第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、ESGを中核に据えた経営を行っていくことで、事業活動を通じた社会貢献を目指しております。また、目指すべき企業グループ像として、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を掲げております。

2021年度に策定した長期経営計画「VISION 2030」では、当社グループが目指す未来社会「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、それらを前提に5つの基本戦略を策定しました。「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモデル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を全社・全事業に展開して従来型の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な「経営基盤・事業基盤」を構築し、変革を加速してまいります。

 

                <目指す未来社会/マテリアリティ>

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                <VISION 2030基本戦略>

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 また、マテリアリティに紐づくKPIを非財務指標として定めております。KPIマネジメントを推進する

ことにより、事業・機能部門の相互連携を強化し、VISION 2030の実行力の強化に取り組んでおります。

(KPIの詳細は次頁をご参照ください)。

 

 

 

 

<VISION 2030 計数目標(KPI)>

財務KPI

目標(2028年度)

目標(2030年度)

コア営業利益

2,000億円

2,500億円

親会社の所有者に帰属する当期利益

1,100億円

1,500億円以上

ROE

10%以上

13%以上

ROIC

7%以上

9%以上

NET D/E

0.8以下

0.8以下

 

マテリアリティ

非財務KPI

目標(2030年度)

持続可能な社会への貢献

・気候変動

・サーキュラーエコノミー

・健康とくらし

・住みよいまち

・食の安心

・ライフサイクル全体を

意識した製品設計

Blue Value®製品売上収益比率

40%

Rose Value®製品売上収益比率

40%

GHG排出量削減率(Scope1、2)

40%(2013年度比)

 

事業継続の前提となる課題

人権尊重

人権リスクへの対応

国内外全拠点での人権デュー・ディリジェンスシステム構築によるリスク把握と是正

安全

重大事故・重大労災件数

ゼロ

(VISION 2030期間を通じて)

コンプライアンス

重大な法令・ルール違反数

品質

PL事故、重大品質インシデント件数

安定生産

生産及び設備信頼性

高額損失トラブル件数 ゼロ

 

事業継続に不可欠な能力

企業文化

エンゲージメントスコア

50%

人的資本

戦略重要ポジション後継者候補準備率

250%

執行役員多様化人数(女性・外国籍・中途採用)

10名以上(うち、女性3名以上、提出会社)

女性管理職(課長級以上)比率

15%(提出会社)

生活習慣病平均有所見率

8.0%以下(提出会社)

メンタル不調休業強度率

0.25(提出会社)

デジタルトランスフォーメーション

データサイエンティスト数

165名(2025年度)

イノベーション

事業部所管テーマ数

2倍以上(2020年度比)

未来技術創生センターにおける開発新領域数

3領域以上

パートナーシップ

持続可能な調達率

80%

 

 (注)Blue Value®とRose Value®とは、当社グループが目指す未来社会実現のため、提供する製品・サービスの環境および社会への貢献を見える化し、その価値をステークホルダーの方々と共有できるようにしたものです。製品・サービスを用途別に独自の指標で評価し、環境貢献価値の高いものをBlue Value®製品、QOL向上貢献価値の高いものをRose Value®製品として認定しております。

 

 また、2030年度目標の通過点である2028年度の目標の達成に向け、次の基本方針にてスピード感を持って戦略を実行してまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[基本方針]

方針

内容

事業ポートフォリオ変革の追求

・地域・他社連携を進め、クラッカー最適生産体制構築始め、ベーシック&グリーン・マテリアルズの再構築第2幕を加速し、ボラティリティ低減と安定的なキャッシュ創出を図り、自立的な運営体制を構築する。

・強みを活かせる差別化分野へのM&A・提携も含めた集中的な資源投下、再構築の加速、聖域なきポートフォリオ入れ替えで成長加速と資本効率改善を図る。

・グローバル視点でグループ内資源を最大活用し、成長領域を中心に新興市場を含めたグローバル展開を加速する。

ソリューション型ビジネスモデルの構築

CTO室を核とした社内横串連携と資源最適配分による新事業育成強化、新設した共創空間の積極活用による社内外連携を強化し、ビジネスモデル転換を図る。

サーキュラーエコノミーへの対応強化

ファーストムーバーとして燃料転換や東・西コンビナートの地域・他社連携を更に推し進め、カーボンニュートラル技術の早期社会実装を目指す。

DXを通じた企業変革

IT・データ基盤強化を着実に進め、生成AI活用等のDX施策によるマーケティング業務効率の向上を図り、企業変革とマネタイズの実現を目指す。

経営基盤・事業基盤の変革加速

・グローバル視点でグループ内資源を最大限活用し、新市場・新事業展開を加速する。

・財務・非財務双方の視点での実効性あるKPIマネジメント、リスクと機会両面からのリスクマネジメントのPDCAを着実に回し、企業価値向上に繋げる。

・設備信頼性の向上、更なる安全安定運転実現のために抜本対策PJを推進する。

・業務効率化による間接部門の強化とグループ最適視点でのコスト削減を実行する。

 

 

また、当社は、長期経営計画に基づき毎年向こう3ヵ年の事業計画の見直しを行うというローリング方式を採用しています。社会環境の変化が急速かつ大きくなる中で、長期的な視野を持ちつつ、経営の環境適応性を高め、戦略推進を加速してまいります。

 

このような経営ビジョン及び経営計画のもと、2025年度において、当社は、次のように経営環境を認識し、VISION 2030達成に向けて取り組んでまいります。

 

 

 

<経営環境>

2025年度の世界経済は、景気持ち直しの動きが見られるものの、米国の通商政策の影響による先行きの不透明感が懸念されます。

日本経済においても、緩やかな回復が継続しているものの、為替の変動、物価の上昇及び海外経済の減速等に伴う景気下振れのリスクのほか、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっています。

化学工業界においても、景気の持ち直しの動きに伴う需要の拡大が期待されるものの、為替の変動、物価の上昇及び海外経済の減速等の影響による市況の変動に留意すべき状況が継続することが見込まれます。

 

 

<VISION 2030達成に向けた2025年度における取り組み>

早期の成長軌道回帰へ向けた、以下の基本方針のもと、スピード感を持った戦略の実行に努めます。

・安全・安定生産に向けた製造トラブル・労災の撲滅

・聖域なきポートフォリオ変革の加速による、成長領域の持続的な拡大、ベーシック&グリーン・マテリアルズにおける構造改革の実現

・選択と集中に徹した資源投入及びライトアセット化推進による資本効率(ROE、ROIC)の徹底的な追求

・新事業、研究開発における事業化を意識したイノベーションの加速

・全社を挙げてのコスト効率の追求

・DXによるビジネスモデル、業務プロセス、組織能力等の高度化による業務効率の追求及びサプライ

チェーン全体の変革を通じた価値創出の実現

・リスクマネジメントシステムの運用継続による当社を取り巻く脅威の最小化及び機会の最大化

 

このような情勢のもと、2025年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。

 

 

2025年度連結業績予想

2024年度連結業績

売上収益

(億円)

17,700

18,092

コア営業利益

(億円)

1,100

1,010

営業利益

(億円)

980

783

親会社の所有者に帰属する当期利益

(億円)

550

322

※当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS会計基準)を適用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因(事業撤退や縮小から生じる損失等)により発生した損益を除いて算出しております。

 

 

(2) 事業領域ごとの環境分析及び戦略

①ライフ&ヘルスケア・ソリューション

世界の総人口増加・健康寿命延伸などを背景として生活の質(QOL)向上、安全・安心な食への貢献が求められています。ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業は、ライフケアソリューション、ウェルネスソリューション、メディカルソリューションという3つの事業領域にわたって、いのちと健康、豊かな暮らしに貢献するソリューションを提供し、第1の収益の柱として当社グループの持続的成長に寄与していきます。

 

<ライフケアソリューション>

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[ビジョンケア材料]

・プラスチックメガネレンズ材料(MR™、KOC/KR、RAV7™、Do Green™製品)

・フォトクロミック

メガネレンズ材料

(SunSensors™)

・コーティング材

(Crystal Coat™)

・レンズ加工機器

(Velocity™、Cobalt™、CrystalChrome™)

・幅広い顧客ニーズ、需要の拡大に対応可能な製品ラインナップ及び供給能力

・グローバルでのブランド力

・視界の快適さや目の健康、環境負荷低減等の市場ニーズに応じた新規材料・技術を継続的に創出する力

・高屈折レンズ市場の成長の確実な取り込み

・機能性レンズの開発力強化による差別化

・レンズ加工ラボ向け事業の更なる拡大

・高屈折メガネレンズ材料の需要拡大に即した拡販・供給能力確保

→北米・中国市場での高屈折メガネレンズ材料の拡販・MR™生産能力増強計画の確実な実行

・新規の機能性レンズ材料開発を通じた競合との差別化

→レンズ機能向上・環境負荷低減を実現した新材料の開発、顧客採用の促進

・コート材・機器事業拡大の更なる加速

→グローバル販売体制強化とM&A等を活用した品目拡充

[パーソナルケア材料]

・アクリルアマイド、アクリルアマイドバイオ触媒(YURIKOS™)、メタクリルアミド、合成パルプ(SWP®)

・抗菌・防カビ剤(ヨートル®DP95、ヨートル®DP-CD)、DMI®

酵素技術、有機合成技術を基盤とした研究開発力

バイオ触媒事業の拡大

アクリルアマイドバイオ

触媒事業の収益拡大

→中国市場での新規顧客の獲得、北米市場での拡販の確実な実行

 

 

<ウェルネスソリューション>

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[農業化学品/生活環境用薬剤]

殺虫剤、殺菌剤、除草剤/業務・家庭用、ペット用薬原料、ベクターコントロール

・有機合成を基盤とした独自性の高い創薬力と生産技術

・安全で環境負荷の少ない天然物由来の製品ポートフォリオ

・幅広い顧客ニーズに対応可能な製剤開発力

・成長ドライバーの更なる拡大による事業価値の最大化

・サプライチェーンの強靭化による供給能力の向上

・研究開発の基盤強化と新製品創出

・成長ドライバーの展開地域拡大と用途拡大

→ジノテフラン・テネベナール®・フルピリミンの海外重点国での販売促進、マラリア根絶に資するVECTRON™T500のアフリカ諸国での登録推進・販売促進

・サプライチェーンの最適化

→大牟田工場・北上工場での原体生産体制の強化

・低環境負荷農薬の研究開発の加速と新製品創出

→高い安全性・環境負荷の少ない革新的化学農薬の創薬推進、天然物創薬基盤をもとにしたバイオロジカルソリューション研究の強化

[パーソナルケア材料]

タウリン

高品質な製品の安定供給

高品質な製品供給による日欧米市場での収益維持

海外向け需要の確実な取り込みによる収益維持

→高価格帯の新規顧客獲得による拡販の推進

[新領域]

バイオ触媒

バイオ触媒開発で培った酵素改良技術

バイオ技術基盤を活かした

関連領域の拡大

ニュートリション分野の

事業基盤の確立

→アンチエイジング・食糧課題に対応したバイオプロセスによるニュートリションの提供

 

 

<メディカルソリューション>

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[オーラルケア材料]

・修復材(ビーナス®、カリスマ®)、接着用セメント(スーパーボンド®)

・義歯関連(パラ®)、3Dプリンターインク(ディーマ®)

・グローバルでのブランド力

・ポリマーサイエンス・精密合成技術と歯科臨床知識の組み合せによる製品開発力

・Kulzer収益力の抜本的強化による事業成長の加速

・日本事業基盤の強化

・Kulzer収益力強化策への注力

→マーケティング・販売機能の強化、コスト構造の改善、製品ポートフォリオの改善

・日本事業基盤の強化

→グループ提携の深化

[整形外科材]

