第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命のもと、「人を、想う力。街を、想う力。」というブランドスローガンを掲げ、企業グループとしての成長と、様々なステークホルダーとの共生とを高度にバランスさせながら、「真の企業価値の向上」を目指しています。

 

(2) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題

当不動産業界を取り巻く国内経済環境は、経済活動の正常化が一層進み、雇用・所得環境が改善するなか、緩やかな景気回復が続くことが期待されるものの、物価高の影響による個人消費の動向、金利の動向、海外経済の下振れリスク等、先行きは不透明な状況にあります。オフィス賃貸市場においては、企業の人材確保、リアルなオフィスへの出社回帰の流れも受け回復傾向にありますが、引き続き企業のオフィス戦略やワークスタイルの変化を注視していく必要があります。分譲マンション市場では、立地条件等による需要の二極化や顧客ニーズの多様化が進むなか、資材価格や労務費の上昇等に伴う工事費の高騰や、金利動向が販売に与える影響等も注視していく必要があります。不動産投資市場においては、日銀の金融緩和政策見直しによる金利上昇傾向を警戒する見方はあるものの、グローバルで見た日本の不動産投資の優位性を評価する投資家も見られるなど、総じて過熱した環境が継続すると思われますが、想定以上の金利上昇や地政学的な緊張の急激な高まりといったリスクにも留意しながら、今後の動向について慎重に見極めていく必要があります。商業施設やホテル市場においては、国内需要・インバウンド需要ともに回復してきておりますが、今後の物価高や為替動向等の経済情勢による影響を注視していく必要があります。

当社グループといたしましては、2020年代の環境激変をチャンスに変えて持続的な価値を提供する企業グループに変革を続けていくために、2020年1月に、2030年までを見据えた「長期経営計画2030」を策定しました。

長期経営計画を通じて、「幅広いお客様により深く価値を届けるための事業機会の最大化」と「上場企業に求められる高効率で市況変化に強いポートフォリオへの変革」を目指し、丸の内を中心とする国内の大型開発パイプラインの着実な推進を図るとともに、海外事業においては、欧米豪を中心とした先進国への注力を進めていきます。あわせて、ノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を通じ、新たな全社における利益成長の柱にするとともに、全社資産効率の改善に向けたドライバーとすることを目指していきます。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

○各機能グループ及び事業グループとコーポレートの戦略

・コマーシャル不動産事業

開発中プロジェクトの順次稼働による賃貸利益並びに回転型事業を中心とした販売利益の伸長を実現するとともに、新規タイプアセット並びにオペレーショナルアセットへの取り組みを進めます。

・丸の内事業

丸の内NEXTステージ戦略に基づいてアセットマネジメントを徹底し、賃貸利益をはじめとする収益力の向上を目指します。また、丸の内エリアのユニークポイントである「唯一無二の利便性と集積」に加え、「エリア全体のプラットフォーム化」による、丸の内“まちまるごとワークプレイス”構想を推進し、丸の内エリアの更なる価値向上を目指してまいります。

・住宅事業

国内分譲事業を着実に推進する一方で、ストックビジネス領域において多様化するニーズにも対応し、管理・仲介・リフォームなどのフィービジネスにも注力します。

・海外事業

米国、欧州、アジアエリアにおける開発・バリューアド投資機会の拡充と、新興国におけるパートナーとの事業推進を展開します。

・投資マネジメント事業

日・米・欧・アジアにプラットフォームを広げ、クロスボーダーな投資ニーズの拡大を背景とした持続的な拡大を図ります。

・設計監理事業

大規模設計監理業務の継続受注を進めるほか、コンストラクションマネジメント等のコンサルティング業務及びリノベーション業務等の成長分野と海外事業を強化し、あわせて三菱地所グループ技術支援を推進します。

・不動産サービス事業

幅広いサービスメニューと全国に広がる支店網、三菱地所グループの総合力を活用し、法人仲介・不動産コンサルティングのトップ企業を目指します。

 

・営業機能

グループ全体の営業窓口として、顧客企業とのリレーション強化並びに顧客ニーズに対応した企業提案や中長期的な開発案件、事業連携等の事業機会創出を図ります。

・新事業創出機能

全社横断的な新事業創出機能並びにIT施策を担い、ベンチャービジネスへの出資やグループ内における新事業創出により既存業務の拡大や新たな事業領域の探索を進めるほか、デジタル技術を活用した顧客価値を向上させるサービスの提供やデータ利活用の高度化を通じて、ビジネスモデル革新とDX推進を図ります。

・コーポレート

わが国におけるESGの先進企業としての地位を確立し、ステークホルダーとの共生と長期的な企業価値向上を目指します。

 

計数目標は次のとおりです。当社グループとしては、丸の内エリアの優位性や各事業領域における当社グループの強み・ノウハウを発揮することで着実な利益の拡大を図ります。

 

<経営指標/長期経営計画2030ベース(2020年1月公表)>

 

 

2024年度

実績

長計目標

(2020年1月公表)

2025年度

業績予想

 

ROA(事業利益/総資産)

4.0%

5.0%

4.1%

計数目標

(参考)事業利益 *1

3,096億円

3,500~4,000億円

3,253億円

ROE

7.6%

10.0%

8%程度

 

EPS

151.04円

200円

160.16円

(注)*1. 事業利益=営業利益+持分法投資損益

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、三菱グループの経営理念である「三菱三綱領」に基づき、基本使命において「住み・働き・憩う方々に満足いただける、地球環境にも配慮した魅力あふれるまちづくりを通じて、真に価値ある社会の実現に貢献します。」と謳っております。この基本使命に基づき、責任ある事業の推進により、次世代に向けて価値あるまちとサービスを提供し続けることで、三菱地所グループと社会、双方の持続可能性を実現することが、当社グループにとってのサステナビリティの考え方です。

「長期経営計画2030」では、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪を経営の根幹に据え、サステナブルな社会の実現に向け、事業活動を通じて時代が抱える社会課題の解決に取り組んでいくことを明確にし、推進してきました。

