第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針・経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。ただし、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等

当社グループの企業ビジョンはKAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」です。また当社グループのありたい姿は、「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」です。2022年4月1日に制定したサステナブル経営基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスをベースに、事業活動を通じて持続可能な環境と社会の実現に貢献するサステナブル経営を実践しております。このサステナブル経営の実践が、当社グループの経済的価値及び環境・社会的価値を向上し、ありたい姿、またその先のKAYAKU spiritの実現につながると考えております。

2022年4月より4ヵ年中期事業計画" KAYAKU Vision 2025(KV25) "をスタートいたしました。モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域では2025年を、ライフサイエンス事業領域では2030年を「ありたい姿=Vision」の到達点とし、そのゴールに向けてのロードマップを策定しております。

本中期事業計画では、そのロードマップを着実に実行し、最終年度の2025年度に売上高2,300億円、営業利益265億円、ROE8%以上、ROIC 10%以上の目標を達成すべく取り組んでおります。そのために、全社重要課題として「新事業・新製品創出」、「気候変動対応」、「DX」、「仕事改革」、「働き方改革」の5つを定めました。これらの課題に対して、全社横断的組織を作り、課題解決に取り組んでおります。

「新事業・新製品創出」では、3事業と連携し既存組織の壁を越えて新事業・新製品の創出をより一層加速してまいります。「気候変動対応」では、温室効果ガス排出量削減やカーボンニュートラルの取組目標を設定し、気候変動リスク対策を進めてまいります。「DX」では最新ITを活用し、業務プロセス変革により売上拡大やコストダウンを実現してまいります。「仕事改革」では、A3 (KAIZEN)活動を通した仕事の効率化や生産性向上により資産効率と稼ぐ力を高めてまいります。「働き方改革」では、従業員一人ひとりが活力をもって仕事ができるよう働き方改革と人事制度改革を進め、従業員のエンゲージメントを高めてまいります。

これらの取組みと合わせて、各事業のありたい姿到達に向けて、引き続き積極的な研究開発投資と設備投資を続けてまいります。特に新事業・新製品創出はモビリティ、環境エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域で自社技術にこだわらずオープンイノベーションや製品導入、事業提携、M&Aなどの外部経営資源を取り込むための戦略的投資も精力的に検討してまいります。

 

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当期の世界経済は、底堅い成長を維持しているものの、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学リスクや米国新政権の関税の引き上げによる不透明感が続いています。

モビリティ&イメージング事業領域においては、グローバルなモビリティ市場の動向に影響を受けます。中国EVメーカーが攻勢を強めるなど構造変化が進んでおりますが、安全性向上や快適さを追求する商品開発のニーズは高く、将来の中長期的な拡大が見込める有望な市場であります。

ファインケミカルズ事業領域においては、急速なデジタル技術の進歩により、次世代高速通信(5G/6G)デバイスなどのデジタル機器の高機能化、AIサーバをはじめとするデータセンタ向けサーバの普及拡大及び自動車の高度電装化に伴う半導体関連部材のニーズが高まっております。また、印刷産業においては従来のアナログ印刷からデジタル化が進み、感熱顕色剤分野ではノンフェノール系の材料が求められるなど、環境対応へのニーズが高まっております。

 

ライフサイエンス事業領域においては、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へと引き継いでいくことが求められています。これらの実現のために、医薬品の研究・開発・製造・供給を迅速かつ安定的に行うことが期待されています。一方で、医療費などの社会保障費の増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策がさらに厳しさを増すとともに、持続可能な医療の実現が課題となっています。また、世界人口が増え続け、食の安全保障の重要性が叫ばれる中で、食糧の増産と農業の環境負荷低減の双方に寄与する製品が求められています。これらの実現のために、環境にやさしい優れたアグロケミカルを、その技術・サービスとともに提供し、食糧供給を支え、持続可能な農業の発展に貢献し続けることが求められています。

このような状況の中、当社グループは2022年4月より開始した中期事業計画“KAYAKU Vision 2025(KV25)が3年目に入り、引き続き事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取り組みを進めています。

 

セイフティシステムズ事業では、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ及びスクイブについて、製品ラインアップの拡充と拡販に取り組み、また基盤技術である火薬を生かした新製品の研究開発に注力してまいります。

ポラテクノ事業では車載領域で求められるヘッドアップディスプレイ用遮光板、携帯型X線分析装置や電子顕微鏡などに使われるX線分析装置用部材といった特徴ある製品の開発に取り組んでまいります。

機能性材料事業では次世代高速通信システム(5G/6G)、AIサーバなどのデータセンタの普及拡大や自動車の高度電装化に向けた基板及び封止用高機能樹脂、炭素繊維強化プラスチック用エポキシ樹脂、半導体クリーナー・製造装置、色素材料事業では産業用インクジェットインクをはじめイメージセンサー用材料、調光ガラス用二色性色素、触媒事業では省エネ・省資源に貢献するアクリル酸やメタクリル酸製造用高収率触媒、脱炭素・水素社会の実現に貢献するグリーン触媒といった特徴ある製品の開発に取り組んでまいります。

医薬事業は、肺がんに対するバイオ医薬品「ポートラーザ®」、血液がんに対する「ダルビアス®」、光線力学診断用剤「アラグリオ®」などの新薬の市場浸透を図ります。抗体バイオシミラーと製剤工夫した特徴のあるジェネリック医薬品を含めたがん関連領域での製品ラインアップの拡充と、安定供給、品質保証体制の更なる強化に取り組んでまいります。

アグロ事業は、海外を含めたフロメトキン製剤の販売数量拡大に注力し、新規工夫製剤・新規殺虫剤の開発、バイオスティミュラントの開発と導入に取り組んでまいります。

 

コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性・公正性の高い経営を実行してまいります。また、女性、外国人、キャリア採用者の活躍促進を含めた人材の育成・活用を推進し、多様な意見が尊重され、働きがいのある、心理的安全性の高い職場を作ってまいります。併せて、2022年4月1日に定めた日本化薬グループ人権方針に則り、全ての取引関係者とともに人権を尊重した責任あるサプライチェーンを築いてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ全般

◆サステナブル経営基本方針

私たち日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、経営の透明性・公正性を確保し、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献することで、全てのステークホルダーの信頼に応えるサステナブル経営を実践します。

 

① ガバナンス

当社グループは取締役会の直接監督のもと、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議を設置し、グループ全体でサステナビリティの取組みを推進しております。サステナブル経営会議は、原則として週1回開催しており、企業・社会・環境のサステナビリティ全般に関わる事項の審議及び報告を受けております。審議事項はサステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に付議・報告しております。コーポレート・ガバナンス体制の一環として、倫理委員会、危機管理委員会、環境・安全・品質経営推進委員会、研究経営委員会の4委員会を設置しております。各委員会は定例かつ必要に応じて開催し、サステナブル経営会議へ付議及び報告することにより、経営の透明性・公正性を確保しています。

 


② 戦略

<マテリアリティ>

当社グループは、ありたい姿「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」の実現に向けて、現状とのギャップを分析し、優先して取り組むべき5つの課題(新事業・新製品創出、気候変動対応、DX、仕事改革、働き方改革)を全社重要課題としました。

また、サステナブル経営の推進にあたり、社内外の視点から当社グループが抱える重要課題を適切に把握し、これをサステナビリティ重要課題と定め、事業活動と連動したサステナビリティ・アクションプランを策定しました。

 

中期事業計画KAYAKU Vision 2025(以下、KV25)ではサステナブル経営基本方針のもと持続可能な環境・社会の実現に貢献するため、全社重要課題を最優先で取り組み、それを補完するかたちでサステナビリティ重要課題に取り組みます。全社重要課題とサステナビリティ重要課題を合わせた総称を「KV25 マテリアリティ」としています。

 


 

※各サステナビリティ重要課題の前についている■は、全社重要課題の取組みがサステナビリティ重要課題の取組みにもつながることを示しています。

 

<サステナビリティ重要課題の特定方法>

当社グループは、社内外の視点から当社グループが抱える課題を適切に把握し、ステークホルダーの期待や要請に応えていくために、2019年に中期CSR重要課題を特定しました。

2022年4月に中期事業計画KV25のスタートとCSR経営からサステナブル経営に切り替わるタイミングに合わせて中期CSR重要課題からサステナビリティ重要課題と名称を改め、事業活動の多様化や社会課題の変化に適切に対応するためにサステナビリティ重要課題を見直しました。

 


 


 


 


③ リスク管理

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。

 

 

④ 指標及び目標

<サステナビリティ重要課題の取組とKPI>

 

サステナビリティ
重要課題

目指す
SDGs

アクション

プラン

重要指標(KPI)

2025年度

到達目標

実績

2024年度

取組に関するトピックス

2023年度

2024年度

コンプライアンスの徹底

 


・企業活動を行う上での基本原則であるコンプライアンスを徹底し、公正な事業運営を遂行する

 

