以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
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(1) 東レ理念 東レグループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきました。 1955年にはこの考え方を初めて明文化した「社是」を制定し、創立60周年を迎えた1986年には現在の「企業理念」を最上位とする経営理念体系を整備しました。この経営理念は一部改定しながら受け継がれており、2020年5月に「東レ理念」として創業以来の考え方を改めて体系化しております。 「東レ理念」は、従来の経営理念である「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」に加え、企業理念を具現化するための企業姿勢を端的に示した「コーポレートスローガン」、東レグループが将来に向けて進む方向性を示した「ビジョン」、これらの考え方の基礎となる創業以来受け継いできた価値観・経営観などの「企業文化」、「経営者の信条」から構成されております。 |
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当社は企業理念の具現化において、社会の中で、お客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献していきます。
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(企業理念) |
わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します |
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(経営基本方針) |
お客様のために |
新しい価値と高い品質の製品とサービスを |
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社員のために |
働きがいと公正な機会を |
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株主のために |
誠実で信頼に応える経営を |
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社会のために |
社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を |
(2) 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)
人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えます。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む4つの課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めております。「2030年度に向けた数値目標(KPI)」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。
(2050年に向け東レグループが目指す世界)
(3) 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”
東レグループの長期戦略は、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指します。今後の事業環境は、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどで大きな変化が想定され、産業構造や社会システムの変化により事業機会が創出される一方で、これまで存在した事業が縮小するリスクもあります。私たちは産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現することを目標としております。
(4) 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”
2023年度から2025年度までの3年間を対象期間とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”は、「東レ理念」を起点として、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「『発展』と『持続可能性』の両立をめぐる地球規模の課題の解決への貢献」を通じた「持続的かつ健全な成長」の実現を目指し、その成長戦略を可能にするための価値創造、それを支える人材基盤の強化に注力して、投下資本効率、財務体質、人材の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を進めます。
“プロジェクト AP-G 2025”では、「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」を基本戦略として掲げ、成長領域であるサステナビリティイノベーション(SI)事業(注)とデジタルイノベーション(DI)事業の拡大、事業の高度化・高付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組みます。同時に、財務健全性を確保するために、利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行います。また、新たな成長軌道を描くために、高成長・高収益事業の拡大、低成長・低収益事業の構造改革を推進します。“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 経営上の目標の達成状況」に記載しております。
(注) サステナビリティイノベーション(SI)事業
「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に貢献する事業・製品群。
(“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略と具体的取り組み)
(“プロジェクト AP-G 2025”での各セグメント戦略と取り組み)
① 繊維事業
3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)を有し、テキスタイル、縫製品までのサプライチェーン一貫型事業をグローバルに展開しております。また衣料用途のみならず、工業、土木、農業、ライフサイエンスといったあらゆる用途で進化しており、近年はサステナビリティへの要請の高まりを受けて、バイオマス由来素材やリサイクル素材の開発・展開を強化しております。
当社グループは、(a) 技術開発力と多彩な素材群、(b) サプライチェーンへの対応力、(c) グローバルな事業展開、からお客様にソリューションを提供できることが特徴であり、“プロジェクト AP-G 2025”では「環境配慮型素材を活用した高感性・高機能商品による成長領域での事業拡大」「価値創出力強化による収益力向上」「競争力強化」を成長戦略として推進します。具体的にはリサイクルサプライチェーンの再構築、自動車向け人工皮革、エアバッグ事業の拡大、革新複合紡糸技術NANODESIGN®を活用した高付加価値製品の開発、及び衣料用途におけるファイバー・テキスタイル・縫製品の一貫供給体制の強化に取り組み、お客様と付加価値の創出に取り組みます。
② 機能化成品事業
(樹脂・ケミカル事業)
自動車の動力源が本格的に電動化し、自動化・IoT化が進むほか、サステナブル社会の本格化から、産業構造変化に応じた製品を先行的に投入することが重要となります。
樹脂事業は、多くの自動車用部品や民生用途に採用されておりますが、材料供給に留まらず、設計・加工法まで含めたトータルソリューションを提供することでお客様とともに社会問題を解決するパートナーとしてバリューチェーンを築いており、成長領域であるxEV向けの開発を進めて事業拡大を図ります。また、サステナブル社会への対応として環境対応(リサイクル)材料の事業規模を拡大するとともに、ケミカルリサイクルの技術開発を推進してリサイクルの高度化なども進めていきます。
ケミカル事業は、世界トップシェアであるファインケミカル事業において、食料の安定供給に貢献する農薬原料や半導体製造に貢献する溶剤を拡大するほか、3Dプリンターの造形素材に最適なPPS微粒子の自動車部品等への適用を進めます。
(フィルム事業)
自動車のxEV台数の拡大や自動化、コネクト化の進化により、車載用需要が拡大するほか、5G、IoTなど情報・インターフェースの進化により、回路材料での高精細化が進むと想定しております。また、世界的に環境規制の強化が進み、廃プラ削減・リサイクルへの要請が強まることから、マテリアルリサイクルの本格運用、ケミカルリサイクルへの参画のほか、モノマテリアル化への設計変更、生分解性フィルムの開発などに取り組みます。
具体的には、世界トップシェアのポリエステルフィルムで、MLCC (積層セラミックコンデンサ)離型用途において薄膜化・高電圧化への特性に対応するほか、半導体関連用途での高精細化の追求によってお客様の製品価値を向上し、サプライチェーンにおける付加価値を創出します。また、サステナビリティ対応の強化として離型用途フィルムの回収システムを構築していきます。
(電子情報材料事業)
半導体市場では、xEVや再生可能エネルギーの普及でパワー半導体の需要が増加しております。ディスプレイ市場においては、低消費電力の志向から有機EL比率は今後も堅調に上昇していくと想定しております。
高度なコア技術をベースに、お客様との強い信頼関係のもとで将来ニーズを先取りし、早期採用を実現するほか、強固な参入障壁を構築して業界標準化を実現し、有機EL関連材料や、半導体・実装・電子部品用高機能材料における市場拡大を着実に取り込み、事業の成長につなげていきます。
③ 炭素繊維複合材料事業
航空機用途において、ボーイング787の生産機数の回復が想定されるほか、新エネルギーの拡大、環境対応ニーズによる風力発電翼や燃料電池車用途(水素タンクや電極基材)、UAM (Urban Air Mobility)といった新しい事業機会が期待できます。
