ホスファチジルコリンの認知機能への関連性や、酢酸菌の摂取による季節性アレルゲンへの影響に関する研究成果が高く評価され、この2件が学会表彰を受けました。加えて、「心の健康」という新たな切り口からの研究を開始しました。感性工学のアプローチにより、野菜摂取がもたらす情緒的な効果を検証し、ブロッコリーの摂取がオキシトシンの分泌量を増やす可能性があることを日本感性工学会大会で発表しました。
「地球の健康」領域では、プラスチック使用量削減および資源循環の実現をめざし、再生PETボトルや軽量キャップの採用など容器面での工夫を継続しています。市販用ドレッシング10品において100%再生PETボトルを採用し、さらに「キユーピー マヨネーズ700g」においては約17%の軽量化を実現した新キャップを導入しました。また、卵殻を活用したごみ袋「EGU」の商品化や、空調用卵殻フィルターを仙川キユーポートに導入、廃棄ゆで卵の飼料化、野菜残さと鶏糞による堆肥化など、未利用資源のアップサイクルにも取り組んでいます。
「未来の食生活の創造」領域では、アレルギー低減卵の研究において、プラチナバイオ株式会社との資本業務提携契約を締結し、社会実装に向けた協業を進めています。臨床研究では27症例全てで陰性を確認し、実用化に向けた大きな前進となりました。さらに、宇宙食の研究プログラム「SPACE FOODSPHERE」へも参画し、将来の食環境に向けた基礎研究を進めています。生産技術のカテゴリーでは、労働力不足という国内の社会課題に対応するため、自動化・省力化技術の開発と展開を進めています。2024年度に開発した惣菜工場における蓋閉め自動化技術は、2025年度にさらに進化し、複数工場での展開が始まりました。加えて、食品大手5社およびTechMagic株式会社と連携する「未来型食品工場コンソーシアム」では、原料秤量工程の自動化設備の共同開発を通じて、食品業界全体の生産性向上と品質保証体制強化をめざした取り組みを進めています。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
また、報告セグメントにおける研究開発活動の概要とその成果は下記のとおりです。
(1)市販用
市販用では、新商品の開発に加えて、既存品の改良を通じたさらなるおいしさや機能性の追求、ならびに用途拡大に向けた提案を実施しています。
マヨネーズカテゴリーでは、発売100周年を記念し、「世界を味わうマヨ」シリーズ(全6品)を期間限定で発売しました。
ドレッシングカテゴリーでは、「深煎りごまドレッシング カロリーハーフ」の大容量商品や、春夏・秋冬の季節限定フレーバー、また「テイスティドレッシング」シリーズから新たに「シーザーサラダ オリーブオイル入り」などを展開し、食卓での使用シーン拡大を図りました。
調理カテゴリーでは、「あえるパスタソース」シリーズの「ガーリックマヨ」と、「ごま和えの素」のリニューアルおよびパッケージ刷新を実施しました。
介護食カテゴリーでは、「やさしい献立」シリーズに新たに6品を3月に、さらに7品を9月に追加し、エネルギー摂取効率の向上や食事の楽しみの拡充を図りました。
サラダ・惣菜カテゴリーでは、「キユーピーマヨネーズのはじまりのポテトサラダ」や「じゃがいもがおいしいなめらかポテトサラダ」を発売し、惣菜市場におけるブランド展開を強化しました。株式会社サラダクラブでは、消費期限延長によるフードロス削減や、サラダの価値を多面的に訴求する研究成果を学会で発表しています。
中食領域では、食品未利用部を活用したアップサイクル商品の開発を継続し、規格外野菜を活かしたサステナブルな商品開発を進めています。卵加工品では、「タレで食べる」シリーズの新商品として「担々風たまご」や「タレたま 麻婆風味」などを発売し、食シーンの拡張と時短ニーズに応える提案を行いました。
(2)業務用
業務用では、原材料高騰や人手不足といった課題に対して、手間削減と付加価値向上を両立する実用的な商品開発を推進しました。
