第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当連結会計年度における日本経済は、設備投資も33年ぶりに過去最高を更新するなど、近年にはない明るい兆しがみられました。特に、物価と賃金が共に動き出した中で、33年ぶりとなる高水準の賃上げが実現し、賃金と物価の好循環が実現しつつあります。一方で、海外景気の下振れや通商政策の動向とその影響が日本経済に及ぼしうるリスクなど、不確実性は一層高まっております。

警備業界は、業界市場は拡大している一方で、人手不足は事業活動の制約となるほど深刻化しております。また、人材獲得競争の激化から賃金上昇が続くものの、警備業界の労働分配率はすでに高く、物価高の中での持続的な賃上げには限界もあるなど、警備業界をとりまく環境は大きく変化しております。

このような経営環境の下、当社グループは、収益強化に取り組むとともに、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてまいりました。

 

経営方針、経営戦略

 

(1) 長期視点での経営方針

当社グループは、施設警備、交通誘導警備、イベント警備、ボディーガードなどの人的警備、また、人材派遣、マンション管理人派遣などの周辺領域にわたり、幅広く人的サービスの事業を展開しております。当社グループは、これらの事業が人の力に依存したものである一方で、人の力でのみ創出することができるバリューがあると考えており、引き続き人的サービスに注力してまいります。一方で、競合他社との価格競争による料金低下圧力や深刻な人手不足など、当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応するべく、長期視点での経営方針として、規模拡大による交渉力強化や人員確保のため、積極的なM&Aとグループ経営を推進しております。

 

(2) 事業戦略

① 積極的なM&A

国内警備業界は、「令和5年における警備業の概況(2024年7月18日警察庁発表)」によると、2019年末から2024年末の5年間で、警備業者数は9,908業者から10,674業者と8%増である一方、警備員数は57万人から58万4千人の2%増にとどまっており、市場規模は拡大しているものの、前述のとおり人手不足は深刻で、競争激化に苦しむ中小の警備業者は淘汰される可能性が高いと考えられます。

また、小・零細事業者が圧倒的に多く、事業承継問題が顕在化していることから業界再編が活発化している傾向がみられるなど、警備業界のM&A市場環境は活性化しております。

このような環境下、当社グループは、M&Aを成長戦略の中核と位置付けております。

 

・ 引き続き、警備会社や周辺領域(ビルメンテナンス等)に対するM&Aを継続的に実施してまいります。

・ 当社グループは、現在19都道府県に拠点を設け、28都道府県でビジネスを展開しております。当社グループは、47都道府県のプラットフォームを構築することを目指しており、人員数とエリア補完体制を拡大・強化してまいります。

・ 規模の強さによる料金改定、スケールメリットによる利益創出を実現し、ステークホルダーである従業員と株主の皆様への利益還元につなげてまいります。

 

なお、当連結会計年度に実施したM&Aは次のとおりであります。

 

・ 2024年8月26日、東神産業㈱(神奈川県)により三治警備保障㈱を完全子会社化
三治警備保障㈱は、神奈川県に本社を構え、交通誘導警備の事業を展開しております。

・ 2025年1月9日、㈱ネオ・アメニティーサービスを完全子会社化
㈱ネオ・アメニティーサービスは、千葉県に本社を構え、施設警備やビルメンテナンス業などの事業を展開しております。

・ 2025年1月10日、㈱バンガードを完全子会社化
㈱バンガードは、埼玉県に本社を構え、交通誘導警備の事業を展開しております。

・ 2025年1月31日、中国警備保障㈱を完全子会社化
中国警備保障㈱は、山口県に本社を構え、施設警備や交通誘導警備の事業を展開しております。

 

② グループ経営の加速

当連結会計年度のグループ連結売上高のうち、単体を除く売上高は約34%とほぼ3分の1を占めており、グループ経営の重要性は増してきました。当社グループは、グループ横断的かつ地域的な再編などのグループ経営を加速していきます。

 

