当社グループは、「会社の永遠の発展を追求し、地球環境との調和を図りながら適正な利益を確保することにより、株主、ユーザー、従業員と共に繁栄する企業を目指して持続可能な社会づくりに貢献する。」を経営の理念としております。これを実現するために、当社独自の技術と心のこもったサービスでユーザーの期待に応え、誠意・創造性・迅速な対応・自然との調和をモットーに、信頼される企業を築き上げるべく全社をあげて事業の発展に取り組んでまいります。
当初計画した重点戦略に加えて新たな戦略・施策を実行し、企業価値向上を図ります。具体的には、精密化学品事業を中心とした事業の拡大、事業ポートフォリオの改革、ROIC経営の推進、IR活動の強化、政策保有株式の縮減などを進め、収益を回復させるとともに、資本コストを意識した経営を進めてまいります。
また、2030年に想定される社会を見据え、安定した経営基盤のもと、安全で働きがいを実感できる環境を提供し、独自性・優位性のある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指してまいります。
a.成長戦略
特殊ガスは、市場の成長性や技術進化に伴う新規ガスの需要を機会と捉え、持続可能な社会に貢献する独自の製品群の開発・投資によって成長していきます。更に、各国で半導体への投資が活発なことから、製造拠点の複数化により安定供給体制を構築していきます。また、顧客に密着した開発を進めていきます。
電池材料は、EVの成長鈍化により厳しい状況が続いておりますが、当社の強みである品質と豊富なノウハウ、技術力を活かし、米欧日の市場で期待される需要を確実に取り込んでいきます。当社技術への関心が高まっていることを機会と捉え、ライセンスビジネス拡大や更なる技術開発に邁進していきます。また、建設を決定したリチウムイオン二次電池リサイクルプラントを計画通り完成させ、循環型社会の実現に貢献してまいります。
b.ポートフォリオ改革
鉄系事業は、縮小する市場に対してキャリヤー製品の製造を㈱関東電化ファインテックに移管し、経営資源の有効活用と収益力の向上を図ります。また、従来のキャリヤー製造拠点の経営資源は成長性の高い精密化学品事業に集中させます。
基礎化学品事業は、無機製品の値上げ、省人化・コストダウンの徹底により、安定した黒字化に取り組むとともに、将来を見据え無機製品へのシフトや精密化学品事業への展開等の構造改革に取り組んでいきます。
c.研究開発
研究開発部門は、当社のコア技術を生かした新規製品の早期創出をテーマとし、顧客密着型の研究開発を推進すると共に、研究開発部門と製造部門の連携を強化していきます。顧客密着の一環として、2023年11月より関東電化ファインプロダクツ韓国㈱内で研究開発業務を開始しています。
経営指標に新たに追加したROICを活用し、資本効率を意識した事業戦略を進め、持続的な成長をもたらす体制を目指します。また、資本効率向上のために現在保有している政策保有株式の約30%を2026年度までに段階的に縮減し、売却資金を事業活動に活用していきます。
ウ ガバナンス強化
役員報酬制度を改定して報酬と株価の連動性を高めるなど、企業価値向上につながる制度設計を目指します。
エ 人的資本戦略
経営戦略と連動した人材開発を行うため、2023年6月に人材開発室を新設し、2024年度からは新たな人材育成プログラムの運用を開始しました。
また、ダイバーシティの推進と社員のwell-beingの追求は従前から掲げる目標を達成するべく活動していきます。
オ 組織戦略および生産技術力の底上げ
a.IRの強化
2023年6月に新設した広報・IR室が中心となり、今後も株主や投資家に対して積極的に情報を発信していきます。また、2023年度より、統合報告書の発行を開始しました。
b.DXの推進
デジタル技術を活用して生産性を向上させるために活動しており、今後専門部署の設置を検討しています。
c.品質保証能力の向上
d.法務・輸出貿易管理体制の強化
海外での事業拡大およびライセンスビジネスの拡大に伴い、管理体制をより一層強化するため、今後も法務人材を育成・拡充していきます。
カ ESG戦略および社会的価値向上
a.サステナビリティに対する活動推進
b.エネルギー多消費型製品事業の縮小と脱炭素への取組強化
c.リサイクルの推進
② 財務戦略および資金配分に対する考え方
内部留保資金は、事業リスクを踏まえた適正な自己資本比率を維持してまいります。配当につきましては、連結配当性向30%以上とし、投融資とのバランスを考慮して適正な株主還元を行います。
③ PBR1倍割れ対策
当社の市場評価は、2022年5月以降PBRが1倍を下回る状態が継続しています。PBR1倍割れの要因として、投資効率の不透明感、半導体・EV市場の動向に業績が左右される事業構造、将来成長への不透明感が考えられ、この課題を解決するために、資本コストの引き下げや期待成長率の引き上げにつながる施策を実行していきます。
ア 精密化学品事業を中心とした事業の拡大
イ ROIC経営の推進
ウ 投資家との継続的な対話、情報発信の強化
④ カーボンニュートラルに向けた取り組み
ア 2030年に向けたビジョン
精密化学品事業の拡大を一層進めることにより成長を加速するとともに、温室効果ガス排出の削減と脱炭素に向けた技術開発を進め、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」へ成長する。
イ 主な取り組み方針
a.精密化学品事業の成長を果たしながら、CO2排出原単位を改善
b.再生可能エネルギーの投入
c.プロダクトミックスによるCO2排出削減