・高い倫理観をもつ風通しの良い企業風土を維持・強化する

重大コンプライアンス違反件数※1

0

0件

0

・重大なコンプライアンス違反なし。

・年度必須コンプライアンス研修で「職場におけるコミュニケーション」をテーマに、すべての国内グループ会社を対象に研修を実施した。

・コンプライアンス通報窓口未設置の海外グループ会社と協議し窓口を設置した。2025年度は利用の普及に向けた啓発・教育に努める。

コンプライアンス研修の実施率

100

96%

97.7

コンプライアンス通報窓口設置率

100

83%

100

コーポレート・ガバナンスの強化

・グループ全体のコーポレート・ガバナンスを強化し、透明性が高く健全な経営を行う

取締役会の実効性評価実施回数

1/年

1回

1

・取締役会の実効性評価アンケートを実施し、現状把握・課題の抽出・アクションプランを策定し、改善を実行中。

・「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を適宜開示した。

・監査役会の実効性評価を実施した。

監査部による内部業務監査実施回数

60/4年間

17回

12

品質と顧客の安全

 


・品質マネジメントシステムの継続的な改善と、品質ガバナンスを徹底することにより、品質管理・品質保証体制をより強固にする

 

・品質経営を推進し、デジタル化による生産効率の向上と工程異常の低減を図る

重大顧客苦情件数※2

0

0件

0

品質月間(11月)に「チームの成長を加速させる対話術~品質不正の心理的メカニズムを紐解く~」と題して、品質不正防止に関するセミナーを開催した。

重大工程異常件数※2

0

0件

1

サプライチェーンにおける環境・社会配慮

 





・サステナブル調達ガイドラインに基づき、環境面や社会面に配慮したサプライチェーン・マネジメントを実践する

サステナブル調達ガイドラインに対する同意確認書の回収率

(単)

90以上

(単)

91%

(単)

91

・2023年度に原材料を購入した実績のある国内の主要お取引先(530社)および2024年度の新規お取引先(23社)を対象に、サステナブル調達ガイドラインに沿ったアンケートを送付し、502社から同意確認書を回収した。

・回収したサステナブル調達アンケート内容から人権や環境に問題のあるお取引先は確認されなかったため、改善要望依頼書を提出する必要がなかった。

お取引先へのアンケートを利用した改善計画の策定・実施

(単)

進捗状況

を開示

トピックスに掲載

トピックスに掲載

 

 

 

 

 

サステナビリティ
重要課題

目指す
SDGs

アクション

プラン

重要指標(KPI)

2025年度

到達目標

実績

2024年度

取組に関するトピックス

2023年度

2024年度

 

エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減

 

排水および廃棄物の削減

 

水資源利用の効率化

 






・省エネルギー・地球温暖化対策活動を推進し、2030年度環境目標を達成する

 

・2050年度カーボンニュートラル達成に向けた課題の抽出と戦略を明確化する

温室効果ガス排出量
(Scope 1+2)

2030年度達成目標)

70,598トン以下(2019年度比46%以上削減)

(2024年度達成目標)

111,838トン以下

102,704

トンCO2

111,364

トンCO2

※5

・CDP「気候変動分野」において初の最高評価「Aリスト」選出・MFCAの推進および太陽光発電PPAモデルを順次導入。

・生産量増加に伴い、各項目の排出量が増加したものの、リサイクル率およびセロエミッション率は改善した。

・環境問題に配慮した製品・技術の開発状況。

【セイフティシステムズ事業】

軽量化シリンダー型インフレータ(新世代インフレータ)をKMYで生産開始。前世代のインフレータと比較し、CO2を30%削減。

グリーンプロペラントMGGの開発

【機能性材料事業】

航空機向けをターゲットとしたCFRP/GFRP用熱硬化樹脂について、展開可能性のある開発品を実機評価。

バイオ由来原料を使用した高耐熱・高信頼性熱硬化樹脂の開発。

【色素材料事業】

産業用インクジェットインク(コート紙用、軟包装用)の開発。

感熱用ノンフェノール顕色剤の拡販。

【触媒事業】

水素製造用触媒の共同研究を推進。

マテリアルズ・インフォマティクス技術を活用した原料使用量削減および目的物収量向上に寄与する触媒の開発。

バイオ原料からプロピレンなどの基礎化学品を製造するための触媒開発。

【医薬事業】

省資源化につながる包装形態の変更、環境負荷低減素材の採用を推進。

VOC排出量

(単)

実績を開示

(単)

32.9トン

(単)

60.3トン

COD排出量

(単)

実績を開示

(単)

210.9

トン

(単)

222.2

トン

廃棄物発生量

(単)

実績を開示

(単)

20,974

トン

(単)

28,225

トン

※5

リサイクル率

(単)

80以上

(単)

83.8%

(単)

86.5

ゼロエミッション率

(単)

1以下

(単)

0.7%

(単)

0.6

SBTに批准した目標設定と具体的施策の検討・実施

進捗状況を

開示

中期環境目標を1.5℃水準に改定

トピックスに掲載

TCFD提言に沿った情報開示

進捗状況を

開示

情報開示済み

情報開示済み

環境問題に配慮した製品・技術の開発推進

進捗状況を

開示

トピックスに掲載

トピックスに掲載

 

 

 

サステナビリティ
重要課題

目指す
SDGs

アクション

プラン

要指標(KPI)

2025年度

到達目標

実績

2024年度

取組に関するトピックス

2023年度

2024年度

職場の労働安全衛生

 



・安全衛生に関する基本ルールの徹底と、設備や作業手順の改善により、安全操業基盤をより強固にする

 

・健康経営を推進し、従業員が活き活きと働けるワーク・ライフ・バランスのとれた職場環境を提供する

重大事故災害件数※3

0

0件

0

・事業場内グループ会社および協力企業を含めて日本化薬単体での重大事故災害発生なし。

・健康経営優良法人の認定を継続。継続するよう従業員の健康維持増進活動を推進。

・有給休暇取得率は目標を達成したものの、管理職の取得率は目標を若干下回った。引き続き、社内イントラネットによる啓蒙、各事業場の人事労務担当者からの積極的な声かけ、有給休暇取得奨励日の設定等を実施する。新たな取り組みとして、5日以上の有給休暇取得プラン(ゆうYouプラン)を個人毎に作成し職場内で共有した。

・定期健康診断受診率は100%を継続

・2回目の従業員エンゲージメントサーベイを実施。全体のスコアは48.4となり、昨年度より改善したものの全国平均には届かなかった。全社の結果は「上司の支援」や「職場の一体感」は高い一方で、「適切な採用・配置」、「事業の成長性や将来性」に対しては低い傾向あった。エンゲージメント向上に向けて、各職場でアクションプランを設定して改善活動を行っている。

健康経営優良法人(大規模法人部門)認定取得

(単)

認定取得継続

(単)

認定取得

継続

(単)

認定取得

継続

有給休暇取得率

(単)

70以上

(単)

72.8%

(単)

73

メンタルヘルス研修受講率

(単)

100

3ヶ年計画の1年目を計画通りスタート

3ヶ年計画の1年目を計画通りスタート

定期健康診断受診率

(単)

100

(単)

100%

(単)

100

アンケートを利用した従業員満足度の把握とその向上

(単)

進捗状況を

開示

トピックスに掲載

トピックスに掲載

雇用の維持・拡大と人材育成、人権尊重

 





・多様な人材の採用と効果的な人材配置及び交流により、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する

 

・継続的な人材育成により、ものづくり技術力の継承・強化と人材のグローバル化を図る

 

・従業員をはじめサプライチェーンに関わるあらゆる人々の人権に配慮した事業運営を行う

女性管理職比率※4

(単)

10以上

(単)

8.7%

(単)

8.3

・事業場ごとに女性管理職候補の選定や面談による意思確認や計画的な育成指導、意識改革のための女性管理職を交えたパネルディスカッションを実施し、管理職へのチャレンジを推進した。採用者に占める女性比率を向上させた。(前年度比:新卒採用+9.2ポイント、キャリア採用+4.3ポイント)

・専門家による支援も取り入れ業務の切り出しや就業環境を整備し、障がい者雇用促進と職域拡大に継続して取り組んでいる。今後の対応として、重点取組事業場を設定し採用拡大・社内環境整備・特別支援学校との連携等をさらに推進して採用や継続して働ける環境を強化していく。

・日本化薬グループ人権方針改定にあたり、eラーニング研修を実施した。日本化薬グループ人権方針を再周知し、企業が尊重すべき人権の全体像・人権に関する取り組みが、事業活動に与える影響等に関して理解を促した。

・人権リスクの影響評価により特定した日本化薬グループの従業員にとっての優先対策リスクに対して、人権への負の影響を防止、軽減、是正策を継続実行。

障がい者雇用率

(単)

法定雇用率

達成

(単)

1.93%

(単)

2.11

従業員一人当たり教育研修投資額

(単)

実績を開示

(単)

76,565円/

(単)

72,015/

従業員一人当たり教育研修時間

(単)

実績を開示

(単)

17.7時間

(単)

15.0時間

人権に関する研修回数

1以上/年

2回

1

人権デュー・ディリジェンス
「人権への影響評価」実施率

(単)

2022年度までに実施

 

(連)

2025年度まで

100

日本化薬グループ従業員を対象に人権リスク評価及び優先対策リスクを特定

優先対策リスクに対して、人権への負の影響を防止、軽減、是正策を継続実行

 

 

 

サステナビリティ
重要課題

目指す
SDGs

アクション

プラン

重要指標(KPI)

2025年度

到達目標

実績

2024年度

取組に関するトピックス

2023年度

2024年度

リスクマネジメント

 