・ 2024年10月、日本セキュリティーサービス㈱をKSS大阪㈱に社名変更。親会社の一部事業を移管するなど、関西エリアにおける再編を実施。

・ 2024年11月、㈱ダイトーセキュリティーをKSS管財㈱に社名変更。警備事業を親会社に移管、マンション管理事業をKSS管財㈱に移管、またグループ横断的な資産管理の役割を持たせるなどの事業再編を実施。

・ 2025年2月、東神産業㈱をKSS神奈川㈱に社名変更。親会社の一部事業を移管、また三治警備保障㈱(神奈川県川崎市)の事業を移管するなど、神奈川県における再編を実施。

 

③ 警備品質の向上

当社グループは、重要防護施設、中央省庁、データセンターなどの施設警備を行っております。これらの警備実績は、従業員にとっての体験価値を高める一方、高品質なサービスの提供を継続することが重要であります。当社グループは、前述のとおりのグループ横断的な最適化を推進するため、グループ共通の品質戦略を定義し、グループ全体としての成長を目指します。

 

・ 重要防護施設、中央省庁、データセンターなどの施設警備に引き続き取り組む。

・ グループ共通の品質戦略の定義と実行。

・ 資格取得の推進によるサービス付加価値向上。

・ M&Aを通じて、新たな考え方や知見を取り入れる。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、長期視点での経営方針として、規模拡大による交渉力強化や人員確保のため、積極的なM&Aとグループ経営を推進しており、規模拡大のモニタリングのための経営指標として「売上高」及び「警備員等の人員数」、利益成長のモニタリングのための経営指標として「営業利益」をKPIといたしました。

 

経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループの事業を取り巻く環境は、前述のとおり、競合他社との価格競争による料金低下圧力や深刻な人手不足など、警備業界の見通しは不透明性が増しております。

 

<競合他社との価格競争にともなう料金低下圧力の高まり>

前述のとおり、国内の警備業者は小・零細事業者を中心に約1万社あり、競合他社との価格競争にともなう料金低下圧力の高まりに直面しております。当社グループは、競争優位性を失わないための取り組みにチャレンジしてまいります。

 

・ 積極的なM&A、グループ経営の加速に取り組み、あらゆる規模の警備も実施可能とする動員力の実現

・ グループ共通の品質戦略の定義と実行、及び資格取得の推進によるサービス付加価値向上

・ セコム株式会社との資本業務提携を背景とした営業力強化、及びサービス品質強化

 

<深刻な人手不足>

2025年3月現在の保安職業従事者の有効求人倍率は6.74倍(2025年5月2日厚生労働省発表)と採用環境は大変厳しく、人手不足は事業活動の制約となるほど深刻化しております。当社グループは、採用活動に注力するとともに、積極的なM&Aにより、人員数とエリア補完体制を拡大・強化してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、当社の取締役会において、サステナビリティの考え方を以下のとおり定めております。
『当社は、警備業を通じて社会の安全に寄与するため事業活動を行っており、「誠実かつ確実」を経営理念として、持続的成長を志向しています。そして、その社会的責任と使命を深く認識し、社会から信頼される企業となることを目指しています。この考え方のもと、事業活動を通じて持続的に社会価値と経済価値を両立し、持続可能な社会への貢献を目指します。』

 

(1) ガバナンス

当社グループは、代表取締役社長の管轄のもと、グループ全体のサステナビリティに関する各種取り組みを推進しております。

当社グループは、施設警備、交通誘導警備、イベント警備、ボディーガードなどの人的警備、また、人材派遣、マンション管理人派遣などの周辺領域にわたり、幅広く人的サービスの事業を展開しております。当社グループは、これらの事業が人の力に依存したものである一方で、人の力でのみ創出することができるバリューがあると考えており、引き続き人的サービスに注力してまいります。また、当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応するべく、長期視点での経営方針として、規模拡大を目指しており、サステナビリティの観点からの課題と機会を検討し、人的資本に関する取り組みがグループ全体のサステナビリティ課題であると認識しております。

関連部門の連携のもと、人員推移、入退社推移、退職事由の分析、また資格取得者数等のモニタリングを行っており、当社の取締役会は、定期的に人員推移等の報告を受けるとともに、これらの取り組みについての検討を行っております。

