当社グループの企業ビジョンはKAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」です。また当社グループのありたい姿は、「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」です。2022年4月1日に制定したサステナブル経営基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスをベースに、事業活動を通じて持続可能な環境と社会の実現に貢献するサステナブル経営を実践しております。このサステナブル経営の実践が、当社グループの経済的価値及び環境・社会的価値を向上し、ありたい姿、またその先のKAYAKU spiritの実現につながると考えております。
2022年4月より4ヵ年中期事業計画" KAYAKU Vision 2025(KV25) "をスタートいたしました。モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域では2025年を、ライフサイエンス事業領域では2030年を「ありたい姿=Vision」の到達点とし、そのゴールに向けてのロードマップを策定しております。
本中期事業計画では、そのロードマップを着実に実行し、最終年度の2025年度に売上高2,300億円、営業利益265億円、ROE8%以上、ROIC 10%以上の目標を達成すべく取り組んでおります。そのために、全社重要課題として「新事業・新製品創出」、「気候変動対応」、「DX」、「仕事改革」、「働き方改革」の5つを定めました。これらの課題に対して、全社横断的組織を作り、課題解決に取り組んでおります。
「新事業・新製品創出」では、3事業と連携し既存組織の壁を越えて新事業・新製品の創出をより一層加速してまいります。「気候変動対応」では、温室効果ガス排出量削減やカーボンニュートラルの取組目標を設定し、気候変動リスク対策を進めてまいります。「DX」では最新ITを活用し、業務プロセス変革により売上拡大やコストダウンを実現してまいります。「仕事改革」では、A3 (KAIZEN)活動を通した仕事の効率化や生産性向上により資産効率と稼ぐ力を高めてまいります。「働き方改革」では、従業員一人ひとりが活力をもって仕事ができるよう働き方改革と人事制度改革を進め、従業員のエンゲージメントを高めてまいります。
これらの取組みと合わせて、各事業のありたい姿到達に向けて、引き続き積極的な研究開発投資と設備投資を続けてまいります。特に新事業・新製品創出はモビリティ、環境エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域で自社技術にこだわらずオープンイノベーションや製品導入、事業提携、M&Aなどの外部経営資源を取り込むための戦略的投資も精力的に検討してまいります。
当期の世界経済は、底堅い成長を維持しているものの、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学リスクや米国新政権の関税の引き上げによる不透明感が続いています。
モビリティ&イメージング事業領域においては、グローバルなモビリティ市場の動向に影響を受けます。中国EVメーカーが攻勢を強めるなど構造変化が進んでおりますが、安全性向上や快適さを追求する商品開発のニーズは高く、将来の中長期的な拡大が見込める有望な市場であります。
ファインケミカルズ事業領域においては、急速なデジタル技術の進歩により、次世代高速通信(5G/6G)デバイスなどのデジタル機器の高機能化、AIサーバをはじめとするデータセンタ向けサーバの普及拡大及び自動車の高度電装化に伴う半導体関連部材のニーズが高まっております。また、印刷産業においては従来のアナログ印刷からデジタル化が進み、感熱顕色剤分野ではノンフェノール系の材料が求められるなど、環境対応へのニーズが高まっております。
ライフサイエンス事業領域においては、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へと引き継いでいくことが求められています。これらの実現のために、医薬品の研究・開発・製造・供給を迅速かつ安定的に行うことが期待されています。一方で、医療費などの社会保障費の増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策がさらに厳しさを増すとともに、持続可能な医療の実現が課題となっています。また、世界人口が増え続け、食の安全保障の重要性が叫ばれる中で、食糧の増産と農業の環境負荷低減の双方に寄与する製品が求められています。これらの実現のために、環境にやさしい優れたアグロケミカルを、その技術・サービスとともに提供し、食糧供給を支え、持続可能な農業の発展に貢献し続けることが求められています。
このような状況の中、当社グループは2022年4月より開始した中期事業計画“KAYAKU Vision 2025(KV25)”が3年目に入り、引き続き事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取り組みを進めています。
セイフティシステムズ事業では、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ及びスクイブについて、製品ラインアップの拡充と拡販に取り組み、また基盤技術である火薬を生かした新製品の研究開発に注力してまいります。
ポラテクノ事業では車載領域で求められるヘッドアップディスプレイ用遮光板、携帯型X線分析装置や電子顕微鏡などに使われるX線分析装置用部材といった特徴ある製品の開発に取り組んでまいります。