d.Scope3削減に貢献する環境配慮型製品の開発推進
ウ CO2排出量削減目標(2030年度)
2013年度比50%削減を目標とする。(Scope1、Scope2対象)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ方針
当社グループは、2015年9月に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals「持続可能な開発目標」)の達成を目指して、独自性・優位性ある製品でグローバルに世界最先端の技術を支え、創造的開発型企業として永続的な発展を図るとともに、ESG(環境、社会、ガバナンス)を念頭に持続可能な社会に貢献するため、真摯に環境問題や人権問題にも取り組んでまいります。安全で働きがいを実感できる職場環境を築き、自然との調和をモットーに3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進し、環境負荷物質の排出抑制、産業廃棄物の削減および資源の有効利用を進め、社会的な課題の解決を目的とした活動を通じて企業価値を高め、持続可能な社会づくりに貢献いたします。
当社グループは気候変動への対応を特に重要なテーマであると認識し、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明、TCFD提言に即したシナリオ分析とそれを受けた対応策について検討の上、環境配慮型製品の開発、温室効果ガス排出量削減等の気候変動への取り組みとその情報開示を進めてまいりました。第12次中期経営計画においても独自性・優位性ある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する「創造的開発型企業」を目指しております。
当社グループは、サステナビリティを経営方針の中核に掲げており、その推進のため、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。同じく社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会、RC推進会議と連携しつつ、サステナビリティの個別課題に取り組んでまいります。従来から取り組んでいるRC(レスポンシブル・ケア)活動では、気候変動対策を含む環境保全、労働安全、製品安全、物流安全等における様々な各種課題について短期~中期の方針を策定し、RC推進会議で取り組みを管理しています。さらに重要な課題である気候変動対応や温室効果ガス排出量削減等については、サステナビリティ推進委員会の下に地球環境対策部会を設けて取り組み、各委員会のその他課題についても委員会直下の各部会にて具体的な取り組みが行われます。各部会の取り組みは、担当する委員会にて目標・計画・進捗の概要を定期的に報告するとともに、外部環境、内部環境の変化に応じて見直しを行い、追加・削除しています。各委員会にて審議・決定された内容は定期的(年2回以上を目途)に取締役会に報告するとともに、取締役会において承認された内容は中期経営計画や年度計画に反映してまいります。また、気候変動への対応に関する計画の進捗状況はサステナビリティ推進委員会にてモニタリング・管理しており、進捗を継続的に監督してまいります。

① 戦略
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会および地球環境対策部会が主体となって気候変動によるリスクや機会の特定、事業への影響度の評価を行っております。リスクや機会を評価するにあたっては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。今後、分析には以下の2つの将来世界観を想定し、2030年時点の影響を考察してまいります。

イ) <2℃(1.5℃)シナリオ分析>
2℃(1.5℃)シナリオにおける分析では、脱炭素社会への移行のため様々な政策や規制が導入されることが想定されており、当社グループにおいては特に炭素税導入による財務的影響、および温暖化係数の高い製品(高GWP製品)の需要低下による当社製品売り上げの低下がリスクになり得ると捉えております。
一方で、気候変動に対する意識の高まりから、脱炭素社会実現の一端を担うEV(電気自動車)に不可欠なリチウムイオン電池の市場が拡大することが予想され、それに伴い当社が供給するリチウムイオン電池に必要不可欠な材料の需要も高まり、大きな機会となり得ると捉えております。今後、これらリスクおよび機会を定性・定量の両面で評価し、対応策を検討してまいります。
ロ) <4℃シナリオ分析>
4℃シナリオにおける分析では、異常気象の頻発化および激甚化が想定されており、当社グループにおいては国内拠点での洪水被害が最も大きなリスクであると捉えております。また、それに伴う拠点の営業停止による損害もリスクとして捉えております。今後、これらリスクを定性・定量の両面で評価し、対応策を検討してまいります。
当社グループでは、気候変動への対応にあたっては、サステナビリティ推進委員会および地球環境対策部会において、想定される気候変動リスクを明らかにしたうえで、シナリオ分析等の手法を用いてリスクや機会の評価をしてまいります。また、省エネルギー対策など気候変動対策にも関わってくるリスクやそのほかESG重要課題ついては、必要に応じて他の委員会と連携し、対応してまいります。労働環境やガバナンスについてはコンプライアンス・リスク管理委員会が、品質保証や廃棄物削減、省エネルギー対策についてはRC推進会議がそれぞれ担当しており、継続的に情報を収集し、リスク管理を行っております。審議内容については定期的に取締役会に報告するとともに、討議した対応策を事業活動に反映し、リスク管理を行ってまいります。

