当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、“業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する”を経営理念とし、顧客ニーズに沿った商品開発に注力するとともに、自然環境の保護と社会の発展に貢献すべく企業活動を展開しています。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、これからの厳しい競争時代を勝ち抜くため、着実に業績の伸展を目指し、次のような施策を実践していきます。
① 森林資源を保全する法正林施業(植林、育林、間伐、伐採)を採用したニュージーランドの育林事業により安定した品質と量の原材料確保を図ります。
② 貴重な資源を更に活かす為、高度な木材加工技術の更なる向上を図ります。
③ 木が持つ潜在能力を梃子(てこ)に、新成長市場であるアジア市場や国内のリフォーム、非住宅、商環境市場などで、“勝てる市場×勝てる仕掛け”を創造します。
④ 変化する市場の本質を見極め、魅力ある商品・サービスを提案し、新たなファンを創造します。
⑤ 新たな戦略を全社で迅速に推進する為、国内外の製造ネットワークを更に整備し、効率的な運営とコスト低減を図るとともに、社内の仕組みを再構築します。
⑥ 認証材を活用した国内外のニーズに応えていきます。
当社グループでは、ニュージーランドの自社林における森林経営において、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、一定の周期で毎年一定の木材を永続的に収穫することを基本方針とし、資源循環型の環境経営を目指しています。また、木材製品を生産し、長寿命化住宅を実現することは、植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。国内では、バイオマス発電事業や再生エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを目指しています。さらにクリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場、インドネシア子会社工場および国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。
このように当社グループの事業活動自体が、サステナビリティに関する諸問題に対処するための取組みでもあります。
また、当社の強みであるニュージーランドで産出される木材を、一貫生産体制・国際分業体制をもって、さらに競争力のある製品として作り上げるべく、研究開発や知的財産投資も進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、労働生産性の向上などによる収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組んでいます。また、事業の拡大と安定的な収益を獲得するために、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。
(4) 経営環境
当社グループの経営環境は、構造的な人口減少問題等により市場が縮小していく「量の面での変化」とともに、住宅の高性能化や住宅環境まで視野に入れた「質の面での変化」が同時に起こっており、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、住まい手にとって魅力のある商品や提案を強化するとともに、リフォームや非住宅施設などの新しい市場を開拓していかなければなりません。また、住宅業界における職人不足による住宅品質の低下や工期遅れ、コスト高なども大きな課題となっています。このような環境下で、市場の変化をいち早く察知し、現状を肯定することなく自己変革に努め、常に当社グループ自らが環境の変化に合わせて変わっていくことが必要となっています。AIやIoTといったデジタル技術などを活用し、生産性を向上させることで、新たな付加価値の創造と売上・収益の向上を目指しています。
具体的には、国内においては新築戸建市場に加えてリフォーム、非住宅、商環境市場などの新市場の開拓、また海外においては発展が期待されるアジア圏の市場の開拓を主題とする成長戦略を策定し、当社グループ一丸となってこれらに取り組んでいます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界経済は、各国におけるインフレ率の低下や政策金利の引き下げにより物価上昇に落ち着きが見られ、緩やかな回復傾向が期待されるものの、不安定な為替相場や地政学リスクの顕在化など、依然として不透明感が強い状況です。加えて、米国トランプ大統領による関税措置の動向が、世界的な貿易停滞を招くことによりインフレを進行させ、経済成長を減速させることが懸念されます。
一方、国内の住宅業界は、人口や世帯数の減少に伴い、新設住宅着工戸数は長期的に減少傾向で推移することが見込まれ、すでに戸建住宅を中心に低迷が続いています。しかしながら、住み替え需要は底堅いものがあり、リフォーム・リノベーション市場は今後も比較的堅調に推移するものと思われます。さらに、2025年4月1日に施行された改正建築基準法による建築確認申請の厳格化による審査期間の長期化が、一時的に戸建住宅や非住宅の着工に影響することが予想されるものの、省エネ化や構造計算に関する規制が強化されたことにより、優れた強度を持つ構造材などの需要がさらに高まることが期待されます。
このような事業環境のもと、当社グループがこれからの時代を生き抜き成長するためには、既存市場における存在感を示し続けるとともに、国内外の新しい市場に経営資源を大きくシフトし、併せて「脱炭素社会の実現」という世界的なニーズに対応した事業を積極的に展開することが経営課題と考えています。
この経営課題への対応として、当社グループは、ニュージーランド産のラジアータパインや国産の杉・桧などの無垢材を使用した付加価値が高くブランディング化された本物志向の無垢商品、ならびにサイズ・カラーが豊富で組み合わせ自由な収納商品、および職人不足に対応した省施工商品を開発して既存市場のみならずリフォーム市場へも投入すること、さらに設計・構造計算といったサポート業務と合わせて、構造材を非住宅市場へ投入することにより、国内新市場を開拓してまいります。
海外においては、ニュージーランド子会社では、当社グループ向けの生産数量を確保した上で、原木および木製品をニュージーランド国内やアジア市場で拡販します。インドネシア子会社においては、突板ドアの生産体制を大幅に強化し、インドネシア国内や欧米市場での販売を拡大することで、既存市場の動向に左右されない経営を目指してまいります。
これらの事業展開と並行して、ニュージーランド子会社における森林経営では、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、30年の周期で毎年一定の木材を持続的に収穫できる資源循環型の環境経営を実践しています。国内におきましても、バイオマス発電や再生可能エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを実践しています。加えて、クリーンな材料調達の証明としてニュージーランド子会社の全森林・全工場、香港子会社、フィリピン子会社工場、インドネシア子会社工場および国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。当社グループの経営戦略の実践は、同時にサステナビリティについての取組みでもあります。