こうした中、2020年のスタートから4年が経過した長期経営計画のレビュー(「長期経営計画2030 Review」)を実施し、当社グループを取り巻く環境の変化を踏まえた戦略のアップデートを行いました。社会価値向上と株主価値向上、2つの戦略目標を両輪で達成するため、サステナビリティビジョン2050で示した当社グループの2050年にありたい姿のスローガン、「Be the Ecosystem Engineers」(※1)を両輪の経営の共通基本方針として再整理し、事業とサステナビリティの更なる一体化を進める姿勢を示しています。

 

また、当社グループを取り巻く自然環境と社会環境の変化、サステナビリティに関する企業への要請の一層の複雑化を踏まえ、マテリアリティ(重要課題)を分析し、当社グループと社会、双方の持続可能性確立のためのアクションとして4つの重要テーマを改定(※2)しました(図1)。

今回の改定において、当社グループのコア事業である、不動産に関わるハード・ソフト双方の事業推進そのものが社会価値向上に寄与することを明確化し、事業活動を通じた社会課題解決への真摯な取り組みを加速させ、当社グループの持続的成長と真に価値ある社会の実現を目指します。

 

※1 (参考/サステナビリティビジョン) https://mec.disclosure.site/j/sustainability/vision/

※2 (参考/三菱地所グループと社会の持続可能性4つの重要テーマ・改定のプロセス)

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/background/

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/process/

 

 

図1 長期経営計画2030 Reviewにおける両輪の経営のフレームワーク及び、

社会価値向上戦略におけるマテリアリティと「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」

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(1) ガバナンス

■サステナビリティ推進体制

当社グループでは、「三菱地所グループ サステナビリティ規程」において、気候変動を含むサステナビリティ推進活動に関する事項を定めております。本規程に基づき、三菱地所㈱執行役社長を委員長、サステナビリティ統括責任者(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員)を副委員長とする「サステナビリティ委員会」(原則、年2回開催、以下委員会という)を設置し、当社グループのサステナビリティに関する重要事項の審議・報告を行っております。

委員会に先立ち「サステナビリティ協議会」(原則、年2回開催、以下協議会という)において協議・報告、事業グループ等におけるサステナビリティ推進活動に関する情報の集約を行っております。

委員会の審議事項は、内容の重要度等に鑑み、必要に応じて経営会議への付議がなされ、委員会での審議・報告事項については、取締役会に報告され、監督される体制となっております(図2)。

 

■サステナビリティ委員会開催実績・議題

当社ホームページにて詳細開示しています。以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/management/governance/

 

■重要テーマに対するモニタリング体制

長期経営計画2030における社会価値向上戦略として定めるサステナビリティ重要テーマの達成に向けて、事業・機能グループごとの年次計画に盛り込む運用としています。

目標の達成状況及び取組内容については、サステナビリティ推進事務局である三菱地所㈱ サステナビリティ推進部が取りまとめ、委員会・協議会においてそれを踏まえた報告・諮問を行います。また、委員会後の取締役会においては、サステナビリティ統括責任者である三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員から、同内容の報告がなされます。なお、年次計画上の達成状況は、役員報酬の定性評価目標の一つとして位置付けられています。

図2 三菱地所グループ サステナビリティ推進体制(2024年度時点)

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(2) 戦略

①サステナビリティに関する戦略

サステナビリティ重要テーマの位置づけを、「当社グループと社会、双方の持続可能性確立のためのアクション」として、まち・サービス、地球環境、人の尊重、価値の創造に関わる4つの重要テーマを定め、リスク・機会を特定いたしました。

 

4つの重要テーマ

リスク

機会

まち・サービス

~次世代に誇るまちのハードとソフトの追求~

①ライフスタイルの変化による既存ビジネスモデルの座礁、保有資産の価値低下・顧客離れ

②コスト増による開発推進の遅滞

③災害時の復旧遅延、リスク対応能力の不足による信用棄損・顧客離れ

①長期継続的な商品・サービス品質の信頼とその波及による利益・事業機会の安定増

②大丸有(大手町・丸の内・有楽町)のエリアとしてのポテンシャル拡張による差別化の加速、収益機会の増加

③国内実績・ノウハウ活用による海外事業機会増

地球環境

~環境負荷低減に尽力し続ける~

①地球環境変化による当社事業環境の持続性の逸失

②環境対応に関する規制・ガイドライン適合によるコスト増

③顧客の環境対応要請への不適合による顧客離れ、利益機会の減少

①先進的環境対応による商品・サービスの差別化、新たな事業機会・顧客の獲得

②ノウハウを活かした大規模ビルリノベーション・住宅リノベーション等の既存ストック活用による事業機会の獲得

③積極的な情報開示による投資家エンゲージメントの深化と株式市場におけるプレゼンス向上

人の尊重

~人を想い、人に寄り添い、人を守る~

①人権・労働安全衛生対応の不足によるサプライチェーンの持続性・レピュテーションの棄損

②まち・サービスの多様性、少子高齢化社会への対応不足による需給のミスマッチ

③社内多様性への対応不足による人材の流出、社員エンゲージメント・競争力の低下

①業界を先駆けた人権取り組みによる中長期的な競争力の向上

②多様性に配慮したアセットタイプの開発・運営機会の創出

③ウェルネス施策推進によるまち・サービスへの付加価値付け、顧客獲得機会の向上

価値の創造

~新たな価値の創造と循環~

①まちづくり・サービスの凡庸化・既存事業アップデートの停滞による成長の鈍化、競争力の低下

②優良パートナーの不在による事業の多角化・グローバル化の停滞による成長の鈍化

①革新的な開発スキーム・サービス提供によるまちの多様化・差別化と競合優位性の獲得

②多様なパートナーシップによる、事業機会・領域の拡充と当社単体では成し得ない付加価値の提供

 

「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」の詳細については、以下よりご覧ください。

まち・サービス https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-1/

地球環境    https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-2/

人の尊重    https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-3/

価値の創造   https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-4/

 