当社グループは50年におよぶ研究開発、データ蓄積に加えて、世界最高性能を有するレギュラートウ、最強のコスト競争力を有するラージトウをグローバルに提案・供給できる事業体制を擁し、世界の有力企業との信頼関係を築いております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、圧力容器等産業用途向けの生産設備を増強し、回復する航空機用途の取り込みだけではなく、成長する産業用途の事業拡大を図り、航空用途に依存しない事業基盤を構築します。
④ 環境・エンジニアリング事業
水処理事業では、人口の急速な増加などにより、自然の浄化作用だけでは「水量」と「水質」の確保が世界的に困難なことから、高品質・高速処理・省エネプロセスの膜処理技術が21世紀の必須技術となっております。当社グループが有する水処理分離膜のうち、海水淡水化・飲料水製造に用いられるRO膜(逆浸透膜)、及び下廃水再利用などに用いられるUF膜(限外ろ過)において高い市場成長を想定しております。
“プロジェクト AP-G 2025”においては、RO膜のグローバル供給体制の強化を推進するとともに、提案力や技術サービスなどの非価格競争力とコスト体質の徹底強化を継続し、グローバルシェアNo.1の獲得を目指します。また、渇水で苦しむ国・地域においては下廃水再利用の動きが加速していることから、RO膜とUF膜とを組み合わせた事業拡大を推進します。
エンジニアリング事業では、ライフサイエンス分野や半導体分野の成長を想定し、プラント事業・エレクトロニクス機器事業において拡大を図ります。
⑤ ライフサイエンス事業
医薬事業において、膵がん診断薬の事業化のほか、既存製品の海外展開や適応拡大を目指します。医療機器事業においては、透析事業において、AIを用いた治療法の最適化等によりQOL向上を目指すほか、HotBalloon™の改良品開発を推進して、患者数が増加している心房細動の根治可能な治療法として拡大を図ります。
(5) 事業環境変化への対応
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、人々の行動が変容したほか、地政学リスクの増大やデジタル技術の進化など、事業環境が大きく変化しました。しかし、地球環境問題や、エネルギー問題、健康長寿、新興国の人口増加など、世界が直面している大きな課題に変わりはなく、それら課題に、素材メーカーとして取り組んでいくという当社の姿勢も基本的には変わりません。“TORAY VISION 2030”で目指す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けた事業方針の下、サステナビリティイノベーション(SI)事業及びデジタルイノベーション(DI)事業を推進します。
以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況
「
① ガバナンス
当社グループは、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けた活動に取り組むため、サステナビリティイノベーション(SI)事業拡大、気候変動対策、サステナビリティ情報開示の各プロジェクトにおいて、気候変動対策や資源循環問題等に対する中長期的なロードマップや実行計画を策定、推進し、2030年の数値目標達成に向けた進捗管理を行っております。取締役会を補佐し、全社重要事項の協議機関である経営会議においては、同プロジェクトの内容及びサステナビリティに関する重要な方針、議題を協議しております。また、ガバナンス、工場・設備・生産、安全・衛生・環境、リスクマネジメント、人権・人的資本、研究・技術開発を担う各機能と連携して、東レグループ全体のサステナビリティに関する課題に取り組んでおります。
取締役会は、各機能での議論について年1回以上報告を受け、監督と意思決定を行っております。また、事業戦略の策定・経営判断に際して、サステナビリティに関する問題を重要な要素の1つとして考慮し、総合的に審議・決定しております。
(気候変動問題に関するガバナンス体制)
② リスク管理
東レグループは、2018年7月に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を策定した際、パリ協定を前提として、将来のリスクと事業機会を分析・整理しました。2019年5月にTCFDに賛同したことを契機に、気候変動という予測困難で不確実な事象に関する機会・リスクを特定し、それらの機会やリスクが東レグループにどのような影響を及ぼし得るのかを確認するために、2020年にTCFD提言に沿う形でシナリオ分析を行いました。2023年には、気候変動による機会・リスクの財務的影響を把握するため、2020年の定性的分析結果も参考にしながら、定量的なシナリオ分析を実施しました。2024年には、定量的分析をアップデートした東レグループ TCFDレポート Ver.2.1を発行しました。その上で、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けた長期戦略(長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”)の強靭性を確認しました。
また、東レグループでは、リスクマネジメント推進のための審議・協議・情報共有機関としてリスクマネジメント委員会を設置しております。当該委員会での定期的なリスク特定・評価において、気候変動に関連するリスクは相対的に重要度の高いリスクと評価しております(詳細は「
(各気候シナリオで想定した2040年近傍の世界像)
③ 戦略
「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」では、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む4つの課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定め、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」実現に向けた中長期の戦略として、長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”及び中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進します。
カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギー、電動化、水素・燃料電池関連の素材等、ビジョンの実現に貢献するSI事業の拡大のほか、水の電気分解によるグリーン水素の製造及び産業・運輸用途での活用、二酸化炭素(CO2)利活用に貢献する製品の開発を進め、社会全体のGHG排出量の削減に貢献します。また、SI事業の拡大を通じて還元される持続可能なエネルギー・原料と、革新プロセス及びCO2を利活用する技術の開発・導入により、東レグループのGHG排出量削減を進めます。
循環型社会の実現に向けては、プラスチック製品のリサイクル・バイオ化等のカーボンリサイクル技術のほか、製造工程で発生した水の再利用等、様々な技術を創出することで、循環型社会の実現を目指します。
新規事業創出・拡大を目指す「FTプロジェクト(Future TORAY-2020sプロジェクト)」においては、次の成長ステージを担う大型テーマにリソースを重点的に投入しており、水素・燃料電池関連材料、バイオマス活用製品・プロセス技術などのテーマを推進しております。さらに、地球規模の課題解決を目指し、CO2やバイオガス、水素などを分離するためのガス分離膜の構造を支える支持層に利用可能な多孔質炭素繊維などの用途開発に取り組んでおります。
④ 指標及び目標
指標については、以下のとおり、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」において2030年度目標を、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”において2025年度目標を定めております。
(「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の目標)
(2) 人的資本への取り組み
① 基本的な考え方:当社中期経営課題の基本戦略「『人を基本とする経営』の深化」について
東レグループでは、創業以来、人材育成を重視する姿勢を明確にし、「企業の盛衰は人が制し、人こそが企業の未来を拓く」との考え方の下、2011年に「東レグローバルHRマネジメント基本方針」を定め、「人材の確保と育成」を最重要の経営課題として取り組んできました。
2020年5月“TORAY VISION 2030”の発表に併せて体系化された当社経営思想「東レ理念」において、「人を基本とする経営」が企業理念の土台となる企業文化として改めて位置付けられました。そして、このビジョン実現に向けた中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”においては、基本戦略のひとつとして、「『人を基本とする経営』の深化」を掲げ、東レグループ人材基盤の強化に取り組んでおります。
「人を基本とする経営」では、「新しい価値を生み出す、プロフェッショナル人材の育成」と「この“プロ人材”が、東レグループというフィールドで成長し、活き活きと働くことができる環境づくり」に取り組んでおります。東レが創業初期から培ってきた人材育成を経営の根幹におく基本戦略であり、企業価値の最大化とその先にある社会貢献の実現を目指しております。
「『人を基本とする経営』の深化」は、不確実性の高まった経営環境、価値観の多様化やキャリア自律意識の高まりなどの人的側面の変化に対応し、「人を基本とする経営」をアップデートするものです。「多様な人材・価値観の包摂」「変化に適合する人材・組織づくり」「東レ理念への共感・働きがいのあるキャリア形成(エンゲージメント)」にフォーカスし、「企業価値の最大化」と「従業員の幸福度を高める」ための人材戦略を策定し、取り組みを進めております。
② 人材育成方針
「東レグローバルHRマネジメント基本方針」に沿って、「人材の確保と育成」を最重要の経営課題として取り組んでおり、以下を目的に人材育成を進めております。
・「公正で高い倫理観と責任感をもって行動できる社会人」の育成
・「高度な専門知識・技術、独創性をもって課題解決できるプロ人材」の育成