このほか、原材料費等の高騰という財務上の課題に対応するため、労働生産性の向上や経費削減の継続的な取組みに加え、適正な販売価格への改訂を継続して進めます。同時に、生産企画・設計工程ならびに製造ラインにおけるデータ利活用の高度化や、営業部門を含む間接部門の業務プロセス改革による効率化と顧客サービスレベルのさらなる向上を目指したDXの推進にも積極的に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 当社グループのサステナビリティ経営
当社グループは、再生可能な自然資源である木を植え、育てるところから事業を始めています。大切に育てた木を余すことなく建材として活かし、また植林する。その繰り返しの中で私たちは、人に優しい「住まい」づくりを追求し、自然と人と社会が循環共生する持続可能な社会を目指しています。
① ガバナンス
当社グループは「業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する」との経営理念の下、自然と人が循環共生する持続的な社会と企業の持続的な成長を同時に目指すサステナビリティ経営を推進することを目的として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティに関する専任組織である「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会の主な役割は以下の通りです。
1. 基本方針や戦略、重要課題(マテリアリティ)の審議、決定
2. 基本方針や戦略、重要課題(マテリアリティ)に沿った施策の推進および目標に関する進捗管理
3. その他上記すべてに関連する事項
また、サステナビリティ委員会の事前協議機関として、戦略統括本部内にサステナビリティ推進室を設置しています。
組織体制
② 戦略
当社グループ事業におけるESGのマテリアリティ(重要課題)および取組み
a. E/環境(Environment)
環境については、当社グループでは「森林育成・保全を地球環境の最重要課題とした持続可能な経営」をマテリアリティと捉えています。基本的な考え方として木の価値を最大限に生かした地球を守る経営を目指し、持続可能性や環境に配慮した木材・資材調達のため、自ら森を育て、加工・販売までを一貫して行う森林経営の徹底と気候変動の要因となる森林減少などの社会課題の解決に貢献することで、森林資源の持続的な活用と保全を行っています。
主な取組みとして、ニュージーランドで木を植え、育て、伐採し、また木を植える、木の年間成長分だけ毎年伐採を行う法正林施業によって森林資源を保全しながら、森林面積を減らすことなく、木材を永続的に収穫できる状態を保つ正しい林業のあり方を実践した持続可能な森林経営を行っています。これに加えて、ニュージーランド以外から調達する木材については、合法木材の利用を促進し、森林資源の保全にも努めています。
また、カーボンニュートラル(ゼロ)を目指し、生産過程で発生する木くずを有効活用したバイオマス発電を実施しています。さらに、自社のバイオマス発電所由来の再生可能エネルギーの利用を推進し、CO₂排出量実質ゼロの電気を国内全ての製造拠点で使用しています。加えて、ニュージーランドの自社森林で育てた木材から製造加工した内装建材の製品カタログにCO₂固定量を明記することで、製品ごとの環境価値を見える化し、お客様が木質建材を選択する際の指標の一つとして活用していただくとともに、木質建材の環境価値を訴求する取組みも行っています。このほか、クリーンな材料調達の証として、ニュージーランドの全森林・全工場及びフィリピン、インドネシアの海外生産拠点、ならびに日本国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。
2024年4月から子会社の株式会社フォレストワンが広島県庄原市と提携し、主に庄原産材の製材を行う工場を新たに稼働させています。これにより、国内においても地域の循環型林業構築の一助となり、地域材の付加価値向上に貢献していきたいと考えています。
事業活動に伴う環境負荷低減のためには、使用電力の削減、廃棄物の削減と再資源化、ペーパーレス化の推進、輸送時の環境負荷低減などにも継続して取り組んでいます。
b. S/社会(Social)
社会については、第一に「安心・安全・快適な住空間の実現」をマテリアリティと捉えています。「人が生き、そして暮らす」という住宅の本質を踏まえ、お客様にとって住宅がいつまでも美しく丈夫で長持ちし、安全で快適なものであり続けることが重要であると考えます。当社グループは木材を扱うプロとして、常に木材が持つ「安心・安全・快適」という本質的価値を追求した住宅部材を提供していきます。
主な取組みとして、長寿命化住宅の実現に向けた技術・部材開発(耐久性の高い部材やリフォームしやすい内装部材の開発、耐震性の高い構造躯体の実現)、バイオマス由来の接着剤開発、設計から品質管理に至る全てのプロセスにおけるISO9001/14001認証取得と、それらに基づく継続的な改善活動を実施し、安全で快適な製品づくりを追求しています。
第二に「労働生産性向上の実現」をマテリアリティと捉えています。建築現場における職人不足などの課題が今後さらに深刻化すると予測される中、当社グループでは、長年にわたり現場の声を反映し、労務工数の効率化に貢献する省施工システムの研究・提案を行ってきました。これらの活動を通じて、社会課題の解決に貢献していきます。
主な取組みとして、建築現場における労働生産性向上のため、省施工商品の開発や構造設計の見直しによる省施工化を推進するとともに、施工説明書のデジタル化をはじめとするデジタルコンテンツの充実を図っています。
第三に「挑み、成長できる組織づくり」をマテリアリティと捉えています。当社グループは、全ての従業員とその家族が心身ともに健康であり、多様な価値観が尊重され、一人ひとりがその能力を十分に発揮できる企業を目指しています。
主な取組みとして、持続的な価値向上には従業員の成長とスキルアップが重要と考え、社是である「挑む」精神のもと、従業員がやりがいをもって挑み、成長し続けられるよう、下記「(2)人的資本経営 ①戦略」に記載した人材育成方針・社内環境整備方針に基づき、各種施策に取り組んでいます。
c. G/ガバナンス(Governance)
ガバナンスについては、当社グループでは「公正かつ健全な事業活動の継続」をマテリアリティと捉えています。高い企業倫理の育成と健全な企業風土を醸成するため、各種社内規程や行動規範を整備し、監査役等との連携のもと、これらの運用・推進に努めています。さらに、財務報告の正確性と信頼性を確保するための内部統制システム強化の一環として、内部監査室をはじめとする管理体制の充実を図っています。
主な取組みとして、サステナビリティ委員会の適切な運営を通じた監督体制の強化、内部管理体制の構築とコンプライアンス規程の整備・遵守徹底、そして継続的な啓発活動の実施等を通じ、高い企業倫理の育成と健全な企業風土を醸成することで、トップを含む全ての従業員が公正かつ健全な事業活動を実践するよう努めています。
③ リスク管理