機能性材料事業では次世代高速通信システム(5G/6G)、AIサーバなどのデータセンタの普及拡大や自動車の高度電装化に向けた基板及び封止用高機能樹脂、炭素繊維強化プラスチック用エポキシ樹脂、半導体クリーナー・製造装置、色素材料事業では産業用インクジェットインクをはじめイメージセンサー用材料、調光ガラス用二色性色素、触媒事業では省エネ・省資源に貢献するアクリル酸やメタクリル酸製造用高収率触媒、脱炭素・水素社会の実現に貢献するグリーン触媒といった特徴ある製品の開発に取り組んでまいります。
医薬事業は、肺がんに対するバイオ医薬品「ポートラーザ®」、血液がんに対する「ダルビアス®」、光線力学診断用剤「アラグリオ®」などの新薬の市場浸透を図ります。抗体バイオシミラーと製剤工夫した特徴のあるジェネリック医薬品を含めたがん関連領域での製品ラインアップの拡充と、安定供給、品質保証体制の更なる強化に取り組んでまいります。
アグロ事業は、海外を含めたフロメトキン製剤の販売数量拡大に注力し、新規工夫製剤・新規殺虫剤の開発、バイオスティミュラントの開発と導入に取り組んでまいります。
コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性・公正性の高い経営を実行してまいります。また、女性、外国人、キャリア採用者の活躍促進を含めた人材の育成・活用を推進し、多様な意見が尊重され、働きがいのある、心理的安全性の高い職場を作ってまいります。併せて、2022年4月1日に定めた日本化薬グループ人権方針に則り、全ての取引関係者とともに人権を尊重した責任あるサプライチェーンを築いてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
◆サステナブル経営基本方針
私たち日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、経営の透明性・公正性を確保し、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献することで、全てのステークホルダーの信頼に応えるサステナブル経営を実践します。
① ガバナンス
当社グループは取締役会の直接監督のもと、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議を設置し、グループ全体でサステナビリティの取組みを推進しております。サステナブル経営会議は、原則として週1回開催しており、企業・社会・環境のサステナビリティ全般に関わる事項の審議及び報告を受けております。審議事項はサステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に付議・報告しております。コーポレート・ガバナンス体制の一環として、倫理委員会、危機管理委員会、環境・安全・品質経営推進委員会、研究経営委員会の4委員会を設置しております。各委員会は定例かつ必要に応じて開催し、サステナブル経営会議へ付議及び報告することにより、経営の透明性・公正性を確保しています。

② 戦略
当社グループは、ありたい姿「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」の実現に向けて、現状とのギャップを分析し、優先して取り組むべき5つの課題(新事業・新製品創出、気候変動対応、DX、仕事改革、働き方改革)を全社重要課題としました。
また、サステナブル経営の推進にあたり、社内外の視点から当社グループが抱える重要課題を適切に把握し、これをサステナビリティ重要課題と定め、事業活動と連動したサステナビリティ・アクションプランを策定しました。
中期事業計画KAYAKU Vision 2025(以下、KV25)ではサステナブル経営基本方針のもと持続可能な環境・社会の実現に貢献するため、全社重要課題を最優先で取り組み、それを補完するかたちでサステナビリティ重要課題に取り組みます。全社重要課題とサステナビリティ重要課題を合わせた総称を「KV25 マテリアリティ」としています。

※各サステナビリティ重要課題の前についている■は、全社重要課題の取組みがサステナビリティ重要課題の取組みにもつながることを示しています。
当社グループは、社内外の視点から当社グループが抱える課題を適切に把握し、ステークホルダーの期待や要請に応えていくために、2019年に中期CSR重要課題を特定しました。
2022年4月に中期事業計画KV25のスタートとCSR経営からサステナブル経営に切り替わるタイミングに合わせて中期CSR重要課題からサステナビリティ重要課題と名称を改め、事業活動の多様化や社会課題の変化に適切に対応するためにサステナビリティ重要課題を見直しました。




③ リスク管理
④ 指標及び目標
※1:倫理委員会にて重大と判断した案件数
※2:損失額1,000万円以上
※3:3人以上の同時休業災害または死亡災害
※4:2024年度末の目標値
※5:温室効果ガス排出量、廃棄物発生量については、2024年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社サステナビリティサイトで開示予定です。
(2) 気候変動対応
当社グループは化学製品を創出する企業として気候変動を国際社会の重要な課題と認識し、地球環境への責任を積極的に果たしていくべきと考えております。2020年7月には温室効果ガス削減の中期環境目標を定め、サステナブル経営を一層推進する中期事業計画KV25の開始に合わせて、2022年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。