当社グループの気候変動リスクを管理する指標として、2013年度を基準年としたエネルギー由来の温室効果ガス排出削減量(当社エネルギー由来Scope1,2[CO2換算])を採用し、管理しております。但し、その大部分は当社に由来するものとなります。当社における温室効果ガス排出削減への取り組みは以下の通りです。
イ) 従来からの取り組み
当社では、当社は、国連環境開発会議において採択されたアジェンダ21「持続可能な開発のための人類の行動計画」に賛同し、化学物質の総合安全対策を実行し、改善を図る自主的活動「レスポンシブル・ケア」(RC活動)を推進しており、活動の中で温室効果ガス排出量(当社Scope1,2)の削減にも取り組んでまいりました。2009年より製造プラントから排出される温室効果ガスの除害設備を導入し、非エネルギー由来の温室効果ガス排出削減に取り組み大きな成果を上げ、2024年度には2013年度比で99.6%削減(当社非エネルギー由来Scope1)しました。
カーボンニュートラルに向けた新たな取り組みと管理指標
2022年度より実施している第12次中期経営計画「Dominate 1000」の重点戦略の一つに社会的価値の向上を掲げ、サステナビリティに対する活動推進、エネルギー多消費型製品の縮小と脱炭素への取り組み強化およびリサイクルの推進に取り組んでおります。
そしてサステナブルな社会づくりに貢献するため、エネルギー由来の2030年の温室効果ガス排出量(エネルギー由来Scope1,2)を2013年基準で50%削減する長期目標を新たに設定し(2023年度、設定目標を30%から50%へ上方修正)、気候変動に対して積極的に取組んでおります。

2024年度においては、生産効率の改善、環境価値の調達等の削減施策の他、生産量の一時的な低減も影響しエネルギー由来の温室効果ガスの排出量は低減傾向にあり、2013年度比(※1)で26.0%削減となりました。その結果、非エネルギー由来Scope1を含めた、当社単体の温室効果ガス排出量全体(Scope1+Scope2)で89.0%削減を達成しています。
2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、今後も温室効果ガス排出量の削減を加速してまいります。
※1.2024年度にGHG排出量算定方法を見直した結果、基準年(2013年度)のエネルギー由来温室効果ガス排出量を239,230t-CO2から226,544t-CO2へ修正しました。
※2.関東電化工業株式会社単体が対象
ロ) 2030年に向けた取り組み
「精密化学品の拡大を一層進めることにより成長を加速するとともに、温室効果ガス排出量の削減と脱炭素に向けた技術開発を進め、サステナブルな社会に貢献する創造的開発型企業」というビジョンを掲げ、主な取り組み方針としては下記施策を実施してまいります。
Ⅰ. 精密化学品事業の成長を果たしながら、CO2排出原単位を改善
Ⅱ. 再生可能エネルギーの導入
Ⅲ. プロダクトミックス(+生産性向上ポートフォリオ改革)
Ⅳ. 環境配慮型製品の開発推進
(4) 人的資本
① 戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。
イ) 基本的な考え方 [人こそが企業価値向上の源泉]
当社グループは、人こそが企業価値向上の源泉であると考え、人材の育成と社内環境の整備に取り組んでまいりました。また、現在の中期経営計画においても、「人材育成充実」を重点戦略のひとつに位置づけ、働きやすさと働きがいのある職場作りを目指していきます。
ロ) ダイバーシティ [多様な人材が企業成長の鍵]
先が見えず変化の激しい時代にあり、今後の企業成長の鍵は多様な人材の確保とその育成・登用にあると考え、当社は女性、外国人、キャリア、障がい者等、多様な人材の採用・育成・登用と社内環境整備に取り組んでいます。
a. ジェンダー
2023年度より地区ごとにLGBTQ研修を行い、相互の理解を深める体制づくりをしています。また、従来は総合職の採用が男性に偏っていたため、現在の女性管理職の割合は極めて小さくなっております。現在は女性の採用に注力し、女性総合職の採用と管理職としての育成を進めています。今年度初めて、社会人3年目以上の女性総合職を対象に本社にてキャリア研修を行いました。
b. 外国人採用、キャリア採用、障がい者雇用
外国人の採用やキャリア採用を継続的に行っております。障がい者雇用に関しては2021年6月には業務サポート室を設置し、障がい者雇用の促進と社内環境の整備を進めております。また2023年10月には障がい者雇用創出の一環として、農園の運営を開始しました。
c. エイジレス
社員がモチベーション高く働き続けるための制度として、2022年度より、給与体系を維持しながら65歳までの定年延長を実施しております。さらに、必要に応じて70歳までの再雇用制度を設け、社員の長年の経験と知識を活かす取り組みを進めています。
ハ) 人材育成 [社員一人ひとりの成長が企業成長の鍵]
社員一人ひとりの成長が当社成長に繋がると考え、全社を挙げて人材育成に取り組んでいます。
a. 推進体制の強化
2023年6月に社員教育および研修の強化を図るため、それを専管する部署として人材開発室を設立しました。さらに2024年1月に、新入社員の育成状況やキャリアプランの確認および早期選抜人材、経営人材、スペシャリスト人材の選定や育成方法の議論を行うことを目的に人材育成委員会を設置しました。