当社グループでは、リスク管理を企業価値向上の重要な基盤と位置付けています。社会的責任を果たし、社会的信用を確保することで、経営方針の実現を阻害するリスクを最大限排除することが重要であると考えています。このため、当社では事業活動や投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを評価し、想定される重大リスクを抽出しています。抽出された重大リスクは、重要課題(マテリアリティ)としてサステナビリティ委員会で審議・決定され、取締役会に報告の上、審議・承認されています。また、サステナビリティ推進室を事務局とし、関連する部門、グループ会社と連携して、基本方針や戦略、重要課題(マテリアリティ)に沿った施策の推進、及びその進捗管理ができる仕組みづくりに努めています。
④ 指標及び目標
当社グループでは、ニュージーランド子会社における森林経営において、二酸化炭素を吸収する森林面積を減らすことなく、一定の周期で毎年一定の木材を永続的に収穫することを基本方針とし、資源循環型の環境経営を目指しています。あわせて、木材製品を生産し長寿命化住宅を実現することは、植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。さらに国内においては、バイオマス発電事業や再生可能エネルギーによる電力利用を推進することにより、カーボンニュートラルを目指しています。これらの取組みに加え、クリーンな材料調達の証として、ニュージーランドの全森林・全工場及びフィリピン、インドネシアの海外生産拠点、ならびに日本国内の木質建材工場において森林認証を取得しています。このように、当社グループの事業活動自体がサステナビリティに関する諸問題に対処する重要な取組みであり、経営目標となります。これらの活動の進捗と成果をより明確に評価・開示するため、サステナビリティに関する具体的な達成目標時期や数値目標等をサステナビリティ委員会を中心に検討し、今後の情報開示の充実に努めてまいります。
当該指標に関する実績は、次のとおりです。
提出会社
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
CO₂排出量(Scope1+2) 売上高100万円あたりの原単位 |
2030年までに0.048t-CO₂ |
0.059t-CO₂ |
|
電気使用量 売上高100万円あたりの原単位 |
2030年までに0.523千kWh |
0.540千kWh |
|
返品率 |
2030年までに0.21% |
0.24% |
(2) 人的資本経営
人的資本経営に関する戦略、指標および目標については、次のとおりです。なお、人的資本経営に関する取組みは連結子会社各社で行われておりますが、規模・制度の違いが様々であり、連結グループでの記載が困難であることから、提出会社の記載を行っています。
① 戦略
人材育成方針・社内環境整備方針
当社は、人材ビジョンを「木と人を観る力・活かす力で、独創的な新市場を創り続け、『木のぬくもりと豊かな暮らし』を世界の人々に提供し続けるプロフェッショナル人材」と定義づけ、人事ポリシーを「成果・組織貢献に報いる仕組みを設け、各人と当社の成長のためにチャレンジする行動力のある人材を生み出す」と定めています。従業員一人ひとりの自主自立を軸に、個々の成長を支援するとともに、当社の成長戦略を実践できる人材育成を目指しています。
主な社内環境整備面での取組みとしては、一人ひとりの成果・組織貢献・チャレンジを軸に、これらの要素を適切に反映した分かりやすい評価制度と、各人の成果・努力・自己成長に報いる処遇制度の確立を目指して、2023年4月より新人事制度の運用を開始し、その定着化に努めています。
この人事制度は、女性社員の仕事と育児等の両立を支援するための育児休暇、時短勤務、職場復帰や男性従業員による育児休暇の各種制度と連携し、女性や若手社員の活躍推進、シニア従業員等高齢者の活躍にも対応できるものとなっています。加えて、変化の激しい市場環境に迅速に対応し、スピード感をもって事業を創造できるスペシャリストの活用を強化するため、専門職制度等の新たな仕組みも導入しています。
② 指標および目標
当社では、上記「(2)人的資本経営 ①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、及び社内環境整備に関する方針に基づき、取組みの進捗と成果を測るため、以下の指標および目標を掲げています。
当該指標に関する実績は、次のとおりです。
提出会社
|
指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(注) 実績の詳細は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、後述のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 業績の変動要因について
① 新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れの影響について
当社グループは、住宅建材及び住宅設備機器の製造販売を主たる事業としており、国内販売に関しては新設住宅着工戸数の減少や職人不足による工期遅れがもたらす販売減が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、新築戸建市場に加えてリフォーム市場や非住宅市場の開拓、ならびに海外での販路拡大など新しい顧客開拓に注力するとともに、職人不足に対応した省施工を可能にする商品開発等でその影響の軽減を図っています。
② 原材料の調達リスク及び価格変動リスクによる影響について
当社グループは、床材を主体とした木材の二次加工品の製造および造作材等木質建材商品の加工販売を主要な事業としており、原材料である木材について、調達が困難となった場合や価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、ニュージーランド子会社であるJuken New Zealand Ltd.において、30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、当社グループの原材料の主要な供給元とすることで木材の調達リスクや価格変動リスクを軽減しています。あわせて、国内産の木材など、ニュージーランド子会社以外からの木材調達についても、調達先の多様化などで安定的な調達に努めています。
③ 木質バイオマス燃料の安定確保の影響について
木質バイオマス発電の運営においては、安定的に燃料を確保することが重要です。当社では、森林から直接産出する「間伐材等由来の木質バイオマス」、当社グループ内も含め製材所や木材加工所から生じる端材・木屑などの「工場残材由来の一般木質バイオマス」、建築解体現場から排出される「建設資材廃棄物由来のバイオマス」に加えて、フィリピン子会社で加工した木質燃料を輸入するなど、安定的に燃料調達を行っています。しかしながら、近隣での新たな大規模バイオマス発電所の稼働や自然災害などの不測の事態が発生した場合、社内外からの木質バイオマス燃料の供給が中断または減少する可能性があります。加えて、品薄により燃料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、発電所が重大な故障などによる長期停止が発生した場合には、電力売上が減少する可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、フィリピン子会社で加工した木質燃料の輸入を増やすことで自社調達比率を高め、外部調達の影響を縮小しています。このほか、「間伐材等由来の木質バイオマス」の供給業者を増やし、自然災害リスクの分散を図っています。