気候変動対応チームは、2050年のカーボンニュートラル達成を基本的な方針として、全社的な温室効果ガス削減の取り組みを進めております。計画の推進にあたっては、従来の省エネルギー活動を深化させるとともに、新たに分散型電力を導入する環境投資や、エネルギー転換のための技術的調査などを、計画的かつ着実に実施する必要があります。また、生産部門だけではなく、事業部門はもとより調達や情報開示に係る間接部門を含めて、全社一丸となって取り組むことが重要と考えております。
当社グループは気候変動対応の活動を通じて、持続可能な社会実現と将来の事業機会創出の双方を追求することにより、更なる企業価値の向上を目指しながら、グローバルな環境問題の解決に貢献してまいります。
当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、将来の気候変動対応を含む事業計画などの審議及び活動状況の総括・評価を行っております。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会の監視・監督を受ける体制としております。また、気候変動対策の推進を統括する環境・安全・品質経営推進委員会(委員長:テクノロジー統括管掌役員)を組織し、グループ横断的な視点から、気候変動に関する課題についてより深めた議論を行っております。
当社グループでは、複数の事業をグローバルに展開しており、事業分野ごとに様々なリスクと機会を有しております。気候変動がもたらす各事業への影響を特定するため、TCFD提言に沿ってグループ全体の気候関連のリスクを評価し、さらに事業分野ごとの機会を検討しました。気候関連のリスクと機会を特定するにあたっては、リスクが出現する時期を以下のように定義しております。
気候関連の事業リスクについては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの二つのシナリオに関して、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6,8.5シナリオ)、並びにIEA(国際エネルギー機関)によるSDS(持続可能な発展シナリオ)及びSTEPS(公表政策シナリオ)に基づき特定しました。
1.5℃シナリオにおける脱炭素経済への移行のリスク
4℃シナリオにおける物理的影響リスク
当社グループは、気候変動関連のサステナビリティ重要課題として「エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減」を特定しております。取締役会、サステナブル経営会議、環境・安全・品質経営推進委員会で構成されるガバナンス体制のもと、気候変動対応チームが中心となって、気候変動リスクの特定・評価を行うとともに、省エネや環境投資を積極的に推進するなど、具体的な計画を実行しております。
当社グループでは、2020年度に新たな中期環境目標として2019年度比で2030年度に温室効果ガスを32.5%削減する目標を掲げ、順調に削減を推進してまいりました。一方、世界的に脱炭素社会実現への取組みが加速する中、日本でも温暖化防止、脱炭素化への取組みの加速が求められるようになっています。以上のような状況を鑑み、当社グループでは、気候変動のリスクに対する指標を、2050年度カーボンニュートラルを最終目標とした目標の見直しを行い、2030年度にグループの温室効果ガス排出量(Scope1及び2)の2019年度比46%削減(1.5℃目標)をKPI(長期環境目標)に変更しました。この目標達成のため2025年度以降は毎年対2019年度比4.2%の排出削減率を目指します。また、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、サプライチェーン全体で削減を目指すための活動や水素、アンモニアといった代替燃料の利活用に係る技術開発動向の調査などを行動計画に加え、グリーンエネルギーへの転換に向けた技術導入を進めて参ります。
また、2024年度の温室効果ガス排出量は、生産量の増加があったものの、太陽光発電の導入などによる効果により111,325t-CO2の結果になりました。
洪水リスクに関しましては、財務影響と対策に必要な投資金額の把握を進めており、今後は定量的な目標を設定し、対策を進めてまいります。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※2024年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社ホームページ(https://www.nipponkayaku.co.jp/)のサステナビリティサイトにて公開します。
<人的資本に関する考え方>
日本化薬グループは、当社で働く全ての人の働きやすさ・働きがいを向上させることで、企業と従業員が持続的に成長することを目指します。
日本化薬グループが求める人材は「自ら主体的に行動できる自律型人材」、「失敗を恐れず果敢にチャレンジできる人材」、「世界で活躍できるグローバル人材」です。中期事業計画KV25の「ありたい姿」を実現するためには、当社がさらにグローバルビジネスを拡大し、事業成長や資本効率の向上を自律的・積極的に理解し着実に遂行できる人材の採用と育成が重要であると考えます。
また、全社重点課題の1つとして展開する「働き方改革」では、「活き活きとした強い会社・いい会社」を目指し、従業員一人ひとりが活力をもって仕事ができるよう、働き方改革と人事制度改革を推進しています。従業員の心理的安全性やエンゲージメントの向上、労働生産性を向上し、働きやすく、働きがいのある職場環境を整備し、優秀な人材を呼びこみ、定着率を高めることで会社の成長と経営基盤の強化を支えるとともに日本化薬グループの持続的な企業価値向上を目指していきます。