・「先見性、リーダーシップ、バランス感覚をもって行動できるリーダー」の育成
・「グローバルに活躍できる社会人、プロ人材、リーダー」の育成
人材の確保に関しては、性別や国籍、新卒/キャリア採用を問わず、高い「志」をもってグローバルに活躍できる優秀な人材の確保に取り組んでおります。
人材の育成に関しては、従業員の健康に配慮した職場環境及び誇りとやりがいのある職場風土を実現するとともに、あらゆる階層・分野の社員に対して、マネジメント力強化、営業力・生産技術力や専門能力向上、グローバル化対応力強化などを目的とした様々な研修を計画的に実施し、次世代の経営を担い得る経営後継者育成と、第一線の「強い現場力」を担う基幹人材層拡大・育成強化を図っております。
③ 主要な人材戦略とKPI
(a) 多様な人材・価値観の包摂
当社は、社員一人ひとりの成長を支援するツールとして「キャリアシート」を導入し、社員自身がキャリアプランを自ら構想して、これまでの業務経験や求められるスキルに対する現在の到達レベルを上司との面談を通じて確認し、キャリア形成を図る取り組みを行っております。
更に、ジョブ・ローテーションのシステムとして自己申告制度を取り入れており、社員はキャリアアップに向けた異動を毎年申告することができます。個を重視した自律的なキャリア形成を支援する人材育成策を通じて、多様な人材・価値観を包摂し、モチベーション、創造性、生産性の高い組織づくりを進めております。
女性社員の活躍推進に関しては、女性社員が直面し得る課題、特にライフイベントのキャリア形成への影響をミニマイズする制度を設計するとともに、社内イントラネットを通じて、様々な事情を抱える社員がキャリア形成・人生設計を両立させながら、性別を問わず活き活きと仕事に集中できるよう、参考となる情報共有の場を提供しております。
当社では、性別や家庭事情の有無にかかわらず、誰もがワークライフバランスを実現できるよう、コアタイムのないフレックスタイム制度、在宅勤務制度、時間単位年休制度など、育児や介護などの事情がなくとも利用可能な制度を整え、時間外労働削減や年休取得促進にも取り組んでいます。また、共働きが主流となった現状において、性別問わず家庭や育児と仕事を両立し、本人が描くキャリアを実現できるよう、両立支援制度の充実だけでなく、制度を利用しやすい環境づくりや、キャリア面談の充実などに取り組んでいます。こうした「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」の取り組みが評価され、当社は令和6年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に選定されました。
また、企業理念である、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を持続的に実現するためには、高度な専門性を有する人材の育成が不可欠です。そのためには、専門職を目指す人材にとって魅力的なキャリアの道筋を示し、専門性の向上・発揮に専念できる環境を整え、今まで以上に切磋琢磨する風土を醸成していくことが必要と考え、2024年6月にフェロー制度を導入し、1名のエグゼクティブフェロー、7名のシニアフェローが認定されました。
エグゼクティブフェロー:フェローの中でも、特に傑出した専門性と実績を有する者。
当社執行役員と同等の処遇を行う。
シニアフェロー:当社の重要な事業及び研究・技術領域において、卓越した専門性を背景にした社内外一流の専門家として、革新的な製品・技術の創出や、経営への高度なアドバイザリーを担う者。当社理事と同等の処遇を行う。
(b) 変化に適合する人材・組織づくり
(ⅰ)経営人材育成(人材中期計画)
当社では、経営戦略、各事業戦略上必要な人材を「基幹ポスト後継候補者」として、個別の育成・登用を計画的に行っております。後継候補者は、基幹ポストへの登用タイミング(短期~中長期・次世代)ごとに策定し、特に重要なポストについては、毎年トップマネジメントが構想を確認しております。当該候補者には、選抜研修である「経営幹部育成研修」(部長層対象)、「東レ経営スクール(TKS)」(課長層対象)を受講させ、研修終了後には東レグループ重要ポストに起用(タフアサインメント)する人事を行います。研修で得た「経営に必要な知識・スキル」や「経営者の心構えと覚悟」を東レグループ重要ポストにおいて実践する、という研修と人事を連動させた取り組みを継続的に実施し、経営人材を計画的に育成しております。
なお、経営人材育成に関するKPIとして次の2つを設定します。
・人材育成状況を示す「基幹ポスト後継候補者充足率」が常に150%以上
・後継候補人材を着実に育成するため、選抜研修(注)を毎年50人以上に実施
(注) 経営幹部育成研修、TKS、東レグループ経営スクール(TGKS)
(ⅱ)海外ナショナルスタッフ(NS)基幹人材の計画的育成・登用
重要性が増す海外事業を支え、牽引する海外NS優秀基幹人材の育成・登用を進めるため、2017年度より海外関係会社において、各社部門長、工場長以上を対象に海外NS人材中期計画の策定と優秀人材の選抜・認定を実施し、計画的な優秀人材の確保・育成・登用を図っております。
海外人材育成では、海外各社での研修の上位概念として、東レグループの経営理念や方針の理解を深め、経営幹部人材の育成を計画的に図るため、階層別(役員層、部長層、課長層)に東レ本社において海外NS基幹人材研修プログラムを実施しております。また各国・地域においても、各国・地域の事情やニーズに応じたマネジメント研修を計画的・階層別に実施しております。
この取り組みのKPIは、NSが日本や各国・地域で研修に参加した人数とします。
(ⅲ)東レグループの将来を担う多様な人材の安定的な確保
多様化する社会課題の解決や顧客ニーズに対応するには、性別・年齢・国籍などの属性に囚われず、多様なバックグラウンドを持つ人材を事業計画に沿って確保していく必要があります。特に女性に関しては、1958年の女性管理職登用、法制化される約20年前となる1974年の育児休業導入、2003年の関係会社における社長への登用、2004年の「女性活躍推進プロジェクト」発足など、早くから女性の確保と積極的活用を進めてきました。2021年3月には、上述した個人ごとの能力開発とキャリア形成強化の取り組みを推進することにより、女性社員の定着率及び管理職比率の向上を目指すことを目的とした5年間(2021年4月~2026年3月)の行動計画を策定・公表しました。
また、新卒採用におけるGコース(当社基幹人材)女性の割合を、2030年度までに30%にすることを目標にしました。
なお、女性活躍推進活動を進めれば進めるほど、向き合う課題が女性特有の課題のみでなく、組織風土や企業風土の課題となってきました。そのため、2024年8月に専任組織を設置し、専任者を配置するとともに、組織風土改革に熱意のある社員をワーキングチーム(現職は継続しつつ、組織風土改革プロジェクトに参加)として募集し、新たにHCM (Human Centric Management)活動をスタートしました。ワーキングチームで議論した内容を経営に反映することで、組織風土の改革を進めていきます。
(c) 東レ理念への共感、働きがいあるキャリア形成(エンゲージメント)
(ⅰ)従業員サーベイによる実態把握と改善
当社では、2013年度より隔年で従業員サーベイを実施してきましたが、2023年度より、サーベイ実施内容の見直し(満足度だけではなく、期待と実感の両面を測定)、実施頻度見直し(隔年から年1回の実施に変更)、フィードバックの早期化(調査翌日から結果閲覧可能)を行い、各組織・個人の状況をきめ細かく確認し、速やかに改善活動が実施できるよう仕組みを見直しました。
EXスコア®(注)を本進捗に関するKPIとしておりますが、2024年度の結果は66.1で、前年度調査より1.3ポイント改善しました。引き続き、毎年前年度を上回るスコアを目指し、社内イントラネットでの情報開示、各職場での話し込み、改善好事例の全社展開等、様々な施策を実施しております。
(注) EXスコア®とは組織状態を示す指標です。各個人の期待値と実感値、そのギャップを測定します。期待・実感ともに高く、ギャップが小さい場合にスコアは最大化されます。調査委託先である㈱HRBrainの登録商標です。
(ⅱ)社内人材公募の常設化
これまで年1回、定期的に社内人材公募を実施してきましたが、より適時適切に人材戦力を投入し、要員配置ニーズの増大や従業員個人のキャリア形成志向の短サイクル化に対応し、制度運用の効率化・平準化を図るため、年1回の定期的な社内公募を見直し、2024年度から常設型の社内公募制度を導入しました。
(ⅲ)社内外への情報発信の強化
社内向けに、2024年2月から「人事勤労なび(社内ポータルサイト)」を全面リニューアルし、人事勤労施策のタイムリーな情報発信、人事勤労施策に関する社長メッセージ等を充実させ、従業員への周知強化を図っています。2024年4月以降の1年間では、「サーベイを活用した職場改善への取組み事例」や「男性育児休職の制度運用向上に向けた取り組み」、「100周年事業 作業服刷新プロジェクト 従業員投票を実施」など、33件の情報を発信しました。
社外に向けては、有価証券報告書や統合報告書において、目に見える具体的なKPIを設定し積極的な開示を開始していますが、引き続き、「人を基本とする経営」における3つの人材戦略に沿った開示を強化していきます。
人的資本への取り組みに関する指標及び目標は、以下のとおりです。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、下記の一部の指標に関する目標及び実績は、当社を対象に記載しております。
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指標 |
目標 |
2024年度実績 |
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基幹ポスト後継候補者充足率 (当社グループ) |
常時 |
(2023年度 185%) |
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経営人材育成研修 (当社グループ) |
毎年 |
(2023年度 52人) |
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海外NS経営人材育成研修 (当社グループ) |