また、発電所の重大な故障等による長期停止に備えて、粗悪な燃料を排除するためのふるい機や選別機の活用、メーカーによる定期点検、および所員による日常点検などを徹底して行っています。あわせて、予兆診断等の所員のレベルアップにも注力しています。
④ 為替変動による影響について
当社グループは、ニュージーランド子会社Juken New Zealand Ltd.からの木材の仕入れに関しては決済条件を円建てとしており、当社は為替の変動による影響は受けないものの、Juken New Zealand Ltd.ではニュージーランドドルの為替相場の変動によって、為替差損益が発生する可能性があります。加えて、海外子会社の借入金についても、現地通貨以外の通貨建てによる借入金において為替差損益が発生する可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、為替変動が当社グループに与える影響度合いを勘案し、必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行っています。
⑤ 温室効果ガス削減(脱炭素)への世界的な取組みの進展について
気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減を目的とした取組みが世界的に進められています。今後、地球温暖化対策として規制の強化等により、これらに関連する対策費用が増加する場合や、特定地域における法令又は規制を遵守することが困難になった場合、当該地域における当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、ニュージーランド子会社において30年サイクルの循環型の持続可能な山林経営を行い、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減に努めています。同社が経営する約40,000haの森林におけるラジアータパインによる二酸化炭素の吸収量は年間約68.9万トンに達します。温室効果ガスである二酸化炭素は森林で樹木に吸収された後も炭素として木材中に固定されます。したがって、木材製品を生産することは、植林で吸収した二酸化炭素を炭素として固定する貯蔵庫を生産しているといえます。また、2022年4月より当社では、事業活動における環境負荷低減のため、関西電力株式会社が提供する「再エネECOプラントラッキング付帯」を活用し、自社のバイオマス発電所由来の再生可能エネルギーで、実質CO₂排出ゼロの電気を自社工場で使用しています。今後、当社グループは、温室効果ガスの削減(脱炭素)に継続的に取組み、様々な媒体を使って適時に情報開示に努めていきます。
⑥ 固定資産の減損会計による影響について
当社グループは、有形固定資産や美術品等の固定資産を所有しています。これらの資産については、減損会計を適用しています。有形固定資産については、将来のキャッシュ・フローが資産の帳簿価額を回収できるかどうかを検証し、美術品については、美術専門家等の第三者から入手した価格に基づいて回収可能な価額を算定し、減損が必要な資産については適切な会計処理を行っています。しかしながら、将来の環境変化により固定資産の将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合や美術品の回収可能価額が大きく下落した場合には、追加の減損処理により、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、これらの資産価値を定期的に確認し、可能な限り価値低下を招かない方策を継続的に検討・実施しています。
⑦ 情報システムに関するリスクについて
当社グループは、生産・販売・管理などの業務を情報システムにより管理しており、業務遂行上の重要な基盤となっています。
このため、自然災害、システム障害、サイバー攻撃(マルウェア感染、ランサムウェア、ハッキング等)などにより情報システムの機能が停止した場合や、顧客情報・機密情報の漏洩が発生した場合には、事業活動の中断、社会的信用の失墜などを通じて、当社グループの財務状況や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、当社グループでは情報セキュリティ推進委員会を中心に、情報セキュリティポリシーおよび関連規程の整備・周知を進め、組織的なセキュリティ態勢を構築しています。
技術的対策としては、エンドポイント保護ソフトの導入、ソフトウェアの適時更新、ファイアウォールの導入、不正アクセスの監視などを実施しています。
これらに加え、全従業員に対する機密情報の取り扱いおよびサイバーセキュリティ教育を継続的に行い、セキュリティ意識の向上に努めています。
⑧ 地震・津波・台風等の大規模な自然災害による影響について
地震・津波・台風等の大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの生産・物流・販売活動に影響を与え、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、大規模な自然災害による被害を完全に回避できるものではありませんが、当社グループで策定した規程・ルールに基づき、非常時を想定した全社的なリスク管理体制を構築、運営しています。
具体的には、安否確認システムの導入や定期的な防災訓練、地震保険への加入などを実施しています。
⑨ 海外展開にともなうリスクについて
当社グループは、ニュージーランド、フィリピン、インドネシアなど海外での投資や事業展開を進めています。これら海外への事業進出には、例えば米国の通商政策における関税措置の動向等、予期しない法律又は規制の変更、政治又は社会・治安の混乱、雇用環境の変化、テロ・戦争等といったリスクに加え、主要な海外拠点であるニュージーランド子会社においては、近年の為替変動、市況の変動、あるいは事業再編に伴う一時的な費用の発生などにより、後述するとおり2022年3月期から4期連続で経常損失を計上しております。当該子会社の業績が改善しない場合、または悪化する場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクに対応するため、海外の政治・経済情勢の情報収集に努め、必要に応じて外部専門家の助言等も得ながら、的確かつ迅速に対応しています。ニュージーランド子会社に関しては、不採算事業の見直し、コスト構造の改革、高付加価値製品へのシフト、新たな市場開拓等の収益改善策を推進しております。
⑩ 財務制限条項の抵触による影響について
当社グループの借入金の一部には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、期限の利益を喪失する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※5 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(貸借対照表関係)※5 財務制限条項」に記載のとおりです。
なお、当連結会計年度末日において、当社は当該財務制限条項に抵触しておりません。
(2) ニュージーランドにおける事業内容及び業績・総資産の推移について
