第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「かかりつけの動物病院と連携し、より高度な医療・寄り添う心で、どうぶつを愛する家族の希望となる。」を企業ミッションとして掲げております。「動物にも人間と同じような高度な医療を受けさせてあげたい。」という飼い主様のニーズに応えるべく、人と変わらぬ最先端の医療設備や治療技術を追及するとともに、スタッフ一人ひとりが誠心誠意、心まで尽くすことを忘れず、飼い主さまの不安や期待に寄り添いながら動物医療に向き合っております。

 

(2) 経営戦略等

 当社は、拡大する二次診療ニーズに対し、高度な動物医療を提供する体制を整備してまいりました。しかしながら、多くのご紹介をいただく中で、診療ご希望が当社病院の受け入れ能力を恒常的に上回ってしまっており、全てのニーズにお応えできていない状況にあります。この課題に対応し、更なる動物医療の発展と一次診療施設様への支援を強化するとともに、事業の持続的成長、企業価値の向上を図るため、以下の施策を通じて診療能力を大幅に拡大するとともに、新たな事業機会の創出を行い、企業価値の向上を図ってまいります。

① 地理的拡大

 既存の病院機能の強化に加え、新たな地域への展開を進めます。具体的には、名古屋病院のリニューアルによる診療能力の増強(2027年春予定、現行比約2.5倍)および、九州・福岡エリアへの新規展開(2027年末以降予定)を計画しております。

② 既存病院の診療受け入れ能力の強化

 質の高い医療サービスの提供力を拡大するため、診療体制の強化を図ります。具体的には、獣医師・動物看護師等の専門人材に対する人的資本投資を拡大し、計画的な採用・育成策を推進します。また、AI技術等を活用した次世代型の新電子カルテシステムを開発・導入することにより診療フローの最適化を進め、より効率的で質の高い医療提供体制を構築し、獣医師が診療と飼い主様とのコミュニケーションに集中できる体制を構築します。これにより、診療受け入れ能力の拡大とともに、飼い主様・一次診療施設様の満足度向上を図ってまいります。

③ グループ能力の結集

 グループ全体の専門性を最大限に活かし、一次診療施設様への包括的な支援体制を強化します。具体的には、画像診断サービスを提供する株式会社キャミック、二次診療を担う当社、そして在宅ケア(酸素ハウス提供等)を提供する株式会社テルコムは、それぞれの分野におけるトップランナーであり、一次診療施設様からのご紹介を基盤としており、有機的に連携することで高い効果が見込まれます。これらグループ各社の専門能力を結集し、紹介元の一次診療施設様との連携を一層深め、より強固な関係性を構築してまいります。

④ DX・データ活用

 デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、データの戦略的活用を通じて新たな価値を創出します。当社グループは、画像診断データおよび診療データの保有においても業界をリードする立場にあり、日々最新のデータが蓄積されております。これらの貴重なデータを最大限に活用し、具体的には、AI等を実装した次世代型電子カルテシステムの開発・導入を進めるとともに、「動物医療インテリジェンスプラットフォーム」構想の実現を目指します。このプラットフォーム構想においては、当社が有する豊富な画像診断データや診療データを匿名加工の上で活用できるデータ基盤を構築し、AIによる診療支援や電子カルテへの入力自動化といったサービスの開発・提供を検討します。将来的には、全国約4,650の連携病院様、大学、製薬会社等へのデータ提供や共同研究といった協業も視野に入れております。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高の成長、各利益率の向上を伴った各段階利益の業績予想値を経営上の目標としております。その達成状況の検証のため、二次診療及び画像診断については初診数、総診療件数、連携病院数、獣医師数等を、在宅ヘルスケアサービスにおいては、契約数、代理店数などを定期的にモニタリングしております。

(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

 当社グループを取り巻く事業環境は、ペットの家族化や長寿化、医療技術の高度化を背景に、より専門的かつ高度な二次診療に対するニーズが一層高まっております。この旺盛な需要に応え、持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、先に掲げた経営戦略を着実に実行していくことが不可欠です。そのために以下の課題に優先的かつ戦略的に取り組んでまいります。