-

歯科材料などに展開している素材技術

事業基盤の拡充と製品開発

の加速

事業基盤の拡充と差別化製品の事業化

→日本エム・ディ・エムとの協業を通じた戦略の具体化・実行と開発推進

[検査・診断]

コンパニオン診断(肺がんコンパクトパネル®DXマルチコンパニオン診断システム)

最先端の遺伝子解析技術

事業基盤の確立と検査サービスの拡充

事業基盤の強化と検査サー

ビスの事業拡大

→DNAチップ研究所との経営統合プロセスの確実な実行と開発推進、細菌迅速検査システムの上市

 

 

②モビリティソリューション

 世界的な環境意識の高まりや社会的責任への対応要請を背景に、サプライチェーンにおける環境負荷低減の重要性が高まっており、モビリティの燃費向上、リサイクル材料、バイオ材料の活用、省エネルギーや再生可能エネルギーの利活用拡大等への貢献が求められています。また、CASEやMaaSの進展により、移動空間としての快適性の向上や車室の高機能化といった、モビリティにおける多様なニーズや機会の創出に繋がると期待されています。

 当社では、自動車を中心としたあらゆる種類の人・モノの移動手段を「モビリティ」と定義しています。このモビリティ領域において、多様化するニーズに対応したソリューションの提供と個々の事業の競争力強化を通じた持続的な成長を実現していきます。

 

<素材提供型ビジネス>

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[エラストマー重合製品]

エチレン・プロピレン

ゴム(三井EPT™)、α-

オレフィンコポリマー

(タフマー®)、液状

ポリオレフィンオリゴマー(ルーカント®)

・幅広い材料ラインナップ

・高い技術力と品質

・グローバルネットワークを活かした幅広い顧客基盤

・技術サービス

・当社グループ機能を活用したコンセプト提案力

・「高成長&サステナビリティへの貢献」×「競争優位」な領域に対する販売・開発の集中

・需要に応じた生産能力増強、グローバル拠点を最大活用したレジリエントな生産体制の構築

市場変化や需要増加に対応するための生産供給能力の不足、および柔軟な生産体制の構築

→需要に応じた適切な生産能力増強の実行、製品や組織を超えた生産体制最適化の実現

[複合材料製品]

接着性ポリオレフィン(アドマー®)、熱可塑 性エラストマー(ミラストマー®)、エンジニ

アリングプラスチック

(アーレン®、オーラム®)、PPコンパウンド

 

 

<ソリューション型ビジネス>

主要製品等

競争優位性

基本戦略

課題・方策

ARRKグループ、共和工業(株)

・設計、解析機能

・試作、LVP(少量生産)機能

・金型技術

・開発支援機能

・これまで獲得してきたソリューション機能と他社提携の深化によるビジネスモデルの確立

・デザイン・設計・解析から量産までのワンストップサービスの提供へのビジネスモデル変革

・新たなビジネスモデルによる早期収益貢献

→ARRKグループ、共和工業㈱、MDC(モビリティデベロップメントセンター)の機能の活用と他社提携を通じた事業機会の探索と具体化

 

③ICTソリューション

 DXの進展により、半導体等ICT関連製品への需要は益々高まっています。ICTソリューションでは、①半導体・実装、②イメージング、③電池材料、④コンバーティングの各領域に重点的に取り組んでおり、本年度より本事業部に加わった不織布事業も含めた事業ポートフォリオの変革を通じたソリューション型ビジネスモデルの構築を加速してまいります。

 また、安全・快適なインフラ、健康な暮らし、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G(6G)、ロボティクス等の進化といった様々な社会課題の解決に貢献する『ユニーク』なICTソリューション事業の創造・拡大を図ります。

 

 

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[半導体・実装ソリューション]

フォトマスク用防塵カバー(三井ペリクル™)、成膜プロセス用高純度ガス(シラン・ジシラン)、フォト

レジスト原料(ミレックス®)、半導体製造工程用テープ(イクロステープ™)、シリコーンコートフィルム(SP-PET™)、耐熱離型フィルム(オピュラン®)、低誘電モノマー、過酸化水素製造用触媒、フィルター(ユーテック®)、フィルター用不織布(シンテックス®MB、プレシゼ®)

・半導体・実装領域およびイメージング領域におけるユニークでシェアの高い製品

・高い技術力と品質、技術サービス

・グローバルでの顧客基盤

・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力

・不織布事業において統合シナジーを活かした生産・技術力

既存事業の強化・拡大と

半導体・実装プロセス

革新に対して競争優位性の高い新製品・ソリューションの提案を強化し、既存チャネルを生かし

不織布事業の産業用途の新製品拡大を目指す

・顧客のスピードに適した仕組みづくり

→ニーズ起点である海外拠点の企画・マーケティング力強化や社外パートナーとの共同開発強化

・プラットフォーマーとの協働関係構築・強化

→顧客拠点におけるソリューション・製品・技術を訴求する「Mitsui Day」の開催

・顧客プロセス適合性評価等の研究開発機能の強化

→クリエイティブインテグレーションラボ®の開設、評価設備の集約・拡充を通じた顧客との共創の推進

・不織布事業における構造改善、拡大・高付加価値化

→更なる生産体制最適化

→NanoMBならびに新製品の拡大、伸縮不織布等の差別化製品の高付加価値化

[イメージングソリュー

ション]

レンズ材料(アペル®)、液晶反射フィルム用材料(TPX®)、液晶・有機ELシール材(ストラクトボンド®)

先端ニーズへの先着に

向けた競争優位性の高い

新製品・ソリューション

の提案強化

[電池材料ソリューション]

LiBセパレータ用材料(ハイゼックスミリオン®)、LiB用電解液(ミレット®)、LiBパウチ用接着剤(ユニストール®)、耐熱コート材(ボンロン®)、太陽電池用封止シート(ソーラーエース™)

次世代電池材料の開発

強化

[コンバーティングソリューション]

環境配慮型紙包装材用ヒートシール剤(ケミパール®)、サステナブル包材用バリアコート剤(タケラック®WPB)、包装用接着剤(タケネート®、タケラック®)、不織布(エアリファ®、エコライズ®)、形状保持材料(テクノロート®)、通気性フィルム(エスポアール®)、不飽和ポリエステル(ポリホープ®)、成形用コンパウンド(ポリマール®マット)

環境対応包材の拡大と

グローバルな事業展開、

および衛生材料製品の

高付加価値化

 

 

④ベーシック&グリーン・マテリアルズ

 石化・基礎化学品を中心とする当本部の事業は、自動車、半導体、住宅、家電、インフラ、食品包装をはじめ、様々な分野に素材提供を行っています。特徴のある技術と付加価値製品群の拡大、さらなるコスト競争力強化により、安定した収益の確保を目指します。

 2025年5月30日に、石化事業統合を含む他社との再編に向けた、ベーシック&グリーン・マテリアルズ事業の分社化検討開始を発表しました。VISION 2030基本戦略の「事業ポートフォリオ変革」加速のため、当社は、業界構造・事業戦略・意思決定スピードの異なる成長3領域(ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション)とベーシック&グリーン・マテリアルズ各々で、他社連携を含む戦略推進を進めています。当本部の事業環境は、中国をはじめとした大型プラント新増設と国内需要の漸減により、今後も厳しい状況が継続する見込みです。現在、クラッカーのダウンサイジング、誘導品の再構築・高機能化をはじめとした事業構造転換を実行しているものの、更に抜本的な構造改善策に早急に取り組む必要があります。

 また、クラッカー、ポリオレフィン(PO)を中心とする石化事業は、石油精製等の川上産業においてはグリーン原料を含む原燃料の安定需要家であり、自動車、半導体等の川下産業においては、エッセンシャル素材の安定供給元の位置づけです。日本のエネルギー政策や経済安全保障、日本国全体のカーボンニュートラル達成において、石化産業は重要な役割を担っています。

 上記の厳しい環境の中で、ベーシック&グリーン・マテリアルズの戦略目標である「競争力のある誘導品を中核とした、サステナブルなグリーンケミカル事業」へ着実に転換して行くには、当社単独ではなく、同じ事業・方向性を有する他社と経営資源を統合し、人財や技術のシナジー創出、事業基盤や競争力の強化、合理化・効率化を推進して行く必要があると判断しました。

 少なくとも2027年近傍にはベーシック&グリーン・マテリアルズを分社化し(例、当社100%関係会社)、統合・再編の核となる事業体を設立します。石化事業に特化した経営と迅速な意思決定、自社キャッシュフローによるグリーン化等投資を実行しつつ、統合・再編のスムーズな推進につなげます。

主要製品

競争優位性

基本戦略

課題・方策

[石化製品]

エチレン、プロピレン、高密度ポリエチレン、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(エボリュー®)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン重合触媒

・世界トップクラスの競争力を有するナフサクラッカー

・メタロセンをはじめとするポリオレフィン触媒技術

・ウレタン製品差別化のための高機能ポリオール、高機能MDI

・バイオマスポリオールの開発、製造技術

・バイオマスナフサおよび廃プラスチック分解油の原料投入による、バイオマス製品・ケミカルリサイクル製品の幅広い展開

・更なる再構築推進による資本効率性の向上

→需要に見合った能力最適化(岩国大竹PET樹脂停止、大牟田TDIダウンサイジング、市原フェノール停止)

→他社連携による再編・競争力向上(ナフサクラッカー、ポリオレフィン)

・グリーンケミカルの拡大による環境対応強化

→原料転換(バイオマスナフサ、廃プラスチック分解油)

→燃料転換(アンモニア燃焼炉)

→バイオマス誘導品、リサイクル製品の拡大

・高機能化・ニッチ品の拡大など、ダウンフロー強化による収益安定化

→高機能PP、高機能MDI

→ライセンス、オレフィン重合触媒

・需要に見合った能力最適化・再編

→資本効率が低い製品の縮小や撤退、他社連携による事業リスク低減

・高機能製品の強化・拡大

→エンドユーザー起点の素材開発、MI活用の拡大による新銘柄開発や処方開発、マテリアル・ケミカルリサイクル起点での製品開発(石油由来同等の物性など)

・製造における低炭素化(SCOPE1+2)

→省エネ、再生エネルギーの活用、低炭素原料・燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入

・製品によるGHG削減

→製品提供を通じたGHG削減貢献量の最大化(Blue Value®製品の売上収益比率の拡大)

・サーキュラーエコノミーへの対応強化

→バイオマス・マテリアル・ケミカルリサイクル製品の拡大

[基礎化学品]

フェノール、ビスフェノールA、アセトン、イソプロピルアルコール、メチル

イソブチルケトン、高純度テレフタル酸、PET樹脂、エチレンオキサイド、エチレングリコール、ハイドロキノン(HQ)、メタ/パラクレゾール、アンモニア、尿素、メラミン

[ポリウレタン原料]

TDI(コスモネート®)、MDI(コスモネート®)、PPG(アクトコール®、エコニコール®、Nextyol®)

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関する開示

 当社グループは、ESGを中核に据えた経営により、社会価値向上と企業価値向上の双方の両立を目指し、VISION 2030において、ESG要素の経営/戦略への組み込みのさらなる具体化、実行フェーズへの移行を進めています。

 また、財務・非財務は互いになくてはならないものと認識しており、次の方針の下、サステナビリティ経営を推進しています。

 