b. 求める人材像
人材育成の中核におくのが、求める人材像「自ら気づき、考え、挑戦しつづける人材」です。これは、人材育成委員会での議論を踏まえ、2025年3月の経営会議で決定されました。すでに採用や研修はこの考えに基づいて行っておりますが、今後も、人材育成のプロセスにおいて積極的に活用していきます。

c. 社員研修制度
2024年4月より新・人材育成プログラムを策定、運用開始しました。全体の底上げとして、職種にかかわらず、当社社員として各階層に求められる役割を遂行するうえで必要となる能力・知識を習得するための研修を行い、全体のレベルアップを図っています。具体的には、育成ステージを「基礎力育成期間」、「リーダー育成期間」に分け、一気通貫した研修内容により幹部職に必要な要素を非幹部職の間に計画的に習得し、「思考力」と「行動力」を鍛えます。それにより幹部職昇格後の実務実践にスムーズに移行できるよう工夫しました。さらに、幹部職以上については、心理的安全性やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見・思い込み)など昨今の時流に合わせた組織づくりスキルを定期的に学び、より良い仕事をアウトプットできる組織風土の醸成につなげます。一方、ブレークスルーを果たすような尖った人材を育成するために、人材育成委員会が選抜した人材に対して研修を行うとともに、あえて困難な業務経験の機会を設け、成長を促していきます。
ニ) WELL-BEING [働きがいを実感できる職場が企業成長の鍵]
社員一人ひとりが働きがいをもって生き生きと仕事に取り組む、これがいい製品・サービスを社会に生み出していく元であると考えています。その基本として、当社では安全で働きがいを実感できる職場環境を築くとともに、人権を尊重し、ハラスメント等のない職場環境の確保に取り組んでいます。今年度よりワークエンゲージメントのアセスメントを行い、現状を把握し、働きがいを実感できる職場づくりを目指していきます。また、今年度より社会人3年目社員を対象にキャリアデザイン研修を、ライン長を対象にキャリア開発支援研修を行いました。
a. 安全への取り組み
当社グループでは「安全第一主義」のもと、独自の安全行動基準を定め、無事故・無災害を目指し全員参加で安全活動に取り組んでいます。渋川工場および水島工場には「危険体感設備」を設置し、危険状態を自ら体験し作業の中に潜む危険源を見抜く力を養います。
b. 人権の尊重
当社グループでは人権に関する国際行動規範を支持、尊重し、取締役会にて人権の尊重、労働者の権利、人権侵害の防止、教育、人権侵害への対応について「関東電化工業グループ人権方針」を定め、取引先ならびにお客様に対しても、本方針の原則に沿った行動と人権の尊重を推進しています。
c. 健康推進
社員の健康診断の実施や禁煙支援により、心身の健康と安全かつ清潔な職場環境の整備を行っています。健康診断時の有所見者に対しては、再検査費用を会社負担とするなど、社員の健康維持推進を図り、健康で働き続ける体制づくりをしています。また「心とからだの相談窓口」を設置し、事業所ごとにメンタルヘルス推進担当者を配置するなど、身体面の健康のみならずメンタルヘルスケアにも力を入れて取り組んでいます。全社員を対象に年に1度のストレスチェックを実施し、職場分析結果は所属長にフィードバックすることで職場のマネジメントに活用しています。
d. ワークライフバランス
社員のワークライフバランスを推進し公私の好循環を図るため、フレックスタイム制の導入、残業の削減および有給休暇取得、男性の育児休業取得を推進しています。また、節目節目での心身のリフレッシュや仕事に対する活力向上を目的とし、入社5年目より利用可能なリフレッシュ休暇を2025年度より導入しました。
② 指標と目標
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。
※1.関東電化工業株式会社単体が対象
※2.2025年度より、指標を取得率に変更し、目標を25%以上に設定し取り組んでおります。
当社グループの経営成績および財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループがリスクとして判断したものですが、当社グループに係る全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの主力製品は半導体・液晶用フッ素系製品であります。半導体・液晶業界は循環的な市況変動が大きい業界であり、需給環境に大きな変化があった場合、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ製品の川下における技術革新により、関係する製品に対する需要そのものがなくなる可能性があります。