当社グループは、ニュージーランドにおいてJuken New Zealand Ltd.を通じてラジアータパイン等の植林を含む山林経営を行っています。
山林経営は木材市況変化への対応力を高めると同時に原材料調達の安定化や部材調達コストの低減に役立っています。山林経営につきましては、立木の伐採可能量の増加に対応して設備投資が必要となっています。そのため、連結キャッシュ・フローにおきましては、投資活動により使用する資金の多くはニュージーランドにおける投資に充当しています。
ニュージーランドに関する内部取引を含む売上高、経常利益、総資産の推移は次のとおりです。
(ニュージーランドの売上高、経常利益、総資産の推移)
|
|
|
2021年3月期 (百万円) |
2022年3月期 (百万円) |
2023年3月期 (百万円) |
2024年3月期 (百万円) |
2025年3月期 (百万円) |
|
ニュージーランド |
売上高 (注) |
15,882 (6,711) |
18,270 (6,209) |
18,742 (6,850) |
18,840 (5,268) |
15,769 (4,768) |
|
経常利益又は 経常損失(△) |
491 |
△287 |
△917 |
△2,588 |
△1,992 |
|
|
総資産 |
33,465 |
37,936 |
38,886 |
41,951 |
41,644 |
(注) 売上高下段の括弧内数値は、所在地間の内部売上高又は振替高です。
(3) 有利子負債依存度について
当社グループにおける有利子負債依存度は、2025年3月期末39.1%となっています。当社グループにおきましては、今後も経営資源の効率化等により、有利子負債を適正水準に保つ方針ですが、今後の金利動向等金融情勢の変化によっては当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(有利子負債残高、有利子負債依存度の推移)
|
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
総資産(百万円) |
91,142 |
95,062 |
97,018 |
101,754 |
102,106 |
|
純資産額(百万円) |
41,129 |
44,188 |
44,404 |
44,717 |
45,614 |
|
有利子負債残高(百万円) |
35,622 |
33,639 |
36,604 |
39,717 |
39,929 |
|
自己資本比率(%) |
44.0 |
45.2 |
44.6 |
43.0 |
43.7 |
|
有利子負債依存度(%) |
39.1 |
35.4 |
37.7 |
39.0 |
39.1 |
(注) 期末有利子負債残高は、社債及び借入金の合計額です。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、食料品やエネルギー価格等の物価高が景気の下押し圧力となったものの、賃金上昇に伴う雇用・所得環境の改善等により個人消費や企業の設備投資等が底堅く推移し、景気には緩やかな回復傾向が見られました。
住宅業界においては、当社グループの主力販売市場である日本国内の持家と分譲戸建住宅を合わせた新設住宅着工戸数は、一時持ち直す兆候を見せたものの年間では前年を下回る水準で推移しました。
当社グループはこのような事業環境のもと、無垢商品や省施工商品といった付加価値が高い商品を核とした内装建材等の拡販に注力するとともに、脱新築戸建市場依存に向けて、国内のリフォーム・非住宅市場や海外市場といった新たな市場の開拓を推進しました。
営業部門における業務プロセス改革の専担部署として立ち上げた「DX推進室」では、これまで各地に配置していた事務処理業務をDXによる共通のデジタル基盤上で連携・集約し、場所にとらわれずにお客様へのサービス提供を行う新体制を2024年6月にスタートしました。製造部門では、デジタル技術などを活用した生産計画立案の最適化や、リアルタイムな在庫管理を目指したDX推進プロジェクトに取り組みました。
サステナビリティ活動としては、2024年9月、株式会社みずほ銀行とのシンジケーション方式による「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンスPRO」の契約を締結。これに対して、2025年2月、環境省が主催する第6回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の資金調達者部門において、テーマ別賞「循環経済/サーキュラーエコノミー(CE)賞」を受賞、これまで当社グループが行ってきた、ニュージーランドの自社林での持続可能な森林経営に始まる原料調達から最終製品に至るまで、一貫した温室効果ガスの吸収・固定と、自社バイオマス発電事業などによる温室効果ガスの削減などの取り組みが評価されました。
また、2025年3月、「マルチステークホルダー方針」を制定・公表しました。株主のみならず従業員、取引先、顧客、地域社会等、多様なステークホルダーとの価値協創と適切な協働が企業経営に不可欠であるとの認識に基づき、価値協創や生産性向上による収益・成果を適切に分配することで、持続的な成長を目指し、着実に実行していきます。
さらに、2023年1月に立ち上げた「one's art準備室」では、絵を描くことが好きな才能あふれる3名のアーティストを雇用し、パラアート活動を応援していますが、2024年5月、アーティストや作品の紹介・販売を行う「one's artプロジェクト」を開始し、Webサイトをオープン、2025年1月に当プロジェクト所属アーティストによる東京で初めての絵画展を開催したほか、同3月に公益財団法人ウッドワン美術館において広島県で活動する障がいのある作家の作品展「わたしのアート」を開催しました。
これらに加え、「ウッドワン サステナビリティレポート 2024」の公開(2024年10月)、CO₂固定量を証書化する「再造林貢献書」のサービス開始(同11月)など、環境・社会への貢献活動を推進しました。
国内販売については、「需要創造に徹する全員営業」を目指し、省施工商品や無垢商品など、お客様にとって付加価値のある商品の拡販に取り組み、取引店数のさらなる拡大を推進しました。また、度重なる資材調達コストの上昇に対応して、生産性向上によるコストダウンやサプライチェーンの強化に加え、適正な収益確保を行うべく床材・造作材等の販売価格の改定にも継続的に取り組みました。
商品開発については、調湿機能、やすらぎ効果、経年美化、断熱効果、衝撃吸収性といった無垢材の特長を生かした無垢商品や、サイズ・カラーが豊富で組み合わせ自由な収納商品、職人不足など建築現場での課題に対応した省施工商品、上質で時代に左右されず、暮らすうちに味わい深く変化していく新ブランド「WO Timeless standard collection」、といった付加価値のある新商品の開発に取り組みました。
リフォーム市場については、大都市圏である東京・大阪に、開発営業部内の営業戦力を傾斜配分し、中古再販業者・管材商流等、住宅ストック市場の開拓を推進しました。
非住宅市場については、2024年4月に商業・医療・教育・宿泊施設などを主とした非住宅市場の開拓を担う専担部署として、開発営業部内に「特建グループ」を新設、構造材を担当する構造システム営業部とともに、営業部門全体で顧客、案件情報を共有し、一体となった営業活動を通して非住宅市場での売上拡大に取り組みました。