・事業に関わる様々なリスクへ対応し、生産体制の維持、原材料の適正確保、災害対策の強化により事業継続性を確保する

事業領域リスクコントロール活動・TOP5リスクコントロール活動実施率

100

100%

100

・国内7工場、すべてのグループ会社でTOP5リスクコントロール活動を実施した(トレンドとしては優秀な人材の不足のリスクが増加)。

・国内外の拠点をピックアップしてTOP5リスクに関してヒアリングを実施した。

・ファインケミカルズ事業領域で関東を震源とする地震を想定し複数拠点でのBCP訓練を実施した。

・中国グループ会社でBCP訓練を実施した。

BCP訓練実施回数

1以上/年

3回

3

 

 

※1:倫理委員会にて重大と判断した案件数

※2:損失額1,000万円以上

※3:3人以上の同時休業災害または死亡災害

※4:2024年度末の目標値

※5:温室効果ガス排出量、廃棄物発生量については、2024年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社サステナビリティサイトで開示予定です。

 

 

(2) 気候変動対応

当社グループは化学製品を創出する企業として気候変動を国際社会の重要な課題と認識し、地球環境への責任を積極的に果たしていくべきと考えております。2020年7月には温室効果ガス削減の中期環境目標を定め、サステナブル経営を一層推進する中期事業計画KV25の開始に合わせて、2022年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。

気候変動対応チームは、2050年のカーボンニュートラル達成を基本的な方針として、全社的な温室効果ガス削減の取り組みを進めております。計画の推進にあたっては、従来の省エネルギー活動を深化させるとともに、新たに分散型電力を導入する環境投資や、エネルギー転換のための技術的調査などを、計画的かつ着実に実施する必要があります。また、生産部門だけではなく、事業部門はもとより調達や情報開示に係る間接部門を含めて、全社一丸となって取り組むことが重要と考えております。

当社グループは気候変動対応の活動を通じて、持続可能な社会実現と将来の事業機会創出の双方を追求することにより、更なる企業価値の向上を目指しながら、グローバルな環境問題の解決に貢献してまいります。

 

①ガバナンス

当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、将来の気候変動対応を含む事業計画などの審議及び活動状況の総括・評価を行っております。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会の監視・監督を受ける体制としております。また、気候変動対策の推進を統括する環境・安全・品質経営推進委員会(委員長:テクノロジー統括管掌役員)を組織し、グループ横断的な視点から、気候変動に関する課題についてより深めた議論を行っております。

 

②戦略

当社グループでは、複数の事業をグローバルに展開しており、事業分野ごとに様々なリスクと機会を有しております。気候変動がもたらす各事業への影響を特定するため、TCFD提言に沿ってグループ全体の気候関連のリスクを評価し、さらに事業分野ごとの機会を検討しました。気候関連のリスクと機会を特定するにあたっては、リスクが出現する時期を以下のように定義しております。

 

期間

採用した理由

短期

2025年度まで

2022年度よりスタートした中期事業計画KV25の期間を設定

中期

2030年度まで

日本化薬グループの中期環境目標で定める2030年度目標に合わせて設定

長期

2050年度まで

NDC(国が決定する貢献)目標年に合わせて設定

 

 

気候関連の事業リスクについては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つのシナリオに関して、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6,8.5シナリオ)、並びにIEA(国際エネルギー機関)によるSDS(持続可能な発展シナリオ)及びSTEPS(公表政策シナリオ)に基づき特定しました。

 

 

1.5℃シナリオにおける脱炭素経済への移行のリスク

カテゴリー

主なリスク

リスク
出現時期

財務影響

主な対策

政策及び
法規制

排出規制強化の影響による操業コスト増大

短期~長期

各拠点への太陽光発電、高効率コジェネ発電などの分散化電源の導入

MFCAの活用によるマテリアルロスの削減や徹底した省エネ活動

電力及びLNG(液化天然ガス)などの価格上昇

短期~長期

排出規制強化の影響による原材料価格上昇

短期~長期

エンゲージメントを通じたサプライヤーの排出削減推進

市場・評判

環境情報開示及びLCA(ライフサイクルアセスメント)算定などのコスト増加

中期~長期

各拠点からの排出量集計方法の合理化やLCA算定のシステム化

 

 

4℃シナリオにおける物理的影響リスク

カテゴリー

主なリスク

リスク
出現時期

財務影響

主な対策

急性的・慢性的な物理的リスク

台風、大雨、高潮などの洪水被害によるコスト増加

短期~長期

工場を新設する際には、洪水被害を想定し、立地条件や設備の構造、配置を考慮

水不足による操業への影響

中期~長期

生産に使用する水の節水対策の強化や、水のリユース、リサイクルの検討

気温上昇による労働生産性の低下

中期~長期

空調の強化などによる労働環境改善や、高温工程の自動化の推進

 

 

③リスク管理

当社グループは、気候変動関連のサステナビリティ重要課題として「エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減」を特定しております。取締役会、サステナブル経営会議、環境・安全・品質経営推進委員会で構成されるガバナンス体制のもと、気候変動対応チームが中心となって、気候変動リスクの特定・評価を行うとともに、省エネや環境投資を積極的に推進するなど、具体的な計画を実行しております。

 

④指標及び目標

当社グループでは、2020年度に新たな中期環境目標として2019年度比で2030年度に温室効果ガスを32.5%削減する目標を掲げ、順調に削減を推進してまいりました。一方、世界的に脱炭素社会実現への取組みが加速する中、日本でも温暖化防止、脱炭素化への取組みの加速が求められるようになっています。以上のような状況を鑑み、当社グループでは、気候変動のリスクに対する指標を、2050年度カーボンニュートラルを最終目標とした目標の見直しを行い、2030年度にグループの温室効果ガス排出量(Scope1及び2)の2019年度比46%削減(1.5℃目標)をKPI(長期環境目標)に変更しました。この目標達成のため2025年度以降は毎年対2019年度比4.2%の排出削減率を目指します。また、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、サプライチェーン全体で削減を目指すための活動や水素、アンモニアといった代替燃料の利活用に係る技術開発動向の調査などを行動計画に加え、グリーンエネルギーへの転換に向けた技術導入を進めて参ります。

また、2024年度の温室効果ガス排出量は、生産量の増加があったものの、太陽光発電の導入などによる効果により111,325t-CO2の結果になりました。

洪水リスクに関しましては、財務影響と対策に必要な投資金額の把握を進めており、今後は定量的な目標を設定し、対策を進めてまいります。

 

項目

目標(2019年対比)

2023年度
(t-CO2)

2024年度
(t-CO2)※

Scope1及びScope2

2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減し、排出量70,598t-CO2以下とする

102,704

111,325

 

 

 

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

※2024年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社ホームページ(https://www.nipponkayaku.co.jp/)のサステナビリティサイトにて公開します。

 

 

(3) 人的資本経営の取組

<人的資本に関する考え方>

日本化薬グループは、当社で働く全ての人の働きやすさ・働きがいを向上させることで、企業と従業員が持続的に成長することを目指します。

日本化薬グループが求める人材は「自ら主体的に行動できる自律型人材」、「失敗を恐れず果敢にチャレンジできる人材」、「世界で活躍できるグローバル人材」です。中期事業計画KV25の「ありたい姿」を実現するためには、当社がさらにグローバルビジネスを拡大し、事業成長や資本効率の向上を自律的・積極的に理解し着実に遂行できる人材の採用と育成が重要であると考えます。

また、全社重点課題の1つとして展開する「働き方改革」では、「活き活きとした強い会社・いい会社」を目指し、従業員一人ひとりが活力をもって仕事ができるよう、働き方改革と人事制度改革を推進しています。従業員の心理的安全性やエンゲージメントの向上、労働生産性を向上し、働きやすく、働きがいのある職場環境を整備し、優秀な人材を呼びこみ、定着率を高めることで会社の成長と経営基盤の強化を支えるとともに日本化薬グループの持続的な企業価値向上を目指していきます。

 

①ガバナンス

日本化薬グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、人的資本経営の取組みなどの審議及び活動状況の総括・評価を行っています。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会による監視・監督を受ける体制としております。

 

②戦略

当社の人材育成方針及び社内環境整備方針は、以下のとおりです。

人材育成方針

企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、サステナブル経営の実践を通じて、環境・社会的価値及び経済的価値を創造し、持続可能な環境・社会の実現と企業価値の向上を目指しています。

当社は、KAYAKU spiritを実現するために以下に掲げる3点を定め取り組んでいます。

・創造性・専門性を高め、自ら主体的に行動できる自律型人材の育成

・失敗を恐れず、環境変化に対し果敢にチャレンジできる人材の育成

・グローバルな視点を持って活躍できる人材の育成

人材育成方針を実現するために、当社は階層別集合教育や選抜教育、e-ラーニングなど様々な研修プログラムを用意し、人材の育成強化を推進しています。

 

 

社内環境整備方針

当社は、従業員が健康で快適に働ける労働環境を整備し、生産性向上や従業員満足度向上を目指しています。従業員がKAYAKU spiritに共感し、経営陣と相互に信頼し合いながら、やりがいや熱意を持ち活き活きと働くことができる職場風土を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることを重視しています。

人事制度としては、年齢や性別、キャリア、学歴、国籍などにこだわらない職務配置と処遇を可能にする「ポジションクラス(職務等級)制度」や、管理職への登用において自発的にチャレンジできる制度を設け、役割と責任に基軸をおいたシステムを導入しています。

人材育成においても自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援していきます。

 

(注) 人材育成方針及び社内環境整備方針は提出会社となります。

 

 