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①ガバナンス

 当社グループでは、経営において重要なESGに関連する各種テーマにつき、ESG推進委員会にて対応の方向性を討議し、各部門の戦略への落とし込みを進めております。本委員会における討議結果及び活動実績は経営会議に報告しております。特に重要な事項に係る方針・戦略・計画は、全社戦略会議や経営会議での審議を経て、取締役会にて決定、監督されます。マテリアリティやVISION 2030の非財務指標の進捗管理や見直しも本ガバナンス体制の下で行っております。また、ESG推進に関する新たな重要項目の検討や施策立案等が必要となった場合は、当該項目を担当する分科会を設置することとしております。これらのESG推進に関するグループ横断的な活動は、ESG推進委員会担当役員を責任者とし、方針・戦略・計画の審議・討議・報告等を行っております。

 

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 さらに当社は、2023年度に役員報酬制度を改定し、VISION 2030の非財務指標を役員報酬に反映しております。VISION 2030の全ての非財務指標には担当執行役員が設定されており、その進捗を「担当部門業績評価係数」として各担当執行役員の賞与に反映しております。また、非財務指標の達成を強く促すため、特に重要な非財務指標(Blue Value®/ Rose Value®製品売上収益比率、GHG排出量削減率、重大事故件数、重大な法令・ルール違反数、エンゲージメントスコア)を選定し、その達成度を「非財務指標評価係数」として取締役会長を除く全ての社内取締役と執行役員の賞与に反映しております。役員報酬制度の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。

 

②リスク管理

 サステナビリティに関するリスク管理は、全社のリスク管理体制に統合し、取締役会の監督のもと、リスクマネジメント委員会において全社的に対応すべき重要課題という観点から実施しております。具体的には、マテリアリティと密接に関連する「気候変動」「自然資本」「製造・品質」「コンプライアンス」等の全社重点リスクを特定し、これらを戦略ローリング・年度予算・実行計画等の経営計画システムに反映することで、PDCAサイクルを回していきます。全社リスク管理体制に関する詳細は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。

 

③戦略

 サステナビリティに関する戦略については、VISION 2030に統合されているため、詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」のVISION 2030の記載をご参照ください。

 

④指標及び目標

 サステナビリティに関する指標及び目標については、VISION 2030に統合されているため、詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」のVISION 2030の記載をご参照ください。

 

 

 

(2)気候変動対応に関する開示

 当社グループは、2019年1月にTCFDの提言への賛同を表明し、化学企業として気候変動に真摯に向き合い、事業に影響する機会・リスクへの理解を深化させ、その取り組みの開示を進めております。当社グループのTCFD提言に向けた取り組みについての詳細は当社Webサイトをご参照ください。

https ://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/circular_economy/tcfd/index.htm

 

①ガバナンス

 気候変動対応に関する方針・戦略・計画は、ESG推進委員会にて討議します。討議結果は経営会議に報告され、特に重要な事項については、全社戦略会議での討議や経営会議での審議を経て、取締役会にて決定、監督されます。

 さらに、ESG推進委員会の分科会としてサーキュラーエコノミーCoE(センターオブエクセレンス)を設置しております。当社グループは、気候変動問題とプラスチック資源循環・廃棄物管理等の諸課題を一体として捉え、サーキュラーエコノミーへの対応強化を通じてその解決を図る必要があると考え、本CoEを、ステアリングコミッティ及び3つのワーキンググループ(バイオマス、リサイクル、気候変動)により構成し、社長特別補佐が統括責任者、グリーンケミカル事業推進室が事務局を務める体制をとっております。本CoEにおいて気候変動に関するより詳細な議論を行い、経営層が討議すべき案件をESG推進委員会に挙げる仕組みです。

 

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②リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメント体制をグループ全体に展開し、経営計画システムの中でPDCAサイクルを確実に回す必要のある「全社重点リスク」を特定します。この全社重点リスクの設定及びモニタリング状況の確認・改善等を行う一連のプロセスを年2回実行しております。気候変動に関するリスク管理も本体制内で全社横断的に実施しており、気候変動に関するリスクを全社重点リスクとして特定し、戦略ローリング・年度予算・実行計画等の経営計画システムに反映することで、PDCAサイクルを回していきます。詳細は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

③戦略

 当社グループは、2019年に気候変動対応方針を策定・公表しています。本方針では緩和策としてGHG削減推進による低炭素社会の実現を掲げ、具体的には「製造における低炭素化」「製品によるGHG削減」「リサイクル技術向上」「バリューチェーンにおける貢献最大化」に向けた取り組みを進めることとしております。また、適応策としては気候変動リスクに強い健康・安心な社会の実現を掲げ、具体的には「水セキュリティ強化」「適応製品群の拡大」「バリューチェーンのレジリエンス強化」に向けた取り組みを進めることとしております。これらが低炭素社会への移行計画の方針に該当すると考えており、本方針に基づき、以下のように気候変動リスクの重要性評価及びシナリオ分析を進め、VISION 2030及びカーボンニュートラル戦略の形で移行計画を事業戦略に落とし込んでおります。

 

気候変動によるリスクの最小化に向けて

 物理的リスクについては、資産被害に加えて営業停止による被害も加味し、「自然災害の激甚化」による事業インパクトを評価しております。評価を通じて得られた事業インパクトを、必要に応じてVISION 2030の基本戦略である「経営基盤・事業基盤の変革加速」に組み込み、対応してまいります。

 移行リスクについては、「炭素税導入に伴うコスト増加」及び「燃料・電力のコスト上昇」による事業インパクトが、中長期的に大きくなると見込んでおります。2030年度までに原燃料の低炭素化、省エネ促進、再エネ導入を進めるなど、GHG排出量の確実な削減を推進してまいります。

 これらの評価・分析を踏まえ、①当社グループのGHG排出量削減(Scope1+2)及び②製品提供を通じたGHG削減貢献量の最大化を目指すカーボンニュートラル戦略を実行しております。本戦略はVISION 2030にも織り込み、カーボンニュートラルロードマップの策定や非財務指標への組み込みなどを通じて2050年カーボンニュートラルの実現を目指しております。

 

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気候変動による機会の最大化に向けて

 事業インパクトの評価を通じ、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスにつながる多くの機会を抽出しております。これらの機会を全社戦略に反映することで、持続可能な社会構築に貢献するとともに、当社グループのさらなる機会の獲得につなげてまいります。

 GHG排出量削減は、当社グループの収益拡大に深く関連するため、カーボンニュートラル戦略施策の実行に留まらず、さらなる検討を継続してまいります。具体的には、原料調達先や生産拠点の複数化によるグローバルなサプライチェーンのさらなる強靭化及び市場変化やニーズに対応するための生産供給能力向上に取り組み、確実に機会を獲得してまいります。こうした機会の獲得は当社グループの成長につながるため、VISION 2030の経営目標(非財務目標)として設定し、進捗管理を行ってまいります。

 

レジリエンス性の向上

 シナリオ分析を行うことで、1.5~2℃の世界、3~4℃の世界に対する戦略のレジリエンス性を検証いたしました。今後さらにインパクト評価の精度を高めるとともに、VISION 2030及びカーボンニュートラル戦略のローリングを行っていく中で、事業戦略や拠点戦略を含む全社戦略において、リスクの最小化、機会の最大化を目指し当社グループのレジリエンス性の向上を図ってまいります。

 

 当社の気候変動対応方針、カーボンニュートラル戦略及びTCFD提言への対応の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

気候変動対応方針

(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/circular_economy/policy/index.htm)

カーボンニュートラル戦略

(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/circular_economy/carbon_neutrality/index.htm)

TCFD提言への対応

(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/circular_economy/tcfd/index.htm)

 

④指標及び目標

 当社グループは、気候変動関連リスク及び機会の管理に用いる指標及び目標を設定しております。これらをVISION 2030の非財務指標(非財務KPI)及び経営目標として位置付け、進捗を管理しております。GHG排出量の削減については、当社グループの収益に深く関係すると捉えており、公表済みのカーボンニュートラル戦略施策の実行に留まらず、検討を継続しております。

 

区分

非財務KPI

目標

実績(注)

緩和

GHG排出量の削減

GHG排出量削減率(Scope1+2)

(2013年度比)

 40%(2030年度)

100%(2050年度)

25%

GHG削減貢献量の最大化

Blue Value®製品売上収益比率

 40%(2030年度)

 70%(2050年度)

26%

適応

防災減災、感染症予防への貢献

Rose Value®製品売上収益比率

 40%(2030年度)

25%

 

(注)Blue Value®製品売上収益比率及びRose Value®製品売上収益比率については2024年度の実績を記載しており、GHG排出量削減率については2023年度の実績を記載しております。2024年度のGHG排出量削減率は27%を見込んでおり、確定値については2025年秋頃に当社Webサイトにて掲載予定です。なお、GHG排出量削減率については、GHG排出量の算定・報告の国際基準であるGHGプロトコルに基づき、2023年度より算定範囲を拡大しております。

 

 TCFD提言に基づく気候関連指標カテゴリーに沿った情報については、以下のWebサイトをご参照ください。

(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/mci_sustainability/circular_economy/tcfd/index.htm)

 

 

 

 

(3)人的資本、多様性に関する開示

①ガバナンス

 当社は、長期経営計画VISION 2030の実現を通して、社会が求める価値を持続的に創造し続けるためのカギは「人材」であると考え、「三井化学グループの持続的成長」と「従業員の幸福と自己実現」の両立を目標に、当社グループの考え方を「三井化学グループ人材マネジメント方針」として定めております。

 当社は人材戦略をグループレベルで策定・実行・牽引するために、CHRO(注1)を設置しております。また、人事部門における本社機能として、HRマネジメントチーム(注2)及びHRBP(注3)を設置し、事業・機能本部における経営戦略の変化をタイムリーに把握することで、人材戦略の見直しと実効性のある人事施策の展開を推進しております。また、日本・欧州・米州・アジアの人事責任者を組み込んだ、グローバルCoC(注4)体制を編成し、グループ・グローバルな人材戦略・人事施策の立案・展開を行っております。

 なお、人材戦略及び経営上特に重要な人事施策については経営会議において議論しており、また、経営陣幹部を含む後継者計画については「キータレントマネジメント」をその体系として位置付けており、部門別及び全社の人材育成委員会等に諮った上で、定期的に取り組みの状況について取締役会に報告・議論しております。

(注)1 CHRO:Chief Human Resource Officer(最高人事責任者)

2 HRマネジメントチーム:人事部・グローバル人材部担当役員、部長、グループリーダー級で構成する人事部門の方針・施策策定機関

3 HRBP:Human Resources Business Partner(HRビジネスパートナー)。各本部・コーポレート長のパートナーとして、各種事業・機能戦略と連動した人材戦略・人事施策の立案・実行を推進する

4 CoC:Center of Competence(コンピテンスセンター)。グループ全体を統括する人事専門機能

 

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②リスク管理

 人材マネジメントに関するリスク管理については、全社のリスク管理に統合されているため、詳細は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください 。

 なお、人材マネジメントにおいては特に、少子高齢化に伴う生産労働人口の減少、デジタル化に伴う既存スキルの陳腐化等の外部環境変化を見据え、中途採用の拡充、DX人材育成プランの策定に取り組むほか、従業員のメンタルヘルス改善に向けた取り組みや従業員エンゲージメントサーベイの実施等を行い、潜在的なリスクの管理にも取り組んでおります。

 

 

 

③戦略

(人材育成方針)

 当社は、三井化学グループ人材マネジメント方針に基づき、グループ・グローバルに活躍し得る人材を長期視点に立って育成しております。「人材」を企業価値創造の源泉と位置づけ、自主・自律・協働という当社グループが従業員に求める基本的な考え方に基づき、世界の市場や仲間と日々対話を繰り返し、今、そして未来の社会が求める価値を生み出すことのできる人材を育成しております。