① 一次診療施設様等との関係強化

 当社グループは、一次診療施設様からのご紹介を基盤として成り立っております。継続的な事業成長のためには、紹介元の一次診療施設様との信頼関係をより一層深化させ、緊密な連携体制を構築・維持することが極めて重要です。診療情報のスムーズな共有、迅速かつ丁寧なフィードバック、症例や最新の治療方法の情報共有、治療実績等の提供などを通じて、相互理解を深め、一次診療施設様への診療支援と円滑な動物医療連携の実現を目指してまいります。また、大学との関係においても、共同研究や学術交流を推進することで、新たな治療法の開発に貢献し、動物医療全体の発展に寄与してまいります。

② 専門人材の拡充と育成

 高度な二次診療を提供し続けるためには、専門的な知識・技術を有する獣医師、動物看護師等の確保と育成が不可欠です。知名度の向上により獣医師の新卒採用は順調に進んでおりますが、しかしながら、専門性の高い人材の採用競争は激化しており、計画的な人材獲得と定着、そして継続的なスキルアップ支援が喫緊の課題となっております。魅力ある職場環境の整備、教育研修制度の充実、キャリアパスの明確化、データ活用等の先進的取り組み等を通じて、優秀な人材の確保・育成に努めてまいります。

③ 従業員満足度への対応

 質の高い医療サービスは、従業員一人ひとりの意欲と能力が最大限に発揮されてこそ提供できるものです。従業員が心身ともに健康で、やりがいを持って業務に取り組める環境を整備し、従業員満足度(ES)を向上させることが、医療の質の維持・向上、ひいては顧客満足度(CS)の向上にも繋がると認識しております。トップランナーとしての人事制度の抜本改正、労働環境の向上、コミュニケーションの活性化等を図り、従業員エンゲージメントの強化に努めてまいります。

④ グループ一体でのマーケティング

 当社グループは、画像診断(キャミック)、二次診療(当社)、在宅ケア(テルコム)の各分野においてトップシェアを有する専門性の高いサービスを提供しております。これらの強みを活かし、グループ一体となったマーケティング戦略を展開することで、一次診療施設様及び飼い主様に対し、当社グループならではの包括的なサービスの認知度向上と利用促進を図り、グループ全体のブランド価値向上と顧客基盤の拡大を目指してまいります。

⑤ 内部管理体制の強化

 事業規模の拡大及び事業領域の多様化に伴い、グループ全体のガバナンス体制及び内部統制システムの重要性が一層増しております。法令遵守はもとより、企業倫理の浸透、リスク管理体制の高度化、業務プロセスの標準化・効率化を進め、経営の透明性と健全性を確保するとともに、内部監査機能の強化や規程類の整備、従業員教育の徹底等を通じて、グループ全体の内部管理体制を強化してまいります。

⑥ 情報セキュリティ強化

 DX推進及びデータ活用を積極的に進める上で、患者様の大切な診療情報や当社グループの機密情報を保護するための情報セキュリティ体制の強化は最重要課題の一つです。サイバー攻撃の脅威が増大する中、情報資産の適切な管理と保護、情報漏洩リスクの低減が求められます。セキュリティポリシーの徹底、従業員への教育・啓発、最新のセキュリティ技術の導入、インシデント対応体制の整備等を進め、情報セキュリティレベルの向上に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、ご家族とどうぶつが安心して暮らせる社会を実現するため、サステナビリティに関する事項を取締役会で審議・承認し、対応状況を監督しております。

なお、当社のコーポレート・ガバナンスの概要は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであり、サステナビリティへの取り組みについても、この体制のもとで運営されています。

 

(2) リスク管理

 当社グループでは、一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクのほか、サステナビリティに関連するリスクについても、中長期経営計画の策定に合わせ、中期経営計画主要施策等に影響を与えうる事業環境を確認、整理するとともに、事業戦略等の見直しの必要性について、取締役会にて議論しております。

 当社グループのリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(3) 戦略

当社では、高度な動物医療の提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。その実現に向けた中心的な取り組みとして、各分野の獣医師や動物看護師などがそれぞれの専門知識を結集し、最適な治療法を探求する「チーム診療」を推進しております。個々の能力向上を最大限支援するとともに、それらの能力を結集して多様な専門性を持つメンバーが協力し合うことを重視し、これを全従業員の行動指針にも定めています。

この「チーム診療」を実質的なものとし、スタッフ一人ひとりが各分野のトップランナーとして最大限の能力を発揮できる環境を整備するため、人事戦略及び人的資本への投資を最重要課題の一つと位置づけております。具体的には、当社は、高品質な動物医療サービスを提供し続ける上で、従業員一人ひとりの能力と意欲、相互に協力しあう体制や風土の実現が収益の最大の源泉であると認識しており、以下の取り組みを推進しております。