当社グループは、韓国・中国等のメーカーとの激しい競争を繰り広げております。競争力の維持・強化に向けた様々な取り組みを進めておりますが、当社製品の技術・品質面での優位性がなくなり、競合メーカーとの価格競争となった場合には、販売シェアのダウンまたは販売価格低下により、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、東アジアを中心に海外事業活動を強化しておりますが、予期しない法令または規制の変更、政治および社会情勢の変化、テロ、感染症等のリスクがあり、これらのリスクが発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、電力が最大の原材料であります。また、当社グループは、原材料として、タングステン、無水フッ酸、エチレン、工業塩、リチウム化合物等を購入しております。製造にあたっては、効率的な資材購入と製品価格への転嫁を図っておりますが、電力をはじめ原燃料の価格変動や調達状況が、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、収益の柱となるような新規製品の開発に経営資源を投入しておりますが、開発が計画どおりに進捗しない場合や、開発した製品が市場投入時に市場ニーズにマッチしない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、安全には万全を期しておりますが、万一、当社工場にて大規模事故災害が発生した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、安定運転、品質の維持に努めておりますが、製造トラブルや品質トラブルが発生し、その回復に時間がかかる場合には、業績に影響を与える可能性があります。また、生産物賠償責任保険には加入しておりますが、この保険が最終的に負担する全ての費用を十分にカバーできない可能性があります。
(8) 情報セキュリティ
当社グループでは、情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティガイドライン、社内情報管理規程等を制定し、各種セキュリティ対策を実施するほか、社員教育を継続的に実施するなど、ハード、ソフト双方から情報管理の徹底に努めておりますが、外部攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの感染等により、システム障害、機密情報・個人情報の漏洩が発生した場合、当社グループへの信用および業績に影響を与える可能性があります。
(9) 気候変動
当社グループでは、気候変動による事業活動への影響を「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいて分析を行いました。
4℃シナリオにおける分析においては、異常気象の頻発化および激甚化により、国内拠点での洪水被害、およびそれに伴う営業停止による損害発生の可能性があります。
2℃(1.5℃)シナリオにおける分析においては、脱炭素社会への移行のための政策の一つとして炭素税をはじめとするカーボンプライシングが導入されることによりコストが上昇する可能性、ならびに特殊ガス製品のうち温暖化係数の高い製品の需要低下により業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、地震等の自然災害や感染症の流行に対しては各種訓練や防災対策、事業継続対策は行っておりますが、災害等により製造拠点等が影響を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルスについては国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある状態を脱したと言えるものの、今後も既知および未知の感染症が世界的に流行する可能性があります。
感染拡大した場合に、当社グループでは、従業員の感染、物流網の停滞、原材料調達の遅延、生産活動の停止により業績に影響を与える可能性があります。また、顧客の事業活動の停止や生産計画の見直しにより当社製品の需要が減少した場合、売上高が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、製造設備など多数の固定資産を有しておりますが、今後、各製品において事業収益性が大幅に悪化した場合や、保有資産の時価が著しく低下した場合等は、減損損失の計上が必要となり、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、化学物質を取り扱う企業として環境対策に万全を期しておりますが、万一、有害物質が社外に流出した場合には、社会的信用の失墜、補償などの費用の発生、生産活動停止に伴う機会損失等により、業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、土壌・地下水汚染、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等各種の環境規制に服しています。これらの規制の動向等により、過去、現在および将来の当社グループの事業活動に関し、法的または社会的責任の観点から対応を行う場合は、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、金融機関から資金を調達しております。種々の借入条件を組み合わせることで、急激な金利変動に備えておりますが、金利が大幅に上昇した場合は金利負担が増加し、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業活動を行うにあたって、各種の法令・規制に服しております。グループをあげてコンプライアンスの遵守に注力しておりますが、重大な法令違反があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略をとっておりますが、開発した技術やノウハウの外部への流失や、知的財産権についての係争により、業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により緩やかな回復基調にあったものの、依然として厳しい状況にありました。海外においても、欧米の高い金利水準や中国不動産市場の停滞に伴う景気の下振れリスク、物価上昇、米国の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等に留意する必要があり、先行き不透明な状況が続きました。