海外部門については、ニュージーランド子会社では、当社グループ向けの生産数量を確保した上で、原木や木製品などをニュージーランド国内市場や海外市場に販売しました。また、インドネシア子会社では、欧米市場やインドネシア国内市場の販路開拓を続け、拡販に努めました。
こうした状況の中、国内外の住宅需要の低下や円安、インフレの進行によるコスト高が続いたものの、日本国内やインドネシア子会社の業績が好調に推移したことに加え、前年度にニュージーランド子会社を事業再編した効果もあり、前年同期に比べ利益面が改善しました。
この結果、当連結会計年度の連結売上高は、65,157百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益は1,310百万円(前年同期は営業損失939百万円)、経常利益は537百万円(前年同期は経常損失1,286百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,777百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,315百万円)となりました。なお、経常利益には、国内グループ子会社フォレストワンの庄原新工場への設備投資等に関する補助金収入330百万円が含まれています。また、特別利益には、主にニュージーランド子会社ギスボン工場閉鎖に伴う土地等の売却益等を固定資産売却益として2,075百万円、同子会社で発生した火災による保険金等を受取保険金として484百万円、中国子会社の解散及び清算に向けた土地・建物等の売却益等を子会社清算益として222百万円計上しました。さらに、特別損失には、主にニュージーランド子会社の所有林地から発生した林地残材の処分に見込まれる費用を森林残材処分費用として323百万円、同子会社ギスボン工場閉鎖に関連する費用を事業再編損として235百万円計上しました。
当連結会計年度における連結財政状態は、前連結会計年度に比べ資産が352百万円増加、負債が544百万円減少、純資産が896百万円増加しました。資産352百万円の増加は、流動資産が587百万円増加、固定資産が235百万円減少したことによるものです。負債544百万円の減少は、流動負債が1,110百万円減少、固定負債が565百万円増加したことによるものです。純資産896百万円の増加は、主に為替換算調整勘定が597百万円減少したものの、利益剰余金が1,554百万円増加したことによるものです。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
a.住宅建材設備事業
住宅建材設備事業では、世界的なプロダクトデザイナー・深澤直人氏をディレクターに迎えた新シリーズ「WO Timeless standard collection」を発売(2024年5月)、商品情報のウェブサイト公開や広島のショールームでの常設展示を開始し、幅303mmの一枚板で迫力ある床材を始め、ドア、キャビネット、階段、手すりなど、一連のコンセプトで統一された木質建材を提案しました。また、同4月、ニュージーパインⓇとオークを使用した、無垢の木の室内窓「imadoki [イマドキ]」を発売。同7月には、人気の収納シリーズ「仕上げてる収納」に板で組み立てる収納「シカクム」を追加発売しました。同9月には、ゆったりとした上質な空間をつくる152mmの幅広の床材「無垢フローリング ピノアースエコ152幅」を発売しました。同10月には、国産樹種(栓:セン/欅:ケヤキ)の木目の美しさや豊かな表情を活かした突板フローリング「コンビットグラードⓇJ」を発売。同11月には設計者や施工者から当社商品を使用した施工事例を募集してコンテストを行う「ウッドワン空間デザインアワード2024(第8回)」を開催しました。さらに、2025年3月、MOCTION(東京都新宿区)における広島県庄原市の自治体展示に国内グループ子会社フォレストワンと共同参加し、同4月受注開始の庄原材を使った桧無垢フローリング「コンビットⓇソリッドJ」を展示。建設、設計関係者、自治体など多数の来場者に高品質な仕上がり、素材感を実感して頂きました。
リフォーム市場向けでは、2024年8月、専担部署である開発営業部主管で「リフォーム産業フェア」に出展し、同9月発売のドレタス タイプBの新デザイン「XJ」を先行展示しました。また、同11月、当社の床材商品「無垢フローリング ピノアース」をご利用のお客様を対象に、床材表面のサンディング(研磨)サービスを広島県内の物件に限定して開始しました。
非住宅市場向けでは、2024年5月、「非住宅 木造建築フェア2024」に初出展し、「STRONG ONE工法」、「デザインウォール」、「KITOIRO」等、非住宅向け構造材や商環境部材を現物展示・提案しました。また、同7月、「地場産材使用 文教施設店舗用床材カタログ」を発刊、専担部署である開発営業部「特建グループ」が中心となり、設計事務所やゼネコン、施工業者に対して提案活動を行いました。さらに、同10月、当社関東事業所にて「STRONG ONE工法」の実物モデルを展示、非住宅セミナーや新シリーズ「WO」のご案内イベントを併せて開催し、非住宅分野の拡販に向けた構造と内装のトータル提案を行いました。
海外部門については、ニュージーランド子会社では、原木の販売数量が減少、木製品についても日本国内の住宅需要の低下により当社グループ向け生産数量が減少したものの、前年度に事業再編した効果もあり、利益面では前年同期比で改善しています。
また、インドネシア子会社では、主に米国向け販売が好調に推移し、前年同期に比べ売上高、利益面ともに好調に推移しました。
この結果、当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は64,141百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益は1,251百万円(前年同期は営業損失1,012百万円)となりました。
b.発電事業
発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備で発電した再エネ電気を、電気事業者にFIT固定価格で全量売電しています。電気事業者からの「出力制御」の要請が前年同期に比べ減少したものの、定期点検による稼働停止の影響等で売上高はやや減少し、バイオマス燃料需要の増加に伴う建築廃材等の燃料費高騰により、営業利益は減少しました。
この結果、当連結会計年度における発電事業の売上高は1,055百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は59百万円(同19.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により3,982百万円の増加、投資活動により3,627百万円の減少、財務活動により71百万円の増加となりました。
営業活動により増加した資金3,982百万円(前年同期は4,028百万円の資金増加)は、主に税金等調整前当期純利益2,682百万円、非資金項目である減価償却費3,586百万円などの収入要因があった一方で、固定資産除売却益2,058百万円を控除したことによるものです。
投資活動により減少した資金3,627百万円(前年同期は5,070百万円の資金減少)は、主にニュージーランド子会社のギスボン工場閉鎖に伴う有形固定資産の売却による収入で2,325百万円増加したものの、同売却に対する貸付けによる支出で1,833百万円、国内及び海外子会社での設備投資並びにニュージーランド子会社での山林投資等による支出で4,422百万円減少したことによるものです。