調味料カテゴリーでは、「具たっぷりソース」シリーズの強化や「やみつきになる旨たれ」の開発を通じて、調理現場の効率化と料理の品質向上を実現しました。また、ドレッシングでは、具沢山の「シェフズオニオンドレッシング」を開発し、特別感のあるサラダメニュー提案を支援しました。
100周年記念商品として開発された「マオンソース」は、マヨネーズの起源に着想を得たプレミアム商品であり、高級ホテルやレストランのメニュー価値向上に貢献しています。また、デリカ・ベーカリー業態向けに「具沢山ソース タルタル(マイルド)」や、変色しにくい「アボカドスプレッド」などを展開しました。
「エルデリポテトサラダ」は、500g単位で使える包材に改良され、業務効率を向上させました。さらに「エスカベッシュベース」や「たまご好きのためのたまごサラダ」など、簡便性と専門性を兼ね備えた商品も新たに発売しました。
キユーピー醸造株式会社では、機能性酢酸菌を配合した「免疫にごり酢」や、木樽熟成の限定品「リッシュフェルメンテ ワインビネガー」を展開し、高付加価値商品の市場展開を進めました。さらに、米飯加工業態向けに品質保持剤「ライスマイスター」「ライスマイスタープラス」を発売し、現場のオペレーション改善と品質向上を支援しています。
(3)海外
海外では、世界戦略商品によるブランド展開とともに、地域の嗜好や食文化、トレンドに対応したローカルでの商品開発を進めました。
世界戦略商品によるブランド展開においては、「キユーピー マヨネーズ」発売100周年を機に、グローバルブランドとしての認知拡大を目的とした統一コンセプトによるプロモーション活動を各国・地域で展開しました。
ローカルでの商品開発においては、中国でパンの喫食機会の拡大に対応し、「面包醤(パン用ソース)」シリーズを新発売しました。また、フードサービス市場においては、「シェフシリーズ」にカレーソースやチーズドレッシングなどを追加し、提案力を強化しました。
ベトナムでは、健康志向の高まりに対応し、脂質50%オフの健康訴求型マヨネーズを現地ニーズに合わせてリニューアルしました。
インドネシアでは、タルタルソースやトリュフソースの新商品を開発し、差別化された提案を行うとともに、サラダメニューを通じた健康価値の訴求を進めました。
米国では、「キユーピー オーガニックマヨネーズ」を新たに製品化し、健康志向層をターゲットとした戦略的なブランド強化を図っています。
(4)フルーツ ソリューション
フルーツ ソリューションでは、「香り」「色彩」「食感」「栄養機能」「利便性」「環境」といった多角的な観点から、フルーツを通じた心と体の健康支援をめざしています。
「アヲハタ くちどけフローズン アプリコット」は、冷凍状態でもやわらかく、凍結臭やドリップの課題を解消した技術的成果が認められ、日本食品工学会「技術賞」を受賞しました。また、「アヲハタ まるかじゅり」シリーズからは2品を新発売し、新たな摂取スタイルの提案を行いました。このほか、「アヲハタ 55」シリーズの55周年を機に、イチゴ商品に「さわやかブレンド」(春夏)と「濃厚ブレンド」(秋冬)を新たに加え、季節に合わせたおいしさを提供しました。
(5)ファインケミカル
ファインケミカルでは、ヒアルロン酸、たまご成分、酢酸菌など、独自の機能性素材を活用した研究と商品開発を進めています。
酢酸菌においては、機能性表示食品「ディアレプラス」の発売を通じて、免疫機能の維持に役立つ素材としての認知向上を図るとともに、BtoB市場への原料提案を強化し、市場活性化に取り組みました。
(6)共通
商品開発におけるスピードと柔軟性を高める取り組みとして、仙川キユーポート内に小ロット製造・販売拠点「仙川SHIPYARD(シップヤード)」を開設し、稼働を開始しました。本拠点では、開発・生産・品質保証部門が一体となることで、小規模かつ短サイクルでのテストマーケティングが可能となり、顧客理解に基づく商品開発アプローチを実現していきます。