 

(社内環境整備方針)

 「三井化学グループの持続的成長」と「従業員の幸福と自己実現」を同時に、かつ高いレベルで実現することを目指した「三井化学グループ人材マネジメント方針」に基づき、“働きやすさ”と“働き甲斐”のある職場環境の整備と、それによる労働生産性の向上を目指しております。また、「社員の健康は、社員と家族の幸福につながり、働くことの意義や喜びの向上につながり、当社グループの基盤となり、地域社会への貢献となり、社会の持続的発展につながる。」と考えております。その上で、「従業員が健康で働ける職場環境や設備などのハード面と、健康管理・健康増進のソフト面を充実させ、労働衛生と健康増進を自律的に行う健康重視経営を推進する」事を目指す姿としております。

 

 当社の人材育成及び社内環境整備に関する具体的な詳細については、当社Webサイトをご参照ください。

 (https://jp.mitsuichemicals.com/jp/ir/library/ar/index.htm)

 

④指標及び目標

 当社は人材戦略の実効性をモニタリングするために、VISION 2030の経営目標として、以下の通り、人的資本に関する非財務KPIを設定し、進捗を管理しています。

 

非財務KPI

目標

2024年度実績

従業員エンゲージメント向上

 

エンゲージメントスコア

40%(2025年度)

50%(2030年度

36

(2024年度目標 ≧38%)

キータレントマネジメント

 

戦略重要ポジション後継者候補準備率

250

235

(2024年度目標 ≧235%)

ダイバーシティ

 

執行役員多様化人数(女性・外国籍・中途採用) ※提出会社

10

(うち、女性≧3名)

経営者候補多様化率

24.1%

(2024年度目標 ≧20%)

女性管理職(課長級以上)比率 ※提出会社

15

8

(2024年度目標 ≧7%)

健康重視経営

 

生活習慣病平均有所見率

※提出会社、男性社員

8.0

10.16(見込)

(2024年度目標 <9.50%)

メンタル不調休業強度率

※提出会社

0.25

0.67(見込)

(2024年度目標 <0.55)

 

 当社の人的資本に関するパフォーマンスデータの詳細については、当社Webサイトをご参照ください。

 (https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/others/esg_performance/society/index.htm)

 

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、「経営戦略及び経営目標の達成に影響を与え得る当社グループを取り巻く事象がもたらす不確実性及び変化」をリスクと捉えております。中長期的かつ継続的な視点をもって、リスクによる「脅威」の最小化を図るとともに、「機会」を見逃すことなく最大限に活用することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 当社グループのリスクマネジメントシステム(以下「本システム」といいます。)では、リスクを長期経営計画「VISION 2030」やマテリアリティに基づいて評価し、特に重要性が高いと判定されたリスクについては、優先的に管理すべきリスクとして全社横断的に対処します。

 本システムにおけるリスク管理体制、プロセス及び本システムの運営により認識した当社グループの将来の経営成績、財政状態に影響を与えうる主要なリスクは以下のとおりです。

 なお、以下の内容は、いずれも当連結会計年度末日現在において当社グループが認識し、全社重点リスクと判断したものです。リスクは常に変化するものであることから、当社グループは、本システムの運用を今後も継続し、内外環境変化を捉えたPDCAを回していく中で適宜の見直し・更新を図ってまいります。

 

(1) リスク管理体制及びリスク管理プロセス

 当社グループでは、本システムの適切な運営のため、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しております。本委員会においては、各役付執行役員(※)が所掌する領域のリスクを俯瞰的・網羅的に把握し、優先順位付を行った上で、当社グループ全体に展開し、経営計画システムの中でPDCAサイクルを確実に実行する必要のある「全社重点リスク(案)」として選定します。

 この際、各役付執行役員は、それぞれが所掌する領域に関するリスクマネジメントオーナーとなり、所掌領域に関するリスク管理の統括責任を負うとともにリスクマネジメント委員会の構成メンバーとして同委員会での活動を担います。

 選定された「全社重点リスク(案)」は、経営会議の審議を経て取締役会の決議により正式に当社グループの「全社重点リスク」として設定されます。

(※)リスクマネジメントの目的において役付執行役員と同等の役割・責任を有する役職者として社長が指名する者を含みます(以下、本項目において同じ)。

 

<リスクマネジメント委員会概要>

位置付け

社長及びCSO(Chief Strategy Officer)が全社リスクマネジメントに関する役割・責任を果たすための諮問機関

役割

①当社グループ全体のリスクマネジメントの基本方針案、戦略案、計画案、各種施策案及びその他重要事項(リスクマネジメントにかかるプロセスやツールの改善、従業員のリスクマネジメント意識やリテラシー向上の施策を含む)の審議

②全社リスクレビューを通じた全社重点リスク(案)の審議

③個別の重要リスクに関する討議(当該個別リスクが当社グループに及ぼす影響や対応方針にかかる討議を含む)

④当社グループ全体のリスクマネジメントの状況(全社重点リスクのモニタリング状況を含む)の報告及び討議

構成

委員長    :社長

副委員長   :CSO

委員(※1)  :役付執行役員

事務局(※2):経営企画部

(※1)常勤監査役も本委員会に出席の上、適宜意見を述べる。

(※2)ESG推進室、総務・法務部、人事部、経理部、生産・技術企画部、RC・品質保証部及びCSOが指名する本社機能部門と本委員会の運営に関して協働する。

取締役会・経営会議との関係

①CSOは、本委員会の審議結果及び活動実績を経営会議に報告する。

②本委員会で審議し、経営会議の承認を受けた事項のうち、全社重点リスク(案)は取締役会決議をもって全社重点リスクとして設定する。

 

 

 当社グループでは、本システムの下、毎年次のプロセス(以下「全社リスクレビュー」といいます。)により全社重点リスクを当社グループの経営計画システムに反映し、PDCAを回していきます。

①各リスクマネジメントオーナーは、それぞれが所掌する業務領域のリスクにつき、戦略ローリングを通じて抽出の上、俯瞰的・網羅的に把握し優先順位付けを行い、全社的に重要と判断するリスクをリスクマネジメント委員会に報告する。なお、リスクマネジメントオーナーは、重点リスクの選定と優先順位付けにあたり、自身が担当する委員会や会議体を適宜活用する。

②リスクマネジメント委員会は、各リスクマネジメントオーナーから報告されたリスクについて、俯瞰的・網羅的観点から長期・中期・短期別の重要度評価を行い、全社重点リスク(案)を策定する。

③全社重点リスク(案)は、経営会議審議を経て、取締役会決議をもって当社グループの全社重点リスクとして設定される。

④設定された全社重点リスクは、戦略ローリング・年度予算・実行計画等当社グループの経営計画システムに展開し、各リスクマネジメントオーナーの責任の下、各部門が実務を実行する。

⑤リスクマネジメント委員会は継続的に全社重点リスクのモニタリングを行い、環境変化によるリスクの変容等に適時対応する。また、リスクマネジメント全体の進捗や優先的に管理すべきリスクの個別の対応状況については、定期的に取締役会への報告を行う機会を設け、適切なモニタリングに努めます。

 

<本システム運用イメージ図>

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(2)全社重点リスク

①前連結会計年度における最重要リスクの状況

 前連結会計年度において設定した最重要リスク「事業継続(BCP)」については、全社の予算において各部門が具体的方策を策定し取り組み、全社横断的な目線での対応状況の検証、高度化を図ってまいりました。大規模な事故や自然災害等従来から認識しているBCPだけではなく、国際情勢における緊張の高まり、ESGに関する社会的要請、サイバーセキュリティ等、多岐にわたる事象を視野に入れ、グループ・グローバルでのレジリエンスの強化に努めました。

 

■具体的な対応例

・製品間でのグローバルな生産拠点の相互活用推進

・国内外の物流会社・船会社との連携強化による物流ルートの複線化推進

・DX技術を活用した輸送時のGHG排出・削減実績把握ツールの開発

・国内外関係会社の情報システムセキュリティチェック結果に基づく脆弱性への対応強化

・社内横断プロジェクトによる、内部からの情報持ち出しに対する強化策の導入

 

 また、対応に遅れがある部門について、事業継続計画書の整備等具体的な改善に着手する等、グループ全体としてのマネジメントレベルの底上げに繋げることもできました。加えて、リスクが現実の危機として顕在化した際に迅速かつ適切に全社横断的な対応を講じダメージの抑制を図るべく、危機管理に関するルールのアップデートも実施しました。

 

②当連結会計年度における全社重点リスク

 当連結会計年度においては、上記①の最重要リスクへの対応状況も踏まえつつ、全社リスクレビューにより次のものを当社グループの全社重点リスクとして設定しております。

 当社グループは、全社重点リスクについては、環境変化に柔軟に対処し、経営/戦略にタイムリーに反映させるべく、全社リスクレビューを定期的に実施し、影響度・発生確率も含め適宜更新してまいります。足下では、米国の通商政策の影響によるリスクも発生しておりますが、その影響に対しても全社視点での継続的なモニタリングを実施し、適宜必要な対応を取っています。

 

[全社重点リスク一覧]

リスクカテゴリー

想定される脅威・機会

密接に関連するマテリアリティ

1)事業継続に関する

リスク

事業継続(BCP)、サプライチェーンの分断、海外の有事、プラントトラブル

安定生産、住みよいまち、食の安心、健康とくらし、デジタルトランスフォーメー

ション

2)製造・品質に関する

リスク

安全・環境、品質マネジメント、化学品

規制

安全、安定生産、品質

3)コンプライアンスに

関するリスク

コンプライアンス、法令・規制の強化・

変更

コンプライアンス

4)技術革新に関する

リスク

新事業の創出、技術革新

イノベーション、ライフサイクル全体を

意識した製品設計

5)気候変動に関する

リスク

カーボンニュートラル戦略の遂行(※)

気候変動、サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計

6)自然資本に関する

リスク

プラスチック問題、自然資本の保全

サーキュラーエコノミー、ライフサイクル全体を意識した製品設計

7)人権に関するリスク

人権尊重

人権尊重、パートナーシップ

8)事業基盤に関する

リスク

人材マネジメント(※)、DE&I推進、ステークホルダーコミュニケーション

企業文化、人的資本、パートナーシップ

9)DXに関するリスク

DX技術の活用、情報セキュリティ(※)、業務システムの更新

デジタルトランスフォーメーション、安定生産、ライフサイクル全体を意識した製品設計

10)経営管理・監督に

関するリスク

資本効率を意識した経営、経営資源配分、投資判断、M&A・事業譲渡

-

11)マクロ環境に関する

リスク

市場における競争の激化、戦略連携の強化(※)、市場ニーズの変化、製品コストの上昇、グローバル展開(※)

-

(※)当連結会計年度において認識した優先的に管理すべきリスク。詳細は、後述「③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク」ご参照。

 

 

[全社重点リスク概要]

1)事業継続に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、大規模な災害・事故、地政学リスクの顕在化、感染症の発生・拡大、サイバー攻撃等に起因して、生産・販売・研究開発の停止・制限、サプライチェーンの分断等、事業活動の継続に重大な影響が発生する可能性があります。

低~中

[対応]

・当該リスクは、前連結会計年度の最重要リスクとして、全社で横断的な目線でリスクへの対応状況の検証を行い、各部門における具体的な方策に落とし込むことができました。また当連結会計年度において、「事業継続(BCP)」の構成要素でもある「情報セキュリティ」「グローバル化」及び「カーボンニュートラル戦略の遂行」を含む5つのリスクが特に重要性が高いリスクとして選定されたこと等を踏まえ、最重要リスクへの指定を見直しました。当該リスクに対しては、引き続き、海外危機管理体制の構築、各製品のサプライチェーンの全体像の把握、原料調達等の代替策の確保、準備、市場構造の変化により生じる事業機会への検討等個別に努めることで対応を図ってまいります。