毎年 |
(2023年度 276人) |
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女性管理職比率 (当社) |
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(2023年度 6.4%) |
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新卒Gコース採用における 女性比率(当社) |
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(2023年度 17%) |
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EXスコア® (当社) |
前年度より改善することを 目標に |
(2023年度 64.8) |
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労働災害度数率 (当社グループ) |
世界最高水準の安全管理レベル(休業度数率 |
(2023年度 0.40) |
(注) 1.指標の対象を当社グループに拡大しております。
2.2024年1月から2024年12月までの実績を示しております。
大規模自然災害の増加、軍事侵攻や経済安全保障といった地政学リスクの高まりなど、事業運営にあたっての不確実性は増しております。当社グループは、以下(1)項に記載のとおり急激に顕在化するリスクや危機発生時に迅速に対応するための体制を構築し、専任組織によって平時のリスクマネジメントと有事(危機発生時)の即応を統括管理しておりますが、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等での記載事項に関して、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下(3) (4)項に記載のとおりです。これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 当社グループにおけるリスクマネジメント体制、活動
当社グループでは、周辺環境の変化により急激に顕在化するリスクへの対応や、危機発生時に迅速に対応するため、専任組織を設置し、取締役会及びトップマネジメントと緊密に意思疎通を行い、経営戦略の一環としてリスク
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マネジメントを推進しております。リスクマネジメント推進のための審議・協議・情報共有機関としては、総務・法務・リスクマネジメント部門長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しております(図1)。リスクマネジメント委員会における審議・協議内容については、取締役会に定期的に報告しているほか、重要かつ緊急の案件については、発生した都度もれなく報告しております。また、リスクマネジメント委員会の下部組織として海外危機管理委員会、現地危機管理委員会を設置し、平時の社員の海外渡航管理や海外リスク情報収集を行っております。 当社グループでは、平時のリスク管理と有事の即応を統括してリスクマネジメントと定義しております。平時のリスク管理は、後述する「東レグループ優先対応リスク(以下「優先対応リスク」という。)」及び「特定リスク」を管理するPDCAサイクルを構築し、活動しております(図2)。 |
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「優先対応リスク」は、定期的に(3年に1度)網羅的に洗い出したリスクを評価し、潜在リスク度(発生確率×影響度)の高いものから設定され、各リスクの推進責任部署が重点的にリスク低減を図ります。「特定リスク」は、専任部署が国内外のリスク動向を定常的に注視し、調査・分析を行い、経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを検出、評価し、トップマネジメントと協議の上設定します。「特定リスク」は短期で惹起したリスクへの対応が可能で、3年を1期としている「優先対応リスク」と補完関係にあります。
また、有事においては、社内規程に則り、危機のレベルに応じて即応体制を立ち上げ、対応しております。
(2) リスクの洗い出し・評価
2022年に第6期となる「優先対応リスク」の洗い出し・評価を実施しました。第6期は、当社グループ全体を対象に、2023~2025年度の中期経営課題達成を阻害するリスクの洗い出し・評価を主目的とし、以下のプロセスで実施しました。
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① 当社グループを取り巻くリスク(「経営環境」「災害」「業務」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の区分で網羅的に整理した118項目のリスク(図3))を対象に、当社の機能部署や、国内外関係会社におけるリスクの切迫状況や具体的な懸念の状況を把握するためのアンケート調査を実施。 ② アンケート調査で得られた情報を集約・分析の上、リスク関係部署及び経営層を対象にリスク認識・課題や対処についてディスカッションを実施。 ③ アンケートの分析、ディスカッションで得られた情報を総合し、「優先対応リスク案」を取りまとめ、リスクマネジメント委員会で審議・決定。各事業本部においてもそれぞれ対処すべきリスクを設定。 |
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(3) 優先対応リスク
第6期(2023-2025年度)優先対応リスクとして、下記2テーマを推進しております。
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戦争危険を踏まえた危機対応リスク |
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リスク概要 |
海外の当社グループ所在地域において当地の治安悪化が常態化した場合、あるいは戦争・紛争が勃発した場合、以下のリスクが高まる可能性があります。 ・該当地域における従業員の日常生活や身の安全の確保困難 ・長期事業停止や事業撤退 ・重要資産(建物・装置・技術情報等)の接収・利用不能 など |
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対応 |
グローバルに事業展開している当社グループでは、かねてより海外危機管理委員会を設置し、同委員会と海外関係会社(国・地域代表及び各社社長)との連携の下、海外で発生する危機に対する予防的取り組み・危機発生時の対応体制の構築を推進してきました。しかしながら、2022年2月のウクライナ紛争の勃発を契機に、「戦争危険」を踏まえた体制・ルール等の見直しが必要との判断に至り、本テーマを「優先対応リスク」と位置付け対策を強化することとしました。 総務・法務・リスクマネジメント部門リスクマネジメントグループを本リスク対策の推進責任部署と位置付け、各国・地域の現地危機管理委員会と連携し、当社グループ所在地で想定される危機対応のシナリオを整備するとともに、リスクが高い国・地域に関しては、有事発生時の対応計画を作成・周知・訓練しております。本取り組みを通じて、従業員の安全性確保並びに当地での事業継続の判断・行動を迅速化することにより、リスクの低減を図ります。 |
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製品供給途絶リスク |
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リスク概要 |
原油価格動静等の市況面、資源保有国の政情等の地政学面、気候変動等の環境面や人権等の社会面の混乱に伴う、生産に必要な原材料・部材等の調達逼迫、取引先からのフォースマジュール条項の発動の顕在化により、以下のリスクが高まる可能性があります。 ・原燃料の調達困難を契機とした安定した数量・品質の製品供給困難 ・当社の製品供給途絶に伴う最終製品メーカーの事業継続困難 ・供給契約の債務不履行に伴う賠償責任の発生 など |
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対応 |
当社は社会生活上の必需品や、企業の事業戦略上の重要製品の製造に不可欠な素材を安定的に供給する社会的責任・使命を有しているという認識の下、事業継続計画の策定などを通じ、サプライチェーンの強化を推進してきました。 一方、「リスク概要」に記載のとおり、グローバルサプライチェーンを取り巻く環境の急激な変化により、安定供給のための諸条件・前提が大きく変化していることを踏まえ、本テーマを「優先対応リスク」と位置付け対策を強化することとしました。 購買・物流部門を中心とした推進体制で、サプライチェーンにおける脆弱性の情報整理を行い、原材料における複数購買化やレシピ変更などのリスク低減策を明確化、実行することにより、製品供給の継続性を強靭化しております。 |
(4) 主要なリスク(区分:「事業」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の順で掲載)
優先対応リスクのほか、当社グループにおいて影響が大きいと評価している主要なリスクは以下のとおりです。これらには、前述のリスク洗い出しから影響が大きいと評価したリスク及び各事業本部で設定した対処すべきリスクも含まれており、全社委員会や専門部署、事業本部などが中心となってリスク低減対応を推進しております。
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製品の需要・市況の動向と事業計画に関わるリスク |
区分 |
事業 |
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リスク概要 |
当社グループは、多種多様な基礎素材製品を広範な産業及び地域に供給しており、世界的あるいは地域的な需給環境の変動や素材代替の進行、取引先の購買方針の変更等による当社グループの製品に対する需要減退などにより、以下のリスクが高まる可能性があります。 ・景気・市場変動・国内の人口減少による特定顧客・用途の大幅な需要変動並びに価格下落 ・新規企業の参入による当社の相対的な優位性低下 ・物価上昇圧力による消費マインド減退 ・取引先の与信リスク顕在化 など |