これらの取り組みを基盤とし、二次診療における専門性のさらなる追求、一次診療施設様との連携強化、そして動物福祉の向上に資する活動を戦略の柱として、動物と飼い主様、さらには社会とのより良い共生の実現に努めてまいります。

 

① 人的資本の強化に向けた積極投資と、ミッション実現のための行動指針の徹底

当社は、従業員がその能力を最大限に発揮し、成長し続けられる環境こそが企業価値向上の基盤であると考え、トップランナーとしての処遇実現に向けた人事制度の抜本的改定や積極的な人的資本への投資を行っております。また、個々の技術を高めるだけでなく、診療や様々な業務運営において個人よりもチームを優先し、他者への思いやり、メンバーの育成を実践し、顧客満足度を第一に考えることを行動指針として徹底し、これを評価制度にも反映しております。これにより、働きがいと従業員満足度の向上を目指してまいります。

② 人材育成

当社のミッションを体現するために必要な、専門領域を早期習熟するための育成プログラムを整備し、運用しております。具体的には豊富な指導陣の基で多くの専門症例実績を経験できる研修制度を構築し、社員の成長とやりがいを醸成しながら、品質と専門性を確保してまいります。また、獣医師資格のほか、愛玩動物看護師資格の取得促進により、当社グループの成長を支える有資格者数を確保しております。

③ 最新知識へのアップデート

日々技術が進歩している動物医療業界におきましては、継続的な知識のアップデートが必要であり、当社では動物医療に関する学会やセミナー等への年間参加計画に沿った専門性維持向上施策により、高品質な専門性を確保するとともに、学会等との知見の共有により動物医療の発展に注力しております。

④ 多様性の確保

当社では高品質な動物医療サービスを提供し、ミッションを実現するために多様で優秀な人材が活躍できる環境が必要です。当社では基本的人権を保護し、人種、国籍、性別、宗教、信条、出生、年齢、心身の障がい、性的指向、その他の差別やハラスメントを行わず、従業員の自主性と創造性を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでおります。

 

(4) 指標及び目標

上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、指標の目標及び実績は以下のとおりであります。

                               (当社単体、各年度3月31日時点)

指標

目標値(2026年度

実績(当連結会計年度)

全獣医師数

120

91

女性管理職割合

35

34

女性労働者の育児休業取得率

100

100

男性労働者の育児休業取得率

100

88

有給取得率

95

82

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項及び具現化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から、積極的に記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に由来するリスク

① 事業環境の変化について

 当社グループは、動物医療関連事業を主たる事業領域としていることから、飼育動物の頭数の影響を大きく受けると考えられます。飼育動物の頭数は、人口動態、景気動向等の影響を受けると考えられ、一部の調査におきましては近年は減少傾向にあります。一方で動物の平均寿命は伸びてきており、高齢化による疾病が多様化していること、ペット保険の加入率が増加傾向にあること、動物1頭あたりにかける飼育費(診療費を含む)が増加傾向にあること等から、当社グループが手掛ける「動物の高度医療」に対するニーズはむしろ高まっていると認識しております。しかし上記の事業環境が悪化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 当社グループが主たる事業領域としている動物医療業界におきましては、動物病院の数は増加傾向にあります。その大部分は地域に密着した病院(一次診療施設)であり、当社グループのような一次診療施設から紹介を受ける診療施設(二次診療施設)は、人的資源及び多額の資金を必要とすることから比較的参入障壁が高いと思われ、これまでのところ急速に増加しているとは認識しておりません。また、当社グループは多くの専門診療科を有するいわゆる総合診療施設を志向しており、複数の専門診療科の連携によって患者動物に最適な診療サービスを提供することで、他の二次診療施設との差別化を図っております。

 現行の画像診断施設におきましても、当社の豊富な診療ノウハウの導入及び積極的な設備投資により、顧客のニーズに沿ったサービスの向上を図ってまいります。

 しかしながら、今後当社グループが十分な差別化やサービス向上を図れなかった場合や、新規参入等により競争が激化し、診療数の減少が進んだ場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に由来するリスク