[気候変動・自然資本への対応]

・TCFD提言に基づく情報開示

当社は、TCFDの提言内容に則り、2020年5月にフレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行いました。開示内容の拡充を図るため、2023年5月には、これまでのパリ協定が求める水準である産業革命前からの気温上昇が2℃以下を含めた2つのシナリオ分析に加え、移行リスク(低炭素経済へ移行する過程で生じるリスク)を評価するCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)を取り入れ、気候変動による当社グループ主要事業への将来的な影響分析を開始しました。今後も内容の深化を進めるとともに、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化を目指します。

 

・CRREMを活用したリスク分析

CRREMの概要 :欧州の研究機関等が開発した商業用不動産の移行リスクを評価・分析するツールです。パリ協定が求める2℃、1.5℃目標に整合する2050年までの温室効果ガス排出量のパスウェイ(炭素削減の経路)と自社物件の排出経路を比較することで、物件の座礁資産化の時期や座礁割合、又は将来の排出にかかるコスト等を算定し、対応策やその効果を検討することができます。なお、座礁資産化とは、自社ポートフォリオの脱炭素経路が2℃、1.5℃のパスウェイを超過することによって、移行リスクのある物件であると評価されることを示します。

 

CRREMを活用した当社の移行リスク分析:将来の気候変動が当社事業へもたらす影響、特に保有する物件の移行リスクについて、CRREMの手法を活用し、定量的な評価を行いました。

[分析対象範囲]

当社の所有する物件のうち、2022年のGRESB(※)報告対象物件から、2021年度末時点で所有していたオフィス、商業、物流施設など合計84物件を対象に分析しました。

[ケースの設定]

ケース 1 :これまでの当社脱炭素の取り組みに加え、省エネ施策の強化(空調・LED等)や、生グリーン電力の導入といった取り組みを考慮したケース

ケース 2 :ケース1に非化石証書付き電力契約による再エネ導入も加え、2025年度までにすべての物件で再エネ由来電力への切り替えを想定したケース

[ケース分析結果]

設定した2つのケースと2℃、1.5℃目標の各パスウェイを比較したところ、以下の結果が得られました。

ケース 1 :省エネ施策強化や生グリーン電力の導入のほか、系統電力の排出係数の低下が寄与するものの、2037年頃には1.5℃パスウェイを上回る排出水準になる見込みです。そのため、本取り組みだけでは不十分である可能性があります。

ケース 2 :再エネ由来電力への切り替えに伴い、2025年度以降、電力由来の排出がなくなる一方、地域冷暖房、ガス由来のエネルギーの排出が一部残る見込みです。その結果、2047年頃に1.5℃パスウェイを超過する可能性があります。

[ケース分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)]

本分析においては、2021年度末時点の物件を対象に、2050年までの間、物件の入れ替え等がない想定としていますが、実際には省エネ性能に優れた物件への建て替え、新規取得等により、温室効果ガス排出原単位の改善も見込まれます。当社が掲げる2025年度の再エネ導入率100%の達成に向け、これまで推進してきた非化石証書付き電力利用を一層進めるとともに、コーポレートPPAの導入等を検討します。また、今後当社が開発する新築建物においては原則ZEB水準の環境性能を目指すことにより、省エネ性能の優れたビルの比率を向上させ、温室効果ガス排出原単位の改善を図ります。

 

(※)GRESBは、欧州の年金基金のグループを中心に創設された不動産会社・不動産運用機関の環境・社会等への配慮の姿勢を測るベンチマークです。

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TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/

 

・TNFD提言に基づく情報開示

当社は、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言内容に則り、2025年3月にフレームワーク(ガバナンス、戦略、リスク・インパクト管理、測定指標・ターゲット)に沿った自然・生物多様性分野に関する情報の開示を行いました。

当社グループはサステナビリティ重要テーマのひとつに「環境負荷低減に尽力し続ける」を掲げ、それに関わるマテリアリティ(重要課題)のひとつとして、生物多様性を特定しています。TNFDの提言を踏まえ、事業活動の自然への依存・インパクトを評価しそれにより生じるリスク・機会を特定する取り組みを進め、他事業エリアを含めた内容の深化を進めるとともに、今後も自然と調和した事業戦略の強化を目指します。

[本開示の第一弾]

優先地域 :当社グループの事業の中核を担うエリアである大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアを特定し、分析・評価を行いました。

分析・評価:開発による緑化推進の可視化等の分析の結果、大丸有エリアの緑地面積割合が1975年比で概ね倍増しているなど、これまでのまちづくりが生態系や生物多様性にポジティブなインパクトをもたらしていることが示唆されました。また、このような豊かな緑の確保は、生物多様性だけでなく、ヒートアイランド現象の緩和、CO2吸収、雨水貯留による浸水リスク低減等に寄与するとともに、人と自然が調和したネイチャーポジティブなまちづくりによるエリアの価値やテナントからの評価向上、自然を活用したまちの賑わいの創出や新規事業の開発など、ビジネス上の機会獲得につながると考えています。

 

TNFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tnfd/

 

 

②人的資本に関する戦略

当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、高い専門性で新たな価値創造をする役割、協業による強みの掛け算で変革を起こす役割、並びに一人ひとりの強みを掛け合わせ、価値を最大化できる組織づくりの役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。

当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。

 

■5つの要素を高めていくこと

当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。

当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。

なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。

 

5つの要素

定義

求める力

「志」ある人

成し遂げたい姿や状態を描き、それを実現していく強い意志と行動力を備えた人

ビジョン構築・浸透力、覚悟・胆力

「現場力・仕事力」のある人

自身の担当領域や不動産全般の「プロ」として知識・スキルを研鑽し、業務を推進できる力を持つ人

目利き力、顧客志向、仕事推進力、生産性、リスク対応力、知識・スキル

「誠実・公正」である人

高い倫理観を持ち、誠実かつ公正に行動し、周囲と良好な関係を築く姿勢を持つ人

オープンマインド、倫理観

「組織」で戦える人

組織としての競争力を高めるために人財育成やマネジメントを行う力のある人

育成力、チームワーク、マネジメント力

「変革」を起こす人

前例や慣例にとらわれず、失敗を恐れずにチャレンジ精神を持って行動する姿勢を持つ人

チャレンジ志向・イノベーション

 