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対応 |
当社グループは、製品の需要や市況の変化に対応すべく、持続的に競争優位の製品確保に努めており、広範囲にわたる事業領域で設備投資を実施しております。また、事業拡大・競争力強化を目的として、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分な検討を行った上で、第三者との間で様々な合弁事業や戦略的提携、事業買収等を行っております。 各事業領域においても、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の達成に向けて、事業ポートフォリオの改善(事業拡大、新規参入、多用途化)、新たな販売チャネル開発、手戻りのない効率的な差別化商品の開発、サプライチェーン見直し、在庫適正化など、様々な課題を各事業が個別に設定、推進しております。 |
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グローバル事業展開に関わるリスク |
区分 |
事業 |
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リスク概要 |
当社グループは、アジア・欧州・米国をはじめ海外で広く事業を展開しておりますが、米中対立が長期化の様相を示しているように経済安全保障リスクは高まりを見せており、各地域において以下のようなリスクがあります。 ・不利な影響を及ぼす税制や関税の変更等、予期しない諸規制の設定・運用又は改廃 ・予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生 など |
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対応 |
当社グループでは、2021年に経済安全保障に関する専任チームを設置し、リスク対応を進めております。法務、購買・物流、マーケティング、技術など幅広いメンバーで構成し、米中を中心とする各国の情報収集・分析・周知、当社グループの事業活動(サプライチェーン、資金、研究開発、人事管理、データ管理等)の把握を行い、リスク回避・軽減のための仕組みづくり、リスクが顕在化した場合の機動的対処を行っております。 |
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為替相場の変動、金利の変動に関わるリスク |
区分 |
事業 |
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リスク概要 |
当社グループは、原材料等の調達を含む外国通貨建て取引を行っております。また、海外事業の現地通貨建て財務諸表の各項目は連結財務諸表作成のために円換算されます。事業資金においては主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行等により調達しております。これらには以下のようなリスクがあります。 ・為替相場の変動による財務諸表の各項目における円換算への影響 ・資金調達及び調達コストへの影響 など |
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対応 |
当社グループはグローバルに事業拠点を保有する強みを活かしながら、地産地消を推進するとともに、グローバルオペレーションを機動的に展開することで為替変動の影響を受けにくい経営体質の構築に努めております。また本社及び各国・地域代表や各地区財経チーフ・海外関係会社の駐在員などが常に最新の情報を把握・共有化するとともに、外貨建債権・債務に関して為替予約などのリスクヘッジを実施し、急激な為替レート変動にも対応可能な体制をとっております。また、将来の急激な金利上昇に備え、金利動向を注視し、最適な資金調達を実行していきます。 |
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気候変動、水不足、資源の枯渇等の環境課題に関わるリスク |
区分 |
E(環境) |
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リスク概要 |
環境課題に対する企業への要求や期待の高まりから、当社グループにおいて、以下のリスクが高まる可能性があります。 ・GHG削減や資源循環などへの対応の遅れによる競争力低下(環境負荷の低い素材への代替推進など) ・石油化学産業へのレピュテーションの悪化による企業ブランド価値の低下 ・世界的なカーボンプライシング等の導入 など |
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対応 |
当社グループは、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けた活動に取り組むため、サステナビリティイノベーション(SI)事業拡大、気候変動対策、サステナビリティ情報開示の各プロジェクトにおいて、気候変動対策や資源循環問題等に対する中長期的なロードマップや実行計画を策定、推進し、2030年の数値目標達成に向けた進捗管理を行っております。環境課題への対応を加速させるため、2025年4月にサステナブル経営推進室を新設しました。また、取締役会を補佐し、全社重要事項の協議機関である経営会議において、各プロジェクトの内容及びサステナビリティに関する重要な方針、議題を協議し、グループ横断的・機動的に気候変動関連リスクへの対策を推進しております。 |
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自然災害・事故災害に関わるリスク |
区分 |
E(環境) |
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リスク概要 |
気候変動により台風や洪水等といった風水害の規模が大きくなるなど、自然災害へのリスクが高まっており、当社グループにおいても以下のようなリスクがあります。 ・突発的な災害や天災、感染症流行、不慮の事故等による製造設備等の損害や原材料等の供給不足 ・電力・物流をはじめとする社会インフラ機能の低下 など |
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対応 |
当社グループは、「安全・防災・環境保全」をあらゆる経営課題に優先しております。安全・防災・環境保全に関する検討・審議を行うための諮問会議である生産役員会が中心となり、生産活動の中断による損害を最小限に抑えるため、製造設備の定期的な防災点検及び設備保守、また安全活動を推進しております。また大規模地震や水災などに関して、従業員・地域社会への安全対策、事業継続のガイドラインを定め、対策を推進しております。 |
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人材戦略リスク |
区分 |
S(社会) |
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リスク概要 |
働き方や就労観の多様化、労働力人口の減少、長寿・高齢化の加速など、人材戦略に関わる環境は変化しており、当社グループにおいても、以下のようなリスクがあります。 ・生産継続・事業拡大を支える人材の不足 ・人材採用競争激化、賃金上昇によるコスト増加 ・キーマン不足による技術・ノウハウ継承の途絶 など |
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対応 |
当社グループは創業以来、「企業は人なり」の考えを基本に、社会経済情勢や経営環境の変化に対応しながら様々な施策を講じてきましたが、昨今の人材戦略に関わる環境の複雑化を背景に、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”において「『人を基本とする経営』の深化」を基本戦略の一つに掲げ、人事勤労部門やコーポレートコミュニケーション部門を中心に、各事業、各国・地域と連携して、人を育てる企業文化の継承と発展、個のキャリア形成の充実と働きがいの向上に努めております。 多様な人材の確保・登用、自律的なキャリア形成やスキル習得の支援による人材育成、現場の声を尊重する組織風土の醸成などを通じた働きがいと働きやすさの実現により、当社グループの人材基盤を強化します。 |
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コンプライアンスに関わるリスク |
区分 |
G(ガバナンス) |
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リスク概要 |
当社グループは、事業活動を行っている各国及び地域において、環境、商取引、労務、知的財産権、租税、為替、独占禁止法や不正競争防止法等の各種関係法令、投資に関する許認可や輸出入規制の適用を受けており、以下のようなリスクがあります。 ・新たな環境規制や環境税の導入、法人税率の変動等これらの法令の改変、各種法令での違反判定 ・競争当局による行政処分、税務当局による更正通知 ・従業員によるデータ偽装などのコンプライアンス違反 ・財務報告に係る内部統制の不備 ・知的財産権、製造物責任、環境、労務等の法令違反に基づく訴訟 など |
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対応 |
全社委員会である倫理・コンプライアンス委員会を中心に、動機・機会・正当化の観点でのリスク抑止、不祥事を起こさせない組織風土づくり、内部通報制度やAIツール活用などを促進し、当社グループ全体の倫理・コンプライアンス活動の深化及びコンプライアンス意識の徹底を図ります。 また、当社グループは内部統制システムの整備・維持を図り、国内外関係会社の現場力強化を通じて、内部統制のさらなる充実化を図ります。 |
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情報セキュリティ、サイバー攻撃に関わるリスク |
区分 |