① 診療サービスの過誤について

 当社グループは、提供する動物医療サービスの品質管理に細心の注意を払っておりますが、提供するサービスに過誤が生じるリスクがあります。その場合、当社グループは、サービスの過誤が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。さらに、サービスに過誤が生じたことにより社会的評価が低下した場合は、当社グループのサービスに対するニーズが低下する可能性があります。これらの場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 診療動物間での感染症の流行について

 当社グループでは、患者動物の感染症についても、診察時に患者動物の感染の有無の確認を行うことや感染症にかかった患者動物用の入院室を有していること等、厳重に対応しておりますが、患者動物の間で犬ジステンパー感染症、ケンネルコフ、猫のウイルス性上部気道感染症などの感染症が流行したことにより当社グループの社会的評価が低下した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 施設の展開及び設備投資について

 当社グループは日本の各地に積極的に施設(病院等)の展開を推進していく予定です。当社グループがサービスを提供していなかった地域に新たに施設を開設した場合、通常、顧客は徐々に増加してまいりますが、開設する地域によっては損益分岐点を上回るまでには相応の時間を要するため、開設からある程度の期間は赤字を計上する可能性があります。

 また、既存施設においても、今後の顧客増加に備えるため、あるいは医療サービスの品質の向上を図るため、継続的な医療機器等の設備投資が必要であると認識しています。施設の新設や設備投資を行ったものの、顧客数、症例数が想定を下回った場合には、稼働率が低下することになり、減価償却費等の費用の増加を吸収できず、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて

① 法的リスク

 当社グループの動物医療関連事業につきましては、「獣医師法」、「獣医療法」、その他法令により規制を受けておりますが、今後、それらの法令の改廃または新たな規制が設けられる場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点においては、行政処分に該当する事象は発生していないものと認識しております。

イ.獣医師法

 獣医師法では、獣医師の任務、免許の取得、免許の取消・業務の停止、義務等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.獣医療法

 獣医療法は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とした法律であり、診療施設の構造設備の基準、診療施設の管理、獣医療を提供する体制の整備のための基本方針等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.その他法令、及び法令改正対応

 前記獣医師法・獣医療法を始め当社グループが運営する事業に関係する法令改正については、管理部企画課を中心に情報収集を行っており、各部署において必要に応じた対応を行っています。

 特に農林水産省より「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」(第四次の基本方針/2020年5月27日付)が公表され、当社グループの主な事業分野である小動物分野における獣医療に関して、「獣医師の養成と獣医療技術に関する研修体制の体系的な整備」、「小動物診療におけるチーム獣医療提供体制の充実」、「小動物分野の獣医療に対する監視指導体制の整備及び獣医療に関する相談窓口の明確化」等を図ることとされております。この基本方針に基づく法改正等の動向により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当基本方針に沿うものとして2022年5月に施行された「愛玩動物看護師法」は、今後ますます重要性が増していくことが想定される愛玩動物を対象とした動物看護師の資質向上・業務の適正を図ることを目的に、愛玩動物看護師の国家資格化を定める法律で、2023年2月に最初の国家試験が行われました。当社グループが実践している獣医師と動物看護師の役割分担と連携を通じた「チーム獣医療」の提供の体制を充実させるため、取組を推進してまいります。

 

② 情報管理に関するリスク

 顧客や取引先の個人情報や機密情報を保護することは、企業としての信頼の根幹をなすものと認識しております。当社グループでは、社内管理体制を整備し、従業員に対する情報管理やセキュリティ教育等、情報の保護について様々な対策を推進しておりますが、万一、情報の漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、顧客等に対する賠償責任が発生するなど、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産等に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように取組んでおります。当社グループは、本書提出日現在において、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたり、またそのような通知を受けておりません。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合または認識していない権利が既に成立している場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性並びに使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。また、当社グループが使用する商標権が、第三者より侵害された場合には当社グループのブランドイメージが低下する可能性があるほか、解決までに多くの時間と費用を要する可能性があります。それらの場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスク

① 人材の確保及び育成について

 当社グループにおいて専門性の高い獣医師をはじめとする優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。これまで、給与・賞与支給水準の向上、退職金制度の創設などの待遇改善に努めてまいりました。また、新入社員及び中途入社社員に対する研修や、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の育成に努め、社内研修・カンファレンス、症例報告会、学会発表の指導等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。

 しかしながら必要とする人材を採用できない場合、また採用、育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外に流出した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である平尾秀博は、経営方針及び事業戦略等を決定するとともに、診療現場の運営にも携わっており、当社グループのビジネス全般について重要な役割を果たしております。