■長期経営計画2030の達成のために人財に求める3つの役割と育成に向けた取り組み

(ア)Professional 高い専門性によって新たな価値を創造していくこと

「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値の創造に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しています。

 

(イ)Change Maker 協業による強みの掛け算で変革を起こしていくこと

当社グループのまちづくりにおける社内外の膨大なネットワークは大きな強みです。これらの社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出し、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。当社ではこの役割をサポートする研修の整備や、挑戦する風土の醸成に努めております。

 

(ウ)As One Team 一人ひとりの強みを掛け合わせ、価値を最大化できる組織づくりをしていくこと

人財・働き方の多様性の配慮及びエクイティに加え、それぞれの価値観・意見を自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しています。採用における多様性の確保、この役割をサポートする研修の整備にも継続的に取り組んでいます。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメント体制を整備、運用しております。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として、三菱地所㈱執行役社長を委員長、各事業グループ及びコーポレートスタッフの担当役員等をメンバーとする「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議により任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレートスタッフ部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しております。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しております。

 

毎年実施するリスク分析において、気候変動関連リスクを含む事業活動全般に関するリスクについて評価・分析し、その分析結果を踏まえ、前述の「リスク・コンプライアンス委員会」において、事業活動全般への影響度を踏まえた三菱地所グループとしての重点リスクを審議し、その対策をモニタリングしております。

 

また、以下2つの活動を柱に、リスクマネジメントを推進しております。

①個別重点リスクマネジメント活動(=各事業、機能グループ・グループ各社における個別リスクマネジメント活動の推進)

各事業、機能グループ・グループ各社において、リスク分析の上、重点的なリスク(個別重点リスク)を選定し、対応する活動を毎年実施しております。ラインスタッフ部署はそれぞれの事業グループが所管するグループ各社のリスクマネジメントの推進状況を把握し、連携・支援を実施しております。

 

②重点対策リスクマネジメント活動(=当社グループとして特に注力すべき重点対策リスクの抽出とモニタリング)

当社グループ全体のリスクを的確に把握し、重点的に対策を講じる必要があるリスクを抽出・マッピングすることで注力すべきリスクとそのプライオリティを可視化しております。また、年間を通じて特に重要なリスク(重点対策リスク)を中心にモニタリングするとともに、必要に応じて支援を実施しております。

 

 

(4) 指標及び目標

①サステナビリティに関する指標及び目標

当社グループは、重点的に取り組むべき4つの重要テーマとして、まち・サービス、地球環境、人の尊重、価値の創造を新たに定めております。2025年度には、長期経営計画の達成に向けた取り組みを加速させるため、組織別・機能別の目標やアクションプランの更なる具体化・深化を図っていく予定です。

 

指標

目標/目指す世界

対応する主な取り組み事例

まち・サービス

~次世代に誇るまちのハードとソフトの追求~

世代を超えて愛され、有機的に発展する「選ばれるまち」へ

・現在開発中の「TOKYO TORCH」を含む大手町連鎖型都市再生プロジェクトにおいては、25年にわたって都市機能の刷新と価値向上を推進

・「グラングリーン大阪」では、JR大阪駅前に約45,000㎡の都市公園やイノベーション拠点を整備するなど、多様な出会いと価値創造を促すまちづくりを推進

・各事業領域において、防災・減災に向けた体制構築や、 ハード・ソフト両面における防災まちづくりを推進

地球環境

~環境負荷低減に尽力し続ける~

持続可能なまちと地球環境の実現

・SBTiの「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った、目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを実施

・RE100に加盟の上、取り組みを推進し、2025年度にグループ全体でRE100達成予定

・国内外の都市において、ストックの有効活用を推進するリノベーション事業を拡大

人の尊重

~人を想い、人に寄り添い、人を守る~

多様な人々が幸せに働き、暮らせる社会へ

・サプライヤー行動規範を策定し、サプライヤーの遵守状況を確認するため、ヒアリングシート調査や施工及び清掃現場での就業者宛ヒアリング等を実施

・多様な生活スタイルや就業スタイルに対応した施設の開発やサービスの提供

・まちづくりを通じたDE&I推進を加速するため、国内不動産会社として初めて「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」に賛同し、ステートメントに署名。ジェンダー平等を経営方針に明確に位置付け

 

 

 

指標

目標/目指す世界

対応する主な取り組み事例

価値の創造

~新たな価値の創造と循環~

時代の変化を先取りし、豊かさや便利さを育む

・2000年のベンチャー支援組織立ち上げから、丸の内エリアを中心としたスタートアップ支援、インキュベーション拠点や産官民学連携によるインキュベーションエコシステム構築により、社会に向けた新たな価値の創出

・日本初のREIT上場を起点に、金融×不動産で新たな投資機会を創出。日米欧亜拠点による投資マネジメント事業プラットフォーム「MEGP」によりグローバルに持続可能な不動産資産を地域社会に提供

 

②気候変動等に関する指標及び目標

 

項目

目標

実績値(*2)

気候変動

(*1)

CO2等の温室効果ガス排出量(2022年6月「SBTi」よりSBTネットゼロ認定取得)

2019年度総排出量に対して、

・2030年度までに、Scope1+2を70%以上、Scope3を50%以上削減

・2050年までに「ネットゼロ」達成(Scope1,2,3いずれも90%以上削減。残余排出量は中和化(*3))

総排出量:

( )内は基準年比増減率

 

2,277,376 t-CO2(▲43.6%)

うちScope1+2:

224,239 t-CO2(▲52.9%)

うちScope3:

2,053,137 t-CO2(▲42.4%)