 

(2) 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

<人材育成方針>

当社グループは、社員が最も重要な財産であり、社員の成長こそが最も重要な経営基盤のひとつであると考えております。当社グループは、「教育のレベルは、会社のレベルである。」という教育スローガンを掲げ、階層別の社員教育等に取り組んでおり、また社員の資格取得をサポートしております。

 

<社内環境整備方針>

当社グループは、誰もが働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。

ジェンダー平等を目指して、女性の役員登用および管理職登用比率向上に取り組むとともに、男性警備員担当の勤務シフトを女性警備員担当の勤務シフトに組み替えるなど、女性の活用にも注力しております。また、若手の採用に注力する一方で、「アクティブシニア」の皆さんが働きやすい職場づくりを推進し、雇用機会の提供による社会貢献を果たしております。また、長時間労働の是正に取り組むとともに、短時間労働など様々な勤務体系に対応するよう努めております。

 

かかる方針の下、当社グループは事業活動を通じて持続的に社会価値と経済価値を両立し、人材の多様性の確保と、インクルーシブな組織の構築に取り組んでおります。

 

<人権の尊重>

当社グループは、「共栄グループ社員行動規範」において、関連する法令及び行動規範に従って人権を尊重し、誠実な事業活動を行うことを求めております。また、人権の尊重の一環としてハラスメントについても言及しており、近年の外部環境の変化も踏まえ、より一層取り組みを強化することが重要であると考えております。

 

<性別の多様性>

警備業界では、女性警備員の割合が7.0%(「令和5年における警備業の概況」警察庁)と男性社員比率が高くなっているなか、当社グループは多様な人材が活躍する職場環境の推進の一環として女性の活躍推進に取り組んでおり、当社グループにおける管理職に占める女性労働者の割合(以下「女性管理職比率」)は20.5%であります。

なお、前述のとおり、警備業界では男性社員比率が高くなっており、就業・職場環境の整備、採用活動等において女性の活躍推進に取り組むことが重要であると考え、当社グループでは女性社員の安心安全な環境での夜勤勤務や仮眠室の整備、また一般社団法人日本建設業連合会の「けんせつ小町活動」に賛同しております。

 

<経験の多様性>

他社での経験を通して培われた新たな知見や視点が加わることで事業や人材の成長につながると考え、必要に応じて外部人材を採用しております。入社後の人事評価においても、他社経験者と新卒入社者とを区別しておりません。

 

(3) リスク管理

当社グループの本社及び各事業部門、連結子会社は、それぞれの担当領域において定期的にビジネスリスクを検討・評価し、リスクの積極的な予見・適切な評価・回避・軽減等に取り組んでおります。当社の取締役は、自己の担当領域において、当社グループに損失を与えうるリスクを管理するために必要な体制の整備・運用を推進しております。また、代表取締役社長が直轄するリスク・コンプライアンス委員会を原則として四半期に1回開催しております。

サステナビリティに関するリスクについても、かかる体制のもと、本社、各事業部門、連結子会社が、事業戦略・事業計画を策定する際に、必要に応じて評価・分析を行っております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

資格保有者の割合

2025年3月まで80

63.4

管理職に占める女性労働者の割合

2025年3月まで25

19.6

 

(注) 1.正社員を対象とした数値を示しております。

2.資格所有者の割合は、正社員のうち警備及び消防に関連する資格所有者の割合を示しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 人材確保について

当社グループは、警備員、マンション管理人または人材派遣スタッフなどがサービスを提供する労働集約型セクターのひとつであり、人的リソースに大きく依存しております。また、臨時契約は、日々変動する需要に応じた人的リソースを確保・配置しなければならないため、稼働管理を行う必要があります。そのため、労働基準法など法規制の遵守を前提に、必要な人員を戦略的に採用することにより対処しております。

しかしながら、2025年5月2日に厚生労働省が発表した2025年3月の保安職業従事者の有効求人倍率は6.74倍という厳しい採用環境のなか、採用の計画未達、求人媒体等の料金変動又は取引条件の変更、また多数の人的リソースが意図せず喪失又は流出してしまった場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