日本化薬グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、人的資本経営の取組みなどの審議及び活動状況の総括・評価を行っています。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会による監視・監督を受ける体制としております。
当社の人材育成方針及び社内環境整備方針は、以下のとおりです。
(注) 人材育成方針及び社内環境整備方針は提出会社となります。
当社では従業員のワーク・ライフ・バランスを推進し、柔軟な労働時間制度や在宅勤務制度の導入、年次有給休暇制度の取得促進など、仕事とプライベートのバランスを整えて従業員が安心して生活ができるよう支援しております。
2023年度よりエンゲージメントサーベイを行い、浮き彫りとなった課題や問題点に対し事業場ごとに対策を講じ、より良い職場づくりに向けた改善活動を行っています。今後も定期的に従業員エンゲージメントを調査し、従業員活力最大化に向けて取り組んでいきます。
<主な取組>
●人材育成方針の取組
1.質の高い人材の確保と育成強化
自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通して、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、キャリアの自律と自ら学ぶ能力開発を重視し、希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援していきます。
各種研修プログラムにより、自身のキャリアを開発していくとともに、果敢にチャレンジできる人材やマネジメント人材の充実を図っていきます。
*次世代経営幹部の育成を目的とする日本化薬経営スクール(NBA:Nippon Kayaku Business Academy)
次世代の幹部候補を育成するプログラムとして第7代社長中村輝夫の発案で始まり、2001年を第1回として2024年度は第14回目の実施となりました。経営企画部及び人事部を事務局として、海外グループ会社を含めた全ての部門から受講者を選抜し、月1回の集合研修を軸として約1年間かけて実施します。ワークショップを通じて、経営戦略の策定や、社会課題から将来のビジネスをイメージするなど必要なスキルを身につけながら、KAYAKU spiritを礎とした経営者マインドを醸成します。これまで受講者から多くの経営幹部を輩出しており、経営に関わる人材の育成に有効な教育として継続していく予定です。
・受講実績
2.グローバル人材の活躍推進
日本化薬グループは日本を含め海外12ヵ国・地域に拠点を持ち、国内従業員よりも海外従業員が多くなっています。このような環境の中で素早く的確に企業としての活動を進めるために、国内外という意識を取り払ったグローバルな視点を持ち、世界中どの場所でも活躍できる人材の育成が重要と考えております。
全社重点課題「働き方改革」において、グローバル人材育成プログラムを策定し、活躍する人材の質・量の充実を目指しております。若手社員、海外勤務経験者、日本化薬経営スクール(NBA)受講者及びタレントマネジメントシステムなどから海外志向性の強い人材をリストアップし、英会話スキルの向上や実務英語の研修などによってグローバル業務推進力を強化しております。また海外駐在員・出向者向けに、赴任前教育や異文化、商習慣についての教育などのサポート体制を拡充しています。
OJTや拠点ローテーション、複数の海外赴任を組み合わせるなど効果的な教育を立案するとともに、グローバル人材の新卒採用も検討していきます。さらに、海外グループ会社の現地採用者の中からもグローバル人材を育成するために、日本化薬グループの経営方針の浸透と理解を進め、サーベイなどでキャリア志向を調査・分析しながら必要な育成をサポートしていく予定です。KV25の重点課題として、グローバル人材の活躍に向けた採用・育成体制の確立に注力していきます。
3.適切な人材配置と公正な評価
年齢や性別、キャリア、学歴などにこだわらない職務配置と処遇を可能にする人事制度として「ポジションクラス制度(職務等級制度)」を導入しております。担当業務の役割と責任を明確化し人事評価の根拠とする制度です。また、従業員自ら目標を設定するチャレンジ評価や業務遂行の過程を評価するプロセス評価があり、従業員一人ひとりが個性を活かしながら知能と能力を伸ばす仕組み作りを導入しております。
人材情報を見える化し、タイムリーで的確な人員配置を可能にすることを目的として、タレントマネジメントシステムを導入しています。2022年9月から運用を開始し、人材に関する必要な情報を簡単に素早く把握できる特徴を活かして適宜人事関連活動への運用を拡げています。人事情報を一元管理することで、「グローバル人材の育成」とのスムーズな連携ができるようになっております。また、社内公募制度や異動希望シートを活用した人事異動を通して、個々の従業員のニーズも踏まえた自律的なキャリア開発の支援を柔軟に行っていきます。
●社内環境整備方針の取組
4.心理的安全性の高い職場環境の醸成
多種多様な価値観を尊重しながら、従業員が安心して働き、活躍している企業であり続けるためには、良好なコミュニケーションを行える職場環境を整えることが重要です。トップダウンのみではなく現場の声をよく聞く双方向のコミュニケーションにより、健全な議論ができる環境を実現していきます。また、コンプライアンス活動の継続によりハラスメントは減少傾向にあるものの、依然として残っていることから、ハラスメント撲滅に向けた悪しき行動を断ち切る取組みが必要です。具体的な取組みとして、アンコンシャスバイアス研修やリスペクト研修などを実施してきました。これらの取組みを実施することにより、組織風土改革を行い心理的安全性の高い職場環境を醸成していきます。