再生可能エネルギー由来の電力比率

2025年度までにグループ全体で100%達成を目指す

55.4%

廃棄物

(*1)

m²当たりの廃棄物排出量

2030年までに2019年度比20%削減

(2019年度実績:7.1kg/m²)

6.4kg/m²

廃棄物再利用率

2030年までに90%

59.5%

木材調達

国産材を含む違法伐採リスクが低い国で生産される木材のみを調達

(*4)

2030年度までに100%達成

99.98%

(注)*1. 支配力基準に基づき、対象組織を選定しております。三菱地所グループの所有権及び信託受益権が50%以下の物件は、原則データ算定対象外です。2024年6月27日時点の2023年度実績値です。

*2. 2024年度実績は第三者保証取得後、以下に掲載を予定しております。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

*3. 2050年段階で三菱地所グループのバリューチェーン内で削減できない排出量を「残余排出量」といい、バリューチェーンの外で森林由来吸収や炭素除去技術等を活用して「中和(Neutralization)」することで、ネットゼロとするのがSBT基準に基づく考え方です。

*4. 三菱地所グループが自らのバリューチェーンで実施する木材調達を対象としております。

 

各KPIの実績については、以下よりご覧ください。

環境データ https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

社会データ https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/

 

③人的資本に関する指標及び目標

当社グループでは、人財・働き方の多様性に配慮することや人権を尊重することは、経営や事業を行う上で重要な課題であるとの認識から、「三菱地所グループ行動指針」において、「人権・ダイバーシティの尊重」「一人ひとりの活躍」を掲げ、その着実な実践に向け、取り組みを推進しております。

当社グループでは、多様性確保のため、国籍、性別、年齢、新卒・キャリア採用等に偏りのない従業員構成を目指し、その多様な価値観・意見を心理的安全性のもとに自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しております。多様性の一つの指標として、性別(ジェンダー)に関する指標及び目標を設定しております。

 

当社の当該指標に関する目標及び実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社」に記載のとおりであります。

 

当該指標に関する目標及び実績についての詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の皆様の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自然災害、人災等によるリスク

国内外を問わず、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害及び事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合に備え、当社グループでは、商業施設、ホテル、空港等をはじめとした当社グループが所有もしくは運営する施設において、当該事象発生時のBCP対応に取り組んでおります。しかし、当該事象の緊急度合によっては事業中断をせざるを得ない場合があります。また、パンデミックや台風等の自然災害発生時の対応について社会的関心が高まるなか、万一、当社グループが取り得る適切な対応に不備があった場合、安全管理リスクやレピュテーションリスク等が顕在化し、当社グループの事業推進、業績に影響が及ぶおそれがあります。

(2) 不動産市況悪化のリスク

国内外の要因により景気が悪化し、それに合わせて不動産市況が悪化する場合には、当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。その場合には、特に東京の賃貸オフィス市場の空室率及び分譲マンション市場の販売状況及び、複合開発計画や再開発計画等については開発期間が長期にわたり大規模な投資を伴う傾向にあるため、進捗状況に注意を要するものと思われます。

(3) 建物の安全管理及び品質管理、工程管理に関するリスク

当社グループでは、運営施設及び工事中物件について、各種安全管理及び品質管理、工程管理を徹底し取り進めておりますが、万一、当該取り組みや対応に不備があった場合、人身事故の発生や、商業施設やホテル、高齢者向施設、空港等における火災や食中毒等の発生、住宅等をはじめとした顧客からの信用喪失等に繋がり、当社グループの業績等に影響が及ぶおそれがあります。

(4) 資材価格の高騰リスク

国内外の要因により原材料並びに原油価格の高騰に伴い資材価格が上昇した場合には、不動産開発事業において必ずしも増加コスト分を販売価格や賃料に反映することが出来ず、当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。

(5) 為替レート変動のリスク

当社グループの業務は為替レートの変動の影響を受けます。円が上昇した場合、外貨建て取引の円貨換算額は目減りすることになります。さらに、当社グループの資産及び負債の一部の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(6) 金利上昇のリスク

国内において、日本銀行は2%の物価安定の目標のもと、政策金利の変更を通じ、適切に金融政策を運営する方針を示しており、政策の変更や国債の需給バランスの悪化並びに国際金融資本市場・為替市場の動向等を背景に金利が上昇するおそれがあります。また、海外への投資に伴って外貨の調達も行っていることから、日本国内同様、投資先各国の経済情勢等により調達通貨の金利が上昇するおそれもあります。

(7) 個人情報等の漏洩を含むサイバー攻撃等情報セキュリティリスク

当社グループでは国内外を問わず、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っております。これらの機密情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」をはじめ、関連する諸法令の遵守と適正な取扱いの確保に努めておりますが、サイバー攻撃・ウイルス感染等による情報セキュリティインシデント発生等、万一、機密情報が外部へ漏洩した場合やシステムリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶおそれがあります。

 

(8) 株価下落のリスク

当社グループは上場及び非上場の株式を保有しております。全般的かつ大幅な株価下落が生じる場合には、保有有価証券に減損又は評価差損が発生し、当社グループの業績に影響を与えるおそれがあります。

(9) 人事労務管理リスク

当社グループでは適正な労務管理に向けた取り組みの推進やハラスメント撲滅に向けた取り組みの推進、ダイバーシティ推進に努めておりますが、万一、各種規制順守や適切な対応に不備があった場合、当社グループの業務遂行等に悪影響が及ぶおそれがあります。また、「長期経営計画2030」における事業戦略として、海外事業の更なる拡大を見据えており、各海外現地法人では現地採用社員の割合は増加する想定であり、従前以上に現地法人社員のマネジメントが重要であると考えております。