 

2)製造・品質に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・当社グループは、国内外の拠点(工場)にて化学製品の製造を行っておりますが、運転・設備・工事・保全作業に起因するトラブル(事故、危険物の漏洩等)が発生する可能性があります。このようなトラブルが発生した場合は、労働災害のみならず、近隣地域に対しても被害を及ぼす恐れがあります。また、当社グループは、VISION 2030を推進する中で積極的にM&Aにも取り組みますが、安全管理レベルの異なる会社や事業が当社グループに新たに加わることに起因してトラブルが発生する可能性もあります。

・製品の輸送・外部倉庫保管中の事故が発生する可能性もあります。特に危険性の高い製品に関する輸送中の事故は、近隣地域に与える被害も大きくなる恐れがあります。

・化学品については、昨今、世界各国で用途制限物質の増加やそれに伴う代替品市場の拡大が進んでおりますが、当社製品に含まれる化学物質が規制対象となり、既存製品の生産・販売が不可能となることにより市場を喪失する、代替品の開発が遅れる、あるいは新材料調達等のためのコストが増大する等の可能性があります。

・当社グループの製品の多くは最終消費財の原料として使用されておりますが、予期せぬ品質欠陥の発生や製造物責任訴訟の提起等の可能性があります。また、当社グループが、VISION 2030を推進しソリューション型ビジネスの拡大や新しい分野への参入を図る中で、品質保証に関する責任範囲の拡大も見込まれますが、その際に顧客製品の機能・性能に対する理解が不足し、顧客製品に不具合を発生させる可能性もあります。更には、M&Aにより当社グループに新たに加わった関係会社や事業における品質管理・保証体制の整備・運用状況に起因するトラブルが発生する可能性もあります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、グループ・グローバルでの保安力の強化、設備・運転管理レベルの向上、トラブル撲滅による収益改善、代替物質開発による新製品の創出、適切な品質設計・品質保証による新製品の上市・シェア拡大への貢献等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

低~中

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒安全に関する社内啓蒙活動の徹底、高度なリスクアセスメント体制の構築・推進、関係会社への展開等によるグループ・グローバルでの保安力強化

⇒安全監視/管理技術、設備診断技術、設備管理技術の高度化によるトラブル撲滅、機会ロス・固定費削減

⇒規制される製品の特定/データ収集と社内共有の徹底、当社事業への影響評価/対応方針の策定・見直しの適切な実施、代替品の開発強化等による化学品規制への対応

⇒新たな分野の品質ガイドラインの策定・運用、専門人材の確保・育成等による品質マネジメントの適切な運用

 

 

3)コンプライアンスに関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・重大なコンプライアンス違反が発生した際には刑事罰や損害の発生に加え、レピュテーション低下等の可能性があります。また、コンプライアンスについては、新規事業への参入に伴う新たな法規制への対応や法規制の継続的な強化への対応も必要となります。

・昨今では、主要国における経済安全保障確保に向けた動き、働き方改革法案等各種制度の強化等、事業活動に影響を及ぼす法令・規制に変化の動きが見られますが、必要な法規制に適切に対応できず、各国当局からの訴追、取引機会喪失、社会実装遅延による負担増につながる可能性もあります。

[機会]

・一方で、当該リスクについては、規制変化への適切・迅速な対応による事業基盤の優位性向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒グループコンプライアンス施策の計画的推進、教育・啓蒙活動の強化、「三井化学グローバル・ポリシープラットフォーム(M-GRIP)」(※)を活用したグローバル・ポリシーの浸透等によるコンプライアンス意識の改善

(※)グローバルに関係会社のガバナンスを強化し、ベストプラクティスを共有するためのプラットホーム。

⇒官公庁、業界団体等からの情報収集と社内共有、新たな法令・規制への対応策の確実な実行等、規制変化への適切かつ迅速な対応等による事業基盤の優位性向上

 

4)技術革新に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・昨今では、市場の複雑化・多様化、事業領域の曖昧化が進み、当社グループの既存アセットだけでは対応できない潜在領域も拡大する等、当社が事業展開を行う各国/地域特有のニーズ・習慣・市場構造変化を踏まえた対応の重要性が高まっております。このような状況に適切に対応できず、継続的な新事業の創出が進まない場合、競争劣位に陥り、成長の機会を逸する可能性があります。

・また、革新的な新技術が勃興し、市場環境に変化が起きた際に、当社グループの技術優位性が失われ、製品が陳腐化し競争力を失う可能性もあります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、変化するニーズに対応した新製品開発による新たなビジネスチャンスの創出、グローバルなソリューション型ビジネスの進展、開発体制の適切な構築による新事業パイプラインの充実化・継続的な新事業の創出等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒社内外連携(他社、アカデミア、当社新事業開発センター等)の強化、領域をまたぐ事業開発体制の構築、コーポレート研究の事業化、目指す市場・地域での事業開発拠点整備、地域発のビジネスアイディアの発掘等によるグローバルでの新事業創出

⇒中長期的な技術開発計画の策定・見直し、部門間連携プロジェクトを活用した開発体制の強化等による技術革新

 

 

 

5)気候変動に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・2015年のパリ協定の採択を契機として、脱炭素社会実現への取り組みが世界規模で活発化しており、世界各国におけるカーボンプライシング制度導入の進展、国内におけるGX(グリーントランスフォーメーション)政策の進展等、GHG排出量削減への社会的要請が高まっております。多くの化石燃料・エネルギーを使用しGHGを排出する当社グループにおいても、カーボンニュートラルに向けた施策を進めておりますが、GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーションの低下、カーボンプライシングや低炭素原燃料確保の困難化に伴うコストの増加、Blue Value®・Rose Value®製品の開発が遅れることによる製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等の可能性があります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、社会の脱炭素化に貢献する新規事業創出による企業成長、GHG排出量削減による当社グループのカーボンコストの低減、低炭素・脱炭素の製品提供による顧客のカーボンコストの低減、適応製品の開発・提供を通じた新たな市場ニーズの獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。また、付加価値の高いBlue Value®・Rose Value®製品・サービスを拡大することで、環境・社会に貢献するとともに当社グループの収益性の向上につながる可能性もあります。

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒低炭素原燃料への転換、高エネルギー効率機器の導入等による省エネ、再生可能エネルギーの導入、CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入、バイオマス品・リサイクル品の開発、Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大、カーボンプライシングに伴うコストの低減等カーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進

 

 

6)自然資本に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・プラスチックは広範な用途に用いられる素材として、生活の利便性向上や社会課題の解決に貢献してきましたが、昨今では、資源の枯渇、海洋に流出したプラスチックごみによる環境汚染等の社会課題が深刻化しており、循環型社会への転換が求められております。化学製品の製造・販売を行う当社グループは、この問題に真摯に向き合い、資源の効率的な利用や再生可能資源の活用として、バイオマス原料への転換、バイオマス製品群の拡充やリサイクルの推進等の施策を進め、循環型社会への貢献を目指しておりますが、プラスチックバッシングの増大や各施策の対応が遅れることによるレピュテーションの低下、バイオマス原料・廃プラスチック等の原料調達困難化によるコスト増加等の可能性があります。

・昨今では、自然資本の保全・回復に対する社会的要請も高まっております。当社グループにおいても水資源及び生物多様性の保全に関する基本的な考え方を制定し、製造プロセスにおける効率的な水資源の利用や水環境の保全・適正管理、化学製品のライフサイクル全体における生物多様性への悪影響の最小化に努めておりますが、これらの対応が遅れることによるレピュテーションの低下や、水資源価格の高騰によるコスト増加等の可能性があります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、リサイクル技術の向上、製品の高付加価値化、原料・製品の調達・供給のサークル構築等資源循環に関する業界リーダーポジションの確保、水問題に資するビジネスの開発・構築等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

中~大

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒AEPW(Alliance To End Plastic Waste)やCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)等業界を超えた連携への参加によるグローバルでの課題の最新動向の把握、リサイクル量/比率の定義・目標設定、リサイクル技術の向上やリサイクル価値を訴求する製品戦略等によるプラスチック問題に関する業界リーダーポジションの確保

⇒水セキュリティに対する取り組みの深化、水問題や生物多様性の保全に資するビジネスの開発・構築、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、CDP(Carbon Disclosure Project)他への開示対応等を通じた、グループ全体での自然資本の保全・回復に対する意識の向上

 

7)人権に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・昨今では、企業活動における人権尊重に対する社会的要請が高まっており、バリューチェーンを巡って生じ得る様々な人権リスクに適切に対処することが企業に求められております。当社グループも、企業活動における人権の尊重は、事業展開を行っていく上で基本となる事項と認識し、「すべての人を大切にする」という視点を持ちバリューチェーン全体を通じて正しいビジネスを追求しております。しかしながら、人権リスク管理体制の構築・運用が不十分であり、人権上問題のある調達・購買、不適切な労働環境等がバリューチェーン上に存在することが発覚した場合、レピュテーションの低下ひいては企業価値を毀損する可能性があります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、人権尊重の取り組み推進によるステークホルダーからの信頼獲得等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの構築等、バリューチェーン全体を通じた人権リスクへの対応体制整備による人権リスクの低減

 

 

8)事業基盤に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・当社グループが今後も事業を継続し成長して行くためには、適切な人材の確保は不可欠です。当社グループでは、必要な人材を確保の上、会社・従業員ともに成長できるよう経営戦略に連動した人材戦略を推進しておりますが、生産労働人口の減少、人材流動化に加え、特定領域における人材ニーズの高まり等により、必要な人材を採用・確保できず、成長戦略が実行できない可能性があります。

・また、昨今では、多様な人材が互いに尊重し合い力を発揮できる、多様性が包摂された組織に対する社会的要請が高まっております。当社グループでは、社会的責任を果たすためだけではなく、当社グループの持続可能な成長のためにもダイバーシティを推進しておりますが、目標未達成によるレピュテーションの低下、採用競争力の低下やエンゲージメントの低下等の可能性があります。

・企業活動は、様々なステークホルダーからの理解の下成り立っておりますが、昨今は、ステークホルダーからの評価基準も多様化しており、情報開示が不十分である、あるいは、当社への認知・共感が進まないことによる当社への評価の低減ひいては企業価値の毀損の可能性があります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、人材獲得による企業文化の変革、組織の活性化、ステークホルダーの意見も踏まえた経営の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

低~中

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒グループ人材の活用促進、リスキル、イノベーター人材・特定の分野の人材が活躍できる社内制度の構築等による新たな人材の獲得・企業文化の変革

⇒女性活躍推進のための方策のブラッシュアップ、グループ全体での障害者雇用の促進、性的マイノリティ社員に対する制度の適用拡大・必要な環境整備等による組織の活性化

⇒情報開示、主要機関投資家との対話活動の充実等による株主意見の経営への適切な反映、ステークホルダーに対する持続的成長・企業価値創造ストーリーの訴求、財務と非財務を統合した経営の推進等による企業価値の向上

 

 

9)DXに関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・昨今では、デジタル技術の進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっております。他業界での新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例が発生する等、デジタル技術の導入・活用は事業の継続・成長に不可欠な要素となっておりますが、対応が遅れ、業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。

・また、アプリケーションの高度化・専門化によるシステムトラブルの増大に加え、サイバー攻撃も激化しておりますが、情報システムセキュリティの構築が不十分な場合、情報システムが機能不全に陥る、あるいは社内からの情報漏洩が発生する等業績や信用にダメージを与える可能性があります。