 当社グループは、経営ノウハウの共有、権限委譲や組織の整備などにより、同氏に過度に依存しない事業体制の構築に努めてまいりますが、今後何らかの理由で同氏が業務を執行することが困難となった場合は、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害・火災・事故への対応について

 地震、風水害等の自然災害により、事務所・設備・社員とその家族等に被害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績等が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは安全を第一とし、労使間において安全衛生委員会を設けて、安全対策の推進、安全教育の実施等を行っておりますが、万一、重大な労働災害、事故等が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 有利子負債依存度について

 当社グループは、設備投資費用や運転資金に必要な資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債が3,485,497千円(2025年3月末現在)、有利子負債依存度が39.8%と高い状況にあります。現状は借り換えも含め順調に調達ができておりますが、今後、金利水準が上昇した場合や計画どおりに資金調達ができなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。今後の利益還元につきましては、配当については成長投資とのバランスをとりつつ、連結配当性向20%以上かつ株主への利益還元の安定的拡大を基本方針としておりますが、通期業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、利益還元に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入にかかわる契約の一部には、財務制限条項が定められております。今後、当社の経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入についての期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、財務制限条項の詳細は、「第2 事業の状況 5.重要な契約等」に記載しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 動物医療業界では、ペットを大切な家族として考える人が増加し、ペットの高齢化に伴う疾病の多様化と動物医療の高度化への期待が高まっております。このような環境の中、当社グループは、“かかりつけの動物病院と連携し、より高度な医療・寄り添う心で、どうぶつを愛する家族の希望となる。”を使命とし、飼い主様のかかりつけ病院(一次診療施設)から紹介を受け、専門獣医師が高度な医療機器を使用して行う二次診療サービス、MRI・CTによる画像診断サービス、並びに動物の在宅ケアのための酸素濃縮器のレンタル・販売を展開してまいりました。

 二次診療サービスについては、順調に獣医師の採用が進み診療受入能力が向上したことで診療数は大幅に増加いたしました。また、2023年6月に診療を開始した大阪病院では、2024年5月に稼働を開始した放射線治療施設(川崎本院に続き2施設目)が、動物への負担が少ない治療を選択したい飼い主様のニーズを背景に順調に拡大いたしました。

 これらの結果、二次診療サービスにおきましては、初診数(新規に受け入れた症例数)は10,031件(前連結会計年度比21.4%増)、総診療数(初診数と再診数の合計)は34,991件(前連結会計年度比20.8%増)、手術数は3,068件(前連結会計年度比21.2%増)となりました。

 画像診断サービスについては、最新MRIへの入れ替え工事により7~8月に休業したため、検査件数は前連結会計年度比横ばいとなりました。

 動物用医療機器・健康管理機器レンタル・販売についても前連結会計年度比増加しました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,277,736千円(前連結会計年度比23.6%増)、営業利益720,974千円(前連結会計年度比45.1%増)、経常利益720,245千円(前連結会計年度比47.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益520,982千円(前連結会計年度比54.5%増)と増収増益となりました。

 

 

前連結会計年度

(千円)

当連結会計年度

(千円)

前期比増減率

(%)

売上高

4,270,195

5,277,736

23.6%

売上総利益

1,464,350

1,832,535

25.1%

営業利益

496,919

720,974

45.1%

経常利益

489,781

720,245

47.1%

親会社株主に帰属する

当期純利益

337,217

520,982

54.5%

ROE

9.0%

13.1%

4.1㌽

EBITDA

974,600

1,316,940

35.1%

 

b.財政状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は8,753,719千円となり、前連結会計年度末と比べて16,316千円減少いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ、179,366千円減少し、1,597,996千円となりました。これは主に現金及び預金が230,035千円減少した一方で売掛金及び契約資産が28,880千円、流動資産のその他に含まれる前払金が14,175千円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ、163,049千円増加し、7,155,722千円となりました。これは主に名古屋病院土地取得により土地が92,017千円増加、並びに大阪病院放射線治療棟開設に伴い建物及び構築物が278,484千円、工具、器具及び備品が365,921千円増加した一方で建設仮勘定が144,312千円減少及び有形固定資産の減価償却累計額が427,157千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は4,605,192千円となり、前連結会計年度末と比べて353,420千円減少いたしました。