人材確保に対する取り組みは、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(2) 価格競争について

国内の警備業者は1万社超あり、多くの企業と競争しております。これらの競合他社は、当社グループより高度な経営資源を有する可能性があり、当社グループは、競合他社に効率的に対抗する必要があります。

当社グループは、料金・品質を含む様々な要素で競争しております。競合他社との価格競争によって料金が下落した場合、比例して費用が下落しない場合には利益率の低下につながります。なお、費用の多くは労務費で構成されており、費用の下落は現実的ではありません。また、足元では、物価高等を背景に賃金増加傾向にあり、賃上げにともなう料金改定がなされない場合には利益率の低下につながります。当社グループは、これらの状況に対処するために、規模による動員力を高め、また社員の資格取得によってサービス付加価値を高め、受注力を強化する必要がありますが、一層激化する競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まりに直面しております。

当社グループが、価格下落又は事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

価格競争に対する取り組みは、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(3) 法規制の適用について

当社グループの事業は、警備業法や労働基準法の法規制や監督の対象となっております。これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。また、将来における法規制などの改正・変更は、当該法規制の遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。例えば、資格者たる警備員の配置基準が強化された場合、資格取得費用の増加、又は既存及び将来的なサービスの顧客への提供の制限又は中止につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループ、ならびに当社グループの従業員が法規制に違反すると、当社グループが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、当社グループの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。

 

(4) 買収、第三者との合弁について

当社は、市場シェアを拡大するため、買収、第三者との合弁を実施しております。当社が買収を行う場合、多額の買収コスト又は統合費用の発生、シナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引き受けによって、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社が第三者と合弁会社を設立したり戦略的パートナーシップを構築する場合、当社グループの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略の相違又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取、当社が保有する合弁持分の売却、もしくはパートナーシップの解消、不十分な経営管理、減損損失又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。

 

 

(5) のれんについて

当社グループは、のれんを保有しております。のれんについては、業績の悪化や時価総額の減少、経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損損失を計上する可能性があります。減損の可能性を示す事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場の変動などが含まれます。なお、当社グループがさらされている競争環境の激化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損損失の計上の可能性が増加することがあります。このような減損損失の計上は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度は、地域的な再編を踏まえた将来の収益計画を見直ししたことにより、2024年3月期に買収した複数の連結子会社について、買収時に発生したのれんの回収可能性について慎重に検討した結果、325百万円の減損損失を計上いたしました。また、非連結子会社についても、同様の見直しを行った結果、関係会社株式評価損失を計上いたしました。

 

(6) 特定人物への依存について

当社グループは、当社の創業者であり代表取締役社長の我妻文男を中心とする経営陣の下で経営を行っております。当社グループは、我妻氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、2025年6月に監査等委員会設置会社へ移行し、監査等委員を含む取締役6名のうち3名を社外役員とするなどガバナンスの強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループにおいて職務を執行することが困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 大規模な災害や感染症のパンデミックなどについて

大規模な地震や風水害などの自然災害、テロ行為、大規模火災、感染症のパンデミックなどの予期できない大惨事により、当社グループのサービスの提供が一時的に停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。当社グループは、これら大規模な災害の発生による事業活動の停止に備え、警備員は日々の訓練に取り組むほか、24時間体制のコントロールセンターが事業継続計画の指揮命令系統を担います。コントロールセンターは、北海道に所在しており、東京都にバックアップ機能を備えております。しかしながら、当社グループが、重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、オフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。例えば、感染症のパンデミックによって経済活動が停滞した場合、施設の閉鎖や休業、イベントの中止・延期又は規模縮小により、受託役務の見直しやキャンセルなどの悪影響を受ける可能性があります。

 

(8) 特定の契約先への依存について

当社グループの主要取引先との関係は安定的に推移しております。当社グループは、これらの取引先と良好で安定した取引関係の維持及び発展に努めておりますが、取引先の動向により価格下落または契約解除が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 新たな技術について