・当社グループは、VISION 2030の基本戦略として「DXを通じた企業変革」を掲げており、それを支えるIT・データ基盤の整備・強化が急務となっております。企業に対する要請が多様化する中、現行の業務システムの使用を継続する場合、新たに対応すべき業務に関する工数の増加やヒューマンエラーの発生等により効率化が実現しない可能性があります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、最適なデジタル技術の活用による開発力強化、生産性向上、生成AI等の新規技術の積極的活用による業務効率化・生産性向上の実現、業務システム更新による経営効率の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

中~大

低~中

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒当社グループのDXロードマップ維持・更新、グループ内DX技術交流の実施による各分野の最新動向・実践状況の共有、GPT等重要技術活用に関する全社ガイドラインの制定・遵守等によるDXへの組織適応力向上、競争優位の実現

⇒デジタル技術の活用による業務の見直し、効率化、生産・技術力の向上

⇒サイバー攻撃に対する防御体制の構築、インターネットトレーサビリティの向上、AIに関する内容を含む、DX教育による従業員の意識の向上と学習機会の設置・社則の周知徹底等による情報システムセキュリティの強化

⇒新たな業務システム導入の推進による経営効率の向上

 

 

10)経営管理・監督に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・当社グループは、VISION 2030 において、当社グループが目指す未来社会である「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、従来の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な経営基盤・事業基盤を構築し、企業変革の加速に努めておりますが、必要な経営資源の確保、配分及び成長に向けた投資を適切に実行できず、事業の育成・拡大が遅延し、経営目標が未達となる可能性があります。また、タイムリーな投資の意思決定ができず成長の機会を逸する可能性もあります。

・近年は、資本コストを意識した経営が強く求められており、当社グループにおいてもROIC経営を浸透させるべく、社員一人一人の投下資本の回収に対する意識を強め、資本収益性の向上を図っておりますが、単なるKPI管理に終始する等施策の徹底が不十分となり、意図した結果が得られない可能性があります。

・当社グループの各事業領域においては、M&Aや事業再編の動きが活発化してきており、案件の増加、規模の拡大及びデュー・ディリジェンスの対応範囲の拡大が見込まれますが、適切な人材を十分に育成・確保できず、成長機会を逸するあるいは、M&Aで取得した会社や事業の瑕疵、PMIの不調等により業績への悪影響が発生する可能性もあります。

[機会]

・一方で当該リスクについては、適切な経営資源の確保・配分による経営目標の実現、タイムリーな投資の実行による競争優位の実現、社員一人一人の意識変革による資本収益性の向上等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

低~中

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒成長率、資本効率性に基づく事業分類によるポートフォリオ変革の加速

⇒重点事業分野への集中的な資源投下、重点課題明確化による経営効率の向上、資本効率の低い事業/関係会社の早急な再構築推進

⇒ROIC経営浸透に向けた教育の充実、投下資本削減によるROICの向上

⇒M&Aに関する知見・情報の全社的な共有・展開、関連人材の育成・獲得、PMI実施・サポート体制の充実化等によるM&Aシナジーの最大化

 

 

11)マクロ環境に関するリスク

リスク概要と対応

影響度

発生確率

[脅威]

・当社グループの事業は、顧客、市場、提携先や業界全体の動向、競合他社の事業展開等外部環境の影響を受ける恐れがあり、これらの外部環境の影響により、当社グループの事業戦略の前提となった事実が変化した場合には、事業戦略が予定どおり進まず、期待したとおりの効果を奏せず、又はそれらの変更を余儀なくされる可能性があります。

・製品については、価値観やライフスタイルの変化、技術革新等による顧客ニーズや市場構造の変化、競合他社の能力拡大や品質・性能向上による価格競争の激化、原材料や物流等のコスト増加、金利・為替相場の変動による収益の悪化等の可能性があります。

・また、当社グループは、国内外で幅広く事業活動を展開しておりますが、各国/地域毎にニーズやペインの多様化が進んでおり、グローバルな市場環境に合わせた対応ができず、海外で競争劣位となり、成長機会を失う可能性もあります。

・昨今では、国内競合を中心とした業界の再編機運も高まりを見せておりますが、対応が後手に回る場合、当社のプレゼンス低下や競争劣位に陥る可能性があります。

[機会]

・一方で、当該リスクについては、地域・他社との連携拡大を通じた資本効率の高い事業への転換、新たな市場に対応する素材や機能・サービスの提供による事業の優位性の強化、各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現等、当社グループの成長につながる可能性もあります。

低~中

[対応]

・当該リスクに対しては、次のとおり取り組んでまいります。

⇒差別化製品・高機能/環境型製品の市場投入、新規市場の開拓、知的財産への取り組み強化等による市場競争力の維持・向上

⇒当社製品の付加価値向上・価格転嫁、原材料の安価調達、最適な稼働調整による原料・製品在庫管理の徹底、設備投資額の精査・最小化等による製品競争力の強化

⇒環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善

⇒グランドデザインに基づく具体的な地域戦略の策定、ローカル人材の育成、国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化等による各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現

 

 

③当連結会計年度に認識した優先的に管理すべきリスク

 当連結会計年度においては、全社リスクレビューにより、上述②のとおり設定した全社重点リスクを更に財務・非財務、リスク管理の時間軸の観点から整理・分類し、次の5つを当社グループが優先的に管理すべきリスクとして選定しました。また、各リスクにリスクオーナーを選定し、それぞれが担当するリスクにつき、全社俯瞰的なリスク管理状況の可視化を図り、必要に応じて関係領域への助言を行うとともに、リスクマネジメント委員会への報告を行う運用とします。リスクオーナーがそれぞれの担当するリスクに関して、各リスクマネジメントオーナーのリスク管理方針を束ね、会社としての均一性や統一性を持たせることで管理の効率化とより高い成果の実現を目指します。

 

全社重点リスク

カテゴリー

リスク及び想定される事象

リスクオーナー

(サブオーナー)

5)気候変動に

関するリスク

・リスク:カーボンニュートラル戦略の遂行

・想定される事象

[脅威]GHG排出削減計画の遅延によるレピュテーション低下、カーボンプライシングに伴うコスト増、Blue Value®、Rose Value®製品・サービスの開発・販売の伸び悩みで価値訴求未達

[機会]低GHGの新規事業創出による企業成長とカーボンニュートラルの両立、GHG排出量削減によるカーボンコスト増加影響の抑制

生産・技術本部及び

グリーンケミカル事業推進室管掌社長特別

補佐

(生産・技術本部担当役付執行役員/研究開発本部担当役付執行

役員)

[対応]

次のカーボンニュートラル戦略に関する各施策の適切な推進

・低炭素原燃料への転換

・高エネルギー効率機器の導入等による省エネ

・再生可能エネルギーの導入

・CCUS等カーボンネガティブ技術の開発・導入

・バイオマス品、リサイクル品の開発

・Blue Value®・Rose Value®製品・サービスの拡大

・カーボンプライシングに伴うコストの低減 等

 

全社重点リスク

カテゴリー

リスク及び想定される事象

リスクオーナー

(サブオーナー)

8)事業基盤に

関するリスク

・リスク:人材マネジメント

・想定される事象

[脅威]必要な人材を採用・確保できず成長戦略が実行できない

[機会]新たな人材の獲得と活用による、企業文化の変革の実現

人事部・グローバル人材部担当役付執行役員

(CTO(※)/生産・技術本部及びグリーン

ケミカル事業推進室

管掌社長特別補佐)

[対応]

・計画的な定期・キャリア採用の継続

・グループ人材の活用促進(女性、シニア、国内外直採)、リスキル

・定年後再雇用制度の見直し

・イノベーター人材・特定分野の人材が活躍できる社内制度の構築

・業務効率化、改善

(※)Chief Technology Officer

 

 

 

全社重点リスク

カテゴリー

リスク及び想定される事象

リスクオーナー

(サブオーナー)

9)DXに関する

リスク

・リスク:情報セキュリティ

・想定される事象

[脅威]サイバー攻撃や社内のアクセス管理不備等に起因する情報漏洩により、業績や信用に大きなダメージ発生

総務・法務部

担当役付執行役員

(情報システム統括部担当役付執行役員)

[対応]

・内外環境変化に対応した会社情報管理体制の強化・社則整備

・牽制含む予防体制の構築、発生時の迅速な原因究明と対抗策の策定

・情報保管と持ち出し手段の適切な管理

・セキュリティ意識の向上と学習機会の設置、社則内容の周知徹底

 

全社重点リスク

カテゴリー

リスク及び想定される事象

リスクオーナー

(サブオーナー)

11)マクロ環境に

関するリスク

・リスク:戦略連携の強化

・想定される事象

[脅威]国内競合を中心に機運の高まりを見せる業界再編への対応の重要性が高まる

[機会]地域・他社との連携拡大を含む業界再編の動きへの的確な対応を通じた資本効率の高い事業への転換

経営企画部

担当役付執行役員

(ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部担当役付執行役員)

[対応]

環境変化を捉えた、他社連携も含む当社の取り得るオプションの検討等による資本効率の改善

 

全社重点リスク

カテゴリー

リスク及び想定される事象

リスクオーナー

(サブオーナー)

11)マクロ環境に

関するリスク

・リスク:グローバル展開

・想定される事象

[脅威]各国/地域毎のニーズ/ペインの多様化に合わせた対応を取れないことによる、海外での競争劣位、成長機会の喪失

[機会]各地域の市場環境へのタイムリーな対応によるグローバルな事業成長の実現

地域戦略推進部担当

役付執行役員

(経営企画部担当

役付執行役員)

[対応]

次の取り組み等による、地域に即した事業企画、製品開発の創出力強化及び各地域の市場環境にタイムリーに対応したグローバルな事業成長の実現

・地域戦略グランドデザインの策定

・グローバルコミュニケーション体制の構築

・ローカル人材の育成

・国/地域発のビジネスアイディアの発掘による事業発信力強化

 

 

 

<全社重点リスク分類表>

財務

●資本効率を意識した経営

●サプライチェーンの分断

●製品コストの上昇

●市場における競争の激化

●事業継続(BCP)

●M&A、事業譲渡

●経営資源配分

●戦略連携の強化(※)

●市場ニーズの変化

●新事業の創出

●投資判断

非財務

●海外の有事

●プラントトラブル

●品質マネジメント

●情報セキュリティ(※)

●法令・規制の強化、変更

●化学品規制

●安全・環境

●コンプライアンス

●DX技術の活用

●技術革新

●業務システムの更新

●ステークホルダーコミュニ

ケーション

●グローバル展開(※)

●人材マネジメント(※)

●カーボンニュートラル戦略の

遂行(※)

●プラスチック問題

●DE&I推進

●人権尊重

●自然資本の保全

 

← 短期的リスク →

← 中長期的リスク →

(※)優先的に管理すべきリスク

 

 上記5つの優先的に管理すべきリスクは、対応の緊急性が高いものだけではなく、当社グループ理念あるいは長期経営計画「VISION 2030」達成のため、長期的な視点で今の時点から重点的な対応が必要と判断したリスクも含みます。例えば「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く当社グループの存続を脅かすリスクと認識している一方で、「カーボンニュートラル戦略の遂行」リスクは企業グループ理念にも直結するマテリアリティとして、VISION 2030の実現に不可欠な「機会」を的確にとらえるため、今の時点から注力していく必要があると考え取り上げました。いずれのリスクも当社の単独部門のみで対処せず複数部門が関わりグループ一丸となって管理すべきリスクと考えています。