当社では従業員のワーク・ライフ・バランスを推進し、柔軟な労働時間制度や在宅勤務制度の導入、年次有給休暇制度の取得促進など、仕事とプライベートのバランスを整えて従業員が安心して生活ができるよう支援しております。

2023年度よりエンゲージメントサーベイを行い、浮き彫りとなった課題や問題点に対し事業場ごとに対策を講じ、より良い職場づくりに向けた改善活動を行っています。今後も定期的に従業員エンゲージメントを調査し、従業員活力最大化に向けて取り組んでいきます。

 

<主な取組>

●人材育成方針の取組

1.質の高い人材の確保と育成強化

自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通して、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、キャリアの自律と自ら学ぶ能力開発を重視し、希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援していきます。

各種研修プログラムにより、自身のキャリアを開発していくとともに、果敢にチャレンジできる人材やマネジメント人材の充実を図っていきます。

*次世代経営幹部の育成を目的とする日本化薬経営スクール(NBA:Nippon Kayaku Business Academy)

次世代の幹部候補を育成するプログラムとして第7代社長中村輝夫の発案で始まり、2001年を第1回として2024年度は第14回目の実施となりました。経営企画部及び人事部を事務局として、海外グループ会社を含めた全ての部門から受講者を選抜し、月1回の集合研修を軸として約1年間かけて実施します。ワークショップを通じて、経営戦略の策定や、社会課題から将来のビジネスをイメージするなど必要なスキルを身につけながら、KAYAKU spiritを礎とした経営者マインドを醸成します。これまで受講者から多くの経営幹部を輩出しており、経営に関わる人材の育成に有効な教育として継続していく予定です。

・受講実績

受講者数

2024年度

20名(男性:18名、女性:2名)

 

2023年度

23名(男性:20名、女性:3名)

総研修時間

2024年度

2,180.0時間

 

2023年度

2,587.5時間

 

 

2.グローバル人材の活躍推進

日本化薬グループは日本を含め海外12ヵ国・地域に拠点を持ち、国内従業員よりも海外従業員が多くなっています。このような環境の中で素早く的確に企業としての活動を進めるために、国内外という意識を取り払ったグローバルな視点を持ち、世界中どの場所でも活躍できる人材の育成が重要と考えております。

全社重点課題「働き方改革」において、グローバル人材育成プログラムを策定し、活躍する人材の質・量の充実を目指しております。若手社員、海外勤務経験者、日本化薬経営スクール(NBA)受講者及びタレントマネジメントシステムなどから海外志向性の強い人材をリストアップし、英会話スキルの向上や実務英語の研修などによってグローバル業務推進力を強化しております。また海外駐在員・出向者向けに、赴任前教育や異文化、商習慣についての教育などのサポート体制を拡充しています。

OJTや拠点ローテーション、複数の海外赴任を組み合わせるなど効果的な教育を立案するとともに、グローバル人材の新卒採用も検討していきます。さらに、海外グループ会社の現地採用者の中からもグローバル人材を育成するために、日本化薬グループの経営方針の浸透と理解を進め、サーベイなどでキャリア志向を調査・分析しながら必要な育成をサポートしていく予定です。KV25の重点課題として、グローバル人材の活躍に向けた採用・育成体制の確立に注力していきます。

 

 

3.適切な人材配置と公正な評価

年齢や性別、キャリア、学歴などにこだわらない職務配置と処遇を可能にする人事制度として「ポジションクラス制度(職務等級制度)」を導入しております。担当業務の役割と責任を明確化し人事評価の根拠とする制度です。また、従業員自ら目標を設定するチャレンジ評価や業務遂行の過程を評価するプロセス評価があり、従業員一人ひとりが個性を活かしながら知能と能力を伸ばす仕組み作りを導入しております。

人材情報を見える化し、タイムリーで的確な人員配置を可能にすることを目的として、タレントマネジメントシステムを導入しています。2022年9月から運用を開始し、人材に関する必要な情報を簡単に素早く把握できる特徴を活かして適宜人事関連活動への運用を拡げています。人事情報を一元管理することで、「グローバル人材の育成」とのスムーズな連携ができるようになっております。また、社内公募制度や異動希望シートを活用した人事異動を通して、個々の従業員のニーズも踏まえた自律的なキャリア開発の支援を柔軟に行っていきます。

 

●社内環境整備方針の取組

4.心理的安全性の高い職場環境の醸成

多種多様な価値観を尊重しながら、従業員が安心して働き、活躍している企業であり続けるためには、良好なコミュニケーションを行える職場環境を整えることが重要です。トップダウンのみではなく現場の声をよく聞く双方向のコミュニケーションにより、健全な議論ができる環境を実現していきます。また、コンプライアンス活動の継続によりハラスメントは減少傾向にあるものの、依然として残っていることから、ハラスメント撲滅に向けた悪しき行動を断ち切る取組みが必要です。具体的な取組みとして、アンコンシャスバイアス研修やリスペクト研修などを実施してきました。これらの取組みを実施することにより、組織風土改革を行い心理的安全性の高い職場環境を醸成していきます。

 

5. 働きやすさと働きがいの向上

在宅勤務制度や時差勤務制度により、働く時間だけでなく働く場所や環境も多様となりました。従来の定勤務形態に捉われず、個々のニーズやライフスタイルに合わせた働きやすい環境を整備することでワーク・ライフ・バランスの充実を図っております。ワーク・ライフ・バランス充実のKPIとして有給休暇取得率を定めております。更なる取得率向上策として、5日以上の有給休暇取得プランを個人ごとに作成し職場で共有するなどにより、取得しやすい環境づくりをしております。

また、2023年度より従業員エンゲージメントサーベイを開始しました。全社に加えて職場ごとの「強み」や「弱み」を可視化するとともに、各職場の課題に応じて個別に改善活動を行うことで従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。

 

6. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

多様な人材、多様な働き方が受け入れられ、従業員が活き活きと働き、それぞれの能力を発揮し、活躍できる組織風土や働く環境づくりに取り組んでいます。性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がい、民族、肌の色、文化、思想、信条、政治的見解、性的指向などの多様性を認め、また育児期、介護期など、多様な属性を持った方たちの活躍を推進しています。意思決定の場に多様な視点が入るよう、異なる背景を持った人材の活用を推進していきます。

ダイバーシティ推進のKPIとして、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「障害者雇用率」を定め、多様な人材が働きやすい職場環境の整備に向けて取り組んでいます。

 

③リスク管理

人材の流動化が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、離職により組織力が低下することが最大のリスクと考えております。日本化薬グループの活動の主役は“人”であるとの考えのもと、サステナビリティ重要課題として従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場の中で仕事を通して成長することができる会社を目指して、働き方改革を推進することでリスク低減に努めています。

また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により、異なるバックグラウンドや視点を持つ人材を積極的に活用し、多様性を尊重し、包括的な職場環境を整備し、人材の意欲や生産性を向上させること、テクノロジーを積極的に活用し、人材データの分析や予測、効果的な人材配置に取組むことでリスクの軽減を図っています。

 

④指標及び目標

前述の<戦略>において記載した当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標の管理と具体的な取組みは当社では行われているものの、日本化薬グループ全体としての記載は困難であり、指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。

 

明確な指標(KPI)を定めている事項は以下のとおりです。

戦略

指標

目標

実績

 

 

 

 

2024年度

2023年度

2022年度

働きやすさと
働きがいの向上

有給休暇取得率

70%

(2024年度)

73.0%

72.8%

63.7%

エンゲージメントスコア

50 

(2024年度)

48.4

47.1

-

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

10% 

(2024年度)

8.3%

8.7%

9.0%

男性育児休業取得率

50% 

(2024年度)

100.0%

78.5%

69.6%

障害者雇用率

2.5%

(2024年度)

2.1

1.9

2.0

 

 

◇働きやすさと働きがいの向上

・有給休暇取得率

2024年度の有給休暇取得率は、目標としている70%を超え73.0%の取得率となっています。従業員の生産性及びモチベーションの向上、また優秀な人材の獲得に向け、更なる有給休暇取得率の向上を目指していきます。

 


 

・エンゲージメント

2024年度のエンゲージメントスコアの結果は48.4と、昨年度から1.3ポイント向上しましたが、目標の全国平均50には未達でした。エンゲージメント向上の施策として、職場ごとに「強み」や「弱み」の組織状況を分析した上で、各職場の課題に応じた効果的なアクションプランを策定し実行しています。

 

 

◇ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

・女性管理職比率

当社において指導的立場にある女性人材の割合を示す「女性管理職比率」は、少子化が進む日本においては、女性活躍の場を増やすことが社会的な課題となっております。女性が働きやすい環境を整備し、女性管理職を増やすことを目指し女性管理職比率は2024年度の目標を10.0%と定めましたが実績は8.3%でした。

今後の対応としては、各事業場に女性の採用や管理職登用に関する協力を要請するとともに、管理職挑戦支援、女性リーダー候補者研修などを実施していきます。

 


 

・男性の育児休業取得率

男性の育児休業取得率は、男性の育児休業取得を促進することが従業員の働き方やキャリア人材の獲得などへ良い効果をもたらすとの考えから積極的に促進しております。プラチナくるみんの特例認定基準である50%を目標に設定し、男性の育児休業取得を推進するための社内整備をさらに進めた結果、2024年度実績は目標を超える100%となっています。

 


 