 流動負債は1,554,172千円となり、前連結会計年度末に比べ15,561千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が123,879千円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が92,033千円、賞与引当金が64,035千円増加した一方で未払金が260,013千円減少したことによるものであります。また、固定負債は3,051,019千円となり、前連結会計年度末に比べ368,981千円減少いたしました。これは主に長期借入金が382,165千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は4,148,527千円となり、前連結会計年度末と比べて337,103千円増加いたしました。これは主に自己株式の取得により164,951千円減少、及び自己株式の処分により25,188千円増加、配当の実施による53,865千円の減少、並びに、親会社株主に帰属する当期純利益520,982千円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動による資金の増加1,372,376千円、投資活動による資金の減少994,383千円、財務活動による資金の減少608,029千円の結果、前連結会計年度末に比べ230,035千円減少し、1,107,603千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、1,372,376千円(前連結会計年度比52.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益720,263千円、減価償却費550,315千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、994,383千円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出953,678千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は、608,029千円(前連結会計年度は55.0%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入300,000千円、長期借入金の返済による支出681,493千円及び自己株式の取得による支出172,447千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 動物医療関連事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであります。当連結会計年度の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

 

売上種類の名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

    至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

二次診療サービス(千円)

3,786,597

129.8%

画像診断サービス(千円)

554,685

102.8%

動物用医療機器・健康管理機器のレンタル

・販売(千円)

925,259

114.8%

その他(千円)

11,193

166.7%

合計(千円)

5,277,736

123.6%

 (注)グループ間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社グループは、この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、5,277,736千円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、3,445,200千円(前連結会計年度比22.8%増)となりました。

 この結果、売上総利益は1,832,535千円(前連結会計年度比25.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,111,561千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。

 この結果、営業利益720,974千円(前連結会計年度比45.1%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度においては、家賃収入等の営業外収益31,273千円、支払利息等の営業外費用32,002千円を計上しております。

 この結果、経常利益は720,245千円(前連結会計年度比47.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益は720,263千円(前連結会計年度比46.6%増)となりました。法人税、住民税及び事業税275,676千円、法人税等調整額を△76,395千円計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は520,982千円(前連結会計年度比54.5%増)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの必要資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて外部からの資金調達を実施することを基本方針としております。

 今後の資金需要のうち、主なものは、新病院の開業や既存病院における新医療機器導入等の設備投資や、M&A等の戦略的投資等であります。

 これらの資金については、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関からの借入等の資金調達を実行してまいります。

 

5【重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

 当社は下記金融機関8行との間で運転資金の調達を目的としたシンジケートローン契約を締結しており、その内容は次のとおりであります。

 

トランシェA

トランシェB

トランシェC

形態

タームローン契約

(シンジケートローン契約)

契約締結先

株式会社横浜銀行

株式会社みずほ銀行

株式会社商工組合中央金庫

株式会社三井住友銀行

株式会社千葉銀行

株式会社三菱UFJ銀行

株式会社きらぼし銀行

横浜信用金庫

契約締結日

2017年6月28日

弁済期限

2027年6月30日

2027年9月30日

2038年6月30日

契約金額

1,332,750千円

1,300,000千円

1,700,000千円

借入利率

3ヶ月TIBOR+0.40%

3ヶ月TIBOR+0.30%

3ヶ月TIBOR+0.30%

期末借入残高

299,868千円

325,000千円

1,501,270千円

担保提供資産

当社所有の土地及び建物

財務制限条項

①連結貸借対照表における純資産の部の金額を、2016年3月期末の金額(995,993千円)の75%以上に維持すること。

②連結損益計算書上の経常損益につき2期連続して損失を計上しないこと。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、下記項目において研究開発を行っております。

(1)動物用医薬品、飼料

 当社の豊富な臨床症例を背景に、各種企業で開発された動物用医薬品等の認可に必要な治験業務を受託することにより、広く社会に貢献しております。また、豊富ながん症例を対象に遺伝子解析を行っており、新規薬剤開発に必要なデータの集積に努めております。なお、受託開発については当連結会計年度における研究開発費はありません。

(2)活動量計「プラスサイクル」

 動物医療分野における新技術進展に活用するため、大学や研究機関との共同研究を推進しております。当連結会計年度における研究開発費はありません。

(3)動物用医療機器・健康管理機器

 当期において、動物用医療機器・健康管理機器にかかる研究開発費は8,881千円であります。