財務活動により増加した資金71百万円(前年同期は1,530百万円の資金増加)は、主に社債の発行、償還により差し引き1,015百万円、配当金として220百万円を支出したものの、借入金による資金調達により1,666百万円増加したことによるものです。
この結果、現金及び現金同等物は278百万円の増加となり、当連結会計年度末残高は5,440百万円(前連結会計年度比5.4%増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
品目 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
床材 |
4,192 |
100.9 |
|
造作材 |
17,177 |
111.6 |
|
その他建材 |
18,663 |
85.0 |
|
住宅設備機器 |
1,686 |
101.1 |
|
住宅建材設備事業 計 |
41,720 |
96.6 |
|
発電事業 |
847 |
95.9 |
|
合計 |
42,568 |
96.6 |
(注)金額は製造原価により表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注状況
当社グループの生産は見込み生産を主体とし一部受注生産を行っていますが、その比率は僅少であるため、記載を省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
品目 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
床材 |
7,070 |
104.7 |
|
造作材 |
33,442 |
110.1 |
|
その他建材 |
19,504 |
86.0 |
|
住宅設備機器 |
4,084 |
104.1 |
|
住宅建材設備事業 計 |
64,101 |
100.6 |
|
発電事業 |
1,055 |
99.1 |
|
合計 |
65,157 |
100.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
住友林業㈱ |
8,253 |
12.7 |
8,338 |
12.8 |
|
SMB建材㈱ |
7,574 |
11.7 |
7,560 |
11.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として自己資本利益率(ROE)の向上を目指し、収益性の改善や自己資本比率の維持・向上に取り組むとともに、事業の拡大と安定的な収益を獲得するため、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。
当連結会計年度においては、賃金上昇に伴う雇用・所得環境の改善等により個人消費や企業の設備投資等が底堅く推移し、当社グループの主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数が住宅価格の高騰などを背景に前年を下回る水準で推移したなかで、当連結会計年度も引き続き利益の確保に重点を置き、付加価値の高い商品の拡販や生産の効率化を進めるとともに、全社的な取組みによる経費の抑制に努めました。
その結果、国内外の住宅需要の低下や消費低迷による販売・生産数量の減少、インフレの進行によるコスト高が続いたものの、前年度にニュージーランド子会社を事業再編した効果もあり、売上総利益率は27.1%(前年同期比2.8ポイント増)、販管費率は25.1%(同0.6ポイント減)、営業利益率は前期の△1.5%から当期は2.0%、経常利益率は前期△2.0%から当期は0.8%、親会社株主に帰属する当期純利益率は前期△3.6%から当期2.7%となりました。また、自己資本利益率は前期△5.3%から当期は4.0%、自己資本比率は前期43.0%から当期43.7%に上昇しました。
a.経営成績
当連結会計年度は、国内においては、主力販売分野である持家・分譲戸建住宅の着工戸数が前年を下回る水準で推移したものの、海外においては、インドネシア子会社で主に欧米市場やインドネシア国内市場への売上高が大きく増加し、連結売上高は65,157百万円(前年同期比0.6%増)、売上総利益は17,676百万円(同12.4%増)、売上総利益率は27.1%(同2.8ポイント増)となりました。また、国内の賃上げや運賃単価の上昇により人件費や販売運賃が増加したものの、その他の徹底した経費削減に努め、販売費及び一般管理費は16,366百万円(同1.8%減)となりました。その結果、営業損益は前年同期に比べ2,250百万円増加し1,310百万円(前年同期は営業損失939百万円)、経常損益は前年同期に比べ1,823百万円増加し537百万円(前年同期は経常損失1,286百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益は、ニュージーランド子会社ギスボン工場閉鎖に伴う土地等の売却益等を固定資産売却益として計上する等、前年同期に比べ4,093百万円増加し1,777百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,315百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
当連結会計年度における住宅建材設備事業の売上高は64,141百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益は1,251百万円(前年同期は営業損失1,012百万円)となりました。
品目別では、床材の売上高は7,070百万円(同4.7%増)となり、無垢の床材などを中心に前年同期に比べ320百万円増加しました。
造作材の売上高は33,442百万円(同10.1%増)となり、前年同期に比べ3,077百万円増加しました。特に、高付加価値商品として注力している収納商品・省施工商品においては、収納商品では「仕上げてる棚板」、省施工商品では「セットオン階段」や「天井野縁システム」といった商品の販売実績が好調でした。
その他建材の売上高は19,504百万円(同14.0%減)となり前年同期に比べ3,170百万円減少しました。特に、ニュージーランド子会社における原木の販売が低調に推移しました。
住宅設備機器の売上高は、4,084百万円(同4.1%増)となり、無垢の木のキッチンなどを中心に前年同期に比べ159百万円増加しました。
発電事業では、本社敷地内に設置している木質バイオマス発電設備により、電気事業者にFIT固定価格で売電を行っています。前連結会計年度に比べ依然燃料代が高止まりし、電力需給バランスを調整する電気事業者からの「出力制御」の要請は前年同期に比べ減少したものの、定期点検による稼働停止の影響等もあり、当連結会計年度は、売上高が1,055百万円(同0.9%減)、営業利益が59百万円(同19.1%減)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度における連結財政状態は、前連結会計年度に比べ資産が352百万円増加、負債が544百万円減少、純資産が896百万円増加しました。