(10) サステナビリティ経営上の重要課題の認識とリスク

当社グループでは、当社グループを取り巻く環境の変化に関して、経営上の重要テーマ及び、それに伴うリスクと機会を特定しております。これらのリスクが顕在化した場合には、中長期的に当社グループの業績に影響が及ぶおそれがあります。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 ①サステナビリティに関する戦略」に記載のとおりであります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の業績は、営業収益が1,579,812百万円で前連結会計年度に比べ75,124百万円の増収(+5.0%)、営業利益は309,232百万円で30,605百万円の増益(+11.0%)、経常利益は262,960百万円で21,802百万円の増益(+9.0%)となりました。

特別損益につきましては、前連結会計年度において固定資産売却益10,381百万円、投資有価証券売却益30,280百万円、負ののれん償却益4,850百万円の計45,513百万円を特別利益に、エクイティ出資評価損12,138百万円を特別損失に計上したのに対して、当連結会計年度においては、固定資産売却益10,663百万円、投資有価証券売却益50,869百万円、負ののれん償却益4,850百万円、退職給付信託返還益13,934百万円の計80,318百万円を特別利益に、固定資産除却関連損9,165百万円、関係会社株式評価損4,031百万円、減損損失13,121百万円の計26,318百万円を特別損失に計上しております。

この結果、税金等調整前当期純利益は316,960百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ20,923百万円増益(+12.4%)の189,356百万円となりました。

 

当連結会計年度の業績及び各セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より当社の組織を一部改正したことに伴い、セグメント区分についても変更いたしました。

・「丸の内事業グループ」を新設の上、大手町・丸の内・有楽町地区に係る機能を担う組織を移設し、従来の「コマーシャル不動産事業グループ」を「コマーシャル不動産事業グループ」並びに「丸の内事業グループ」に分割いたしました。

これにより、従来「コマーシャル不動産事業」、「住宅事業」、「海外事業」、「投資マネジメント事業」、「設計監理・不動産サービス事業」としていた報告セグメントを、「コマーシャル不動産事業」、「丸の内事業」、「住宅事業」、「海外事業」、「投資マネジメント事業」、「設計監理・不動産サービス事業」へ変更いたしました。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業収益

1,504,687

1,579,812

75,124

営業利益

278,627

309,232

30,605

経常利益

241,158

262,960

21,802

親会社株主に帰属する

当期純利益

168,432

189,356

20,923

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業収益

営業利益又は

営業損失(△)

営業収益

営業利益又は

営業損失(△)

コマーシャル不動産

事業

499,138

114,730

538,832

124,660

丸の内事業

381,027

97,082

394,596

96,173

住宅事業

398,827

38,888

421,902

48,026

海外事業

173,770

51,448

160,186

45,823

投資マネジメント事業

30,962

△1,619

40,969

11,950

設計監理・

不動産サービス事業

73,265

9,021

82,188

10,700

その他の事業

11,009

△1,577

11,666

△2,128

調整額

△63,313

△29,346

△70,530

△25,974

合  計

1,504,687

278,627

1,579,812

309,232

(注)前連結会計年度の業績については、当連結会計年度より変更したセグメント区分に組替えております。

 

(a)コマーシャル不動産事業

・当連結会計年度において、オフィスビルは、堅調なリーシング等により増収となりました。

・商業施設及びアウトレットモールは、店舗売上の増加等により、ホテルは、稼働率の上昇等により増収となりました。

・その他、オフィスビル等の保有する物件の売却により、不動産販売が増収となりました。

・この結果、当セグメントの営業収益は39,694百万円増収の538,832百万円となり、営業利益は9,929百万円増益の124,660百万円となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

摘  要

前連結会計年度

当連結会計年度

貸付面積

営業収益

貸付面積

営業収益

不動産

賃貸

東京オフィス

(丸の内以外)

 

(所有)

522,170

 

138,907

 

(所有)

508,608

 

144,068

 

(転貸)

837,857

 

 

(転貸)

862,590

 

オフィス

(東京以外)

 

(所有)

563,932

 

62,671

 

(所有)

596,926

 

65,732

 

(転貸)

337,612

 

 

(転貸)

415,287

 

アウトレットモール

 

(店舗)

362,621

 

57,367

 

(店舗)

361,459

 

60,901

その他

37,533

42,950

不動産販売

135,419

151,158

その他(注2)

67,238

74,019

合  計

499,138

538,832

(注)1. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

2. その他には、建物運営管理受託収入、営繕請負工事収入、ホテル事業収入等が含まれております。

3. 前連結会計年度の業績については、当連結会計年度より変更したセグメント区分に組替えております。

 

(b)丸の内事業

・当連結会計年度において、オフィスビルは、再開発に向けたビルの閉館等により減収があった一方で、好調なリーシングによる空室率の改善や既存ビルでの賃料増額改定等により増収となりました。

なお、当社の丸の内オフィスの2025年3月末の空室率は1.73%となっております。

・この結果、当セグメントの営業収益は13,568百万円増収の394,596百万円となり、営業利益は908百万円減益の96,173百万円となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

摘  要

前連結会計年度

当連結会計年度

貸付面積

営業収益

貸付面積

営業収益

不動産

賃貸

丸の内オフィス

 

(所有)

1,277,460

 

255,416

 

(所有)

1,252,573

 

256,999

 

(転貸)

405,934

 

 

(転貸)

408,963

 

その他

11,707

11,792

その他(注2)

113,903

125,804

合  計

381,027

394,596

(注)1. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

2. その他には、建物運営管理受託収入、営繕請負工事収入、レンタルオフィス事業収入等が含まれております。

3. 前連結会計年度の業績については、当連結会計年度より変更したセグメント区分に組替えております。

 

(c)住宅事業

・国内分譲マンション事業の主な売上計上物件

「ザ・パークハウス グラン 三番町26」           (東京都千代田区)

「ザ・パークハウス 大森タワー」             (東京都大田区)

「ザ・パークハウス 等々力」               (東京都世田谷区)

「ザ・パークハウス ひばりが丘」             (東京都西東京市)

「ザ・パークハウス 大濠翠景」              (福岡県福岡市)

・当連結会計年度において、国内分譲マンション事業では、売上計上戸数が減少したものの、一戸当たりの販売単価は増加したことにより増収となり、その他の事業では、賃貸マンションや収益用不動産の売却等により増収となりました。