 リスクマネジメント委員会において5つのリスク特性をとらえた管理手法を議論した結果、特に「情報セキュリティ」リスクは、緊急性が高く全社横断的な取組みの効率的な可視化が必要であるため、2025年度の全社各部の予算書においてその具体的方策を策定の上、達成状況をリスクマネジメント委員会が確認することとしています。その他の4つのリスクについても、個別事業戦略ないし機能戦略の責任者である役付執行役員をリスクオーナーにも指名することで、戦略と一体となったリスク管理に取り組んでまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容

 

①全般的状況

当連結会計年度における世界経済は、一部の国や地域においては需要の減少や金融引き締め等を背景とする回復鈍化の傾向がみられたものの、景気持ち直しの動きが継続しました。

日本経済においては、一部に足踏みが残るものの、雇用や所得環境の改善もあり、景気持ち直しの動きが継続しました。

また、化学工業界においては、川下製品の需要鈍化の影響を受け、国内のナフサクラッカーの稼働率は低調に推移しました。

このような情勢のもとで、当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、ESGを中核に据えた経営を行っていくことで、事業活動を通じた社会課題解決に取り組んでおります。また、目指すべき企業グループ像として、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を掲げております。また、2021年度に策定した長期経営計画「VISION 2030」のもと、当社グループが目指す未来社会に向けて、変革を加速しております。

ライフ&ヘルスケア・ソリューション領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長・人口増加に伴い、生活の質(QOL)向上や、食資源の不足等の社会課題への関心が高まっています。世界トップシェアのビジョンケア材料では、欧米に加えて中国やインドでも高まる高付加価値レンズ需要に応えるため、昨年生産能力を増強した当社大牟田工場において、さらにプラントの新増設を決定しました。2028年度上期の営業運転開始を予定しております。金属から樹脂への材料転換が進む歯科材料においては、当社、子会社であるサンメディカル㈱及び資本提携先である㈱松風の3社業務提携によりそれぞれのユニークな技術を融合した新製品「歯科材料 i-TFCルミナスⅡシリーズ」の販売を開始しました。

モビリティソリューション領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。柔軟・軽量という特長を持ち、自動車、包装資材など幅広い分野で使用され、太陽電池モジュールの封止シート向けに採用が広がっているタフマーは、更なる用途展開による需要獲得を目指し、シンガポールにおいて進めていた新プラントの建設を2024年度に完工し、2025年度の商業運転開始を予定しております。また、当社及び子会社である㈱アークが開発したダイレクトペレット式3Dプリンティング部品と、当社が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂シート「TAFNEXCF/PP」が、TOYOTA FORTUNERをベースにした高機能コンセプトカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に搭載されました。この実現には、試作から量産までの製品開発支援企業で業界国内最大手である㈱アークの技術が貢献しております。

ICTソリューション領域では、高速通信、AIの開発等、世界的なデジタル化の進展に伴い、安全・快適なインフラ、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G等の情報通信(ICT)分野における進化の重要性が高まっております。中長期的な拡大と継続的な技術革新が見込まれる半導体関連市場において、当社グループとしてのシナジーをこれまで以上に追求するとともに、迅速な意思決定を実現するため、ICT分野に特化したフィルムソリューション企業として三井化学ICTマテリア㈱を設立し、2024年4月より営業を開始しました。また、次世代半導体パッケージ基板の分野における市場競争力や顧客へのソリューション力の強化のため、新光電気工業㈱の株式取得を目的とした特別目的会社への出資を完了するとともに、2024年10月には、ICT領域の開発をさらに強化するため、当社名古屋工場内に新たな研究開発拠点として「クリエイティブインテグレーションラボ」を開所しました。

ベーシック&グリーン・マテリアルズ領域では、石化・基礎化学品を中心とする従来の基盤素材領域において、ボラティリティ低減及びダウンフロー強化を通じた高機能・ニッチ品の拡大を通じて事業再構築を進めており、引き続き収益安定化に向けて更なる再構築を推進しております。当社岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)プラントを2024年10月に停止し、当社市原工場のフェノールプラントを2026年度までに停止することを決定したほか、西日本におけるエチレンプラントのカーボンニュートラル実現に向けて、当社、旭化成㈱、三菱ケミカル㈱の3社で連携し、エチレンプラントのグリーン化や将来の能力削減も含めた生産体制最適化を検討することで合意しております。また、自動車部品や家具寝具、住宅や冷蔵庫の断熱材等、多くの分野で使用されているジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の更なる需要拡大に対応するため、2024年9月に韓国における生産設備を増強しました。

 

このような情勢のもとで、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。

なお、当社は経営指標の一つとしてコア営業利益を採用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。

 

 

売上収益

コア営業利益

営業利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

当連結会計年度(億円)

18,092

1,010

783

322

前連結会計年度(億円)

17,497

962

741

500

増減率(%)

3.4

4.9

5.7

△35.5

 

売上収益は、前連結会計年度に比べ595億円増(3.4%増)の1兆8,092億円となりました。これは、ナフサ等原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、為替差などによるものです。

 海外売上収益は9,359億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ1.2ポイント増の51.7%となりました。

 

コア営業利益は、前連結会計年度に比べ48億円増(4.9%増)の1,010億円となりました。これは、主にライフ&ヘルスケア・ソリューション及びICTソリューションセグメントにおける販売の増加などによるものです。

なお、当連結会計年度の為替レートは153円/$、国産ナフサ価格は75,600円/KLとなりました。

 

営業利益は、コア営業利益の増加に伴い、前連結会計年度に比べ42億円増(5.7%増)の783億円となりました。

 

金融収益・費用は、前連結会計年度に比べ59億円悪化の67億円の損失となりました。

 

以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ17億円減(2.3%減)の716億円となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、主に法人所得税費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ178億円減(35.5%減)の322億円となり、基本的1株当たり当期利益は170.56円となりました。

 

 

 

②セグメント別の状況

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

 なお、当社は、2024年4月1日に実施した組織改正に伴い、本州化学工業㈱他一部の連結子会社並びに持分法適用会社の帰属セグメントを見直しております。これに伴い、前連結会計年度比較にあたっては、前連結会計年度分を変更後のセグメントに組み替えて行っております。

 

(ライフ&ヘルスケア・ソリューション)

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ241億円増の2,958億円、売上収益全体に占める割合は16%となりました。また、コア営業利益は、主にビジョンケアの販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ42億円増の342億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。

ビジョンケアのメガネレンズ用材料は、販売が堅調に推移しました。

オーラルケアは、販売が前連結会計年度並で推移しました。

農業化学品は、販売が堅調に推移しました。

不織布は、事業統合により販売が増加しました。

 

(モビリティソリューション)

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ258億円増の5,698億円、売上収益全体に占める割合は32%となりました。一方、コア営業利益は、主にエラストマーの販売が堅調に推移したものの、一時的な市場環境の変化に伴う交易条件の悪化により、前連結会計年度に比べ18億円減の559億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。

エラストマーは、販売が堅調に推移しました。一方、一時的な市場環境の変化に伴い交易条件が悪化しました。

PPコンパウンドは、販売が前連結会計年度並で推移しました。また、価格改定及び為替差により交易条件が改善しました。

ソリューション事業は、販売が前連結会計年度並で推移しました。

 

(ICTソリューション)

当セグメントの売上収益は、子会社株式の一部譲渡に伴う持分法適用会社化により、前連結会計年度に比べ406億円減の2,188億円、売上収益全体に占める割合は12%となりました。一方、コア営業利益は、上記の持分法適用会社化による減少があったものの、主に半導体・光学材料の販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ22億円増の258億円となりました。以上により、セグメント全体では、減収・増益となりました。

半導体・光学材料は、半導体及びスマートフォン市場の回復により販売が堅調に推移しました。

コーティング・機能材は、販売が堅調に推移しました。

ICTフィルム・シートは、為替差等により交易条件が改善しました。

 

(ベーシック&グリーン・マテリアルズ)

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ501億円増の7,100億円、売上収益全体に占める割合は39%となりました。一方、コア営業損失は、上期において定期修理のため生産を停止していたエチレンプラントの生産再開の延期があったものの、価格改定やナフサ等原料価格の変動に伴う在庫評価損益の良化による交易条件の改善により、前連結会計年度に比べ2億円減の114億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・コア営業損失の改善となりました。

ポリオレフィン及びフェノール類は、販売が低調に推移しました。

ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要減少の影響に加え、上記生産再開の延期の影響を受け、低調に推移しました。

 

(その他)

当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ1億円増の148億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。一方、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ9億円増の26億円となりました。

 

売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。

 

(売上収益)

(単位:億円)

 

 

 

第27期

 

 

第28期

 

増減

 

数量差

価格差

ライフ&

ヘルスケア・

ソリューション

2,717

2,958

241

183

58

モビリティ

ソリューション

5,440

5,698

258

149

109

ICT

ソリューション

2,594

2,188

△406

△459

53

ベーシック&

グリーン・

マテリアルズ

6,599

7,100

501

△74

575

その他

147

148

1

1

消去又は全社

合計

17,497

18,092

595

△201

796

 

(コア営業損益)

(単位:億円)

 

 

 

第27期

 

 

第28期

 

増減

 

数量差

交易条件

固定費差他

ライフ&

ヘルスケア・

ソリューション

300

342

42

59

38

△55

モビリティ

ソリューション

577

559

△18

62

△35

△45

ICT

ソリューション

236

258

22

62

6

△46

ベーシック&

グリーン・

マテリアルズ

△116

△114

2

△32

82

△48

その他

△17

△26

△9

△9

消去又は全社

△18

△9

9

9

合計

962

1,010

48

151

91

△194

(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差)

 

③経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション及びベーシック&グリーン・マテリアルズの各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。

 

a 売上収益について

 売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。

 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。

 販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。

 

b コア営業利益について

 コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。

 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。

 交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。

 固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a 生産実績及び受注実績

 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。

 

b 販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

前年同期比(%)

ライフ&ヘルスケア・ソリューション(百万円)

295,781

8.9

モビリティソリューション(百万円)

569,813

4.7

ICTソリューション(百万円)

218,791

△15.7

ベーシック&グリーン・マテリアルズ(百万円)

710,042

7.6

報告セグメント計(百万円)

1,794,427

3.4

その他(百万円)

14,737

△0.3

合計(百万円)

1,809,164

3.4

 (注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三井物産㈱

326,423

18.7

346,951

19.2

 

 

(2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容

 

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ618億円減の2兆1,540億円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ476億円減の1兆1,834億円となりました。また、有利子負債は198億円減の7,917億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント増の36.8%となりました。

 

 

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

有利子負債残高(億円)

5,638

7,151

7,947

8,115

7,917

有利子負債比率(%)

36.2

37.0

38.4

36.6

36.8

 

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ142億円減の9,706億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ0.5ポイント増の39.4%となりました。

以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.04ポイント増の0.73となりました。

ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。

 

0102010_009.png

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ397億円減の1,706億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ392億円増の2,005億円となりました。これは主に、運転資本が減少したことなどによるものです。

この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の5.0から3.9に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは21.6倍から25.0倍に増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ411億円増の1,650億円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出が増加したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ484億円増の744億円となりました。これは主に、有利子負債の返済額が増加したことなどによるものです。

なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。

 

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

親会社所有者帰属持分比率(%)

39.0

36.8

38.0

38.9

39.4

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

44.0

30.9

31.3

37.2

29.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

3.2

7.7

7.8

5.0

3.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

37.1

23.3

17.2

21.6

25.0

(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。

 

0102010_010.png

 

②資金の調達について

当社グループの資金調達については、

1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。

2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。

3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。

を基本的な考え方として実施しております。

 

 また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。

 

③資金の流動性について

 資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。

 