5. 働きやすさと働きがいの向上
在宅勤務制度や時差勤務制度により、働く時間だけでなく働く場所や環境も多様となりました。従来の定勤務形態に捉われず、個々のニーズやライフスタイルに合わせた働きやすい環境を整備することでワーク・ライフ・バランスの充実を図っております。ワーク・ライフ・バランス充実のKPIとして有給休暇取得率を定めております。更なる取得率向上策として、5日以上の有給休暇取得プランを個人ごとに作成し職場で共有するなどにより、取得しやすい環境づくりをしております。
また、2023年度より従業員エンゲージメントサーベイを開始しました。全社に加えて職場ごとの「強み」や「弱み」を可視化するとともに、各職場の課題に応じて個別に改善活動を行うことで従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。
6. ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
多様な人材、多様な働き方が受け入れられ、従業員が活き活きと働き、それぞれの能力を発揮し、活躍できる組織風土や働く環境づくりに取り組んでいます。性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がい、民族、肌の色、文化、思想、信条、政治的見解、性的指向などの多様性を認め、また育児期、介護期など、多様な属性を持った方たちの活躍を推進しています。意思決定の場に多様な視点が入るよう、異なる背景を持った人材の活用を推進していきます。
ダイバーシティ推進のKPIとして、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「障害者雇用率」を定め、多様な人材が働きやすい職場環境の整備に向けて取り組んでいます。
③リスク管理
人材の流動化が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、離職により組織力が低下することが最大のリスクと考えております。日本化薬グループの活動の主役は“人”であるとの考えのもと、サステナビリティ重要課題として従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場の中で仕事を通して成長することができる会社を目指して、働き方改革を推進することでリスク低減に努めています。
また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により、異なるバックグラウンドや視点を持つ人材を積極的に活用し、多様性を尊重し、包括的な職場環境を整備し、人材の意欲や生産性を向上させること、テクノロジーを積極的に活用し、人材データの分析や予測、効果的な人材配置に取組むことでリスクの軽減を図っています。
④指標及び目標
前述の<戦略>において記載した当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標の管理と具体的な取組みは当社では行われているものの、日本化薬グループ全体としての記載は困難であり、指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。
明確な指標(KPI)を定めている事項は以下のとおりです。
◇働きやすさと働きがいの向上
・有給休暇取得率
2024年度の有給休暇取得率は、目標としている70%を超え73.0%の取得率となっています。従業員の生産性及びモチベーションの向上、また優秀な人材の獲得に向け、更なる有給休暇取得率の向上を目指していきます。

・エンゲージメント
2024年度のエンゲージメントスコアの結果は48.4と、昨年度から1.3ポイント向上しましたが、目標の全国平均50には未達でした。エンゲージメント向上の施策として、職場ごとに「強み」や「弱み」の組織状況を分析した上で、各職場の課題に応じた効果的なアクションプランを策定し実行しています。
◇ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
・女性管理職比率
当社において指導的立場にある女性人材の割合を示す「女性管理職比率」は、少子化が進む日本においては、女性活躍の場を増やすことが社会的な課題となっております。女性が働きやすい環境を整備し、女性管理職を増やすことを目指し女性管理職比率は2024年度の目標を10.0%と定めましたが実績は8.3%でした。
今後の対応としては、各事業場に女性の採用や管理職登用に関する協力を要請するとともに、管理職挑戦支援、女性リーダー候補者研修などを実施していきます。

・男性の育児休業取得率
男性の育児休業取得率は、男性の育児休業取得を促進することが従業員の働き方やキャリア人材の獲得などへ良い効果をもたらすとの考えから積極的に促進しております。プラチナくるみんの特例認定基準である50%を目標に設定し、男性の育児休業取得を推進するための社内整備をさらに進めた結果、2024年度実績は目標を超える100%となっています。

・障害者雇用率
障害者雇用率は、多様性と包括性を重視し、全ての人々にとって働きやすい環境を提供するため、障害者の雇用機会を増やし、共生社会の実現に貢献することが社会的責任となっております。当社では法定雇用率2.5%を目標に設定し、社内環境を整える取組みを行いましたが、結果は2.1%と未達となりました。