資産352百万円の増加は、流動資産が587百万円増加、固定資産が235百万円減少したことによるものです。流動資産587百万円の増加は、主に売掛金が299百万円減少、棚卸資産が93百万円減少したものの、ニュージーランド子会社の事業再編に伴う同社ギスボン工場資産の売却に関連して発生した債権等の増加によりその他流動資産が639百万円増加、現金及び預金が278百万円増加したことによるものです。また、固定資産235百万円の減少は、主にニュージーランド子会社の事業再編に伴う同社ギスボン工場資産の売却に関連して発生した債権等の増加により投資その他の資産が834百万円増加したものの、為替の影響等により有形固定資産が948百万円減少したことによるものです。
負債544百万円の減少は、流動負債が1,110百万円減少、固定負債が565百万円増加したことによるもので、主に国内及び海外子会社での設備資金や運転資金の調達等により、有利子負債が212百万円増加したものの、未払消費税等の減少によりその他流動負債が964百万円減少したことによるものです。
純資産896百万円の増加は、主に為替換算調整勘定が597百万円減少したものの、利益剰余金が1,554百万円増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの資金需要は、主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要は、主に材料・外注費及び人件費などの商品の生産活動や販売費及び一般管理費等の営業活動によるものです。また、設備資金需要は、山林投資及び生産設備の新設・更新ですが、通常は減価償却費の範囲内を目安として支出しています。当連結会計年度の設備投資は、主に国内及びニュージーランド子会社における設備投資及び山林投資に支出しました。
当社グループは、運転資金と設備資金については、営業収支資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施しています。長期の借入金、社債などの長期資金の調達は、事業計画に基づき調達計画を策定し、金利動向等の調達環境や既存の借入金の償還時期等を考慮して調達しています。また、ニュージーランド子会社における設備及び山林の投資資金や国内グループ子会社フォレストワンの庄原新工場への設備投資等については、各社の年次資金計画を元に、各社が金融機関、またはグループ会社から調達を行っています。今後、不測の事態により想定を超えて資金面で悪影響が生じることが見込まれる場合には、従来から確保しているコミットメントライン等の活用を想定しています。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債(有利子負債)の残高は、39,929百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,440百万円となっています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。
(財務制限条項が付された借入金契約)
|
契約形態 |
契約締結日 |
本契約の相手方の属性 |
弁済期限 |
担保の有無 |
|
シンジケートローン方式によるコミットメントライン契約 |
2024年9月26日 |
金融機関 7行 |
2025年9月30日 |
無 |
|
シンジケートローン方式によるタームローン契約 |
2024年9月26日 |
金融機関 14行 |
2029年9月28日 |
無 |
上記の契約については、財務制限条項が付されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※5 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(貸借対照表関係)※5 財務制限条項」に記載のとおりであります。
当社グループでは、計画的に植林・管理され、森林認証を取得したラジアータパインを持続可能な資源として有効活用し、その特性を最大限に引き出すための研究開発に取り組んでいます。これにより、無垢材を中心とした高品質な木質建材を提供し、人々の豊かなくらしと地球環境への貢献を目指しています。近年は、持続可能な社会への貢献を重視し、森林認証材の利用拡大、木材加工技術および品質管理技術の高度化に取り組んでいます。これらを通じて、製品の品質向上と安定供給を図るとともに、市場ニーズの変化に対応した新たな商品開発を中長期的視点で行っています。
当社グループの研究開発活動は、主に住宅建材設備事業セグメントにおいて行われており、当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度においては、「長く使うことが一番のサステナブル」というテーマのもと、無垢材や挽板といった素材本来の価値を引き出し、耐久性やデザイン性に優れた製品開発に注力しました。その結果、住宅市場および非住宅市場それぞれのニーズに対応した以下の新商品を開発・市場投入しました。
住宅用建材では、世界的なプロダクトデザイナー深澤直人氏をディレクターに迎えた新シリーズ「WO Timeless standard collection」を発売(5月)。「上質で時代に左右されず、暮らすうちに味わい深く変化していくスタンダードな商品」という開発コンセプトに基づき、本物の木材ならではの質感と経年による風合いの変化を楽しめる新シリーズです。また、ドレタスシリーズにおいてアイテム体系を刷新するとともに、人気の単色カラーへ新たに3色を追加(5月)。全てのカラーでドア本体と同色の枠材を同価格で選択可能とし、統一感のある美しい空間デザインを実現しやすくしました。
床材では、厚さ3.0mm、長さ6尺の幅広一枚単板を使用した「コンビットⓇ挽板3.0」を発売(5月)。木材の持つぬくもりと意匠性の高さを両立させています。また、無垢ピノアースシリーズでは、ニュージーパイン柾目材の特性を活かし、従来は困難とされる幅広仕様を実現した「無垢フローリング ピノアースエコ152幅」を発売(9月)。一枚板のような上質感を演出します。
収納商品では、「ゾーン収納」という考えに基づき、アイテム拡充を図りました。施工時間を大幅に短縮できる「仕上げてる棚板」に人気のウォームグレー色を追加(4月)、規則正しいマス目が並んだ収納「シカクム」を発売(8月)、デスクやテレビボード等に適した「Vカットの見付けの厚い棚板」を発売(11月)するなど、多様なニーズに対応しました。
リフォーム市場向けには、無垢の木の室内窓「imadoki [イマドキ]」を発売(4月)。室内に光や風を取り込み、開放的な空間づくりに貢献します。また、棚板を簡単に取り付けられる「スリム側板」を発売(8月)し、リフォーム現場での省施工化を支援しました。このほか、一般的なリフォーム、修繕向け住宅設備機器に加え、環境省が主導する「先進的窓リノベ事業」の対象商品である木製内窓「モクサッシ」等の断熱性能向上に資する商品、1mmピッチでのサイズオーダーが可能な「仕上げてる棚板」やサイズオーダー対応のドレタス建具等、現場での施工性向上や多様な要望に応える商品を提案しました。
非住宅分野においては、地域材活用を推進するため、各地の木材特性に応じた加工技術や品質管理手法の研究を進め、地場産材を利用した製品ラインナップの拡充を図りました。その一環として、「地場産材使用 文教施設店舗用床材カタログ」を発刊(7月)し、地域経済への貢献と環境保全の両立を目指す取り組みを紹介しました。
当社グループは、今後も木材の可能性を追求し、新築住宅、リフォーム、非住宅といった多様な市場のニーズに応え、持続可能な社会に貢献する技術・製品開発を継続してまいります。