・障害者雇用率

障害者雇用率は、多様性と包括性を重視し、全ての人々にとって働きやすい環境を提供するため、障害者の雇用機会を増やし、共生社会の実現に貢献することが社会的責任となっております。当社では法定雇用率2.5%を目標に設定し、社内環境を整える取組みを行いましたが、結果は2.1%と未達となりました。

未達の理由として、障がい者を採用しているものの、退職者も同時にいるため、雇用者数が増えていないことが挙げられます。今後の対応として、重点取組事業場を設定し採用拡大・社内環境整備・特別支援学校との連携などをさらに推進して採用や継続して働ける環境を強化していきます。

 

日本化薬グループの人的資本に関する取組みの詳細については、当社Webサイトをご参照ください。

https://www.nipponkayaku.co.jp/sustainability/

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業を運営するにあたり、発生する可能性のあるリスクを把握し、対策を行うことでリスクの低減に努めております。

当社グループの経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に重要な影響を与えうるリスクには重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、将来的に予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

① 経営戦略に係るリスク

当社グループの経営戦略に係るリスクには、次に示すような経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に直接影響を与える可能性のあるものがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

原材料の調達に係るリスク

当社グループの全ての事業に共通のリスクとして、国家間紛争、政府方針の変更、感染症、異常気象、為替変動等があります。これらのリスクによりサプライヤの操業停止や倒産が起こり、原材料の途絶や安定的な入手が困難な状況となると生産に支障をきたし、事業に影響を及ぼす可能性があります。また、主要原材料や隘路原料が高騰することで経営状況に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、部品供給の途絶により製品供給が滞り、自動車製造会社の生産が停止となる可能性があります。

ファインケミカルズ事業領域では、隘路原料等の高騰により当社グループ会社の利益の低下や原料が確保できず生産に支障をきたす可能性があります。

医薬事業では、リードタイムが長い輸入製剤において供給が途絶する可能性があります。

各事業において複数購買化による原材料の調達を図り、安定的に原材料を確保するように努めています。サプライヤに対して定期的に監査を実施しています。また情報交換を行い、品質や経営状況等を確認しています。

セイフティシステムズ事業では、仕入先業況説明会を定期的に開催し、当社製品及び部品の需要動向等の情報を仕入先に積極的に開示しています。また、サプライチェーン途絶等が発生した場合を想定し、グローバルでの供給補完体制の確立、代替サプライヤの発掘や調査を行っています。

ファインケミカルズ事業領域では、主要原材料や隘路原料等の市況把握のため、サプライヤと密な情報交換を継続し、定期的な監査を実施し、リスク低減に努めています。

医薬事業では、業界内の情報収集を確実に実施し、他社の販売状況、原料・原薬の調達状況等を早めに察知することで、供給途絶の発生の防止に努めています。代替が不可能な製品については、6ヶ月以上の基準を設け戦略的に在庫を持つ等、供給途絶の発生防止に努めています。

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

製品の品質に係るリスク

当社グループでは、品質不良等による不具合が発生した場合、法令に基づく製品の回収、工場の操業が停止する可能性があります。また製造物責任(PL)法に基づく損害賠償が発生すると、社会的信頼性の低下等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、製品の品質不良に起因した不作動、誤作動及び異常作動等が発生する可能性があります。

ポラテクノ事業では、製造工程時の異物による欠陥や原材料に起因する品質異常が発生する可能性があります。

ファインケミカルズ事業領域では、原材料の品質不良や製造工程の不具合等によって、顧客の品質規格を満たさない品質異常が発生する可能性があります。

医薬事業では、製品の品質不良に起因した健康被害が発生する可能性があります。

各事業領域、事業部の品質保証部門と連携し、新製品だけでなく既存製品についても、有害事象が発生するような品質リスクの高い事象を中心に適切な監視体制が講じられていることを確認しています。

セイフティシステムズ事業では、自動車産業向け品質マネジメントシステムIATF16949を適切かつ厳格に運用し、万一品質異常品が発生した場合においても、流出を防止できるよう、項目によっては全数検査を実施する等、製品品質の維持管理に努めています。日系、中資系、韓国系等それぞれ独自要求項目に対応した形で品質維持体制を構築しています。

ポラテクノ事業では、ゼロディフェクト活動を推進し、工程異物欠点起因による品質低下を防いでいます。

ファインケミカルズ事業領域では、ISO 9001を取得し、事業部門と独立した品質保証本部を設置し、国内3拠点の工場(福山工場、厚狭工場、東京工場)で品質管理と品質保証業務を分離するとともに、サプライヤの監査を強化する等、品質の維持向上に努めています。

医薬事業では、高崎工場、医薬研究所にてISO9001及び医療機器・体外診断用医薬品の品質マネジメントシステム規格であるISO13485の統合認証を取得しています。また、薬機法、GMP、法令遵守ガイドラインへの対応を強化し、原料・原薬サプライヤの監査を行い、製造所の製造管理体制の維持向上に努めています。

事業環境の変化に係るリスク

当社グループでは、景気変動、貿易摩擦激化、地政学リスク、競合との競争激化等により収益が低下するリスクがあります。特に国内外の関税に関する政策によって直接的、間接的な影響を受ける可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、米国の自動車関税や相互関税の変更で顧客の輸送コストアップと、車体価格への転嫁が起こり、消費者の購買意欲の低下により自動車の販売数の低下につながり、業績に大きく影響する可能性があります。

ファインケミカルズ事業領域では、ターゲットとする情報・通信(半導体等)関連市場の動向が読みづらいため、在庫調整等の影響を大きく受ける可能性があります。また、新製品をタイムリーに提供できないと、収益低下を招く可能性があります。

医薬事業では、社会保障費の増大に伴って、医療費、薬価の抑制が行われ、利益減少等、収益に影響が出る可能性があります。

アグロ事業では、地政学的な要因による調達リスクにより、収益に大きな影響を与える可能性があります。

グローバルなマーケティング活動や顧客先との良好な関係づくりと情報交換を継続し、市場・技術動向を的確に見据えた研究・技術開発を推進し、適正な在庫管理を行っております。

セイフティシステムズ事業では、グローバルな生産拠点を有しており、顧客の近傍の工場で生産し、生産拠点の最適化(関税の高い地域から関税の低い地域への移管等)を行うことで、顧客の輸送コストの低減と車体価格への転嫁低減に努めます。

ファインケミカルズ事業領域は、グローバルなマーケティング活動や顧客先との良好な関係づくりと情報交換を継続し、市場・技術動向を的確に見据えた研究・技術開発を推進します。また中国のグループ会社を活用し、中国内での製造、製品の自製化を展開します。

医薬事業では、継続的なコストダウンを実施するとともに、イノベーションが高く評価される新薬の開発を推進し、事業の安定を図ります。

アグロ事業では、主力製品の原材料調達先において原料調達先のカントリーリスクを考慮し、複数国に調達先を分散することで原料確保についてのリスクの軽減を図ります。

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

事故発生に係るリスク

当社グループでは、国内外の多数の生産拠点において、生産活動を行っており、設備トラブルやヒューマンエラー等による事故が発生すると、生産に影響を及ぼす可能性があります。特に工場における安全管理上の不備が原因により火災や爆発等の重篤な災害が発生すると、行政からの処分による長期的な生産停止、操業停止等による販売機会の逸失や顧客への供給責任不履行または近隣住民からの苦情、損害賠償請求やマスコミ報道により社会的な信用失墜を招く可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、火薬類を製品に使用しているため、火薬の発火事故等が発生する可能性があります。

アグロ事業では、物流事故による、製品の漏洩の可能性があります。

当社グループでは、「安全をすべてに優先させる」取組みを共通の認識とし、国内だけでなく海外現地の法令遵守をはじめとする環境・安全に関わる事故災害の未然防止を図るよう当社グループの従業員全員でレスポンシブル・ケア活動を進めています。30秒巡視及び定点観察による不安全行動の顕在化に重点を置いた安全衛生活動、リスクアセスメントに重点を置いた中央環境安全衛生診断を推進しています。

懸念事項が発生した場合には、速やかに該当部署に状況確認を行うとともに情報共有をしております。緊急事態が発生した場合は、中央対策本部を設置し、適切な対応ができるような体制を整えています。また、当社グループ全体をカバーする保険の付与等の対策を行い、損害賠償請求等に備えております。

セイフティシステムズ事業では、火薬技術者を社内で独自に育成しています。また、火薬保安委員会にて技術レベルを向上させ安全を確保する活動を継続しています。設備の新設等で実施する安全審査等を通じ、事前に潜在的なリスクを洗い出し対策を行い、事故の発生防止を徹底しています。

アグロ事業では、物流事故により製品が漏洩した想定での訓練を定期的に実施しています。

研究開発に係るリスク

当社グループにとって新製品の開発の遅れ、技術的な要因による上市の遅れは、競争力の低下や収益の低下につながり、将来の事業計画へ影響を及ぼす可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、現行製品のコストダウン、より高性能かつ安価な新型インフレータ、新規デバイス等の開発が遅れる事により販売数量が未達成となり利益を確保できない可能性があります。

ファインケミカルズ事業領域では、主要分野である情報・通信分野の技術革新が速く、製品のライフサイクルが短くなる傾向にあるため、新技術・新製品の開発の遅れや他社による画期的な技術革新のため、顧客ニーズを満足させる新製品をタイムリーに提供できないことにより、収益低下を招く可能性があります。