化学工業におきましても、原燃料価格や物流費の上昇に加え、半導体・電子材料業界の生産調整の影響等もあり、引き続き厳しい事業環境にありました。
このような情勢下におきまして、当社グループは、基礎化学品事業、精密化学品事業および鉄系事業の収益力を強化するとともに、当社の強みであるフッ素関連技術を活かした新規製品の開発に取り組んでまいりました。
当期の売上高は、623億51百万円と前期に比べ24億17百万円、3.7%の減少となりました。損益につきましては、経常利益45億7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益32億48百万円となりました(前期は、主に電池材料における売上原価の高止まりと棚卸資産評価損の計上により経常損失13億4百万円、電池材料の収益性低下を受けた減損損失の計上も加わり親会社株主に帰属する当期純損失46億10百万円)。
(無機製品)
か性ソーダは、一部品目の製造中止に伴う販売数量の減少と市況悪化に伴う販売価格の低下により前期に比べ減収となりました。塩酸は、価格修正効果により、前期に比べ増収となりました。
(有機製品)
トリクロールエチレンおよびパークロールエチレンは、販売価格は低下したものの販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。
以上の結果、基礎化学品事業部門の売上高は、79億95百万円となり、前期に比べ8億41百万円、9.5%の減少となりました。営業損益につきましては、営業損失5億78百万円となりました(前期は営業損失1億39百万円)。
(特殊ガス製品)
三フッ化窒素、六フッ化タングステンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。
(電池材料製品)
六フッ化リン酸リチウムは、販売数量の減少と販売価格の低下により、前期に比べ減収となりました。ライセンス契約に基づき受領した技術支援料は、前期に比べ減収となりました。
以上の結果、精密化学品事業部門の売上高は、494億82百万円となり、前期に比べ17億71百万円、3.5%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益39億98百万円となりました(前期は営業損失28億24百万円)。
複写機・プリンターの現像剤用であるキャリヤーは、販売数量の増加により、前期に比べ増収となりました。鉄酸化物は、着色剤の販売減少により、前期に比べ減収となりました。
以上の結果、鉄系事業部門の売上高は、23億1百万円となり、前期に比べ4億87百万円、26.9%の増加となりました。営業損益につきましては、営業利益3億56百万円となり、前期に比べ、1億84百万円、107.0%の増加となりました。
商事事業につきましては、化学工業薬品の販売減少により、前期に比べ減収となりました。
以上の結果、商事事業部門の売上高は、6億62百万円となり、前期に比べ35百万円、5.1%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益1億31百万円となり、前期に比べ59百万円、31.3%の減少となりました。
化学設備プラントおよび一般産業用プラント建設の売上高は、請負工事の減少により前期に比べ減収となりました。
以上の結果、設備事業部門の売上高は、19億8百万円となり、前期に比べ2億57百万円、11.9%の減少となりました。営業損益につきましては、営業利益3億38百万円となり、前期に比べ3億29百万円、49.3%の減少となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)に比べ51億26百万円減少し、200億98百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、130億85百万円となりました(前年同期は112億8百万円の資金の獲得)。これは主に、減価償却費が82億46百万円、税金等調整前当期純利益が50億13百万円となったことにより増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、140億81百万円となりました(前年同期は105億54百万円の資金を使用)。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、47億22百万円となりました(前年同期は17億80百万円の資金の獲得)。これは主に、長期借入れによる収入が73億00百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が90億41百万円、短期借入金の純減少額が19億18百万円となったことによるものであります。なお、長期借入れによる収入につきましては、主に精密化学品事業の成長投資および維持投資に使用予定であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、基本的に販売価格によっておりますが、設備事業の金額は、当連結会計年度の製造費用によっております。
当連結会計年度の設備事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は1,236億17百万円となり、前期末に比べ16億84百万円減少しました。
