当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は以下のとおりであります。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。有価証券報告書からの追加及び変更点に関しては下線を付しております。また、当該事項の変更のない部分については、一部省略をしております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業内容に係るリスク
(追加)
(4) 音楽配信市場に関するリスクについて
当社グループが事業を展開するデジタル音楽配信市場は、通信会社の方針やサービスへの依存度が高く、技術革新や配信プラットフォームによる消費行動の変化、国内外有力企業によるストリーミング市場の競争激化等、様々な要因により市場規模が想定通り推移しない可能性があります。それら外部環境の変化による悪影響を受けた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(追加)
(5) 投資に関するリスクについて
当社グループは今後も成長を続けるために、新規事業への挑戦や、人材の採用、システム投資、M&A等の戦略的な投資が重要であると認識しております。
出資や買収等の投資においては、対象となる企業の財務や税務、法務等の契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と精査し、価値評価に関しては第三者評価機関の見解等も踏まえ、可能な限りリスクの低減に努めてまいります。しかしながら、投資後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業体制に関わるリスク
(変更)
当社グループは著作権等管理事業において、効率的かつ精度の高い徴収・分配業務を実現するために、システムへの投資を継続的に行っております。また、のれんに関しては、イーライセンスとJRCが合併・事業統合し当社が発足した際及び株式会社レコチョクの株式を取得し連結子会社とした際に計上しております。
これらのソフトウェア及びのれんは、無形固定資産に計上しておりますが、これらの資産が生み出す将来キャッシュ・フローの状況等によっては、減損損失の認識の必要性が生じる可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(経営成績の概況)
当社グループが事業を展開する音楽関連市場は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額は前年同期比109%(2023年1月~12月)と、CD/映像ソフトのリリースは堅調に推移しており、有料音楽配信売上金額は前年同期比113%(2023年1月~9月)と、その内訳をみるとダウンロードは縮小傾向にあるもののサブスクリプション型や広告収入型の音楽配信サービス等のストリーミング配信市場が引き続き拡大しております。このような情勢において、当社グループは、「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる。」という経営理念の下、次代を奏でる著作権エージェントとして、新しいテクノロジーを適切に導入しながら、公平・公正かつ透明性の高い著作権使用料の徴収・分配、著作物利用に対する迅速かつ柔軟な対応などに取り組んでまいりました。また、当社グループはこれまで企業価値向上のため事業基盤となる管理楽曲や取扱原盤を着実に積み上げ、DX推進による業務効率化、ソリューション型営業による取引拡大、楽曲・コンテンツの更なる利用促進、権利者へのマーケティングデータの提供等により上場以来増収増益を継続してまいりました。
そのような中、既存事業のこれまでの成長スピードの更なる加速と、長期的な成長基盤拡充のため、2023年9月28日公表の「株式会社レコチョクとの戦略的な資本業務提携及び連結子会社化に関するお知らせ」のとおり、株式会社レコチョク(以下、「レコチョク」)との資本業務提携を実施し、両社グループのシナジー発揮による既存事業の成長だけでなく将来的な新規事業の創出を目指しております。また、本提携により、レコチョク及びその子会社である株式会社エッグス(以下、「エッグス」)を連結の範囲に含めたことにより、両社の貸借対照表は第2四半期連結会計期間より、両社の損益計算書は当第3四半期連結累計期間より、連結しております。
以上の結果、売上高は8,744,991千円(前年同期比136.4%)、営業利益は516,542千円(前年同期比98.0%)、経常利益は517,222千円(前年同期比97.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は404,131千円(前年同期比112.0%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、第2四半期連結会計期間においてレコチョク及びその子会社エッグスを連結の範囲に加え、当第3四半期連結会計期間より両社の損益計算書を新たに連結したことにより、当社グループ全体の事業範囲が拡大したため、事業区分及び事業活動の実態を適切に表すとともに、事業内容を明瞭に表示する目的から、当第3四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更いたしました。従来の「著作権等管理事業」及び「キャスティング事業」の2区分から、「著作権管理事業」、「デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業」、「音楽配信事業」の3区分へと変更し、報告セグメントに含まれない事業を「その他」としております。以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
① 著作権管理事業