・この結果、当セグメントの営業収益は23,075百万円増収の421,902百万円となり、営業利益は9,137百万円増益の48,026百万円となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

摘  要

前連結会計年度

当連結会計年度

販売数量等

営業収益

販売数量等

営業収益

マンション

 

売上計上戸数

2,271

 

155,929

 

売上計上戸数

1,787

 

156,651

住宅管理業務受託

 

受託件数

349,446

 

60,053

 

受託件数

353,024

 

62,589

注文住宅

 

 

37,328

 

 

36,178

その他

 

 

145,515

 

 

166,483

合  計

 

 

398,827

 

 

421,902

(注)1. 営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

2. 他社との共同事業物件の売上計上戸数及び金額は当社持分によっております。

 

(d)海外事業

・当連結会計年度においては、アジアは複合開発事業収入の増加等により増収となりましたが、米国及び英国は前連結会計年度の物件売却の反動等により減収となりました。

・この結果、当セグメントの営業収益は13,583百万円減収の160,186百万円となり、営業利益は5,624百万円減益の45,823百万円となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

摘  要

前連結会計年度

当連結会計年度

貸付面積等

営業収益

貸付面積等

営業収益

不動産開発

・賃貸

米国

 

貸付面積

451,967

 

124,498

 

貸付面積

422,772

 

109,795

 

管理受託面積

97,527

 

 

管理受託面積

97,527

 

欧州

 

貸付面積

103,564

 

35,836

 

貸付面積

84,397

 

9,892

アジア

 

貸付面積

7,201

 

11,924

 

貸付面積

7,535

 

36,657

 

売上計上戸数

1,265

 

 

売上計上戸数

1,242

 

その他

 

 

1,511

 

 

3,841

合  計

 

 

173,770

 

 

160,186

(注)営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

 

(e)投資マネジメント事業

・当連結会計年度においては、営業収益は10,006百万円増収の40,969百万円となり、前連結会計年度の減収要因である一過性のインセンティブフィー剥落等の反動により、営業利益は13,570百万円増益の11,950百万円となりました。

 

 

(単位:百万円)

摘  要

営  業  収  益

前連結会計年度

当連結会計年度

投資マネジメント

30,962

40,969

合  計

30,962

40,969

(注)営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

 

(f)設計監理・不動産サービス事業

・㈱三菱地所設計において、2023年9月に着工した「Torch Tower(TOKYO TORCH 東京駅前常盤橋プロジェクトB棟)」等の設計監理業務等の収益を計上しました。

・当連結会計年度においては、設計監理収益は売上件数が増加したこと等により増収となり、不動産仲介・駐車場運営管理は、不動産仲介取扱件数及び駐車場運営管理台数の増加等により増収となりました。

・この結果、当セグメントの営業収益は8,922百万円増収の82,188百万円となり、営業利益は1,679百万円増益の10,700百万円となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

摘  要

前連結会計年度

当連結会計年度

売上件数等

営業収益

売上件数等

営業収益

設計監理

 

受注件数

1,305

 

25,705

 

受注件数

1,419

 

26,362

 

売上件数

1,357

 

 

売上件数

1,519

 

不動産仲介

 

取扱件数

1,403

 

15,126

 

取扱件数

1,475

 

17,005

駐車場運営管理

 

管理台数

62,254

 

11,922

 

管理台数

63,383

 

13,197

その他

 

 

20,510

 

 

25,624

合  計

 

 

73,265

 

 

82,188

(注)営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含めております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益、長期借入れ等による収入、有形固定資産の取得等による支出により、前連結会計年度末に比べ19,083百万円減少し、256,881百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、324,116百万円の資金の増加(前連結会計年度比+16,867百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益316,960百万円に非資金損益項目である減価償却費101,253百万円等を調整した資金の増加に、棚卸資産の減少、法人税等の支払又は還付等による資金の増減を加えたものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、361,505百万円の資金の減少(前連結会計年度比+511百万円)となりました。これは有形固定資産の取得等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、12,871百万円の資金の増加(前連結会計年度比△87,562百万円)となりました。これは長期借入れ等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

2025年3月期の業績は営業利益が3,092億円で、直近の対外公表予想値に比べて92億円の増益(+3.1%)となりました。

2024年度はオフィス賃貸事業では賃料増額改定等に伴い賃貸利益が増加したことに加え、販売利益を実現させたほか、分譲住宅の着実な販売進捗や、アウトレットモール等の商業施設の需要のさらなる増加等により、当初計画の水準と同程度の利益を実現できました。

2020年度よりスタートした「長期経営計画2030」では国内アセット事業・海外アセット事業・ノンアセット事業で、それぞれ500億円程度の成長を目指しております。2024年度においては「(仮称)丸の内3-1プロジェクト(国際ビル・帝劇ビル建替計画)」解体着工、「(仮称)天神 1-7 計画」新築工事着工、「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」開業、「Two Sudirman Jakarta」本体工事着工等、長期経営計画の戦略に合致する将来の収益機会の獲得を実現しております。さらに、回転型投資の展開を通じた売却益の獲得及びフィービジネスの拡大を図るべく、当社グループで運営するファンドやREITへの売却を推進し、バリューチェーンを強化しています。これらの成果を着実に利益として結実させ、長期経営計画で掲げた計数目標の達成を目指します。

セグメントごとの経営成績に関しては次のとおりです。

コマーシャル不動産事業においては、インバウンドの増加等に伴い、商業施設・ホテルを中心に回復傾向が続いていることに加え、オフィス賃貸利益の増加により、営業利益は1,247億円となりました。なお、直近の予想値からは3億円の減益となりました。

丸の内事業においては、オフィスの空室率改善、賃料増額改定等により、営業利益は962億円となりました。なお、直近の予想値からは12億円の増益となりました。

住宅事業においては、好調な分譲マンション市況により収益は増加、あわせて賃貸マンション等のキャピタルゲインが大幅増加となったことから、営業利益は480億円となりました。なお、直近の予想値からは10億円の増益となりました。