G(ガバナンス) |
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リスク概要 |
重要技術情報や営業機密を巡っては、悪意のある社内外の者により盗取される事件が巷では継続的に発生しており、情報の取り扱いを巡る問題も複雑化(GDPR、米中対立による情報保護法規制の適用、経済安全保障関連など)していることから、当社グループにおいても以下のようなリスクがあります。 ・不正侵入、情報の改ざん・盗用・破壊、システムの利用妨害 ・高度化を続けるサイバー攻撃による事業運営の停止 ・故意・過失を問わない社外への機密情報流出 など |
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対応 |
当社グループが事業活動を行う上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、構築・運用にあたってはこれまでも十分なセキュリティの確保に努めておりますが、2022年に当社グループ会社を一元的に管理する東レグループ情報セキュリティ推進委員会を設置し、各社個別最適からグループ全体最適を行う体制に変更しました。当該委員会の統括・管理の下で、「東レグループ情報セキュリティ基本方針」を定めるとともに、当社グループ全体のリスク状況と世間動向を把握し、グループ共通のセキュリティ管理基準の策定・実施状況フォロー、定期的なセキュリティ診断及びモニタリングを通じて、当社グループ全体での情報セキュリティの維持向上を図っております。 |
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当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況の概要及び分析
当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調に推移し、欧州は一部に足踏みがみられますが、持ち直しが続いています。中国は景気刺激策の効果もみられますが回復は足踏み状態となっています。国内経済については、緩やかな回復が続きました。
このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比4.0%増の2兆5,633億円、事業利益は同39.1%増の1,428億円となりました。営業利益は同121.1%増の1,275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同255.8%増の779億円となりました。
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(単位:億円) |
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前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
売上収益 |
24,646 |
25,633 |
4.0 |
|
事業利益(注) |
1,026 |
1,428 |
39.1 |
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営業利益 |
577 |
1,275 |
121.1 |
|
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
219 |
779 |
255.8 |
(注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。
セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、繊維事業、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で増収となった一方、環境・エンジニアリング事業で減収となりました。事業利益は、全ての事業において増益となりました。
セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。
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(単位:億円) |
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|
売上収益 |
||
|
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前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減 |
|
繊維事業 |
9,748 |
10,111 |
363 |
|
機能化成品事業 |
8,861 |
9,449 |
588 |
|
炭素繊維複合材料事業 |
2,905 |
3,000 |
95 |
|
環境・エンジニアリング事業 |
2,441 |
2,365 |
△76 |
|
ライフサイエンス事業 |
522 |
532 |
9 |
|
その他(注)1 |
169 |
177 |
7 |
|
合計 |
24,646 |
25,633 |
987 |
|
(単位:億円) |
||||||||
|
|
事業利益 |
|
増減の内訳 |
|||||
|
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減 |
|
数量差 |
価格差 |
費用差 ほか |
海外子会社の 邦貨換算差 |
|
繊維事業 |
547 |
642 |
95 |
|
9 |
114 |
△46 |
18 |
|
機能化成品事業 |
367 |
600 |
233 |
|
191 |
68 |
△34 |
8 |
|
炭素繊維複合材料事業 |
132 |
225 |
93 |
|
63 |
25 |
△0 |
5 |
|
環境・エンジニアリング事業 |
232 |
259 |
27 |
|
18 |
9 |
△3 |
2 |
|
ライフサイエンス事業 |
△13 |
△8 |
6 |
|
△4 |
5 |
4 |
0 |
|
その他(注)1 |
33 |
24 |
△9 |
|
△1 |
- |
△7 |
△0 |
|
調整額(注)2 |
△272 |
△315 |
△44 |
|
- |
- |
△44 |
- |
|
合計 |
1,026 |
1,428 |
401 |
|
276 |
222 |
△129 |
33 |
(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。
2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。
・「数量差」は、主に機能化成品事業及び炭素繊維複合材料事業において、需要の回復・伸長を捉えたことにより、生産・販売数量がともに増加し、合計で276億円の増益要因となりました。
機能化成品事業では、電子部品関連用途におけるサプライチェーンの在庫調整の反動により、フィルム事業の需要が伸長し、販売数量及び稼働率がともに改善しました。炭素繊維複合材料事業では、航空宇宙用途及び風力発電翼用途における需要の回復が進み、同様に販売数量及び稼働率が改善しました。
・「価格差」は、価格是正、販売構成の改善や高付加価値品への転換などの「戦略的プライシング」が計画を上回るペースで進捗したことを主因に、合計で222億円の増益となりました。
・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で129億円の減益要因となりました。
セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。
(繊維事業)
衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化の影響は継続していますが、総じて堅調に推移しました。
産業用途は自動車用途が国内自動車メーカーの不正問題の影響や欧州の市況低迷などから本格回復に至らず、また中国EV市場での競争激化の影響を受けました。
以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比3.7%増の1兆111億円、事業利益は同17.3%増の642億円となりました。
(機能化成品事業)
樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が国内自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国及びアセアン向け非自動車用途の需要が回復しました。
フィルム事業は電子部品関連において、サプライチェーンの在庫調整の反動から需要が伸長しました。
電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。
以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比6.6%増の9,449億円、事業利益は同63.6%増の600億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)
航空宇宙用途は順調に回復しました。一般産業用途については、風力発電翼用途は緩やかな回復が続きましたが、その他用途は調整局面となりました。
以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.3%増の3,000億円、事業利益は同70.7%増の225億円となりました。
(環境・エンジニアリング事業)
水処理事業は中国の市況低迷の影響を受けましたが、需要は堅調に拡大しており、中東向けの大型案件の出荷等により増収増益となりました。エンジニアリング事業は国内エンジニアリング子会社で案件の時期ずれにより減収となったものの、概ね堅調に推移しました。
以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比3.1%減の2,365億円、事業利益は同11.6%増の259億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
医薬事業は、後発医薬品浸透と薬価改定の影響を受けたほか、海外で販売量が伸び悩みました。