未達の理由として、障がい者を採用しているものの、退職者も同時にいるため、雇用者数が増えていないことが挙げられます。今後の対応として、重点取組事業場を設定し採用拡大・社内環境整備・特別支援学校との連携などをさらに推進して採用や継続して働ける環境を強化していきます。
日本化薬グループの人的資本に関する取組みの詳細については、当社Webサイトをご参照ください。
https://www.nipponkayaku.co.jp/sustainability/
当社グループの事業を運営するにあたり、発生する可能性のあるリスクを把握し、対策を行うことでリスクの低減に努めております。
当社グループの経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に重要な影響を与えうるリスクには重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、将来的に予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
① 経営戦略に係るリスク
当社グループの経営戦略に係るリスクには、次に示すような経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に直接影響を与える可能性のあるものがあります。
②自然災害・気候変動対応に係るリスク
当社グループの考える自然災害・気候変動対応に係るリスクには人的、物的被害が生じ、事業継続に影響を与え、経営戦略に著しく影響を与える可能性があるものがあります。
③コンプライアンスに係るリスク
当社グループの考えるコンプライアンスに係るリスクには、次に示すような企業の予期せぬ損失や信用の失墜を招く恐れがあります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によりこれらの見積りと異なる場合があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、2022年度より中期事業計画KV25をスタートしました。事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取組みを進めております。
当連結会計年度の連結売上高は、モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域、ライフサイエンス事業領域の全ての事業領域で前連結会計年度を上回り、2,225億8千4百万円と前連結会計年度に比べ207億9千3百万円(10.3%)増加しました。当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.70倍となりました。
連結売上総利益は、714億8千2百万円となり、前連結会計年度に比べ101億8千万円(16.6%)増加しました。
販売費及び一般管理費は、510億8千万円となり、前連結会計年度に比べ28億8千3百万円(5.3%)減少しました。
連結営業利益は、204億1百万円となり、前連結会計年度に比べ130億6千4百万円(178.1%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ5.5ポイント上昇し、9.2%となりました。
営業外損益は、前連結会計年度に比べ33億6千万円減少し、18億6千4百万円の利益となりました。主な営業外損益の減少は為替差益26億9千5百万円であります。連結経常利益は、222億6千6百万円と前連結会計年度に比べ97億4百万円(77.3%)増加しました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ16億8千6百万円増加し、38億5千8百万円となりました。主な増加は投資有価証券売却益22億2百万円であります。特別損失は、前連結会計年度に比べ34億9百万円減少し、41億1千7百万円となりました。主な減少は減損損失26億4千7百万円、投資有価証券評価損16億8千2百万円であります。税金等調整前当期純利益は、220億7百万円と前連結会計年度と比べ148億1百万円(205.4%)増加しました。
法人税等は、前連結会計年度に比べ14億2百万円増加し、44億2千8百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の41.99%から20.12%に減少しました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、6千9百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、175億8百万円となり、前連結会計年度と比べ133億9千5百万円(325.6%)増加しました。
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
売上高は913億7千6百万円となり、前連結会計年度に比べ101億7千4百万円(12.5%)増加しました。
セイフティシステムズ事業は、国内は一部大手自動車メーカーでの認証不正問題に伴う影響が解消してきたものの本格的な回復には至らず、エアバッグ用インフレータ及びシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前期を下回りました。海外はASEANでは主要市場であるインドネシア・タイの自動車ローン審査の厳格化などにより、自動車販売が低迷しました。一方、中国市場では補助金や様々なインセンティブに支えられ、中国ローカルメーカー向けが好調に推移しました。さらに、円安の進行により売上高が押し上げられたことも加わり、海外はエアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブが前期を上回りました。この結果、セイフティシステムズ事業全体としては前期を上回りました。