④資本政策のための基本方針

 当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。

 このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり安定して推移しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。

 今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。

 一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。翌連結会計年度以降の株主還元方針としましては、資本効率を向上させながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。

 

0102010_011.png

 

(4) 目標とする経営指標の達成状況等

 

 2030年度長期経営目標に対する2024年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。

 

 

当連結会計年度(計画)

当連結会計年度

(実績)

当連結会計年度

(計画比)

2030年度長期経営目標

コア営業利益

1,250億円

1,010億円

240億円減

(19.2%減)

2,500億円

親会社の所有者に帰属する当期利益

730億円

322億円

408億円減

(55.9%減)

1,500億円以上

親会社所有者帰属持分当期利益率

(ROE)

8.3%

3.8%

4.5ポイント減

13%以上

Net D/E

0.73

0.73

0.8以下

投下資本利益率

(ROIC)

4.9%

4.2%

0.7ポイント減

9%以上

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRS会計基準に準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第312条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

 

5【重要な契約等】

 

合弁会社契約等

契約会社名

設立年月日

及び契約締結先

商号及び資本金

主たる目的

出資比率、

設立条件等

三井化学株式会社

(当社)

1960年12月14日

イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー

(アメリカ)

三井・デュポン ポリケミカル株式会社(現 三井・ダウ ポリケミカル株式会社)

設立時資本金   2,800百万円

現資本金     6,480百万円

エチレン酢酸ビニルコポリマーその他のエチレンコポリマーの製造及び販売

設立時資本金のうち各半額を当社は現金出資し、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーは高圧ポリエチレンの製造技術を現物出資した。

三井化学株式会社

(当社)

1994年11月23日

東レ株式会社

三井物産株式会社

ピーティー・ユオノ・パンチャツンガル

(インドネシア)

ピーティー・インドネシア・トーレ・シンセティックス

(インドネシア)

ピーティー・ペットネシア・レジンド

設立時資本金  1,100万米ドル

現資本金    2,832万米ドル

ボトル用ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造、販売

設立時資本金は、当社が37.5%、東レ株式会社が32.5%、三井物産株式会社が5%、ピーティー・ユオノ・パンチャツンガルが15%、ピーティー・インドネシア・トーレ・シンセティックスが10%の割合で現金により出資した。

三井化学株式会社

(当社)

2005年4月1日

出光興産株式会社

株式会社プライムポリマー

資本金      20,000百万円

ポリエチレン及びポリプロピレンの製造、加工及び販売

当社が65%、出光興産株式会社が35%の出資比率で運営していくこととした。

三井化学株式会社

(当社)

2006年4月10日

現契約締結先:中国石化上海高橋石油化工有限公司

(中国)

上海中石化三井化工有限公司

設立時資本金  947百万人民元

現資本金   2,347百万人民元

中国におけるビスフェノールAの製造・販売

当社が50%、中国石化上海高橋石油化工有限公司が50%の出資比率で運営していくこととした。

三井化学株式会社

(当社)

2012年5月28日

現契約締結先:中国石化上海高橋石油化工有限公司

(中国)

上海中石化三井弾性体有限公司

設立時資本金  637百万人民元

現資本金   1,637百万人民元

中国におけるエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムの製造・販売

当社が50%、中国石化上海高橋石油化工有限公司が50%の出資比率で運営していくこととした。

株式会社プライムポリマー

(連結子会社)

2012年10月19日

三井物産株式会社

Prime Evolue Singapore Pte. Ltd.

資本金    115百万米ドル

メタロセンポリマーの製造・販売

資本金は、株式会社プライムポリマーが80%、三井物産株式会社が20%の割合で現金により出資した。

 

 

契約会社名

設立年月日

及び契約締結先

商号及び資本金

主たる目的

出資比率、

設立条件等

三井化学株式会社

(当社)

 

2018年8月8日

(契約締結日)

PTT Global Chemical Public Company Limited

(タイ)

TOC Glycol Company Limited

(タイ)

Siam Mitsui PTA Co., Ltd.(現 GC-M PTA Company Limited)

資本金       48億バーツ

 

高純度テレフタル酸の製造及び販売

当社が26%、PTT Global Chemical Public Company Limitedが49%、TOC Glycol Company Limitedが25%の出資比率で運営していくこととした。

三井化学株式会社

(当社)

 

2020年5月14日

(契約締結日)

株式会社松風

 

 

株式会社松風

増資後資本金   5,969百万円

 

歯科材料及び歯科用機器の製造・販売

当社は、株式会社松風の第三者割当増資を引き受け、当社持分を11.17%から20.01%に引き上げ、業務提携をさらに強化することとした。

三井化学株式会社

(当社)

 

2020年11月11日

(契約締結日)

三井物産株式会社

 

 

本州化学工業株式会社

資本金      1,501百万円

 

高機能樹脂、電子材料、医薬品、農薬などの原料となる各種化学品の製造及び販売

当社及び三井物産株式会社が共同して本州化学工業株式会社の普通株式を公開買付するために共同公開買付契約を締結し、当社及び三井物産株式会社の持分比率をそれぞれ51%及び49%とした。

三井化学株式会社

(当社)

2021年9月10日

(契約締結日)

Meiji Seikaファルマ株式会社

三井化学アグロ株式会社

(連結子会社)

株式会社MMAG

資本金       100百万円

 

農薬の研究、開発、製造販売及び輸出入

Meiji Seikaファルマ株式会社の農薬事業を株式会社MMAGに承継させた上で、三井化学アグロ株式会社が同社の全株式を取得し、完全子会社化した。

三井化学株式会社

(当社)

2021年12月7日

(契約締結日)

日本特殊陶業株式会社

株式会社日本エム・ディ・エム

医療機器の開発製造及び輸入販売並びに全国主要病院及び医師への医療商品の紹介

当社は、日本特殊陶業株式会社が保有する株式会社日本エム・ディ・エム株式の全量を譲受け、同社の持分比率を30%とした。

三井化学株式会社(当社)

2023年10月2日

(企業結合日)

旭化成株式会社

エム・エーライフマテリアルズ株式会社

資本金       500百万円

現資本金      100百万円

日本国内及びタイにおける不織布関連製品の開発、製造及び販売

当社が60.62%、旭化成が39.38%の割合で共同新設分割により統合会社を設立した。

三井化学株式会社(当社)

2023年6月28日

レンゴー株式会社

株式会社トクヤマ

 

 

アールエム東セロ株式会社

資本金      3,450百万円

食品・飲料・日用品・梱包資材等に使用される包装用フィルム、発泡シートの製造・販売

当社子会社であった三井化学東セロ株式会社のパッケージソリューション事業について、同社を存続会社として、レンゴー株式会社と株式会社トクヤマの合弁会社であるサン・トックス株式会社を吸収合併により経営統合し、アールエム東セロ株式会社として営業開始。当社の同社への出資比率は35.95%。

 

 

株式の取得

 

 当社は、2025年2月4日の取締役会において、資本業務提携契約を締結していた株式会社DNAチップ研究所の普通株式を公開買付けにより取得することを決議し、2025年2月5日より本公開買付けを実施しておりましたが、2025年4月7日をもって終了しました。本公開買付けの結果、当社は同社株式を3,669,512株取得し、出資比率は68.15%となり、同社は当社の連結子会社となっております。

 

 

6【研究開発活動】

当社及び連結子会社の研究開発は、当社研究開発本部の各研究所及び各連結子会社の研究開発部門によって推進されております。当連結会計年度の当社及び連結子会社の研究開発費は458億円であります。

当社グループの研究開発本部の組織は、次のとおりであります。

    ・研究開発企画管理部

    ・Mitsui Chemicals Singapore R&D Centre

    ・合成化学品研究所

    ・高分子・複合材料研究所

    ・生産技術研究所

    ・モビリティデベロップメントセンター

    ・ICTソリューション研究センター

    ・未来技術創生センター

当連結会計年度における各事業セグメント、新事業創出のための研究開発及びコーポレート研究の主要研究課題、研究開発費は、次のとおりであります。

(1) ライフ&ヘルスケア・ソリューション

当社において、「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」領域の製品群(ビジョンケア材料、パーソナルケア材料等)の開発を行っております。また、Kulzer GmbHとサンメディカル㈱は、当社との連携も含めて、オーラルケア分野の製品開発を行っております。他方、三井化学クロップ&ライフソリューション㈱では、農業用及び防疫用薬剤に関する製品開発を行っております。当連結会計年度では、各事業領域における新製品開発(歯科材料、産業資材用不織布、バイオ触媒、新規農薬原体等)に重点を置いております。また、医療関連領域においては、整形外科材料などのメディカル関連製品の事業創出に向けた研究開発を進めております。さらにエム・エーライフマテリアルズ㈱においては、高付加価値な不織布の開発を行っております。

  当セグメントに係る研究開発費は113億円であります。

(2) モビリティソリューション

主に当社において、「モビリティソリューション」領域の製品群(エラストマー、機能性コンパウンドおよびポリプロピレン・コンパウンド、複合材料製品等)の開発とソリューション(モジュールコンセプト等)の提案・提供を行っております。当連結会計年度では、モビリティや周辺産業が抱える社会課題を注視し、その解決に貢献する製品開発に重点を置いております。

  当セグメントに係る研究開発費は96億円であります。

(3) ICTソリューション

当社において、「ICTソリューション」領域の製品群(半導体・電子部品工程部材、光学材料、リチウムイオン電池材料・次世代電池材料、高機能食品包装材料等)の開発を行っております。また、2024年4月に発足した三井化学ICTマテリア㈱においてはICT分野に特化したフィルム・シート材料を開発しています。

  当セグメントに係る研究開発費は123億円であります。

(4) ベーシック&グリーン・マテリアルズ

当社において、「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」領域の製品群(フェノール誘導品、ハイドロキノン等工業薬品、ポリウレタン原料等)の事業強化に資する合理化プロセスの開発を継続的に行っております。また、当社では、DXを活用しポリオレフィン樹脂の競争力強化に資する高性能重合触媒の開発を、㈱プライムポリマーでは、当社との連携のもと、ポリオレフィン樹脂やポリプロピレン・コンパウンドの新銘柄・新製品開発を、それぞれ進めております。

  当セグメントに係る研究開発費は47億円であります。

(5) 新事業創出に向けた研究開発

当社においては、医・食・住における「社会課題を解決するソリューション」の創出に繋がる研究開発を進めております。注力領域として、ロボットソリューション、細胞培養ソリューション、エネルギーソリューション事業を選定し、自社開発には拘らずに社外の技術や資源も活用しながらソリューション提供に資する技術の開発を推進しております。

  新事業創出に係る研究開発費は8億円であり、その他セグメント及び全社費用等に計上しております。

(6) コーポレート研究

当社において、各セグメント領域における製品やサービスの維持・強化・拡充に必要な基盤技術開発並びに革新技術開発を行っております。特に、近年は、マテリアルズインフォマティクスや感性評価技術といった最先端の基盤技術の展開やオープンイノベーションによる新たな技術の獲得にも積極的に取り組んでおります。また、昨今の環境問題やカーボンニュートラル実現への取り組みとして、リサイクル関連および二酸化炭素の資源化に関する技術開発にも注力しております。

 

未来技術創生センターでは、長期的な視点からの未来技術の獲得・育成・蓄積、新事業・新製品創出に資する技術及び市場機会の探索に取り組んでおります。他方、Mitsui Chemicals Singapore R&D Centreでは、アジア・パシフィック地域発の新事業創出をミッションとして研究開発に取り組んでおります。

コーポレート研究に係る研究開発費は71億円であり、全報告セグメントに配賦しております。