医薬事業では、毎年薬価改定により新製品のスケジュール通りの開発・上市が必須となっており、上市の遅延は経営状況に大きな影響を与える可能性があります。

アグロ事業では、有効な研究テーマが創出されず、開発テーマが枯渇し、将来の事業部の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

学会・展示会等に積極的に参加し、周辺技術を含めた最先端の技術動向を組織的に把握し、共有化しています。国内外のアカデミアとの共同開発を行い、先端技術の導入を図ります。

セイフティシステムズ事業では、開発に必要な要員を確保し、毎月の開発会議及び定期所属長ミーティング等で進捗を確認しています。進捗の遅れがみられる場合には、その原因となる事柄についての善後策を即時講じ、事業部全体で解決します。

ファインケミカルズ事業領域では、グローバルなマーケティング活動や顧客先との良好な関係づくりと情報交換を継続し、市場・技術動向を的確に見据えた研究・技術開発を推進します。中長期的な成長につながる新規事業創出に向けたテーマ探索・研究開発を継続して進めます。

医薬事業では、開発品、導入品の研究開発計画、スケジュール管理について更なる厳格化を図っていきます。加えて中長期のパイプラインの充足を図るべくアライアンス活動等も積極的に行っていきます。

アグロ事業では、海外市場も含めた探索テーマを整理し、新製品テーマの進捗を加速します。積極的に社外から研究テーマを取り入れ、テーマの多様化と充実化を図ります。

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

規制・政策の変更に係るリスク

当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っております。将来における法令、規制及び政策等の制定及び変更による当社グループの事業活動の制限やコストの増加により、当社グループの経営又は事業に重要な影響を与える可能性があります。

セイフティシステムズ事業では、各国の火薬類・危険物・隘路原料の輸送及び生産、使用に対する規制が大きく変化する可能性があります。

ファインケミカルズ事業領域では、様々な規制が大きく変化した場合、その手続きに時間を要し、原材料や当社製品の輸出入が途絶あるいは遅延が発生することで製品の維持・販売に影響が出る可能性があります。

医薬事業では、医療制度や健康保険に関わる行政施策により薬価の引き下げによる利益減少等、収益に影響が出る可能性があります。

アグロ事業では、農薬取締法等国内外の法令による規制強化により、製品の維持・販売に影響が出る可能性があります。

官報等の定期的な確認と社内やグループ会社への周知、必要に応じた教育の実施、顧問弁護士及びコンサルティング会社との緊密な相談並びに各国のグループ会社の担当者との連携を通じて、法令の制定及び改正に係る情報を迅速に入手可能な環境を整備し、法令遵守に応じた組織体制を構築します。

セイフティシステムズ事業では、可能な限り使用する拠点で製造、調達を行い、火薬・危険物・隘路原料輸送に伴うリスクの軽減に努め、インド・中国等、新たな原料類調達先の開拓を進めます。

ファインケミカルズ事業領域では、国内外の法令、規制等の改正動向を把握し、輸出先顧客への現地法令に関する適切な情報提供を推進し確実に法対応を実施します。

医薬事業では、原価低減やコスト削減活動を推進するとともにバイオシミラー製剤や新規GE抗がん薬の開発により、ラインアップの拡充を図ります。

アグロ事業では、農薬取締法において当局との調整を適正に行い、評価に対応できる資料・データを準備します。

関税政策の変更及び為替レート変動に係るリスク

当社グループの海外売上比率は、過半数を超えております。国内製品の原材料も、海外のサプライヤから多く購入しています。そのため関税政策の変更は、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。特に対米関税の引き上げや新たな関税措置が実施された場合、当社の輸出入コストが増加するため競争力が低下し、収益性の悪化や市場シェアの減少が予測され、追加のコストや運営上の課題が発生する可能性があります。

また、在外連結子会社の財務諸表項目は、連結財務諸表作成のために円換算されています。為替レートが大きく変動すると、経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループの海外での事業や輸出に関連した取引において、複数の国に販売・生産拠点を設け、関税の影響を受けにくい製品やサービスの開発・提供を検討します。また最新の関税情報を収集し、適切な対応策を講じます。

為替レートの急激な変動に対して外貨建の売買取引額のバランスを取り、必要に応じて為替予約を活用する等により、リスクを最小限にすべく努めております。

知的財産に係るリスク

他社の知的財産権(特許・商標・著作権)侵害や特許出願の遅延により、競合会社に技術優位を握られ、販売の差し止めや損害賠償等により経営に重要な影響を与える可能性があります。他社による当社の知的財産権侵害により遺失利益が発生する可能性があります。

当社による他社の知的財産権の侵害に対しては、他社特許情報を収録したデータベースを活用し、事業部・研究所とともに特定テーマの他社特許の監視を行います。特許会議を開催し監視体制のチェックを行い、懸念のある特許権、またはその可能性のある公開公報の発見に努めています。また、研究所や事業部との会議等で知財リテラシーや感度を向上させるための知財教育を実施しています。

他社による当社の知的財産権侵害に対しては、事業部・研究所と知財部で対応策を検討し、必要に応じ弁護士等と打合せを行い適切に対応します。各研究所と知財部が連携し、電子承認化システムの活用による出願社内手続の円滑化を図り、発明を速やかにキャッチアップし、早期出願に努めます。

 

 

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

情報漏洩に係るリスク

当社グループでは、事業活動において機密データを含む財務情報、技術情報や個人情報等は、電子情報を含む様々な形式で蓄積・利用しています。ハッカーやコンピュータウイルスによる攻撃並びに情報を管理するシステム及びネットワークにアクセスできる者による不正使用・誤用等によって、機密データの漏洩や業務の中断が生じ、法的請求、訴訟や賠償責任等が発生し、経営成績や財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、危機管理委員会内に組織された情報リスク管理部会が情報セキュリティリスク全般に関して活動を推進しています。

システム関連では、自社ネットワークと外部ネットワークとの間にファイアウォール等を設置し、不正なアクセスを防止するとともに、外部からの不審なメールをチェックし、排除しています。

役員や従業員に対しては、それぞれ対象とする情報セキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練を行い、情報セキュリティのリテラシー向上や適切な情報の取扱に努めています。

 

10

コンピュータシステムの停止に係るリスク

当社では、コンピュータシステムを使用して購買・生産・出荷及び決算の業務を行っています。そのため、コンピュータシステムの予期せぬ障害や災害発生並びにサイバー攻撃等により、コンピュータシステムが一時的に使用不能な状態になってしまい事業活動や決算業務が停止し経営に重要な影響を与える可能性があります。

当社のコンピュータシステムは、ハードウェアを専用のデータセンタに設置し、二重化や仮想化及び遠隔地へのデータ退避等により可用性を高めることで、万が一システム障害が発生した場合でも、コンピュータシステムに大きな影響を与えないようリスク管理に努めています。サイバー攻撃に備えて社内デバイスにEDRソリューションを導入するとともに、SOCによる24時間365日体制でのアラート検知を行っており、攻撃の早期検知と初動対応が可能なように体制を構築しています。

 

 

自然災害・気候変動対応に係るリスク

 当社グループの考える自然災害・気候変動対応に係るリスクには人的、物的被害が生じ、事業継続に影響を与え、経営戦略に著しく影響を与える可能性があるものがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

11

自然災害に係るリスク

地震、台風や洪水等による大規模な自然災害が発生した場合、当社の工場・研究所・事業所や倉庫等の施設の稼働が停止する可能性があります。また、物流の途絶等により当社製品の供給に影響を及ぼす可能性があります。

上越工場(ポラテクノ事業)は、豪雪地帯にあり、冬季の豪雪災害による操業停止の可能性があります。

東京工場、厚狭工場(FC事業)や高崎工場(医薬事業)は、河川に面しており河川氾濫による水害リスクがあります。

福山工場(FC事業)や鹿島工場(アグロ)は、臨海工業団地にありライフライン停止や津波の被害が想定されます。

当社では地震や台風等による自然災害に備え事業継続(BCP)マニュアル等を策定し、定期的な見直しや計画的な訓練を実施しています。また、災害等の発生に備え適正安全在庫や調達先との緊密な連携による原材料の確保や複数購買化を推進しています。

セイフティシステムズ事業では、世界に5か所の生産拠点を持ち、グローバルな供給補完体制を確立しています。

ファインケミカルズ事業領域では、製造委託先とのアライアンス等による複数生産拠点化を行い、製造委託先のリスク管理を行っています。また、各工場の設備老朽化対策を計画的に実施しています。

医薬事業では、東西に物流センターを配置し災害発生時は効率的に運用し安定供給に備えています。

12

気候変動対応に係るリスク

地球温暖化等に起因して、大規模な自然災害の発生や発生頻度が多くなるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、炭素税導入による原材料費高騰や外部支払費用のアップ、CO2削減義務の強化に伴う設備投資費アップ等による利益圧縮等によって、当社グループの経営状況に影響をもたらす可能性があります。

気候変動対応に関する顧客からの要望に応えられないことや取組不足による信用失墜やイメージダウンを招く可能性もあります。

気候変動に関する国際的な最新動向を把握し、CO2の明確な削減目標・計画を設定し、投入資源のムダや、使用エネルギーのムダを見える化し削減するための手法(MFCA)を展開して、温室効果ガスの排出の削減を進めます。炭素税導入を見据えたサプライヤの選定を行い、グリーン調達を推進し、環境負荷低減と製品の付加価値の増大を図ります。また、成果の大きい改善対策について海外グループ会社への水平展開を図ります。また、当社の気候変動対応を適切に開示するため、TCFDの提言に賛同し、要求事項に沿った開示を推進します。