医療機器事業は、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内外で堅調に推移しましたが、原材料価格高騰の影響を受けました。
以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比1.8%増の532億円、事業利益は同6億円増の8億円の損失となりました。
(その他)
売上収益は前期比4.4%増の177億円、事業利益は同25.9%減の24億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(2) 財政状態の状況の概要及び分析
当連結会計年度末の財政状態は、資産は、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産の減少を主因に、前連結会計年度末に比べ1,739億円減少し3兆2,926億円となりました。
負債は、社債及び借入金が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,481億円減少し1兆4,720億円となりました。
資本は、利益剰余金が増加した一方、その他の資本の構成要素が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ258億円減少し1兆8,206億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,090億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント上昇し51.9%、D/Eレシオは同0.05低下し0.49となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を1,918億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が1,885億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ14億円増の2,373億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業債務及びその他の債務の減少額が前期比267億円増加した一方、営業債権及びその他の債権の減少額が同996億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同694億円(37.4%)増の2,550億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前期比451億円増加した一方、投資の売却及び償還による収入が同905億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同578億円(47.8%)減の632億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得による支出が前期比384億円増加したことや、短期借入債務の純減額が同358億円増加したこと等により、財務活動による資金の減少は同1,182億円(167.9%)増の1,885億円となりました。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。
③ 財務政策
当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。
2024年5月、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度までの3年間で政策保有株式を50%、約1,000億円削減し、その売却代金を全額自己株式の取得に充当する方針を公表しました。この方針に基づき、当連結会計年度において、政策保有株式を1,098億円売却しました。また、2024年11月には1,000億円の自己株式取得枠を設定し、当連結会計年度において、自己株式を384億円取得しました。
財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパー、社債、借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。
(4) 経営上の目標の達成状況
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。
|
|
2023年度実績 |
2024年度実績 |
2025年度見通し (注)1 |
|
2025年度目標 (注)2 |
|
売上収益 |
24,646億円 |
25,633億円 |
26,700億円 |
|
28,000億円 |
|
事業利益 |
1,026億円 |
1,428億円 |
1,500億円 |
|
1,800億円 |
|
事業利益率 |
4.2% |
5.6% |
6% |
|
6% |
|
ROIC (注)3 |
2.8% |
4.4% |
約5% |
|
約5% |
|
ROE (注)4 |
1.3% |
4.5% |
約5% |
|
約8% |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
647億円 |
1,918億円 |
プラス (3年間累計) |
|
プラス (3年間累計) |
|
D/Eレシオ |
0.55 |
0.49 |
約0.6 |
|
0.7以下 (ガイドライン) |
(注) 1.為替レートの前提は、145円/米ドルです。
2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。
3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)
4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)
2025年度の連結業績予想は、成長領域における事業拡大及び収益性の改善による増益を見込む一方、米国の関税措置に起因する世界経済の停滞リスクを織り込み、売上収益は2兆6,700億円、事業利益は1,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は820億円を見込んでいます。
“プロジェクト AP-G 2025”をスタートした2023年度以降、構造改革や「戦略的プライシング」の効果が順調に発現しており、事業利益は3年連続で前年比増益となることを見込んでいます。ただし、足元の事業環境は、地政学リスクの顕在化や米国の関税措置の影響等により不確実性が高まっており、世界経済のコロナ禍からの回復スピードは当初の想定を下回っています。このため、2025年度の事業利益は“プロジェクト AP-G 2025”で掲げていた目標に対し、300億円の減益となる見通しです。係る状況の中、当社は事業環境の変化に柔軟に対応すべく、事業ごとの戦略や購買機能強化等の具体的施策を随時修正しながら推進していきます。
セグメントごとの事業利益は、繊維事業及び環境・エンジニアリング事業が目標を達成する見通しです。一方で、機能化成品事業は自動車市場の回復遅れやディスプレイ関連用途の成長鈍化、炭素繊維複合材料事業は一般産業用途の成長鈍化を主因に目標未達となる見込みです。加えて、米国関税措置による影響として、需要減少を主因に150億円の減益を見込んでいます。
セグメントごとの事業利益は以下のとおりです。
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(単位:億円) |
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事業利益 |
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2025年度目標 |
2025年度 見通し |
増減 |
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繊維事業 |
640 |
760 |
120 |
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機能化成品事業 |
910 |
705 |
△205 |
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炭素繊維複合材料事業 |
360 |
240 |
△120 |
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環境・エンジニアリング事業 |
270 |
290 |
20 |
|
ライフサイエンス事業 |
0 |
0 |
- |
|
その他 |
20 |
15 |
△5 |
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調整額 |
△400 |
△360 |
40 |
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小計 |
1,800 |
1,650 |
△150 |
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米国関税措置による影響 |
- |
△150 |
△150 |
|
合計 |
1,800 |
1,500 |
△300 |
なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(1) 合弁契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
合弁会社名 |
契約内容 |
契約締結日 |
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東レ㈱ |
DuPont de Nemours, Inc. |
アメリカ |
東レ・デュポン㈱ |
ポリイミドフィルム等を製造・販売する合弁会社の設立及び運営 |
1963年2月22日 |
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東レ㈱ |
The LYCRA Company Global Holdings B.V. |
オランダ |
東レ・ライクラ㈱ |
ポリウレタン弾性繊維を製造・販売する合弁会社の運営 |
2003年5月1日 |