ポラテクノ事業は、X線分析装置用部材が堅調に推移したことに加え、円安効果もあり、前期を上回りました。偏光板は前期に実施した一部製品の価格改定の効果もあり、前期を上回りました。この結果、ポラテクノ事業全体としては前期を上回りました。
セグメント利益は、両事業の売上高が増加したことにより、133億1千1百万円となり、前連結会計年度に比べ52億8千3百万円(65.8%)増加しました。
売上高は662億6百万円となり、前連結会計年度に比べ91億3千4百万円(16.0%)増加しました。
機能性材料事業は、半導体市況の回復によりエポキシ樹脂をはじめ各製品群が堅調に推移し、機能性材料事業全体で前期を上回りました。
色素材料事業は、産業用インクジェットインク、コンシューマインクジェットプリンタ用色素及び感熱顕色剤が堅調に推移し、色素材料事業全体で前期を上回りました。
触媒事業は大口顧客の触媒交換があったことにより堅調に推移し、前期を上回りました。
セグメント利益は、全ての事業の売上高が増加したことにより、98億9千9百万円となり、前連結会計年度に比べ47億1千5百万円(91.0%)増加しました。
売上高は650億1百万円となり、前連結会計年度に比べ14億8千3百万円(2.3%)増加しました。
医薬事業の国内向け製剤は、抗体バイオシミラー「アダリムマブBS」及び「ベバシズマブBS」の伸長により、薬価改定の影響と前期を下回った国内向け原薬、輸出、受託事業及び診断薬をカバーし、医薬事業全体としては前期並みとなりました。
アグロ事業は、国内はファインセーブ®が伸長したことに加え、海外はダイアジノン、フロメトキンが堅調に推移し、前期を上回りました。
不動産事業は、前期並みとなりました。
セグメント利益は、63億5千4百万円となり、医薬事業のアンハート社(現ニューベーションバイオ社)への契約締結一時金の支払いに伴う販管費の影響を受けた前連結会計年度に比べ、39億4千4百万円(163.7%)増加しました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(中期事業計画の成果)
4ヵ年中期事業計画KV25の第3年度となる当連結会計年度は、売上高は過去最高の2,225億円、営業利益は204億円となり、売上高は計画を上回りましたが営業利益は計画を下回りました。来期の売上高は計画どおりに伸長する見込みですが、原材料価格の高止まりを始めとしたインフレによるコスト増などにより営業利益につきましては計画との差異が生じており、本中計期間内での数値目標への到達は難しくなりました。しかしながらKV25後を見据えた医薬事業における新薬導入や市場の需要拡大に備えた積極的な設備投資により、進捗の遅れを取り戻し、早期にKV25の数値目標を達成すべく取り組んでまいります。
4ヵ年中期事業計画KV25の第3年度の成果は以下のとおりであります。
(単位:億円)
(2) 財政状態
総資産は3,737億8百万円となり、前期末に比べ105億3千5百万円増加しました。主な増加は建設仮勘定59億7千4百万円、退職給付に係る資産42億9千6百万円、建物及び構築物(純額)41億2千1百万円、商品及び製品33億5千6百万円、受取手形及び売掛金28億4千4百万円、未収入金22億2千万円であり、主な減少は投資有価証券100億8千8百万円、有価証券50億9千万円であります。
負債は1,051億8千8百万円となり、前期末に比べ125億6千3百万円増加しました。主な増加は社債140億円、長期借入金28億8千4百万円であり、主な減少は1年内償還予定の社債80億円であります。
純資産は2,685億2千万円となり、前期末に比べ20億2千8百万円減少しました。主な増加は利益剰余金35億円、退職給付に係る調整累計額25億1千1百万円であり、主な減少はその他有価証券評価差額金41億3千4百万円、為替換算調整勘定28億1千8百万円であります。
セグメントの財政状態は次のとおりであります。
セグメント資産は、現金及び預金、売掛金の増加により1,307億9千9百万円となり、前期に比べ66億1千9万円増加しました。
セグメント資産は、商品及び製品、建物及び構築物(純額)、建設仮勘定の増加により944億9千7百万円となり、前期に比べ119億4千2百万円増加しました。
セグメント資産は、建設仮勘定の増加により867億2千万円となり、前期に比べ19億5千4百万円増加しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、255億3千万円の収入(前期は232億4千2百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額が54億1百万円、棚卸資産の増加が49億7千8百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が220億7百万円、減価償却費が139億3千5百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、273億1千3百万円の支出(前期は194億9百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が292億5千9百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、47億5千6百万円の支出(前期は38億2千3百万円の収入)となりました。これは主に社債発行による収入が140億円、長期借入れによる収入が101億円あったものの、社債の償還による支出が80億円、自己株式の取得による支出が78億8千2百万円、配当金の支払額が73億9千5百万円、長期借入金の返済による支出が54億5千3百万円あったことによるものです。