 

 

 

③コンプライアンスに係るリスク

当社グループの考えるコンプライアンスに係るリスクには、次に示すような企業の予期せぬ損失や信用の失墜を招く恐れがあります。

番号

リスク区分

リスク内容

主な対策

13

法令違反等コンプライアンスに係るリスク

当社グループは、事業を営む各国の法令等に従って、事業活動を行っています。

また、当社グループの多岐にわたる事業活動の対象となる各種法令の最新要求事項の見逃しや、対応の失念放置によって、法令遵守を維持できない状況に陥る可能性があります。これに関連して、第三者機関等から指摘による処分や、被害者等から重要な訴訟の提起により、経営または事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。

一方、事業環境の厳しさ等により、製品の差別化要求、販売スケジュールや製品納期の切迫及び業績目標達成圧力等に関連した不正が発生する可能性があります。また、世代間や社員の多様性による価値観の相違により、ハラスメント等の法令違反が発生する可能性もあります。当社グループ及び委託先等で不正行為を含め重大な法令違反が発生した場合、取引の中止や信頼の低下により経営に重要な影響を及ぼす可能性があります。

事業活動に関わる各種法令の遵守、契約条件の綿密な検討及び内容の明確化並びに相手方との誠実な協議等により、紛争の発生を未然に防ぐように努めています。また、重要な訴訟の提起や状況に関する報告が迅速かつ確実になされる仕組みを構築し、当社グループの担当者や弁護士等と連携し、訴訟等に対応する体制を維持します。訴訟に備えて、リスクをカバーする適切なPL保険や会社役員賠償責任保険等に加入しています。

倫理委員会を設置し、活動を通じてコンプライアンス違反を未然に防ぐよう努めております。従業員に対して、コンプライアンス・ホットラインと称する内部通報窓口を社内・社外に設置、また会社のホームページ上で、お取引先からの問合せ窓口を公開し、法令違反や不正行為などコンプライアンス違反の未然防止並びに早期発見・早期解決に努めています。また、コンプライアンス研修、意識調査等を実施して事業活動に関連する法令等が遵守されるよう当社グループでは取り組んでいます。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によりこれらの見積りと異なる場合があります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当社グループは、2022年度より中期事業計画KV25をスタートしました。事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取組みを進めております。

 

当連結会計年度の連結売上高は、モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域、ライフサイエンス事業領域の全ての事業領域で前連結会計年度を上回り、2,225億8千4百万円と前連結会計年度に比べ207億9千3百万円(10.3%)増加しました。当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.70倍となりました。

連結売上総利益は、714億8千2百万円となり、前連結会計年度に比べ101億8千万円(16.6%)増加しました。

販売費及び一般管理費は、510億8千万円となり、前連結会計年度に比べ28億8千3百万円(5.3%)減少しました。

連結営業利益は、204億1百万円となり、前連結会計年度に比べ130億6千4百万円(178.1%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ5.5ポイント上昇し、9.2%となりました。

営業外損益は、前連結会計年度に比べ33億6千万円減少し、18億6千4百万円の利益となりました。主な営業外損益の減少は為替差益26億9千5百万円であります。連結経常利益は、222億6千6百万円と前連結会計年度に比べ97億4百万円(77.3%)増加しました。

特別利益は、前連結会計年度に比べ16億8千6百万円増加し、38億5千8百万円となりました。主な増加は投資有価証券売却益22億2百万円であります。特別損失は、前連結会計年度に比べ34億9百万円減少し、41億1千7百万円となりました。主な減少は減損損失26億4千7百万円、投資有価証券評価損16億8千2百万円であります。税金等調整前当期純利益は、220億7百万円と前連結会計年度と比べ148億1百万円(205.4%)増加しました。

法人税等は、前連結会計年度に比べ14億2百万円増加し、44億2千8百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の41.99%から20.12%に減少しました。

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、6千9百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、175億8百万円となり、前連結会計年度と比べ133億9千5百万円(325.6%)増加しました。

 

経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 ①モビリティ&イメージング事業領域

売上高は913億7千6百万円となり、前連結会計年度に比べ101億7千4百万円(12.5%)増加しました。

セイフティシステムズ事業は、国内は一部大手自動車メーカーでの認証不正問題に伴う影響が解消してきたものの本格的な回復には至らず、エアバッグ用インフレータ及びシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前期を下回りました。海外はASEANでは主要市場であるインドネシア・タイの自動車ローン審査の厳格化などにより、自動車販売が低迷しました。一方、中国市場では補助金や様々なインセンティブに支えられ、中国ローカルメーカー向けが好調に推移しました。さらに、円安の進行により売上高が押し上げられたことも加わり、海外はエアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブが前期を上回りました。この結果、セイフティシステムズ事業全体としては前期を上回りました。

ポラテクノ事業は、X線分析装置用部材が堅調に推移したことに加え、円安効果もあり、前期を上回りました。偏光板は前期に実施した一部製品の価格改定の効果もあり、前期を上回りました。この結果、ポラテクノ事業全体としては前期を上回りました。

セグメント利益は、両事業の売上高が増加したことにより、133億1千1百万円となり、前連結会計年度に比べ52億8千3百万円(65.8%)増加しました。

 ②ファインケミカルズ事業領域

売上高は662億6百万円となり、前連結会計年度に比べ91億3千4百万円(16.0%)増加しました。

機能性材料事業は、半導体市況の回復によりエポキシ樹脂をはじめ各製品群が堅調に推移し、機能性材料事業全体で前期を上回りました。

色素材料事業は、産業用インクジェットインク、コンシューマインクジェットプリンタ用色素及び感熱顕色剤が堅調に推移し、色素材料事業全体で前期を上回りました。

触媒事業は大口顧客の触媒交換があったことにより堅調に推移し、前期を上回りました。

セグメント利益は、全ての事業の売上高が増加したことにより、98億9千9百万円となり、前連結会計年度に比べ47億1千5百万円(91.0%)増加しました。

 ③ライフサイエンス事業領域

売上高は650億1百万円となり、前連結会計年度に比べ14億8千3百万円(2.3%)増加しました。

医薬事業の国内向け製剤は、抗体バイオシミラー「アダリムマブBS」及び「ベバシズマブBS」の伸長により、薬価改定の影響と前期を下回った国内向け原薬、輸出、受託事業及び診断薬をカバーし、医薬事業全体としては前期並みとなりました。

アグロ事業は、国内はファインセーブ®が伸長したことに加え、海外はダイアジノン、フロメトキンが堅調に推移し、前期を上回りました。

不動産事業は、前期並みとなりました。

セグメント利益は、63億5千4百万円となり、医薬事業のアンハート社(現ニューベーションバイオ社)への契約締結一時金の支払いに伴う販管費の影響を受けた前連結会計年度に比べ、39億4千4百万円(163.7%)増加しました。

 

   (生産、受注及び販売の状況)

 a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

モビリティ&イメージング事業領域

88,335

112.6

ファインケミカルズ事業領域

56,724

136.6

ライフサイエンス事業領域

32,673

79.0

合計

177,733

110.2

 

(注) 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

  b. 受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

モビリティ&イメージング事業領域

91,376

112.5

ファインケミカルズ事業領域

66,206

116.0

ライフサイエンス事業領域

65,001

102.3

合計

222,584

110.3

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

   (中期事業計画の成果)

4ヵ年中期事業計画KV25の第3年度となる当連結会計年度は、売上高は過去最高の2,225億円、営業利益は204億円となり、売上高は計画を上回りましたが営業利益は計画を下回りました。来期の売上高は計画どおりに伸長する見込みですが、原材料価格の高止まりを始めとしたインフレによるコスト増などにより営業利益につきましては計画との差異が生じており、本中計期間内での数値目標への到達は難しくなりました。しかしながらKV25後を見据えた医薬事業における新薬導入や市場の需要拡大に備えた積極的な設備投資により、進捗の遅れを取り戻し、早期にKV25の数値目標を達成すべく取り組んでまいります。

 

 4ヵ年中期事業計画KV25の第3年度の成果は以下のとおりであります。

(単位:億円) 

 

前々連結会計年度

前連結会計年度

当連結会計年度

翌連結会計年度

(第1年度)

(第2年度)

(第3年度)

(第4年度)

計画

実績

計画

実績

計画

実績

計画比

計画(%)

計画

見通し

連結

売上高

1,968

1,983

2,070

2,017

2,160

2,225

66

103.1

2,300

2,346

連結

営業利益

184

215

200

73

225

204

△21

90.7

265

200

 

 

(2) 財政状態

総資産は3,737億8百万円となり、前期末に比べ105億3千5百万円増加しました。主な増加は建設仮勘定59億7千4百万円、退職給付に係る資産42億9千6百万円、建物及び構築物(純額)41億2千1百万円、商品及び製品33億5千6百万円、受取手形及び売掛金28億4千4百万円、未収入金22億2千万円であり、主な減少は投資有価証券100億8千8百万円、有価証券50億9千万円であります。

負債は1,051億8千8百万円となり、前期末に比べ125億6千3百万円増加しました。主な増加は社債140億円、長期借入金28億8千4百万円であり、主な減少は1年内償還予定の社債80億円であります。