警備業で使用される技術、例えば、人工知能(AI)やロボット、IoT機器等の技術は進化を続けております。このような技術の進歩は、当社グループが事業とする人的警備に置き換わる可能性があり、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(10) 顧客情報の管理について

当社グループは、サービスの提供にあたり、契約先の機密情報及び個人情報を取り扱っております。これらの情報は、悪意を持った第三者、犯罪組織、当社グループの従業員の故意又は過失により侵害を受ける可能性があります。当社グループは、プライバシーマークを認証取得しており、機密情報及び個人情報に対する侵害の防止に取り組んでおります。しかしながら、こうした情報に対する事象によって、売上の喪失、第三者との関係の悪化、機密情報及び個人情報の不正漏洩あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗などが生じ、その結果、当社グループの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。また、当社グループは、訴訟や、規制当局による調査や法的措置を含む法的手続きの対象となる可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

経営成績

連結業績

売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比758百万円増加し、10,113百万円となりました。この増収は、主に前連結会計年度に買収した連結子会社の売上高が前連結会計年度比で寄与したこと、また常駐契約の料金改定、常駐契約の新規開始によるものであります。売上高の契約別の内訳については、後述の「販売実績」をご参照ください。

 

売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比264百万円増加して2,350百万円となり、売上高に対する比率は22.3%から23.2%となりました。

 

営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比175百万円増加して484百万円となり、売上高に対する比率は3.3%から4.8%となりました。この増益は、主に買収にともなうのれん償却費や、採用活動強化にともなう募集費など販管費の増加があったものの、前述の料金改定により原価率が下がったことによるものであります。

 

経常利益

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比154百万円増加し、542百万円となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純損益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度の248百万円の利益に対し、38百万円の損失となりました。この減益は、連結子会社においてのれんの一部減損損失を計上したことによるものであります。当社グループは、M&A及びグループ経営を成長戦略として推進しており、地域的な再編を踏まえた収益計画を見直しました。その中で、2024年3月期に買収した複数の連結子会社について、買収時に発生したのれんの回収可能性について慎重に検討した結果、のれんの一部減損損失を計上いたしました。また、非連結子会社についても、同様の見直しを行った結果、関係会社株式評価損を計上いたしました。

現在進めているM&A及びグループ経営は、収益性改善に向けた施策や事業の更なる拡大により、将来の利益成長を見込んでおり、引き続き当社グループにとって重要な成長戦略と位置付けております。

 

財政状態

資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ458百万円6.7%)減少し、6,352百万円となりました。

 

流動資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,091百万円23.9%)減少し、3,468百万円となりました。この減少は、主に長期借入金の返済及び金地金の増加により現金及び預金が減少したことによるものであります。

 

固定資産

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ633百万円28.1%)増加し、2,884百万円となりました。この増加は、主に金地金の増加によるものであります。

 

 

負債

当連結会計年度末の流動負債及び固定負債合計は、前連結会計年度末に比べ285百万円13.5%)減少し、1,820百万円となりました。

 

流動負債

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ8百万円0.6%)増加し、1,422百万円となりました。

 

固定負債

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ293百万円42.5%)減少し、398百万円となりました。この減少は、主に長期借入金の返済によるものであります。

 

純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ173百万円3.7%)減少し、4,532百万円となりました。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.3ポイント増加し、71.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において営業活動から得られた資金は、前期比150百万円増加し、398百万円の収入となりました。この増加は主に、法人税等の支払による支出等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上、減損損失やのれん償却費による内部留保が生じたためであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、149百万円の支出となりました(前連結会計年度は115百万円の収入)。この支出は主に、定期預金の払戻による収入があったものの、金地金購入による支出や子会社株式の取得による支出によるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、前期比355百万円増加し、592百万円の支出となりました。この減少は主に、長期借入金の返済による支出によるものであります。

 

現金及び現金同等物

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ342百万円減少し、1,157百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b. 販売実績

当社グループは警備事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりませんが、契約ごとの売上高については、以下の表をご参照ください。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