(流動資産)
流動資産は574億26百万円で、前期末に比べ58億41百万円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が51億15百万円減少したためであります。
(固定資産)
固定資産は661億91百万円で、前期末に比べ41億57百万円増加しました。その主な要因は、投資有価証券が10億43百万円減少した一方、有形固定資産が61億68百万円増加したためであります。なお、有形固定資産の増加につきましては、主に精密化学品事業の成長投資および維持投資によるものであります。
(流動負債)
流動負債は291億80百万円で、前期末に比べ17億10百万円減少しました。その主な要因は、未払法人税等が4億67百万円増加した一方、短期借入金が18億77百万円減少、支払手形及び買掛金が8億52百万円減少したためであります。
(固定負債)
固定負債は268億14百万円で、前期末に比べ20億17百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金が21億85百万円減少したためであります。有利子負債の残高は378億84百万円となり、前期末に比べ37億98百万円の減少となりました。
(純資産)
純資産合計は676億22百万円となり、前期末に比べ20億43百万円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により23億85百万円増加したためであります。
③ 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は623億51百万円となり、前期に比べ24億17百万円、3.7%の減少となりました。これは、主に精密化学品事業の販売数量の減少や販売価格の低下により減収となったためであります。
なお、事業別の売上の概要につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。
売上原価は、原材料価格の低下等により92億45百万円減少しました。また、販売費及び一般管理費は人件費等が増加しました。以上の結果、営業利益は42億72百万円となりました(前期は営業損失19億68百万円)。
営業外収益は為替差益が減少したこと等により6億41百万円減少しております。また、営業外費用はデリバティブ評価損が減少したこと等により2億12百万円減少しております。以上の結果、経常利益は45億7百万円となりました(前期は経常損失13億4百万円)。
特別利益は投資有価証券売却益が増加したことにより3億32百万円増加しております。特別損失は減損損失がなくなったこと等により41億86百万円減少しております。以上の結果、税金等調整前当期純利益は50億13百万円となりました。法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は32億48百万円となりました(前期は親会社株主に帰属する当期純損失46億10百万円)。
④ 資本の財源および資金の流動性
ア.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
イ.資金需要
当社グループの主な資金需要は、設備投資、関係会社貸付金等の長期資金ならびに原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金であります。
資金調達の方法および状況ならびに資金の主要な使途を含む資金需要の動向につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題 ④ 財務戦略」に記載のとおりであります。
ウ.財務政策
長期資金については自己資金のほかに金融機関からの長期借入、短期資金については自己資金のほかに金融機関からの短期借入による調達を基本としております。また、運転資金の効率的な調達・安定性に配慮し、取引銀行との間でコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としており、財務状況や金融・経済情勢に応じて最適と判断した手段により資金を調達しております。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年度を初年度とする第12次中期経営計画(5ヵ年)において、最終年度の連結経営指標について以下の数値目標を設定しております。
第12次中期経営計画の3年目にあたる当連結会計年度の売上高は623億51百万円、営業利益は42億72百万円となりました。なお、第12次中期経営計画の目標達成に向けた経営戦略と課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおりであります。
(1) 技術援助契約
弊社では、第12次中期経営計画において、2030年度末のあるべき姿、「安定した経営基盤の下、安全で働き甲斐を実感できる環境を提供し、独自性、優位性ある製品で世界最先端の技術を支え、サステナブルな社会に貢献する『創造的開発型企業』へ成長する」を目標に掲げています。中でもコア事業である半導体材料事業およびリチウムイオン二次電池材料事業は、人々の豊かな生活の実現に大いに貢献しており、持続的かつ広範な発展が期待されています。このような背景の下、新製品開発本部では、既存事業の強化と新事業の創出を目指して、研究開発活動を進めております。
なお、この第12次中期経営計画実行期間にあたる当連結会計年度の研究開発投資額は、
次に、今後の研究開発活動の方向性について説明します。