純資産は2,685億2千万円となり、前期末に比べ20億2千8百万円減少しました。主な増加は利益剰余金35億円、退職給付に係る調整累計額25億1千1百万円であり、主な減少はその他有価証券評価差額金41億3千4百万円、為替換算調整勘定28億1千8百万円であります。

 セグメントの財政状態は次のとおりであります。

  ①モビリティ&イメージング事業領域

セグメント資産は、現金及び預金、売掛金の増加により1,307億9千9百万円となり、前期に比べ66億1千9万円増加しました。

  ②ファインケミカルズ事業領域

セグメント資産は、商品及び製品、建物及び構築物(純額)、建設仮勘定の増加により944億9千7百万円となり、前期に比べ119億4千2百万円増加しました。

  ③ライフサイエンス事業領域

セグメント資産は、建設仮勘定の増加により867億2千万円となり、前期に比べ19億5千4百万円増加しました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、255億3千万円の収入(前期は232億4千2百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が54億1百万円、棚卸資産の増加が49億7千8百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が220億7百万円、減価償却費が139億3千5百万円あったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、273億1千3百万円の支出(前期は194億9百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が292億5千9百万円あったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、47億5千6百万円の支出(前期は38億2千3百万円の収入)となりました。これは主に社債発行による収入が140億円、長期借入れによる収入が101億円あったものの、社債の償還による支出が80億円、自己株式の取得による支出が78億8千2百万円、配当金の支払額が73億9千5百万円、長期借入金の返済による支出が54億5千3百万円あったことによるものです。

以上の結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ68億5千1百万円減少し、579億2千6百万円となりました。

 

   (資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの財務戦略は、経営目標・事業戦略に基づいて策定しており、事業が将来にわたり持続的に成長できる強い財務基盤を維持することを基本方針としております。資本コストを考慮しながら投資に必要な資金調達を行い、安定的な自己資本比率となる最適な財政状態を常に意識した財務活動を行います。企業ビジョンを実現するため、市場ニーズを的確に捉え、経営資本を投入する事業・製品領域を明確化し、グローバルな成長市場で既存ビジネスの拡大と新事業・新製品の展開を加速させ、企業価値の向上を図ってまいります。また、サステナビリティ経営の観点から特定した重要課題(マテリアリティ)のもと、持続可能な開発目標(SDGs)を意識した運営を行い、全てのステークホルダーの満足を高め信頼される会社を目指します。

なお、今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 技術導入契約

契約
会社名

相手先
の名称

相手先の所在国

契約品名

契約
締結日

契約期間

契約内容

対価

日本化薬
株式会社
(当社)

ナノキャリア株式会社
 

日本

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤

2002年
6月12日

2002年3月31日から実施期間中

パクリタキセル含有高分子ミセル抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入

 

マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う

日本化薬
株式会社
(当社)

エテルナゼンタリス社
 

ドイツ

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤

2006年
7月26日

2006年7月26日から許諾特許の有効期間満了日又は許諾製品の発売後一定年数経過日の遅い日まで

 

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗抗がん剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の導入

マイルストーンと製品正味販売高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う

日本化薬
株式会社
(当社)

イーライリリー社

米国

肺がん治療剤

2019年
3月28日

2019年3月28日から最終販売分ロイヤリティ支払完了まで

肺がん治療剤に関する特許実施権、ノウハウ実施権の許諾に基づく日本における独占的製造、輸入、流通販売権等の取得

 

契約締結一時金、販売額に応じたマイルストーンと、製品正味販売高につき一定料率のロイヤリティ

日本化薬
株式会社
(当社)

アンハート社(現ニューベーションバイオ社)

米国

化合物名タレトレクチニブ(適応症:ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん)

2023年
10月27日

2023年10月27日から(終期の定めなし)

契約品の日本国内での開発、販売権等のライセンス

一時金

マイルストーン

製品正味販売高につき一定料率のロイヤリティを支払う

 

 

 

(2) 技術導出契約

契約
会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品名

契約
締結日

契約期間

契約内容

対価

日本化薬
株式会社
(当社)

化薬(湖州)安全器材有限公司

中国

インフレータ、マイクロガスジェネレータ及びガス発生剤

2017年
11月15日

2017年11月15日から製造及び販売を全て中止するまで

インフレータ、マイクロガスジェネレータ及びガス発生剤に使用される製品に関する中国での製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与

 

売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う

日本化薬
株式会社
(当社)

上海化耀国際貿易有限公司
 

中国

感熱関連製品、染料・染料助剤、インクジェットインク関連製品

2016年
11月11日
2016年
12月1日

2016年12月1日から2026年11月30日まで

感熱関連製品、染料・染料助剤、インクジェットインク関連製品に関する中国での製造及び全世界での販売に関する権利の許諾及び技術供与

 

売上高につき一定期間一定料率のロイヤリティを支払う

 

 

(3) その他の契約

契約
会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品名

契約
締結日

契約期間

契約内容

対価

日本化薬
株式会社
(当社)

スペクトラム社

米国

膀胱がん治療剤

2009年
11月6日

2009年11月6日から、1)特許期間、2)優先販売期間、3)上市後10年間のいずれか長い方まで

膀胱がん治療に関する日本及びアジア地域での開発権、製造権、販売権の取得。ただし、韓国、北朝鮮での販売権は除く

契約締結一時金、開発の進捗及び販売額に応じたマイルストーンと、製品正味販売高につき契約期間一定料率のロイヤリティを支払う

 

日本化薬
株式会社
(当社)

ソレイジア・ファーマ株式会社

日本

化合物名ダリナパルシン、製品名ダルビアス(適応症:再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫)

 

2021年
10月26日

 

2021年10月26日から許諾特許の有効期間満了日又は許諾製品の再審査期間満了の遅い日まで

契約品の日本国内での販売権等のライセンス

一時金
マイルストーン

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え、積極的な研究開発活動を行っております。これまで培ってきた要素技術や基盤技術をさらに深化させ、新しい技術開発を加えて、生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える新製品・新事業を創出し続けることで、社会に貢献し続けてまいります。

当連結会計年度における研究開発費は150億円であり、セグメントごとの活動状況及び研究開発費は次のとおりです。

 

(モビリティ&イメージング事業領域)

セイフティシステムズ事業では、サイドエアバッグ用インフレータにおいて次世代品の設計を完了し、製品ラインアップの拡充に向けた開発を推進中です。また、これまで培ってきた火工品技術を用いて様々な用途に使用される火工品の開発にも着手しています。

ポラテクノ事業では、車載用高耐久染料系偏光フィルム、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用光学部材、X線検査装置部材などの開発を進めています。特に染料系偏光板に関しては二色性色素の設計・合成からフィルム化まで一貫した製品開発を行っており、近年電気自動車などで搭載されているHUD用途での採用が増えています。

当事業領域に係る研究開発費は37億円です。

 

(ファインケミカルズ事業領域)

ファインケミカルズ事業領域では、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献する製品の開発に取り組んでいます。次世代高速通信に向けた各種基板用材料、高周波の伝送損失を低減する低誘電樹脂素材に低反り性を向上させた新規素材や次世代パワー半導体向けの高耐熱性素材、イメージセンサー向けの高性能なMEMS用ドライフィルム、高画質かつ高速印刷を実現するための各種メディア用の産業用インクジェットインク、染料合成技術を活かした新規機能性色素、高活性でより長寿命なアクリル酸、メタクリル酸製造用触媒を開発しており、さらにバイオ素材及びグリーン触媒への取組みも開始しました。

当事業領域に係る研究開発費は41億円です。

 

(ライフサイエンス事業領域)

医薬事業では、開発パイプライン拡充のために導入した画期的新規がん治療薬を国内承認申請いたしました。また、販売中のバイオ医薬品の価値を最大化するための適応拡大に向けた臨床治験を開始しました。バイオ医薬品に関しては、製造および品質管理についても技術蓄積を充実させるべく、社外研究機関との共同研究を進めており着実に成果を得ております。一方、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に貢献するジェネリック抗がん薬及びバイオシミラーについても継続的に開発し、2024年度も複数品目を上市いたしました。今後も製品ラインアップの更なる拡充に努めております

アグロ事業では、新規殺虫剤(NK-518)を創薬し、公的試験を実施しています。また工夫製剤・機能性展着剤といった製剤技術を基本とした研究活動でも成果があがっており、1件農薬が登録され、3件の新製品が上市となりました。及び研究DXにも力を入れており、創薬活動やデータ解析に幅広く応用をはかっています。さらには農業関連の新規分野として、環境負荷を低減させる資材やバイオスティミュラント(植物刺激剤)などの研究を精力的に行うとともに、新規事業の探索にも力を入れております。

当事業領域に係る研究開発費は59億円です。

 

(その他)

テクノロジー統括ではスタートアップ企業やアカデミア(大学・産学連携の研究機関)とのオープンイノベーションを積極的に実施して競争優位性の獲得に努めています。iPEACE223株式会社とは共同研究が順調に推移したため、より密接な連携・協力を目的に2024年9月10日に出資を決定しました。今後はiPEACE223株式会社との更なるコラボレーションを進め、当社の保有する触媒開発・工業化の知見とiPEACE223株式会社の触媒・プラント設計技術を融合し、バイオエタノールを原料としたバイオプロピレン製造技術の実用化に向けた取り組みを加速させ、脱炭素社会の実現に向けた研究開発を推進しております。2024年度はiPEACE223株式会社を含め、スタートアップ企業2社へ出資を行っております。

その他の研究開発費は12億円であります。