常駐契約売上高

8,338

8,987

臨時契約売上高

1,016

1,126

顧客との契約から生じる収益

9,354

10,113

 

(注) 契約期間が1年以上を常駐契約、1年未満を臨時契約として分類しております。
但し、常駐契約に付随した臨時契約は常駐契約に含むなど、実態に即した分類としております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における日本経済は、コロナ禍による落ち込みから回復し、33年ぶりの高水準の賃上げ、史上最高水準の企業の設備投資などの一方で、足元では、物価上昇が賃金上昇を上回る中で、年金生活世帯や中小企業にとっては厳しい状況が続いているなど、先行きは不透明な状況が続いております。

国内警備業界は、「令和5年における警備業の概況(2024年7月18日警察庁発表)」によると、警備業者数は10,674業者(前年比1.4%増)、警備員数は58万4千人(同0.5%増)であり、需要は堅調であります。一方で、2025年3月現在の保安職業従事者の有効求人倍率は6.74倍(2025年5月2日厚生労働省発表)と採用環境は大変厳しく、人手不足は事業活動の制約となるほど深刻化しております。また、人材獲得競争の激化から賃金上昇が続くものの、警備業界の労働分配率はすでに高く、物価高の中での持続的な賃上げには限界もあるなど、警備業界をとりまく環境は大きく変化しております。

このような経営環境の下、当社グループは、収益強化に取り組むとともに、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてまいりました。

 

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、賃上げなどの影響があったものの、長期的な経営方針に向けて、買収や料金改定などの取り組みを反映したものとなりました。

当連結会計年度の売上高の増収は、前期以降で新たに連結子会社となった4社が大きく貢献しております。2023年10月から連結となった東神産業㈱、㈱セキュリティ、及び㈲セキュリティ・ライセンス・KOBは6ヶ月分、2024年1月から連結となった東邦警備保障㈱は9ヶ月分が前期比で増収となりました。2026年7月期においては、2025年1月から連結となる㈱ネオ・アメニティーサービス及び㈱バンガードが増収要因となる見通しであります。

当連結会計年度の常駐契約の売上高は、前連結会計年度比649百万円増加し、8,987百万円となりました。この増収は、前述の買収にともなう増収のほか、料金改定、また公営競技上や合同庁舎、半導体製造工場等の新規開始によるものであります。常駐契約は、安定的な収益基盤となるため、中長期の成長を見据えて受注を積み上げていく方針であります。また、常駐契約は警備員の稼働が安定することで離職率低下につながり、結果的に採用コスト抑制の実現が期待できます。

当連結会計年度の臨時契約の売上高は、前連結会計年度比109百万円増加し、1,126百万円となりました。この増収は、前述の買収にともなう増収によるものであります。

 

営業利益

当連結会計年度の営業利益の増収は、買収や料金改定などの取り組みを反映したものとなりました。しかしながら、賃上げや採用コストの増加は引き続き懸念材料であり、販売価格への適正な価格転嫁が課題であると認識しております。

当社グループは、人手不足が深刻化している警備業界において、上場会社であること(警備を主力事業とする上場会社は7社のみ)、他社が選択していない採用方法を取ることなどによって、採用を優位に進めてまいりました。なお、新卒社員等の若手人材は将来の幹部候補生として育成していく方針ですが、現在は警備員として収益に貢献しており、そのキャリアを積み上げております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、当社グループの資金需要は人件費を主とする事業運営資金に加え、M&Aを中心とした成長投資資金であります。これらの資金需要に対しては営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資金によっておりますが、必要に応じて金融機関や資本市場から調達する方針であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

 

5 【重要な契約等】

(業務・資本提携の契約締結)

契約先

セコム株式会社

東京都渋谷区神宮前1丁目5番1号

契約日

2020年5月14日

契約期間

契約締結から2年間とし、1年ごとに自動的に更新

契約内容

① 業務提携

   営業・業務等に関する情報提供及び支援

② 資本提携

  セコム株式会社は当社普通株式45,000株(発行済株式総数の3.11%)を保有

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。