半導体・液晶製造用特殊ガスと電池材料の2分野での新製品の早期事業化を推進します。半導体・液晶製造用特殊ガス分野では、事業本部内に半導体材料開発営業部を新設し、既存の半導体材料開発部と連携して業務効率と開発スピードの向上を目指すとともに、開発・製造・営業の一貫体制で顧客ニーズに迅速に対応し、市場展開の促進を図ります。電池材料分野については新事業開発推進部を中心に市場情報を幅広く収集し、車載・定置用電池を見据えた次世代材料の開発や、リチウムリサイクル事業に適した技術開発を多角化します。
並行して、周辺領域の製品・技術開発や、新規事業に係るテーマにも取り組みます。具体的には、電子・情報・光学材料、エネルギー関係、医療分野および環境対応分野において、当社の優位性と独自性を活かした製品・技術開発を進めます。
さらに、環境対応を念頭においたリサイクル技術の構築(ライフサイクルアセスメント(LCA)の整備)や環境に配慮した3R(Reduce、Reuse、Recycle)の加速、PFAS規制に適合させた製品開発も推進します。
これらの取り組みの一環として、国内における研究開発拠点の整備を進めており、2024年4月に水島地区に新研究棟を竣工しました。今後は、渋川地区にも新研究棟設置を計画しております。
現在、半導体・液晶市場ではNF3(三フッ化窒素)、CF4(四フッ化炭素)、C4F6(ヘキサフルオロブタジエン)およびWF6(六フッ化タングステン)等の各種フッ素系特殊ガスが、シリコン基板表面に回路パターンを刻むエッチング用途、および製造装置内面のクリーニング用途に広く使用されています。当社は、世界有数の製造能力と品質を誇る半導体・液晶用特殊ガスメーカーであり、当社独自技術を活かしてこれらの特殊ガス製品の開発を行っています。
今後は、市場のニーズが高いエッチング・クリーニング用の高性能ガスや環境対応製品の開発を推進します。特に、年々微細化が進む半導体分野において、C4F6(ヘキサフルオロブタジエン)、COS(硫化カルボニル)やCH3F(モノフルオロメタン)等の供給に加え、高性能化や環境対応型新規ガス、各種金属材料用ガス、およびAI半導体用途の新たな材料開発に注力していきます。また、順次半導体評価設備の導入を進めており、評価体制の強化も図ります。
海外展開としては、2017年に韓国に拠点として設置した関東電化ファインプロダクツでCOS(硫化カルボニル)等の生産を開始し、2023年11月から研究開発も開始しており、現地顧客に密着した迅速な開発を進めていきます。
リチウムイオン二次電池(LiB)業界では、今後の飛躍的な成長が期待される車載用等の大型電池分野をターゲットに、更なる高容量化、長寿命化、難燃化等の研究が盛んに行われています。当社は、LiB用電解質LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)の開発に成功し、1997年の販売開始を実現し、その後もLiPF6に続く新製品として、2017年4月にLiBF4(ホウフッ化リチウム)、2022年4月にLiPO2F2(ジフルオロリン酸リチウム)の市場投入を行いました。現在は、車載用電池添加剤や全固体電池などの次世代電池材料の早期事業化を推進中です。
さらに、社外パートナーと連携し、使用済みリチウムイオン二次電池から、電池材料に再利用可能なリチウムについて高純度での再資源化技術を開発し、事業化を決しました(2025年2月14日プレスリリース)。現在、パイロット設備を用いた検証を進めており、本事業を軸にしたさらなる展開も検討中です。これらを着実に手掛けることで、電池材料事業の拡大を目指していきます。
当社では、鉄、フェライト、マグネタイトなどのコア材表面に樹脂をコーティングした現像剤用キャリヤーを複写機、プリンター等画像形成装置市場に提供しています。これまでに培ってきた技術を活かし、新規材料の開発や適用範囲の拡大を図ることで、鉄系事業の更なる拡大を目指します。
基礎化学品事業の収益力を強化するために、新規製品の開発に着手しています。環境規制対象となっている既存製品の代替品を意識した検討を進めており、規制対応を重視した製品ラインナップの拡充を目指します。
(5) 有機機能性材料
高付加価値製品による収益拡大を推進しています。高機能用途に対応した展開の結果、新規用途への採用が拡大し、前年実績を超えた大幅な増収を実現しました。また、ライフサイエンス分野向けの新製品や、PFAS規制に配慮した材料・素材の開発を自社の原材料・技術を活用しながら進めており、更なる成果獲得を狙っていきます。
将来の柱となり得る挑戦テーマとして、競合他社に対して優位性の高い新規材料の創出と、当社基盤技術から派生する新たな技術開発を長期的に推進しています。
具体的には、新規コア事業の創出を目的に、電子・情報・光学材料、エネルギー関係、環境対応製品および医療分野において、独自技術を活用した製品の創出に取り組んでいます。
また、サステナブル技術の開発も進めており、内外部との連携を強化しています。
研究開発の迅速化と効率向上を目的として、国内および海外における研究開発拠点の整備を進めています。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、AIやMIを活用した材料設計やデータ駆動型研究の導入により、研究開発効率の精度と向上を図ります。
加えて、コロナ渦を背景に、顧客との対面・オンラインの交流を適切に組み合わせ、コミュニケーションと連携の強化に努めています。
同様に、最新の業界の動向を把握する目的で、学会・セミナー参加や、外部研究機関との共同開発も積極的に推進しています。