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東レ㈱ |
Freudenberg SE |
ドイツ |
日本バイリーン㈱ |
不織布及び不織布関連製品等を製造・加工・販売する合弁会社の運営 |
2016年2月24日 |
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東レ㈱ |
Dow Silicones Corp. |
アメリカ |
ダウ・東レ㈱ |
シリコーン製品を製造・販売する合弁会社の運営 |
2019年2月1日 |
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東レ㈱ |
LG Chem, Ltd. |
韓国 |
LG Toray Hungary Battery Separator Kft. |
バッテリーセパレータフィルムを製造・販売する合弁会社の運営(注) |
2022年6月16日 |
(注) 本契約では、2025年6月30日以降に、当社持分の20%をLG Chem, Ltd.に有償譲渡することで、当社とLG Chem, Ltd.の持分比率を50:50から30:70とすることも定めております。
(2) その他
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先の 所在地 |
契約内容 |
契約期間 |
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Toray Composite Materials America, Inc. |
Boeing Co. |
アメリカ |
炭素繊維複合材料の供給 |
2015年9月30日から 2028年12月31日まで |
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東レ㈱ |
日本たばこ産業株式会社 |
日本 |
経口そう痒症改善剤レミッチ®の血液透析患者におけるそう痒症を対象とする日本国内における共同開発及び販売権に関する契約(注)1、2 |
2005年3月16日から 特許満了日まで 以後別途協議 |
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鳥居薬品株式会社 |
日本 |
(注) 1.レミッチ®は、鳥居薬品株式会社の登録商標です。
2.本契約では、関連する特許に関して第三者による侵害がある場合は当社及び鳥居薬品株式会社が協力して当該侵害を排除する措置を講ずること、並びにその費用及び当該侵害に基づく損害賠償金、和解金等は当社及び鳥居薬品株式会社で折半することも定めております。
当社グループは「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念の下、技術センターにすべての研究・技術開発機能を集約し、当社グループの総合力を結集してイノベーション創出に取り組んでおります。
将来にわたる持続的成長のために、研究・技術開発への継続的投資を行っており、コア技術である有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースに、重合、製糸、製膜など要素技術の深化と融合を進め、各事業セグメントで先端材料の創出、事業化を実現しております。近年では、素材に関するナノテクノロジーの極限を追求した「スーパーナノテクノロジー」ともいうべき独自技術の各種事業への実用化を加速させてきました。繊維分野での革新複合紡糸技術「NANODESIGN®」、樹脂分野での革新的微細構造制御技術「NANOALLOY®」、フィルム分野での革新的積層制御技術「ナノ積層/NANO-Multilayer」などです。これらの技術は従来になかった特性と特長を有する素材を創出し、社会に付加価値を生み出し続けております。
当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は以下のとおりです。
(1) 繊維事業
アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進しております。その成果として、当社が開発した「高機能快適繊維素材に資する超精密複合紡糸技術」が公益財団法人市村清新技術財団の第57回(2024年度)市村賞 市村産業賞において最高位である「本賞」を受賞しました。当社独自の複合紡糸技術NANODESIGN®の開発と、同技術を駆使した新規高機能繊維の工業化が顕著な業績として評価されました。本技術は、従来では組み合わせることが困難であった原料の複合化や複数種類の原料を用いた複合紡糸も可能とし、精密に制御された繊維断面と原料特性とのシナジーによる高機能新素材を実現します。衣料用途だけでなく、産業資材用途からライフサイエンスまで幅広く展開を進めています。
(2) 機能化成品事業
樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の新製品開発、及び既存製品の高性能・高機能化を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、フィルム分野では、独自ポリマー設計技術と二軸延伸技術により、150℃耐熱を有する高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出しました。燃料電池車などのモーターの駆動装置(インバータ)の動作を安定化する主要部品がフィルムコンデンサです。本フィルムを用いた150℃耐熱フィルムコンデンサを用いることで炭化ケイ素(SiC)パワー半導体搭載インバータの小型化・軽量化を可能とし、EV、船舶、空飛ぶクルマなどの電動モビリティや産業機械の低電費化を実現し、脱炭素社会実現や物流効率化等の社会課題の解決に貢献します。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けて、実用化に向けた研究開発を進めています。さらに電子情報材料分野では、AIの進展に伴って増加するデータセンターの電力負荷低減に向けて電気通信よりも低エネルギー損失である光通信をデータセンター内で適用するための開発が進んでいます。この実現に向けて、光通信技術(シリコンフォトニクス)に用いられる光半導体(InP(インジウムリン)等)をシリコン基板上に実装するための材料及び技術を開発しました。
(3) 炭素繊維複合材料事業
炭素繊維の高性能化と品質信頼性の追求により世界ナンバーワンを堅持するとともに、地球温暖化問題に貢献する複合材料事業の拡大を目指した研究・技術開発に取り組んでおります。そのような中、当社の子会社である東レ・カーボンマジック㈱が持つ、レーシングカーをはじめとした高性能移動体開発技術を応用し、高強度・高弾性炭素繊維「T1100G、M40X、M46X」を効率的に配した複合材構造により、空力と構造の両面で最高性能を目指した革新的バイクを開発しました。比類なき運動性能と操縦性を実現し、パリで行われた国際大会自転車競技トラック種目での日本代表選手の入賞や世界選手権における金メダル獲得に貢献しました。
(4) 環境・エンジニアリング事業
水処理膜とエンジニアリングを軸に成長分野での事業拡大を目指し、研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、下廃水再利用プロセスにおいて高い除去性と透水性を両立し、長期間安定して良質な水を製造できる、限外ろ過(UF)膜を開発しました。世界各地の水需要拡大に対し、再利用水を飲料水や半導体製造に欠かせない超純水製造の水源とする取り組みがグローバルに始まっています。ナノ細孔形成過程を定量的に解析することで膜構造の詳細を分析し、ポリマー材料及び製造プロセスを精密に制御することで、孔径の微細化と微細孔の増量を同時に実現し、従来にない高除去UF膜を創出しました。これにより、造水コストを低減するだけでなく、RO膜の交換・廃棄に伴うCO₂排出量を30%以上削減することが期待できます。現在量産準備を進めており、2025年度末までに北米での発売を目指し、その後各地へ製品展開していく計画です。
(5) ライフサイエンス事業
ライフイノベーション事業拡大のため医薬品、医療機器、バイオツールの研究・技術開発に取り組んでおります。その成果として、バイオ医薬品の製造工程に用いるための高効率分離膜モジュールを開発しました。バイオ医薬品の製造工程における目詰まりを低減することで、従来製品と比較してろ過性能が2倍以上に向上し、バイオ医薬品の高収率化並びに精製度向上が期待できます。2025年度中の販売開始を目標に量産体制の構築を進めます。
(6) 基礎研究・基盤技術開発
カーボンニュートラルの実現に向けて、天然ガス田開発において求められる効率的なCO₂の分離・回収の実現に向けて、オールカーボンのCO₂分離膜の開発を進めています。東レが持つ中空糸の紡糸技術と薄層コーティング技術を深化させ、連続かつ安定した品質の製膜技術を構築し、同時にCO₂分離膜を束にする膜エレメントを製造する基本技術に目途を得ました。今後は、新たに導入するパイロット設備を活用して量産技術を構築するとともに、バイオガスや天然ガス生産の開発会社をはじめとするパートナー企業と幅広く連携して、スケールアップ試作や実証試験など実用化に向けた取り組みを加速します。また、循環型社会の実現に向けて、ナイロン66ケミカルリサイクル新技術を創出しました。主にエアバッグなどの自動車用繊維や樹脂成形品に用いられるナイロン66は、これまでケミカルリサイクルが困難と考えられていましたが、亜臨界水(注)を用いた独自の解重合新技術によりモノマー原料として回収できることを見出しました。まずは自動車素材をターゲットとして、使用済み原資に含まれる他素材の分離技術や、ナイロン66解重合、さらにはモノマーの分離及び精製技術を確立し、2025年に品質確認、顧客評価のためのサンプルワークができる体制を整え、2030年近傍にプラスチックリサイクルが法規制化される動きを見据えて、本格量産準備を進めていきます。
(注) 亜臨界水:水の臨界点(374℃、22MPa)よりもやや低い領域の高温・高圧状態の水であり、有機化合物を溶解、加水分解する等、常温常圧水とは異なる特性を有する。
当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,386件、海外で2,473件、登録された件数は国内で571件、海外で1,486件です。