変更前のセグメント区分における「著作権等管理事業」に含めていた楽曲の著作権に関わる2つの業務、当社の基幹事業である音楽著作権管理業務と、子会社の株式会社エムシージェイピーで展開している音楽出版事業を合わせて、新たに「著作権管理事業」としてセグメントを設定いたしました(従来の「著作権等管理事業」から組み換え)。
音楽著作物の利用時期と当社著作権管理業務の売上計上時期にはおおよそ1~2四半期のタイムラグが生じるため、当第3四半期連結累計期間の音楽著作権使用料の対象となる利用時期は主に2022年10月~2023年9月となります。
当該期間における著作権管理業務は、CD/映像ソフトのリリース、配信市場の伸長、管理楽曲の増加が堅調に推移するとともに新規取引先開拓や楽曲特定精度の向上による徴収額増加等に取り組んでまいりました。また、「演奏権」「海外」の取扱高も順調に増加しております。
以上の結果、売上高は857,133千円(前年同期比119.0%)、セグメント利益は349,684千円(前年同期比100.4%)となりました。
② デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業
変更前のセグメント区分における「著作権等管理事業」に含めていた当社DD業務に、レコチョク及びエッグスのDD業務を加え、新たに「デジタルコンテンツディストリビューション(DD)事業」としてセグメントを設定いたしました(従来の「著作権等管理事業」から組み換え)。
当第3四半期連結累計期間のDD事業の業績は、レコチョク及びエッグスのDD業務においては両社の損益計算書の連結を開始した2023年10月から12月までの業績であることから、売上の大半を当社のDD業務の業績が占めております。
当該期間におけるDD事業は、取扱原盤が順調に増加したこと等により業績は堅調に推移いたしました。Afterコロナにおける余暇時間の使い方の変化や配信市場規模拡大に伴う市場成長率の変化の傾向がみられる中、更なる営業活動の強化による新規取引先との契約や、海外におけるコンテンツの配信拡大を目指し米国の音楽テクノロジー企業「AudioSalad」社とのパートナーシップの構築等に取り組みました。
以上の結果、売上高は5,512,985千円(前年同期比104.6%)と増収となりましたが、レコチョクにおけるシステム開発等の先行投資により、セグメント利益は619,879千円(前年同期比85.7%)となりました。
③ 音楽配信事業
レコチョクにおける従前からの基幹事業である音楽配信(個人向け・法人向け)を「音楽配信事業」として新たにセグメントを設定いたしました。個人向けの音楽配信は単曲ダウンロード及び定額制ストリーミングサービス、法人向けの音楽配信は店舗、カラオケボックスや結婚式場向けのBGM配信サービスとなります。
なお、当第3四半期連結累計期間の音楽配信事業の業績は、レコチョクの損益計算書の連結を開始した2023年10月から12月までの業績となります。
当該期間における音楽配信事業は、主力サービスの「dヒッツ」が安定的に推移したほか、店舗向けBGM配信サービスの契約店舗数の拡大等に取り組み、堅調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は1,960,354千円、セグメント利益は304,736千円と、レコチョクの新規連結により前年同期比で純増加となりました。
④ その他
上記「著作権管理事業」、「DD事業」、「音楽配信事業」に含まれない各種の事業を「その他」としております。
「その他」に含まれる事業といたしましては、変更前のセグメント区分における「キャスティング事業」、当社子会社である株式会社NexToneシステムズにおけるシステム開発、レコチョクにおけるレコード会社・音楽プロダクション向けソリューション事業、及びエッグスにおけるインディーズアーティスト向け活動支援のエージェント事業等となります。
当第3四半期連結累計期間の業績は、キャスティング事業においてAfterコロナでのリアルイベント活性化を受け、人気アーティストのコンサートツアーや人気ミュージカルのライブビューイングが好調であったことに加え、自主興行フェスの開催等様々なサービスの開発提供に取り組んだ他、システム開発、ソリューション事業、エージェント事業において着々と各事業の拡大を進めてまいりました。
以上の結果、売上高は944,658千円(前年同期比135.6%)と増収となりましたが、レコチョクのソリューション事業におけるシステム開発の先行投資等によりセグメント損失は28,750千円(前年同期は46,268千円の利益)となりました。
(財政状態の概況)
第2四半期連結会計期間末よりレコチョク及びエッグスを企業結合した影響が含まれております。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べて4,842,947千円増加し、12,664,324千円となりました。これは主に、レコチョク及びエッグスを新規連結したことに伴う資産の増加5,370,497千円によるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて3,342,262千円増加し、7,589,243千円となりました。これは主に、レコチョク及びエッグスを新規連結したことに伴う負債の増加2,875,494千円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べて1,500,684千円増加し、5,075,080千円となりました。これは主に、レコチョク及びエッグスを新規連結したことに伴う非支配株主持分の増加1,183,061千円のほか、利益剰余金の増加404,131千円によるものであります。
利益剰余金の増加は、親会社株主に帰属する四半期純利益の増加によるものであります。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。