海外事業においては、物件売却後倒し等により営業利益は458億円となりました。なお、直近の予想値からは58億円の増益となりました。

投資マネジメント事業においては、2023年度に発生していたインセンティブフィー(ノンキャッシュ)調整の影響等が小さくなり、営業利益は120億円となりました。なお、直近の予想値からは11億円の減益となりました。

設計監理・不動産サービス事業においては、流通事業の増益により、営業利益は107億円となりました。なお、直近の予想値からは7億円の増益となりました。

その他のセグメントについても、概ね計画通りに利益を計上することができました。

 

≪セグメント別営業利益≫

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年度

直近予想値 *1

決算値

増減

コマーシャル不動産

事業

125,000

124,660

△340

丸の内事業

95,000

96,173

1,173

住宅事業

47,000

48,026

1,026

海外事業

40,000

45,823

5,823

投資マネジメント事業

13,000

11,950

△1,050

設計監理・

不動産サービス事業

10,000

10,700

700

その他の事業

△2,000

△2,128

△128

調整額

△28,000

△25,974

2,026

合  計

300,000

309,232

9,232

(注)*1. 2025年2月7日公表時の通期業績予想となります。

 

当社グループは、中期的な視点から強みを活かした投資により得られる利益の拡大を通じた企業価値の向上を図るため、成長投資を推進する一方で、財務健全性の維持も重要な経営目標としており、成長に向けた事業投資を行う際は、高格付けの維持を前提とした最適な資本構成を図っています。当社グループの財源については、ビル賃貸事業が主力事業であることから、引き続き長期・固定資金を主体に調達しております。今後も期間中の金利状況や、調達済有利子負債の償還期間等とのバランスも考慮しながら、調達手段に柔軟性を持たせつつ運営を行って参る所存であります。

事業等のリスクに対しては、当社グループでは「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメント体制を整備、運用しています。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議により任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレート部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しています。さらに、重要な投資案件の意思決定に当たっては「経営会議」の審議前に「投資委員会」で審議を行い、リスク内容及びリスク管理方法等をチェックしています。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しています。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

1)財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、業界最上位の格付に裏打ちされた強固な財務基盤は、重要な経営資源の一つであると位置づけ、財務健全性の維持と高格付を活かした適時最適な調達の実現を財務戦略の基本方針としております。

2020年4月から開始した「長期経営計画2030」においても、ROAの向上を通じたROEの向上に主眼を置き、レバレッジについては現状の格付水準が維持可能な範囲で適切にコントロールすることを基本方針としており、不動産市況に応じた、成長投資・資産売却・株主還元・資金調達の最適な組み合わせによる企業価値向上を実現して参ります。長期経営計画の5年目となる2024年度は、ネット有利子負債/EBITDA倍率についてはハイブリッドファイナンス考慮前で7.2倍(考慮後で6.9倍)にて着地いたしました。世界経済の先行きは依然として不透明な状況が継続することが想定されますが、10年間という長期にわたる経営計画においては、事業環境が変動する可能性を織り込んでいるため、環境の変化を見極めつつ、柔軟な資本政策を組み合わせながら、事業機会獲得の機会を的確に捉え、2030年の目標実現に向け、着実に各種施策を推進して参ります。

 

2)経営資源の配分と資金需要の主な内容

当社グループは、事業により獲得した営業キャッシュ・フローと資金調達余力に応じたキャッシュインを、株主還元、事業投資・回収(ネット投資額=投資決定済案件への投資-物件売却による回収)、不動産市況に応じて柔軟に行う戦略的アロケーションの3点に配分します。戦略的アロケーションは、株主価値向上に資する案件への厳選投資、追加の株主還元、負債抑制等のうち、その時々の状況に応じて柔軟に判断して参ります。

今後の主な資金需要としては「長期経営計画2030」に基づき、有楽町エリア及び常盤橋エリアを重点更新エリアとし、2030年までに総額6,000~7,000億円程度を投じ、再開発やリノベーションを推進して参ります。また、2026年3月期の投資回収予算においては、約13,000億円の投資と約7,000億円の回収を見込んでおります。

 

3)資金調達手段

当社グループは、事業展開に伴う資金需要を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。

内部資金については、主要グループ会社では原則として金融機関など外部からの資金調達を行わず、キャッシュ・マネジメント・システムの活用により、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っています。

外部資金については、財務健全性の維持が可能な範囲において金融機関からの借入や社債発行等を活用しており、資金需要・金融市況・調達コスト・償還バランスなどを総合的に勘案した上で、適切なファイナンスを実施しているほか、近年ではグリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ローン等のサステナビリティファイナンスにも取り組んでおります。なお、当社グループは長期の開発期間を伴う事業が中心であるため、いずれの調達手段であっても10年以上の長期資金を中心とした資金調達を行うとともに、負債の年度別償還額の集中を避けることでリファイナンスリスクの低減を図っています。

主要な取引先金融機関とは、良好な取引関係を維持構築することで、円滑な資金調達を可能としております。また、国内金融機関においてコミットメントライン枠やスポット借入枠を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。

 

社債発行については、国内外4社の格付機関から取得している信用格付(※1)をもとに、近年は公募劣後特約付社債(ハイブリッド社債)に加え、国内の公募債市場で最長かつ初となる50年債の発行を行う等、投資家需要や起債環境を見極めたうえで最適な起債に努めており、今後も資金調達手段の多様化を図って参ります。

なお、当社は公募劣後特約付社債を含む、全ての社債を無担保で発行していること、金融機関からの借入金についても財務制限条項は付されていないことから、安定した資金調達が可能と考えております。

 

※1 本報告書提出時点において、格付投資情報センターの格付はAA(安定的)、日本格付研究所の格付はAAプラス(安定的)、スタンダード&プアーズの格付はAプラス(ネガティブ)、ムーディーズの格付はA2(安定的)となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。