以上の結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ68億5千1百万円減少し、579億2千6百万円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの財務戦略は、経営目標・事業戦略に基づいて策定しており、事業が将来にわたり持続的に成長できる強い財務基盤を維持することを基本方針としております。資本コストを考慮しながら投資に必要な資金調達を行い、安定的な自己資本比率となる最適な財政状態を常に意識した財務活動を行います。企業ビジョンを実現するため、市場ニーズを的確に捉え、経営資本を投入する事業・製品領域を明確化し、グローバルな成長市場で既存ビジネスの拡大と新事業・新製品の展開を加速させ、企業価値の向上を図ってまいります。また、サステナビリティ経営の観点から特定した重要課題(マテリアリティ)のもと、持続可能な開発目標(SDGs)を意識した運営を行い、全てのステークホルダーの満足を高め信頼される会社を目指します。
なお、今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) その他の契約
当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え、積極的な研究開発活動を行っております。これまで培ってきた要素技術や基盤技術をさらに深化させ、新しい技術開発を加えて、生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える新製品・新事業を創出し続けることで、社会に貢献し続けてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は
(モビリティ&イメージング事業領域)
セイフティシステムズ事業では、サイドエアバッグ用インフレータにおいて次世代品の設計を完了し、製品ラインアップの拡充に向けた開発を推進中です。また、これまで培ってきた火工品技術を用いて様々な用途に使用される火工品の開発にも着手しています。
ポラテクノ事業では、車載用高耐久染料系偏光フィルム、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用光学部材、X線検査装置部材などの開発を進めています。特に染料系偏光板に関しては二色性色素の設計・合成からフィルム化まで一貫した製品開発を行っており、近年電気自動車などで搭載されているHUD用途での採用が増えています。
当事業領域に係る研究開発費は
(ファインケミカルズ事業領域)
ファインケミカルズ事業領域では、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献する製品の開発に取り組んでいます。次世代高速通信に向けた各種基板用材料、高周波の伝送損失を低減する低誘電樹脂素材に低反り性を向上させた新規素材や次世代パワー半導体向けの高耐熱性素材、イメージセンサー向けの高性能なMEMS用ドライフィルム、高画質かつ高速印刷を実現するための各種メディア用の産業用インクジェットインク、染料合成技術を活かした新規機能性色素、高活性でより長寿命なアクリル酸、メタクリル酸製造用触媒を開発しており、さらにバイオ素材及びグリーン触媒への取組みも開始しました。
当事業領域に係る研究開発費は
(ライフサイエンス事業領域)
医薬事業では、開発パイプライン拡充のために導入した画期的新規がん治療薬を国内承認申請いたしました。また、販売中のバイオ医薬品の価値を最大化するための適応拡大に向けた臨床治験を開始しました。バイオ医薬品に関しては、製造および品質管理についても技術蓄積を充実させるべく、社外研究機関との共同研究を進めており着実に成果を得ております。一方、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に貢献するジェネリック抗がん薬及びバイオシミラーについても継続的に開発し、2024年度も複数品目を上市いたしました。今後も製品ラインアップの更なる拡充に努めております。
アグロ事業では、新規殺虫剤(NK-518)を創薬し、公的試験を実施しています。また工夫製剤・機能性展着剤といった製剤技術を基本とした研究活動でも成果があがっており、1件農薬が登録され、3件の新製品が上市となりました。及び研究DXにも力を入れており、創薬活動やデータ解析に幅広く応用をはかっています。さらには農業関連の新規分野として、環境負荷を低減させる資材やバイオスティミュラント(植物刺激剤)などの研究を精力的に行うとともに、新規事業の探索にも力を入れております。
当事業領域に係る研究開発費は
(その他)
テクノロジー統括ではスタートアップ企業やアカデミア(大学・産学連携の研究機関)とのオープンイノベーションを積極的に実施して競争優位性の獲得に努めています。iPEACE223株式会社とは共同研究が順調に推移したため、より密接な連携・協力を目的に2024年9月10日に出資を決定しました。今後はiPEACE223株式会社との更なるコラボレーションを進め、当社の保有する触媒開発・工業化の知見とiPEACE223株式会社の触媒・プラント設計技術を融合し、バイオエタノールを原料としたバイオプロピレン製造技術の実用化に向けた取り組みを加速させ、脱炭素社会の実現に向けた研究開発を推進しております。2024年度はiPEACE223株式会社を含め、スタートアップ企業2社へ出資を行っております。
その他の研究開発費は